JP3568431B2 - スチルベン誘導体、その製造方法およびそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、結着樹脂への相溶性が高く、高感度かつ安定性に優れたスチルベン誘導体、その製造方法および該スチルベン誘導体を含有し、静電式複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンタ等の画像形成装置に用いられる電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記画像形成装置においては、当該装置に用いられる光源の波長領域に感度を有する種々の有機感光体が使用されている。この有機感光体は、従来の無機感光体に比べて製造が容易であり、電荷輸送剤、電荷発生剤、結着樹脂等の感光材料の選択肢が多様で、機能設計の自由度が高いという利点を有することから、近年、広く用いられている。
有機感光体には、電荷輸送剤を電荷発生剤とともに同一の感光層中に分散させた単層型感光体と、電荷発生剤を含有する電荷発生層と電荷輸送剤を含有する電荷輸送層とを積層した積層型感光体がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
有機感光体に使用される電荷輸送剤として、特開昭50−31773号公報および特開平7−244389号公報にはスチルベン誘導体が開示されている。
しかしながら、前記公報に開示されているスチルベン誘導体は、一般に結着樹脂との相溶性が乏しく、感光層中に均一に分散されず、電荷移動が生じにくい。そのため、前記スチルベン誘導体自体は高い電荷移動度を有しているが、これを電荷輸送剤として感光体に使用した際には、その特性が十分に発揮できず、感光体の残留電位が高くなり、光に対する感度が不十分になる。
【0004】
そこで、本発明の目的は、上記の技術的な問題を解決し、電子写真感光体の電荷輸送剤として好適な新規スチルベン誘導体およびその製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、従来に比べて、感度および繰り返し特性が向上した電子写真感光体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために研究を重ねていくなかで、スチルベン誘導体のうち、分子中央にあるベンゼン環を境にして両側に位置するトリフェニルアミノ基の分子構造が互いに非対称である化合物は、従来のスチルベン誘導体よりも結着樹脂との相溶性に優れ、かつ電荷移動度が大きいという事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のスチルベン誘導体は分子中央にあるベンゼン環を境にして両側に位置するトリフェニルアミノ基の分子構造が互いに非対称であり、下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
【0006】
本発明のスチルベン誘導体の内、一般式(1):
【0007】
【化7】
【0008】
(式(1)中、R25およびR26はビニレン基を示し、R1とR5がアルキル基であり、R8とR18が共にアルキル基または水素原子であり、R9とR19が共にアルキル基または水素原子であり、その他の置換基は水素原子を示す。)
または、一般式(2):
【0011】
一般式(1)で表される本発明のスチルベン誘導体は、特開昭50−31773号公報および特開平7−24389号公報に具体的に開示されていない、分子中央にあるベンゼン環を境にして両側に位置するトリフェニルアミノ基が分子構造的に互いに非対称である化合物である。それに加えて、前記公報に具体的に開示された化合物よりも結着樹脂との相溶性が高く、かつ高い電荷移動度を有するものである。
従って、スチルベン誘導体(1)を電子写真感光体における電荷(正孔)輸送剤として使用することにより、高感度で繰り返し安定性が向上した電子写真感光体を得ることができる。中でも、R1、R6、R11およびR16のうち、少なくとも1つが置換基を有しても良いアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基であるスチルベン誘導体は分子の対称性が低いため、とりわけ結着樹脂との相溶性が良く、特に好ましい。
【0012】
また、スチルベン誘導体(1)の製造方法には、一般式(3):
【0013】
【化9】
【0014】
(式(3)中、R1〜R5、R11〜R15、R21、R22およびR25は前記一般式(1)と同様である。)で表されるアルデヒド誘導体と一般式(4):
【0015】
【化10】
【0016】
(式(4)中、R6〜R10、R16〜R20、R23およびR24は前記一般式(1)と同様である。)で表されるトリフェニルアミンリン酸エステル誘導体とを反応させることを特徴とする製造方法(以下、製造方法(A)とする。)と、一般式(5):
【0017】
【化11】
【0018】
(式(5)中、R1〜R5、R11〜R15、R21およびR22は前記一般式(1)と同様である。)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と一般式(6):
【0019】
【化12】
【0020】
(式(6)中、R6〜R10、R16〜R20、R23、R24およびR26は前記一般式(1)と同様である。)で表されるモノスチルベン誘導体とを反応させることを特徴とする製造方法(以下、製造方法(B)とする。)がある。
また、本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に感光層を設けた電子写真感光体であって、感光層が、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を少なくともひとつ、含有することを特徴とする。
本発明の電子写真感光体は、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を感光層中に含有することから、電化発生剤で発生した電荷(正孔)を輸送する速度が速く、すなわち電荷移動度が大きく、帯電および露光時の光に対する感度が優れている。その結果、本発明の電子写真感光体によれば、従来のスチルベン誘導体を正孔輸送剤として使用したときよりも、高い感度が得られ、繰り返し特性が向上する。
【0021】
また、前記感光層は一般式(1)で表されるスチルベン誘導体のうち少なくともひとつと共に、電荷発生剤と電子輸送剤とを含有した単層型の感光層であることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
まず、本発明のスチルベン誘導体を、一般式(1)で表わされる化合物により、詳細に説明する。
一般式(1)中、R1〜R24に相当するアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜6のアルキル基があげられる。中でも、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0023】
また、R1〜R24に相当するアルキル基は置換基を有していてもよく、具体的にはヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、モノアルキルアミノアルキル基、ジアルキルアミノアルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、カルボキシアルキル基、アルカノイルオキシアルキル基、アミノアルキル基などがあげられる。
