JP4583961B2 - 感熱記録材料 - Google Patents

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Description

本発明は感熱記録材料およびその製造方法、ならびに該感熱記録材料の原料となる分散バインダーに関する。
感熱記録材料とは、加熱によって発色するいわゆる感熱発色層を紙等の支持体表面に形成せしめたものであり、サーマルヘッドを内蔵したサーマルプリンター等で加熱すると、印字が行われるタイプの記録材料である。このような感熱記録材料は、ファクシミリ、コンピューター端末機、計測用プリンター、医療計測用プリンターなどの記録紙および記録シート、あるいはPOSラベルなどの用途に広く用いられている。
この感熱記録用材料は、例えば、無色または淡色の発色性ラクトン化合物などのロイコ染料(発色性物質)とフェノール化合物などの酸性化合物等(顕色剤)とを水溶性分散バインダーとともに支持体上に塗布することにより製造される。
通常、前記の発色性物質と顕色剤は各々水および分散剤とともに、別々にサンドミル等で湿式粉砕される。発色性物質および顕色剤は、その粒子径が小さいほど加熱時の発色感度が高くなるため、分散剤としてポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する)樹脂、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等が使用され、2μm以下にまで微粉砕される。中でも、PVA樹脂は微粉砕された感熱剤塗工液の放置安定性に優れ、塗工、乾燥した後のバインダー性能に優れ、分散剤およびバインダーとしての機能を併せ持つ分散バインダーとして好適に使用されている。
しかしながら、一般のPVA樹脂を分散剤として用いて感熱剤(すなわち、発色性物質および顕色剤)を湿式粉砕する場合、特に高濃度での粉砕を行うと、分散剤の分散性が低いため、感熱剤の粒子径が小さくなりにくく、また、ある程度以上小さくなった微粒子同士の相互作用により、発色性物質および顕色剤を含むスラリー液が増粘し、条件によっては粒子同士が凝集し、スラリー液が固化する場合がある。特に、近年、感熱記録用材料の需要が高まり、生産性を向上させる上でスラリー液の高濃度化の要望が強くなっており、未変性タイプのPVA樹脂ではこのような要求に対応できないのが現状である。
特許文献1には、分散バインダーとしてスルホン酸基を有する酢酸ビニル系樹脂およびそのケン化物を使用した感熱記録材料が提案されており、アリルスルホン酸ナトリウム−酢酸ビニル共重合体のケン化物が例示されている。該ケン化物を感熱剤の分散剤として使用すると、発色性物質および顕色剤を含むスラリーの濃度が比較的高い場合でも、粒子の微細化が可能であり、現在、このケン化物は感熱剤の分散バインダーとして広く使用されている。
しかしながら、上記のアリルスルホン酸ナトリウム−酢酸ビニル共重合体のケン化物は親水性の高いスルホン酸基を有しているため、該ケン化物(バインダー樹脂)を使用した感熱塗工液を塗工、乾燥して得られる感熱発色層に水が接触すると、バインダー樹脂の溶け出しが起こり、強度低下が起こるという耐水性の問題を生じる。また、該樹脂でも20℃における4質量%水溶液の粘度が6.0mPa・sを超えるような重合度の高いものは、分散性が低いため、目的の微粉砕を完了するまでの時間が長くなるとともに、粒子径が小さくなると増粘や固化が起こる。一方、20℃における4質量%水溶液の粘度が6.0mPa・s以下のものは良好な分散性を示すが、バインダー強度が低く、感熱発色層の表面強度が低いという問題がある。すなわち、上記のアリルスルホン酸ナトリウム−酢酸ビニル共重合体のケン化物を使用する限り、重合度が低いとバインダー強度が低く、重合度が高いと分散性が低いという問題があり、バインダー強度と分散性は二律背反の関係にあった。
これを解決する方法として、本発明者らは先に、ジアセトンアクリルアミド・脂肪酸ビニルエステル共重合体のケン化物にフェニルヒドラジンp−スルホン酸を反応させて得られるビニルアルコール系重合体を用いた感熱剤分散液にヒドラジノ基を2個以上有するヒドラジン系化合物を配合してなる感熱剤水性分散液組成物を提案した(特許文献2)。上記のフェニルヒドラジンp−スルホン酸を反応せしめてなるビニルアルコール系重合体を分散剤として用いて発色性物質および顕色剤の粉砕を行うと、粒子の微細化が可能であり、その分散液にヒドラジノ基を2個以上有するヒドラジン系化合物を配合してなる感熱剤水性分散液組成物を塗工した感熱記録材料はバインダー強度や耐水性に問題はないが、ジアセトンアクリルアミド・脂肪酸ビニルエステル共重合体のケン化物にフェニルヒドラジンp−スルホン酸を反応せしめてなるビニルアルコール系重合体は黄色く着色しているため、感熱記録材料のバインダーとして使用した場合、表面白色度が低く、且つ経時的に黄色度が高くなるという問題があり、実用化されていない。
また、昨今、感熱記録材料は馬券、くじ、商品券等の金券に使用されることが増えており、感熱システムによって印字されたデータが、長期間明瞭であることが要求される。しかしながら、従来の感熱記録材料に紫外線があたると、印字部は消色し、非印字部は黄変するなどの経時的変化がおこるため、印字されたデータが不明瞭になるという問題があった。そのため、感熱剤のバインダー樹脂に紫外線吸収機能を付与する試みがなされているが、いまだ満足すべき分散機能と紫外線吸収機能を合わせもったバインダー樹脂が見出されていないのが現状であり、耐光性にも優れた感熱記録材料が待ち望まれていた。
特開昭58−179691号公報 特開2002−225438号公報
