JP4119349B2 - ジスチルベン誘導体およびそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

ジスチルベン誘導体およびそれを用いた電子写真感光体 Download PDF

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Description

本発明は、電荷輸送能、有機溶剤への溶解性およびバインダ樹脂との相溶性に優れたジスチルベン誘導体と、当該ジスチルベン誘導体を用いた電子写真感光体とに関する。
静電式複写機、ファクシミリ、レーザビームプリンタ等の画像形成装置には、当該装置に用いられる光源の波長領域に感度を有する電子写真感光体が使用されている。近年の電子写真感光体は有機感光体(OPC)が主流であって、この有機感光体の感光層には、上記波長領域に感度を有する電荷発生剤とともに、ジフェノキノン類等の電荷輸送剤が配合されている。
電子写真感光体の感度特性を向上させるには、電荷輸送能の高い電荷輸送剤を使用することが求められる。そこで、従来、種々の電荷輸送剤が研究開発されており、特許文献1には、下記一般式(91)に示すジスチルベン誘導体が開示されている。
Figure 0004119349
〔式(91)中、R91は水素原子、アルキル基、アルコキシ基等を示し、Xはハロゲン原子を示す。〕
上記一般式(91)で表されるジスチルベン誘導体は、ベンゼン環にスチリル(styryl)基を2つ備える、いわゆるジスチルベン(distilbene)をその中心骨格としており、さらに、ジスチルベンの両端に窒素原子と、その窒素原子に置換したフェニル基(N置換フェニル基)、および窒素原子に置換したβ−フェニルスチリル基とを備えている。かかるジスチルベン誘導体はπ電子共役平面が広く、それゆえ、極めて優れた電荷輸送能を発揮することができる。
しかしながら、特許文献1に記載のジスチルベン誘導体(91)は、窒素原子に置換したフェニル基上の置換基R91がいずれも水素原子であるか、またはパラ位にメチル基やメトキシ基を有するものである。このようなジスチルベン誘導体(とりわけ、置換基R91が水素原子であるもの)は、電荷輸送能に優れているものの、有機溶剤に対する溶解性や感光層の形成に用いるバインダ樹脂との相溶性が低いことから、感光層中で結晶として析出し易く、電子写真感光体の感度特性の低下を招くという問題がある。なお、感光層中でのジスチルベン誘導体(91)の含有量を少なくすることで結晶の析出を抑制できるものの、この場合には十分な感度が得られなくなる。
しかも、特許文献1に記載のジスチルベン誘導体(91)は、窒素原子に置換したβ−フェニルスチリル基のベンゼン環(すなわち、エナミン(>N−CH=C<)のC置換フェニル)上に、電子吸引性基であるハロゲン原子が置換していることから、画像形成処理を繰り返したときの電気特性や、電気特性の安定性が低いという問題がある。
特開2000−159733号公報(請求項1〜2,段落〔0012〕〜〔0014〕,〔0020〕〜〔0022〕)
本発明の目的は、電荷輸送能、有機溶剤への溶解性およびバインダ樹脂との相溶性に優れた新規なジスチルベン誘導体と、感度特性に優れた電子写真感光体とを提供することである。
本発明者らは、特許文献1に記載のジスチルベン誘導体(91)の改良を目的として鋭意研究を重ねた結果、当該ジスチルベン誘導体(91)におけるN置換フェニル基の2つのオルト位、またはそのいずれかにアルキル基を導入したときは、意外にも、有機溶剤に対する溶解性やバインダ樹脂との相溶性を著しく向上させることができ、感光層中での結晶の析出を防止して高感度の電子写真感光体を得ることができる、という全く新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記目的を達成するための本発明に係るジスチルベン誘導体は、一般式(1):
Figure 0004119349
〔式(1)中、RおよびRは、同一もしくは異なるアルキル基を示し、またはいずれか一方が水素原子で他方がアルキル基を示す。R、R、RおよびRは同一または異なって、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アラルキル基またはアリール基を示す。m、n、oおよびpは同一または異なって0〜3の整数を示す。m、n、oおよびpが2または3のとき、ベンゼン環の隣接する炭素原子に置換する2つのアルケニル基は、互いに結合して当該ベンゼン環と縮合環を形成してもよい。〕
で表されることを特徴とする。
上記ジスチルベン誘導体(1)の有機溶剤に対する溶解性やバインダ樹脂との相溶性が優れているのは、N置換フェニル基の2つのオルト位またはそのいずれかにアルキル基を有することによって、ジスチルベン骨格とN置換フェニル基との間に立体障害が生じ、その結果、分子の平面性が崩れることに起因するものと推測される。
上記本発明のジスチルベン誘導体(1)において、N置換フェニルのオルト位に置換する基RおよびRは、双方ともアルキル基であるのが好ましい。また、基RおよびRに導入されるアルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基またはイソプロピル基の、炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、とりわけメチル基またはエチル基の、炭素数が1または2のアルキル基が好ましい。
