JP4581393B2 - 活性光線硬化型インクジェット用インク - Google Patents

活性光線硬化型インクジェット用インク Download PDF

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Description

本発明は、新規のカチオン系の活性光線硬化型インクジェット用インクに関するものである。
近年、インクジェット記録方式は簡便・安価に画像を作成出来るため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印刷分野に応用されてきている。特に、微細なドットを出射、制御する記録装置や、色再現域、耐久性、出射適性等を改善したインク及びインクの吸収性、色材の発色性、表面光沢などを飛躍的に向上させた専用紙を用い、銀塩写真に匹敵する画質を得ることも可能となっている。今日のインクジェット記録方式の画質向上は、記録装置、インク、専用紙の全てが揃って初めて達成されている。
しかしながら、専用紙を必要とするインクジェットシステムは、記録媒体が制限されること、記録媒体のコストアップが問題となる。そこで、専用紙と異なる被転写媒体へインクジェット方式により記録する試みが多数なされている。具体的には、室温で固形のワックスインクを用いる相変化インクジェット方式、速乾性の有機溶剤を主体としたインクを用いるソルベント系インクジェット方式や、記録後に紫外線(UV)光等の活性光線により架橋させる活性光線硬化型インクジェット方式などである。
中でも、活性光線硬化型インクジェット方式は、ソルベント系インクジェット方式に比べ比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い記録媒体への記録が出来る点で、近年注目されつつあり、例えば、特開平6−200204号、特表2000−504778号において、紫外線硬化型インクジェット用インクが開示されている。
又、活性光線硬化型インクジェット用インクとしては、一般にラジカル重合タイプとカチオン重合タイプがあるが、カチオン重合タイプは、酸素阻害を受けないこと、使用するカチオン系モノマーは比較的低臭気で、硬化収縮が少ない等の利点があり注目されている。
例えば、オキシラン基含有化合物、オキセタン環含有化合物、ビニールエーテル化合物からなる液状成分に顔料分散剤を含み、平均粒径D50が10〜150nmである顔料を分散したカチオン型の紫外線硬化型インクジェット用インクが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、特許文献1に記載の顔料粒子は、粒径分布幅が広く、粗大粒子も存在する為、インクの保存性、出射安定性に課題を抱え、更に光散乱が多くなり画像透明性に劣るという欠点を有している。
また、光カチオン重合性物質と光カチオン重合開始剤と官能基を有する界面活性剤を含有し、酸価が150mgKOH以下、またはアミン価が23mgKOH以下である活性光線硬化型インクが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、特許文献2で開示されている活性光線硬化型インクについて、本発明者が詳細に検討を加えた結果、顔料粒子の分布幅が広く、粗大粒子が存在するため、インクの保存性、出射安定性や画像透明性に劣るという欠点があることが判明した。
また、上記特許文献2と同様、カチオン系活性光線硬化型組成物で、製造時の平均粒子径に対する所定時間経過後の平均粒子径が15倍以下であること、及び界面活性剤が高分子量共重合体又は高分子量ポリエステル酸アマイドアミン塩であるインクが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、特許文献2で開示されている活性光線硬化型インクについて、本発明者が詳細に検討を加えた結果、粒度分布幅が広く、粗大粒子の沈降により、インクの保存性、出射安定性や色濃度再現性に劣るという欠点を抱えていることが判明した。
以上のように、従来技術においては、保存性や出射安定性等のインク性能と記録媒体に印字後の形成された画像濃度や画像透明性等の画質性能との両立が可能なカチオン重合系の活性光線硬化型インクは、いまだ見出せていないのが現状である。そのため、保存安定性、出射安定性が良好で、かつ色濃度再現性、画像透明性が良好なカチオン系の活性光線硬化型インクジェット用インクの開発が求められている。
特開2002−188025号公報 特開2002−348478号公報 特開2003−55563号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、インクの保存安定性、出射安定性が良好で、かつ色濃度再現性、画像透明性に優れた活性光線硬化型インクジェット用インクを提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
光重合性化合物、光重合開始剤、顔料及び分散剤を含有する活性光線硬化型インクジェット用インクにおいて、該顔料の二次顔料粒子は、質量基準の正規分布換算で求めた下記で定義する平均粒径であるD50が50〜200nmであって、かつ下記で定義するD90とD10との分布の幅ΔD(D90−D10)が170nm以下であることを特徴とする活性光線硬化型インクジェット用インク。
50:二次顔料粒子の分布関数dG=F(D)dDの積分曲線で、二次顔料粒子の全質量の0.5(50質量%)に等しい粒径を表す。
90:二次顔料粒子の分布関数dG=F(D)dDの積分曲線で、二次顔料粒子の全質量の0.9(90質量%)に等しい粒径を表す。
10:二次顔料粒子の分布関数dG=F(D)dDの積分曲線で、二次顔料粒子の全質量の0.1(10質量%)に等しい粒径を表す。
なお、Gは粒子数、Dは粒径、dGは粒径区間dDの間の二次顔料粒子の質量を表す。
(請求項2)
前記顔料表面の親水性度δmが22以下であり、かつ前記分散剤がアミン価を有する高分子分散剤であることを特徴とする請求項1に記載の活性光線硬化型インクジェット用インク。
(請求項3)
前記光重合性化合物の少なくとも1種が、オキセタン環を有する光重合性化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の活性光線硬化型インクジェット用インク。
(請求項4)
前記オキセタン環を有する光重合性化合物が、下記一般式(G)で表される化合物であることを特徴とする請求項3に記載の活性光線硬化型インクジェット用インク。
Figure 0004581393
〔式中、R は水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基を表す。〕
(請求項5)
前記光重合開始剤が、カチオン系光重合開始剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェット用インク。
(請求項6)
前記質量基準の正規分布換算で求めた前記で定義した平均粒径であるD50が50〜150nmであって、かつ前記で定義したD90とD10との分布の幅ΔD(D90−D10)が150nm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェット用インク。
本発明によれば、インクの保存安定性、出射安定性が良好で、かつ色濃度再現性、画像透明性に優れた活性光線硬化型インクジェット用インクを提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、光重合性化合物、光重合開始剤、顔料及び分散剤を含有する活性光線硬化型インクジェット用インクにおいて、顔料の二次顔料粒子が、質量基準の正規分布換算で求めた平均粒径であるD50が50〜200nmであって、D90とD10との分布の幅ΔD(D90−D10)が170nm以下のシャープな粒径分布を有する活性光線硬化型インクジェット用インク(以下、単にインクともいう)を用いることにより、保存安定性、出射安定性のインク性能、及び色濃度再現性、画像透明性等の印字後の画質性能が著しく向上することを見出し、本発明に至った次第である。
