JP4583961B2 - 感熱記録材料 - Google Patents
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Description
[1] 発色性物質、顕色剤、分散バインダーおよび架橋剤からなる感熱剤塗工液を用いて感熱発色層を支持体上に設けてなる感熱記録材料において、分散バインダーが、脂肪酸ビニルエステルと(メタ)アリルスルホン酸またはその塩類との共重合体のケン化物であって、分子内に4−スルホフェニル基を有しないが、ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するビニルアルコール系樹脂であり、架橋剤が多官能ヒドラジン系化合物であることを特徴とする感熱記録材料、
[2] ビニルアルコール系樹脂が、その分子内にヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を0.5〜15モル%の割合で有していることを特徴とする前記[1]記載の感熱記録材料、
[3] ビニルアルコール系樹脂が、酢酸ビニル−アリルスルホン酸ナトリウム−ジアセトンアクリルアミド共重合体のケン化物であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の感熱記録材料、
[4] ビニルアルコール系樹脂が、酢酸ビニル−アリルスルホン酸ナトリウム共重合体ケン化物のジケテン付加体であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の感熱記録材料、
[5] ビニルアルコール系樹脂の20℃における4質量%水溶液の粘度が6.0mPa・s以下であることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載の感熱記録材料、
[6] 多官能ヒドラジン系化合物がアジピン酸ジヒドラジドおよび/またはポリアクリル酸ヒドラジドであることを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれかに記載の感熱記録材料、
[7] 脂肪酸ビニルエステルと(メタ)アリルスルホン酸またはその塩類との共重合体のケン化物であって、分子内に4−スルホフェニル基を有しないが、ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するビニルアルコール系樹脂を分散バインダーとして使用し、発色性物質および顕色剤をそれぞれ別々に該分散バインダーとともに湿式粉砕し、粉砕後に両者を混合して感熱剤分散液を作製し、前記感熱剤分散液に多官能ヒドラジン系化合物を架橋剤として配合して感熱剤塗工液を作製し、ついで支持体の一方の面に前記感熱剤塗工液を塗工、乾燥して感熱発色層を形成せしめることを特徴とする感熱記録材料の製造方法、および
[8] 脂肪酸ビニルエステルと(メタ)アリルスルホン酸またはその塩類との共重合体のケン化物であって、分子内に4−スルホフェニル基を含有しないが、ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有することを特徴とする発色性物質および顕色剤の分散バインダー
に関する。
なお、本明細書中、「(メタ)アリルスルホン酸」は、アリルスルホン酸またはメタリルスルホン酸を意味する。
本発明の分散バインダーは、分散性に優れており、発色性物質や顕色剤の微粉砕が高濃度、短時間で安定的に可能であり、また、分散バインダー自体の着色がなく、感熱記録材料に用いると、高い表面白色度を感熱記録材料に付与することができ、さらに、ビニルアルコール系樹脂が特定の架橋剤と架橋構造を形成せしめることによって、工業的有利に、高い表面強度(バインダー強度)、優れた耐水性および耐光性を感熱記録材料に付与できる。
本発明の感熱記録材料は、発色性物質、顕色剤、分散バインダーおよび架橋剤からなる感熱剤塗工液を用いて感熱発色層を支持体上に設けてなる感熱記録材料において、分散バインダーが、脂肪酸ビニルエステルと(メタ)アリルスルホン酸またはその塩類との共重合体のケン化物であって、分子内に4−スルホフェニル基を有しないが、ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するビニルアルコール系樹脂であり、架橋剤が多官能ヒドラジン系化合物であることを特徴とする。
発色性物質は、加熱時に酸性化合物と反応して発色しうるものであればよく、発色性物質の種類としては、発色性ラクトン化合物等のロイコ染料が代表的なものとして挙げられ、トリフェニルメタン系、トリフェニルメタンフタリド系、フルオラン系、ロイコオーラミン系、スピロピラン系等の各種のロイコ化合物が挙げられる。ロイコ化合物の具体例としては、例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−7−N−メチルアニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−p−(p−クロロアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド等が挙げられ、これら二種以上を併用することもできる。