上記目的を達成するための本発明に係る電子写真感光体は、導電性基体上に感光層を備え、当該感光層が上記一般式(1)で表されるジスチルベン誘導体を含有することを特徴とする。
本発明の電子写真感光体は、前述のように、電荷輸送能の高い上記一般式(1)で表されるジスチルベン誘導体を含有することから、従来の電子写真感光体に比べて高感度である。しかも、本発明の電子写真感光体によれば、ジスチルベン誘導体(1)とバインダ樹脂との相溶性が良好であることから、感光層の経時的な安定性が向上する。
本発明の電子写真感光体において、感光層は、導電性基体上に直接に設けられていてもよく、下引き層を介して設けられていてもよい。また、本発明の電子写真感光体は、
(I)感光層が単一の層であって、上記一般式(1)で表されるジスチルベン誘導体とともに電荷発生剤を含有する、いわゆる単層型の感光体であってもよく、
(II)感光層が、電荷発生剤を含有する電荷発生層と、上記一般式(1)で表されるジスチルベン誘導体を含有する電荷輸送層とを備えており、当該電荷発生層と電荷輸送層とが、導電性基体上からこの順でまたは逆の順で設けられてなる、いわゆる積層型の感光体であってもよい。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
〔ジスチルベン誘導体〕
本発明に係るジスチルベン誘導体は、前述のように、上記一般式(1)で表されるものである。本発明に係るジスチルベン誘導体(1)の置換基RおよびRは、前述のように、同一もしくは異なるアルキル基を示すか、あるいはいずれか一方が水素原子で他方がアルキル基を示す。RおよびRに相当するアルキル基の好適例については前述のとおりである。
ジスチルベン誘導体(1)中のビニレン部分での立体構造については特に限定されるものではない。従って、シス体およびトランス体のいずれであってもよく、両者が混在していてもよい。
ジスチルベン誘導体(1)の置換基R、R、RおよびRは同一または異なって、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アラルキル基またはアリール基である。R〜Rの炭素数は、一般に、ジスチルベン誘導体(1)の有機溶剤に対する溶解性をより一層良好なものとする上で多いのが好ましいが、当該誘導体(1)の電子輸送能(電荷移動度)をより一層良好なものとするには少ないのが好ましいことから、両者のバランスをとって設定すればよい。通常、R〜Rの炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは2〜4である。
〜Rに相当する基のうち、アルキル基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル;シクロペンチル、シクロヘキシル、2,6−ジメチルシクロヘキシル等が挙げられる。アルケニル基には、例えばビニル、1−プロペニル、アリル等が挙げられる。アルコキシ基には、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ等が挙げられる。アラルキル基には、例えばベンジル、フェネチル、2,6−ジメチルベンジル等が挙げられる。アリール基には、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニリル;トリル、キシリル、メシチル、クメニル、2−エチル−6−メチルフェニル等が挙げられる。
基R〜Rの置換数を示すm、n、oおよびpが2または3のとき、ベンゼン環の隣接する炭素原子に置換する2つのアルケニル基は、互いに結合して当該ベンゼン環と縮合環を形成してもよい。すなわち、例えば基RおよびRを有するベンゼン環について、アルケニル基であるRが隣接する炭素原子に2個置換している場合において、その基Rは互いに結合して、上記ベンゼン環とともにナフタレン環等の縮合環を形成してもよい。縮合環の具体例としては、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等が挙げられる。
本発明に係るジスチルベン誘導体(1)の具体例を以下に示す。
Figure 0004119349
表1中、「Me」はメチル基、「Et」はエチル基、「i−Pr」はi−プロピル基、「MeO」はメトキシ基を示し、「3−」や「4−」はベンゼン環上での置換位置を示す。Rの置換位置は窒素原子に置換した炭素原子を1とする。
(合成方法)
本発明に係るジスチルベン誘導体(1)は、例えば以下に示す工程1〜7を経ることによって合成することができる。
工程1:オルト位にRとRとを有し、かつメタ位またはパラ位のRを有することのあるアニリン(51)と、無水酢酸とを、濃硫酸の存在下で反応させる。
Figure 0004119349
工程2:工程1の生成物(52)を、炭酸カリウムと銅の存在下で、Rを有することのあるヨードベンゼンと反応させる。
Figure 0004119349