とりわけ本発明のスチルベン誘導体(1)においては、電荷移動度を高めるという観点から、置換基としてアルコキシ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基などの電子供与性基を有するアルキル基が好ましい。
【0024】
前記ヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル、1−ヒドロキシペンチル、6−ヒドロキシヘキシル等の、アルキル部分の炭素数が1〜6のヒドロキシアルキル基があげられる。
前記アルコキシアルキル基としては、例えばメトキシメチル、メトキシエチル、メトキシブチル、エトキシヘキシル、エトキシメチル、ブトキシエチル、t−ブトキシヘキシル、ヘキシルオキシメチル等の、アルコキシアルキル基があげられる。
【0025】
前記モノアルキルアミノアルキル基としては、例えばメチルアミノメチル、エチルアミノメチル、ヘキシルアミノメチル、エチルアミノエチル、ヘキシルアミノエチル、メチルアミノプロピル、ブチルアミノプロピル、メチルアミノブチル、エチルアミノブチル、ヘキシルアミノブチル、メチルアミノヘキシル、エチルアミノヘキシル、ブチルアミノヘキシル、ヘキシルアミノヘキシル、等の、アルキル部分の炭素数が1〜6であるアルキルアミノアルキル基があげられる。
前記ジアルキルアミノアルキル基としては、例えばジメチルアミノメチル、ジエチルアミノメチル、ジヘキシルアミノメチル、ジエチルアミノエチル、ジヘキシルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジブチルアミノプロピル、ジメチルアミノブチル、ジエチルアミノブチル、ジヘキシルアミノブチル、ジメチルアミノヘキシル、ジエチルアミノヘキシル、ジブチルアミノヘキシル、ジヘキシルアミノヘキシル等の、アルキル部分の炭素数が1〜6であるジアルキルアミノアルキル基があげられる。
【0026】
前記アルコキシカルボニルアルキル基としては、例えばメトキシカルボニルメチル、メトキシカルボニルエチル、メトキシカルボニルヘキシル、エトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、、プロポキシカルボニルメチル、イソプロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、ペンチルオキシカルボニルメチル、ヘキシルカルボニルメチル、ヘキシルカルボニルブチル、ヘキシルカルボニルヘキシル等の、アルキル部分およびアルコキシ部分のいずれも炭素数が1〜6であるアルコキシカルボニルアルキル基があげられる。
前記カルボキシアルキル基としては、例えばカルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシブチル、カルボキシヘキシル、1−メチル−2−カルボキシエチル等の、アルキル部分の炭素数が1〜6であるカルボキシアルキル基があげられる。
【0027】
前記ハロゲン置換アルキル基としては、例えばモノクロルメチル、モノブロモメチルモノヨードメチル、モノフルオロメチル、ジクロルメチル、ジブロモメチル、ジヨードメチル、ジフルオロメチル、トリクロルメチル、トリブロモメチル、トリヨードメチル、トリフルオロメチル、モノクロルエチル、モノブロモエチル、モノヨードエチル、モノフルオロエチル、ジブロモブチル、ジヨードブチル、ジフルオロブチル、クロルヘキシル、ブロモヘキシル、ヨードヘキシル、フルオロヘキシル等の、1〜3個のハロゲン原子が置換された炭素数1〜6のアルキル基があげられる。
【0028】
前記アルカノイルオキシアルキル基としては、例えばアセトキシメチル、2−アセトキシエチル、プロピオニルオキシメチル、1−ヘキサノイルオキシ−2−メチルペンチル等の、炭素数2〜6のアルカノイル部分と、炭素数1〜6のアルキル部分とを有するアルカノイルオキシ基があげられる。
前記アミノアルキル基としては、例えばアミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル、アミノヘキシル等の、アルキル部分の炭素数が1〜6であるアミノアルキル基があげられる。
【0030】
本発明のスチルベン誘導体(1)には中心ベンゼン環への置換位置の違いによって下記の一般式(7)〜(9)で表されるスチルベン誘導体が存在するが、とりわけ一般式(9)で表されるスチルベン誘導体が好適に用いられる。
【0031】
【化13】
【0032】
【化14】
【0033】
【化15】
【0034】
(式(7)〜(9)中、R1〜R26は前記一般式(1)と同じである。)
スチルベン誘導体の具体例として、R1〜R26に相当する置換基を、後述する合成例、比較合成例の化合物と併せて、下記の表1に示す。表1中、化合物番号(1−22)、(1−23)、(1−29)および(1−30)が本発明のスチルベン誘導体(1)に相当する。また、化合物番号(34)〜(36)が比較合成例の化合物に相当する。表1中の各化合物は一般式(7)〜(9)のいずれの分子構造も含む。
なお、表1中、Meはメチル基、Etはエチル基、i-PRはイソプロピル基を示し、分子名の前についている数字はベンゼン環を介して結合する窒素原子に対する置換位置を示す。R25およびR26(ビニレン基)についてはベンゼン環を介して結合する窒素原子に対する置換位置を示す。なお、表示のない基は水素原子を示す。
【0035】
【表1】
【0036】
また、本発明のスチルベン誘導体(1)には、ビニレン基に対する中心ベンゼン環と周辺置換基であるトリフェニルアミンとの配置の違いによって、下記一般式(10)で表されるシス(cis−)異性体と、下記一般式(11)で表されるトランス(trans−)異性体とが混在する。
【0037】
【化16】
【0038】
【化17】
【0039】
(式(10)および(11)中、R1〜R24は前記一般式(1)と同じ基である。)
本発明の電子写真感光体には、trans−異性体(11)の割合が多いものを使用するのが好ましい。
一般式(1)で表されるスチルベン誘導体は、前述のように電荷移動度が大きく、すなわち高い正孔輸送能を有することから、電子写真感光体における正孔輸送剤として好適に使用されるほか、太陽電池、エレクトロルミネッセンス素子等の種々の分野での利用が可能である。
【0040】
次に、本発明のスチルベン誘導体(1)の合成を例にとって、前記製造方法(A)および前記製造方法(B)について、詳細に説明する。
《製造方法(A)》
反応式(I):
【0041】
【化18】
【0042】
(式中、R1〜R26は前記と同じである。)
この反応は、一般式(3)で表されるアルデヒド誘導体と、一般式(4)で表されるトリフェニルアミンリン酸エステル誘導体とを適当な無水溶媒中、塩基の存在下で反応させることにより、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を得るものである。
かかる反応に使用する無水溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであればよく、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素があげられる。