すなわち、顔料粒子の平均粒径D50を50〜200nm、分布の幅D90−D10を170nm以下のシャープな粒径分布とすることにより、インクを長期間に亘り保存した際でも、粒度分布の変化も小さく、インクの保存安定性が確保される。その理由としては、顔料粒子の平均粒径D50が50nm未満であると、顔料の一次粒子が破砕される領域で、分散に要するエネルギーが大きくなりすぎ、分散の単位あたりのエネルギーコストが掛かりすぎること、あるいは一次粒子の破砕による表面活性な新生面が生成し、顔料微粒子同士の凝集により、粗大粒子が発生するためである。また、顔料粒子の平均粒径D50が200nmを超える、あるいは分布の幅D90−D10が170nmを超えた広い分布になると、インクとした後、長期の保存期間中に分散した顔料粒子が沈降する恐れがあるためである。
また、出射安定性についても、上記のインクの保存安定性と同様な理由で、粗大粒子の発生がないので、出射時のノズル詰まりや斜方出射が低減された安定な出射性が確保される。
また、従来、活性光線硬化型インクジェット用インクの多くは、インクとしての長期保存安定性が十分ではないため、顔料粒子の凝集等により粗大粒子が発生し沈降する。その結果、長期保存により、見かけ上の顔料濃度が減少するため、印字した画像濃度が低下するという課題を抱えていた。これに対し、本発明で規定する平均粒径及び粒径分布を備えたインクは、長期保存時での顔料微粒子の発生や凝集が抑制され、色濃度の変化が少ない所望の画像濃度を得ることができ、良好な色濃度再現性が確保される。
また、顔料粒子の分布幅が広いと、インク中に粒径の大きな粗大粒子が存在するため、その結果、形成された画像における光散乱が多くなり、透明感の低下を引き起こす。これに対して、本発明で規定する顔料粒子の平均粒径及び粒径分布とすることにより、小粒径で、かつ粒径分布幅が狭いインクにより、光散乱が低減し、透明感に優れた画像を得ることができる。
本発明において、本発明で規定する顔料の二次顔料粒子の平均粒径D50を50〜200nm、あるいはD90とD10との分布の幅ΔD(D90−D10)を170nm以下のシャープな粒径分布を実現する手段として、特に制限はないが、顔料として表面の親水性度δmが22以下である顔料を選択すること、分散剤として高分子分散剤を用いること、好ましくはアミン価を有する高分子分散剤、あるいは塩基性官能基を有する高分子分散剤を用いること、顔料の分散条件を適宜調整すること、あるいはフィルターによる濾過あるいは遠心分離法等により粗大粒子を除去する方法から適宜選択、あるいは組み合わせることにより達成することができる。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のインクにおいては、含有される顔料の二次顔料粒子が、質量基準の正規分布換算で求めた前記で定義した平均粒径であるD50が50〜200nmであって、かつ前記で定義したD90とD10との分布の幅ΔD(D90−D10)が170nm以下であることを特徴とする。
本発明において、D90、D50、D10は、それぞれ分布関数dG=F(D)dD(Gは粒子数、Dは粒径)の積分が、全粒子質量の0.9(90質量%)、0.5(50質量%)及び0.1(10質量%)に等しい粒径を表す。
上記関係式を、更に図を用いて説明する。
図1は、粒子の粒径(D)が横座標にプロットされ、与えられた寸法の各粒子の質量関数(G)が縦座標にプロットされている座標系において、インクの粒径の分布関数の曲線を実線として示す。さらに、同じ座標系において、10%、50%および90%粒子質量関数の点および粒径の関連する点D10、D50およびD90がクロスにより表されている分布関数の積分を破線曲線を示す。
ここで、D50は、質量基準の正規分布換算で求めた平均粒径であり、本発明では50〜200nmであることが特徴の1つであり、好ましくは50〜150nmである。
また、本発明で規定するD90とD10との差ΔD(D90−D10)が170nm以下とは、図1の16で示すΔD(D90−D10)が170nm以下であることを表し、好ましくは1〜170nmであり、さらに好ましくは1〜150である。
また、本発明でいう粒径とは、質量基準の正規分布換算で求めた粒径を意味し、例えば、マルバーン社製ゼータサイザー1000を用いて求めることができる。
本発明のインクにおいては、表面の親水性度δmが22以下である顔料を用いることが好ましい。
本発明でいう顔料表面の親水性度δmとは、色材,73〔3〕,136(2000)に記載されている滴定法により求められる表面の親水性度δmであり、本発明においては表面の親水性度δmが22以下であることが好ましく、より好ましくは21.5以下、更に好ましくは10.0〜21.5である。δmが22を越えると、分散性が大幅に劣化するため好ましくない。
本発明において、顔料表面の親水性度を本発明で規定する22以下に設定するには、顔料誘導体処理、ロジン処理、ポリマー処理、表面のグラフト化処理、プラズマ処理等の公知の表面処理方法を適宜選択、あるいは組み合わせることにより、達成することができる。
次いで、本発明のインクで用いることのできる顔料の具体例を、以下に列挙するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
赤またはマゼンタ顔料としては、Pigment Red;3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet;3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange;13、16、20、36、青またはシアン顔料としては、pigment Blue;1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60、緑顔料としては、Pigment Green;7、26、36、50、黄顔料としては、Pigment Yellow;1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、120、128、137、138、139、151、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193、黒顔料としては、Pigment Black;7、26、28、白顔料としては、Pigment White;6、18、21等が目的に応じて使用できる。
本発明においては、上記顔料の分散に使用する分散剤として、高分子分散剤を用いることが好ましく、さらにアミン価を有する高分子分散剤、または塩基性官能基を有する高分子分散剤を使用することが好ましい。
高分子分散剤としては、例えば、Avecia社製のSolsperseシリーズや、味の素ファインテクノ社のアジスパーシリーズ、BYKChemie社製のDisperbykシリーズ、楠本化成社のディスパロンシリーズやPLAADシリーズ等が挙げられる。また、分散助剤としては、各種顔料に応じたシナジストを用いることもできる。
顔料の分散に使用する分散装置としては、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーター、ペイントシェーカー、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ヘンシェルミキサーを用いることができる。