本発明の主たる課題は、かかる現状に鑑み、発色性物質や顕色剤の粒子径が小さく、表面強度(バインダー強度)や表面白色度が高く、紫外線が照射されても経時的変化(すなわち、非印字部の黄変や印字部の退色)が少ないといった耐光性に優れ、さらに耐水性にも優れている感熱記録材料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、発色性物質、および該発色性物質を加熱時に発色させる顕色剤を主成分とする感熱発色層を支持体上に設けてなる感熱記録材料において、脂肪酸ビニルエステルと(メタ)アリルスルホン酸またはその塩類との共重合体のケン化物であって、分子内に4−スルホフェニル基を含有しないが、ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するビニルアルコール系樹脂を発色性物質および顕色剤の分散バインダーとして使用し、多官能ヒドラジン系化合物を配合してなる感熱発色層を有する感熱記録材料が、発色性物質や顕色剤を高濃度で且つ短時間で粉砕しても、その粒子径が小さく、表面強度(バインダー強度)や表面白色度が高く、紫外線が照射されても経時的変化(すなわち、非印字部の黄変や印字部の退色)が少ないといった耐光性に優れ、さらに耐水性にも優れていることを見出した。また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1] 発色性物質、顕色剤、分散バインダーおよび架橋剤からなる感熱剤塗工液を用いて感熱発色層を支持体上に設けてなる感熱記録材料において、分散バインダーが、脂肪酸ビニルエステルと(メタ)アリルスルホン酸またはその塩類との共重合体のケン化物であって、分子内に4−スルホフェニル基を有しないが、ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するビニルアルコール系樹脂であり、架橋剤が多官能ヒドラジン系化合物であることを特徴とする感熱記録材料、
[2] ビニルアルコール系樹脂が、その分子内にヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を0.5〜15モル%の割合で有していることを特徴とする前記[1]記載の感熱記録材料、
[3] ビニルアルコール系樹脂が、酢酸ビニル−アリルスルホン酸ナトリウム−ジアセトンアクリルアミド共重合体のケン化物であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の感熱記録材料、
[4] ビニルアルコール系樹脂が、酢酸ビニル−アリルスルホン酸ナトリウム共重合体ケン化物のジケテン付加体であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の感熱記録材料、
[5] ビニルアルコール系樹脂の20℃における4質量%水溶液の粘度が6.0mPa・s以下であることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載の感熱記録材料、
[6] 多官能ヒドラジン系化合物がアジピン酸ジヒドラジドおよび/またはポリアクリル酸ヒドラジドであることを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれかに記載の感熱記録材料、
[7] 脂肪酸ビニルエステルと(メタ)アリルスルホン酸またはその塩類との共重合体のケン化物であって、分子内に4−スルホフェニル基を有しないが、ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するビニルアルコール系樹脂を分散バインダーとして使用し、発色性物質および顕色剤をそれぞれ別々に該分散バインダーとともに湿式粉砕し、粉砕後に両者を混合して感熱剤分散液を作製し、前記感熱剤分散液に多官能ヒドラジン系化合物を架橋剤として配合して感熱剤塗工液を作製し、ついで支持体の一方の面に前記感熱剤塗工液を塗工、乾燥して感熱発色層を形成せしめることを特徴とする感熱記録材料の製造方法、および
[8] 脂肪酸ビニルエステルと(メタ)アリルスルホン酸またはその塩類との共重合体のケン化物であって、分子内に4−スルホフェニル基を含有しないが、ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有することを特徴とする発色性物質および顕色剤の分散バインダー
に関する。
なお、本明細書中、「(メタ)アリルスルホン酸」は、アリルスルホン酸またはメタリルスルホン酸を意味する。
本発明の感熱記録材料は、発色性物質や顕色剤の粒子径が小さく、表面強度(バインダー強度)や表面白色度が高く、紫外線が照射されても経時的変化(すなわち、非印字部の黄変や印字部の退色)が少ないといった耐光性に優れ、さらに耐水性にも優れている。また、本発明の製造方法は、前記感熱記録材料を工業的有利に製造できる。
本発明の分散バインダーは、分散性に優れており、発色性物質や顕色剤の微粉砕が高濃度、短時間で安定的に可能であり、また、分散バインダー自体の着色がなく、感熱記録材料に用いると、高い表面白色度を感熱記録材料に付与することができ、さらに、ビニルアルコール系樹脂が特定の架橋剤と架橋構造を形成せしめることによって、工業的有利に、高い表面強度(バインダー強度)、優れた耐水性および耐光性を感熱記録材料に付与できる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の感熱記録材料は、発色性物質、顕色剤、分散バインダーおよび架橋剤からなる感熱剤塗工液を用いて感熱発色層を支持体上に設けてなる感熱記録材料において、分散バインダーが、脂肪酸ビニルエステルと(メタ)アリルスルホン酸またはその塩類との共重合体のケン化物であって、分子内に4−スルホフェニル基を有しないが、ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するビニルアルコール系樹脂であり、架橋剤が多官能ヒドラジン系化合物であることを特徴とする。