工程3:工程2の生成物(53)をアミン体(54)に還元する。
Figure 0004119349
工程4:工程3の生成物(54)と、RとRとを有するジフェニルアセトアルデヒドとを反応させる。
Figure 0004119349
工程5:工程4の生成物(55)を塩化ホスホリルの存在下で加熱攪拌して、ホルミル体(56)を合成する。
Figure 0004119349
工程6:下記式(57)で表されるα,α’−ジクロロキシレンと、ホスホン酸トリエチルとを反応させる。
Figure 0004119349
工程7:工程5の生成物(56)と、工程6の生成物(58)とを、強塩基の存在下で反応させる。
Figure 0004119349
なお、工程1〜7に示す反応式中のR〜R、mおよびn前記と同じである。
本発明に係るジスチルベン誘導体(1)のN置換フェニル基やN置換β−フェニルスチリル基は、左右非対称であってもよいが、合成効率の観点から、対称形のものであるのが好ましい。左右非対称のジスチルベン誘導体(1)を得るには、上記工程6においてα,α’−ジクロロキシレンに代えてα−クロロキシレンを使用し、これを等モル量の化合物(56)と反応させた上で、その生成物を、工程6に準じてホスホン酸トリエチルと反応させ、次いで等モル量の化合物(56)と反応させればよい。
〔電子写真感光体〕
次に、本発明の電子写真感光体について詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体は、前述のように、導電性基体上に感光層を設けてなるものであって、当該感光層が上記一般式(1)で表されるジスチルベン誘導体を含有するものである。
上記感光層の構成は、同一の層中に電荷発生剤と電荷輸送剤とを混在させる、いわゆる単層型感光体の場合と、電荷発生剤を含有する層(電荷発生層)と電荷輸送剤を含有する層(電荷輸送層)とを分離してなる、いわゆる積層型感光体の場合とで異なるが、いずれの感光層も、電荷発生剤、電荷輸送剤等の各成分をバインダ樹脂等とともに溶媒中に溶解・分散させ、こうして得られた塗布液を導電基体上に(直接にまたは下引き層を介して)塗布、乾燥することによって形成されるものである。
(電荷発生剤)
本発明の電子写真感光体に使用可能な電荷発生剤としては、例えば下記式(CGM1)で表される無金属フタロシアニン、下記式(CGM2)で表されるチタニルフタロシアニン(TiOPc)、下記式(CGM3)で表されるヒドロキシガリウムフタロシアニン、下記式(CGM4)で表されるクロロガリウムフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;ジスアゾ顔料;ジスアゾ縮合顔料、モノアゾ顔料、ペリレン系顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料等の、従来公知の種々の電荷発生剤が挙げられる。
Figure 0004119349
Figure 0004119349
Figure 0004119349
Figure 0004119349
電荷発生剤は、電子写真感光体が所望の吸収波長域で感度を有するように、上記例示のものの中から種々選択すればよい。上記例示の電荷発生剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
半導体レーザを使用したレーザビームプリンタやファクシミリといったデジタル光学系の画像形成装置には、上記例示の電荷発生剤のうち、600nm以上の波長領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えば無金属フタロシアニン(CGM1)やチタニルフタロシアニン(CGM2)等のフタロシアニン系顔料が好適に用いられる。
上記フタロシアニン系顔料について、その結晶形は特に限定されるものではなく、種々のものを採用することができるが、無金属フタロシアニン(CGM1)についてはX型またはI型を、チタニルフタロシアニン(CGM2)についてはα型〔そのX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)が7.6°と28.6°の時に主たる回折ピークを有するもの〕またはY型〔ブラッグ角(2θ±0.2°)が27.2°の時に主たる回折ピークを有するもの〕を、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(CGM3)についてはV型を、クロロガリウムフタロシアニン(CGM4)についてはII型を、それぞれ用いるのが、感光体の感度をより一層良好なものにするという観点から好ましい。
ハロゲンランプ等の白色光源を使用した静電式複写機といったアナログ光学系の画像形成装置には、上記例示の電荷発生剤のうち、可視領域に感度を有するペリレン系顔料やビスアゾ系顔料等が好適に用いられる。
電荷発生剤のバインダ樹脂中での分散性といった特性を向上させるためには、ジスアゾイエロー、ジアニシジンオレンジ、ピラゾロンオレンジ、ピラゾロンレッド等のアゾ系顔料を配合してもよい。
(正孔輸送剤)
本発明の電子写真感光体に用いられる正孔輸送剤は、上記一般式(1)で表されるジスチルベン誘導体である。