以下に、本発明に係る顔料分散の好ましい分散プロセス条件の一例を示すが、本発明はこの例示条件にのみ限定されるものではない。
1:小粒径のジルコニアビーズ(粒径0.3mm〜1.0mm)を使用したビーズミルにより、固形分濃度、分散剤量を適宜選択する。なお、固形分濃度(顔料+分散剤の割合)は10〜40質量%が好ましい。また、ビーズミルとしては、例えば、ペイントシェーカー、サンドグラインダー、循環型媒体攪拌ビーズミル等を用いることができる。
2:顔料に対する高分子分散剤の使用量
顔料のBET比表面積(m2/g)をAとしたとき、顔料に対する分散剤の添加量比率BはB=(0.1〜0.8)×A(%)であることが好ましく、更に好ましくはB=(0.2〜0.6)×A(%)である。
顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を200nm以下とすることが特徴の1つであるが、150nm以下とすることが更に好ましい。また、最大粒径は0.2〜10μm、好ましくは0.2〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。本発明に係るインク組成物においては、色材濃度としては、インク全体の1質量%乃至10質量%であることが好ましい。
次いで、本発明に係る光重合性化合物について説明する。
本発明の活性光線硬化型インクジェット用インクでは、重合性化合物を含有することが特徴の1つであり、特に、オキセタン環を有する光重合性化合物を含有することが好ましい。
本発明に係るオキセタン環を有する光重合性化合物(以下、オキセタン化合物ともいう)は、例えば、特開2001−220526、特開2001−310937に紹介されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。
本発明に係るオキセタン化合物において、オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、インク組成物の粘度が高くなるため、取扱いが困難になったり、またインク組成物のガラス転移温度が高くなるため、得られる硬化物の粘着性が十分でなくなってしまう。本発明で使用するオキセタン環を有する化合物は、オキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
以下、本発明に係るオキセタン環を有する光重合性化合物の具体例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(A)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0004581393
一般式(A)において、R1は水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基である。R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、またはエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等である。
2個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(B)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 0004581393
一般式(B)において、R1は、上記一般式(A)におけるそれと同様の基である。R3は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の線状または分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等の線状または分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等の線状または分枝状不飽和炭化水素基、またはカルボニル基またはカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基等である。
また、R3としては、下記一般式(C)、(D)及び(E)で示される基から選択される多価基も挙げることができる。
Figure 0004581393
一般式(C)において、R4は、水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、またはカルバモイル基である。
Figure 0004581393
一般式(D)において、R5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF32、又はC(CH32を表す。
Figure 0004581393
一般式(E)において、R6は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。nは0〜2000の整数である。R7はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。R7としては、更に、下記一般式(F)で示される基から選択される基も挙げることができる。
Figure 0004581393
一般式(F)において、R8は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。mは0〜100の整数である。
2個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
Figure 0004581393
例示化合物1は、前記一般式(B)において、R1がエチル基、R3がカルボキシル基である化合物である。また、例示化合物2は、前記一般式(B)において、R1がエチル基、R3が前記一般式(E)でR6及びR7がメチル基、nが1である化合物である。
2個のオキセタン環を有する化合物において、下記一般式(G)で示される化合物であることが好ましい。一般式(G)において、Rは、前記一般式(A)のRと同義である。
Figure 0004581393
また、3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(H)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0004581393
一般式(H)において、R1は、前記一般式(A)におけるR1と同義である。R9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基又は下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは、3又は4である。
Figure 0004581393
上記Aにおいて、R10はメチル基、エチル基又はプロピル基等の低級アルキル基である。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、例示化合物3が挙げられる。
Figure 0004581393
さらに、上記説明した以外の1〜4個のオキセタン環を有する化合物の例としては、下記一般式(I)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0004581393
一般式(I)において、R8は前記一般式(F)のR8と同義である。R11はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
本発明で使用するオキセタン化合物の好ましい具体例としては、以下に示す化合物がある。
Figure 0004581393
上述したオキセタン環を有する各化合物の製造方法は、特に限定されず、従来知られた方法に従えばよく、例えば、パティソン(D.B.Pattison, J.Am.Chem.Soc.,3455,79(1957))が開示している、ジオールからのオキセタン環合成法等がある。また、これら以外にも、分子量1000〜5000程度の高分子量を有する1〜4個のオキセタン環を有する化合物も挙げられる。これらの具体的化合物例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 0004581393
また、本発明の活性光線硬化型インクジェット用インクにおいては、2−置換オキセタン化合物を用いることもできる。
本発明で用いることのできる2−置換オキセタン化合物とは、下記一般式(1)で表される分子中に1個または2個以上のオキセタン環を有する化合物が挙げられる。
Figure 0004581393
(式中、R1〜R6はそれぞれ水素原子、1価または2価の有機基を表し、R3〜R6の少なくとも一つは水素原子ではない。)
分子中に1個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(2)〜(5)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0004581393
一般式(2)〜(5)中、Zはそれぞれ独立で、酸素又は硫黄原子、あるいは主鎖に酸素又は硫黄原子を含有してもよい2価の炭化水素基である。
1〜R6は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基又はチエニル基である。
7およびR8は、それぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基又は3−ブテニル基等の炭素数1〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基又はフェノキシエチル基等のアリール基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基又はペンチルカルボニル基等の炭素数1〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基又はブトキシカルボニル基等の炭素数1〜6個のアルコキシカルボニル基、エトキシカルバモイル基、プロピルカルバモイル基又はブチルペンチルカルバモイル基等の炭素数1〜6個のアルコキシカルバモイル基を表す。
また、一般式(2)〜(4)においてはR3〜R6の少なくとも一つは水素原子ではない。
本発明で使用するオキセタン環含有化合物としては、上記一般式(2)〜(5)において、R1が低級アルキル基、特にエチル基、R7およびR8がプロピル基、ブチル基、フェニル基又はベンジル基、Zは酸素又は硫黄原子を含まない炭化水素基であるものが好ましい。
尚、分子中に2個以上のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(6)又は(7)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0004581393
一般式(6)及び(7)中、mは2、3又は4、Zはそれぞれ独立で、酸素又は硫黄原子、あるいは酸素又は硫黄原子を含有してもよい2価の炭化水素基である。
1〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基又はフリル基である。
一般式(6)においてはR3〜R6の少なくとも一つは水素原子ではない。
また、R9は、例えば下記一般式(8)で示される炭素数1〜12の線形又は分枝アルキレン基、線形或いは分枝ポリ(アルキレンオキシ)基である。
Figure 0004581393
一般式(8)中、R10はメチル基、エチル基又はプロピル基等の低級アルキル基を表す。
或いは、R9は下記一般式(9)、(11)及び(12)の群から選択される多価基である。
Figure 0004581393
一般式(9)中、nは0又は1〜2000の整数、R11はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜10個のアルキル基及び下記一般式(10)から成る群から選択される基を表す。R12はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜10個のアルキル基を表す。
Figure 0004581393
一般式(10)中、jは0又は1〜100の整数、R13はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基を表す。
Figure 0004581393
一般式(11)中、R14は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜10個のアルキル基、炭素数1〜10個のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシレート基又はカルボキシル基を表す。
Figure 0004581393
一般式(12)中、R15は酸素原子、硫黄原子、NH、SO、SO2、CH2、C(CH32又はC(CF32を表す。
本発明で使用されるオキセタン環含有化合物として、上記一般式(6)及び(7)において、R1が低級アルキル基、特にエチル基、R9が、一般式(11)においてR14が水素原子である基、ヘキサメチレン基、一般式(8)においてR10がエチル基、一般式(9)においてR12はメチル基、更に一般式(10)においてR13はメチル基、Zは酸素又は硫黄原子を含まない炭化水素基であるものが好ましい。
更に、分子中に複数のオキセタン環を有する化合物の例としては、下記一般式(13)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004581393
一般式(13)において、rは25〜200の整数であり、R16は炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基である。R1〜R6は一般式(1)に、R13は一般式(10)に示すものと同一であり、また、R3〜R6の少なくとも一つは水素原子ではない。
本発明に係る、少なくとも2位が置換されているオキセタン環を有する化合物の合成は、下記に記載の文献を参考に合成することができる。
(1)Hu Xianming,Richard M.Kellogg,Synthesis,533〜538,May(1995)
(2)A.O.Fitton,J.Hill,D.Ejane,R.Miller,Synth.,12,1140(1987)
(3)Toshiro Imai and Shinya Nishida,Can.J.Chem.Vol.59,2503〜2509(1981)
(4)Nobujiro Shimizu,Shintaro Yamaoka,and Yuho Tsuno,Bull.Chem.Soc.Jpn.,56,3853〜3854(1983)
(5)Walter Fisher and Cyril A.Grob,Helv.Chim.Acta.,61,2336(1978)
(6)Chem.Ber.101,1850(1968)
(7)“Heterocyclic Compounds with Three− and Four−membered Rings”,Part Two,Chapter IX,Interscience Publishers,John Wiley & Sons,New York(1964)
(8)Bull.Chem.Soc.Jpn.,61,1653(1988)