(発色性物質)
発色性物質は、加熱時に酸性化合物と反応して発色しうるものであればよく、発色性物質の種類としては、発色性ラクトン化合物等のロイコ染料が代表的なものとして挙げられ、トリフェニルメタン系、トリフェニルメタンフタリド系、フルオラン系、ロイコオーラミン系、スピロピラン系等の各種のロイコ化合物が挙げられる。ロイコ化合物の具体例としては、例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−7−N−メチルアニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−p−(p−クロロアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド等が挙げられ、これら二種以上を併用することもできる。
上記の発色性物質の使用量は、使用する顕色剤により異なるため限定できないが、感熱発色層に対して5〜35質量%程度である。
(顕色剤)
また、顕色剤は、発色性物質を加熱時に発色させる化合物であれば特に限定されず、一般に70℃以上で液化または気化して前記ロイコ化合物と反応して発色させる性質を持った酸性化合物であればよい。顕色剤の具体例としては、例えば、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン等のフェノール性化合物、N−(p−トルエンスルホニル)カルバモイル酸−p−クミルフェニルエステル、N−(p−トルエンスルホニル)カルバモイル酸−p−ベンジルオキシフェニルエステル、N−(o−トルオイル)−p−トルエンスルホアミド、4,4’−ビス(N−p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等の分子内に−SONH−結合を有するもの、p−クロロ安息香酸亜鉛、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プルピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸等の芳香族カルボン酸の亜鉛塩等が挙げられる。
発色性物質と顕色剤との使用比率は、用いる発色性物質や顕色剤の種類に応じて適宜選択され、制限されるものではないが、一般に発色性物質1質量部に対して顕色剤1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部程度使用される。
(分散バインダー)
分散バインダーとして使用するビニルアルコール系樹脂の製造方法としては、下記(A)または(B)が挙げられる。
<製造法(A)>
(a1)脂肪酸ビニルエステル、(a2)(メタ)アリルスルホン酸またはその塩、(a3)ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体またはケン化時に前記カルボニル基に変化しうる構造を有するエチレン性不飽和単量体を必須単量体成分とする共重合を行い、得られた共重合物をケン化する方法。
<製造法(B)>
(b1)脂肪酸ビニルエステル、(b2)(メタ)アリルスルホン酸またはその塩を必須単量体成分とする共重合を行い、さらにケン化し、そのケン化物と、(b3)ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有する化合物とを反応させる方法。
上記の製造法(A)および製造法(B)で使用される脂肪酸ビニルエステルとしては、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等の脂肪酸のビニルエステルが挙げられ、中でも酢酸ビニルが工業的に最も好ましい。
また、上記の製造法(A)および製造法(B)で使用される(メタ)アリルスルホン酸またはその塩としては、例えば、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸アンモニウム、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸アンモニウム等が挙げられ、ビニルエステル等の他の共重合単量体との共重合性、重合度の制御の面から、アリルスルホン酸ナトリウムが好ましい。ここで使用される、(メタ)アリルスルホン酸またはその塩の使用量は特に制限はないが、ビニルアルコール系樹脂中の(メタ)アリルスルホン酸またはその塩の成分含有量が0.2〜10モル%となる量が好ましく、より好ましくは0.3〜5モル%となる量であり、0.5〜3モル%となる量が更に好ましい。
上記の製造法(A)で使用されるヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ジアセトンアクリレート、アセトアセトキシアクリルアミド、アセトアセトキシメタクリルアミド、アセトアセトキシアクリレート、アセトアセトキシメタクリルレート、アリリデンジアセテート、2−メタリリデンジアセテート、2−フェニルアリリデンジアセテート、クロチリデンジアセテート、シンナミリデンジアセテート、アリリデンジベンゾエート、アリリデンベンゾエートアセテート等が挙げられ、中でも他の共重合単量体との共重合性や工業生産を行う上での品質の安定性の面から、ジアセトンアクリルアミドが最も好ましい。
また、製造法(B)で、脂肪酸ビニルエステルと(メタ)アリルスルホン酸またはその塩との共重合体のケン化物と、ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有する化合物とを反応させてビニルアルコール系樹脂を製造する場合、例えば、溶媒の存在下あるいは非存在下、前記共重合体のケン化物にジケテンを付加反応させることにより、または前記共重合体のケン化物とアセト酢酸エステル(例えばアセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等)とをエステル交換反応させることにより、ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を前記共重合体のケン化物に付加することができる。
