以下、本発明の内容を具体的に説明する。本発明の多色感熱記録材料は、感熱記録層中に、高温発色染料として、ビニル単量体を付加重合することにより得られる発色調節層を表面に有する粒子の形態を有する染料前駆体を含有し、かつ低温発色染料として、発色調節層を表面に有さない3,3−ビス(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドを含有し、さらに該電子受容性顕色剤として、N−(4−メチルフェニルスルホニル)−N´−[3−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フェニル]ウレアを含有し、必要に応じて、その他感熱記録紙分野で従来より公知の接着剤、白色顔料、画像保存剤などを含有した感熱記録層を、支持体上に形成させてなるものである。
本発明の発色調節層を表面に有する染料前駆体と発色調節層を有さない染料前駆体と電子受容性化合物とを主成分として使用することで、理由については、明らかではないが、光を長時間照射した後の発色性、発色した画像部および地肌部の保存安定性に優れた、多色感熱記録材料が得られる。
本発明において、発色調節層を表面に有さない染料前駆体として、赤発色性の3,3−ビス(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドが用いられるが、多色感熱記録材料の性能、特に耐光性を損なわない限り、他の赤発色性染料前駆体、黄発色性染料前駆体を添加することができる。
赤発色性染料前駆体としては、3,3−ビス(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)テトラクロロフタリド、3,3−ビス(1−ブチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−ヘキシル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−プロピル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2メチルインドール−3−イル)フタリド、ローダミンB−アニリノラクタム、ローダミンB−(o−クロロアニリノ)ラクタム、ローダミンB−(p−ニトロアニリノ)ラクタム、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−エチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロ−8−ベンジルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルエトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(N−アセチル−N−メチル)アミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−p−メチルフェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノベンゾ[a]フルオラン、3−ジエチルアミノベンゾ[c]フルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−7−メチルフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−ベンゾ[a]フルオラン、3−(N−エチル−N−オクチル)アミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−オクチル)アミノ−7−メチルフルオラン、3−(N−エチル−N−オクチル)アミノ−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−オクチル)アミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N−エチル−N−4−メチルフェニル)アミノ−7−メチルフルオラン、3−(N−エチル−N−4−メチルフェニル)アミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシエチル)アミノ−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシエチル)アミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジ−ブチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジ−ブチルアミノ−6−メチル−7−ブロモフルオラン、3−ジ−ブチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジ−ブチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジ−ブチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジアリルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジアリルアミノ−7−クロロフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ピロリジルアミノ−7−メチルフルオラン、3,6−ビス(ジエチルアミノフルオラン)−γ−(4′−ニトロ)アニリノラクタム等、
黄発色性染料前駆体の具体例としては、3,6−ジメトキシフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、2,6−ジフェニル−4−(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン、2,2−ビス(4−(2−(4−ジエチルアミノフェニル)キナゾリル)オキシフェニル)プロパン、4−クロロ−N−(4−(N−(4−メチルベンジル)−N−メチルアミノ)ベンジリデン)アニリン、1−(2−キノリル)−2−(3−メトキシ−4−ドデシルオキシフェニル)エテン、1−(4−ドデシルオキシ−3−メトキシフェニル)−2−(2−キノリル)エチレン等が挙げられる。
上記、赤発色性染料前駆体の中でも、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオランが、光を長時間照射した後の感熱発色機能を損なわない点で好ましく、感熱記録層中に3,3−ビス(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド1質量部に対して3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオランを4質量部以上7質量部以下含有させることがより好ましい。
本発明における、発色調節層を表面に有した形態で存在する高温発色の染料前駆体としては、感圧記録紙や感熱記録紙などに用いられる化合物を使用することができ、その発色色調としては、低温発色が赤発色性であるから、高温での色調が混色による暗色となるため、黒色、緑色、青色のような暗色に発色する染料前駆体を1種以上、適宜組み合わせて使用する。具体的な例としては、例えば下記に挙げるものなどがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。
