JP2007246794A - 活性光線硬化型インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化性に優れ、低臭気で滲みの発生がなく、かつ、保存性が良好な活性光線硬化型インク及び活性光線照射当たりのインク量が多くても硬化性に優れ、低臭気で滲みの発生がなく、かつ、保存性が良好なインクジェット記録方法を提供することにある。
【解決手段】少なくともカチオン重合性化合物及び光重合開始剤を含有する活性光線硬化型インクであって、塩基性化合物を0.001質量%以上、0.05質量%未満含有し、かつ、カールフィッシャー法により測定した含水率が0.1質量%以上、1.5質量%未満であることを特徴とする活性光線硬化型インク。
【選択図】なし
【解決手段】少なくともカチオン重合性化合物及び光重合開始剤を含有する活性光線硬化型インクであって、塩基性化合物を0.001質量%以上、0.05質量%未満含有し、かつ、カールフィッシャー法により測定した含水率が0.1質量%以上、1.5質量%未満であることを特徴とする活性光線硬化型インク。
【選択図】なし
Description
本発明は、活性光線硬化型インク及びインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録方式は簡便・安価に画像を作製できるため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷等、さまざまな印刷分野に応用されてきている。特に微細等ットを出射、制御する記録装置や、色再現域、耐久性、出射適性等を改善したインク及びインクの吸収性、色材の発色性、表面光沢等を飛躍的に向上させた専用紙を用い、銀塩写真に匹敵する画質を得ることも可能となっている。今日のインクジェット記録方式の画質向上は、記録装置、インク、専用紙の全てが揃って初めて達成されている。
しかしながら、専用紙を必要とするインクジェットシステムは、記録媒体が制限されること、記録媒体のコストアップが問題となる。そこで、専用紙と異なる被転写媒体へインクジェット方式により記録する試みが多数なされている。具体的には、室温で固形のワックスインクを用いる相変化インクジェット方式、速乾性の有機溶剤を主体としたインクを用いるソルベント系インクジェット方式や、記録後、紫外線(UV)光により架橋させるUVインクジェット方式等である。
中でも、UVインクジェット方式は、ソルベント系インクジェット方式に比べ比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性のない記録媒体への記録ができる点で、近年注目されつつあり、例えば、熱溶融性ワックスを含有する紫外線硬化型インク(例えば、特許文献1参照)や特定のアクリレートを含有する紫外線硬化型インク(例えば、特許文献2参照)が開示されている。
しかしながら、これらのインクを用いたとしても、記録媒体の種類や作業環境によって、着弾後のドット径が大きく変化してしまい、さまざまな記録媒体に対して、高精細な画像を形成することはできなかった。
例えば、紫外線硬化型インクとしては、前記特許文献1、2に記載されているアクリル系組成物を中心としたラジカル重合型紫外線硬化型インクと、カチオン重合型紫外線硬化型インク(例えば、特許文献3参照)がある。前者のラジカル重合型紫外線硬化型インクは、その重合メカニズム上、酸素が介在した環境では酸素阻害作用を受けるため硬化性が落ちる問題があり、また臭気が強い物が多い。後者のカチオン重合型紫外線硬化型インクは、酸素阻害作用を受けることはなく、また、臭気も良好であるが、重合反応の性質上、分子レベルの水分(湿度)の影響を受けやすいという問題があり、また暗反応が進み易く保存性に問題があった。さらに、詳細に検討した結果、紫外線照射当りのインク量が多くなると硬化性が劣化し、密着不良等を引き起こすことが新たに判明した。また、インク着弾後の紫外線硬化を促進するために、ヒータプレートを用いて加熱することが開示(例えば、特許文献6参照)されているが、まだ十分ではなかった。
光硬化性樹脂組成物の安定性を向上する技術として、インクジェット用インクとは全く用途が異なるものであるが、立体形状物を造形するカチオン重合型の光硬化性樹脂組成物の含水率を特定の範囲にすることが開示(例えば、特許文献4、5参照)されている。しかしながら、これらの技術をインクジェット用インクにそのまま適用しても、保存性を向上したり、画質を向上することはできなかった。
一方、これら光重合性組成物により形成されるインクを用いて作成されて印刷物は、該光重合性組成物等に起因する臭気を発生することがあり、その臭気低減が求められている。さらに光重合開始剤としては、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨ−ドニウム、スルホニウム、ホスホニウム等の芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、CF3SO3 -塩等の光酸発生剤を用いると、活性光線照射時に発生するこれら光酸発生剤の分解生成物に起因して悪臭が発生することがあり、その改善が望まれていた。
特開平6−200204号公報
特表2000−504778号公報
特開2002−188025号公報
特開2002−60463号公報
特開2003−252979号公報
特開2002−137375号公報
本発明の目的は、硬化性に優れ、低臭気で滲みの発生がなく、かつ、保存性が良好な活性光線硬化型インク及び活性光線照射当たりのインク量が多くても硬化性に優れ、低臭気で滲みの発生がなく、かつ、保存性が良好なインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成された。
1.少なくともカチオン重合性化合物及び光重合開始剤を含有する活性光線硬化型インクであって、塩基性化合物を0.001質量%以上、0.05質量%未満含有し、かつ、カールフィッシャー法により測定した含水率が0.1質量%以上、1.5質量%未満であることを特徴とする活性光線硬化型インク。
2.プロピレンカーボネートを1〜3質量%含有することを特徴とする1に記載の活性光線硬化型インク。
3.330nm以上の長波長領域の紫外線(紫外光)を吸収し得る増感剤を含有することを特徴とする1または2に記載の活性光線硬化型インク。
4.前記光重合開始剤としてオニウム塩を1質量%以上、5質量%未満含有することを特徴とする1〜3のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
5.顔料としてカーボンブラック系顔料を0.1質量%以上、2質量%未満含有することを特徴とする1〜4のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
6.前記カチオン重合性化合物として、ビニルエーテル化合物を含有することを特徴とする1〜5のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
7.前記カチオン重合性化合物として、オキセタン環を有する化合物を含有することを特徴とする1〜5のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
8.下記条件(1)〜(5)を満たす活性光線硬化型インクを用いて、インクを吐出する複数のノズルが副走査方向に配列された記録ヘッドと、記録媒体に着弾したインクドットに光を照射する光源と、前記記録ヘッドを主走査方向に搬送するヘッド搬送機構と、前記記録媒体を副走査方向に搬送する記録媒体搬送機構とを備えたシリアル方式のインクジェット記録装置により、前記記録媒体に画像を形成するインクジェット記録方法において、1照射当りのインク量が5g/m2以上、30g/m2未満であることを特徴とするインクジェット記録方法。
(1)カチオン重合性化合物及び光重合開始剤を含有する。
(2)塩基性化合物を0.001質量%以上、0.05質量%未満含有する。
(3)カールフィッシャー法により測定した含水率が0.1質量%以上、1.5質量%未満である。
(4)プロピレンカーボネートを1〜3質量%含有する。
(5)330nm以上の長波長領域の紫外線(紫外光)を吸収し得る増感剤を含有する。
(1)カチオン重合性化合物及び光重合開始剤を含有する。
(2)塩基性化合物を0.001質量%以上、0.05質量%未満含有する。
(3)カールフィッシャー法により測定した含水率が0.1質量%以上、1.5質量%未満である。
(4)プロピレンカーボネートを1〜3質量%含有する。
(5)330nm以上の長波長領域の紫外線(紫外光)を吸収し得る増感剤を含有する。
9.下記条件(1)〜(5)を満たす活性光線硬化型インクを用いて、インクを吐出する複数のノズルが主走査方向に配列された記録ヘッドと、記録媒体に着弾したインクドットに光を照射する光源と、前記記録ヘッドを副走査方向に搬送するヘッド搬送機構と、前記記録媒体を副走査方向に搬送する記録媒体搬送機構とを備えたライン方式のインクジェット記録装置により、前記記録媒体に画像を形成するインクジェット記録方法において、1照射当りのインク量が5g/m2以上、30g/m2未満であることを特徴とするインクジェット記録方法。
(1)カチオン重合性化合物及び光重合開始剤を含有する。
(2)塩基性化合物を0.001質量%以上、0.05質量%未満含有する。
(3)カールフィッシャー法により測定した含水率が0.1質量%以上、1.5質量%未満である。
(4)プロピレンカーボネートを1〜3質量%含有する。
(5)330nm以上の長波長領域の紫外線(紫外光)を吸収し得る増感剤を含有する。
(1)カチオン重合性化合物及び光重合開始剤を含有する。
(2)塩基性化合物を0.001質量%以上、0.05質量%未満含有する。
(3)カールフィッシャー法により測定した含水率が0.1質量%以上、1.5質量%未満である。
(4)プロピレンカーボネートを1〜3質量%含有する。
(5)330nm以上の長波長領域の紫外線(紫外光)を吸収し得る増感剤を含有する。
本発明によれば、硬化性に優れ、低臭気で滲みの発生がなく、かつ、保存性が良好な活性光線硬化型インク及び活性光線照射当たりのインク量が多くても硬化性に優れ、低臭気で滲みの発生がなく、かつ、保存性が良好なインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明の活性光線硬化型インクは、少なくともカチオン重合性化合物及び光重合開始剤を含有する活性光線硬化型インクであって、塩基性化合物を0.001質量%以上、0.05質量%未満含有し、かつ、カールフィッシャー法により測定した含水率が0.1質量%以上、1.5質量%未満であることを特徴とする。
また、本発明のインクジェット記録方法は、少なくともカチオン重合性化合物及び光重合開始剤を含有し、塩基性化合物を0.001質量%以上、0.05質量%未満含有し、カールフィッシャー法により測定した含水率が0.1質量%以上、1.5質量%未満であり、プロピレンカーボネートを1〜3質量%含有し、330nm以上の長波長領域の紫外線(紫外光)を吸収し得る増感剤を含有する特定の活性光線硬化型インクを用いて、記録媒体に画像を形成する際に、1照射当りのインク量が5g/m2以上、30g/m2未満であることを特徴とする。
以下、本発明及び構成要素等について詳細に説明する。
《活性光線硬化型インク》
本発明の活性光線硬化型インクとは、当該インクに活性光線を照射したときに、照射された光によって、インク組成物が重合反応を開始し、硬化するインクをいう。ここで、活性光線とは、波長180〜500nmの紫外線または可視光線をいい、その光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマーレーザー、太陽光が挙げられる。
本発明の活性光線硬化型インクとは、当該インクに活性光線を照射したときに、照射された光によって、インク組成物が重合反応を開始し、硬化するインクをいう。ここで、活性光線とは、波長180〜500nmの紫外線または可視光線をいい、その光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマーレーザー、太陽光が挙げられる。
〔増感剤〕
本発明の活性光線硬化型インクは、330nm以上の長波長領域の紫外線(紫外光)を吸収し得る増感剤を含有することを特徴とする。
本発明の活性光線硬化型インクは、330nm以上の長波長領域の紫外線(紫外光)を吸収し得る増感剤を含有することを特徴とする。
本発明に係る増感剤としては、330nm以上の長波長領域の紫外線(紫外光)を吸収し得る化学構造を有する化合物、すなわち、当該化合物の光物性として、紫外線吸収スペクトルにおいて330nm以上の長波長領域に吸収帯を有する化合物を使用することを要する。
本発明においては、ブラックインクを除く3色以上のインクあるいはブラックインクを含む全インクは、置換基として水酸基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基またはアルコキシ基を少なくとも1つ有する多環芳香族化合物、カルバゾール誘導体、フェノチアジン誘導体、チオキサントン誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物を増感剤として含有することが好ましい。これらを含有せしめることで、環境(温度、湿度)変化による吐出性・硬化性が安定化し、安定に高精細な画像を形成できる。
本発明で用いることのできる多環芳香族化合物としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体が好ましい。置換基であるアルコキシ基としては、炭素数1〜18のものが好ましく、特に炭素数1〜8のものが好ましい。アラルキルオキシ基としては、炭素数7〜10のものが好ましく、特に炭素数7〜8のベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基が好ましい。具体例を挙げると、1−ナフトール、2−ナフトール、1−メトキシナフタレン、1−ステアリルオキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、2−ドデシルオキシナフタレン、4−メトキシ−1−ナフトール、グリシジル−1−ナフチルエーテル、2−(2−ナフトキシ)エチルビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジメトキシナフタレン、1,1′−チオビス(2−ナフトール)、1,1′−ビ−2−ナフトール、1,5−ナフチルジグリシジルエーテル、2,7−ジ(2−ビニルオキシエチル)ナフチルエーテル、4−メトキシ−1−ナフトール、ESN−175(新日鉄化学社製のエポキシ樹脂)またはそのシリーズ、ナフトール誘導体とホルマリンとの縮合体等のナフタレン誘導体、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9−メトキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9−エトキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、9−イソプロポキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、9−ベンジルオキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、9−(α−メチルベンジルオキシ)−10−メチルアントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジ(2−カルボキシエトキシ)アントラセン等のアントラセン誘導体、1,4−ジメトキシクリセン、1,4−ジエトキシクリセン、1,4−ジプロポキシクリセン、1,4−ジベンジルオキシクリセン、1,4−ジ−α−メチルベンジルオキシクリセン等のクリセン誘導体、9−ヒドロキシフェナントレン、9,10−ジメトキシフェナントレン、9,10−ジエトキシフェナントレン等のフェナントレン誘導体等がある。これら誘導体の中でも、特に、炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していてもよい9,10−ジアルコキシアントラセン誘導体が好ましく、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基が好ましい。