本発明の電子写真感光体においては、上記ジスチルベン誘導体(1)と併せて、従来公知の種々の正孔輸送剤を感光層中に含有させてもよい。かかる他の正孔輸送剤としては、例えば一般式(HTM1)で表されるビススチルベンジアミン誘導体、一般式(HTM2)で表されるビストリフェニルアミン誘導体、一般式(HTM3)で表されるトリフェニルアミノスチリル誘導体および一般式(HTM4)で表されるスチルベンアミン−ヒドラゾン誘導体等が挙げられる。
Figure 0004119349
〔一般式(HTM1)のXh1は下記式(A)〜(C)のいずれかを、一般式(HTM2)のXh2は下記式(A)〜(D)のいずれかを、それぞれ示す。〕
Figure 0004119349
Figure 0004119349
〔一般式(HTM1)〜(HTM4)中、Rh1〜Rh18およびRh20〜Rh25は同一または異なって、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数12以下のアリール基を示す。Rh19は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数12以下のアリール基を示す。aおよびbは前記と同じである。kは0〜3の整数を示す。〕
上記例示の正孔輸送剤を本発明のジスチルベン誘導体(1)と併用することで、電荷輸送能をより一層向上させ、バインダ樹脂との相溶性をより一層向上させることができる。
(電子輸送剤)
本発明の電子写真感光体に使用可能な電子輸送剤は、正孔輸送剤との間に電荷移動錯体が生じないものであるほかは特に限定されるものではなく、従来公知の種々の電子輸送剤の中から適宜選択して用いることができる。具体的には、下記一般式(ETM1)および(ETM2)で表されるジフェノキノン誘導体、下記一般式(ETM3)で表されるスチルベンキノン誘導体、下記一般式(ETM4)、(ETM5)、(ETM6)および(ETM7)で表されるナフトキノン誘導体、下記一般式(ETM8)および(ETM9)で表されるジナフトキノン誘導体、下記一般式(ETM10)、(ETM11)、(ETM12)および(ETM13)で表されるアゾキノン誘導体、下記一般式(ETM14)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体等が挙げられる。
Figure 0004119349
Figure 0004119349
Figure 0004119349
Figure 0004119349
Figure 0004119349
Figure 0004119349
Figure 0004119349
〔一般式(ETM1)〜(ETM14)中、Re1〜Re11、Re13〜Re26、Re32〜Re37、Re40およびRe41は同一または異なって、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数12以下のアリール基を示す。Re12は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数12以下のアリール基、炭素数1〜9のアルキルカルボニル基、炭素数1〜9のアルコキシカルボニル基、炭素数13以下のアリールカルボニル基または炭素数13以下のアリールオキシカルボニル基を示す。Re27、Re29およびRe31は同一または異なって、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数12以下のアリール基、塩素原子またはニトロ基を示す。Re28、Re30、Re38およびRe39は同一または異なって、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数12以下のアリール基を示す。aは0〜3の整数を示し、bは0〜4の整数を示す。上記アリール基、アリールカルボニル基およびアリールオキシカルボニル基は、そのアリール部分にニトロ基等の置換基をさらに有していてもよい。〕
なお、上記一般式(ETM12)で表されるアゾキノン誘導体は、アニリン誘導体〔置換基(Re31を備えるもの〕と亜硝酸ナトリウムに濃塩酸を加えてジアゾニウム化合物を生成させて、このジアゾニウム化合物と9−ヒドロキシ−10−メチルアントラセンの誘導体〔置換基(Re30を備えるもの〕とをジアゾカップリングさせた後、こうして得られた生成物のヒドロキシ基を酸化することによって得られる。
上記例示の電子輸送剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(バインダ樹脂)
本発明の電子写真感光体において、電荷発生剤、電荷輸送剤等の各成分を含有する層を形成するためのバインダ樹脂には、従来公知の種々の樹脂を採用することができる。なかでも、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂をバインダ樹脂として使用するのが、本発明に係るジスチルベン誘導体(1)との相溶性や、感光層の強度や耐磨耗性等の特性をより一層良好なものにするという観点から好ましい。また、上記例示のバインダ樹脂は、電荷発生剤や電荷輸送剤との相溶性に優れており、しかも電荷輸送剤の電荷輸送能を妨害するような部位をその分子内に有しないものである。従って、かかるバインダ樹脂を用いることによって、より一層高感度な電子写真感光体を得ることができる。
