JP2008068502A - 感熱記録材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、溶剤等の薬品に対するバリア性が良好で、印刷物として水が付着した後で表面が擦れた場合でも良好な印刷インクに対する密着性を有する保護層を設けた感熱記録材料を提供することである。
【解決手段】支持体上に、少なくとも電子供与性の染料前駆体及び電子受容性化合物とを含有する感熱発色層と保護層とこの順で設けた感熱記録材料において、該保護層中に水酸化アルミニウム及びコロイダルシリカの少なくとも1種の顔料と、ポリビニルアルコール及びアクリル樹脂エマルジョンとを含有し、かつ該アクリル樹脂のガラス転移点温度が40℃以下である感熱記録材料。該保護層において、ポリビニルアルコールに対してアクリル樹脂が0.25〜1.7倍(質量)であり、かつポリビニルアルコール及びアクリル樹脂の合計に対して、上記顔料が1.0〜3.0倍(質量)である感熱記録材料。
【選択図】なし
【解決手段】支持体上に、少なくとも電子供与性の染料前駆体及び電子受容性化合物とを含有する感熱発色層と保護層とこの順で設けた感熱記録材料において、該保護層中に水酸化アルミニウム及びコロイダルシリカの少なくとも1種の顔料と、ポリビニルアルコール及びアクリル樹脂エマルジョンとを含有し、かつ該アクリル樹脂のガラス転移点温度が40℃以下である感熱記録材料。該保護層において、ポリビニルアルコールに対してアクリル樹脂が0.25〜1.7倍(質量)であり、かつポリビニルアルコール及びアクリル樹脂の合計に対して、上記顔料が1.0〜3.0倍(質量)である感熱記録材料。
【選択図】なし
Description
本発明は、感熱記録材料に関するものである。更に詳しくは、溶剤等の薬品に対するバリア性が良好で、かつ印刷面に水が付着し表面が擦れた場合でも印刷落ちがなくインクに対する密着性が良好な保護層を設けた感熱記録材料に関するものである。
感熱記録材料は、一般に支持体上に電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体と電子受容性顕色剤とを主成分とする感熱記録層を設けたもので、サーマルヘッド、熱ペン、レーザー光等で加熱することにより、染料前駆体と電子受容性顕色剤とが瞬時に反応して発色画像が得られ、記録装置が簡単で保守が容易なこと、騒音の発生がないこと等の利点により、計測記録計、ファクシミリ、プリンター、コンピューターの端末機、POS用ラベル機、乗車券の自動販売機等広範囲の分野で利用されている。
このような感熱記録材料も用途が多種多様化するにつれ、印刷加工される用途も多く出てきた。近年では市場からは印刷加工しても印刷溶剤で地肌かぶりの様な地肌の発色を起こさない溶剤バリア性に優れた保護層を持つ感熱記録材料が強く望まれている。
従来の感熱記録材料は記録部に水や油、可塑剤等の薬品が接触したときに、印字部の退色や消失といった問題が発生することがあった。用途が多様化し乗車券やチケット等の金券用途でも使用されるようになってきたため、記録の消失といった問題は絶対に許容できなくなり、市場から要求される品質は厳しくなってきた。薬品による印字の消失や退色という問題を発生させないためにも薬品に対するバリア性を持つ保護層の役割は重要になってきた。
また、印刷加工後に印刷溶剤による発色がない良好なバリア性が得られていても、インクとの密着性が悪ければ市場では受け入れられない。特に金券用途では印刷図柄が消えてしまうことは非常に問題であり、汗等の水が付着した状態で表面を擦られることがあっても印刷図柄は感熱記録材料表面と十分に密着していることが必要である。
保護層を持つ感熱記録材料としては、数多く提案されている。例えば感熱記録材料において保護層の溶剤や可塑剤等の薬品に対するバリア性を向上させる方法(例えば、特許文献1、2参照)があるが、何れもその印刷物において水が付着した後で表面が擦れた後に良好なインクに対する密着性、いわゆる印刷インクに対する耐水密着性が不十分である。また、保護層を2層にしてバリア性やインク密着性を各層に別々に付与して品質を持たせる方法(例えば、特許文献3参照)があるが、印刷インクに対する耐水密着性が不十分であったり、飽和濃度が十分でないという問題がある。溶剤バリア性を維持したままで、捺印性を付与させる方法(例えば、特許文献4参照)があるが、バリア性、印刷インクに対する耐水密着性とも不十分である。インクに対する密着性を向上させる方法(例えば、特許文献5、6、7参照)があるが、何れも印刷インク溶剤に対するバリア性が不十分である。
特開昭59−52693号公報
特開平4−347685号公報
特開昭61−25884号公報
特開2004−299380号公報
特開平4−341886号公報
特開平4−220392号公報
特開昭56−146794号公報
本発明は、溶剤等の薬品に対するバリア性が良好で、かつ印刷面に水が付着し表面が擦れた場合でも印刷落ちがなくインクに対する密着性が良好な保護層を設けた感熱記録材料を提供することである。
本発明は、支持体上に、感熱発色層と保護層とをこの順で設けた感熱記録材料において、該保護層中に水酸化アルミニウム及びコロイダルシリカの少なくとも1種の顔料と、ポリビニルアルコール及びアクリル樹脂とを含有し、かつ該アクリル樹脂のガラス転移点温度が40℃以下である感熱記録材料であり、更に好ましくは該保護層において、ポリビニルアルコール1質量部に対してアクリル樹脂が0.25〜1.7質量部であり、かつポリビニルアルコール及びアクリル樹脂の合計1質量部に対して、水酸化アルミニウム及びコロイダルシリカの合計が1.0〜3.0質量部である感熱記録材料によって上記課題が解決された。
以上の発明により、溶剤等の薬品に対するバリア性が良好で、かつ印刷面に水が付着し表面が擦れた場合でも印刷落ちがなくインクに対する密着性が良好な保護層を有する感熱記録材料を提供することができる。
以下、本発明の内容を具体的に説明する。本発明の感熱記録材料は、支持体上に、感熱発色層と保護層とをこの順で設けた感熱記録材料において、該保護層中に水酸化アルミニウム及びコロイダルシリカの少なくとも1種の顔料と、ポリビニルアルコール及びアクリル樹脂とを含有し、かつ該アクリル樹脂のガラス転移点温度は40℃以下である。本発明に係る感熱発色層には、少なくとも電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体、及び加熱時反応して該染料前駆体を発色させる電子受容性化合物とを含有することが好ましく、更に必要に応じて、感熱記録材料分野で従来より公知の接着剤、各種顔料、画像保存剤等を含有させても良い。
本発明は、感熱発色層と保護層とをこの順で設けた感熱記録材料において、該保護層中に水酸化アルミニウム及びコロイダルシリカの少なくとも1種の顔料と、ポリビニルアルコール及びアクリル樹脂とを含有し、かつ該アクリル樹脂のガラス転移点温度が40℃以下である感熱記録材料であり、更に好ましくは該保護層において、ポリビニルアルコール1質量部に対してアクリル樹脂が0.25〜1.7質量部であり、かつポリビニルアルコール及びアクリル樹脂の合計1質量部に対して、水酸化アルミニウム及びコロイダルシリカの合計が1.0〜3.0質量部である感熱記録材料により、溶剤等の薬品に対するバリア性が良好で、かつ印刷面に水が付着し表面が擦れた場合でも印刷落ちがなくインクに対する密着性が良好な保護層を有する感熱記録材料が得られる。
本発明に係る保護層に用いる水酸化アルミニウムとしては、例えばボーキサイトを原料とし、バイヤー法で製造される微粒水酸化アルミニウム(化学式Al2O3・3H2OまたはAl(OH)3)等が用いられる。かかる水酸化アルミニウムの平均粒子径は5μm以下、好ましくは3μm以下程度が望ましい。
また、本発明に係る保護層に用いるコロイダルシリカはSiO2・xH2Oで表せられ、その製造方法は、アルカリ金属珪酸塩を純水で希釈した後、強酸型陽イオン交換樹脂に接触させて脱アルカリし、さらに酸を加えて強酸性とした後、限外ろ過膜を用いて不純物を除去して得られたオリゴ珪酸溶液の一部に、アンモニアまたはアミンを加え加熱を行いヒールゾルを調製し、これに残りのオリゴ珪酸溶液を徐々に滴下しシリカゾルを得る方法、上記同様に酸処理したアルカリ金属珪酸塩水溶液を、H型強酸性陽イオン交換樹脂、OH型強塩基性陰イオン交換樹脂に接触させ、これにアルカリ金属水酸化物水溶液を加え60〜150℃に加熱することにより安定な水性ゾルを生成させ、さらに限外ろ過膜を介して水を除き、次いでH型強酸性陽イオン交換樹脂、OH型強塩基性陰イオン交換樹脂と接触させ、最後にアンモニアを加えてシリカ以外の多価金属酸化物を実質的に含まない安定な水性シリカゾルを生成する方法、高純度珪酸エステルを水酸化第4アンモニウム及び分散剤の存在下にて加水分解することにより得られる安定性に優れたコロイダルシリカの製造方法等が知られている。
球状または球状に近い一次粒子が連結せずに独立して存在している一般的なコロイダルシリカのみならず、小さいシリカ粒子が細長く連結した鎖状粒子、またそれらが三次元網目構造を有しているもの、球状の一次粒子が複数個連結し、真珠のネックレスに似た形状を示すパールネックレス状の粒子等の形状で存在する非球状コロイダルシリカを使用することもできる。これらの鎖状シリカ粒子やパールネックレス状シリカ粒子からなる被膜は機械的強度にも優れている。
細長い形状の鎖状粒子とは三次元方向には伸長を有さず、同一平面内に伸長したものをいう。細長い形状の鎖状粒子には、ほぼ真っ直ぐなもの、屈曲しているもの、分枝を有するもの、環を有するもの等が含まれる。これに対し、三次元網目構造を有する粒子とは、これらの細長い形状の鎖状粒子が文字通り三次元的に絡まった網目状構造を有するもの等である。
パールネックレス状粒子や鎖状粒子はいずれもシリカの一次粒子が連結した、分岐を有する細長い形状であるが、両者の違いは球状一次粒子の占める割合にある。ここでパールネックレス状粒子とは電子顕微鏡による二次元像において、球状一次粒子に起因する円状図形が真円度70%以上を有し、かつ各円状図形の内接円の合計面積がパールネックレス状粒子全投影面積の70%以上を占め、かつ各円状図形の内接円が互いに重ならないもの等である。ここで真円度とは、対象とする図形輪郭の外接円の半径に対する内接円の半径の比率で表され、真円では100%となる。
コロイダルシリカの粒径は数nm〜1μm程度で製造される。保護層に添加されるコロイダルシリカの粒径は特に限定されないが、細かいものが望ましい。本発明に用いるコロイダルシリカは、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスST−20、ST−30、ST−40、ST−C、ST−N、ST−20L、ST−O、ST−OL、ST−S、ST−XS、ST−XL、ST−YL、ST−ZL、ST−OZL、ST−AK、ST−AKL、ST−AKYL等が市販されているほか、旭電化工業(株)からアデライトとして、GRACE−DavisonからLudox−CL、Ludox−CL−P、Ludox−HS40、Ludox−TMA等が市販されている。