カルバゾール誘導体としては、次の化合物が例示される。N−メチルカルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−プロピルカルバゾール、N−ブチルカルバゾール、N−ビニルカルバゾール、1,3,6,8,9−ペンタメチルカルバゾール、1,4,5,8,9−ペンタメチルカルバゾール(以下、「NMPC」という。)、3−ホルミル−N−エチルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール、N−エチル−3,6−ビス(ベンゾイル)−カルバゾール(以下、「NEBC」という。)、9,9′−ジエチル−3,3′−ジカルバゾール(以下、「NEDC」という)。
フェノチアジン誘導体としては、例えば、2−メトキシフェノチアジン、2−クロロフェノチアジン、2−シアノフェノチアジン、2−アセチルフェノチアジン、2−トリフロロメチルフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−ジメチルアミノスルファニルフェノチアジン、等が挙げられる。
チオキサントン誘導体としては、例えば、チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン2−クロロチオキサントン等を挙げることができる。
〔カチオン重合性化合物〕
本発明の活性光線硬化型インクに含有されるカチオン重合性化合物とは、活性光線による重合開始剤の光反応の反応生成物を契機として重合し得る化合物である。本発明に係る重合性化合物としては、本発明に係る光重合開始剤、即ち、活性光線による光分解によってカチオン性重合開始剤から発生する活性種の反応を契機として重合反応が開始し得る広範囲の化合物を使用できる。
本発明の活性光線硬化型インクに含有されるカチオン重合性化合物とは、活性光線による重合開始剤の光反応の反応生成物を契機として重合し得る化合物である。本発明に係る重合性化合物としては、本発明に係る光重合開始剤、即ち、活性光線による光分解によってカチオン性重合開始剤から発生する活性種の反応を契機として重合反応が開始し得る広範囲の化合物を使用できる。
本発明に係るカチオン重合性化合物(モノマー)としては各種公知のカチオン重合性の化合物を使用できる。例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号等に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物等が挙げられる。
(オキシラン化合物、エポキシ化合物)
本発明に係るエポキシ化合物としては、エポキシ基(「オキシラン基」ともいう。)を有する化合物のモノマー及びそのオリゴマーのいずれも使用できる。具体的には、従来公知の芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物及び脂肪族エポキシ化合物が挙げられる。なお、以下エポキシ化合物とは、モノマーまたはそのオリゴマーを意味する。本発明におけるオリゴマーとしては、低分子量の化合物が好ましく、分子量が1000未満のオリゴマーがより好ましい。
本発明に係るエポキシ化合物としては、エポキシ基(「オキシラン基」ともいう。)を有する化合物のモノマー及びそのオリゴマーのいずれも使用できる。具体的には、従来公知の芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物及び脂肪族エポキシ化合物が挙げられる。なお、以下エポキシ化合物とは、モノマーまたはそのオリゴマーを意味する。本発明におけるオリゴマーとしては、低分子量の化合物が好ましく、分子量が1000未満のオリゴマーがより好ましい。
芳香族エポキシ化合物として好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物としては、少なくとも1個のシクロへキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましく、具体例としては、以下に示す化合物等が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物の好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
さらに、これらの化合物の他に、分子内に1個のオキシラン環を有するモノマーである脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル及びフェノール、クレゾールのモノグリシジルエーテル等も用いることができる。これらのエポキシ化合物のうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物が好ましく、特に脂環式エポキシ化合物が好ましい。本発明では、上記エポキシ化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明においては、特に、一般式(A)、(I)または(II)で表される脂環式エポキシ化合物を使用することが好ましい。
一般式(A)、(I)または(II)において、R100、R101、R102、は置換基を表す、置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等)等が挙げられる。置換基として好ましいのは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基である。
m0、m1、m2は0〜2の整数を表し、0または1が好ましい。また、m0、m1、m2はそれぞれ同一分子内で異なっていてもよい。
L0は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜15のr0+1価の連結基あるいは単結合を、L1は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜15のr1+1価の連結基あるいは単結合を、L2は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜15のr2+1価の連結基あるいは単結合を表す。
主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜15の2価の連結基の例としては、以下の基及びこれらの基と−O−基、−S−基、−CO−基、−CS−基を複数組み合わせてできる基を挙げることができる。
メチレン基[−CH2−]
エチリデン基[>CHCH3]
イソプロピリデン[>C(CH3)2]
1,2−エチレン基[−CH2CH2−]
1,2−プロピレン基[−CH(CH3)CH2−]
1,3−プロパンジイル基[−CH2CH2CH2−]
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(CH3)2CH2−]
2,2−ジメトキシ−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(OCH3)2CH2−]
2,2−ジメトキシメチル−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(CH2OCH3)2CH2−]
1−メチル−1,3−プロパンジイル基[−CH(CH3)CH2CH2−]
1,4−ブタンジイル基[−CH2CH2CH2CH2−]
1,5−ペンタンジイル基[−CH2CH2CH2CH2CH2−]
オキシジエチレン基[−CH2CH2OCH2CH2−]
チオジエチレン基[−CH2CH2SCH2CH2−]
3−オキソチオジエチレン基[−CH2CH2SOCH2CH2−]
3,3−ジオキソチオジエチレン基[−CH2CH2SO2CH2CH2−]
1,4−ジメチル−3−オキサ−1,5−ペンタンジイル基[−CH(CH3)CH2O−CH(CH3)CH2−]
3−オキソペンタンジイル基[−CH2CH2COCH2CH2−]
1,5−ジオキソ−3−オキサペンタンジイル基[−COCH2OCH2CO−]
4−オキサ−1,7−ヘプタンジイル基[−CH2CH2CH2OCH2CH2CH2−]
3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイル基[−CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2−]
1,4,7−トリメチル−3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイル基[−CH(CH3)CH2O−CH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2−]
5,5−ジメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(CH3)2CH2OCH2CH2−]、
5,5−ジメトキシ−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(OCH3)2CH2OCH2CH2−]
5,5−ジメトキシメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(CH2OCH3)2CH2OCH2CH2−]
4,7−ジオキソ−3,8−ジオキサ−1,10−デカンジイル基[−CH2CH2O−COCH2CH2CO−OCH2CH2−]
3,8−ジオキソ−4,7−ジオキサ−1,10−デカンジイル基[−CH2CH2CO−OCH2CH2O−COCH2CH2−]
1,3−シクロペンタンジイル基[−1,3−C5H8−]
1,2−シクロヘキサンジイル基[−1,2−C6H10−]
1,3−シクロヘキサンジイル基[−1,3−C6H10−]
1,4−シクロヘキサンジイル基[−1,4−C6H10−]
2,5−テトラヒドロフランジイル基[2,5−C4H6O−]
p−フェニレン基[−p−C6H4−]
m−フェニレン基[−m−C6H4−]
α,α′−o−キシリレン基[−o−CH2−C6H4−CH2−]
α,α′−m−キシリレン基[−m−CH2−C6H4−CH2−]
α,α′−p−キシリレン基[−p−CH2−C6H4−CH2−]
フラン−2,5−ジイル−ビスメチレン基[2,5−CH2−C4H2O−CH2−]
チオフェン−2,5−ジイル−ビスメチレン基[2,5−CH2−C4H2S−CH2−]
イソプロピリデンビス−p−フェニレン基[−p−C6H4−C(CH3)2−p−C6H4−]。
エチリデン基[>CHCH3]
イソプロピリデン[>C(CH3)2]
1,2−エチレン基[−CH2CH2−]
1,2−プロピレン基[−CH(CH3)CH2−]
1,3−プロパンジイル基[−CH2CH2CH2−]
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(CH3)2CH2−]
2,2−ジメトキシ−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(OCH3)2CH2−]
2,2−ジメトキシメチル−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(CH2OCH3)2CH2−]
1−メチル−1,3−プロパンジイル基[−CH(CH3)CH2CH2−]
1,4−ブタンジイル基[−CH2CH2CH2CH2−]
1,5−ペンタンジイル基[−CH2CH2CH2CH2CH2−]
オキシジエチレン基[−CH2CH2OCH2CH2−]
チオジエチレン基[−CH2CH2SCH2CH2−]
3−オキソチオジエチレン基[−CH2CH2SOCH2CH2−]
3,3−ジオキソチオジエチレン基[−CH2CH2SO2CH2CH2−]
1,4−ジメチル−3−オキサ−1,5−ペンタンジイル基[−CH(CH3)CH2O−CH(CH3)CH2−]
3−オキソペンタンジイル基[−CH2CH2COCH2CH2−]
1,5−ジオキソ−3−オキサペンタンジイル基[−COCH2OCH2CO−]
4−オキサ−1,7−ヘプタンジイル基[−CH2CH2CH2OCH2CH2CH2−]
3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイル基[−CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2−]
1,4,7−トリメチル−3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイル基[−CH(CH3)CH2O−CH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2−]
5,5−ジメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(CH3)2CH2OCH2CH2−]、
5,5−ジメトキシ−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(OCH3)2CH2OCH2CH2−]
5,5−ジメトキシメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(CH2OCH3)2CH2OCH2CH2−]
4,7−ジオキソ−3,8−ジオキサ−1,10−デカンジイル基[−CH2CH2O−COCH2CH2CO−OCH2CH2−]
3,8−ジオキソ−4,7−ジオキサ−1,10−デカンジイル基[−CH2CH2CO−OCH2CH2O−COCH2CH2−]
1,3−シクロペンタンジイル基[−1,3−C5H8−]
1,2−シクロヘキサンジイル基[−1,2−C6H10−]
1,3−シクロヘキサンジイル基[−1,3−C6H10−]
1,4−シクロヘキサンジイル基[−1,4−C6H10−]
2,5−テトラヒドロフランジイル基[2,5−C4H6O−]
p−フェニレン基[−p−C6H4−]
m−フェニレン基[−m−C6H4−]
α,α′−o−キシリレン基[−o−CH2−C6H4−CH2−]
α,α′−m−キシリレン基[−m−CH2−C6H4−CH2−]
α,α′−p−キシリレン基[−p−CH2−C6H4−CH2−]
フラン−2,5−ジイル−ビスメチレン基[2,5−CH2−C4H2O−CH2−]
チオフェン−2,5−ジイル−ビスメチレン基[2,5−CH2−C4H2S−CH2−]
イソプロピリデンビス−p−フェニレン基[−p−C6H4−C(CH3)2−p−C6H4−]。
3価以上の連結基としては、以上に挙げた2価の連結基から任意の部位の水素原子を必要なだけ除いてできる基及びそれらと−O−基、−S−基、−CO−基、−CS−基を複数組み合わせてできる基を挙げることができる。
L0、L1、L2は各々置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等)等が挙げられる。置換基として好ましいのは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基である。L0、L1、L2としては、各々主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜8の2価の連結基が好ましく、主鎖が炭素のみからなる炭素数1〜5の2価の連結基がより好ましい。
本発明においては、光重合性化合物としてエステル結合を2つ以上有する脂環式エポキシ化合物を含有することが好ましい。好ましくは一般式(III)、(IV)のいずれかで表される化合物である。
上記の式中、R200、R201は脂肪族基を表す。脂肪族基としては炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)、炭素数3〜6個のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、等)、炭素数1〜6個のアルケニル基(例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、等)、炭素数1〜6個のアルキ二ル基(例えば、アセチレニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、等)が挙げられる。好ましくは炭素数1〜3個のアルキル基であり、メチル基、エチル基がより好ましい。
m3、m4は0〜2を表し、1以上が好ましい。