なお、これに限定されるものではないが、本発明においては、一般式(I):
Figure 0004119349
〔一般式(I)中、R20およびR21は同一または異なってアルキル基を示す。αおよびβは同一または異なって0〜2の整数を示す。〕
で表される繰り返し単位と、一般式(II):
Figure 0004119349
〔一般式(II)中、R22およびR23は同一または異なってアルキル基を示す。γおよびδは同一または異なって0〜2の整数を示す。Xは式(II−1)、(II−2)および(II−3):
Figure 0004119349
で表される二価基のいずれかを示す。式(II−2)中、R24は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、R25は炭素数1〜3のアルキル基を示す。式(II−3)中、R26およびR27は同一または異なってアルキル基を示す。〕
で表される繰り返し単位と、を有する共重合ポリカーボネート樹脂をバインダ樹脂として用いるのが、湿式現像剤による感光層の膨潤、劣化を防止する上で好ましい。
上記一般式(I)および(II)中のR20〜R23に相当するアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。かかるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
上記一般式(I)で表される繰り返し単位と、一般式(II)で表される繰り返し単位と、を有する共重合ポリカーボネート樹脂において、両繰り返し単位の含有割合については特に限定されるものではないが、一般式(I)で表される繰り返し単位の重合度mと、一般式(II)で表される繰り返し単位の重合度nとは、式:
0.05<m/(m+n)<0.4
を満たすように設定するのが好ましい。
(分散媒)
上記例示の電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、バインダ樹脂等を分散・溶解させて感光層形成用の塗布液を調製するのに用いる分散媒としては、感光層形成用塗布液に従来用いられている種々の有機溶剤が使用可能である。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
なお、これに限定されるものではないが、電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダ樹脂等の各成分を安定して分散させる上で、各種の有機溶剤の中でも特に、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタンおよびクロロベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶剤を用いるのが好ましい。
(他の成分)
感光層形成用の塗布液には、電子写真特性に悪影響を与えない範囲であれば、上記各成分のほかにも従来公知の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
(導電性基体)
本発明の電子写真感光体において、感光層が形成される導電性基体には、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体;上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス;カーボンブラック等の導電性微粒子を分散させた樹脂基体等が挙げられる。
導電性基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電性基体は、使用に際して十分な機械的強度を有するものが好ましい。
本発明に用いられる導電性基体は、これに限定されるものではないが、その表面に酸化被膜処理または樹脂被膜処理を施したものであってもよい。
(単層型電子写真感光体の製造方法)
単層型の電子写真感光体は、電荷発生剤と、本発明のジスチルベン誘導体(正孔輸送剤)と、バインダ樹脂と、さらに必要に応じて電子輸送剤や上記他の成分とを、適当な分散媒に分散または溶解させて、こうして得られた感光層形成用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させて感光層を形成することによって得られる。
上記感光層形成用塗布液において、電荷発生剤は、バインダ樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部の割合で配合すればよい。正孔輸送剤は、バインダ樹脂100重量部に対して5〜200重量部、好ましくは50〜150重量部の割合で配合すればよい。電子輸送剤は、バインダ樹脂100重量部に対して5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部の割合で配合すればよい。電子輸送剤と正孔輸送剤とを併用する場合において、電子輸送剤と正孔輸送剤との総量は、バインダ樹脂100重量部に対して20〜500重量部、好ましくは30〜200重量部とするのが適当である。