(9)Pure Appl.Chem.,A29(10),915(1992)
(10)Pure Appl.Chem.,A30(2&3),189(1993)
(11)特開平6−16804号公報
(12)DE1021858
以下、本発明に係る2位が置換されているオキセタン環を有する化合物の具体例を例示化合物1〜15として示すが、本発明に係る化合物はこれらに限定されない。
例示化合物1:trans−3−tert−ブチル−2−フェニルオキセタン
例示化合物2:3,3,4,4−テトラメチル−2,2−ジフェニルオキセタン
例示化合物3:ジ[3−エチル(2−メトキシ−3−オキセタニル)]メチルエーテル
例示化合物4:1,4−ビス(2,3,4,4−テトラメチル−3−エチル−オキセタニル)ブタン
例示化合物5:1,4−ビス(3−メチル−3−エチルオキセタニル)ブタン
例示化合物6:ジ(3,4,4−トリメチル−3−エチルオキセタニル)メチルエーテル
例示化合物7:3−(2−エチル−ヘキシルオキシメチル)−2,2,3,4−テトラメチルオキセタン
例示化合物8:2−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−2,3,3,4,4−ペンタメチル−オキセタン
例示化合物9:4,4′−ビス[(2,4−ジメチル−3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ビフェニル
例示化合物10:1,7−ビス(2,3,3,4,4−ペンタメチル−オキセタニル)ヘプタン
例示化合物11:オキセタニル シルセスキオキサン
例示化合物12:2−メトキシ−3,3−ジメチルオキセタン
例示化合物13:2,2,3,3−テトラメチルオキセタン
例示化合物14:2−(4−メトキシフェニル)−3,3−ジメチルオキセタン
例示化合物15:ジ(2−(4−メトキシフェニル)−3−メチルオキセタン−3−イル)エーテル
また、本発明においては、光重合性化合物として、あらゆる公知のオキシラン基を有する化合物(以下、エポキシ化合物と称する)やビニルエーテル化合物を用いることができる。
エポキシ化合物には、以下の芳香族エポキシド、脂環式エポキシド及び脂肪族エポキシド等が挙げられる。
芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルであり、例えばビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセン又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリン或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、ビニルエーテル化合物としては、例えばエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明の活性光線硬化型インクジェット用インクでは、光重合開始剤を含有し、好ましくはカチオン系の光重合開始剤である。
光重合開始剤としては、芳香族オニウム塩を挙げることができる。この芳香族オニウム塩として、周期表第Va族元素の塩たとえばホスホニウム塩(例えば、ヘキサフルオロリン酸トリフェニルフェナシルホスホニウムなど)、第VIa族元素の塩、例えば、スルホニウム塩(例えば、テトラフルオロホウ酸トリフェニルスルホニウム、ヘキサフルオロリン酸トリフェニルスルホニウム、ヘキサフルオロリン酸トリス(4−チオメトキシフェニル)、スルホニウム及びヘキシサフルオロアンチモン酸トリフェニルスルホニウムなど)、及び第VIIa族元素の塩、例えば、ヨードニウム塩(例えば、塩化ジフェニルヨードニウムなど)を挙げることができる。このような芳香族オニウム塩をエポキシ化合物の重合におけるカチオン重合開始剤として使用することは、米国特許第4,058,401号、同第4,069,055号、同第4,101,513号及び同第4,161,478号に詳述されている。
好ましい光重合開始剤としては、第VIa族元素のスルホニウム塩が挙げられる。その中でも、紫外線硬化性と紫外線硬化性の組成物の貯蔵安定性の観点からすると、ヘキサフルオロアンチモン酸トリアリールスホニウムが好ましい。またフォトポリマーハンドブック(フォトポリマー懇話会編 工業調査会発行 1989年)の39〜56頁に記載の公知の光重合開始剤、特開昭64−13142号、特開平2−4804号に記載されている化合物を任意に用いることが可能である。
また、光重合開始剤として、活性光線照射によりベンゼンを発生しないスルホニウム塩を用いることが好ましい。
本発明でいう「活性光線照射によりベンゼンを発生しない」とは、実質的にベンゼンを発生しないことを意味し、具体的には、インク組成物中にオニウム塩(光酸発生剤)を5質量%含有したインクを用いて、厚さ15μmで約100m2の画像を印字し、インク膜面を30℃に保った状態で光酸発生剤が十分分解する量の活性光線を照射した際に発生するベンゼンの量が、5μg以下の極微量あるいは皆無であることを指す。該オニウム塩としては、スルホニウム塩あるいはヨードニウム塩が好ましく、S+あるいはI+と結合するベンゼン環に置換基を有するものであれば、上記条件を満たす。
該スルホニウム塩としては、下記一般式〔1〕〜〔4〕で表されるスルホニウム塩化合物が好ましく、S+と結合するベンゼン環に置換基をもつものであれば、上記条件を満たす。
Figure 0004581393
上記一般式〔1〕〜〔4〕において、R1〜R17はそれぞれ水素原子、または置換基を表し、R1〜R3が同時に水素原子を表すことがなく、R4〜R7が同時に水素原子を表すことがなく、R8〜R11が同時に水素原子を表すことがなく、R12〜R17が同時に水素原子を表すことはない。
1〜R17で表される置換基としては、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピル基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基等のアルコキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、デシルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンゾイルオキシ基等のカルボニル基、フェニルチオ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基等を挙げることができる。
Xは、非求核性のアニオン残基を表し、例えば、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子、B(C654、R18COO、R19SO3、SbF6、AsF6、PF6、BF4等を挙げることができる。ただし、R18およびR19は、それぞれメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基等で置換されていもよいアルキル基もしくはフェニル基を表す。この中でも、安全性の観点から、B(C654、PF6が好ましい。
上記化合物は、THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN Voi.71 No.11,1998年、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、に記載の光酸発生剤と同様、公知の方法にて容易に合成することができる。
本発明においては、前記一般式〔1〕〜〔4〕で表されるスルホニウム塩が、下記一般式〔5〕〜〔13〕から選ばれるスルホニウム塩の少なくとも1種であることが、特に好ましい。Xは非求核性のアニオン残基を表し、前述と同様である。