X1は−(CH2)n0−または−(O)n0−を、X2は−(CH2)n1−または−(O)n1−を表す。n0、n1は0または1を表し、n0、n1が0の場合はX1、X2が存在しないことを表す。
m3+n0またはm4+n1は1以上が好ましい。
L3は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜15のr3+1価の分岐構造を有する連結基あるいは単結合を、L4は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜15のr4+1価の分岐構造を有する連結基あるいは単結合を表す。主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜15の2価の連結基の例としては、以下の基及びこれらの基と−O−基、−S−基、−CO−基、−CS−基を複数組み合わせてできる基を挙げることができる。
エチリデン基[>CHCH3]
イソプロピリデン[>C(CH3)2]
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(CH3)2CH2−]
2,2−ジメトキシ−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(OCH3)2CH2−]
2,2−ジメトキシメチル−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(CH2OCH3)2CH2−]
1−メチル−1,3−プロパンジイル基[−CH(CH3)CH2CH2−]
1,4−ジメチル−3−オキサ−1,5−ペンタンジイル基[−CH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2−]
1,4,7−トリメチル−3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイル基[−CH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2−]
5,5−ジメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(CH3)2CH2OCH2CH2−]
5,5−ジメトキシ−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(OCH3)2CH2OCH2CH2−]
5,5−ジメトキシメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(CH2OCH3)2CH2OCH2CH2−]
イソプロピリデンビス−p−フェニレン基[−p−C6H4−C(CH3)2−p−C6H4−]。
イソプロピリデン[>C(CH3)2]
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(CH3)2CH2−]
2,2−ジメトキシ−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(OCH3)2CH2−]
2,2−ジメトキシメチル−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(CH2OCH3)2CH2−]
1−メチル−1,3−プロパンジイル基[−CH(CH3)CH2CH2−]
1,4−ジメチル−3−オキサ−1,5−ペンタンジイル基[−CH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2−]
1,4,7−トリメチル−3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイル基[−CH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2−]
5,5−ジメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(CH3)2CH2OCH2CH2−]
5,5−ジメトキシ−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(OCH3)2CH2OCH2CH2−]
5,5−ジメトキシメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(CH2OCH3)2CH2OCH2CH2−]
イソプロピリデンビス−p−フェニレン基[−p−C6H4−C(CH3)2−p−C6H4−]。
3価以上の連結基としては、以上に挙げた2価の連結基から任意の部位の水素原子を必要なだけ除いてできる基及びそれらと−O−基、−S−基、−CO−基、−CS−基を複数組み合わせてできる基を挙げることができる。
L3、L4は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、等)等が挙げられる。置換基として好ましいのは、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基である。
以下に一般式(A)、(I)、(II)、(III)、(IV)の例示化合物を示す。
脂環式エポキシ化合物の添加量としては、10〜80質量%含有することが好ましい。10質量%未満であると硬化環境(温度、湿度)により硬化性が著しく変わってしまい使えない。80質量%を超えると、硬化後の膜物性が弱く使えない。本発明では、脂環式エポキシ化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、これらの脂環式エポキシ化合物はその製法は問わないが、例えば、丸善KK出版、第四版実験化学講座20有機合成II、213〜、平成4年、Ed.by Alfred Hasfner,The chemistry of heterocyclic compounds−Small Ring Heterocycles part3 Oxiranes,John&Wiley and Sons,An Interscience Publication,New York,1985、吉村、接着、29巻12号、32、1985、吉村、接着、30巻5号、42、1986、吉村、接着、30巻7号、42、1986、特開平11−100378号、特許2906245号、特許2926262号の各公報等の文献を参考にして合成できる。
本発明の活性光線硬化型組成物においては、エポキシ化合物として、エポキシ化脂肪酸エステルまたはエポキシ化脂肪酸グリセライドを含有する。
エポキシ化脂肪酸エステルまたはエポキシ化脂肪酸グリセライドをオキセタン化合物/脂環式エポキシ化合物の系に併用することにより、AMES及び感作性、皮膚刺激性、臭気等の安全・環境の観点で好ましいだけでなく、硬化環境(温度、湿度)により硬化収縮による皺の発生、硬化性・吐出性の不良等の従来からの問題点を解決することができる。
本発明で用いることのできるエポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ化脂肪酸グリセライドとしては、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセライドにエポキシ基を導入したものであれば、特に制限はなく用いられる。
エポキシ化脂肪酸エステルは、オレイン酸エステルをエポキシ化して製造されたもので、エポキシステアリン酸メチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル等が用いられる。また、エポキシ化脂肪酸グリセライドは、同様に大豆油、アマニ油、ヒマシ油等をエポキシ化して製造されたもので、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ヒマシ油等が用いられる。
(ビニルエーテル化合物)
本発明で用いることのできるビニルエーテル化合物としては、例えばエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジまたはトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、i−プロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
本発明で用いることのできるビニルエーテル化合物としては、例えばエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジまたはトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、i−プロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物の内、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジまたはトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
(オキセタン化合物)
本発明で用いることのできるオキセタン化合物としては、特開2001−220526、同2001−310937に紹介されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。
本発明で用いることのできるオキセタン化合物としては、特開2001−220526、同2001−310937に紹介されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。
また、オキセタン環を1個含有する単官能オキセタン化合物とオキセタン環を2個以上含有する多官能オキセタン化合物とを併用することが、硬化後の膜強度と記録媒体への密着性を向上させる上で好ましい。ただし、オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、インク組成物の粘度が高くなるため、取扱いが困難になったり、またインク組成物のガラス転移温度が高くなるため、得られる硬化物の粘着性が十分でなくなってしまう。本発明で使用するオキセタン環を有する化合物は、オキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
以下、本発明に係るオキセタン環を有する化合物のうち、特に好ましい化合物について説明する。
〈2位が置換されているオキセタン環を有するオキセタン化合物〉
本発明の活性光線硬化型組成物では、下記一般式(OX1)で表される2位が置換されているオキセタン環を分子中に少なくとも1つ有するオキセタン化合物を用いることが好ましい。
本発明の活性光線硬化型組成物では、下記一般式(OX1)で表される2位が置換されているオキセタン環を分子中に少なくとも1つ有するオキセタン化合物を用いることが好ましい。
上記一般式(OX1)において、R1〜R6は各々水素原子または置換基を表す。但し、R3〜R6で表される基の少なくとも一つは置換基である。一般式(OX1)において、R1〜R6で表される置換基としては、例えば、フッ素原子、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等)、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、フリル基またはチエニル基を表す。また、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
〈分子中に1個のオキセタン環を有するオキセタン化合物〉
さらに、上記一般式(OX1)の中でも、下記一般式(OX2)〜(OX5)で表されるオキセタン環を有する化合物が好ましく用いられる。
さらに、上記一般式(OX1)の中でも、下記一般式(OX2)〜(OX5)で表されるオキセタン環を有する化合物が好ましく用いられる。
式中、R1〜R6は水素原子または置換基を表し、R7、R8は各々置換基を表し、Zは各々独立で酸素または硫黄原子、あるいは主鎖に酸素または硫黄原子を含有してもよい2価の炭化水素基を表す。一般式(OX2)〜(OX5)において、R1〜R6で表される置換基は前記一般式(OX1)のR1〜R6で表される置換基と同義である。
一般式(OX2)〜(OX5)において、R7、R8で表される置換基としては、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等)、炭素数1〜6個のアルケニル基(例えば、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基または3−ブテニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基等)、炭素数1〜6個のアシル基(例えば、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基またはペンチルカルボニル基等)、炭素数1〜6個のアルコキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、炭素数1〜6個のアルキルカルバモイル基(例えば、プロピルカルバモイル基、ブチルペンチルカルバモイル基等)、アルコキシカルバモイル基(例えば、エトキシカルバモイル基等)を表す。
一般式(OX2)〜(OX5)において、Zで表される酸素または硫黄原子、あるいは主鎖に酸素または硫黄原子を含有してもよい2価の炭化水素基としては、アルキレン基(例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等)、アルケニレン基(例えば、ビニレン基、プロペニレン基等)、アルキニレン基(例えば、エチニレン基、3−ペンチニレン基等)が挙げられ、また前記のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基の炭素原子は酸素原子や硫黄原子に置き換わっていてもよい。
上記の置換基の中でも、R1が低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)が好ましく、特に好ましく用いられるのはエチル基である。また、R7及びR8としてはプロピル基、ブチル基、フェニル基またはベンジル基が好ましく、Zは酸素または硫黄原子を含まない炭化水素基(アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基等)が好ましい。
〈分子中に2個以上のオキセタン環を有する化合物〉
また、本発明では、下記一般式(OX6)、(OX7)で表されるような分子中に2個以上のオキセタン環を有する化合物を用いることができる。
また、本発明では、下記一般式(OX6)、(OX7)で表されるような分子中に2個以上のオキセタン環を有する化合物を用いることができる。
式中、Zは前記一般式(OX2)〜(OX5)において用いられる基と同義であり、mは2、3または4を表す。R1〜R6は水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)またはフリル基を表す。但し、一般式(19)においては、R3〜R6の少なくとも一つは置換基である。
式中、R9は炭素数1〜12の線形または分岐アルキレン基、線形または分岐ポリ(アルキレンオキシ)基、または下記一般式(CJ1)、(CJ2)及び(CJ3)からなる群から選択される2価の基を表す。
上記の炭素数1〜12の分岐アルキレン基の一例としては、下記一般式(R)で表されるアルキレン基が好ましく用いられる。
式中、R10は低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
式中、nは0または1〜2000の整数を表し、R12は炭素数1〜10個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等)を表し、R11は炭素数1〜10個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等)または下記一般式(CJ4)で表される基を表す。
式中、jは0または1〜100の整数を表し、R13は炭素数1〜10個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等)を表す。