本発明に係る保護層に用いるポリビニルアルコールとしては、完全ケン化または部分ケン化ポリビニルアルコール(以下、無変性ポリビニルアルコール)、各種の官能基で変性されたポリビニルアルコール(以下、変性ポリビニルアルコール)、具体的にはアセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、スルフォン酸変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、アミド変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコールや珪素原子を含む変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。ポリビニルアルコール、特に変性ポリビニルアルコールを用いることにより、感熱記録ヘッドとの耐摩擦性、潤滑性を向上させ、感熱記録ヘッド等における粘着、カス付着をなくし、ヘッドマッチング性を向上させることができる。
無変性化ポリビニルアルコールの重合度は500以上であり、鹸化度が88%以上が好ましい。また、変性ポリビニルアルコールの重合度は1000以上であることが必要であるが、1000〜2500が好ましく、1700〜2400がより好ましい。該重合度が1000未満であると、感熱記録ヘッド等における粘着カスの付着が発生してしまう。また、変性ポリビニルアルコールの鹸化度は88%以上であることが必要であるが、該鹸化度が88%未満であると、耐水性が悪化してしまう。
変性ポリビニルアルコールのうち、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アミノ基あるいはアンモニウム塩基変性ポリビニルアルコール、エチレン変性ポリビニルアルコール、珪素含有変性ポリビニルアルコール等が好適である。
アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールは、分子中にアセト酢酸エステル基を有するポリビニルアルコール系樹脂からなり、このアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールは、(1)ポリビニルアルコール系樹脂にジケテンを付加する方法、(2)ポリビニルアルコール系樹脂にアセト酢酸エステルをエステル交換する方法等によって得られる。アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール中のアセト酢酸エステル基の含有量は、0.1〜20モル%が好ましく、0.5〜10モル%がより好ましい。
アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールを使用する際は、アセト酢酸エステル基と反応して架橋し得る水溶性の架橋剤が使用される。このような架橋剤としては、グリオキザール、ポリアルデヒド等のジアルデヒド系、ポリエチレンイミン等のポリアミン系、エポキシ系ポリアミド樹脂、グリセリンジグリシジルエーテル等のジグリシジル系、ジメチロール尿素の他に過硫酸アンモニウム、塩化第二鉄、塩化マグネシウム等の金属塩、塩化アンモニウム、ホウ酸等の公知の化合物を使用することができる。
アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールと上記した架橋剤とを併用すると、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールの反応性から、乾燥程度の低温で耐水性を有する保護層が形成される。しかしながら、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールと架橋剤とを混合すると、急激に粘度が上昇し、ゲル化が生じるので、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールと架橋剤とポリビニルアルコールとを併用することが望ましい。
また、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールとしては、ポリビニルアルコールとフマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水イタコン酸等のカルボン酸との反応物、若しくはこれらの反応物をエステル化したもの、または酢酸ビニルと少量のマレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸との重合物をケン化したもの等が挙げられる。このカルボキシル基変性ポリビニルアルコールと共にポリアミドエピクロルヒドリンを併用すると、画像の保存性、耐久性、耐水性等に優れる。
また、アミノ基またはアンモニウム塩基変性ポリビニルアルコールには、例えば一級アミノ基あるいは一級アンモニウム塩基を有する変性ポリビニルアルコール、変性デンプン、セルロース系誘導体あるいはこれらのグラフトポリマー、ブロックポリマー等が挙げられる。これらのアミノ基またはアンモニウム塩基変性ポリビニルアルコールの中でも、接着性、耐水性、耐溶剤性等の点からは一級アミノ基あるいは一級アンモニウム塩基を有する変性ポリビニルアルコールが好ましい。
また、変性ポリビニルアルコール中の一級アミノ基あるいは一級アンモニウム塩基の含有量は、0.005モル%以上であれば特に制限はないが、通常0.1〜20モル%、好ましくは0.5〜10モル%の範囲から選ばれる。一級アミノ基あるいは一級アンモニウム塩基の含有量が0.005モル%未満の場合には本発明の効果が得難く、また20モル%を超えても効果は変わらない。
更に、アミノ基またはアンモニウム塩基変性ポリビニルアルコールとこの一級アミノ基あるいは一級アンモニウム塩基と反応しこれらを架橋する架橋剤を併用することができる。この架橋剤としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のモノアルデヒド、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ジアルデヒドデンプン等の多価アルデヒド、メチロールメラメン、ジメチロール尿素等のメチロール化合物、ヘキサメチレンテトラミン等のアンモニアとホルムアルデヒドとの反応物等のアルデヒド系化合物、あるいはアルミニウム、鉄、亜鉛、チタン、マグネシウム、クロム、ジルコニウム等の金属の水溶性塩等が挙げられるが、特にアルデヒド系化合物が好ましく用いられる。
アミノ基またはアンモニウム塩基変性ポリビニルアルコールと架橋剤との重量配合比率は、該変性ポリビニルアルコール100質量部に対して、架橋剤(固形分換算)0.5〜30質量部、好ましくは1〜20質量部である。架橋剤の配合比率が0.5質量部未満では効果が低く、30質量部を超えると、被膜が弱く使用できない。
また、エチレン変性ポリビニルアルコールとしては、ビニルエステル単位を有するランダム共重合体を鹸化したものが望ましい。この中で、特にポリビニルアルコールのビニルアルコールモノマー成分とエチレンモノマーとの比で80:20〜99:1のランダム重合体であるエチレン変性ポリビニルアルコールが好ましい。エチレン変性ポリビニルアルコールの場合、水溶性を有し、かつ十分な耐水性を有するためには、エチレン変性率が20モル%(すなわち、ビニルアルコールモノマー成分とエチレンモノマーとの比で80:20)〜1モル%(ビニルアルコールモノマー成分とエチレンモノマーとの比で99:1)が好ましく、より好ましくは、エチレン変性率は5〜10モル%である。エチレン未変性のポリビニルアルコールの場合、十分な耐水性及び耐薬品性が得られず、エチレン変性率が20モル%を超えると、水に対する溶解性が低下し好ましくない。
これらのエチレン変性ポリビニルアルコールは、性能及び塗液安定性に悪影響を及ぼさない範囲で他の官能基により更に変性されていても良い。具体例としては、カルボキシル基、末端アルキル基、アミノ基、スルホン酸基、末端チオール基、シラノール基、アミド基等である。高シンジオ性のポリビニルアルコールの溶解性を付与するには、カルボキシル基変性、アミノ基変性スルホン酸基等が有効である。
エチレン変性ポリビニルアルコールに対する架橋剤の使用量は、エチレン変性ポリビニルアルコール100質量部に対して架橋剤を3〜50質量部配合することが望ましい。架橋剤の配合量が3質量部未満であると、架橋改質の程度が低く、耐水性及び耐薬品性等が不充分となり、一方、50質量部を超えると液安定性が低下し、好ましくない。
また、変性ポリビニルアルコールとしては、珪素含有変性ポリビニルアルコールを使用することもできる。この珪素含有変性ポリビニルアルコールは、分子内に珪素原子を含有するものであれば特に限定はないが、通常分子内に含有される珪素原子がアルコキシル基、アシロキシル基あるいは加水分解等により得られる水酸基またはそのアルカリ金属塩基等の反応性置換基を有するものが望ましい。このような分子内に珪素原子を含有する変性ポリビニルアルコールの製造法の詳細は、特開昭58−193189号公報に記載されており、その他の製造法としては、(a)ポリビニルアルコールあるいはカルボキシル基または水酸基を含有する変性ポリ酢酸ビニルにシリル化剤を用いた後交換により珪素原子を導入する方法、(b)ビニルエステルと分子内に珪素原子を含有するオレフィン性不飽和単量体との共重合体をケン化する方法等がある。
本発明で使用される珪素含有変性ポリビニルアルコールとしては、上記方法で調製される珪素含有変性ポリビニルアルコールのうち、(b)の方法で調製される、分子内に珪素原子を含有するオレフィン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体のケン化物が好ましく、特にビニルトリメトキシシラン及び/またはビニルトリブトキシシランと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物が好ましい。珪素含有変性ポリビニルアルコールの珪素含有量は、使用状態に応じて適宜選択して使用することができるが、通常、珪素原子を含有するオレフィン性不飽和単量体単位に換算して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜2.5モル%である。
本発明に係る保護層に用いるアクリル樹脂は、ガラス転移点温度が40℃以下のものであるが、−30〜+40℃が好ましく、0〜35℃が特に好ましい。ガラス転移点温度が40℃を超えると溶剤バリア性や印刷後の保護層表面に水が付着し擦れた場合に印刷インクとの密着性が低下して好ましくない。
本発明に係るアクリル樹脂としては、単一モノマーからなるポリアクリル酸エステル及びポリメタクリル酸エステルのみならず、(メタ)アクリル酸エステルのホモポリマーの混合物や、複数種の(メタ)アクリル酸エステルもしくは(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸エステル以外の(メタ)アクリル酸を包含するモノマーとの共重合体(共重合体系アクリル樹脂)が挙げられる。
ガラス転移点温度が40℃以下のアクリル樹脂、すなわち単一モノマーからなるポリアクリル酸エステル及びポリメタクリル酸エステルの具体例としては、ポリ(ベンジルアクリレート)、ポリ(n−ブチルアクリレート)、ポリ(sec−ブチルアクリレート)、ポリ(2−シアノエチルアクリレート)、ポリ(シクロヘキシルアクリレート)、ポリ(ドデシルアクリレート)、ポリ(2−エトキシエチルアクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(フルオロメチルアクリレート)、ポリ(ヘプチルアクリレート)、ポリ(ヘキシルアクリレート)、ポリ(ヘキサデシルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(2−メチルブチルアクリレート)、ポリ(ネオペンチルアクリレート)、ポリ(m−トリルアクリレート)、ポリ(2−tert−ブチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(2−クロロエチルメタクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルメタクリレート)、ポリ(ヘキサデシルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ネオペンチルメタクリレート)、ポリ(フェネチルメタクリレート)等が挙げられる。