黒発色性染料前駆体としては、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−メチルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3−トリフルオロメチルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−カルボメトキシ−フェニルアミノ)フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロペンチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−p−ブチルフェニルアミノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
緑発色性性染料前駆体としては、3−(N−エチル−N−ヘキシル)アミノ−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−7−(N−フェニル−N−メチル)アミノフルオラン、3−(N−エチル−N−プロピル)アミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−(N−エチル−N−プロピル)アミノ−6−クロロ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−(N−エチル−N−4−メチルフェニル)アミノ−7−(N−メチル−N−フェニル)アミノフルオラン、3−(N−エチル−4−メチルフェニル)アミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−(N−エチル−4−メチルフェニル)アミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−(N−エチル−4−メチルフェニル)アミノ−6−メチル−7−(N−メチル−ベンジル)アミノフルオラン、3−(N−メチル−N−ヘキシル)アミノ−7−アニリノフルオラン、3−(N−プロピル−N−ヘキシル)アミノ−7−アニリノフルオラン、3−(N−エトキシ−N−ヘキシル)アミノ−7−アニリノフルオラン、3−(N−ペンチル−N−アリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−ペンチル−N−アリル)アミノ−7−アニリノフルオラン、3−ジ−ブチルアミノ−6−クロロ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ−ブチルアミノ−6−メチル−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ−ブチルアミノ−6−メチル−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ−ブチルアミノ−7−(2−クロロベンジルアニリノ)フルオラン、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3′−(6′−ジメチルアミノ)フタリド、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアミノ−フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(N−シクロヘキシル−N−ベンジルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2−エトキシアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(4−エトキシアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エチルエトキシ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−p−クロルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−p−メチルフェニルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(N−シクロヘキシル−N−ベンジルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3−トリフルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−エトキシアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−エトキシアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロベンジルアニリノ)フルオラン、3−ジメチルアミノ−6−クロロ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジ−ブチルアミノ−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−[p−(p−アニリノアニリノ)アニリノ]−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−アニリノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−アニリノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ピロリジノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ピロリジノ−(7−シクロヘキシルアニリノ)フルオラン、3−ジベンジルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3,7−ビス(ジベンジルアミノ)フルオラン、3−ジベンジルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、
青発色性染料前駆体としては、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−アミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−メチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−エチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジ−プロピルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジ−ブチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジ−ペンチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジ−ヘキシルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジヒドロキシアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジクロロアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジブロモアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジアリルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジヒドロキシアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジメトキシアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエトキシアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジシクロヘキシルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジメチルエトキシアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルエトキシアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルブトキシアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジメチルシクロヘキシルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジメトキシシクロヘキシルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ピロリジルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(3−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2,3−ジエトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−クロロ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(3−クロロ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ブロモ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(3−ブロモ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−プロピル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(3−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ニトロ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−アリル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−シアノ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−シクロヘキシルエトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチルエトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−シクロヘキシルエチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(2−エチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−クロロインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−ブロモインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−エチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−プロピルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メトキシインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−エトキシインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3−(1−エチル−4,5,6,7−テトラクロロ−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−4−ニトロ−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−4−メトキシ−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−4−メチルアミノ−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−4−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−クロロ−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−ブロモ−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−プロピル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−ブチル−2−インドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−ヘキシル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−ヘキシル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4,7−ジアザフタリド、3−(1−ノニル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−メトキシ−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エトキシ−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−フェニル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−ヘプチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−ノニル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノ−2−ヘキシルオキシフェニル)−4−アザフタリドなどが挙げられる。これらは、単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
また、機能性の染料前駆体として、近赤外領域に吸収を有するものがある。この染料前駆体を高温発色用の染料前駆体として単独または、他の染料前駆体と併用して用いると、高温発色画像が近赤外領域に吸収のある、近赤外ランプでの自動読み取りが可能な画像とすることが出来る。本発明にこの染料前駆体を用いると、可視領域のみに吸収のある画像、近赤外領域に吸収のある画像等の併用が可能となり、セキュリティ性の高い記録材料を得ることが出来る。