式中、R14は水素原子、炭素数1〜10個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等)、炭素数1〜10個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、アルコキシカルボニル基((例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)またはカルボキシル基を表す。
式中、R15は酸素原子、硫黄原子、−NH−、−SO−、−SO2−、−CH2−、−C(CH3)2−、または、−C(CF3)2−を表す。
本発明で使用されるオキセタン環を有する化合物の好ましい部分構造の態様としては、例えば、上記一般式(19)、(20)において、R1が低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)であることが好ましく、特に好ましくはエチル基である。また、R9としてはヘキサメチレン基、または上記一般式(23)において、R14が水素原子であるものが好ましく用いられる。
上記一般式(21)において、R10がエチル基、R12及びR13がメチル基、Zが酸素または硫黄原子を含まない炭化水素基が好ましい。
さらに、本発明に係るオキセタン環を有する化合物の好ましい態様の一例としては、下記一般式(OX8)で表される化合物が挙げられる。
式中、rは25〜200の整数であり、R16は炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)またはトリアルキルシリル基を表す。R1、R3、R5、R6は、上記一般式(14)においてR1〜R6で表される置換基と同義である。但し、R3〜R6の少なくとも一つは置換基である。
以下、本発明に係る2位が置換されているオキセタン環を有する化合物の具体例を例示化合物1〜15として示すが、本発明はこれらに限定されない。
1:trans−3−tert−ブチル−2−フェニルオキセタン
2:3,3,4,4−テトラメチル−2,2−ジフェニルオキセタン
3:ジ[3−エチル(2−メトキシ−3−オキセタニル)]メチルエーテル
4:1,4−ビス(2,3,4,4−テトラメチル−3−エチル−オキセタニル)ブタン
5:1,4−ビス(3−メチル−3−エチルオキセタニル)ブタン
6:ジ(3,4,4−トリメチル−3−エチルオキセタニル)メチルエーテル
7:3−(2−エチル−ヘキシルオキシメチル)−2,2,3,4−テトラメチルオキセタン
8:2−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−2,3,3,4,4−ペンタメチル−オキセタン
9:4,4′−ビス[(2,4−ジメチル−3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ビフェニル
10:1,7−ビス(2,3,3,4,4−ペンタメチル−オキセタニル)ヘプタン)
11:オキセタニル・シルセスキオキサン
12:2−メトキシ−3,3−ジメチルオキセタン
13:2,2,3,3−テトラメチルオキセタン
14:2−(4−メトキシフェニル)−3,3−ジメチルオキセタン
15:ジ(2−(4−メトキシフェニル)−3−メチルオキセタン−3−イル)エーテル
本発明に係る少なくとも2位が置換されているオキセタン環を有する化合物の合成は、下記に記載の文献を参考に合成することができる。
2:3,3,4,4−テトラメチル−2,2−ジフェニルオキセタン
3:ジ[3−エチル(2−メトキシ−3−オキセタニル)]メチルエーテル
4:1,4−ビス(2,3,4,4−テトラメチル−3−エチル−オキセタニル)ブタン
5:1,4−ビス(3−メチル−3−エチルオキセタニル)ブタン
6:ジ(3,4,4−トリメチル−3−エチルオキセタニル)メチルエーテル
7:3−(2−エチル−ヘキシルオキシメチル)−2,2,3,4−テトラメチルオキセタン
8:2−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−2,3,3,4,4−ペンタメチル−オキセタン
9:4,4′−ビス[(2,4−ジメチル−3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ビフェニル
10:1,7−ビス(2,3,3,4,4−ペンタメチル−オキセタニル)ヘプタン)
11:オキセタニル・シルセスキオキサン
12:2−メトキシ−3,3−ジメチルオキセタン
13:2,2,3,3−テトラメチルオキセタン
14:2−(4−メトキシフェニル)−3,3−ジメチルオキセタン
15:ジ(2−(4−メトキシフェニル)−3−メチルオキセタン−3−イル)エーテル
本発明に係る少なくとも2位が置換されているオキセタン環を有する化合物の合成は、下記に記載の文献を参考に合成することができる。
(1)Hu Xianming,Richard M.Kellogg,Synthesis,533〜538,May(1995)
(2)A.O.Fitton,J.Hill,D.Ejane,R.Miller,Synth.,12,1140(1987)
(3)Toshiro Imai and Shinya Nishida,Can. J.Chem.Vol.59,2503〜2509(1981)
(4)Nobujiro Shimizu,Shintaro Yamaoka,and Yuho Tsuno,Bull.Chem.Soc.Jpn.,56,3853〜3854(1983)
(5)Walter Fisher and Cyril A.Grob,Helv.Chim.Acta.,61,2336(1978)
(6)Chem.Ber.101,1850(1968)
(7)“Heterocyclic Compounds with Three− and Four−membered Rings”,Part Two,Chapter IX,Interscience Publishers,John Wiley&Sons,New York(1964)
(8)Bull.Chem.Soc.Jpn.,61,1653(1988)
(9)Pure Appl.Chem.,A29(10),915(1992)
(10)Pure Appl.Chem.,A30(2&3),189(1993)
(11)特開平6−16804号公報
(12)ドイツ特許第1,021,858号明細書
本発明に係る少なくとも2位が置換されているオキセタン環を有する化合物の活性光線硬化型インク中の含有量は、1〜97質量%が好ましくは、より好ましくは30〜95質量%である。
(2)A.O.Fitton,J.Hill,D.Ejane,R.Miller,Synth.,12,1140(1987)
(3)Toshiro Imai and Shinya Nishida,Can. J.Chem.Vol.59,2503〜2509(1981)
(4)Nobujiro Shimizu,Shintaro Yamaoka,and Yuho Tsuno,Bull.Chem.Soc.Jpn.,56,3853〜3854(1983)
(5)Walter Fisher and Cyril A.Grob,Helv.Chim.Acta.,61,2336(1978)
(6)Chem.Ber.101,1850(1968)
(7)“Heterocyclic Compounds with Three− and Four−membered Rings”,Part Two,Chapter IX,Interscience Publishers,John Wiley&Sons,New York(1964)
(8)Bull.Chem.Soc.Jpn.,61,1653(1988)
(9)Pure Appl.Chem.,A29(10),915(1992)
(10)Pure Appl.Chem.,A30(2&3),189(1993)
(11)特開平6−16804号公報
(12)ドイツ特許第1,021,858号明細書
本発明に係る少なくとも2位が置換されているオキセタン環を有する化合物の活性光線硬化型インク中の含有量は、1〜97質量%が好ましくは、より好ましくは30〜95質量%である。
〈オキセタン化合物とその他のモノマーとの併用〉
また、本発明に係る少なくとも2位が置換されているオキセタン環を有する化合物は、単独で用いてもよいが、構造の異なる2種を併用してもよく、また、後述する、光重合性モノマーや重合性モノマー等の光重合性化合物等を併用して使用することができる。併用する場合、混合比は少なくとも2位が置換されているオキセタン環を有する化合物が混合物中、10〜98質量%になるように調製することが好ましく、またその他の光重合性モノマーや重合性モノマー等の光重合性化合物が2〜90質量%になるように調整することが好ましい。
また、本発明に係る少なくとも2位が置換されているオキセタン環を有する化合物は、単独で用いてもよいが、構造の異なる2種を併用してもよく、また、後述する、光重合性モノマーや重合性モノマー等の光重合性化合物等を併用して使用することができる。併用する場合、混合比は少なくとも2位が置換されているオキセタン環を有する化合物が混合物中、10〜98質量%になるように調製することが好ましく、またその他の光重合性モノマーや重合性モノマー等の光重合性化合物が2〜90質量%になるように調整することが好ましい。
〈3位のみに置換基を有するオキセタン化合物〉
本発明では、上記の2位に置換基を有するオキセタン化合物と従来公知のオキセタン化合物とを併用することができるが、中でも3位のみに置換基を有するオキセタン化合物が好ましく併用できる。
本発明では、上記の2位に置換基を有するオキセタン化合物と従来公知のオキセタン化合物とを併用することができるが、中でも3位のみに置換基を有するオキセタン化合物が好ましく併用できる。
ここで、3位のみに置換基を有するオキセタン化合物としては、例えば、特開2001−220526公報、同2001−310937公報に紹介されているような公知のものを使用することができる。
3位のみに置換基を有する化合物としては、下記一般式(OX9)で示される化合物が挙げられる。
一般式(OX9)において、R1は水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基である。R2はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、またはエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等である。本発明で使用するオキセタン化合物としては、1個のオキセタン環を有する化合物を使用することが粘着性に優れ、低粘度で作業性に優れるため特に好ましい。
2個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(OX10)で示される化合物等が挙げられる。
一般式(OX10)において、R1は上記一般式(OX9)におけるそれと同様の基である。R3は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の線状または分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等の線状または分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等の線状または分枝状不飽和炭化水素基、またはカルボニル基またはカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基等である。
また、R3としては下記一般式(CJ5)、(CJ6)及び(CJ7)で示される基から選択される多価基も挙げることができる。
上記一般式(CJ5)において、R4は水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシル基またはカルバモイル基である。
上記一般式(CJ6)において、R5は酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF3)2またはC(CH3)2を表す。
上記一般式(CJ7)において、R6はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。nは0〜2000の整数である。R7はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。R7としては、さらに下記一般式(R7)示される基から選択される基も挙げることができる。
上記一般式(R7)において、R8はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。mは0〜100の整数である。
2個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
例示化合物1は、前記一般式(OX10)においてR1がエチル基、R3がカルボキシル基である化合物である。また、例示化合物2は、前記一般式(OX10)においてR1がエチル基、R3が前記一般式(CJ7)でR6及びR7がメチル基、nが1である化合物である。
2個のオキセタン環を有する化合物において、上記の化合物以外の好ましい例としては、下記一般式(OX11)で示される化合物がある。一般式(OX11)において、R1は前記一般式(OX9)のR1と同義である。
また、3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(OX12)で示される化合物が挙げられる。
一般式(OX12)において、R1は前記一般式(OX9)におけるR1と同義である。R9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基または下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは3または4である。
上記Aにおいて、R10はメチル基、エチル基またはプロピル基等の低級アルキル基である。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、例示化合物が挙げられる。
さらに、上記説明した以外の1〜4個のオキセタン環を有する化合物の例としては、下記一般式(OX13)で示される化合物が挙げられる。
一般式(OX13)において、R8は前記一般式(R7)のR8と同義である。R11はメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
本発明に係るオキセタン化合物の好ましい具体例としては、以下に示す例示化合物がある。
上述したオキセタン環を有する各化合物の製造方法は、特に限定されず、従来知られた方法に従えばよく、例えば、パティソン(D.B.Pattison,J.Am.Chem.Soc.,3455,79(1957))が開示している、ジオールからのオキセタン環合成法等がある。また、これら以外にも、分子量1000〜5000程度の高分子量を有する1〜4個のオキセタン環を有する化合物も挙げられる。これらの具体的化合物例としては、以下の例示化合物が挙げられる。
〔光重合開始剤〕
光重合開始剤とは、上記活性光線の照射により、重合性化合物の重合反応を開始し得る機能を有する活性種を生成する化合物をいう。
光重合開始剤とは、上記活性光線の照射により、重合性化合物の重合反応を開始し得る機能を有する活性種を生成する化合物をいう。
本発明に係る光重合開始剤としては、例えば「UV・EB硬化技術の応用と市場」(シーエムシー出版、田畑米穂監修/ラドテック研究会編集)等に掲載されているあらゆる公知の光酸発生剤、光ラジカル発生剤を用いることができる。本発明においては、光酸発生剤として機能するオニウム塩が好ましく用いられる。例えば、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム等の芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、CF3SO3 -塩を挙げることができる。その含有量としてはインク組成物の全質量に対して5質量%以下であることが好ましい。5質量%を超えると、光重合開始剤自身も4級アンモニウム塩と同様、顔料と分散剤の吸着を妨げる原因となり、保存後に顔料凝集が発生し出射不良を引き起こすことがある。また本発明に係る開始剤としては、複数回水洗処理、カラム吸着処理を行った光重合開始剤を用いることがより好ましく、オニウム塩の中でも、スルホニウム塩が保存安定性の観点でより好ましく用いられる。
(スルホニウム化合物)