【0043】
前記塩基としては、反応式(I)で示した水素化ナトリウムの他、ナトリウムメトキシド等のナトリウムアルコキシド等の金属水素化物があげられる。
トリフェニルアミンリン酸エステル(4)に対する塩基の使用量は、少なくとも1〜2倍モル量、好ましくは1〜1.3倍モル量である。
アルデヒド誘導体(3)の使用量は、トリフェニルアミンリン酸エステル誘導体(4)に対して0.90〜1.25倍モル量、好ましくは0.98〜2.05倍モル量である。反応は、通常−10〜25℃で行われ、3〜12時間程度で終了する。
【0044】
反応式(II):
【0045】
【化19】
【0046】
(式中、R1〜R5、R11〜R15、R21、R22およびR25は前記と同じである。)この反応は、シアノ化合物(12)とジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAL)をそれぞれ適当な無水溶媒中に加え、それらの溶液を混合して反応させることにより、反応式(I)の出発原料であるアルデヒド誘導体(3)を得るものである。
この反応で使用する無水溶媒としては、反応式(I)に使用するのと同じものがあげられる。
シアノ化合物(12)に対するジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAL)の使用量は、少なくとも1〜2倍モル量、好ましくは1〜1.3倍モル量である。
【0047】
反応は、通常−10〜25℃で行われ、3〜12時間程度で終了する。
反応式(III):
【0048】
【化20】
【0049】
(式中、R1〜R5、R11〜R15、R21、R22およびR25は前記と同じである。)この反応は、ホルミル化トリフェニルアミン誘導体(13)とシアノベンジルリン酸エステル誘導体(14)とを適当な無水溶媒中、塩基の存在下で反応させることにより、前記反応式(II)の出発原料であるシアノ化合物(12)を得るものである。
この反応で使用する無水溶媒および塩基としては、反応式(III)で示される水素化ナトリウムの他、ナトリウムメトキシド等のナトリウムアルコキシド等の金属水素化物があげられる。
【0050】
シアノベンジルリン酸エステル誘導体(14)に対する塩基の使用量は、少なくとも1〜2倍モル量、好ましくは1〜1.3倍モル量である。
ホルミル化トリフェニルアミン誘導体(13)の使用量は、シアノベンジルリン酸エステル(14)に対して0.90〜1.25倍モル量、好ましくは0.98〜2.05倍モル量である。反応は、通常−10〜25℃で行われ、3〜12時間程度で終了する。
反応式(IV):
【0051】
【化21】
【0052】
(Xはハロゲン元素を示す。)
この反応は、シアノベンジルハライド誘導体(15)と亜リン酸トリエステル(16)とを無溶媒あるいは適当な溶媒中にて反応させることにより、反応式(III)の出発原料であるシアノベンジルリン酸エステル誘導体(14)を得るものである。その際、第三級アミンを添加すると、反応系からハロゲン化アルキルが除去され、反応が促進する。
この反応に使用する溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであればよく、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミドがあげられる。
【0053】
上記第三級アミンとしては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等があげられる。
シアノベンジルハライド誘導体(15)に対する亜リン酸トリエステル(16)の使用量は、少なくとも1倍モル量、好ましくは1〜1.2倍モル量である。反応は、通常、80〜150℃で行われ、1〜4時間程度で終了する。
反応式(V):
【0054】
【化22】
【0055】
(式中、R1〜R5、R11〜R15、R21、R22およびR25は前記と同じである。)この反応は、シアノトリフェニルアミン誘導体(17)とジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAL)をそれぞれ適当な無水溶媒中に加え、それらの溶液を混合して反応させることにより、反応式(III)の出発原料であるホルミル化トリフェニルアミン誘導体(13)を得るものである。この反応に使用する無水溶媒としては、反応式(I)で使用されるのと同じものがあげられる。
シアノトリフェニルアミン誘導体(17)に対するジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAL)の使用量は、少なくとも1〜2倍モル量、好ましくは1〜1.3倍モル量である。
【0056】
反応は、通常−10〜25℃で行われ、3〜12時間程度で終了する。
R1が水素以外の基であり、R2〜R10、R21およびR22が水素原子であるホルミル化トリフェニルアミン誘導体(13−1)を得る場合は、反応式(VI)で表されるフィルスマイヤー(Vilsmeier)法を用いると、効率よくホルミル化される。
反応式(VI):
【0057】
【化23】
【0058】
(式中、R1は前記と同じである。)
この反応で用いる試薬(Vilsmeier試薬)は、(i)オキシ塩化リン、ホスゲン、塩化オキサリル、塩化チオニル、トリフェニルホスフィン臭素、ヘキサクロロトリホスファザトリエン等のハロゲン化剤と、(ii)N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルホルムアニリド(MFA)、N−ホルミルモルホリン、N,N−ジイソプロピルホルムアミド等との組み合わせより調整される。特に本発明では、オキシ塩化リンと、溶媒としても使用できるDMFとの組み合わせが好適に用いられる。
【0059】
Vilsmeier試薬の調整において、前記(i)と(ii)との使用割合は、通常モル比で1:1〜2、好ましくは1:1〜1.2である。
前記Vilsmeier試薬の使用量は、トリフェニルアミン誘導体(18)に対して0.9〜2倍モル量、好ましくは1〜1.1倍モル量である。トリフェニルアミン誘導体(18)のホルミル化は、通常40〜120℃で行われ、2〜5時間程度で終了する。
反応式(VII):
【0060】
【化24】
【0061】
(式中、R1〜R5、R11〜R15、R21およびR22は前記と同じである。)
この反応は、アニリン誘導体(19)に2種類のヨードベンゼン誘導体(20)、(21)を順次反応させることにより、反応式(V)の出発原料であるシアノトリフェニルアミン誘導体(17)を得るものである。すなわち、反応式(VII)において、まず、アニリン誘導体(19)をアセチル化して得られたアセチルアニリン誘導体(22)と一方のヨードベンゼン誘導体(20)とをニトロベンゼン中に加え、無水炭酸カリウム、銅などの触媒と共に反応させることにより、アセチル化ジフェニルアミン誘導体(23)を得る。次いで、アセチル化ジフェニルアミン誘導体(23)を加水分解することによりジフェニルアミン誘導体(24)を得る。最後に、ジフェニルアミン誘導体(24)と他方のヨードベンゼン誘導体(21)とをニトロベンゼン中に加え、無水炭酸カリウム、銅などの触媒と共に反応させることにより、シアノトリフェニルアミン誘導体(17)を得るものである。
【0062】