ポリマーのTgは、例えば「J.Brandrup,E.H.Immergut共著 PolymerHandbook,2nd Edition,III−139〜III−192(1975)」に詳細に記載されており、上記具体例以外のアクリル樹脂も用いることができる。
また、(メタ)アクリル酸エステルのホモポリマーの混合物を用いる場合は、それぞれのポリマーのガラス転移点温度にそれぞれのポリマーの質量分率を乗じた合計が40℃以下であれば良く、かつガラス転移点温度が40℃以下のホモポリマーからなるアクリル樹脂の質量分率の合計が0.5以上であればより好ましい。
また、共重合体の場合には下式により求めることができる。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・・・Wn/Tgn
Tgn:ポリマー中の単一重合体のガラス転移点温度
Wn:ポリマー中のモノマーnの質量分率
(但し、W1+W2+・・・・・Wn=1)
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・・・Wn/Tgn
Tgn:ポリマー中の単一重合体のガラス転移点温度
Wn:ポリマー中のモノマーnの質量分率
(但し、W1+W2+・・・・・Wn=1)
本発明に係る保護層に、共重合体系アクリル樹脂を用いる場合は、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸の質量分率の合計が0.5以上であることが好ましい。また、共重合体系アクリル樹脂と異なる共重合体系アクリル樹脂またはホモポリマーの混合物を用いる場合は、それぞれのポリマーのガラス転移点温度にそれぞれのポリマーの質量分率を乗じた合計が40℃以下であれば良い。
本発明に係るアクリル樹脂は、ポリビニルアルコールやコロイダルシリカを含有する単一の塗液により保護層を形成させることが好ましいから、アクリル樹脂が溶解し得る有機溶媒にポリビニルアルコールを始めとするその他の保護層形成成分を分散または溶解させるより、アクリル樹脂をエマルジョンとしてポリビニルアルコールを始めとするその他の保護層形成成分を分散または溶解させた水性液を塗液とするすることが好ましい。
本発明に係る保護層において、ポリビニルアルコール1質量部に対するアクリル樹脂の添加量は0.25〜1.7質量部が好ましく、0.3〜1.6質量部がより好ましく、0.5〜1.2質量部が特に好ましい。この範囲を下回ると印刷後の保護層表面に水が付着して擦れた場合に印刷インクとの密着性が低下する場合がある。また、この範囲を超えると、溶剤等の薬品に対するバリア性が低下する場合がある。
また、ポリビニルアルコール及びアクリル樹脂の合計1質量部に対して、水酸化アルミニウム及びコロイダルシリカの合計は1.0〜3.0質量部が好ましく、1.2〜2.7質量部がより好ましく、1.5〜2.5質量部が特に好ましい。この範囲を下回ると印刷後の保護層表面に水が付着して擦れた場合に印刷インクとの密着性が低下する場合がある。また、この範囲を超えると、溶剤等の薬品に対するバリア性が低下する場合がある。
本発明に係る保護層においては、ポリビニルアルコール及びアクリル樹脂のほかに、本発明の効果を損ねない範囲で他のバインダー成分を併用しても良く、併用可能なバインダー成分としての水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉類、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、エチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリ重合体加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド等が挙げられる。但し、これら水溶性高分子化合物の併用は耐水性の低下を生じる可能性があり、併用する量や種類については注意が必要である。
また、併用可能なバインダー成分としての水不溶性高分子としては、合成ゴムラテックスあるいは合成樹脂エマルジョンが一般的であり、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
また、本発明に係る保護層には、水酸化アルミニウム及びコロイダルシリカの少なくとも1種の顔料のほかに、本発明の効果を損ねない範囲で他の顔料を併用しても良く、併用可能な顔料としては、一般の有機あるいは無機の顔料を全て使用することができる。具体的には、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、タルク、ロウ石、カオリン、焼成カオリン、非晶質シリカ、尿素ホルマリン樹脂粉末、ポリエチレン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末等が挙げられる。これらは単独または二種以上混合して併用することができる。また、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、高級アルコール、及び高級脂肪酸アミドからなる群より選択される少なくとも一種により表面被覆された無機顔料も併用することができる。
保護層に用いられる顔料としては、その平均粒径、詳しくはレーザー回折法で測定した50%体積平均粒径(レーザー回折粒度分布測定装置LA500((株)堀場製作所製)により測定した、顔料中の50%体積に相当する顔料粒子の平均粒径。以下、単に、「平均粒径」ということがある。)が、0.2〜1.0μmであることが好ましく、特に、感熱記録ヘッドにより記録する際のヘッドと感熱記録材料との間におけるスティッキングや異音等の発生を防止する観点から、上記50%体積平均粒径が0.20〜0.50μmの範囲にあることがより好ましい。この50%体積平均粒径が1.0μmを超える場合には、感熱記録ヘッドに対する摩耗の低減効果が小さいため好ましくなく、また、0.2μm未満では顔料添加による効果、即ち、感熱記録ヘッドと保護層中のバインダーとの間の溶着を防止する効果が低下し、その結果、印画時に感熱記録ヘッドと感熱記録材料の保護層とが接着する、いわゆるスティッキングを起こす原因となるため好ましくない。
保護層には、更にサーマルヘッド等の記録ヘッドとのマッチング性を向上させるなどの目的で、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等の滑剤、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の界面活性剤(分散剤、湿潤剤)、消泡剤、カリミョウバン、酢酸アルミニウム等の水溶性多価塩等の各種助剤を適宜添加することもできる。
本発明に係る保護層の塗液は、水酸化アルミニウム及びコロイダルシリカの少なくとも1種の顔料と、ポリビニルアルコール及びガラス転移点温度が40℃以下のアクリル樹脂等、及び所望により架橋剤及び触媒等を混合して得られる。更に、必要に応じて離型剤、界面活性剤、ワックス、撥水剤等を加えても良い。得られた保護層塗工液の場合、感熱発色層上に、バーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等の装置を用いて塗布、乾燥して、保護層を得ることができる。但し、保護層は、感熱発色層と同時に塗布しても構わないし、また感熱発色層塗布後、一旦感熱発色層を乾燥させ、その上に塗布しても構わない。本発明に係る保護層の乾燥後の塗布量は0.2〜10g/m2、より好ましくは0.5〜5g/m2程度である。塗設量が大きいと著しく熱感度を低下してしまうし、あまり低い塗設量だと耐水性が維持できない。保護層塗布後、必要に応じてキャレンダー処理を施しても良い。また、本発明に係る保護層は、単層構造であっても良いし、積層構造であっても良い。
本発明に係る感熱発色層には、無色ないしは淡色の電子供与性染料前駆体、加熱時反応して該染料前駆体を発色させる電子受容性化合物、及び接着剤等が用いられる。
本発明において、感熱発色層に用いられる染料前駆体としては、各種公知のものが使用可能で、かかる染料前駆体の具体例としては、下記に挙げるもの等があるが本発明はこれらに限定されるものではない。
このような染料前駆体としては、赤系色、黄系色、青系色、緑系色、黒系色の具体例を以下に挙げるが、本発明では、これらに限定されるものではない。
赤発色性染料としては、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)テトラクロロフタリド、3,3−ビス(1−n−ブチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ヘキシル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−プロピル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、ローダミンB−アニリノラクタム、ローダミンB−(o−クロロアニリノ)ラクタム、ローダミンB−(p−ニトロアニリノ)ラクタム、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−エチルアミノ−7−メチルフルオラン、
3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロ−8−ベンジルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−エトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(N−アセチル−N−メチル)アミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−p−メチルフェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノベンゾ[a]フルオラン、3−ジエチルアミノベンゾ[c]フルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−7−メチルフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−ベンゾ[a]フルオラン、
3−(N−エチル−N−n−オクチル)アミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−n−オクチル)アミノ−7−メチルフルオラン、3−(N−エチル−N−n−オクチル)アミノ−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−n−オクチル)アミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N−エチル−N−4−メチルフェニル)アミノ−7−メチルフルオラン、3−(N−エチル−N−4−メチルフェニル)アミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシエチル)アミノ−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシエチル)アミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−ブロモフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジアリルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジアリルアミノ−7−クロロフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ピロリジルアミノ−7−メチルフルオラン等の赤発色性染料。
黄発色性染料としては、3,6−ジメトキシフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、2,6−ジフェニル−4−(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン、2,2−ビス(4−(2−(4−ジエチルアミノフェニル)キナゾリル)オキシフェニル)プロパン、4−クロロ−N−(4−(N−(4−メチルベンジル)−N−メチル)アミノベンジリデン)アニリン、1−(2−キノリル)−2−(3−メトキシ−4−−n−ドデシルオキシフェニル)エテン、1−(4−n−ドデシルオキシ−3−メトキシフェニル)−2−(2−キノリル)エチレン等の黄発色性染料。
青発色性染料としては、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−アミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−メチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−エチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジ−n−プロピルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジ−n−ペンチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジヘキシルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジアリルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジシクロヘキシルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジ−p−メトキシシクロヘキシルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ピロリジルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(3−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2,3−ジエトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−クロロ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(3−クロロ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ブロモ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(3−ブロモ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−n−プロピル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(3−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ニトロ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−アリル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−シアノ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−シクロヘキシルエトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチルエトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−シクロヘキシルエチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(2−エチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−クロロインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−ブロモインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−エチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(1−エチル−2−n−プロピルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メトキシインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−エトキシインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3−(1−エチル−4,5,6,7−テトラクロロ−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−4−ニトロ−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(1−エチル−4−メトキシ−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−4−メチルアミノ−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−4−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−クロロ−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−ブロモ−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−n−プロピル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−n−ブチル−2−インドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−n−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−n−ヘキシル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−n−ヘキシル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3−(1−n−ノニル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(1−メトキシ−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エトキシ−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−フェニル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−n−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−n−ヘプチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−ノニル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−n−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド等の青発色性染料。
緑発色性染料としては、3−ジメチルアミノ−6−クロロ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−n−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(N−シクロヘキシル−N−ベンジルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2−エトキシアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(4−エトキシアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エトキシ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−n−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−p−クロルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−p−メチルフェニルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(N−シクロヘキシル−N−ベンジルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−エトキシアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−エトキシアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロベンジルアニリノ)フルオラン、
3−(N−エチル−N−n−プロピル)アミノ−6−クロロ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−(N−エチル−N−n−プロピル)アミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−(N−エチル−N−n−ヘキシル)アミノ−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−4−メチルフェニル)アミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−(N−エチル−N−4−メチルフェニル)アミノ−6−メチル−7−(N−メチル−N−ベンジル)アミノフルオラン、3−(N−エチル−N−4−メチルフェニル)アミノ−7−(N−メチル−N−フェニル)アミノフルオラン、3−(N−エチル−N−4−メチルフェニル)アミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−クロロ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、