このような、近赤外領域に吸収を有する染料としては、3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3−〔1,1−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−6−ジメチルアミノフタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3´−(6´−ジメチルアミノ)フタリド、3−〔p−(p−ジメチルアミノアニリノ)アニリノ〕−6−メチルフルオラン、3−〔p−(p−ジメチルアミノアニリノ)アニリノ〕−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(p−ブチルアミノアニリノ)−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−〔p−(p−アニリノアニリノ)アニリノ〕−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−p−(p−クロロアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6,8,8−トリメチル−9−エチル−8,9−ジヒドロ−(3,2,e)ピリドフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6,8,8−トリメチル−8,9−ジヒドロ−(3,2,e)ピリドフルオラン、3´−フェニル−7−N−ジエチルアミノ−2,2´−スピロジ−(2H−1−ベンゾピラン)、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−p−トリスルホニルメタン、3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10−ベンゾイルフェノチアジン等が挙げられる。これらの電子供与性染料前駆体は必要に応じて単独、または2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明において、高温発色の染料前駆体の表面には発色調節層が被覆されているが、発色調節層で被覆するには、先にサンドミルやボールミル等にて分散した染料前駆体の分散液に、ビニル単量体と重合開始剤を添加し、必要に応じて加熱をして分散粒子の周りに発色調節層を形成させる方法を用いることができる。
発色調節層を設ける染料前駆体粒子の分散液は、染料前駆体を乾式粉砕して分散媒中に分散する方法、染料前駆体を分散媒に混入し湿式粉砕する方法などにより得られる。粉砕する方法としては、任意の方法を用いることができる。染料前駆体の分散液中の染料前駆体粒子の粒径は、0.1μm以上20μm以下が好ましい。本発明において粒径がこの範囲である場合、効率よく発色調節層を設けることができ、また、該分散液の製造のしやすさ、多色感熱記録材料の印字性の面からも有利である。
本発明において、染料前駆体の粒子を分散する分散媒としては、水系分散媒が好ましく用いられる。水系分散媒とは、水、または、水に相溶性のある有機溶媒と水との混合溶液であり、水に相溶性のある有機溶媒の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、エチレングリコール等が挙げられるが、水に相溶性のある有機溶媒であれば特に限定はされない。染料前駆体の粒子を水系分散媒で分散した場合は、ビニル単量体を付加重合して染料前駆体粒子の表面に発色調節層を形成する際、染料前駆体粒子の分散安定性が良好であり、染料前駆体粒子間の凝集が発生しにくく、凝集による発色調節層の形成の妨害が起きにくい。
ビニル単量体には、ビニル結合を1つ有する化合物と、ビニル結合を2つ以上有する化合物がある。そのビニル結合を2つ以上有する化合物の含有量を変化させることにより、発色調節層の感熱感度特性を自由に変化させることができる。ビニル結合を1つ有する化合物のみで重合したものに比べ、ビニル結合を2つ以上有する化合物を併用した発色調節層は、より強固な架橋構造が進み、感熱記録材料にしたときの発色開始温度を高温側にすることができる。ビニル結合を2つ以上有する化合物の併用比率は、ビニル単量体の全質量に対して1質量%以上70質量%以下、好ましくは、10質量%以上50質量%以下が良い。この範囲内であれば、発色開始温度などの発色特性を任意に調節できる。
染料前駆体の分散粒子に対するビニル単量体の量は、0.5質量%以上2000質量%以下であることが好ましく、この範囲であれば、重合時の凝集も無く重合が進行し、発色調節層としての機能が十分に得られる。
本発明におけるビニル結合を1つのみ有する化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−メトキシスチレン、m−ブロモスチレン、m−クロロスチレン、o−ブロモスチレン、o−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、p−クロロスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、2−ビニルピリジン、イソブテン、3−メチル−1−ブテン、ブチルビニルエーテル、メチルビニルケトン、ニトロエチレン、ビニリデンシアニド、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクロレイン、メチルアクロレイン、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド、α−アセトキシアクリル酸エチル、α−クロロアクリル酸エチル、α−クロロアクリル酸メチル、α−シアノアクリル酸メチル、α−フェニルアクリル酸メチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸−2−ブトキシエチル、アクリル酸エトキシエトキシエチル、アクリル酸メチルトリグリコール、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸シアノエチル、アクリル酸フェロセニルメチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ヘプタフルオロブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸オクチル、トリフルオロアクリル酸メチル、アクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸−2−ニトロブチル、アクリル酸、α−ブロモアクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、アクリロニトリル、アリルグリシジルエーテル、アリル酢酸、アリルアルコール、アリルベンゼン、N−アリルステアリルアミド、1−ブテン、2−ブテン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバミン酸エチル、N−ビニルカルバゾール、クロトンアルデヒド、クロトン酸、1,1−ジフェニルエチレン、テトラフルオロエチレン、フマル酸ジエチル、1−ヘキセン、1−ビニルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、インデン、マレイン酸ジエチル、無水マレイン酸、マレイミド、メタクリルアミド、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸フェロセニルメチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−sec−ブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−エトキシエチル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸、メタアクリロキシエチルホスフェート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、N−メチロールメタクリルアミド、メタクリロニトリル、メタクリロイルアセトン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニルキノリン、安息香酸ビニル、ビニルドデシルエーテル、ビニルエチルスルホキシド、ギ酸ビニル、ビニルイソブチルエーテル、ラウリン酸ビニル、ビニルフェニルエーテルなどが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、ビニル結合を2つ以上有する化合物の具体例としては、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、オクタエチレングリコールジアクリレートなどのポリエチレングリコールジアクリレート類、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートなどのポリエチレングリコールジメタクリレート類、2,2−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパンなどの2,2−ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン類、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシトリエトキシフェニル)プロパンなどの2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン類、アリルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、アリルメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルクロレンデート、ブタジエン、ブタジエン−1−カルボン酸エチル、ブタジエン−1,4−ジカルボン酸ジエチル、ジアリルメラミン、フタル酸ジアリル、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、イソプレン、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレートなどが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
以上の本発明に係わるビニル単量体は、それぞれ単独もしくは2種以上併用して用いることができる。2種以上併用して用いる場合は、上述したように、ビニル結合を1つ有する化合物とビニル結合を2つ以上有する化合物との組み合わせが好ましいが、ビニル結合を1つ有する化合物同士、ビニル結合を2つ以上有する化物同士の組み合わせで用いることもできる。
本発明におけるビニル単量体としては、公知の化合物が使用できるが、その内、一部または全部がメタクリル酸エステルである場合、メタクリル酸エステルとその重合体は、発色調節層を設ける染料前駆体分散粒子との接着性が良く、また水系分散媒への溶解性も適当であり重合性も良好であることから、付加重合により染料前駆体分散粒子の表面を効率よく被覆することが可能である。さらに発色開始温度などの発色特性を調節する機能にも優れており、本発明では特に好ましく用いられる。
ビニル単量体を付加重合させるのに加える重合開始剤は、公知のものを用いることができ、重合反応の様式もラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合など特に限定されないが、ラジカル重合が特に好ましく用いられる。またその重合の際、必要に応じ系を加熱しても良い。
ラジカル重合の重合開始剤の具体例を以下に示す。過酸化水素、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などのアゾ化合物、過酸化水素と第一鉄塩の組み合わせ、過硫酸塩と酸性亜硫酸ナトリウムの組み合わせ、クメンヒドロキシペルオキシドと第一鉄塩の組み合わせ、過酸化ベンゾイルとジエチルアニリンの組み合わせ、過酸化物と金属アルキルの組み合わせ、酸素と有機金属アルキルの組み合わせなどのレドックス開始剤などが挙げられる。これらは単独での使用に限らず、混合して使用しても良い。
ラジカル重合の重合開始剤は、上記に示す以外でも熱や光のエネルギーにより活性ラジカルを発生させるものであれば、特に限定はされないが、染料前駆体や顕色剤の粒子を水系分散媒に分散している場合、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリドなどの水溶性重合開始剤を用いるのが特に好ましい。
重合開始剤の添加量については、ビニル単量体が付加重合を開始する量であれば、特に限定はされないが、付加重合を効率よく開始させるためには、ビニル単量体に対して0.001質量%以上10質量%以下が好ましい。
通常、多色感熱記録材料は、感熱記録層を構成する感熱記録成分を塗液の状態で支持体に塗布し、乾燥させることにより作製されるが、生産性、安全性の面から、塗液の溶媒/分散媒の主成分は水であることが多い。本発明における発色調節層を設けた染料前駆体粒子が、水系分散媒に分散していることは、該粒子を含有する多色感熱記録材料を作製する際、従来の感熱記録材料の塗液を作製する技術がそのまま適用でき、工業的に生産性の面からみても有利である。
本発明における電子受容性顕色剤として、N−(4−メチルフェニルスルホニル)−N´−[3−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フェニル]ウレアが用いられるが、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、他の電子受容性化合物を1種以上併用することも可能である。併用できる電子受容性化合物としては、一般に感圧記録材料、または感熱記録材料に用いられる酸性物質に代表されるが、これらに制限されることはない。例えば、粘土物質、フェノール誘導体、芳香族カルボン酸誘導体、N,N′−ジアリールチオ尿素誘導体、アリールスルホニル尿素誘導体、N−スルホニル尿素などの尿素誘導体、有機化合物の亜鉛塩などの多価金属塩、ベンゼンスルホンアミド誘導体等を挙げることができる。
具体的な例を挙げれば次のとおりである。すなわち、活性白土、ゼオライト、ベントナイトなどの粘土物質、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ベンジルオキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−プロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、3,4−ジヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ベンゼンスルホニルオキシジフェニルスルホン、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール、