製造法(A)において、脂肪酸ビニルエステル、(メタ)アリルスルホン酸またはその塩およびヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体の共重合を行う際の重合方法、または製造法(B)において、脂肪酸ビニルエステルと(メタ)アリルスルホン酸またはその塩との共重合を行う際の重合方法としては、ビニルエステル系重合体の製造法において公知のバルク重合、溶液重合、エマルジョン重合、懸濁重合等の各種の重合方法を用いることができ、中でもメタノールを溶剤として用いる溶液重合が工業的に好ましい。
また、製造法(A)での脂肪酸ビニルエステル、(メタ)アリルスルホン酸またはその塩およびヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体の共重合体のケン化方法、または製造法(B)での脂肪酸ビニルエステルと(メタ)アリルスルホン酸またはその塩との共重合体のケン化方法としては、従来から公知のアルカリケン化および酸ケン化を適用することができ、中でも、メタノール中で水酸化アルカリを使用して加アルコール分解する方法が好ましい。その際のケン化度については特に制限はないが、70モル%以上が好ましく、更に好ましくは80モル%以上である。
前記のビニルアルコール系樹脂において、その分子内でのヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基の含有量としては、0.5〜15モル%が好ましく、より好ましくは0.8〜12モル%であり、最も好ましくは1〜8モル%である。製造法(A)では、共重合に使用するヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体の配合量によって、また、製造法(B)では、付加反応に使用するヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有する化合物の配合量によって、ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基の含有量を調整することができる。ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基の含有量が0.5モル%より少ない場合、感熱剤の分散性には問題はないが、多官能ヒドラジン系架橋剤を配合して得られるバインダーの強度や耐水性、耐光性の改良効果が小さく、得られる感熱記録材料の表面強度や耐水性が低く、印字部の経時的な消色や非印字部の黄変が起こりやすい。一方、15モル%を越える場合、前記ビニルアルコール系重合体の水溶性が低下し、分散性に問題が生じるとともに、多官能ヒドラジン系架橋剤を配合してからの粘度増加が起こりやすく、塗工しにくいという問題がある。
また、前記ビニルアルコール系樹脂は、20℃における4質量%水溶液の粘度が6.0mPa・s以下のもの、すなわち樹脂の平均重合度としては600以下の低重合度タイプが好ましい。前述のとおり、感熱剤(発色性物質および顕色剤)の湿式粉砕を行う際の分散性は重合度が低い方が高く、20℃における4質量%水溶液の粘度が6.0mPa・sを超えると、高濃度での湿式粉砕を行った際に、分散性不足により、微粒子の凝集が起こりやすく、スラリー液の増粘や固化が起こる場合がある。一方、前記ビニルアルコール系樹脂は反応性のカルボニル基を有しており、多官能ヒドラジン系化合物を架橋剤として配合することにより、バインダー強度や耐水性を発現させるため、重合度が低くなることによって生じる、バインダー強度や耐水性の低下は問題になることはない。
上記20℃における4質量%水溶液の粘度は、JIS K6726に従い測定される。
また、前記の製造法(A)または製造法(B)でビニルアルコール系樹脂を製造する際、脂肪酸ビニルエステル、(メタ)アリルスルホン酸またはその塩およびヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体の少なくとも一種と共重合可能なモノマー、例えば、クロトン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸およびそのエステル類、マレイン酸、イタコン酸、フマール酸等の不飽和ジカルボン酸およびその無水物、モノアルキルエステル、アルカリ金属塩、ジアセトンアクリルアミド以外のアミド基含有モノマー、アルキルビニルエーテル類、ビニルピロリドン類、ビニルスルホン酸、メタリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、スルホプロピル2−エチルヘキシルマレート、スルホプロピルトリデシルマレート、スルホプロピルエイコシルマレート、N−スルホイソブチレンアクリルアミド、2−スルホエチルアクリレートなどのスルホン酸基含有モノマーまたはそれらの塩類等を本発明の効果を損なわない範囲で共重合させてもよい。
本発明の原料であるビニルアルコール系樹脂は製造法(A)または製造法(B)で製造することができるが、品質の安定性や分散性、多官能ヒドラジン系架橋剤を配合した場合のバインダー強度、耐水性、耐光性などの性能の点からも製造法(A)が好ましく、製造法(A)でビニルアルコール系樹脂を製造する場合には、脂肪酸ビニルエステルとして酢酸ビニル、(メタ)アリルスルホン酸またはその塩としてアリルスルホン酸ナトリウム、ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体としてジアセトンアクリルアミドを用いて、酢酸ビニル、アリルスルホン酸ナトリウムおよびジアセトンアクリルアミドの共重合体のケン化物を製造するのが好ましい。