また、シアノトリフェニルアミン誘導体(17)のうち、任意の2個あるいは3個のベンゼン環が互いに同じ置換基および置換位置を示すものを合成する場合、アニリン誘導体(19)とヨードベンゼン誘導体(20)とをニトロベンゼン中に加え、無水炭酸カリウム、銅などの触媒と共に反応させることにより簡便なプロセスで好適に合成される。
反応式(VIII):
【0063】
【化25】
【0064】
(式中、R6〜R10、R16〜R20、R23およびR24は前記と同じである。Xはハロゲン元素を示す。)
この反応は、ハロゲン化メチルトリフェニルアミン誘導体(25)と亜リン酸トリエステル(26)とを無溶媒あるいは適当な溶媒中にて反応させることにより、前記反応式(I)の出発原料であるトリフェニルアミンリン酸エステル誘導体(4)を得るものである。その際、第三級アミンを添加すると、反応系からハロゲン化アルキルが除去され、反応が促進する。
この反応に使用する溶媒および第三級アミンとしては、反応式(IV)で使用されるのと同じものがあげられる。
【0065】
ハロゲン化メチルトリフェニルアミン誘導体(25)に対する亜リン酸トリエステル(26)の使用量は、少なくとも1倍モル量、好ましくは1〜1.2倍モル量である。反応は、通常、80〜150℃で行われ、1〜4時間程度で終了する。
反応式(IX):
【0066】
【化26】
【0067】
(式中、R6〜R10、R16〜R20、R23およびR24は前記と同じである。Xはハロゲン元素を示す。)
この反応は、トリフェニルアミンメタノール誘導体(27)とハロゲン化合物(28)とを適当な溶媒中、触媒の存在下で反応させることにより、反応式(VIII)の出発原料であるハロゲン化メチルトリフェニルアミン誘導体(25)を得るものである。
上記ハロゲン化合物としては、例えば四塩化炭素、四臭化炭素、四ヨウ化炭素、濃塩酸等があげられる。
【0068】
上記溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン当のエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素があげられる。
上記触媒としては、トリフェニルホスフィンが好適に用いられる。
トリフェニルアミンメタノール誘導体(27)に対するハロゲン化合物(28)の使用量は0.90〜1.25倍モル量、好ましくは0.98〜2.05倍モル量である。また、トリフェニルアミンメタノール誘導体(27)に対する上記触媒の使用量は、少なくとも1倍モル量、好ましくは0.98〜2.05倍モル量である。反応は、通常−10〜25℃で行われ、1〜10時間程度で終了する。
【0069】
反応式(X):
【0070】
【化27】
【0071】
(式中、R6〜R10、R16〜R20、R23およびR24は前記と同じである。)
この反応は、ホルミル化トリフェニルアミン誘導体(29)とナトリウムボロハイドライド(30)をメタノール中で反応させることにより、反応式(IX)の出発原料であるトリフェニルアミンメタノール誘導体(27)を得るものである。
ホルミル化トリフェニルアミン誘導体(29)に対するナトリウムボロハイドライド(30)の使用量は、少なくとも1倍モル量、好ましくは1〜1.3倍モル量である。反応は、通常−10〜25℃で行われ、3〜12時間程度で終了する。
【0072】
反応式(X)の出発原料であるホルミル化トリフェニルアミン誘導体(29)は、反応式(V)あるいは(VI)中の置換基R1〜R5をR6〜R10に、基R11〜R15をR16〜R20に、R21〜R22をR23〜R24に、R25をR26に、それぞれ置き換えることで得られる。
《製造方法(B)》
反応式(XI):
【0073】
【化28】
【0074】
(式中、R1〜R26は前記と同じである。)
この反応は、一般式(5)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、一般式(6)で表されるモノスチルベン誘導体とを適当な無水溶媒中、塩基の存在下で反応させることにより、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を得るものである。
かかる反応に使用する無水溶媒および塩基としては、反応式(I)で使用されるのと同じものがあげられる。
ホルミル化トリフェニルアミン誘導体(5)に対する塩基の使用量は、少なくとも1〜2倍モル量、好ましくは1〜1.3倍モル量である。
【0075】
モノスチルベン誘導体(6)の使用量は、ホルミル化トリフェニルアミン誘導体(5)に対して0.90〜1.25倍モル量、好ましくは0.98〜2.05倍モル量である。反応は、通常−10〜25℃で行われ、3〜12時間程度で終了する。
反応式(XII):
【0076】
【化29】
【0077】
(式中、R6〜R10、R16〜R20、R23およびR24は前記と同じである。Xはハロゲン元素を示す。)
この反応は、ハロゲン化炭素置換モノスチルベン誘導体(31)と亜リン酸トリエステル(26)とを無溶媒あるいは適当な溶媒中にて反応させることにより、前記反応式(XI)の出発原料であるモノスチルベン誘導体(6)を得るものである。その際、第三級アミンを添加すると、反応系からハロゲン化アルキルが除去され、反応が促進する。
かかる反応に使用する溶媒および第三級アミンとしては、反応式(IV)で使用されるのと同じものがあげられる。
【0078】
ハロゲン化炭素置換モノスチルベン誘導体(31)に対する亜リン酸トリエステル(26)の使用量は、少なくとも1倍モル量、好ましくは1〜1.2倍モル量である。反応は、通常、80〜150℃で行われ、1〜4時間程度で終了する。
反応式(XIII):
【0079】
【化30】
【0080】
(式中、R6〜R10、R16〜R20、R23およびR24は前記と同じである。Xはハロゲン元素を示す。)
この反応は、ヒドロキシメチル化トリフェニルアミン誘導体(32)とハロゲン化合物(28)とを適当な溶媒中、触媒の存在下で反応させることにより、反応式(XII)の出発原料であるハロゲン化炭素置換モノスチルベン誘導体(31)を得るものである。
この反応で使用するハロゲン化炭素、溶媒および触媒としては、反応式(IX)で使用されるのと同じ物が上げられる。
【0081】
ヒドロキシメチル化トリフェニルアミン誘導体(32)に対するハロゲン化合物(28)の使用量は0.90〜1.25倍モル量、好ましくは0.98〜2.05倍モル量である。また、ヒドロキシメチル化トリフェニルアミン誘導体(32)に対する上記触媒の使用量は、少なくとも1倍モル量、好ましくは0.98〜2.05倍モル量である。反応は、通常−10〜25℃で行われ、1〜10時間程度で終了する。
反応式(XIV):
【0082】
【化31】
【0083】
(式中、R6〜R10、R16〜R20、R23およびR24は前記と同じである。)
この反応は、アルデヒド誘導体(33)とナトリウムボロハイドライド(30)をメタノール中で反応させることにより、反応式(XIII)の出発原料であるヒドロキシメチル化トリフェニルアミン誘導体(32)を得るものである。
アルデヒド誘導体(33)に対するナトリウムボロハイドライド(30)の使用量は、少なくとも1倍モル量、好ましくは1〜1.3倍モル量である。反応は、通常−10〜25℃で行われ、3〜12時間程度で終了する。
反応式(XIV)の出発原料であるアルデヒド誘導体(33)は、反応式(II)〜(VI)中の置換基R1〜R5をR6〜R10に、基R11〜R15をR16〜R20に、R21〜R22をR23〜R24に、R25をR26に、それぞれ置き換えることで得られる。