3−ジ−n−ブチルアミノ−7−(2−クロロベンジルアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−n−ヘキシル)アミノ−7−アニリノフルオラン、3−(N−プロピル−N−n−ヘキシル)アミノ−7−アニリノフルオラン、3−(N−エトキシ−N−n−ヘキシル)アミノ−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−ペンチル−N−アリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−ペンチル−N−アリル)アミノ−7−アニリノフルオラン、3−[p−(p−アニリノアニリノ)アニリノ]−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−アニリノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−アニリノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ピロリジノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ピロリジノ−7−シクロヘキシルアニリノフルオラン、3−ジベンジルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジベンジルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジベンジルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3′−(6′−ジメチルアミノ)フタリド等の緑発色性染料。
黒発色性染料としては、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−カルボメトキシフェニルアミノ)フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロペンチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−p−ブチルフェニルアミノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等の黒発色性染料がある。また、これらの染料前駆体は必要に応じて単独、もしくは2種以上混合して使用することができる。
また、機能性の染料前駆体として、近赤外領域に吸収を有するものがある。この染料前駆体を高温発色用の染料前駆体として単独または、他の染料前駆体と併用して用いると、高温発色画像が近赤外領域に吸収のある、近赤外ランプでの自動読み取りが可能な画像とすることが出来る。本発明にこの染料前駆体を用いると、可視領域のみに吸収のある画像、近赤外領域に吸収のある画像等の併用が可能となり、セキュリティ性の高い記録材料を得ることが出来る。
このような、近赤外領域に吸収を有する染料としては、3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3−〔1,1−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−6−ジメチルアミノフタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3´−(6´−ジメチルアミノ)フタリド、3−〔p−(p−ジメチルアミノアニリノ)アニリノ〕−6−メチルフルオラン、3−〔p−(p−ジメチルアミノアニリノ)アニリノ〕−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(p−n−ブチルアミノアニリノ)−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−〔p−(p−アニリノアニリノ)アニリノ〕−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−〔p−(p−クロロアニリノ)アニリノ〕−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6,8,8−トリメチル−9−エチル−8,9−ジヒドロ−(3,2,e)ピリドフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6,8,8−トリメチル−8,9−ジヒドロ−(3,2,e)ピリドフルオラン、3´−フェニル−7−N−ジエチルアミノ−2,2´−スピロビス−(2H−1−ベンゾピラン)、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−p−トリスルホニルメタン、3、7−ビス(ジメチルアミノ)−10−ベンゾイルフェノチアジン等が挙げられる。これらの電子供与性染料前駆体は必要に応じて単独、または2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明の感熱発色層に用いられる電子受容性化合物としては、一般に感圧記録材料、または感熱記録材料に用いられる酸性物質に代表されるが、これらに限定されることはない。たとえば、粘土物質、フェノール誘導体、芳香族カルボン酸誘導体、N,N′−ジアリルチオ尿素誘導体、N−スルホニル尿素等の尿素誘導体、またはそれらの金属塩等が使用される。
このような化合物の具体例を挙げれば、活性白土、ゼオライト、ベントナイト等の粘土物質、4−フェニルフェノール、4−t−ブチルフェノール、4−ヒドロキシアセトフェノン、2,2′−ジヒドロキシジフェニル、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−エチレンビス(2−メチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−シクロヘキシリデンビス(2−イソプロピルフェノール)、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−n−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ベンジルオキシジフェニルスルホン、4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4′−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)ジエチルエーテル、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、N−(4−メチルフェニルスルホニル)−N’−{3−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フェニル}ウレア、
4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸エステル類、没食子酸アルキルエステル類、サリチルアニリド、5−クロロサリチルアニリド、ノボラック型フェノール樹脂、変性テルペンフェノール樹脂等のフェノール性化合物、4−ヒドロキシ安息香酸エチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、4−ヒドロキシ安息香酸ブチル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸クロロベンジル等のヒドロキシ安息香酸エステル、安息香酸、サリチル酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−シクロヘキシルサリチル酸、5−シクロヘキシルサリチル酸、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−t−ノニルサリチル酸、3,5−ジドデシルサリチル酸、3−メチル−5−t−ドデシルサリチル酸、3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、3−メチル−5−(α−メチルベンジル)サリチル酸、4−n−オクチルオキシカルボニルアミノサリチル酸、4−{2−(4−メトキシフェノキシ)エトキシ}サリチル酸、酒石酸、ショウ酸、ホウ酸、クエン酸、アテアリン酸等の有機酸、或いはこれらの亜鉛、ニッケル、アルミニウム、カルシウム等の金属塩、ビス{4−(4−メチルフェニル)スルホニルアミノカルボニルアミノフェニル}メタン等の尿素誘導体、チオ尿素誘導体等公知の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて単独、もしくは2種以上混合して使用することができる。
本発明の感熱記録材料を構成する感熱発色層に含まれる染料前駆体、電子受容性化合物等の発色成分は、分散媒中に分散された分散液として支持体上に塗布、乾燥される。その分散液は、発色成分を構成する化合物を乾式粉砕して分散媒中に分散する方法、または発色成分を構成する化合物を分散媒に混入し湿式粉砕する方法等により得られる。通常、電子受容性化合物は染料前駆体の10〜200質量%で含有される。
これらの染料前駆体は、分散粒子の形で用いる場合には、一般には水を分散媒としてサンドミル、ボールミル等にて通常は分散粒子の平均粒子径が、0.5μm以上5.0μm以下、好ましくは0.8μm以上2.0μm以下まで湿式粉砕して、電子受容性化合物及びその他、添加剤と共に単層または複層に塗布される。平均粒子径が小さすぎると、地肌かぶり、及び長期保存時の地肌着色(黄変化)が発生しやすく、逆に、平均粒子径が大きすぎると発色感度が悪くなる。電子受容性化合物の平均粒子径は、通常7μm以下であり、0.05〜5μmが好ましく、特に0.1〜2μmの範囲が好ましい。この範囲とすることで感熱発色層の白色度、及び発色性に優れた感熱記録材料を得ることができる。
本発明の感熱記録材料を構成する感熱発色層には、その熱応答性を向上させるために熱可融性化合物を含有させることもできる。この場合、60℃〜180℃の融点を有するものが好ましく、特に、80℃〜140℃の融点を持つものがより好ましい。
このような化合物の具体例を挙げると、ステアリン酸アミド、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビス水添牛脂脂肪酸アミド、リシノール酸アミド等の脂肪酸アミド類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックス等の合成、及び天然ワックス類、N−ステアリル尿素等の脂肪族尿素化合物、2−ベンジルオキシナフタレン、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル、2,2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、ナフチルエーテル誘導体、アントリルエーテル誘導体、脂肪族エーテル等のエーテル化合物、アジピン酸ジフェニル、蓚酸ジ(4−メチルベンジル)エステル、蓚酸ジベンジル、蓚酸ジ(4−クロルベンジル)エステル、炭酸ジフェニル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジベンジル、ベンゼンスルホン酸フェニルエステル、4−アセチルアセトフェノン等のエステル化合物、m−ターフェニル、4−ベンジルビフェニル、4−アセチルビフェニル、4−アリルオキシビフェニル等のビフェニル誘導体、ビス(4−アリルオキシフェニル)スルホン、アセト酢酸アニリド、4−メチルアセトアニリド、脂肪酸アニリド類等公知の熱可融性化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて単独、もしくは2種以上混合して使用することができる。