また、顕色剤は、発色性物質を加熱時に発色させる化合物であれば特に限定されず、一般に70℃以上で液化または気化して前記ロイコ化合物と反応して発色させる性質を持った酸性化合物であればよい。顕色剤の具体例としては、例えば、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン等のフェノール性化合物、N−(p−トルエンスルホニル)カルバモイル酸−p−クミルフェニルエステル、N−(p−トルエンスルホニル)カルバモイル酸−p−ベンジルオキシフェニルエステル、N−(o−トルオイル)−p−トルエンスルホアミド、4,4’−ビス(N−p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等の分子内に−SO2NH−結合を有するもの、p−クロロ安息香酸亜鉛、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プルピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸等の芳香族カルボン酸の亜鉛塩等が挙げられる。
分散バインダーとして使用するビニルアルコール系樹脂の製造方法としては、下記(A)または(B)が挙げられる。
<製造法(A)>
(a1)脂肪酸ビニルエステル、(a2)(メタ)アリルスルホン酸またはその塩、(a3)ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体またはケン化時に前記カルボニル基に変化しうる構造を有するエチレン性不飽和単量体を必須単量体成分とする共重合を行い、得られた共重合物をケン化する方法。
<製造法(B)>
(b1)脂肪酸ビニルエステル、(b2)(メタ)アリルスルホン酸またはその塩を必須単量体成分とする共重合を行い、さらにケン化し、そのケン化物と、(b3)ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有する化合物とを反応させる方法。
上記20℃における4質量%水溶液の粘度は、JIS K6726に従い測定される。
上記分散バインダーに対する架橋剤として使用される多官能ヒドラジン系化合物は、分子内にヒドラジノ基を2個以上有する化合物のことである。具体的な多官能ヒドラジン系化合物としては、カルボヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド、ヘキサデカンジオヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4’−ビスベンゼンジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、N,N’−ヘキサメチレンビスセミカルバジド、イタコン酸ジヒドラジド、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、ブタントリカルボヒドラジド、1,2,3−ベンゼントリヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド、およびポリアクリル酸ヒドラジド(すなわち、N−アミノポリアクリルアミド)などが挙げられる他、これらの多官能ヒドラジド化合物にアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類を反応させた多官能ヒドラジド誘導体なども含まれ、中でも安全性やカルボニル基との反応性の点で、アジピン酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジドが好ましい。
本発明で使用される支持体としては、本発明の目的を阻害しない限り、公知の支持体が挙げられ、例えば上質紙、中質紙、合成紙、塗工紙、プラスチックフィルム、プラスチックフィルムもしくは合成紙をコート紙もしくは上質紙に貼り合わせたシート、紙にプラスチックをラミネートしたシートなどが挙げられる。
本発明の感熱記録材料の製造方法としては、感熱剤の分散バインダーとして前記ビニルアルコール系樹脂を使用すること、および架橋剤として多官能ヒドラジン系化合物を使用すること以外は、従来公知の方法によって製造することができる。すなわち、前記ビニルアルコール系樹脂を分散バインダーとして使用し、発色性物質および顕色剤をそれぞれ別々にサンドミル等で該分散バインダーとともに湿式粉砕し、粉砕後に両者を混合し、必要に応じてバインダーとして前記ビニルアルコール系樹脂またはそれ以外の水溶性樹脂を添加し、感熱剤分散液を作製する。得られた感熱剤分散液に多官能ヒドラジン系化合物を架橋剤として配合することにより感熱剤塗工液を作製し、支持体の一方の面に前記の感熱剤塗工液を塗工、乾燥して感熱発色層を形成せしめる等の方法により、本発明の感熱記録材料を製造することができる。