【0084】
反応式(XI)の出発原料であるホルミル化トリフェニルアミン誘導体(5)は反応式(V)あるいは(VI)により得られる。
次に、本発明の電子写真感光体について詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体は、前記一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を少なくともひとつ、含有した感光層を導電性基体上に設けたものである。感光体には、前述のように単層型と積層型とがあるが、本発明はこのいずれも適用可能である。
【0085】
単層型感光体は、導電性基体上に単一の感光層を設けたものである。この感光層は前記一般式(1)で表されるスチルベン誘導体(正孔輸送剤)のうち少なくともひとつ、電荷発生剤、結着樹脂、さらに必要に応じて電子輸送剤を適当な溶媒に溶解または分散させ、得られた塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させることで形成される。かかる単層型感光体は、単独の構成で正負いずれの帯電型にも適用可能であるとともに、層構成が簡単で生産性に優れている。
本発明の単層型電子写真感光体は、従来の単層型電子写真感光体に比べて、感光体の残留電位が大きく低下しており、感度および繰り返し安定性が向上している。
【0086】
一方、積層型感光体は、まず導電性基体上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤を含有する電荷発生層を形成し、次いでこの電荷発生層上に、前記一般式(1)で表されるスチルベン誘導体(正孔輸送剤)の少なくともひとつと結着樹脂とを含む塗布液を塗布し、乾燥させて電荷輸送層を形成することによって、作製される。また、前記とは逆に、導電性基体上に電荷輸送層を形成し、その上に電荷発生層を形成してもよい。但し、電荷発生層は電荷輸送層に比べて膜圧がごく薄いため、その保護のためには、導電性基体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成するのが好ましい。
【0087】
積層型感光体は、前記電荷発生層および電荷輸送層の形成順序と、電荷輸送層に使用する電荷輸送剤の種類によって、正負いずれの帯電型となるかが選択される。例えば、前記のように、導電性基体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成した場合において、電荷輸送層における電荷輸送剤として、本発明のスチルベン誘導体のような正孔輸送剤を使用した場合には、感光体は負帯電型となる。
本発明の積層型感光体は、従来のスチルベン誘導体を正孔輸送剤として使用した積層型電子写真感光体に比べて、感光体の残留電位が大きく低下しており、感度が向上している。
【0088】
前述のように、本発明の電子写真感光体は、単層型および積層型のいずれにも適用できるが、特に正負いずれの帯電型にも使用できること、構造が簡単で製造が容易であること、層を形成する際の皮膜欠陥を抑制できること、層間の界面が少なく、光学的特性を向上できること等の観点から、単層型が好ましい。
次に、本発明の電子写真感光体に用いられる種々の材料について説明する。
《電荷発生剤》
本発明に用いられる電荷発生剤としては、例えば、種々のフタロシアニン顔料、多環キノン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、アズレニウム塩顔料、スクアリリウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム染料、チオピリリウム染料、キサンテン染料、キノンイムン色素、トリフェニルメタン色素、スチリル色素、アンサンスロン系顔料、ピリリウム塩、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料等の有機光導電材料、セレン、テルル、アモルファスシリコン、硫化カドミウム等の無機光導電材料があげられ、単独または2種類以上を混合して使用できる。
【0089】
また、前記例示の電荷発生剤のうち、特に半導体レーザー等の光源を使用したレーザービームプリンタやファクシミリ等のデジタル光学系の画像形成装置には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えば下記一般式(CG1):
【0090】
【化32】
【0091】
で表される無金属フタロシアニンや一般式(CG2):
【0092】
【化33】
【0093】
で表されるオキソチタニルフタロシアニン等の金属含有フタロシアニンといった、フタロシアニン系顔料が好適に用いられる。なお、フタロシアニン系顔料の結晶形については特に限定されず、種々のものを使用できる。
一方、ハロゲンランプ等の白色の光源を使用した静電式複写機等のアナログ光学系の画像形成装置には、可視領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えば下記一般式(CG3):
【0094】
【化34】
【0095】
(式中、Rg1およびRg2は同一または異なって、炭素数が18以下の置換または未置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルカノイル基またはアラルキル基を示す。)
で表されるペリレン系顔料やビスアゾ顔料等が好適に用いられる。
《正孔輸送剤》
本発明の電子写真感光体においては、正孔輸送剤である本発明のスチルベン誘導体のうち少なくともひとつと共に、従来公知の他の正孔輸送剤を感光層に含有させてもよい。
【0096】
かかる、正孔輸送剤としては、高い正孔輸送能を有する種々の化合物、例えば、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系の化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物、スチルベン系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化合物等があげられる。
【0097】
本発明において、正孔輸送剤は1種のみを用いるほか、2種以上を混合して用いてもよい。また、ポリビニルカルバゾール等の成膜性を有する正孔輸送剤を用いる場合には、結着樹脂は必ずしも必要でない。
《電子輸送剤》
本発明に用いられる電子輸送剤としては、高い電子輸送能を有する種々の化合物、例えば、ピレン系化合物、カルバゾール系化合物、ヒドラゾン系化合物、N,N−ジアルキルアニリン系化合物、ジフェニルアミン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、ナフトキノン系化合物、ピラゾリン系化合物、ベンゾキノン系化合物、マロノニトリル、チオピラン系化合物、テトラシアノエチレンシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等があげられる。
【0098】
本発明において、電子輸送剤は1種のみを用いるほか、2種以上を混合して用いてもよい。
《結着樹脂》