本発明に係る光重合開始剤としては、スルホニウム化合物、特に、スルホニウム塩が好ましく用いられる。これらの内で、特に、トリアリールスルホニウム塩が、保存安定性が良好であり、かつ、重合性化合物への溶解性が良好であるため、その添加量を容易に増やすことができ、重合性化合物の残留を抑えることができるため好ましい。
本発明に係る光重合開始剤としては、スルホニウム化合物、特に、スルホニウム塩が好ましく用いられる。これらの内で、特に、トリアリールスルホニウム塩が、保存安定性が良好であり、かつ、重合性化合物への溶解性が良好であるため、その添加量を容易に増やすことができ、重合性化合物の残留を抑えることができるため好ましい。
これらトリアリールスルホニウム塩タイプの光開始剤として、特に下記一般式〔S1〕〜〔S4〕で与えられるトリアリールスルホニウム塩化合物が溶解性、感度のほか保存安定性にも優れ、好ましい。
前記一般式〔S1〕〜〔S4〕において、R1〜R17はそれぞれ水素原子、または置換基を表し、R1〜R3が同時に水素原子を表すことがなく、R4〜R7が同時に水素原子を表すことがなく、R8〜R11が同時に水素原子を表すことがなく、R12〜R17が同時に水素原子を表すことはない。X-はアニオンを表す。
R1〜R17で表される置換基としては、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピル基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基等のアルコキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、デシルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンゾイルオキシ基等のカルボニル基、フェニルチオ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基等を挙げることができる。
X-は、アニオンを表し、例えば、F-、Cl-、Br-、I-等のハロゲン原子、B(C6F5)4 -、R18COO-、R19SO3 -、SbF6 -、AsF6 -、PF6 -、BF4 -等のアニオンを挙げることができる。ただし、R18及びR19は、それぞれメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基等で置換されていもよいアルキル基もしくはフェニル基を表す。この中でも、安全性の観点から、B(C6F5)4 -、PF6 -が好ましい。
上記化合物は、THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN Vol.71 No.11,1998年、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、に記載の光酸発生剤と同様、公知の方法にて容易に合成することができる。
本発明においては、前記一般式〔S1〕〜〔S4〕で表されるスルホニウム塩が、下記式〔S5〕〜〔S13〕から選ばれるスルホニウム塩の少なくとも1種であることが、特に好ましい。X-はアニオンを表し、前述と同様である。
例示化合物としては、前記式〔S5〕〜〔S13〕のXがPF6の他に、下記の化合物が挙げられる。
(ヨードニウム塩)
ヨードニウム塩の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
ヨードニウム塩の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
〔有機顔料〕
本発明に用いられる活性光線硬化型インクは、各種公知の有機顔料を含有することができる。特に、本発明に係るインク組成物に含有される少なくとも1種の有機顔料は、酸性処理、塩基性処理等の表面処理された有機顔料を含有することが好ましい。
本発明に用いられる活性光線硬化型インクは、各種公知の有機顔料を含有することができる。特に、本発明に係るインク組成物に含有される少なくとも1種の有機顔料は、酸性処理、塩基性処理等の表面処理された有機顔料を含有することが好ましい。
本発明において、好ましく用いることのできる有機顔料としては、活性光線硬化型マゼンタインク用には、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 185、C.I.Pigment Red 202、C.I.Pigment Violet 19、活性光線硬化型イエロータインク用には、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 120、C.I.Pigment Yellow 150、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 180、活性光線硬化型シアンインクには、C.I Pigment Blue−15:3、C.I Pigment Blue−15:4、等が挙げられ、これらの表面処理された有機顔料を複数回水洗処理、カラム吸着処理、等の精製処理をさらに加えることによって、インク中の4級アンモニウム塩の含有量を5〜500ppmに制御することが必要である。
上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。
〔カーボンブラック系顔料〕
本発明の活性光線硬化型インクには、顔料としてカーボンブラック系顔料を0.1質量%以上、2質量%未満含有することが好ましい。
本発明の活性光線硬化型インクには、顔料としてカーボンブラック系顔料を0.1質量%以上、2質量%未満含有することが好ましい。
本発明に用いることができるカーボンブラック系顔料としては公知のものが使用でき、例えば、C.I.Pigment Black 7等が挙げられる。さらに、三菱化学社製のNo.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、No.44、No.47、MA7、MA8、MA11、MA100、No.2200B、コロンビア社製のRaven700、Raven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255、キャボット社製のRegal400R、Regal330R、Regal660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400、デグサ社製ColorBlack FW1、ColorBlack FW2、ColorBlack FW2V、ColorBlackFW18、ColorBlackFW200、ColorBlackS150、ColorBlackS160、ColorBlackS170、Printex35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Printex 140V、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4A、SpecialBlack4、NIPex35、NIPex60、NIPex70、NIPex90、NIPex150、関西熱化学(株)社製のマックスソーブG−40、マックスソーブG−15、マックスソーブG−08等を使用することができる。
さらに、本発明に係るカーボンブラックとしては、BET比表面積が大きく、粒子径の小さなものが好ましく、200〜300m2/gのものが好ましい。BET比表面積が300m2/gより大きいと顔料粒子径が小さくなりすぎ、分散安定性が低下しやすくなり、逆に200m2/gより小さいと、顔料粒子径が大きく吐出が不安定になりやすい。
また、DBP吸油量としては50〜150ml/100g以下のものが好ましく、50〜100ml/100gのものがより好ましい。
また、本発明に用いられるカーボンブラック系顔料としては、上記市販のものの他、各種文献に記載されている公知のものが利用できる。文献に関してはカラーインデックス(The Societyof Dyers and Colourists 編)、「改訂新版顔料便覧」日本顔料技術協会編(1989年刊)、「最新顔料応用技術」CMC出版(1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版(1984年刊)W.Herbst,K.Hunger共著によるIndustrialOrganic Pigments(VCH Verlagsgesellshaft、1993年刊)等がある。
(高分子分散剤)
また、顔料の分散を行う際に、本発明においては高分子分散剤を用いる。高分子分散剤としては、酸価と塩基価を両方持ち、かつ、酸価が塩基価より大きいものを用いることがより安定な分散特性を得られ好ましく、例えば、味の素ファインテクノ社のPBシリーズ、川研ファインケミカルのヒノアクトシリーズ等が挙げられる。これらの高分子分散剤は、顔料100質量部に対し、1〜60質量部添加することが好ましい。さらに好ましくは顔料100質量部に対し、35〜60質量部添加することが好ましい。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤及び分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
また、顔料の分散を行う際に、本発明においては高分子分散剤を用いる。高分子分散剤としては、酸価と塩基価を両方持ち、かつ、酸価が塩基価より大きいものを用いることがより安定な分散特性を得られ好ましく、例えば、味の素ファインテクノ社のPBシリーズ、川研ファインケミカルのヒノアクトシリーズ等が挙げられる。これらの高分子分散剤は、顔料100質量部に対し、1〜60質量部添加することが好ましい。さらに好ましくは顔料100質量部に対し、35〜60質量部添加することが好ましい。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤及び分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
分散媒体は、重合性化合物を用いて行うことが好ましい。また本発明でいう酸価あるいは塩基価は、電位差滴定により求めることができ、例えば、色材協会誌61,[12]692−698(1988)に記載の方法で測定することができる。顔料や分散剤を複数用いる場合は、その質量平均として表示することができる。
顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.25μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜5μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、高分子分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性を維持することができる。
本発明のインクにおいては、色材濃度としては、インク全体の0.5〜10質量%であることが好ましい。
顔料分散剤としては、塩基性のアンカー部を有するものを用いることが好ましく、かつ櫛形構造を有する高分子分散剤を用いることがさらに好ましい。
本発明で用いることのできる顔料分散剤の具体例としては、Avecia社製ソルスパース9000、同17000、同18000、同19000、同20000、同24000SC、同24000GR、同28000、同32000、味の素ファインテクノ社製アジスパーPB821、同PB822、楠本化成社製PLAAD ED214、同ED251、DISPARLON DA−325、同DA−234、EFKA社製EFKA−5207、同5244、同6220、同6225等が挙げられる。また、顔料分散剤と併せて顔料誘導体(シナジスト)を用いることができる、顔料誘導体の具体例としては、Avecia社製ソルスパース5000、同12000、同22000、EFKA社製EFKA−6746、同6750等が挙げられる。
〔環状エステル化合物、環状エーテル化合物〕
本発明の活性光線硬化型インクは4〜10員環の脂肪族環状エステル化合物または5員環以上の環状エーテル化合物を含有することが、硬化性や各種基材への密着性が向上するため好ましい。
本発明の活性光線硬化型インクは4〜10員環の脂肪族環状エステル化合物または5員環以上の環状エーテル化合物を含有することが、硬化性や各種基材への密着性が向上するため好ましい。
環状エステル化合物としては、4〜10員環の脂肪族環状エステル化合物である。具体的には、ε−カプロラクトン−6−ヒドロキシヘキサン酸−1,6ラクトン、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、α−メチル−β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−ヘプタノラクトン、クマリン、テトロン酸、ピロン、フタリド、3−メチル−1,4−ジオキサ−2,5−ジオン、p−ジオキサノン、モリホリンジオン、モリホリン等である。また、その使用に当たってはそれらの混合物でも構わない。
環状エーテル化合物としては、5員環以上の環状エーテル化合物である。さらに好ましくは、炭酸エステル構造を有しない環状エーテル化合物である。具体的には、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、クラウンエーテル(12−crown−4等)、1,2−ジメチルテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、2−メチルジオキソラン、4−メチルジオキソラン等である。
4〜10員環の脂肪族環状エステル化合物及び5員環以上の環状エーテル化合物の含有量は、1〜10質量%であることが好ましい。
〔塩基性化合物〕
本発明の活性光線硬化型インクは、上記カチオン重合性化合物及び光重合開始剤の他に、塩基性化合物を0.001質量%以上、0.05質量%未満含有することが特徴である。さらに好ましくは、0.001質量%以上、0.02質量%未満である。
本発明の活性光線硬化型インクは、上記カチオン重合性化合物及び光重合開始剤の他に、塩基性化合物を0.001質量%以上、0.05質量%未満含有することが特徴である。さらに好ましくは、0.001質量%以上、0.02質量%未満である。
塩基性化合物は保存安定性を改良する効果がある。また、塩基性化合物を含有することで、吐出安定性が良好となるばかりでなく、低湿下においても硬化収縮による皺の発生が抑制される。これらの目的には、公知のあらゆる塩基性化合物を用いることができるが、代表的なものとして塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミン等の塩基性有機化合物等が挙げられる。また、ラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとすることも可能である。
塩基性アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属の水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカリ金属の炭酸塩(炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、アルカリ金属のアルコラート(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド等)が挙げられる。前記の塩基性アルカリ土類金属化合物としては、同様にアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等)、アルカリ金属の炭酸塩(炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等)、アルカリ金属のアルコラート(マグネシウムメトキシド等)が挙げられる。
塩基性有機化合物としては、アミンならびにキノリン及びキノリジン等含窒素複素環化合物等が挙げられるが、これらの中でも、光重合性モノマーとの相溶性の面からアミンが好ましく、例えば、オクチルアミン、ナフチルアミン、キシレンジアミン、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ジメチルアニリン、キヌクリジン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン及びトリエタノールアミン等が挙げられる。
なお、塩基性化合物は単独で使用しても複数を併用して使用してもよい。