同実施例中、特にことわりのない限り、「%」および「部」は質量基準を表わす。
実施例、比較例の感熱記録紙は以下の方法で作製した。
3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン50部、分散バインダー樹脂の10%水溶液100部、水50部を混合し、ボールミルで16時間予備粉砕した後、サンドミル(シンマルエンタープライゼス製ダイノミルKDL型)を使用して、以下の条件で2時間バッチ運転し、粉砕を行った。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン100部、分散バインダー樹脂の10%水溶液100部、水50部を混合し、ボールミルで16時間予備粉砕した後、サンドミル(シンマルエンタープライゼス製ダイノミルKDL型)を使用して、以下の条件で2時間バッチ運転し、粉砕を行った。
0.3Lステンレス製シリンダー、 セラミックス製ディスク、ジルコニア製ビーズ(0.65mmφ) 充填率:80%、周速:14m/分
[A液]20部、[B液]30部、炭酸カルシウム7部、水8部および多官能ヒドラジン系化合物の10%水溶液あるいは水分散液2部を混合し、上質紙に乾燥後の塗布量が6g/m2になるようにバーコーターを用いて塗布し、40℃で96時間、乾燥・養生し、感熱記録紙を作製した。
1.分散バインダーの分散性評価
B液の調製を行う際、サンドミルで湿式粉砕を行ってから1.0時間後および2.0時間後の液をサンプリングし、遠心沈降式粒度分布測定器(堀場製作所製CAPA−3000)を用いて、平均粒子径を測定した。より粒度が小さくなっているほど、分散性に優れることを示す。
作製した感熱記録紙の塗工面に、ニチバン製セロハン粘着テープ(幅18mm、長さ30mmに切断したもの)を貼り付け、5kg/cm2の荷重をかけた後、セロハン粘着テープを剥がし、テープへの付着物の量を目視で観察し、表面強度(バインダー強度)を以下の基準で評価した。
◎ : 全く付着物がない
○ : ほとんど付着物がない
× : 塗工層(感熱発色層)が剥離し、テープに付着している
作製した感熱記録紙の塗工面に水を1滴落し、10秒後に黒い紙で拭き取り、感熱剤の付着について観察を行った。
○ : 付着がみられない
× : 付着がみられる
キャノン製ハンディターミナルプリンターにて印字し、記録画像の地肌濃度および発色濃度を測定した。次いで、印字された各記録体を、強キセノンウェザーメーター(68W/m2)中に24時間保持した後、マクベス濃度計を用い、地肌濃度と再度発色濃度を測定した。これら濃度はマクベス濃度計を用い、黒色測定フィルター(地肌濃度)または黄色測定フィルター(発色濃度)で測定した。
分散性、表面強度、耐水性、表面白色度、耐光性のすべての項目が良好である◎、いずれの項目も実用レベルには達している○、どれか一つの項目でも実用レベルに達していない×とした。
合成例1
攪拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を付したフラスコ中に酢酸ビニル480部、メタノール160部、アリルスルホン酸ナトリウム12部を仕込み、系内の窒素置換を行った後、内温を60℃まで昇温した。この系に2,2’−アゾイソブチリロニトリル0.2部を添加し、重合を開始した。重合開始後、ジアセトンアクリルアミド40部をメタノール30部に溶解した溶液を5時間かけて一定速度で滴下し、6時間で重合を停止した。重合停止時の重合収率は80%であった。得られた反応混合物にメタノール蒸気を加えながら残存する酢酸ビニルを留出し、酢酸ビニル−アリルスルホン酸ナトリウム−ジアセトンアクリルアミド共重合体の50%メタノール溶液を得た。この溶液500部にメタノール50部と水酸化ナトリウムの濃度4%のメタノール溶液10部とを加えてよく混合し、40℃でケン化反応を行った。得られたゲル状物を粉砕し、メタノールでよく洗浄した後、乾燥して酢酸ビニル−アリルスルホン酸ナトリウム−ジアセトンアクリルアミド共重合体のケン化物を得た。このケン化物のケン化度は97.6モル%、20℃における4%水溶液粘度は3.5mPa・sであり、元素分析によるアリルスルホン酸ナトリウム成分含有量は1.8モル%であり、ジアセトンアクリルアミド成分含有率は4.6モル%であった。
合成例1の方法に準じて、共重合体の構成単位、ケン化度および20℃における4%水溶液粘度の異なる酢酸ビニル−アリルスルホン酸ナトリウム−ジアセトンアクリルアミド共重合体のケン化物(合成例2〜4)および酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド重合体のケン化物(比較合成例1)を得た。これら樹脂の各共重合成分の成分含有量、ケン化度、20℃における4%水溶液粘度についてのデータを表1に示す。