前記各成分を分散させるための結着樹脂は、従来、感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。例えば、ビスフェノールA骨格あるいはビスフェノールZ骨格を有する種々のポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルギド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ジアリルフタレート重合体、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエーテル等の熱可塑性樹脂;シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂;エポキシ−アクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂などの樹脂が使用可能である。
【0099】
本発明において、バインダー樹脂は1種のみを用いるほか、2種以上を混合して用いてもよい。
感光層には、前記各成分のほかに、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル補足剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセブター、ドナー等を配合することができる。また、感光層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤を併用してもよい。
【0100】
単層型感光体において、電荷発生剤は、結着樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部の割合で配合すればよい。本発明のスチルベン誘導体(1)(正孔輸送剤)は、結着樹脂100重量部に対して20〜500重量部、好ましくは30〜200重量部の割合で配合すればよい。電子輸送剤を含有させる場合、電子輸送剤の割合を結着樹脂の100重量部に対して5〜100重量部、好ましくは10〜80重量部とするのが適当である。また、単層型感光体における感光層の厚さは5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
【0101】
積層型感光体において、電荷発生層を構成する電荷発生剤と結着樹脂とは、種々の割合で使用することができるが、結着樹脂100重量部に対して電荷発生剤を5〜1000重量部、好ましくは30〜500重量部の割合で配合するのが適当である。電荷発生層に正孔輸送剤を含有させる場合は、正孔輸送剤の割合を結着樹脂100重量部に対して10〜500重量部、好ましくは50〜200重量部とするのが適当である。
電荷輸送層を構成する正孔輸送剤と結着樹脂とは、電荷の輸送を阻害しない範囲および結晶化しない範囲で種々の割合で使用することができるが、光照射により電荷発生層で生じた電荷が容易に輸送できるように、結着樹脂100重量部に対して、本発明のスチルベン誘導体(1)(正孔輸送剤)を10〜500重量部、好ましくは25〜200重量部の割合で配合するのが適当である。電荷輸送層に電子輸送剤を含有させる場合は、電子輸送剤の割合を結着樹脂100重量部に対して5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部とするのが適当である。
【0102】
単層型感光体においては、導電性基体と感光層との間に、また積層型感光体においては、導電性基体と電荷発生層との間、導電性基体と電荷輸送層との間または電荷発生層と電荷輸送層との間に、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されていてもよい。また、感光体の表面には、保護層が形成されていてもよい。
前記感光層が形成される導電性基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、前記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス等があげられる。
【0103】
導電性基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート上、ドラム上等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電性基体は、使用に際して十分な機械的強度を有するものが好ましい。
感光層を塗布の方法により形成する場合には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂を適当な溶剤とともに、公知の方法、例えばロール見る、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合して分散液を調整し、これを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。
【0104】
前記分散液を作るための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0105】
さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性をよくするために界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
【0106】
【実施例】
以下、本発明を合成例、実施例および比較例に基づいて説明する。
《ホルミル化トリフェニルアミン誘導体の合成》
[参考例A1]
2−エチル−6−メチルトリフェニルアミン0.087mol(24g)にN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)50mlを加え、撹拌した。その後、氷浴で冷却しながらオキシ塩化リン0.13mol(20g)を徐々に滴下し、90〜100℃で2時間、撹拌した。反応終了後、反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出物を水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた生成物をカラムクロマトグラフィー(展開液:クロロホルム、ヘキサン混合溶媒)で精製を行い、2−エチル−6−メチル−4’−ホルミルトリフェニルアミン16g(収率61%)を得た。
【0107】
[参考例A2]
2−エチル−6−メチルトリフェニルアミンに代えて、トリフェニルアミン0.087mol(20g)を用いる他は、参考例A1と同様にして、4−ホルミルトリフェニルアミン12g(収率61%)を得た。
[参考例A3]
2−エチル−6−メチルトリフェニルアミンに代えて、4,4’−ジメチル−トリフェニルアミン0.087mol(20g)を用いる他は、参考例A1と同様にして、4,4’−ジメチル−4”−ホルミルトリフェニルアミン15g(収率57%)を得た。
【0108】
[参考例A4]
2−エチル−6−メチルトリフェニルアミンに代えて、3,3’−ジメチル−トリフェニルアミン0.087mol(20g)を用いる他は、参考例A1と同様にして、3,3’−ジメチル−4”−ホルミルトリフェニルアミン15g(収率57%)を得た。
[参考例A5]