p−フェニルフェノール、p−ヒドロキシアセトフェノン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ジ−〔2−(p−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,3−ジ−〔2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,4−ジ−〔2−(p−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、4,4′−ヒドロキシジフェニルエーテル、
3,3′−ジクロロ−4,4′−ヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、4,4′−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、
4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、没食子酸ベンジル、没食子酸ステアリル、N,N′−ジフェニルチオ尿素、4,4′−ビス[3−(4−メチルフェニルスルホニル)ウレイド]ジフェニルメタン、N−(4−メチルフェニルスルホニル)−N′−フェニル尿素、サリチルアニリド、5−クロロサリチルアニリド、サリチル酸、3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、4−[2′−(4−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、3−(オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸あるいはこれらサリチル酸誘導体の金属塩、N−(4−ヒドロキシフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフタレンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ナフタレンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシナフチル)−p−トルエンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシナフチル)ベンゼンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシナフチル)−1−ナフタレンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシナフチル)−2−ナフタレンスルホンアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)−1−ナフタレンスルホンアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)−2−ナフタレンスルホンアミド、N−(4−メチルフェニルスルホニル)−N´−フェニル尿素などが挙げられる。これらは、単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
本発明の感熱記録層には、必要に応じて接着剤を添加してもよく、特に限定されないが、発色特性に与える影響がより少ないものが特に好ましい。
接着剤の具体例としては、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、オキシベンゾイルポリエステル、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩またはアンモニウム塩、その他各種ポリオレフィン系樹脂などが挙げられ、これらは、単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
また、感熱記録層には、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、発色画像部の保存性を高めるため、保存性改良剤として、例えば、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−エチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−(2,2−プロピリデン)ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メトキシ−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(5−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(2−クロロ−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(2−メトキシ−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(2−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、1−〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α′,α′−ビス(4″−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4′−チオビス(3−メチルフェノール)、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′,5,5′−テトラブロモジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′,5,5′−テトラメチルジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、N,N′−ジ−2−ナフチル−4−フェニレンジアミン、2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リン酸ソーダ等を添加することもできる。
感熱記録層には、また、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、熱応答性(発色感度)を高めるため、公知の増感剤を使用することが可能である。この場合、60℃〜180℃の融点を有するものが好ましく、特に、80℃〜140℃の融点を持つ熱溶融化合物がより好ましい。具体的な例を挙げれば、次の通りである。
ステアリン酸アミド、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸モノアミド、N−ステアリル尿素などの脂肪族尿素化合物、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル、2,2´−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ジ(フェノキシメチル)ベンゼン、ベンジル−2−ナフチルエーテルなどのナフチルエーテル誘導体、アントリルエーテル誘導体、脂肪族エーテルなどのエーテル化合物、アジピン酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(4−クロルベンジル)、シュウ酸ビス(4−メチルベンジル)、炭酸ジフェニル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジベンジル、ベンゼンスルホン酸フェニル、4−アセチルアセトフェノンなどのエステル化合物、m−ターフェニル、4−ベンジルビフェニル、4−アセチルビフェニル、4−アリルオキシビフェニルなどのビフェニル誘導体、ジフェニルスルホン、ビス(4−アリルオキシフェニル)スルホン、アセト酢酸アニリド、4−メチルアセチルアニリド、脂肪酸アニリド類などの熱可融性化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて単独、もしくは2種以上混合して使用することができる。