感光層形成用塗布液の塗布によって得られる感光層の厚さは5〜100μm、特に10〜50μmとなるように設定するのが好ましい。
感光層形成用塗布液を調製する際には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、不溶性アゾ顔料、バインダ樹脂等を、適当な溶剤とともに、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等の公知の手段を用いて分散混合すればよい。
(積層型電子写真感光体の製造方法)
積層型の電子写真感光体の製造では、まず、電荷発生剤とバインダ樹脂と、さらに必要に応じて上記他の成分を、適当な分散媒に分散または溶解させ、こうして得られた電荷発生層形成用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させて電荷発生層を形成する。次いで、本発明のジスチルベン誘導体(正孔輸送剤)とバインダ樹脂と、さらに必要に応じて電子輸送剤や上記他の成分とを、適当な分散媒に分散または溶解させ、こうして得られた電荷輸送層形成用塗布液を上記の電荷発生層上に塗布し、乾燥させて電荷輸送層を形成する。こうして、導電性基体上に電荷発生層と電荷輸送層とをこの順序で積層してなる電子写真感光体が得られる。
なお、電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は上記と逆の順序であってもよいが、通常、電荷発生層の膜厚が薄く、その強度が十分ではないことから、上記のとおりの積層順序とするのが好ましい。
本発明において特に限定されるものではないが、導電性基体と感光層との間には、感光体の特性を阻害しない範囲で下引き層(バリア層)を形成してもよい。また、感光体の表面には保護層を形成してもよい。
〔ジスチルベン誘導体の合成〕
(合成例1)
工程1:式(51−1)で表される2−エチル−5−メチルアニリン25g(0.185モル)と、無水酢酸150mLとを室温で混合し、さらに触媒量の濃硫酸を加えて、70℃で1.5時間攪拌して反応させた。次いで、反応液にイオン交換水600mLと氷100gとを投入して10分間攪拌した後、析出した反応生成物(固体)を濾別した。こうして得られた反応生成物をイオン交換水で洗浄して、クロロホルム150mLに溶解し、さらに中性になるまでイオン交換水で洗浄した。洗浄後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥してからクロロホルムを留去した。こうして得られた残渣をクロロホルム100mLに溶解して加熱攪拌し、溶液の分量が50〜70mL程度になるまで濃縮した後、n−ヘキサンを加えて冷却することによって反応生成物を再結晶させた。析出した反応生成物(固体)を濾別し、乾燥させて、式(52−1)で表される2’−エチル−5’−メチルアセトアニリドを得た。収量30.2g(収率92.0%)。
Figure 0004119349
工程2:炭酸カリウム35.0g(0.254モル)と銅4.8g(0.076モル)とを混合して2時間加熱、攪拌して、その後冷却した。次いで、工程1で得られた式(52−1)で表される2’−エチル−5’−メチルアセトアニリド30g(0.169モル)と、ヨードベンゼン67.3g(0.33モル)とを加えて、220℃のオイル浴で加熱しながら2.5時間反応させた後、これを冷却した。反応生成物をトルエン100mLに加えて濾過し、濾液からトルエンとヨードベンゼンとを減圧留去した後、残渣をトルエンに溶解させて活性白土で処理して、トルエンを減圧留去した。さらに、残渣をクロロホルム50mLに溶解してn−ヘキサンから晶析した後、得られた固体を濾別し、乾燥させて、式(53−1)で表されるN−(2’−エチル−5’−メチルフェニル)アセトアニリドを得た。収量34.7g(収率81.8%)。
Figure 0004119349
工程3:工程2で得られた式(53−1)で表されるN−(2’−エチル−5’−メチルフェニル)アセトアニリド30.0g(0.118モル)と、カリウムt−ブトキシド14.5g(0.13モル)とをn−ブタノール150gに投入して、2時間加熱還流させた後、これを冷却した。次いで、n−ブタノールを減圧留去して、残渣を水100mLに加え、析出した固体(茶褐色)を濾別した。得られた固体をクロロホルムに溶解してイオン交換水で水洗した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、さらに活性白土で処理して、クロロホルムを留去した。残渣にn−ヘキサンを加えて析出した固体を濾別し、乾燥させて、式(54−1)で表される2−エチル−5−メチルジフェニルアミンを得た。収量20.4g(収率81.8%)。
Figure 0004119349
工程4:工程3で得られた式(54−1)で表される2−エチル−5−メチルジフェニルアミン20g(0.095モル)と、ジフェニルアセトアルデヒド18.8g(0.096モル)とをトルエン150mLに投入し、さらにp−トルエンスルホン酸一水和物3.0g(0.015モル)を加えて2時間加熱還流して、その後冷却した。反応液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、さらに活性白土で処理して濾別し、トルエンを留去した。こうして得られた固体をメタノールに加えて熱攪拌し、その後冷却して、固体を濾別し、これを乾燥させて、下記式(55−1)で表される化合物を得た。収量31.2g(収率83.5%)。