3−シアノトリフェニルアミン0.037mol(10g)とジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAL)40mlそれぞれテトラヒドロフラン(THF)100mlに加え、それらの溶液を混合して20℃で3時間、撹拌した。反応終了後、反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出物を水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた生成物をカラムクロマトグラフィー(展開液:クロロホルム、ヘキサン混合溶媒)で精製を行い、3−ホルミルトリフェニルアミン9g(収率89%)を得た。
【0109】
《アルデヒド誘導体の合成》
[参考例B1]
4−シアノベンジルリン酸ジエチル(14)0.016mol(4.0g)を脱気、アルゴン置換した後、テトラヒドロフラン(THF)を加え、氷浴で冷却した後に、水素化ナトリウム0.016mol(0.39g)を滴下し、温度を保ちつつ2時間撹拌した。そのままの温度で2−エチル−6−メチル−4’−ホルミルトリフェニルアミン0.016mol(5.0g)のTHFを滴下し、0℃乃至室温で24時間撹拌した。反応終了後、水を加えて酢酸エチルで抽出した。抽出物を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去して未精製の2−エチル−6−メチル−4’−(4−シアノスチリル)−トリフェニルアミン5gを得た。
【0110】
アルゴン雰囲気中で、上記で得られた2−エチル−6−メチル−4’−(4−シアノスチリル)−トリフェニルアミン5gにTHF60mlを加え、氷浴で冷やした。そこに、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAL)0.013mol(9ml)を徐々に滴下した。滴下終了後、3時間室温で撹拌した。反応終了後、反応溶液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出物を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた生成物をカラムクロマトグラフィー(展開液:クロロホルム、ヘキサン混合溶媒)で精製を行い、2−エチル−6−メチル−4’−(4−ホルミルスチリル)−トリフェニルアミン4.6g(収率85%)を得た。
【0111】
[参考例B2]
2−エチル−6−メチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンに代えて、4−ホルミルトリフェニルアミン0.087mol(20g)を用いる他は、参考例B1と同様にして、4−(4−ホルミルスチリル)−トリフェニルアミン4.2g(収率83%)を得た。
《トリフェニルアミンリン酸エステル誘導体の合成》
[参考例C1]
4−ホルミルトリフェニルアミン0.032mol(7.9g)にメタノール150mlを加えて撹拌した後、氷浴で冷却しながらナトリウムボロハイドライド0.032mol(1.2g)を加えた。この混合溶液を室温で24時間撹拌した後、水を加えて反応を停止し、溶媒を留去した。得られた生成物をクロロホルムで抽出し、水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して未精製の4−ヒドロキシメチルトリフェニルアミン8.7gを得た。
【0112】
上記で得られた4−ヒドロキシメチルトリフェニルアミン8.7gにジクロロメタン100mlを加えた後、氷浴で冷却しながら濃塩酸0.035mol(3.65g)を徐々に滴下した。滴下終了後、室温で24時間撹拌した。この反応溶液をジクロロメタンで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して未精製の4−クロロメチルトリフェニルアミン8gを得た。
上記で得られた4−クロロメチルトリフェニルアミン8gに亜リン酸トリエチル0.028mol(4.7g)を加え、150〜160℃で5時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出物を水洗した後、無水ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた生成物をカラムクロマトグラフィー(展開液:クロロホルム、ヘキサン混合溶媒)で精製を行い、4−リン酸ジエチルトリフェニルアミン6.8g(収率63%)を得た。
【0113】
[参考例C2]
4−ホルミルトリフェニルアミンに代えて、4,4’−ジメチル−4”−ホルミルトリフェニルアミン0.032mol(8.7g)を用いる他は、参考例C1と同様にして、4,4’−ジメチル−4”−リン酸ジエチルトリフェニルアミン7.4g(収率64%)を得た。
[参考例C3]
4−ホルミルトリフェニルアミンに代えて、3,3’−ジメチル−4”−ホルミルトリフェニルアミン0.032mol(8.7g)を用いる他は、参考例C1と同様にして、3,3’−ジメチル−4”−リン酸ジエチルトリフェニルアミン7.1g(収率61%)を得た。
【0114】
[参考例C4]
4−ホルミルトリフェニルアミンに代えて、5−ホルミルトリフェニルアミン0.032mol(7.9g)を用いる他は、参考例C1と同様にして、5−リン酸ジエチルトリフェニルアミン6.8g(収率63%)を得た。
[参考例C5]
4−ホルミルトリフェニルアミンに代えて、5−ホルミルトリフェニルアミン0.032mol(7.9g)を用いる他は、参考例C1と同様にして、5−リン酸ジエチルトリフェニルアミン6.8g(収率63%)を得た。
【0115】
《スチルベン誘導体の合成》
[合成例1]
フラスコ内に4−リン酸ジエチルトリフェニルアミン0.011mol(4.3g)を入れ、脱気後アルゴン置換した。これに無水THFを150ml加え、氷浴で冷やしながら水素化ナトリウム0.011mol(0.27g)を徐々に滴下し、0℃に保ちながら2時間撹拌した。そのままの温度で、2−エチル−6−メチル−4’−(4−ホルミルスチリル)−トリフェニルアミン0.011mol(4.4g)のTHFを滴下し、0℃乃至室温で3時間撹拌した。反応終了後、反応液に水を加えて反応を停止し、これを酢酸エチルで抽出、水洗し、溶媒を留去した。得られた生成物をカラムクロマトグラフィー(展開液:クロロホルム、ヘキサン混合溶媒)で精製を行い、表1の化合物番号(1−29)に相当するスチルベン誘導体4.4g(収率62%、融点:89℃)を得た。
【0116】
[合成例2]
4−リン酸ジエチルトリフェニルアミンに代えて、4,4’−ジメチル−4”−リン酸ジエチルトリフェニルアミン0.011mol(4.7g)を用いる他は、合成例1と同様にして、表1の化合物番号(1−23)に相当するスチルベン誘導体5.2g(収率69%、融点:101℃)を得た。
[合成例3]
4−リン酸ジエチルトリフェニルアミンに代えて、3,3’−ジメチル−4”−リン酸ジエチルトリフェニルアミン0.011mol(4.7g)を用いる他は、合成例1と同様にして、表1の化合物番号(1−30)に相当するスチルベン誘導体4.9g(収率65%、融点:101℃)を得た。
【0117】
[合成例4]4−リン酸ジエチルトリフェニルアミンに代えて、5−リン酸ジエチルトリフェニルアミン0.011mol(4.3g)を用いる他は、合成例1と同様にして、表1の化合物番号(1−22)に相当するスチルベン誘導体4.5g(収率63%、融点:87℃)を得た。
【0118】
[比較合成例1]
2−エチル−6−メチル−4’−(4−ホルミルスチリル)−トリフェニルアミンに代えて、4−(4−ホルミルスチリル)−トリフェニルアミン0.011mol(4.1g)を用いる他は、合成例1と同様にして、下記一般式(34):