(その他添加剤)
本発明の活性光線硬化型インクには、上記説明した以外にさまざまな添加剤を用いることができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。
本発明の活性光線硬化型インクには、上記説明した以外にさまざまな添加剤を用いることができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。
〔含水率〕
本発明の活性光線硬化型インクは、カールフィッシャー法による含水率が0.1質量%以上、1.5質量%未満である状態で容器に密閉され保存される。含水率は、用いる重合性化合物により多少違いがでるが、例えば、30℃、80%RHの高湿下でインクを十分調湿した後に容器に密閉したり、25℃、60%RH程度の中湿下でインクを調液する場合には水を若干添加・溶解させることで、上記範囲の含水率にすることができる。0.1質量%よりも低いと保存によるインク粘度のバラツキが大きくなり、記録ヘッドからの吐出が安定しない。特に、吐出するインク液滴量が小さい場合に厳しくなる。また、1.5質量%を超えると重合開始剤や活性剤の溶解性が劣化してしまう。
本発明の活性光線硬化型インクは、カールフィッシャー法による含水率が0.1質量%以上、1.5質量%未満である状態で容器に密閉され保存される。含水率は、用いる重合性化合物により多少違いがでるが、例えば、30℃、80%RHの高湿下でインクを十分調湿した後に容器に密閉したり、25℃、60%RH程度の中湿下でインクを調液する場合には水を若干添加・溶解させることで、上記範囲の含水率にすることができる。0.1質量%よりも低いと保存によるインク粘度のバラツキが大きくなり、記録ヘッドからの吐出が安定しない。特に、吐出するインク液滴量が小さい場合に厳しくなる。また、1.5質量%を超えると重合開始剤や活性剤の溶解性が劣化してしまう。
〔粘度〕
本発明の活性光線硬化型インクは、活性光線硬化型インクの25℃における粘度が7〜40mPa・sであることが、硬化環境(温度・湿度)に関係なく吐出が安定し、良好な硬化性を得るために好ましい。
本発明の活性光線硬化型インクは、活性光線硬化型インクの25℃における粘度が7〜40mPa・sであることが、硬化環境(温度・湿度)に関係なく吐出が安定し、良好な硬化性を得るために好ましい。
《記録媒体》
本発明で用いることのできる記録媒体としては、通常の非コート紙、コート紙等の他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチック及びそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルムを挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類等が使用できる。また、金属類や、ガラス類にも適用可能である。これらの記録媒体の中でも、特に熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムへ画像を形成する場合に本発明の構成は、有効となる。これらの基材は、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱等により、フィルムのカール、変形が生じやすいばかりでなく、インク膜が基材の収縮に追従し難い。
本発明で用いることのできる記録媒体としては、通常の非コート紙、コート紙等の他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチック及びそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルムを挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類等が使用できる。また、金属類や、ガラス類にも適用可能である。これらの記録媒体の中でも、特に熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムへ画像を形成する場合に本発明の構成は、有効となる。これらの基材は、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱等により、フィルムのカール、変形が生じやすいばかりでなく、インク膜が基材の収縮に追従し難い。
これら、各種プラスチックフィルムの表面エネルギーは大きく異なり、記録媒体によってインク着弾後のドット径が変わってしまうことが、従来から問題となっていた。本発明の構成では、表面エネルギーの低いOPPフィルム、OPSフィルムや表面エネルギーの比較的大きいPETまでを含む、表面エネルギーが35〜60mN/mの広範囲の記録媒体に良好な高精細な画像を形成できる。
本発明において、包装の費用や生産コスト等の記録媒体のコスト、プリントの作製効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺(ウェブ)な記録媒体を使用する方が有利である。
《インクジェット記録方法》
本発明のインクジェット記録方法は、下記条件(1)〜(5)を満たす特定の活性光線硬化型インクを用いて、シリアル方式またはライン方式のインクジェット記録装置により、記録媒体に画像を形成する際に、1照射当りのインク量が5g/m2以上、30g/m2未満であることを特徴とする。
(1)カチオン重合性化合物及び光重合開始剤を含有する。
(2)塩基性化合物を0.001質量%以上、0.05質量%未満含有する。
(3)カールフィッシャー法により測定した含水率が0.1質量%以上、1.5質量%未満である。
(4)プロピレンカーボネートを1〜3質量%含有する。
(5)330nm以上の長波長領域の紫外線(紫外光)を吸収し得る増感剤を含有する。
本発明のインクジェット記録方法は、下記条件(1)〜(5)を満たす特定の活性光線硬化型インクを用いて、シリアル方式またはライン方式のインクジェット記録装置により、記録媒体に画像を形成する際に、1照射当りのインク量が5g/m2以上、30g/m2未満であることを特徴とする。
(1)カチオン重合性化合物及び光重合開始剤を含有する。
(2)塩基性化合物を0.001質量%以上、0.05質量%未満含有する。
(3)カールフィッシャー法により測定した含水率が0.1質量%以上、1.5質量%未満である。
(4)プロピレンカーボネートを1〜3質量%含有する。
(5)330nm以上の長波長領域の紫外線(紫外光)を吸収し得る増感剤を含有する。
〔特定の活性光線硬化型インク〕
本発明のインクジェット記録方法に用いられる上記条件(1)〜(5)を満たす特定の活性光線硬化型インクは、前記本発明の活性光線硬化型インクに、さらに、プロピレンカーボネートを1〜3質量%含有し、330nm以上の長波長領域の紫外線(紫外光)を吸収し得る増感剤を含有することを必要条件とした活性光線硬化型インクであって、その各構成要素については、前記本発明の活性光線硬化型インクの項で説明した各構成要素を参照することができる。
本発明のインクジェット記録方法に用いられる上記条件(1)〜(5)を満たす特定の活性光線硬化型インクは、前記本発明の活性光線硬化型インクに、さらに、プロピレンカーボネートを1〜3質量%含有し、330nm以上の長波長領域の紫外線(紫外光)を吸収し得る増感剤を含有することを必要条件とした活性光線硬化型インクであって、その各構成要素については、前記本発明の活性光線硬化型インクの項で説明した各構成要素を参照することができる。
また、本発明のインクジェット記録方法に用いられる記録媒体は、前記本発明の活性光線硬化型インクの項で説明した記録媒体を用いることができる。
〔シリアル方式のインクジェット記録装置〕
以下、シリアル方式のインクジェット記録装置について図1から図2を参照しながら説明する。
以下、シリアル方式のインクジェット記録装置について図1から図2を参照しながら説明する。
図1は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるシリアル方式のインクジェット記録装置1を模式的に示した斜視図である。
このインクジェット記録装置1は、記録媒体3の搬送方向(副走査方向A)に対して直交する方向(主走査方向B)に記録ヘッド2を走査させながら、光硬化型インクにより画像記録を行なわせるシリアル方式のインクジェット記録装置である。
図1に示すように、このインクジェット記録装置1には記録媒体3を非記録面から支持するプラテン4が設けられており、このプラテン4の副走査方向Aの両端には記録媒体3を搬送させる記録媒体搬送機構5が設けられている。
また、プラテン4の記録媒体3側上方には、主走査方向Bに延在するガイドレール6が設けられている。このガイドレール6には、キャリッジ7が支持されており、キャリッジ7は図示していないヘッド搬送機構9により主走査方向Bに往復動自在とされている。
このキャリッジ7には、記録ヘッド2が主走査方向Bに沿って4個配置されており、この記録ヘッド2には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)のいずれか一色の光硬化型インクを記録媒体3に吐出させるための複数のノズルが、記録ヘッド2の記録媒体3と対向する面に直線状に配列されている。
ここで、記録ヘッド2内には、図示しないピエゾ素子等の圧電素子が設けられており、この圧電素子を駆動することにより、圧電素子が変位して記録ヘッド2のノズルから所定量のインクを吐出することができるようになっている。
また、キャリッジ7の記録ヘッド2の副走査方向Aにおける両端部には、記録媒体3に着弾されたインクを硬化させるための光照射装置8が設けられている。
この光照射装置8には、光を照射する棒状の光源がノズルの配列方向に対して平行に配置されている。
次に、図2を参照してインクジェット記録装置1における制御部について説明する。図2はインクジェット記録装置1の制御部を示すブロック図である。
インクジェット記録装置1には、画像記録を開始する際に、制御部10に対して画像記録情報を送信する入力部11が設けられている。
制御部10は、画像記録情報を受信した際に、記録ヘッド2からのインク吐出タイミングと記録ヘッド2の主走査方向Bにおける搬送量とを制御し、記録媒体3上で吐出されるインク量が1照射当り5g/m2以上、30g/m2未満とするための処理用プログラムXが格納された記憶部12に接続されている。また記憶部12には、他の制御プログラムが格納されている。
制御部10は、記録媒体3にインクを吐出させる記録ヘッド2、記録媒体3に着弾されたインクに光を照射させる光照射装置8、記録媒体3を搬送させる記録媒体搬送機構5及び記録ヘッド2等を搬送させるヘッド搬送機構9に接続されている。そして制御部10は、前記画像記録情報に基づいて、記憶部12中に格納された各種プログラムにより各種機器を制御するようになっている。
さらに詳しく説明すると、制御部10は、記憶部12の処理用プログラムXに基づいて、記録媒体3上で吐出されるインク量が1照射当り5g/m2以上、30g/m2未満となるように、記録ヘッド2によるインク吐出タイミング及びヘッド搬送機構9によるインク吐出タイミングに応じた記録ヘッド2の搬送量を制御するようになっている。また、制御部10は、記録媒体3上にインクが着弾されてから1秒以内にインクドットに光を照射するように制御するようになっている。
次に第一実施形態のインクジェット記録装置1の動作について説明する。
制御部10に入力部11から画像記録情報が送信されると、制御部10は、前記画像記録情報に基づいて記録ヘッド2、光照射装置8、記録媒体搬送機構5及びヘッド搬送機構9を制御して、画像記録を開始させる。
具体的にはインクジェット記録装置1の動作中において、制御部10は記録ヘッド2のインク吐出タイミングを制御してインクを吐出させるとともに、このインク吐出タイミングに応じた記録ヘッド2の搬送量だけ記録ヘッド2を搬送させる。
そして制御部10は、記録媒体3に着弾されたインクドットに向け光照射装置8から光を照射させる。これにより記録ヘッド2から吐出されたインクは、記録媒体3に着弾した直後に光が照射されて硬化し、記録媒体3の記録面上に定着する。
それとともに制御部10は、記録媒体搬送機構5を作動させ、プラテン4により非記録面を支持された記録媒体3を副走査方向Aの一方に間欠搬送させる。
〔ライン方式のインクジェット記録装置〕
次に、ライン方式のインクジェット記録装置について図3を参照しながら説明する。なお、以下においては、特にシリアル方式のインクジェット記録装置と異なる点を説明する。
次に、ライン方式のインクジェット記録装置について図3を参照しながら説明する。なお、以下においては、特にシリアル方式のインクジェット記録装置と異なる点を説明する。
図3はライン方式のインクジェット記録装置21を模式的に示した斜視図である。
このインクジェット記録装置21は、記録媒体23の搬送方向(副走査方向A)に対して直交する方向(主走査方向B)に記録ヘッド22を延在するように配置し、記録媒体23を搬送させながら光硬化型インクにより画像記録を行なわせるライン方式のインクジェット記録装置である。
図3に示すように、このインクジェット記録装置21には記録媒体23を非記録面から支持するプラテン24が設けられており、プラテン24の副走査方向Aの両端には記録媒体23を搬送させる記録媒体搬送機構25が設けられている。
また、プラテン24の記録媒体23側上方には、主走査方向Bに延在する記録ヘッド22が副走査方向Aに沿って4個配置されている。
この記録ヘッド22には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)のいずれか一色の光硬化型インクを記録媒体3に吐出させるための複数のノズルが、記録ヘッド22の記録媒体23と対向する面に直線状に配列されている。
また、記録ヘッド22の近傍で記録媒体23の搬送方向の最下流側には、記録媒体23に着弾されたインクを硬化させるための光照射装置26が設けられている。
この光照射装置26には、光を照射する棒状の光源が、ノズルの配列方向に対して平行に配置されている。
次に、インクジェット記録装置21における制御部について説明する。
インクジェット記録装置21には、画像記録を開始する際に、制御部に対して画像記録情報を送信する入力部が設けられている。
制御部は、画像記録情報を受信した際に、記録ヘッド22からのインク吐出タイミングと記録媒体23の副走査方向Aにおける搬送量とを制御し、記録媒体3上で吐出されるインク量が1照射当り5g/m2以上、30g/m2未満となるようにするための処理用プログラムが格納された記録部に接続されている。
また制御部は、記録媒体23にインクを吐出させる記録ヘッド22、記録媒体23に着弾されたインクに光を照射させる光照射装置26及び記録媒体23を搬送させる記録媒体搬送機構25に接続されている。そして制御部は、前記画像記録情報に基づいて、記憶部中に格納された各種プログラムにより各種機器を制御するようになっている。
なお、その他の構成は、前記シリアル方式のインクジェット記録装置のものと同様であるので、その説明を省略する。
次にライン方式のインクジェット記録装置21の動作について説明する。
制御部に入力部から画像記録情報が送信されると、制御部は、前記画像記録情報に基づいて記録ヘッド22、光照射装置26及び記録媒体搬送機構25を制御して、画像記録を開始させる。
具体的にはインクジェット記録装置21の動作中において、制御部は記録ヘッド22のインク吐出タイミングを制御してインクを吐出させるとともに、このインク吐出タイミングに応じた記録媒体23の搬送量だけ記録媒体23を搬送させる。
すなわち制御部は、インク吐出タイミングと記録媒体23の搬送量とを共に制御して吐出されるインク量が1照射当り5g/m2以上、30g/m2未満となるようにする。
そして制御部は、記録媒体23に着弾されたインクドットに向け光照射装置26から光を照射させる。これにより各記録ヘッド22から吐出されたインクは、記録媒体23に着弾した直後に光が照射されて硬化し、記録媒体23の記録面上に定着する。
(1照射当りのインク量)
本発明のインクジェット記録方法は、このような方式のインクジェット記録装置により、記録媒体に画像を形成する際に、1照射当りのインク量が5g/m2以上、30g/m2未満であることを特徴とする。さらに好ましくは、10g/m2以上、20g/m2未満である。5g/m2未満では、必要なインク量を確保するために吐出回数を増やす必要があり、生産性が低下してしまう。また、30g/m2以上になるとインク内部硬化性が劣化してしまう。