攪拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を付したフラスコ中に酢酸ビニル480部、メタノール200部、アリルスルホン酸ナトリウム12部を仕込み、系内の窒素置換を行った後、内温を60℃まで昇温した。この系に2,2’−アゾイソブチリロニトリル0.2部を添加し、重合を開始し、6時間で重合を行った。重合停止時の重合収率は80%であった。得られた反応混合物にメタノール蒸気を加えながら残存する酢酸ビニルを留出し、酢酸ビニル−アリルスルホン酸ナトリウム共重合体の50%メタノール溶液を得た。この溶液の500部にメタノール50部と水酸化ナトリウムの濃度4%のメタノール溶液8部とを加えてよく混合し、40℃でケン化反応を行った。得られたゲル状物を粉砕し、メタノールでよく洗浄した後、乾燥して分子内にヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有しない酢酸ビニル−アリルスルホン酸ナトリウム共重合体のケン化物(比較合成例2)を得た(ケン化度98.4モル%,20℃における4%水溶液粘度3.3mPa・s、アリルスルホン酸ナトリウム成分含有量1.9モル%;比較合成例2)。
一方、上記ケン化物の粉末(粒度80メッシュ以下)196部をニーダーに仕込み、回転数50rpmで攪拌しながら、液状のジケテン16.8部を30℃で30分間にわたって噴射添加した後、60℃に昇温して3時間反応させ、メタノールで洗浄・乾燥して、アセトアセチル基が導入された酢酸ビニル−アリルスルホン酸ナトリウム共重合体ケン化物(合成例5)を得た(ケン化度98.4モル%、20℃における4%水溶液粘度3.4mPa・s、アリルスルホン酸ナトリウム成分含有量は2.0モル%、アセトアセチル基含有量3.7モル%;合成例5)。
合成例1の樹脂を分散バインダーとして使用して、多官能ヒドラジン化合物としてアジピン酸ジヒドラジドを使用して感熱記録紙を作製した。その過程で、分散性・表面強度・耐水性、表面白色度、耐光性を評価した。結果を表2に示す。いずれの評価でも良好な結果が得られ、分散バインダーとして優れた性能を示した。
分散バインダーとしてそれぞれ合成例2〜5の樹脂を使用した以外は実施例1と同様にして、感熱記録紙を作製した。その過程で、分散性、表面強度、耐水性、表面白色度、耐光性を評価した。結果を表2に示す。いずれの評価でも良好な結果が得られ、分散バインダーとして優れた性能を示した。
多官能ヒドラジン化合物として、ポリアクリル酸ヒドラジドを使用した以外は実施例1と同様にして、感熱記録紙を作製した。その過程で、分散性、表面強度、耐水性、表面白色度、耐光性を評価した。結果を表2に示す。いずれの評価でも良好な結果が得られ、分散バインダーとして優れた性能を示した。
多官能ヒドラジン化合物を使用しない以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を作製した。その過程で、分散性、表面強度、耐水性、表面白色度、耐光性を評価した。結果を表2に示す。分散性、表面白色度は良好であったが、表面強度、耐水性、耐光性が実用レベルに達していなかった。
分散バインダーとして比較合成例1の樹脂を使用し、[A液]および[B液]を調製するため、湿式粉砕を行ったが、分散力が不足していたため、粉砕途中で液が固化し、[A液]および[B液]を調整することができず、感熱記録紙を作製することができなかった。結果を表2に示す。分散性が低く、それ以降の評価を行うことができなかった。
分散バインダーとして比較合成例2の樹脂を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録紙を作製した。その過程で、分散性、表面強度、耐水性、表面白色度、耐光性を評価した。結果を表2に示す。分散性、表面白色度は良好であったが、表面強度、耐水性、耐光性が実用レベルに達していなかった。
フェニルヒドラジンp−スルホン酸10部に1N−NaOH水溶液48部と水42部を添加して完全に溶解させた。比較合成例1で得られた樹脂の10%水溶液100部に、上記のフェニルヒドラジンp−スルホン酸ナトリウム水溶液8質量部を添加し、30℃で1時間攪拌しながら反応させ、4−スルホフェニル基の含有量が2.0モル%、ジアセトンアクリルアミド成分の含有量が2.4モル%であるPVA系樹脂の10%水溶液を得た。この樹脂を分散バインダーとして用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を作製した。その過程で、分散性、表面強度、耐水性、表面白色度、耐光性を評価した。結果を表2に示す。分散性、表面強度、耐水性は良好であったが、表面白色度、耐光性が実用レベルに達していなかった。