本発明において、感熱記録層を設ける支持体は透明、半透明、及び不透明のいずれであってもよく、紙、各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、セラミック紙、ガラス板など、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができる。
本発明において、感熱記録層上に直接または他の層を介して1層以上の保護層を設けても良い。また、本発明において、感熱記録層と支持体の間に、平滑性、断熱性などを向上させるために中間層を設けても良い。中間層には、各種樹脂、有機顔料、無機顔料、各種中空粒子などを含有させることができる。
本発明において、感熱記録層と支持体の間の層及び/または感熱記録層が設けられている面または、反対側の面に、電気的、磁気的、または光学的に情報が記録可能な材料を含む層やインクジェット記録層、熱転写受像層などを設けても良い。また、感熱記録層が設けられている面と反対側の面にカール防止や帯電防止などを目的としてバックコート層を設けても良く、さらに粘着加工などを行ってもよい。また、感熱記録層または保護層の表面にUVインキなどによる印刷などを行ってもよい。
本発明の任意の各層には、機器マッチング性向上、白色度向上等の目的で、必要に応じて、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、多孔性合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト等の白色無機顔料、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等の単量体を主成分とする樹脂または、これらの単量体を主成分とする共重合樹脂等を殻とする有機中空粒子。特開平5−222108号公報にみる貫通孔を有する有機顔料、特開平10−217608号公報にみる開口部を有する有機顔料、その他に、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、カスターワックスなどのワックス類を、また、ジオクチルスルホこはく酸ナトリウムなどの分散剤、さらに界面活性剤、及び蛍光染料などを含有させることもできる。また、レーザー光による印字を行うために、多色感熱記録材料中の任意の層及び支持体に光熱変換材料を含有させることもできる。
本発明における各層の形成方式については、特に限定されることなく、周知の技術を用いて形成することができ、例えば、エアーナイフコーティング、ブレードコーティング、バリバーブレードコーティング、カーテンコーティング等により各層を形成することができる。更に、表面平滑性を改良するために、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、ブラッシング等の装置を利用することができる等、感熱記録材料製造に於ける種々の公知技術を用いることができる。感熱記録層の乾燥質量としては、2〜10g/m2が好ましく、また、感熱記録層と支持体の間に設ける中間層の乾燥質量としては、4〜10g/m2が好ましく、また、感熱記録層上の保護層の乾燥質量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。
(参考例1)
以下の様にして、参考例1で使用する感熱記録材料を作製し、特性評価を実施した。
なお、以下の各参考例、実施例や比較例において、特に断らない限り、部や%などの比率は質量基準である。
(1)感熱記録層塗工液の調製
以下の通り調製した(A)〜(D)の分散液を、ダイノミル(シンマルエンタープライゼス社製)を用いて、各々、体積平均粒径1.0μmになるまで湿式粉砕した。
(A)高温発色用の黒発色染料前駆体分散液
10%ポリビニルアルコール水溶液(日本合成化学工業(株)社製、ゴーセランL3266) 60.0部
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 60.0部
水 180.0部
(B)低温発色用の赤発色染料前駆体分散液
10%ポリビニルアルコール水溶液(日本合成化学工業(株)社製、ゴーセランL3266) 60.0部
3,3−ビス(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
60.0部
水 180.0部
(C)電子受容性顕色剤分散液
10%ポリビニルアルコール水溶液(日本合成化学工業(株)社製、ゴーセランL3266) 240.0部
N−(4−メチルフェニルスルホニル)−N´−[3−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フェニル]ウレア 240.0部
水 720.0部
(D)熱溶融化合物分散液
10%ポリビニルアルコール水溶液(日本合成化学工業(株)社製、ゴーセランL3266) 240.0部
1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン 240.0部
水 720.0部
(E)高温発色用の黒発色染料前駆体被覆粒子分散液
A液300部を重合容器に移し、メタクリル酸メチル12部およびエチレングリコールジメタクリレート3部を加え攪拌しながら70℃に昇温した。これに重合開始剤である1%過硫酸カリウム水溶液18部を加えて、攪拌を続けながら6時間反応させた。次いで、これを室温まで冷却し、表面に発色調節層を設けた高温発色用の染料前駆体粒子の被覆粒子分散液E液を得た。
下記成分からなる感熱記録層塗工液を調製した。
B液 300.0部
C液 1200.0部
D液 1200.0部
E液 333.1部
40%水酸化アルミニウム分散液 600.0部
20%非晶質シリカ 240.0部
50%ステアリン酸亜鉛分散液 96.0部
10%ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製NM−11)水溶液
1800.0部
水 730.9部
(2)中間層塗工液の調製
下記成分からなる中間層塗工液を調製した。
10%ヘキサメタリン酸ソーダ 10.0部
焼成カオリン(エンゲルハード社製商品名:アンシレックス) 100.0部
12%酸化でんぷん溶液 50.0部
48%SBRラテックス分散液 25.0部
水 79.0部
(3)中間層の形成
(2)で調製した中間層塗工液を、50g/m2の上質紙にブレードコーターにて固形分塗布量が9g/m2となるように塗布乾燥して中間層を形成した。
(4)感熱記録層の形成
(1)で調製した感熱記録層塗工液を、上記中間層上に固形分塗布量5g/m2となるように塗工、乾燥した後、この塗工紙をカレンダー処理して、ベック平滑度400〜600秒になるように仕上げ、参考例1の多色感熱記録材料を得た。