また、熱可融性化合物の添加量は上記電子受容性化合物に対し質量比で0.3〜2倍が好ましい範囲であり、更に好ましい範囲は0.5〜1.5倍である。本範囲により熱応答性、発色画像の飽和濃度、ならびに地肌の白色度等基本特性が良好な感熱記録材料が得られる。
また、記録部の保存性を高めるために、保存性改良剤を含有することもできる。かかる保存性改良剤の具体例としては、例えば2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−エチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−イソプロピリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メトキシ−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(5−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(2−クロロ−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(2−メトキシ−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(2−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、1−〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α′,α′−ビス(4″−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4′−チオビス(3−メチルフェノール)、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′,5,5′−テトラブロモジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′,5,5′−テトラメチルジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、N,N′−ジ−2−ナフチル−4−フェニレンジアミン、2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リン酸ソーダ等が挙げられる。
本発明に係る感熱発色層に用いられる顔料は、吸油性顔料が好ましい。多孔性合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミニウム水和物、軽質炭酸カルシウム、焼成カオリン、水酸化アルミニウム、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、炭化水素系プラスチックピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。これら吸油性顔料も通常は水系の分散媒中で分散して記録層の塗布液に配合される。
その他、スティッキング防止、ヘッド摩耗防止等の感熱ヘッドマッチング性向上の目的で、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスターワックス等のワックス類、また、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の分散剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、更に界面活性剤、蛍光染料等が必要に応じて添加される。
本発明において、多色感熱記録材料に適用することも可能である。色分離性を向上させるために二種以上の電子供与性染料前駆体のうち、少なくとも一種を、ビニル単量体を付加重合することにより得られる発色調節層で被覆する場合には、低温発色用を分散粒子の形で用い、高温発色用を発色調節層で被覆して色分離をする場合と、低温発色用と高温発色用を共に発色感度の異なる発色調節層で被覆して色分離をする場合がある。そして、これらの低温発色用染料前駆体と高温発色用染料前駆体は単層に含有させても良いし、低温発色用が上層になるように複層に分けて塗布すれば、更に色分離が良くなる。また、低温発色用の染料前駆体と高温発色用の染料前駆体が共に分散粒子の場合、これらが同一層に在っても良いが色分離の面から、高温発色用染料前駆体を下層に、低温発色用染料前駆体を上層に配して多色感熱発色層とするのが好ましい。積層にすると気膨れが発生しやすいが、本発明により発生が抑えられる。また、二種以上の電子供与性染料前駆体のうち少なくとも一種をカプセル化、固体複合微粒子化により隔離することもできる。二種以上の染料前駆体のうち、少なくとも一種を、ビニル単量体を付加重合することにより得られる発色調節層で被覆することは、多色感熱記録での色分離を良くする効果がある。
本発明による多色感熱発色層に用いられる低温発色用染料前駆体は、色調が赤系色〜黄系色のものや、緑系色〜青系色のものを1種以上、適宜組み合わせて使用するが、加色型多色感熱記録材料は高温での色調が混色による暗色となる傾向にあるため、低温側は明色の赤系色〜黄系色が好んで用いられる。そして、高温発色用染料前駆体は黒系色、緑系色、青系色のような暗色に発色する染料前駆体を1種以上、適宜組み合わせて使用する。
本発明での染料前駆体を発色調節層で被覆することで多色発色での色分離性が良好となる。被覆する方法は、先にサンドミルやボールミル等にて分散した染料前駆体の分散液に、ビニル単量体と重合開始剤を添加し、必要に応じて加熱をして分散粒子の周りに発色調節層を形成させて製造する。
ビニル単量体には、ビニル結合を1つ有する化合物と、ビニル結合を2つ以上有する化合物がある。そのビニル結合を2つ以上有する化合物の含有量を変化させることにより、発色調節層の感熱感度特性を自由に変化させることができる。ビニル結合を1つ有する化合物のみで重合したものに比べ、ビニル結合を2つ以上有する化合物を併用した発色調節層は、より強固な架橋構造が進み、感熱記録材料にしたときの発色開始温度を高温側にすることができる。ビニル結合を2つ以上有する化合物の併用比率は、ビニル単量体の全質量に対して1質量%以上70質量%以下、好ましくは、10質量%以上50質量%以下が良い。この範囲内であれば、発色開始温度等の発色特性を任意に調節できる。
染料前駆体の分散粒子に対するビニル単量体の量は、0.5質量%以上1000質量%以下であることが好ましく、この範囲であれば、重合時の凝集も無く重合が進行し、発色調節層としての機能が十分な被覆が得られる。この様に、ビニル単量体の量を増減して発色調節層の感熱感度特性を調節することもできる。
本発明におけるビニル結合を1つのみ有する化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−メトキシスチレン、m−ブロモスチレン、m−クロロスチレン、o−ブロモスチレン、o−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、ビニリデンシアニド、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクロレイン、メチルアクロレイン、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド、α−アセトキシアクリル酸エチル、α−クロロアクリル酸エチル、α−クロロアクリル酸メチル、α−シアノアクリル酸メチル、α−フェニルアクリル酸メチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、ビニルエチルスルホキシド、ギ酸ビニル、ビニルイソブチルエーテル、ラウリン酸ビニル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
また、ビニル結合を2つ以上有する化合物の具体例としては、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート等のポリエチレングリコールジアクリレート類、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等のポリエチレングリコールジメタクリレート類、2,2−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等の2,2−ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン類、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等の2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン類、アリルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート等が挙げられる。
以上の本発明に係わるビニル単量体は、それぞれ単独もしくは2種以上併用して用いることができる。2種以上併用して用いる場合は、上述したように、ビニル結合を1つ有する化合物とビニル結合を2つ以上有する化合物との組み合わせが好ましいが、ビニル結合を1つ有する化合物同士、ビニル結合を2つ以上有する化物同士の組み合わせで用いることもできる。
これらビニル単量体の内、一部または全部がメタクリル酸エステルである場合、メタクリル酸エステルとその重合体は、発色調節層を設ける染料前駆体分散粒子との接着性が良く、また水系分散媒への溶解性も適当であり重合性も良好であることから、付加重合により染料前駆体分散粒子の表面を効率良く被覆することが可能である。更に発色開始温度等の発色特性を調節する機能にも優れており、本発明では特に好ましく用いられる。
ビニル単量体を付加重合させる際に加える重合開始剤は、公知のものを用いることができ、重合反応の様式もラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等に限定されないが、ラジカル重合が特に好ましく用いられる。また、その重合の際、必要に応じ系を加熱しても良い。ラジカル重合の重合開始剤の具体例を以下に示す。過酸化水素、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ化合物、過酸化水素と第一鉄塩の組み合わせ、過硫酸塩と酸性亜硫酸ナトリウムの組み合わせ、クメンヒドロキシペルオキシドと第一鉄塩の組み合わせ、過酸化ベンゾイルとジエチルアニリンの組み合わせ、過酸化物と金属アルキルの組み合わせ、酸素と有機金属アルキルの組み合わせ等のレドックス開始剤等が挙げられる。これらは単独での使用に限らず、混合して使用しても良い。