Figure 0004581393
本発明の活性光線硬化型インクジェット用インクには、上記説明した以外に様々な添加剤を用いることができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。また、保存安定性を改良する目的で、公知のあらゆる塩基性化合物を用いることができるが、代表的なものとして、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミンなどの塩基性有機化合物などがあげられる。また、ラジカル重合性モノマーと開始剤を組み合わせ、ラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとすることも可能である。
本発明の活性光線硬化型インクジェット用インクにおいては、25℃における粘度が7〜50mPa・sであることが、硬化環境(温度・湿度)に関係なく吐出が安定し、良好な硬化性を得るために好ましい。
次に、本発明で用いることのできる画像形成方法について説明する。
本発明に係る画像形成方法においては、上記のインクをインクジェット記録方式により基材上に吐出、描画し、次いで、紫外線などの活性光線を照射してインクを硬化させる方法である。
本発明では、基材上にインクが着弾し、活性光線を照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜20μmであることが好ましい。スクリーン印刷分野の活性光線硬化型インクジェット記録では、総インク膜厚が20μmを越えているのが現状であるが、基材が薄いプラスチック材料であることが多い軟包装印刷分野では、前述した基材のカール・皺の問題でだけでなく、印刷物全体のこし・質感が変わってしまうという問題が有るため、過剰な膜厚のインク吐出は好ましくない。
尚、ここで「総インク膜厚」とは基材に描画されたインクの膜厚の最大値を意味し、単色でも、それ以外の2色重ね(2次色)、3色重ね、4色重ね(白インクベース)のインクジェット記録方式で記録を行った場合でも総インク膜厚の意味するところは同様である。
インクの吐出条件としては、インクジェット記録ヘッド及びインクを35〜100℃に加熱し、吐出することが吐出安定性の点で好ましい。活性光線硬化型のインクは、温度変動による粘度変動幅が大きく、粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度を上げながらその温度を一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅としては、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃である。
また、本発明では、各ノズルより吐出する最小の液滴量が2〜15plであることが好ましい。本来、高精細画像を形成するためには、液滴量がこの範囲であることが必要であるが、この液滴量で吐出する場合、前述した吐出安定性が特に厳しくなる。
活性光線の照射方法として、その基本的な方法が、特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明に係る画像形成方法においては、これらの何れの照射方法も用いることが出来る。
次いで、本発明で用いることのできるインクジェット記録装置(以下、単に記録装置という)について説明する。
以下、本発明に係る記録装置について、図面を適宜参照しながら説明する。尚、図面の記録装置はあくまでも本発明で好ましく用いることができる記録装置の一態様であり、本発明では、ここで例示する記録装置の図面に限定されない。
図2は、本発明で用いることのできるインクジェット記録装置で、シリアルプリント方式で用いる要部の構成の一例を示す正面図である。記録装置1は、ヘッドキャリッジ2、記録ヘッド3、照射手段4、プラテン部5等を備えて構成される。この記録装置1は、基材Pの下にプラテン部5が設置されている。プラテン部5は、紫外線を吸収する機能を有しており、基材Pを通過してきた余分な紫外線を吸収する。その結果、高精細な画像を非常に安定に再現できる。
基材Pは、ガイド部材6に案内され、搬送手段(図示せず)の作動により、図2における手前から奥の方向に移動する。ヘッド走査手段(図示せず)は、ヘッドキャリッジ2を図2におけるY方向に往復移動させることにより、ヘッドキャリッジ2に保持された記録ヘッド3の走査を行なう。
ヘッドキャリッジ2は基材Pの上側に設置され、基材P上の画像印刷に用いる色の数に応じて後述する記録ヘッド3を複数個、吐出口を下側に配置して収納する。ヘッドキャリッジ2は、図2におけるY方向に往復自在な形態で記録装置1本体に対して設置されており、ヘッド走査手段の駆動により、図2におけるY方向に往復移動する。
尚、図2ではヘッドキャリッジ2がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の記録ヘッド3を収納するものとして描図を行なっているが、実施の際にはヘッドキャリッジ2に収納される記録ヘッド3の色数は適宜決められるものである。
記録ヘッド3は、インク供給手段(図示せず)により供給された活性光線硬化型のインク(例えば、UV硬化インク)を、内部に複数個備えられた吐出手段(図示せず)の作動により、吐出口から基材Pに向けて吐出する。記録ヘッド3により吐出されるUVインクは色材、重合性モノマー、開始剤等を含んで組成されており、紫外線の照射を受けることで開始剤が触媒として作用することに伴なうモノマーの架橋、重合反応によって硬化する性質を有する。
記録ヘッド3は、基材Pの一端からヘッド走査手段の駆動により、図2におけるY方向に基材Pの他端まで移動するという走査の間に、基材Pにおける一定の領域(着弾可能領域)に対して、UVインクをインク滴として吐出し、該着弾可能領域にインク滴を着弾させる。
上記走査を適宜回数行ない、1領域の着弾可能領域に向けてUVインクの吐出を行なった後、搬送手段で基材Pを図2における手前から奥方向に適宜移動させ、再びヘッド走査手段による走査を行ないながら、記録ヘッド3により上記着弾可能領域に対し、図2における奥方向に隣接した次の着弾可能領域に対してUVインクの吐出を行なう。
上述の操作を繰り返し、ヘッド走査手段及び搬送手段と連動して記録ヘッド3からUVインクを吐出することにより、基材P上にUVインク滴の集合体からなる画像が形成される。
照射手段4は、特定の波長領域の紫外線を安定した露光エネルギーで発光する紫外線ランプ及び特定の波長の紫外線を透過するフィルターを備えて構成される。ここで、紫外線ランプとしては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザー、紫外線レーザー、熱陰極管、冷陰極管、ブラックライト、LED(light emitting diode)等が適用可能であり、帯状のメタルハライドランプ、冷陰極管、水銀ランプもしくはブラックライトが好ましい。
照射手段4は、記録ヘッド3がヘッド走査手段の駆動による1回の走査によってUVインクを吐出する着弾可能領域のうち、記録装置(UVインクジェットプリンタ)1で設定できる最大のものとほぼ同じ形状か、着弾可能領域よりも大きな形状を有する。
照射手段4はヘッドキャリッジ2の両脇に、基材Pに対してほぼ平行に、固定して設置される。
前述したようにインク吐出部の照度を調整する手段としては、記録ヘッド3全体を遮光することはもちろんであるが、加えて照射手段4と基材Pの距離h1より、記録ヘッド3のインク吐出部31と基材Pとの距離h2を大きくしたり(h1<h2)、記録ヘッド3と照射手段4との距離dを離したり(dを大きく)することが有効である。又、記録ヘッド3と照射手段4の間を蛇腹構造7にすると更に好ましい。