本発明のインクジェット記録方法は、このような方式のインクジェット記録装置により、記録媒体に画像を形成する際に、1照射当りのインク量が5g/m2以上、30g/m2未満であることを特徴とする。さらに好ましくは、10g/m2以上、20g/m2未満である。5g/m2未満では、必要なインク量を確保するために吐出回数を増やす必要があり、生産性が低下してしまう。また、30g/m2以上になるとインク内部硬化性が劣化してしまう。
(インク着弾後の総インク膜厚)
本発明では、記録媒体上にインクが着弾し、活性光線を照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜25μmであることが好ましい。スクリーン印刷分野の活性光線硬化型インクジェット記録では、総インク膜厚が25μmを越えているのが現状であるが、記録媒体が薄いプラスチック材料であることが多い軟包装印刷分野では、前述した記録媒体のカール・皺の問題でだけでなく、印刷物全体のこし・質感が変わってしまうという問題があるため、過剰な膜厚のインク吐出は好ましくない。
本発明では、記録媒体上にインクが着弾し、活性光線を照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜25μmであることが好ましい。スクリーン印刷分野の活性光線硬化型インクジェット記録では、総インク膜厚が25μmを越えているのが現状であるが、記録媒体が薄いプラスチック材料であることが多い軟包装印刷分野では、前述した記録媒体のカール・皺の問題でだけでなく、印刷物全体のこし・質感が変わってしまうという問題があるため、過剰な膜厚のインク吐出は好ましくない。
なお、ここで「総インク膜厚」とは記録媒体に描画されたインクの膜厚の最大値を意味し、単色でも、それ以外の2色重ね(2次色)、3色重ね、4色重ね(白インクベース)のインクジェット記録方式で記録を行った場合でも総インク膜厚の意味するところは同様である。
(インクの吐出条件)
インクの吐出条件としては、記録ヘッド及びインクを35〜100℃に加熱し、吐出することが吐出安定性の点で好ましい。活性光線硬化型インクは温度変動による粘度変動幅が大きく、粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度を上げながらその温度を一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅としては、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃である。また、本発明では、各ノズルより吐出する液滴量が2〜15plであることが好ましい。
インクの吐出条件としては、記録ヘッド及びインクを35〜100℃に加熱し、吐出することが吐出安定性の点で好ましい。活性光線硬化型インクは温度変動による粘度変動幅が大きく、粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度を上げながらその温度を一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅としては、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃である。また、本発明では、各ノズルより吐出する液滴量が2〜15plであることが好ましい。
(インク着弾後の光照射条件)
本発明の画像形成方法においては、活性光線の照射条件として、インク着弾後0.001〜1秒の間に活性光線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.5秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが特に重要となる。
本発明の画像形成方法においては、活性光線の照射条件として、インク着弾後0.001〜1秒の間に活性光線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.5秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが特に重要となる。
本発明のインクジェット記録方法にあっては、インクを記録媒体に付着させた後に、活性光線照射を行う。活性光線照射は可視光照射、紫外線照射であってもよく、特に紫外線照射が好ましい。紫外線照射を行う場合、紫外線照射量は100mJ/cm2以上、好ましくは500mJ/cm2以上であり、また10,000mJ/cm2以下、好ましくは5,000mJ/cm2以下の範囲で行う。かかる程度の範囲内における紫外線照射量であれば、十分硬化反応を行うことができ、また紫外線照射によって着色剤が退色してしまうことも防止できるので有利である。紫外線照射はメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等のランプが挙げられる。例えば、Fusion System社製のHランプ、Dランプ、Vランプ等の市販されているものを用いて行うことができる。
メタルハライドランプは高圧水銀ランプ(主波長は365nm)に比べてスペクトルが連続しており、200〜450nmの範囲で発光効率が高く、かつ長波長域が豊富である。従って、本発明の活性光線硬化型インクの様に顔料を使用している場合はメタルハライドランプが適している。
活性光線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射はインク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。さらに、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号明細書では、照射方法として光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の画像形成方法においては、これらの何れの照射方法も用いることができる。
また、活性光線を照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2秒の間に前述の方法で活性光線を照射し、かつ全印字終了後、さらに活性光線を照射する方法も好ましい態様の1つである。活性光線の照射を2段階に分けることで、よりインク硬化の際に起こる記録媒体の収縮を抑えることが可能となる。
従来、UVインクジェット方式では、インク着弾後のドット広がり、滲みを抑制のために、光源の総消費電力が1kW・hrを超える高照度の光源が用いられるのが通常であった。しかしながら、これらの光源を用いると、特にシュリンクラベル等への印字では、記録媒体の収縮があまりにも大きく、実質上使用できないのが現状であった。
本発明では、254nmの波長領域に最高照度をもつ活性光線を用いることが好ましく、総消費電力が1kW・hr以上の光源を用いても、高精細な画像を形成でき、かつ記録媒体の収縮も実用上許容レベル内に収められる。
本発明においては、さらに活性光線を照射する光源の総消費電力が1kW・hr未満であることが好ましい。総消費電力が1kW・hr未満の光源の例としては、蛍光管、冷陰極管、熱陰極管、LED等があるが、これらに限定されない。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
《インクの調製》
分散剤(PB822 味の素ファインテクノ社製)を5質量部と、表1〜4に記載の光重合性化合物をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間かけて撹拌、混合して溶解させた。次いで、この溶液に顔料を添加した後、直径1mmのジルコニアビーズ200gと共にポリ瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて2時間分散処理を行った。次いで、ジルコニアビーズを取り除き、光重合開始剤、酸増殖剤(プロピオンカーボネート)、塩基性化合物、界面活性剤等の各種添加剤を表1〜4に記載の組み合わせで添加し、これをプリンター目詰まり防止のため0.8μmメンブランフィルターで濾過して、インク1〜25を調製した。なお、インク粘度は光重合性化合物の添加量を調整することで、20〜30mPa・sになるようにした。
《インクの調製》
分散剤(PB822 味の素ファインテクノ社製)を5質量部と、表1〜4に記載の光重合性化合物をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間かけて撹拌、混合して溶解させた。次いで、この溶液に顔料を添加した後、直径1mmのジルコニアビーズ200gと共にポリ瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて2時間分散処理を行った。次いで、ジルコニアビーズを取り除き、光重合開始剤、酸増殖剤(プロピオンカーボネート)、塩基性化合物、界面活性剤等の各種添加剤を表1〜4に記載の組み合わせで添加し、これをプリンター目詰まり防止のため0.8μmメンブランフィルターで濾過して、インク1〜25を調製した。なお、インク粘度は光重合性化合物の添加量を調整することで、20〜30mPa・sになるようにした。
表1〜4で使用の化合物は以下の通りである。
〔光重合性化合物〕
(オキセタン化合物)
OXT101:東亞合成株式会社製
OXT212:東亞合成株式会社製
OXT213:東亞合成株式会社製
OXT221:東亞合成株式会社製
(ビニルエーテル化合物)
DVE−3:トリエチレングリコールジビニルエーテル
(オキシラン化合物)
セロキサイド2021P:ダイセル化学工業株式会社製
EP−8:例示化合物
〔光重合開始剤:光酸発生剤〕
UVI6992:ダウ・ケミカル社製 プロピオンカーボネート50%液
I−250:イルガキュア250 チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製
S2:例示化合物(スルホニウム塩)
〔塩基性化合物〕
TIPA:トリイソプロパノールアミン
〔界面活性剤〕
KF−351:シリコーンオイル(信越化学株式会社製)
〔分散剤〕
PB822:味の素ファインテクノ株式会社製
〔増感剤〕
DBA:9,10−ジブトキシアントラセン
DEA:9,10−ジエトキシアントラセン
〔顔料〕
K:Pigment Black7(三菱化学株式会社製、#52)
C:Pigment Blue154(山陽色素株式会社製、シアニンブルー)
M:Pigment Red122(大日精化株式会社製、特注)
《インクの評価》
(インクジェット記録方法)
ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録装置に、上記調製したインクを装填し、巾600mm、長さ20mの長尺の各記録媒体へ、下記の画像記録を連続して行った。インク供給系は、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなり、前室タンクからヘッド部分まで断熱して50℃の加温を行った。なお、各インクの粘度にあわせてヘッド部を加温し、720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動して、上記記載の硬化組成物インクを連続吐出した。なお、dpiは2.54cm当たりのドット数を表す。また、記録媒体(硬化性の評価はPETフィルム、滲みの評価はポリエステル布地、臭気の評価はユポをそれぞれ使用した)は面ヒーター及び冷却装置により40℃になるように調整した。着弾した後、キャリッジ両脇の120W/cmメタルハライドランプ(日本電池製 MAL 400NL)・400mW/cm2の紫外線を照射し、瞬時(着弾後0.5秒未満)に硬化させた。インク吐出量は、最小液滴量を4pl、最大液適量80plでそれぞれ印字を行った。また、インクジェット画像の形成は、23℃、30%RHで行った。
(オキセタン化合物)
OXT101:東亞合成株式会社製
OXT212:東亞合成株式会社製
OXT213:東亞合成株式会社製
OXT221:東亞合成株式会社製
(ビニルエーテル化合物)
DVE−3:トリエチレングリコールジビニルエーテル
(オキシラン化合物)
セロキサイド2021P:ダイセル化学工業株式会社製
EP−8:例示化合物
〔光重合開始剤:光酸発生剤〕
UVI6992:ダウ・ケミカル社製 プロピオンカーボネート50%液
I−250:イルガキュア250 チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製
S2:例示化合物(スルホニウム塩)
〔塩基性化合物〕
TIPA:トリイソプロパノールアミン
〔界面活性剤〕
KF−351:シリコーンオイル(信越化学株式会社製)
〔分散剤〕
PB822:味の素ファインテクノ株式会社製
〔増感剤〕
DBA:9,10−ジブトキシアントラセン
DEA:9,10−ジエトキシアントラセン
〔顔料〕
K:Pigment Black7(三菱化学株式会社製、#52)
C:Pigment Blue154(山陽色素株式会社製、シアニンブルー)
M:Pigment Red122(大日精化株式会社製、特注)
《インクの評価》
(インクジェット記録方法)
ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録装置に、上記調製したインクを装填し、巾600mm、長さ20mの長尺の各記録媒体へ、下記の画像記録を連続して行った。インク供給系は、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなり、前室タンクからヘッド部分まで断熱して50℃の加温を行った。なお、各インクの粘度にあわせてヘッド部を加温し、720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動して、上記記載の硬化組成物インクを連続吐出した。なお、dpiは2.54cm当たりのドット数を表す。また、記録媒体(硬化性の評価はPETフィルム、滲みの評価はポリエステル布地、臭気の評価はユポをそれぞれ使用した)は面ヒーター及び冷却装置により40℃になるように調整した。着弾した後、キャリッジ両脇の120W/cmメタルハライドランプ(日本電池製 MAL 400NL)・400mW/cm2の紫外線を照射し、瞬時(着弾後0.5秒未満)に硬化させた。インク吐出量は、最小液滴量を4pl、最大液適量80plでそれぞれ印字を行った。また、インクジェット画像の形成は、23℃、30%RHで行った。
(硬化性)
メタルハライドランプの露光エネルギー量を順次変化して画像を形成し、その画像面にセロテープ(登録商標)を貼り付けた後、剥離した際の画像状況を観察した。記録媒体上に形成された画像表面に粘着させたセロテープ(登録商標)により記録画像が剥がれなくなる程度に、記録媒体との接着性が得られる最低露光量を測定し、mJ/cm2で表示した。数値が小さいほど少ない露光エネルギーで十分な硬化性が得られることを意味する。100mJ/cm2以内であれば実用性がある。
メタルハライドランプの露光エネルギー量を順次変化して画像を形成し、その画像面にセロテープ(登録商標)を貼り付けた後、剥離した際の画像状況を観察した。記録媒体上に形成された画像表面に粘着させたセロテープ(登録商標)により記録画像が剥がれなくなる程度に、記録媒体との接着性が得られる最低露光量を測定し、mJ/cm2で表示した。数値が小さいほど少ない露光エネルギーで十分な硬化性が得られることを意味する。100mJ/cm2以内であれば実用性がある。
(臭気)
硬化後1時間経過した試料の臭気をかいで官能評価を行い、下記基準で評価した。
硬化後1時間経過した試料の臭気をかいで官能評価を行い、下記基準で評価した。
5:全く臭気がしない
4:鼻を近づけるとわずかに臭気がするが、実用上問題はない
3:鼻を近づけると臭気がするが、実用上問題はない
2:鼻を近づけなくてもわずかに臭気がする
1:鼻を近づけなくても臭気がする
(保存性)
カールフィッシャー法にて含水率を測定後、基準品は20℃、40%RHの環境下でポリエチレン容器に密閉し、テスト品は30℃、80%RHの環境下でポリエチレン容器に密閉し、それぞれ25℃と50℃で各2週間保存した。テスト品の基準品からの増加粘度で保存性を評価した。
4:鼻を近づけるとわずかに臭気がするが、実用上問題はない
3:鼻を近づけると臭気がするが、実用上問題はない