(架橋剤)
上記分散バインダーに対する架橋剤として使用される多官能ヒドラジン系化合物は、分子内にヒドラジノ基を2個以上有する化合物のことである。具体的な多官能ヒドラジン系化合物としては、カルボヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド、ヘキサデカンジオヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4’−ビスベンゼンジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、N,N’−ヘキサメチレンビスセミカルバジド、イタコン酸ジヒドラジド、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、ブタントリカルボヒドラジド、1,2,3−ベンゼントリヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド、およびポリアクリル酸ヒドラジド(すなわち、N−アミノポリアクリルアミド)などが挙げられる他、これらの多官能ヒドラジド化合物にアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類を反応させた多官能ヒドラジド誘導体なども含まれ、中でも安全性やカルボニル基との反応性の点で、アジピン酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジドが好ましい。
また、多官能ヒドラジン系化合物の使用量は、特に制限はないが、分散バインダーとして使用するビニルアルコール系樹脂100質量部に対して、0.1〜100質量部が好ましく、より好ましくは0.2〜50質量部であり、更には0.5〜20質量部が好ましい。
(支持体)
本発明で使用される支持体としては、本発明の目的を阻害しない限り、公知の支持体が挙げられ、例えば上質紙、中質紙、合成紙、塗工紙、プラスチックフィルム、プラスチックフィルムもしくは合成紙をコート紙もしくは上質紙に貼り合わせたシート、紙にプラスチックをラミネートしたシートなどが挙げられる。
(感熱記録材料の製造方法)
本発明の感熱記録材料の製造方法としては、感熱剤の分散バインダーとして前記ビニルアルコール系樹脂を使用すること、および架橋剤として多官能ヒドラジン系化合物を使用すること以外は、従来公知の方法によって製造することができる。すなわち、前記ビニルアルコール系樹脂を分散バインダーとして使用し、発色性物質および顕色剤をそれぞれ別々にサンドミル等で該分散バインダーとともに湿式粉砕し、粉砕後に両者を混合し、必要に応じてバインダーとして前記ビニルアルコール系樹脂またはそれ以外の水溶性樹脂を添加し、感熱剤分散液を作製する。得られた感熱剤分散液に多官能ヒドラジン系化合物を架橋剤として配合することにより感熱剤塗工液を作製し、支持体の一方の面に前記の感熱剤塗工液を塗工、乾燥して感熱発色層を形成せしめる等の方法により、本発明の感熱記録材料を製造することができる。
発色性物質、顕色剤を水およびビニルアルコール系樹脂とともに湿式粉砕する際のスラリーの固形分濃度は、特に制限はないが、通常は作業性、生産性等を考慮し、10質量%〜70質量%の範囲でよい。特に本発明で分散バインダーとして使用されるビニルアルコール系樹脂は、40質量%を超える高固形分濃度のスラリーを粉砕する際の分散性に優れる。
また、ビニルアルコール系樹脂を湿式粉砕時の分散剤として使用する際の使用量についても特に制限はないが、通常は発色性物質または顕色剤に対して0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは1〜20質量%の範囲である。
前記の湿式粉砕方法としては特に制限はないが、ボールミル、アトライター、サンドミルなどの攪拌・粉砕機を使用して、発色性物質および顕色剤の粒子径が小さくなるように、具体的には平均粒子径が2μm以下となるように粉砕される。
また、多官能ヒドラジン系化合物の配合方法としては、前記ビニルアルコール系樹脂を分散バインダーとして使用し、発色性物質および顕色剤をそれぞれ分散バインダーとともに粉砕し、粉砕後に両者を混合した後、支持体上に塗工する直前に多官能ヒドラジン系化合物を添加・混合するのが好ましい。多官能ヒドラジン系化合物を配合した状態で、感熱剤塗工液を長期間保管すると、液中でカルボニル基とヒドラジノ基の架橋反応が起こるため、感熱剤塗工液が増粘したり、ゲル化してしまう恐れがある。
また、多官能ヒドラジン系化合物を感熱剤分散液に添加する際、より均一に混合するため、一旦、多官能ヒドラジン系化合物の水溶液または水分散液を作製し、添加するほうが好ましい。この際の、多官能ヒドラジン系化合物の濃度については制限がないが、5〜20質量%の濃度で使用するのが、作業上好ましい。
更に、感熱剤塗工液中には必要に応じて各種の助剤を添加することができ、例えばカオリン、軽質(重質)炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、無定形シリカ、尿素・ホルマリン樹脂フィラー等の顔料、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、脂肪酸金属塩等の分散剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、グリオキザール、ホウ酸、ジアルデヒドデンプン、メチロール尿素、エポキシ系化合物、ヒドラジン系化合物等の耐水化剤、消泡剤、着色染料および蛍光染料等が挙げられる他、塗工液中でのカルボニル基とヒドラジノ基の反応を抑制するため、アンモニアやモノエタノールアミン、イソプロパノールアミン等の水溶性有機アミンを添加することもできる。