ここで、照射手段4で照射される紫外線の波長は、照射手段4に備えられた紫外線ランプ又はフィルターを交換することで適宜変更することができる。
以上の様に、図2においては、シリアルプリント方式を例として、説明したが、そのほかにも、図3に示すような各インクジェット印字方式のインクジェット記録装置を用いることができる。
図3において、図3のa)は、記録ヘッド19を基材20の幅手方向に配置し、記録媒体を搬送しながら印字及び照射手段24より活性光線を照射する方法(ラインヘッド方式)であり、図3のb)は、記録ヘッド19が副走査方向に移動しながら印字し、更に照射手段24より活性光線を照射する方法(フラットヘッド方式)であり、図3のc)は、上記説明した記録ヘッド24が基材上の幅手方向を走査しながら印字し、更に両端に設けた照射手段24より活性光線を照射する方法(シリアルプリント方式)であり、いずれの方式も用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《インクの調製》
〔インク1の調製:本発明〕
(顔料分散体1の調製)
顔料:Cyanine Blue 4044(山陽色素製 フタロシアニンブルー)
14.3g
分散剤:アジスパーPB822(味の素ファインテクノ製 高分子分散剤 アミン価13) 5.7g
光重合性化合物:アロンオキセタンOXT−221(東亜合成製 オキセタン化合物)
80.0g
上記各添加物を、直径0.5mmのジルコニアビーズ360g(みかけ容積100ml)と共に、ガラス瓶に入れ、ペイントシェーカーを用いて2時間の分散処理を行って、顔料分散体1を調製した。
(インク1の調製)
顔料分散体1 28.0質量部
光重合性化合物:アロンオキセタンOXT−221(前出) 40.2質量部
光重合性化合物:セロキサイド2021P(ダイセル化学工業製 脂環式エポキシ化合物) 26.8質量部
光重合開始剤:アデカオプトマーSP−152(カチオン系重合開始剤 旭電化工業製) 5.0質量部
上記調製した顔料分散体1と上記各添加剤とを、攪拌機で混合した後、1.0ミクロンのメンブレンフィルターで濾過して、活性光線硬化性インクジェット用インクであるインク1を調製した。
〔インク2の調製:本発明〕
上記顔料分散体1の調製において、分散剤としてアジスパーPB822に代えて、Disperbyk−161(ビックケミー社製、高分子分散剤、アミン価:11)を用いた以外は同様にして、顔料分散体2を調製した。ただし、Disperbyk−161は、有効成分が30質量%であり、実質添加量が5.7gとなるように添加量を適宜調整した。次いで、上記インク1の調製において、顔料分散体1に代えて、上記調製した顔料分散体2を用いた以外は同様にして、インク2を調製した。
〔インク3の調製:本発明〕
上記顔料分散体1の調製において、分散剤としてアジスパーPB822に代えて、ディスパロンED−214(楠本化成製、高分子分散剤、アミン価:17)を用いた以外は同様にして、顔料分散体3を調製した。次いで、上記インク1の調製において、顔料分散体1に代えて、上記調製した顔料分散体3を用いた以外は同様にして、インク3を調製した。
〔インク4の調製:本発明〕
上記顔料分散体1の調製において、分散剤としてアジスパーPB822に代えて、ディスパロンED−251(楠本化成製、高分子分散剤、アミン価:20)を用いた以外は同様にして、顔料分散体4を調製した。次いで、上記インク1の調製において、顔料分散体1に代えて、上記調製した顔料分散体4を用いた以外は同様にして、インク4を調製した。
〔インク5の調製:本発明〕
上記顔料分散体1の調製において、分散剤としてアジスパーPB822に代えて、Disperbyk−2150(ビックケミー製、高分子分散剤、アミン価:57)を用いた以外は同様にして、顔料分散体5を調製した。ただし、Disperbyk−2150は、有効成分が52質量%であり、実質添加量が5.7gとなるように添加量を適宜調整した。次いで、上記インク1の調製において、顔料分散体1に代えて、上記調製した顔料分散体5を用いた以外は同様にして、インク5を調製した。
〔インク6の調製:比較例〕
上記顔料分散体1の調製において、分散剤としてアジスパーPB822に代えて、Disperbyk−116(ビックケミー製、アミン価:0)を用いた以外は同様にして、顔料分散体6を調製した。次いで、上記インク1の調製において、顔料分散体1に代えて、上記調製した顔料分散体6を用いた以外は同様にして、インク6を調製した。
〔インク7の調製:比較例〕
上記顔料分散体1の調製において、顔料をCyanine Blue 4044に代えて、Cyanine Blue B120(山陽色素製 フタロシアニンブルー)を用いた以外は同様にして、顔料分散体7を調製した。次いで、上記インク1の調製において、顔料分散体1に代えて、上記調製した顔料分散体7を用いた以外は同様にして、インク7を調製した。
〔インク8の調製:比較例〕
上記顔料分散体1の調製において、分散剤としてアジスパーPB822に代えて、Disperbyk−109(ビックケミー製、アミン価:0)を用いた以外は同様にして、顔料分散体8を調製した。次いで、上記インク1の調製において、顔料分散体1に代えて、上記調製した顔料分散体8を用いた以外は同様にして、インク8を調製した。
〔インク9の調製:比較例〕
上記顔料分散体1の調製において、顔料をCyanine Blue 4044に代えて、Cyanine Blue 4920(大日精化工業製 フタロシアニンブルー)を用い、更に分散剤としてアジスパーPB822に代えて、ディスパロンED213(楠本化成製、アミン価:32)を用いた以外は同様にして、顔料分散体9を調製した。次いで、上記インク1の調製において、顔料分散体1に代えて、上記調製した顔料分散体9を用いた以外は同様にして、インク9を調製した。
〔インク10の調製:比較例〕
上記顔料分散体8の調製において、顔料をCyanine Blue 4044に代えて、Cyanine Blue 4927(大日精化工業製 フタロシアニンブルー)を用いた以外は同様にして、顔料分散体10を調製した。次いで、上記インク8の調製において、顔料分散体8に代えて、上記調製した顔料分散体10を用いた以外は同様にして、インク10を調製した。
〔顔料表面の親水性度δmの測定〕
各調製した各顔料分散体中の顔料粒子表面の親水性度δmを、色材,73〔3〕,136(2000)に記載されている滴定法により求めた。
〔インク中の顔料粒子の平均粒径D50及びΔD(D90−D10)の測定〕
上記調製した各インク中の顔料粒子について、マルバーン社製ゼータサイザー1000を用いて測定を行い、質量基準で求めた質量粒径測定データを基に、横座標が粒径(D)、縦座標が粒子質量関数(G)からなる粒径分布曲線及び分布関数の積分曲線を作成し、積分曲線より、粒子質量関数で10質量%、50質量%、90質量%に対応する粒径点D10、D50及びD90を求めた後、ΔD(D90−D10)を算出した。
以上により得られた測定結果を、表1に示す。
Figure 0004581393
表1の結果より、顔料表面のδm値が22以下で、かつアミン価を有する高分子分散剤を使用した本発明のインクは、平均粒径が200nm以下で、かつ粒度分布の幅ΔD(D90−D10)が170nm以下になっており、比較のインクに対し粒径分布が狭く、かつ平均粒径が小さいことが分かる。
《インクジェット画像の形成》
〔インクジェット記録装置〕
図2に記載の構成からなるシリアル方式のインクジェット記録装置を用い、それに上記調製したインク1〜10をそれぞれ装填した。