ラジカル重合の重合開始剤は、上記に示す以外でも熱や光のエネルギーにより活性ラジカルを発生させるものであれば、特に限定はされないが、染料前駆体や顕色剤の粒子を水系分散媒に分散している場合、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド等の水溶性重合開始剤を用いるのが特に好ましい。
重合開始剤の添加量については、ビニル単量体が付加重合を開始する量であれば、特に限定はされないが、付加重合を効率良く開始させるためには、ビニル単量体に対して0.001以上10質量%以下が好ましい。
本発明に係る感熱発色層における染料前駆体の固形分としての塗工量は0.2〜2g/m2、好ましくは0.3〜1.5g/m2であり、この範囲で発色特性が良好で、コスト的にも有利である。
本発明において、感熱発色層を設ける支持体は透明、半透明、及び不透明のいずれであっても良く、紙、各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、セラミック紙、ガラス板等、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができる。
本発明において、感熱発色層と支持体の間に、平滑性、断熱性等を向上させるために中間層を設けても良い。中間層には、各種樹脂、有機顔料、無機顔料、各種中空粒子等を含有させることができる。また、感熱発色層と支持体の間の層及び/または感熱発色層が設けられている面または、反対側の面に、電気的、磁気的、または光学的に情報が記録可能な材料を含む層やインクジェット記録層、熱転写受像層等を設けても良い。また、感熱発色層が設けられている面と反対側の面にカール防止や帯電防止等を目的としてバックコート層を設けても良く、更に粘着加工等を行っても良い。また、感熱発色層または保護層の表面にUVインク、グラビアインク等による印刷等を行っても良い。
本発明の保護層以外の任意の各層には、機器マッチング性向上、白色度向上等の目的で、必要に応じて、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、水酸化アルミニウム、多孔性合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト等の白色無機顔料、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等の単量体を主成分とする樹脂または、これらの単量体を主成分とする共重合樹脂等を殻とする有機中空粒子。特開平5−222108号公報にみる貫通孔を有する有機顔料、特開平10−217608号公報にみる開口部を有する有機顔料、その他に、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、カスターワックス等のワックス類を、また、ジオクチルスルホこはく酸ナトリウム等の分散剤、更に界面活性剤、及び蛍光染料等を含有させることもできる。また、レーザー光による印字を行うために、単色及び多色感熱記録材料中の任意の層及び支持体に光熱変換材料を含有させることもできる。
本発明における各層の形成方式については、特に限定されることなく、周知の技術を用いて形成することができ、例えば、エアーナイフコーティング、ブレードコーティング、バリバーブレードコーティング、カーテンコーティング等により各層を形成することができる。更に、表面平滑性を改良するために、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、ブラッシング等の装置を利用することができるなど、感熱記録材料製造に於ける種々の公知技術を用いることができる。
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、以下の各実施例や比較例において、部や%の比率は質量基準である。
以下の様にして、実施例1の感熱記録材料を作製した。
(1)中間層塗工液の調製
下記成分からなる中間層塗工液を調製した。
ヘキサメタリン酸ソーダ10%水溶液 10部
焼成カオリン(エンゲルハード社製、アンシレックス) 100部
酸化澱粉12%水溶液 50部
SBRラテックス48%水分散液 25部
水 79部
下記成分からなる中間層塗工液を調製した。
ヘキサメタリン酸ソーダ10%水溶液 10部
焼成カオリン(エンゲルハード社製、アンシレックス) 100部
酸化澱粉12%水溶液 50部
SBRラテックス48%水分散液 25部
水 79部
(2)中間層の形成
(1)で調製した中間層塗工液を、50g/m2の上質紙にブレードコーターにて固形分塗布量が9g/m2となるように塗布乾燥して中間層を形成した。
(1)で調製した中間層塗工液を、50g/m2の上質紙にブレードコーターにて固形分塗布量が9g/m2となるように塗布乾燥して中間層を形成した。
(3)感熱発色層用塗液の調製
下記組成のA液、B液、C液、及びD液を調製した。
(A液)
下記組成の液をダイノミル(シンマルエンタープライゼス社製)を用いて体積平均、1.0μmに粉砕した。
ポリビニルアルコール10%水溶液 100部
(日本合成化学工業製、ゴーセランL3266)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 100部
水 75部
(B液)
A液の3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランをビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンに変更した以外はA液と同様にB液を作製した。
(C液)
A液の3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを2−ベンジルオキシナフタレンに変更した以外はA液と同様にC液を作製した。
(D液)
ヘキサメタリン酸ソーダ10%水溶液 69部
水酸化アルミニウム 230部
ステアリン酸亜鉛50%水分散液 150部
下記組成のA液、B液、C液、及びD液を調製した。
(A液)
下記組成の液をダイノミル(シンマルエンタープライゼス社製)を用いて体積平均、1.0μmに粉砕した。
ポリビニルアルコール10%水溶液 100部
(日本合成化学工業製、ゴーセランL3266)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 100部
水 75部
(B液)
A液の3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランをビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンに変更した以外はA液と同様にB液を作製した。
(C液)
A液の3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを2−ベンジルオキシナフタレンに変更した以外はA液と同様にC液を作製した。
(D液)
ヘキサメタリン酸ソーダ10%水溶液 69部
水酸化アルミニウム 230部
ステアリン酸亜鉛50%水分散液 150部
上記で得られたA液、B液、C液、及びD液を用いた下記配合の塗液を攪拌、混合し、感熱発色層用水性塗液を調製した。
A液 275部
B液 550部
C液 410部
D液 250部
ポリビニルアルコール10%水溶液(日本合成化学工業製、NM−11)1200部
水 200部
A液 275部
B液 550部
C液 410部
D液 250部
ポリビニルアルコール10%水溶液(日本合成化学工業製、NM−11)1200部
水 200部
(4)保護層用塗液1の調製
水酸化アルミニウム50%水分散液 120部
珪素変性ポリビニルアルコール10%水溶液 120部
ガラス転移点温度20℃のアクリル樹脂エマルジョン 33部
(日信化学工業株式会社製、ビニブラン2687 30%)
ステアリン酸亜鉛50%水分散液 10部
グリオキザール40%溶液 7.5部
上記配合の塗液を撹拌、混合し、保護層用塗液1を調製した。
水酸化アルミニウム50%水分散液 120部
珪素変性ポリビニルアルコール10%水溶液 120部
ガラス転移点温度20℃のアクリル樹脂エマルジョン 33部
(日信化学工業株式会社製、ビニブラン2687 30%)
ステアリン酸亜鉛50%水分散液 10部
グリオキザール40%溶液 7.5部
上記配合の塗液を撹拌、混合し、保護層用塗液1を調製した。
(5)感熱発色層の形成
支持体上に上記感熱発色層用塗液を染料前駆体の塗工量で0.70g/m2になるように塗工、乾燥して感熱発色層を設けた。
支持体上に上記感熱発色層用塗液を染料前駆体の塗工量で0.70g/m2になるように塗工、乾燥して感熱発色層を設けた。
(6)保護層の形成
上記で得られた感熱発色層の上に上記保護層用塗液1を塗工量で3.0g/m2になるように塗工、乾燥して保護層を設けた。これをベック平滑度500〜1500秒になるようにカレンダー処理して、実施例1の感熱記録材料を得た。
上記で得られた感熱発色層の上に上記保護層用塗液1を塗工量で3.0g/m2になるように塗工、乾燥して保護層を設けた。これをベック平滑度500〜1500秒になるようにカレンダー処理して、実施例1の感熱記録材料を得た。
水酸化アルミニウム50%水分散液 20部
コロイダルシリカ 167部
(日産化学工業株式会社製、スノーテックスAKYL 30%)
珪素変性ポリビニルアルコール10%水溶液 250部
ガラス転移点温度20℃のアクリル樹脂エマルジョン
(日信化学工業株式会社製、ビニブラン2684 30%) 33部
ステアリン酸亜鉛50%水分散液 10部
グリオキザール40%溶液 7.5部
上記配合の塗液を撹拌、混合し、保護層用塗液2を調製した。実施例1で作製した感熱発色層の上に実施例1と同様にして保護層用塗液2を塗工して保護層を設け、実施例2の感熱記録材料を得た。
コロイダルシリカ 167部
(日産化学工業株式会社製、スノーテックスAKYL 30%)
珪素変性ポリビニルアルコール10%水溶液 250部
ガラス転移点温度20℃のアクリル樹脂エマルジョン
(日信化学工業株式会社製、ビニブラン2684 30%) 33部
ステアリン酸亜鉛50%水分散液 10部
グリオキザール40%溶液 7.5部
上記配合の塗液を撹拌、混合し、保護層用塗液2を調製した。実施例1で作製した感熱発色層の上に実施例1と同様にして保護層用塗液2を塗工して保護層を設け、実施例2の感熱記録材料を得た。
コロイダルシリカ 300部
(日産化学工業株式会社製、スノーテックスAK−L 20%)
珪素変性ポリビニルアルコール10%溶液 150部
ガラス転移点温度20℃のアクリル樹脂エマルジョン 37部
(日信化学工業株式会社製、ビニブラン2687 30%)
ステアリン酸亜鉛50%水分散液 10部
グリオキザール40%溶液 7.5部
上記配合の塗液を撹拌、混合し、保護層用塗液3を調製した。実施例1で作製した感熱発色層の上に実施例1と同様にして保護層用塗液3を塗工して保護層を設け、実施例3の感熱記録材料を得た。
(日産化学工業株式会社製、スノーテックスAK−L 20%)
珪素変性ポリビニルアルコール10%溶液 150部
ガラス転移点温度20℃のアクリル樹脂エマルジョン 37部
(日信化学工業株式会社製、ビニブラン2687 30%)
ステアリン酸亜鉛50%水分散液 10部
グリオキザール40%溶液 7.5部