Figure 0004119349
工程5:工程4で得られた式(55−1)で表される化合物30.0g(0.077モル)をジメチルホルムアミド(DMF)200mLに溶解させ、塩化ホスホリル14.0g(0.092モル)を加えて、反応液の温度を120℃に保って攪拌した。反応終了後、反応液をイオン交換水600mLに滴下し、析出した固体を濾別して、イオン交換水で洗浄した。次いで、生成物をトルエンに溶解してイオン交換水で水洗し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、さらに活性白土で処理して、トルエンを減圧留去した。その後、残渣をカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム)で精製することにより、下記式(56−1)で表される化合物を得た。収量12.8g(収率40.1%)。
Figure 0004119349
工程6:式(57)で表されるα,α’−ジクロロ−p−キシレン52.5g(0.30モル)をホスホン酸トリエチル130g(0.78モル)に投入して、8時間加熱還流した。その後、反応生成物を冷却し、析出した固体(白色)を濾別して、n−ヘキサンで洗浄した。これをクロロホルム/n−ヘキサン混合溶媒で晶析することによって、下記式(58)で表される化合物を得た。収量98.1g(収率86.4%)。
Figure 0004119349
工程7:工程6で得られた式(58)で表される化合物6.80g(0.018モル)をフラスコにいれて雰囲気をアルゴンで置換した後、乾燥させたテトラヒドロフラン(THF)50mLと、乾燥THF20mLに溶解させたナトリウムメトキシド8.3g(0.043モル)とを投入して、0℃で20分間攪拌した。次いで、この反応液に、工程5で得られた式(56−1)で表される化合物15g(0.036モル)を、乾燥THF20mLに溶解させて投入し、室温で終夜攪拌した。その後、反応液を希塩酸水に注いでトルエンにて抽出し、有機層をイオン交換水で洗浄した。次いで、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、活性白土で処理して、トルエンを減圧留去した。その後、残渣をカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム/n−ヘキサン=1:1)で精製し、トルエン/n−ヘキサン混合溶媒により再沈殿させて、下記式(1−1)で表される目的化合物(ジスチルベン誘導体)を得た。収量13.5g(収率83.0%)。融点250℃以上。
Figure 0004119349
ジスチルベン誘導体(1−1)は、上記表1に示すように、一般式(1)で表されるジスチルベン誘導体のRがエチル基、Rがメチル基、Rが水素原子、mおよびnが0の化合物である。ジスチルベン誘導体(1−1)のH−NMRスペクトルを図1に、IRスペクトルを図2に、それぞれ示す。
(合成例2)
出発原料である2−エチル−5−メチルアニリン(51−1)に代えて、2,5−ジメチルアニリン22.4g(0.185モル)を用いたほかは、合成例1の工程1〜7と同様にして反応させることにより、下記式(1−2)で表される目的化合物(ジスチルベン誘導体)を得た。収量14.0g(収率17.2%)。融点250℃以上。
Figure 0004119349
ジスチルベン誘導体(1−2)は、上記表1に示すように、一般式(1)で表されるジスチルベン誘導体のRおよびRがメチル基、Rが水素原子、mおよびnが0の化合物である。ジスチルベン誘導体(1−2)のIRスペクトルを図3に示す。
〔電子写真感光体の製造〕
(実施例1)
X型無金属フタロシアニン(電荷発生剤)5重量部と、上記式(1−1)で表されるジスチルベン誘導体(正孔輸送剤)40重量部と、ポリカーボネート(結着樹脂)100重量部とを、テトラヒドロフラン(溶剤)800重量部とともにボールミルにて50時間混合分散させて、単層型感光層用の塗布液を作製した。次いで、この塗布液をアルミニウム素管(導電性基体)上にディップコート法によって塗布し、100℃で30分間熱風乾燥することにより、膜厚25μmの感光層を備える単層型感光体を得た。
(実施例2〜4)
実施例1で作製した単層型感光層用塗布液中に、さらに電子輸送剤50重量部を配合した。電子輸送剤には、実施例2で下記式(ETM1−1)で表されるキノン誘導体を、実施例3で下記式(ETM4−1)で表されるキノン誘導体を、実施例4で下記式(ETM4−2)で表されるキノン誘導体を、それぞれ使用した。次いで、こうして得られた塗布液を用いたほかは実施例1と同様にして、膜厚25μmの感光層を備える単層型感光体を得た。
Figure 0004119349
Figure 0004119349
Figure 0004119349
(実施例5)