紫外線の照射手段としては、Integration社製のVzeroを用い、照度として75mW/cm2となる様に出力電圧を適宜調整し、また、基材へのインク着弾から紫外線照射までの時間は、0.8秒以内となるように制御した。
また、記録ヘッドには、各色のノズル数が128、ノズルピッチを360dpiとし、4〜24plの範囲で異なるインク液滴サイズを出射できるピエゾタイプのインクジェットノズルを装着した。また、インク供給部、インク流路及びインクジェットノズルは、ヒーターにより55℃まで加温が可能とした。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す。
〔画像印字〕
上記インクジェット記録装置を用いて、720dpi×720dpi、1画素あたりの最大インク液適量12pl、ベタ画像の最大インク付着量8.9g/m2とし、4パスで、出力濃度100%でのベタ画像を出力して画像1〜10を形成した。なお、基材としては、透明のポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した。また、上記基材面上の外気の風速は、1m/s未満となる様に制御した。
《インクの評価》
〔保存安定性の評価〕
上記調製した各インクについて、マルバーン社製のゼータサイザー1000を用いて、顔料粒子の平均粒径D1を測定した。次いで、各インク100mlを蒸発が起こらないようにサンプル瓶に入れ密封し、60℃の恒温槽中で1週間保存させた後、上の方法と同様にして、保存後の平均粒径D2を測定し、下式に従って平均粒径の変化率を求め、下記の評価基準に従って保存安定性の評価を行った。
平均粒径の変化率={(D2−D1)/D1}×100(%)
5:インクの平均粒径の変化率が5%未満である
4:インクの平均粒径の変化率が5〜10%未満である
3:インクの平均粒径の変化率が10〜25%未満である
2:インクの平均粒径の変化率が25〜50%未満である
1:インクの平均粒径の変化率が50%以上である
〔出射安定性の評価〕
図2に示すインクジェット記録装置により、各インクを連続吐出し、その出射状態を目視観察し、下記の基準に従ってインクの出射安定性の評価を行った。
5:連続出射を1時間行った後でも、全てのノズルから正常に出射した
4:連続出射を1時間行った時点で、正常に出射しなかったノズルが1〜2であった
3:連続出射を1時間行った時点で、正常に出射しなかったノズルが3〜5であった
2:連続出射を1時間行った時点で、正常に出射しなかったノズルが6〜10であった
1:連続出射を1時間行った時点で、正常に出射しなかったノズルが11以上であった
《形成画像の評価》
〔色濃度再現性の評価〕
上記保存安定性の評価で用いた保存前のインクと、60℃で1週間保存したインクについて、それぞれ出力濃度100%でのベタ画像を印字し、反射濃度計(X−Rite社製X−Rite938)を用いて、保存前のインクにより作成した画像の最大反射濃度値(Dmax1)と60℃で1週間保存したインクにより作成した画像の最大反射濃度値(Dmax2)を測定し、下式に従って最大濃度変化率ΔDmaxを求め、下記の基準に従って色濃度再現性の評価を行った。
最大濃度変化率ΔDmax=(Dmax2/Dmax1)×100(%)
5:最大濃度変化率ΔDmaxが95%以上である
4:最大濃度変化率ΔDmaxが、90%以上、95%未満である
3:最大濃度変化率ΔDmaxが、80%以上、90%未満である
2:最大濃度変化率ΔDmaxが、70%以上、80%未満である
2:最大濃度変化率ΔDmaxが、70%未満である
〔画像透明性の評価〕
上記透明のポリエチレンテレフタレートフィルム上に作成したベタ画像を、20人の一般評価者により、室内蛍光灯にかざして透明性の目視観察を行い、下記の基準に従って画像透明性の評価を行った。
5:画像に透明感があると判定した人が18人以上
4:画像に透明感があると判定した人が15〜17人
3:画像に透明感があると判定した人が11〜14人
2:画像に透明感があると判定した人が8〜10人
1:画像に透明感があると判定した人が7人以下
以上により得られたインク及び形成画像の評価結果を、表2に示す。
Figure 0004581393
表2に記載の結果より明らかなように、顔料粒子の平均粒径が50〜200nmであって、かつ粒径分布の幅ΔD(D90−D10)が170nm以下である本発明のインクは、比較のインクに対し、保存安定性及び出射安定性が良好で、更に形成した画像の色濃度再現性及び画像透明性に優れていることが分かる。
本発明に係るD10、D50、D90を表す粒径の分布関数曲線。 本発明で用いることのできるインクジェット記録装置で、シリアルプリント方式で用いる要部の構成の一例を示す正面図である。 本発明で用いることのできるインクジェット印字方式の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 記録装置
2 ヘッドキャリッジ
3、19 記録ヘッド
4、24 照射手段
5 プラテン部
6 ガイド部材
7 蛇腹構造
P、20 基材
11 顔料分散液の粒径分布関数
12 粒径の分布関数の積分曲線
13 D90の表示
14 D50の表示
15 D10の表示
16 D90−D10

Claims (6)

  1. 光重合性化合物、光重合開始剤、顔料及び分散剤を含有する活性光線硬化型インクジェット用インクにおいて、該顔料の二次顔料粒子は、質量基準の正規分布換算で求めた下記で定義する平均粒径であるD50が50〜200nmであって、かつ下記で定義するD90とD10との分布の幅ΔD(D90−D10)が170nm以下であることを特徴とする活性光線硬化型インクジェット用インク。
    50:二次顔料粒子の分布関数dG=F(D)dDの積分曲線で、二次顔料粒子の全質量の0.5(50質量%)に等しい粒径を表す。
    90:二次顔料粒子の分布関数dG=F(D)dDの積分曲線で、二次顔料粒子の全質量の0.9(90質量%)に等しい粒径を表す。
    10:二次顔料粒子の分布関数dG=F(D)dDの積分曲線で、二次顔料粒子の全質量の0.1(10質量%)に等しい粒径を表す。
    なお、Gは粒子数、Dは粒径、dGは粒径区間dDの間の二次顔料粒子の質量を表す。
  2. 前記顔料表面の親水性度δmが22以下であり、かつ前記分散剤がアミン価を有する高分子分散剤であることを特徴とする請求項1に記載の活性光線硬化型インクジェット用インク。
  3. 前記光重合性化合物の少なくとも1種が、オキセタン環を有する光重合性化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の活性光線硬化型インクジェット用インク。
  4. 前記オキセタン環を有する光重合性化合物が、下記一般式(G)で表される化合物であることを特徴とする請求項3に記載の活性光線硬化型インクジェット用インク。
    Figure 0004581393
    〔式中、R は水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基を表す。〕
  5. 前記光重合開始剤が、カチオン系光重合開始剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェット用インク。
  6. 前記質量基準の正規分布換算で求めた前記で定義した平均粒径であるD50が50〜150nmであって、かつ前記で定義したD90とD10との分布の幅ΔD(D90−D10)が150nm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェット用インク。
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