上記配合の塗液を撹拌、混合し、保護層用塗液3を調製した。実施例1で作製した感熱発色層の上に実施例1と同様にして保護層用塗液3を塗工して保護層を設け、実施例3の感熱記録材料を得た。
コロイダルシリカ 300部
(日産化学工業株式会社製、スノーテックス20L 20%)
珪素変性ポリビニルアルコール10%水溶液 120部
ガラス転移点温度35℃のアクリル樹脂エマルジョン 60部
(コニシ株式会社製、A−SU23B 30%)
ステアリン酸亜鉛50%水分散液 10部
グリオキザール40%溶液 7.5部
上記配合の塗液を撹拌、混合し、保護層用塗液4を調製した。実施例1で作製した感熱発色層の上に実施例1と同様にして保護層用塗液4を塗工して保護層を設け、実施例4の感熱記録材料を得た。
(日産化学工業株式会社製、スノーテックス20L 20%)
珪素変性ポリビニルアルコール10%水溶液 120部
ガラス転移点温度35℃のアクリル樹脂エマルジョン 60部
(コニシ株式会社製、A−SU23B 30%)
ステアリン酸亜鉛50%水分散液 10部
グリオキザール40%溶液 7.5部
上記配合の塗液を撹拌、混合し、保護層用塗液4を調製した。実施例1で作製した感熱発色層の上に実施例1と同様にして保護層用塗液4を塗工して保護層を設け、実施例4の感熱記録材料を得た。
実施例2における保護層用塗液2中のアクリル樹脂エマルジョン(ビニブラン2684)をガラス転移点温度−30℃のアクリル樹脂エマルジョン(日信化学工業株式会社製、ビニブラン2682 30%)に変更した以外は実施例2と同様に保護層を設け、実施例5の感熱記録材料を得た。
実施例2における保護層用塗液2中のアクリル樹脂エマルジョン(ビニブラン2684)を17部に変更した以外は実施例2と同様に保護層を設け、実施例6の感熱記録材料を得た。
実施例2における保護層用塗液2中のアクリル樹脂エマルジョン(ビニブラン2684)を67部、珪素変性ポリビニルアルコール10%水溶液を100部に変更した以外は実施例2と同様に保護層を設け、実施例7の感熱記録材料を得た。
実施例3における保護層用塗液3中のアクリル樹脂エマルジョン(ビニブラン2687)を13部、珪素変性ポリビニルアルコール10%水溶液を220部に変更した以外は実施例3と同様に保護層を設け、実施例8の感熱記録材料を得た。
実施例3における保護層用塗液3中のアクリル樹脂エマルジョン(ビニブラン2687)を60部、珪素変性ポリビニルアルコール10%水溶液を80部に変更した以外は実施例3と同様に保護層を設け、実施例9の感熱記録材料を得た。
実施例3における保護層用塗液3中のアクリル樹脂エマルジョン(ビニブラン2687)を93部、珪素変性ポリビニルアルコール10%水溶液を380部に変更した以外は実施例3と同様に保護層を設け、実施例10の感熱記録材料を得た。
実施例3における保護層用塗液3中のアクリル樹脂エマルジョン(ビニブラン2687)を27部、珪素変性ポリビニルアルコール10%水溶液を110部に変更した以外は実施例3と同様に保護層を設け、実施例11の感熱記録材料を得た。
(比較例1)
実施例3の保護層用塗液3において、アクリル樹脂エマルジョン(ビニブラン2687)を添加せず、珪素変性ポリビニルアルコール10%水溶液150部を珪素変性ポリビニルアルコール10%溶液260部に変更した保護層用塗液12を用いて実施例3と同様に保護層を設け、比較例1の感熱記録材料を得た。
実施例3の保護層用塗液3において、アクリル樹脂エマルジョン(ビニブラン2687)を添加せず、珪素変性ポリビニルアルコール10%水溶液150部を珪素変性ポリビニルアルコール10%溶液260部に変更した保護層用塗液12を用いて実施例3と同様に保護層を設け、比較例1の感熱記録材料を得た。
(比較例2)
実施例2の保護層用塗液2において、珪素変性ポリビニルアルコール10%溶液を添加せず、アクリル樹脂エマルジョン(ビニブラン2684 30%)を100部に変更した保護層用塗液13を用いて実施例2と同様に保護層を設け、比較例2の感熱記録材料を得た。
実施例2の保護層用塗液2において、珪素変性ポリビニルアルコール10%溶液を添加せず、アクリル樹脂エマルジョン(ビニブラン2684 30%)を100部に変更した保護層用塗液13を用いて実施例2と同様に保護層を設け、比較例2の感熱記録材料を得た。
(比較例3)
実施例3の保護層用塗液3において、アクリル樹脂エマルジョン(ビニブラン2687)を添加せず、珪素変性ポリビニルアルコール10%溶液を87部に変更した保護層用塗液14を用いて実施例3と同様に保護層を設け、比較例3の感熱記録材料を得た。
実施例3の保護層用塗液3において、アクリル樹脂エマルジョン(ビニブラン2687)を添加せず、珪素変性ポリビニルアルコール10%溶液を87部に変更した保護層用塗液14を用いて実施例3と同様に保護層を設け、比較例3の感熱記録材料を得た。
(比較例4)
実施例3の保護層用塗液3において、コロイダルシリカ(スノーテックスAK−L)を非晶質シリカ20%水分散液(水澤化学工業株式会社製、ミズカシルP−527)300部に変更した保護層用塗液15を用いて実施例3と同様に保護層を設け、比較例4の感熱記録材料を得た。
実施例3の保護層用塗液3において、コロイダルシリカ(スノーテックスAK−L)を非晶質シリカ20%水分散液(水澤化学工業株式会社製、ミズカシルP−527)300部に変更した保護層用塗液15を用いて実施例3と同様に保護層を設け、比較例4の感熱記録材料を得た。
(比較例5)
実施例4の保護層用塗液4において、アクリル樹脂エマルジョン(A−SU23B)をガラス転移点温度55℃のウレタン樹脂エマルジョン(大日本インキ化学工業株式会社製、AP40N 35%)31部、珪素変性ポリビニルアルコール10%溶液を150部に変更した保護層用塗液16を用いて実施例4と同様に保護層を設け、比較例5の感熱記録材料を得た。
実施例4の保護層用塗液4において、アクリル樹脂エマルジョン(A−SU23B)をガラス転移点温度55℃のウレタン樹脂エマルジョン(大日本インキ化学工業株式会社製、AP40N 35%)31部、珪素変性ポリビニルアルコール10%溶液を150部に変更した保護層用塗液16を用いて実施例4と同様に保護層を設け、比較例5の感熱記録材料を得た。
(比較例6)
実施例3の保護層用塗液3において、アクリル樹脂エマルジョン(ビニブラン2687)をガラス転移点温度15℃のエチレン酢酸ビニル樹脂エマルジョン(株式会社クラレ製、パンフレックスOM6000 50%)22部に変更した保護層用塗液16を用いて実施例3と同様に保護層を設け、比較例6の感熱記録材料を得た。
実施例3の保護層用塗液3において、アクリル樹脂エマルジョン(ビニブラン2687)をガラス転移点温度15℃のエチレン酢酸ビニル樹脂エマルジョン(株式会社クラレ製、パンフレックスOM6000 50%)22部に変更した保護層用塗液16を用いて実施例3と同様に保護層を設け、比較例6の感熱記録材料を得た。
(比較例7)
実施例3の保護層用塗液3において、アクリル樹脂エマルジョン(ビニブラン2687)をガラス転移点温度78℃のアクリル樹脂エマルジョン(日信化学工業株式会社製、ビニブラン2647 30%)に変更した保護層用塗液17を用いて実施例3と同様に保護層を設け、比較例7の感熱記録材料を得た。
実施例3の保護層用塗液3において、アクリル樹脂エマルジョン(ビニブラン2687)をガラス転移点温度78℃のアクリル樹脂エマルジョン(日信化学工業株式会社製、ビニブラン2647 30%)に変更した保護層用塗液17を用いて実施例3と同様に保護層を設け、比較例7の感熱記録材料を得た。
実施例1〜11及び比較例1〜7で作製した感熱記録材料を以下の評価に供した。
評価1 [グラビアインク耐水密着性]
前処理
汎用グラビアインク(東洋インク製CCSTシリーズ)を使用してをグラビア印刷機で細線格子模様を印刷し、40℃の乾燥機中で24時間キュアリングした。
評価
処理後の印刷面に20℃の水を滴下し、水の付着している印刷面を人差し指で直径3センチメートルの円を描くように弱い力で30回擦る。このときの印刷の残り度合いを目視にて評価した。
評価基準)○:印刷落ちがない。
△:ほとんど印刷落ちがない。(指擦り20回以上から印刷が落ち始める) ×:印刷落ちあり。(指擦り20回未満で印刷落ちが始まり、印刷部が完全に なくなる)
前処理
汎用グラビアインク(東洋インク製CCSTシリーズ)を使用してをグラビア印刷機で細線格子模様を印刷し、40℃の乾燥機中で24時間キュアリングした。
評価
処理後の印刷面に20℃の水を滴下し、水の付着している印刷面を人差し指で直径3センチメートルの円を描くように弱い力で30回擦る。このときの印刷の残り度合いを目視にて評価した。
評価基準)○:印刷落ちがない。
△:ほとんど印刷落ちがない。(指擦り20回以上から印刷が落ち始める) ×:印刷落ちあり。(指擦り20回未満で印刷落ちが始まり、印刷部が完全に なくなる)
評価2 [発色感度]
大倉電気(株)製印字テスト機(TH−PMD)を用いて、0.35mJ/dotの印可エネルギーで行った。そのときの印字濃度をマクベス反射濃度計RD−918型を用いて測定した。評価結果を表1に示す。
大倉電気(株)製印字テスト機(TH−PMD)を用いて、0.35mJ/dotの印可エネルギーで行った。そのときの印字濃度をマクベス反射濃度計RD−918型を用いて測定した。評価結果を表1に示す。
評価3 [溶剤バリア性]
白紙サンプルの保護層表面をトルエン4部、酢酸エチル6部の比率で混合した溶剤を5ml染み込ませた布で5回弱い力で擦り、処理後の溶剤でのカブリ度合い(発色度合い)を目視にて評価した。
評価基準)○:発色しない。
△:薄く発色する。
×:発色が酷い。
白紙サンプルの保護層表面をトルエン4部、酢酸エチル6部の比率で混合した溶剤を5ml染み込ませた布で5回弱い力で擦り、処理後の溶剤でのカブリ度合い(発色度合い)を目視にて評価した。
評価基準)○:発色しない。
△:薄く発色する。
×:発色が酷い。
表1の結果から明らかなように、実施例1〜11は、本発明内容を全て実施しており、印刷インクに対する耐水密着性、発色感度、溶剤バリア性の何れの評価項目も優れていた。これに対し、アクリル樹脂を含まない比較例1は印刷インクに対する耐水密着性が悪かった。アクリル樹脂を単独で使用した比較例2及び比較例3は溶剤バリア性が悪く、発色感度も不十分であった。顔料に非晶質シリカを使用した比較例4は溶剤バリア性が悪く、発色感度も不十分であった。ウレタン樹脂エマルジョンを使用した比較例5は、印刷インクに対する耐水密着性が悪く、発色感度も不十分であった。エチレン酢酸ビニル樹脂エマルジョンを使用した比較例6は、溶剤バリア性が悪かった。Tgが40℃を超えるアクリル樹脂エマルジョンを使用した比較例7は、溶剤バリア性が悪かった。
Claims (2)
- 支持体上に、感熱発色層と保護層とをこの順で設けた感熱記録材料において、該保護層中に水酸化アルミニウム及びコロイダルシリカの少なくとも1種の顔料と、ポリビニルアルコール及びアクリル樹脂とを含有し、かつ該アクリル樹脂のガラス転移点温度が40℃以下であることを特徴とする感熱記録材料。
- 上記保護層において、ポリビニルアルコール1質量部に対してアクリル樹脂が0.25〜1.7質量部であり、かつポリビニルアルコール及びアクリル樹脂の合計1質量部に対して、水酸化アルミニウム及びコロイダルシリカの合計が1.0〜3.0質量部である請求項1記載の感熱記録材料。
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