フェニルヒドラジンp−スルホン酸10部に1N−NaOH水溶液48部と水42部を添加して完全に溶解させた。合成例1で得られた樹脂の10%水溶液100部に、上記のフェニルヒドラジンp−スルホン酸ナトリウム水溶液4質量部を添加し、30℃で1時間攪拌しながら反応させ、アリルスルホン酸ナトリウム成分の含有量が1.8モル%、4−スルホフェニル基の含有量が1.0モル%、ジアセトンアクリルアミド成分の含有量が3.6モル%であるPVA系樹脂の10%水溶液を得た。この樹脂を分散バインダーとして用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を作製した。その過程で、分散性、表面強度、耐水性、表面白色度、耐光性を評価した。結果を表2に示す。分散性、表面強度、耐水性は良好であったが、表面白色度、耐光性が実用レベルに達していなかった。
Claims (7)
- 発色性物質、顕色剤、分散バインダーおよび架橋剤からなる感熱剤塗工液を用いて感熱発色層を支持体上に設けてなる感熱記録材料において、分散バインダーが、(a1)脂肪酸ビニルエステルと(a2)(メタ)アリルスルホン酸またはその塩と(a3)ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体との共重合体のケン化物であって、分子内に4−スルホフェニル基を有しないが、ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を0.5〜15モル%含有し、(メタ)アリルスルホン酸またはその塩を0.2〜10モル%含有するビニルアルコール系樹脂であり、架橋剤が分子内にヒドラジノ基を2個以上有する多官能ヒドラジン系化合物であることを特徴とする感熱記録材料。
- ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体が、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ジアセトンアクリレート、アセトアセトキシアクリルアミド、アセトアセトキシメタクリルアミド、アセトアセトキシアクリレート、アセトアセトキシメタクリルレート、アリリデンジアセテート、2−メタリリデンジアセテート、2−フェニルアリリデンジアセテート、クロチリデンジアセテート、シンナミリデンジアセテート、アリリデンジベンゾエート、アリリデンベンゾエートアセテートからなる群から選ばれる1以上である請求項1に記載の感熱記録材料。
- ビニルアルコール系樹脂が、酢酸ビニル−アリルスルホン酸ナトリウム−ジアセトンアクリルアミド共重合体のケン化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の感熱記録材料。
- ビニルアルコール系樹脂の20℃における4質量%水溶液の粘度が6.0mPa・s以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感熱記録材料。
- 多官能ヒドラジン系化合物がアジピン酸ジヒドラジドおよび/またはポリアクリル酸ヒドラジドであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感熱記録材料。
- (a1)脂肪酸ビニルエステルと(a2)(メタ)アリルスルホン酸またはその塩と(a3)ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体との共重合体のケン化物であって、分子内に4−スルホフェニル基を有しないが、ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を0.5〜15モル%含有し、(メタ)アリルスルホン酸またはその塩を0.2〜10モル%含有するビニルアルコール系樹脂を分散バインダーとして使用し、発色性物質および顕色剤をそれぞれ別々に該分散バインダーとともに湿式粉砕し、粉砕後に両者を混合して感熱剤分散液を作製し、前記感熱剤分散液に多官能ヒドラジン系化合物を架橋剤として配合して感熱剤塗工液を作製し、ついで支持体の一方の面に前記感熱剤塗工液を塗工、乾燥して感熱発色層を形成せしめることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載された感熱記録材料の製造方法。
- (a1)脂肪酸ビニルエステルと(a2)(メタ)アリルスルホン酸またはその塩と(a3)ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体との共重合体のケン化物であって、分子内に4−スルホフェニル基を含有しないが、ヒドラジノ基と反応性を有するカルボニル基を0.5〜15モル%含有し、(メタ)アリルスルホン酸またはその塩を0.2〜10モル%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された感熱記録材料用の発色性物質および顕色剤の分散バインダー。
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