作製した多色感熱記録材料を以下の評価に供した。
評価1 [発色感度]
大倉電気(株)製印字テスト機(TH−PMD)を用いて、0.25mJ/dotの印可エネルギーで低温発色の赤色印字を、0.35mJ/dotの印可エネルギーで高温発色の黒色印字を行った。そのときの印字濃度をマクベス反射濃度計RD−918型を用いて測定した。このとき、赤色印字には赤用フィルターを、黒色印字には黒用フィルターを用いた。評価結果を表1に示す。
評価2 [色分離性]
評価1にて2色印字したサンプルについて、赤発色と黒発色の色分離性を目視により観察し、赤発色に濁りがなく、色分離が明確なものを○、赤発色に黒発色がやや混じり、色分離性がやや不明瞭なものを△、赤発色に黒発色が混じり、不明確なものを×として評価した。評価結果を表1に示す。
評価3 [画像耐光性]
評価1にて2色印字したサンプルに、キセノンアーク光源式促進耐光試験装置(アトラス社製Ci35)で温度40℃、相対湿度90%の環境下において、340nmにおける照射エネルギーが0.39W/m2であるキセノンアーク光を12時間照射した後、印字濃度をマクベス反射濃度計RD−918型を用いて測定した。このとき、赤色印字には赤用フィルターを、黒色印字には黒用フィルターを用いた。評価結果を表1に示す。
評価4 [印字前耐光性]
白紙サンプルを、キセノンアーク光源式促進耐光試験装置(アトラス社製Ci35)で温度40℃、相対湿度90%の環境下において、340nmにおける照射エネルギーが0.39W/m2であるキセノンアーク光を12時間照射した後、大倉電気(株)製印字テスト機(TH−PMD)を用いて、0.25mJ/dotの印可エネルギーで低温発色の赤色印字を、0.35mJ/dotの印可エネルギーで高温発色の黒色印字を行った。そのときの印字濃度をマクベス反射濃度計RD−918型を用いて測定した。このとき、赤色印字には赤用フィルターを、黒色印字には黒用フィルターを用いた。評価結果を表1に示す。
(参考例2)
低温発色用の赤発色染料熱前駆体分散液(B液)の組成を、以下のように変更した以外は、参考例1と同様にして多色感熱記録材料を作製し、評価1〜4を実施した。評価結果を表1に示す。
10%ポリビニルアルコール水溶液(日本合成化学工業(株)社製、ゴーセランL3266) 60.0部
3,3−ビス(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
30.0部
3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン 30.0部
水 180.0部
(実施例1)
低温発色用の赤発色染料熱前駆体分散液(B液)の組成を、以下のように変更した以外は、参考例1と同様にして多色感熱記録材料を作製し、評価1〜4を実施した。評価結果を表1に示す。
10%ポリビニルアルコール水溶液(日本合成化学工業(株)社製、ゴーセランL3266) 60.0部
3,3−ビス(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
12.0部
3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン 48.0部
水 180.0部
(実施例2)
低温発色用の赤発色染料熱前駆体分散液(B液)の組成を、以下のように変更した以外は、参考例1と同様にして多色感熱記録材料を作製し、評価1〜4を実施した。評価結果を表1に示す。
10%ポリビニルアルコール水溶液(日本合成化学工業(株)社製、ゴーセランL3266) 60.0部
3,3−ビス(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
8.0部
3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン 52.0部
水 180.0部
(比較例1)
低温発色用の赤発色染料熱前駆体分散液(B液)の組成を、以下のように変更した以外は、参考例1と同様にして多色感熱記録材料を作製し、評価1〜4を実施した。評価結果を表1に示す。
10%ポリビニルアルコール水溶液(日本合成化学工業(株)社製、ゴーセランL3266) 60.0部
3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン 60.0部
水 180.0部
(比較例2)
低温発色用の赤発色染料熱前駆体分散液(B液)の組成を、以下のように変更した以外は、参考例1と同様にして多色感熱記録材料を作製し、評価1〜4を実施した。評価結果を表1に示す。
10%ポリビニルアルコール水溶液(日本合成化学工業(株)社製、ゴーセランL3266) 60.0部
3−ジエチルアミノ−7−フェノキシフルオラン 60.0部
水 180.0部
(比較例3)
電子受容性顕色剤分散液(C液)の組成を、以下のように変更した以外は、参考例1と同様にして多色感熱記録材料を作製し、評価1〜4を実施した。評価結果を表1に示す。
10%ポリビニルアルコール水溶液(日本合成化学工業(株)社製、ゴーセランL3266) 240.0部
4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン 240.0部
水 720.0部
(比較例4)
電子受容性顕色剤分散液(C液)の組成を、以下のように変更した以外は、参考例1と同様にして多色感熱記録材料を作製し、評価1〜4を実施した。評価結果を表1に示す。
10%ポリビニルアルコール水溶液(日本合成化学工業(株)社製、ゴーセランL3266) 240.0部
ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン 240.0部
水 720.0部
(比較例5)
電子受容性顕色剤分散液(C液)の組成を、以下のように変更した以外は、参考例1と同様にして多色感熱記録材料を作製し、評価1〜4を実施した。評価結果を表1に示す。
10%ポリビニルアルコール水溶液(日本合成化学工業(株)社製、ゴーセランL3266) 240.0部
4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン 240.0部
水 720.0部
(比較例6)
高温発色用の黒発色染料前駆体被覆液(E液)の代わりに黒発色染料前駆体分散液(A液)を用い、感熱記録層塗工液を下記のように変更して調製した以外は、参考例1と同様にして多色感熱記録材料を作製し、評価1〜4を実施した。評価結果を表1に示す。
B液 300.0部
C液 1200.0部
D液 1200.0部
A液 300.0部
40%水酸化アルミニウム分散液 600.0部
20%非晶質シリカ 240.0部
50%ステアリン酸亜鉛分散液 96.0部
10%ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製NM−11)水溶液
1800.0部
水 764.0部
表1の結果から明らかなように、実施例1〜2は、本発明内容を全て実施しており、発色感度、色分離性、画像耐光性、印字前耐光性の何れの評価項目も優れていた。これに対し、赤色染料前駆体として3,3−ビス(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドを含有しない比較例1、2、並びに本発明で規定しない電子受容性顕色剤を含有した比較例3〜5は、画像耐光性と印字前耐光性が低かった。また、黒発色染料前駆体に発色調節層を有さない比較例6では、色分離性と地肌耐熱性が悪かった。