また、水、可塑剤および各種溶剤の浸透および接触による印字部の消色を防止するため、本発明の感熱記録材料の感熱発色層上に樹脂、顔料を主成分とするオーバーコート層を設けることや、支持体と感熱発色層の中間にアンダーコート層を設けることもできる。この際に樹脂としてはPVA系樹脂が好適に使用されるが、中でも分子内にヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するビニルアルコール系樹脂、例えば、酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体のケン化物、アセトアセチル化PVAを使用すると、感熱発色層とオーバーコート層あるいは感熱発色層とアンダーコート層の層間での架橋が起こり、層間剥離が起こりにくいなどの理由で好ましい。
本発明の感熱記録材料が優れた性能を発揮する理由としては、スルホン酸基を有するビニルアルコール系樹脂を感熱剤の分散剤として使用するため、高濃度でも短時間で感熱剤の微粉砕が可能であり、感熱記録材料として解像度が高くなる。また、支持体に塗工する際に架橋剤として多官能ヒドラジン系化合物を配合することによってヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するビニルアルコール系樹脂が架橋構造を形成し、優れた耐水性、バインダー強度を発揮する。また、この樹脂組成物が優れた耐光性を発揮する理由については、十分に解明されたわけではないが、ヒドラジド基とカルボニル基とが反応して作る化学構造が紫外線領域の特定の波長を吸収あるいは反射し、印字部の消色や非印字部の黄変が防止されるためではないかと考えられる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
同実施例中、特にことわりのない限り、「%」および「部」は質量基準を表わす。
実施例、比較例の感熱記録紙は以下の方法で作製した。
(1)[A液]の調製
3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン50部、分散バインダー樹脂の10%水溶液100部、水50部を混合し、ボールミルで16時間予備粉砕した後、サンドミル(シンマルエンタープライゼス製ダイノミルKDL型)を使用して、以下の条件で2時間バッチ運転し、粉砕を行った。
(2)[B液]の調製
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン100部、分散バインダー樹脂の10%水溶液100部、水50部を混合し、ボールミルで16時間予備粉砕した後、サンドミル(シンマルエンタープライゼス製ダイノミルKDL型)を使用して、以下の条件で2時間バッチ運転し、粉砕を行った。
サンドミルによる湿式粉砕条件
0.3Lステンレス製シリンダー、 セラミックス製ディスク、ジルコニア製ビーズ(0.65mmφ) 充填率:80%、周速:14m/分
(3)感熱発色層を有する感熱記録材料の作製
[A液]20部、[B液]30部、炭酸カルシウム7部、水8部および多官能ヒドラジン系化合物の10%水溶液あるいは水分散液2部を混合し、上質紙に乾燥後の塗布量が6g/mになるようにバーコーターを用いて塗布し、40℃で96時間、乾燥・養生し、感熱記録紙を作製した。
実施例、比較例において、以下の項目について評価を行った。
1.分散バインダーの分散性評価
B液の調製を行う際、サンドミルで湿式粉砕を行ってから1.0時間後および2.0時間後の液をサンプリングし、遠心沈降式粒度分布測定器(堀場製作所製CAPA−3000)を用いて、平均粒子径を測定した。より粒度が小さくなっているほど、分散性に優れることを示す。
2.表面強度(バインダー強度)評価
作製した感熱記録紙の塗工面に、ニチバン製セロハン粘着テープ(幅18mm、長さ30mmに切断したもの)を貼り付け、5kg/cmの荷重をかけた後、セロハン粘着テープを剥がし、テープへの付着物の量を目視で観察し、表面強度(バインダー強度)を以下の基準で評価した。
◎ : 全く付着物がない
○ : ほとんど付着物がない
× : 塗工層(感熱発色層)が剥離し、テープに付着している
3.耐水性
作製した感熱記録紙の塗工面に水を1滴落し、10秒後に黒い紙で拭き取り、感熱剤の付着について観察を行った。
○ : 付着がみられない
× : 付着がみられる
4.表面白色度、耐光性
キャノン製ハンディターミナルプリンターにて印字し、記録画像の地肌濃度および発色濃度を測定した。次いで、印字された各記録体を、強キセノンウェザーメーター(68W/m)中に24時間保持した後、マクベス濃度計を用い、地肌濃度と再度発色濃度を測定した。これら濃度はマクベス濃度計を用い、黒色測定フィルター(地肌濃度)または黄色測定フィルター(発色濃度)で測定した。
5.総合評価
分散性、表面強度、耐水性、表面白色度、耐光性のすべての項目が良好である◎、いずれの項目も実用レベルには達している○、どれか一つの項目でも実用レベルに達していない×とした。
ビニルアルコール系樹脂の製造
合成例1
攪拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を付したフラスコ中に酢酸ビニル480部、メタノール160部、アリルスルホン酸ナトリウム12部を仕込み、系内の窒素置換を行った後、内温を60℃まで昇温した。この系に2,2’−アゾイソブチリロニトリル0.2部を添加し、重合を開始した。重合開始後、ジアセトンアクリルアミド40部をメタノール30部に溶解した溶液を5時間かけて一定速度で滴下し、6時間で重合を停止した。重合停止時の重合収率は80%であった。得られた反応混合物にメタノール蒸気を加えながら残存する酢酸ビニルを留出し、酢酸ビニル−アリルスルホン酸ナトリウム−ジアセトンアクリルアミド共重合体の50%メタノール溶液を得た。この溶液500部にメタノール50部と水酸化ナトリウムの濃度4%のメタノール溶液10部とを加えてよく混合し、40℃でケン化反応を行った。得られたゲル状物を粉砕し、メタノールでよく洗浄した後、乾燥して酢酸ビニル−アリルスルホン酸ナトリウム−ジアセトンアクリルアミド共重合体のケン化物を得た。このケン化物のケン化度は97.6モル%、20℃における4%水溶液粘度は3.5mPa・sであり、元素分析によるアリルスルホン酸ナトリウム成分含有量は1.8モル%であり、ジアセトンアクリルアミド成分含有率は4.6モル%であった。