ジスチルベン誘導体(1−1)に代えて、上記式(1−2)で表されるジスチルベン誘導体(正孔輸送剤)40重量部を用いたほかは実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を作製した。次いで、この塗布液を用いたほかは実施例1と同様にして、膜厚25μmの感光層を備える単層型感光体を得た。
(実施例6〜8)
実施例5で作製した単層型感光層用塗布液中に、さらに電子輸送剤50重量部を配合した。電子輸送剤には、実施例6で上記式(ETM−1)で表されるキノン誘導体を、実施例7で上記式(ETM4−1)で表されるキノン誘導体を、実施例8で上記式(ETM4−2)で表されるキノン誘導体を、それぞれ使用した。次いで、こうして得られた塗布液を用いたほかは実施例1と同様にして、膜厚25μmの感光層を備える単層型感光体を得た。
(比較例1)
ジスチルベン誘導体(1−1)に代えて、下記式(91−1)で表されるジスチルベン誘導体(正孔輸送剤)40重量部を用いたほかは実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を作製した。次いで、この塗布液を用いたほかは実施例1と同様にして、膜厚25μmの感光層を備える単層型感光体を得た。
Figure 0004119349
(比較例2)
比較例1で作製した単層型感光層用塗布液中に、さらに電子輸送剤50重量部を配合した。電子輸送剤には、上記式(ETM1−1)で表されるキノン誘導体を使用した。次いで、こうして得られた塗布液を用いたほかは比較例1と同様にして、膜厚25μmの感光層を備える単層型感光体を得た。
〔電子写真感光体の物性評価〕
上記実施例および比較例で得られた電子写真感光体について、下記の電気特性試験を行った。
上記電子写真感光体をドラム感度試験機〔ジェンテック(GENTEC)社製〕に設置して、初期表面電位Vが+700Vとなるように帯電させた。次いで、ハロゲンランプの白色光からバンドパスフィルタを用いて取り出した波長780nm(半値幅20nm)の単色光(光強度8μJ/cm)を感光体の表面に1.5秒間照射し、表面電位が1/2になるのに要した時間を測定して、半減露光量E1/2を求めた。また、露光開始から0.5秒経過した時点での表面電位を測定して、これを残留電位Vr(V)とした。
以上の結果を表2に示す。なお、表2中、「HTM」は正孔輸送剤を、「ETM」は電子輸送剤を、それぞれ示す。
Figure 0004119349
表2中、*1は感光層中にてジスチルベン誘導体の結晶が析出したため、電気特性の評価が行えなかったことを示す。
表2より明らかなように、N置換フェニル基のオルト位に置換基を有しない、式(91−1)で表されるジスチルベン誘導体を用いた比較例1および2の電子写真感光体では、いずれも感光層中にジスチルベン誘導体の結晶が析出したため、実用に供することができなかった。
これに対し、N置換フェニル基のオルト位にメチル基やエチル基を有する式(1−1)および(1−2)のジスチルベン誘導体を用いた実施例1〜8の電子写真感光体では、感光層中での結晶の析出を防止して高感度の電子写真感光体を得ることができた。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。
合成例1で得られたジスチルベン誘導体(1−1)のH−NMRスペクトルを示すグラフである。 合成例1で得られたジスチルベン誘導体(1−1)のIRスペクトルを示すグラフである。 合成例2で得られたジスチルベン誘導体(1−2)のIRスペクトルを示すグラフである。

Claims (2)

  1. 一般式(1):
    Figure 0004119349
    〔式(1)中、RおよびRは、同一もしくは異なるアルキル基を示し、またはいずれか一方が水素原子で他方がアルキル基を示す。R、R、RおよびRは同一または異なって、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アラルキル基またはアリール基を示す。m、n、oおよびpは同一または異なって0〜3の整数を示す。m、n、oおよびpが2または3のとき、ベンゼン環の隣接する炭素原子に置換する2つのアルケニル基は、互いに結合して当該ベンゼン環と縮合環を形成してもよい。〕
    で表されるジスチルベン誘導体。
  2. 導電性基体上に感光層を備え、当該感光層が一般式(1):
    Figure 0004119349
    〔式(1)中、RおよびRは、同一もしくは異なるアルキル基を示し、またはいずれか一方が水素原子で他方がアルキル基を示す。R、R、RおよびRは同一または異なって、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アラルキル基またはアリール基を示す。m、n、oおよびpは同一または異なって0〜3の整数を示す。m、n、oおよびpが2または3のとき、ベンゼン環の隣接する炭素原子に置換する2つのアルケニル基は、互いに結合して当該ベンゼン環と縮合環を形成してもよい。〕
    で表されるジスチルベン誘導体を含有する電子写真感光体。
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