【0119】
【化35】
【0120】
で表されるスチルベン誘導体4.6g(収率68%、融点:206℃)を得た。
[比較合成例2]
2−エチル−6−メチル−4’−(4−ホルミルスチリル)−トリフェニルアミンに代えて、4,4’−ジメチル−4”−(4−ホルミルスチリル)−トリフェニルアミン0.011mol(4.4g)を用いる他は、合成例2と同様にして、下記一般式(35):
【0121】
【化36】
【0122】
で表されるスチルベン誘導体4.9g(収率66%、融点:208℃)を得た。
[比較合成例3]
2−エチル−6−メチル−4’−(4−ホルミルスチリル)−トリフェニルアミンに代えて、4−エチル−3’,3”−メチル−4”−(4−ホルミルスチリル)−トリフェニルアミン0.011mol(4.4g)を用いる他は、合成例2と同様にして、下記一般式(36):
【0123】
【化37】
【0124】
で表されるスチルベン誘導体5.3g(収率67%、融点:228℃)を得た。
なお、比較合成例1〜3で作製したスチルベン誘導体(34)〜(36)の置換基を、本発明のスチルベン誘導体との比較のため、表1に示した。
《電子写真感光体の製造》
[実施例1]電荷発生剤としてX型無金属フタロシアニン(CG1)5重量部および結着樹脂としてポリカーボネイト100重量部、溶媒としてテトラヒドロフラン800重量部および正孔輸送剤である表1の化合物番号(1−29)に相当するスチルベン誘導体をボールミルにて50時間混合、分散させて単層感光体用の塗布液を作製した。次いで、この塗布液をアルミニウム素管上にディップコート法にて塗布し、100℃で30分間熱風乾燥させて、膜厚が25μmの感光層を形成させ、単層型感光体を製造した。
[実施例2]正孔輸送剤として、表1の化合物番号(1−23)に相当するスチルベン誘導体を用いた他は、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
[実施例3]正孔輸送剤として、表1の化合物番号(1−30)に相当するスチルベン誘導体を用いた他は、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
[実施例4]正孔輸送剤として、表1の化合物番号(1−22)に相当するスチルベン誘導体を用いた他は、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
[比較例1]正孔輸送剤として、前記一般式(34)で表されるスチルベン誘導体を用いた他は、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
[比較例2]正孔輸送剤として、前記一般式(35)で表されるスチルベン誘導体を用いた他は、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
[比較例3]正孔輸送剤として、前記一般式(36)で表されるスチルベン誘導体を用いた他は、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
《結着樹脂との相溶性についての評価》
上記の通り製造した単層型感光体の表面状態により、結着樹脂との相溶性を評価した。具体的には、実施例および比較例で作成した感光体の感光層表面の凝集や結晶化の有無を相対的に判断した。
《電気特性の評価試験》
ドラム感度試験機(ジェンテック社製)を用いて、各実施例および比較例で得られた感光体に印加電圧を加え、その表面を+700±20Vに帯電させた後、初期表面電位V0(V)を測定した。次いで、露光光源であるハロゲンランプの白色光からバンドパスフィルターを用いて取り出した780nm(半値幅20nm)の単色光(光強度I=16μW/cm2)を感光体表面に照射(照射時間80msec)し、表面電位V0が1/2になるのに要した時間を測定し、半減露光量E1/2(μJ/cm)を算出した。
また、露光開始後330sec後の感光体の表面電位を残留電位Vr(V)として測定した。
【0125】
その後、上記と同様の帯電および露光を1000回繰り返し、1000回目の半減露光量E1/2(1000)(μJ/cm)および残留電位Vr(1000)(V)を上記と同様に測定し、半減露光量E1/2および残留電位Vrとの差、ΔE1/2(=E1/2(1000) −E1/2)およびΔVr(=Vr(1000)−Vr)を算出した。
上記各実施例および比較例で使用した電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤および電子受容体の種類と、半減露光量E1/2、残留電位Vr、ΔE1/2およびΔVrの測定結果を表2に示す。
【0126】
【表2】
【0127】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のスチルベン誘導体は、バインダー樹脂との相溶性が高く、かつ高い電荷輸送能(正孔輸送能)を有する。
また、本発明の電子写真感光体は、上記スチルベン誘導体を正孔輸送剤として用いることから、高感度で高い繰り返し特性を有する。従って、本発明の電子写真感光体は、静電式複写機やレーザープリンタ等の各種画像形成装置の高速化、高性能化に寄与するという特有の作用効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】表1の化合物(1−29)に相当するキノン誘導体の赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
【図2】表1の化合物(1−23)に相当するキノン誘導体の赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
【図3】表1の化合物(1−30)に相当するキノン誘導体の赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
【図4】表1の化合物(1−22)に相当するキノン誘導体の赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
【図5】表1の化合物(1−2)に相当するキノン誘導体の赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
Claims (5)
- 一般式(1):
で表されることを特徴とするスチルベン誘導体。 - 一般式(3):
で表されるアルデヒド誘導体と一般式(4):
で表されるトリフェニルアミンリン酸エステル誘導体とを反応させることを特徴とする、請求項1に記載のスチルベン誘導体の製造方法。 - 一般式(5):
で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と一般式(6):
で表されるモノスチルベン誘導体とを反応させることを特徴とする、請求項1または請求項3に記載のスチルベン誘導体の製造方法。 - 導電性基体上に感光層を設けた電子写真感光体であって、前記感光層が請求項1に記載のスチルベン誘導体を含有することを特徴とする電子写真感光体。
- 前記感光層が請求項1に記載のスチルベン誘導体と共に電荷発生剤を含有した単層型の感光層である請求項4記載の電子写真感光体。
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