合成例2〜4、比較合成例1
合成例1の方法に準じて、共重合体の構成単位、ケン化度および20℃における4%水溶液粘度の異なる酢酸ビニル−アリルスルホン酸ナトリウム−ジアセトンアクリルアミド共重合体のケン化物(合成例2〜4)および酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド重合体のケン化物(比較合成例1)を得た。これら樹脂の各共重合成分の成分含有量、ケン化度、20℃における4%水溶液粘度についてのデータを表1に示す。
合成例5、比較合成例2
攪拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を付したフラスコ中に酢酸ビニル480部、メタノール200部、アリルスルホン酸ナトリウム12部を仕込み、系内の窒素置換を行った後、内温を60℃まで昇温した。この系に2,2’−アゾイソブチリロニトリル0.2部を添加し、重合を開始し、6時間で重合を行った。重合停止時の重合収率は80%であった。得られた反応混合物にメタノール蒸気を加えながら残存する酢酸ビニルを留出し、酢酸ビニル−アリルスルホン酸ナトリウム共重合体の50%メタノール溶液を得た。この溶液の500部にメタノール50部と水酸化ナトリウムの濃度4%のメタノール溶液8部とを加えてよく混合し、40℃でケン化反応を行った。得られたゲル状物を粉砕し、メタノールでよく洗浄した後、乾燥して分子内にヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有しない酢酸ビニル−アリルスルホン酸ナトリウム共重合体のケン化物(比較合成例2)を得た(ケン化度98.4モル%,20℃における4%水溶液粘度3.3mPa・s、アリルスルホン酸ナトリウム成分含有量1.9モル%;比較合成例2)。
一方、上記ケン化物の粉末(粒度80メッシュ以下)196部をニーダーに仕込み、回転数50rpmで攪拌しながら、液状のジケテン16.8部を30℃で30分間にわたって噴射添加した後、60℃に昇温して3時間反応させ、メタノールで洗浄・乾燥して、アセトアセチル基が導入された酢酸ビニル−アリルスルホン酸ナトリウム共重合体ケン化物(合成例5)を得た(ケン化度98.4モル%、20℃における4%水溶液粘度3.4mPa・s、アリルスルホン酸ナトリウム成分含有量は2.0モル%、アセトアセチル基含有量3.7モル%;合成例5)。
Figure 0004583961
実施例1
合成例1の樹脂を分散バインダーとして使用して、多官能ヒドラジン化合物としてアジピン酸ジヒドラジドを使用して感熱記録紙を作製した。その過程で、分散性・表面強度・耐水性、表面白色度、耐光性を評価した。結果を表2に示す。いずれの評価でも良好な結果が得られ、分散バインダーとして優れた性能を示した。
実施例2〜5
分散バインダーとしてそれぞれ合成例2〜5の樹脂を使用した以外は実施例1と同様にして、感熱記録紙を作製した。その過程で、分散性、表面強度、耐水性、表面白色度、耐光性を評価した。結果を表2に示す。いずれの評価でも良好な結果が得られ、分散バインダーとして優れた性能を示した。
実施例6
多官能ヒドラジン化合物として、ポリアクリル酸ヒドラジドを使用した以外は実施例1と同様にして、感熱記録紙を作製した。その過程で、分散性、表面強度、耐水性、表面白色度、耐光性を評価した。結果を表2に示す。いずれの評価でも良好な結果が得られ、分散バインダーとして優れた性能を示した。
比較例1
多官能ヒドラジン化合物を使用しない以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を作製した。その過程で、分散性、表面強度、耐水性、表面白色度、耐光性を評価した。結果を表2に示す。分散性、表面白色度は良好であったが、表面強度、耐水性、耐光性が実用レベルに達していなかった。
比較例2
分散バインダーとして比較合成例1の樹脂を使用し、[A液]および[B液]を調製するため、湿式粉砕を行ったが、分散力が不足していたため、粉砕途中で液が固化し、[A液]および[B液]を調整することができず、感熱記録紙を作製することができなかった。結果を表2に示す。分散性が低く、それ以降の評価を行うことができなかった。
比較例3
分散バインダーとして比較合成例2の樹脂を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録紙を作製した。その過程で、分散性、表面強度、耐水性、表面白色度、耐光性を評価した。結果を表2に示す。分散性、表面白色度は良好であったが、表面強度、耐水性、耐光性が実用レベルに達していなかった。
比較例4
フェニルヒドラジンp−スルホン酸10部に1N−NaOH水溶液48部と水42部を添加して完全に溶解させた。比較合成例1で得られた樹脂の10%水溶液100部に、上記のフェニルヒドラジンp−スルホン酸ナトリウム水溶液8質量部を添加し、30℃で1時間攪拌しながら反応させ、4−スルホフェニル基の含有量が2.0モル%、ジアセトンアクリルアミド成分の含有量が2.4モル%であるPVA系樹脂の10%水溶液を得た。この樹脂を分散バインダーとして用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を作製した。その過程で、分散性、表面強度、耐水性、表面白色度、耐光性を評価した。結果を表2に示す。分散性、表面強度、耐水性は良好であったが、表面白色度、耐光性が実用レベルに達していなかった。
比較例5
フェニルヒドラジンp−スルホン酸10部に1N−NaOH水溶液48部と水42部を添加して完全に溶解させた。合成例1で得られた樹脂の10%水溶液100部に、上記のフェニルヒドラジンp−スルホン酸ナトリウム水溶液4質量部を添加し、30℃で1時間攪拌しながら反応させ、アリルスルホン酸ナトリウム成分の含有量が1.8モル%、4−スルホフェニル基の含有量が1.0モル%、ジアセトンアクリルアミド成分の含有量が3.6モル%であるPVA系樹脂の10%水溶液を得た。この樹脂を分散バインダーとして用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を作製した。その過程で、分散性、表面強度、耐水性、表面白色度、耐光性を評価した。結果を表2に示す。分散性、表面強度、耐水性は良好であったが、表面白色度、耐光性が実用レベルに達していなかった。
Figure 0004583961
本発明によれば、発色性物質や顕色剤の粒子径が小さく、さらに、表面強度(バインダー強度)が高く、耐水性に優れ、表面白色度が高く、耐光性に優れている感熱記録材料を提供することができ、また、該感熱記録材料を工業的有利に製造できる分散バインダーを提供することができる。

Claims (7)

  1. 発色性物質、顕色剤、分散バインダーおよび架橋剤からなる感熱剤塗工液を用いて感熱発色層を支持体上に設けてなる感熱記録材料において、分散バインダーが、(a1)脂肪酸ビニルエステルと(a2)(メタ)アリルスルホン酸またはその塩と(a3)ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体との共重合体のケン化物であって、分子内に4−スルホフェニル基を有しないが、ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を0.5〜15モル%含有し、(メタ)アリルスルホン酸またはその塩を0.2〜10モル%含有するビニルアルコール系樹脂であり、架橋剤が分子内にヒドラジノ基を2個以上有する多官能ヒドラジン系化合物であることを特徴とする感熱記録材料。
  2. ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体が、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ジアセトンアクリレート、アセトアセトキシアクリルアミド、アセトアセトキシメタクリルアミド、アセトアセトキシアクリレート、アセトアセトキシメタクリルレート、アリリデンジアセテート、2−メタリリデンジアセテート、2−フェニルアリリデンジアセテート、クロチリデンジアセテート、シンナミリデンジアセテート、アリリデンジベンゾエート、アリリデンベンゾエートアセテートからなる群から選ばれる1以上である請求項1に記載の感熱記録材料。
  3. ビニルアルコール系樹脂が、酢酸ビニル−アリルスルホン酸ナトリウム−ジアセトンアクリルアミド共重合体のケン化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の感熱記録材料。
  4. ビニルアルコール系樹脂の20℃における4質量%水溶液の粘度が6.0mPa・s以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感熱記録材料。
  5. 多官能ヒドラジン系化合物がアジピン酸ジヒドラジドおよび/またはポリアクリル酸ヒドラジドであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感熱記録材料。
  6. (a1)脂肪酸ビニルエステルと(a2)(メタ)アリルスルホン酸またはその塩と(a3)ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体との共重合体のケン化物であって、分子内に4−スルホフェニル基を有しないが、ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を0.5〜15モル%含有し、(メタ)アリルスルホン酸またはその塩を0.2〜10モル%含有するビニルアルコール系樹脂を分散バインダーとして使用し、発色性物質および顕色剤をそれぞれ別々に該分散バインダーとともに湿式粉砕し、粉砕後に両者を混合して感熱剤分散液を作製し、前記感熱剤分散液に多官能ヒドラジン系化合物を架橋剤として配合して感熱剤塗工液を作製し、ついで支持体の一方の面に前記感熱剤塗工液を塗工、乾燥して感熱発色層を形成せしめることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載された感熱記録材料の製造方法。
  7. (a1)脂肪酸ビニルエステルと(a2)(メタ)アリルスルホン酸またはその塩と(a3)ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体との共重合体のケン化物であって、分子内に4−スルホフェニル基を含有しないが、ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を0.5〜15モル%含有し、(メタ)アリルスルホン酸またはその塩を0.2〜10モル%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された感熱記録材料用の発色性物質および顕色剤の分散バインダー。
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