2:鼻を近づけなくてもわずかに臭気がする
1:鼻を近づけなくても臭気がする
(保存性)
カールフィッシャー法にて含水率を測定後、基準品は20℃、40%RHの環境下でポリエチレン容器に密閉し、テスト品は30℃、80%RHの環境下でポリエチレン容器に密閉し、それぞれ25℃と50℃で各2週間保存した。テスト品の基準品からの増加粘度で保存性を評価した。
(滲み)
印字硬化させた試料を24時間放置した後、滲み具合を目視にて判断し、下記基準で評価した。
印字硬化させた試料を24時間放置した後、滲み具合を目視にて判断し、下記基準で評価した。
5:滲みなし
4:5と3の中間
3:滲みはあるが、実用上使用可能レベル
2:3と1の中間
1:滲みがひどく、使用に耐えないレベル
以上の評価の結果を表5に示す。
4:5と3の中間
3:滲みはあるが、実用上使用可能レベル
2:3と1の中間
1:滲みがひどく、使用に耐えないレベル
以上の評価の結果を表5に示す。
表5より、本発明のインクは硬化性に優れ、低臭気で保存性が良好で、本発明のインクを用いて作成した試料は、滲みが大幅に良化していることが分かる。
実施例2
《インクセットの調製》
分散剤(PB822 味の素ファインテクノ社製)を5質量部と、表6、7に記載の光重合性化合物をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間かけて撹拌、混合して溶解させた。次いで、この溶液に顔料(表6、7には記載せず)を添加した後、直径1mmのジルコニアビーズ200gと共にポリ瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて2時間分散処理を行った。顔料は、C(シアン)は3質量部、Y(イエロー)、M(マゼンタ)及びK(ブラック)は1.5質量部、ライトカラーのLc(ライトシアン)、Ly(ライトイエロー)、Lm(ライトマゼンタ)、Lk(ライトブラック)は、それぞれ、C(シアン)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)及びK(ブラック)の5分の1とした。次いで、ジルコニアビーズを取り除き、光重合開始剤、酸増殖剤(プロピオンカーボネート)、塩基性化合物、界面活性剤等の各種添加剤を表6、7に記載の組み合わせで添加し、これをプリンター目詰まり防止のため0.8μmメンブランフィルターで濾過して、それぞれが8色のインクからなるインクセット1〜10を調製した。なお、インク粘度は光重合性化合物の添加量を調整することで、20〜30mPa・sになるようにした。
《インクセットの調製》
分散剤(PB822 味の素ファインテクノ社製)を5質量部と、表6、7に記載の光重合性化合物をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間かけて撹拌、混合して溶解させた。次いで、この溶液に顔料(表6、7には記載せず)を添加した後、直径1mmのジルコニアビーズ200gと共にポリ瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて2時間分散処理を行った。顔料は、C(シアン)は3質量部、Y(イエロー)、M(マゼンタ)及びK(ブラック)は1.5質量部、ライトカラーのLc(ライトシアン)、Ly(ライトイエロー)、Lm(ライトマゼンタ)、Lk(ライトブラック)は、それぞれ、C(シアン)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)及びK(ブラック)の5分の1とした。次いで、ジルコニアビーズを取り除き、光重合開始剤、酸増殖剤(プロピオンカーボネート)、塩基性化合物、界面活性剤等の各種添加剤を表6、7に記載の組み合わせで添加し、これをプリンター目詰まり防止のため0.8μmメンブランフィルターで濾過して、それぞれが8色のインクからなるインクセット1〜10を調製した。なお、インク粘度は光重合性化合物の添加量を調整することで、20〜30mPa・sになるようにした。
表6、7で使用の化合物は以下の通りである。
〔光重合性化合物〕
(オキセタン化合物)
OXT101:東亞合成株式会社製
OXT212:東亞合成株式会社製
OXT213:東亞合成株式会社製
OXT221:東亞合成株式会社製
(オキシラン化合物)
セロキサイド2021P:ダイセル化学工業株式会社製
EP−8:例示化合物
〔光重合開始剤:光酸発生剤〕
UVI6992:ダウ・ケミカル社製 プロピオンカーボネート50%液
I−250:イルガキュア250 チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製
S2:例示化合物(スルホニウム塩)
〔塩基性化合物〕
TIPA:トリイソプロパノールアミン
TBA:トリブチルアミン
〔界面活性剤〕
KF−351:シリコーンオイル(信越化学株式会社製)
〔分散剤〕
PB822:味の素ファインテクノ株式会社製
〔増感剤〕
DBA:9,10−ジブトキシアントラセン
DEA:9,10−ジエトキシアントラセン
〔顔料〕
K:Pigment Black7(三菱化学株式会社製、#52)
C:Pigment Blue154(山陽色素株式会社製、シアニンブルー)
M:Pigment Red122(大日精化株式会社製、特注)
Y:Pigment Yellow150(LANEXESS社製、E4GN−GT CH20003)
《インクジェット記録方法の評価》
(インクジェット画像形成方法)
ピエゾ型インクジェットノズルを備えた図1に記載の構成からなるインクジェット記録装置(記録ヘッド2は8個に変更)に、上記調製したインクセットを装填し、巾600mm、長さ20mの長尺の記録材料へ、下記の画像記録を連続して行った。インク供給系は、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなり、前室タンクからヘッド部分まで断熱して50℃の加温を行った。なお、各インクの粘度にあわせてヘッド部を加温し、720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動して、上記記載のインクを連続吐出した。また、記録材料(硬化性の評価はPETフィルム、滲みの評価はポリエステル布地、臭気の評価はユポをそれぞれ使用した)は面ヒーター及び冷却装置により40℃になるように調整した。着弾した後、キャリッジ両脇の120W/cmメタルハライドランプ(日本電池製 MAL 400NL)から400mW/cm2の紫外線を照射し、瞬時(着弾後0.5秒未満)に硬化させた。インク吐出量は、最小液滴量を4pl、最大液適量80plで、1照射当たり3、10、20、40g/m2となるように印字を行った。また、インクジェット画像の形成は、気温23℃、30%RHで行った。
(オキセタン化合物)
OXT101:東亞合成株式会社製
OXT212:東亞合成株式会社製
OXT213:東亞合成株式会社製
OXT221:東亞合成株式会社製
(オキシラン化合物)
セロキサイド2021P:ダイセル化学工業株式会社製
EP−8:例示化合物
〔光重合開始剤:光酸発生剤〕
UVI6992:ダウ・ケミカル社製 プロピオンカーボネート50%液
I−250:イルガキュア250 チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製
S2:例示化合物(スルホニウム塩)
〔塩基性化合物〕
TIPA:トリイソプロパノールアミン
TBA:トリブチルアミン
〔界面活性剤〕
KF−351:シリコーンオイル(信越化学株式会社製)
〔分散剤〕
PB822:味の素ファインテクノ株式会社製
〔増感剤〕
DBA:9,10−ジブトキシアントラセン
DEA:9,10−ジエトキシアントラセン
〔顔料〕
K:Pigment Black7(三菱化学株式会社製、#52)
C:Pigment Blue154(山陽色素株式会社製、シアニンブルー)
M:Pigment Red122(大日精化株式会社製、特注)
Y:Pigment Yellow150(LANEXESS社製、E4GN−GT CH20003)
《インクジェット記録方法の評価》
(インクジェット画像形成方法)
ピエゾ型インクジェットノズルを備えた図1に記載の構成からなるインクジェット記録装置(記録ヘッド2は8個に変更)に、上記調製したインクセットを装填し、巾600mm、長さ20mの長尺の記録材料へ、下記の画像記録を連続して行った。インク供給系は、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなり、前室タンクからヘッド部分まで断熱して50℃の加温を行った。なお、各インクの粘度にあわせてヘッド部を加温し、720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動して、上記記載のインクを連続吐出した。また、記録材料(硬化性の評価はPETフィルム、滲みの評価はポリエステル布地、臭気の評価はユポをそれぞれ使用した)は面ヒーター及び冷却装置により40℃になるように調整した。着弾した後、キャリッジ両脇の120W/cmメタルハライドランプ(日本電池製 MAL 400NL)から400mW/cm2の紫外線を照射し、瞬時(着弾後0.5秒未満)に硬化させた。インク吐出量は、最小液滴量を4pl、最大液適量80plで、1照射当たり3、10、20、40g/m2となるように印字を行った。また、インクジェット画像の形成は、気温23℃、30%RHで行った。
(硬化性)
PETフィルムに記録した画像について、着弾後0.1秒後に形成した画像面を爪で擦り、下記の基準に従って、硬化性の評価を行った。
PETフィルムに記録した画像について、着弾後0.1秒後に形成した画像面を爪で擦り、下記の基準に従って、硬化性の評価を行った。
5:爪で強く擦っても全く画像膜の剥離が認められない
4:爪で強く擦ってもほぼ画像膜の剥離が認められない
3:爪で強く擦ると僅かに画像膜の剥離が認められるが、実用上問題はない
2:爪で強く擦ると画像膜の剥離が認められ、実用上問題となる品質である
1:爪で弱く擦っても、容易に画像膜の剥離が認められ、実用に耐えない品質である
(滲み)
印字硬化させた試料を24時間放置した後、滲み具合を目視にて判断し、下記基準で評価した。
4:爪で強く擦ってもほぼ画像膜の剥離が認められない
3:爪で強く擦ると僅かに画像膜の剥離が認められるが、実用上問題はない
2:爪で強く擦ると画像膜の剥離が認められ、実用上問題となる品質である
1:爪で弱く擦っても、容易に画像膜の剥離が認められ、実用に耐えない品質である
(滲み)
印字硬化させた試料を24時間放置した後、滲み具合を目視にて判断し、下記基準で評価した。
5:滲みなし
4:5と3の中間
3:滲みはあるが、実用上使用可能レベル
2:3と1の中間
1:滲みがひどく、使用に耐えないレベル
(臭気)
硬化後1時間経過した試料の臭気をかいで官能評価を行い、下記基準で評価した。
4:5と3の中間
3:滲みはあるが、実用上使用可能レベル
2:3と1の中間
1:滲みがひどく、使用に耐えないレベル
(臭気)
硬化後1時間経過した試料の臭気をかいで官能評価を行い、下記基準で評価した。
5:全く臭気がしない
4:鼻を近づけるとわずかに臭気がするが、実用上問題はない
3:鼻を近づけると臭気がするが、実用上問題はない
2:鼻を近づけなくてもわずかに臭気がする
1:鼻を近づけなくても臭気がする
(生産性)
硬化性、滲み、臭気は1照射当りのインク量(g/m2)を小さくすれば向上するが、必要なインク量を確保するために吐出回数を増やす必要があり、生産性が低下する。必要なインク量を確保するために吐出回数を増やす必要があるものを×、吐出回数を増やす必要がないものを○とした。
4:鼻を近づけるとわずかに臭気がするが、実用上問題はない
3:鼻を近づけると臭気がするが、実用上問題はない
2:鼻を近づけなくてもわずかに臭気がする
1:鼻を近づけなくても臭気がする
(生産性)
硬化性、滲み、臭気は1照射当りのインク量(g/m2)を小さくすれば向上するが、必要なインク量を確保するために吐出回数を増やす必要があり、生産性が低下する。必要なインク量を確保するために吐出回数を増やす必要があるものを×、吐出回数を増やす必要がないものを○とした。
以上の評価の結果を表8に示す。
表8より、本発明のインクジェット記録方法は、活性光線照射当たりのインク量が多くても硬化性に優れ、低臭気で滲みの発生がなく、かつ、生産性が良好なインクジェット記録方法であることが分かる。
1 インクジェット記録装置
2 記録ヘッド
3 記録媒体
4 プラテン
5 記録媒体搬送機構
6 ガイドレール
7 キャリッジ
8 光照射装置
9 ヘッド搬送機構
10 制御部
11 入力部
12 記憶部
21 インクジェット記録装置
22 記録ヘッド
23 記録媒体
24 プラテン
25 記録媒体搬送機構
26 光照射装置
2 記録ヘッド
3 記録媒体
4 プラテン
5 記録媒体搬送機構
6 ガイドレール
7 キャリッジ
8 光照射装置
9 ヘッド搬送機構
10 制御部
11 入力部
12 記憶部
21 インクジェット記録装置
22 記録ヘッド
23 記録媒体
24 プラテン
25 記録媒体搬送機構
26 光照射装置
Claims (9)
- 少なくともカチオン重合性化合物及び光重合開始剤を含有する活性光線硬化型インクであって、塩基性化合物を0.001質量%以上、0.05質量%未満含有し、かつ、カールフィッシャー法により測定した含水率が0.1質量%以上、1.5質量%未満であることを特徴とする活性光線硬化型インク。
- プロピレンカーボネートを1〜3質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の活性光線硬化型インク。
- 330nm以上の長波長領域の紫外線(紫外光)を吸収し得る増感剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の活性光線硬化型インク。
- 前記光重合開始剤としてオニウム塩を1質量%以上、5質量%未満含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
- 顔料としてカーボンブラック系顔料を0.1質量%以上、2質量%未満含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
- 前記カチオン重合性化合物として、ビニルエーテル化合物を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
- 前記カチオン重合性化合物として、オキセタン環を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
- 下記条件(1)〜(5)を満たす活性光線硬化型インクを用いて、インクを吐出する複数のノズルが副走査方向に配列された記録ヘッドと、記録媒体に着弾したインクドットに光を照射する光源と、前記記録ヘッドを主走査方向に搬送するヘッド搬送機構と、前記記録媒体を副走査方向に搬送する記録媒体搬送機構とを備えたシリアル方式のインクジェット記録装置により、前記記録媒体に画像を形成するインクジェット記録方法において、1照射当りのインク量が5g/m2以上、30g/m2未満であることを特徴とするインクジェット記録方法。
(1)カチオン重合性化合物及び光重合開始剤を含有する。
(2)塩基性化合物を0.001質量%以上、0.05質量%未満含有する。
(3)カールフィッシャー法により測定した含水率が0.1質量%以上、1.5質量%未満である。
(4)プロピレンカーボネートを1〜3質量%含有する。
(5)330nm以上の長波長領域の紫外線(紫外光)を吸収し得る増感剤を含有する。 - 下記条件(1)〜(5)を満たす活性光線硬化型インクを用いて、インクを吐出する複数のノズルが主走査方向に配列された記録ヘッドと、記録媒体に着弾したインクドットに光を照射する光源と、前記記録ヘッドを副走査方向に搬送するヘッド搬送機構と、前記記録媒体を副走査方向に搬送する記録媒体搬送機構とを備えたライン方式のインクジェット記録装置により、前記記録媒体に画像を形成するインクジェット記録方法において、1照射当りのインク量が5g/m2以上、30g/m2未満であることを特徴とするインクジェット記録方法。
(1)カチオン重合性化合物及び光重合開始剤を含有する。
(2)塩基性化合物を0.001質量%以上、0.05質量%未満含有する。
(3)カールフィッシャー法により測定した含水率が0.1質量%以上、1.5質量%未満である。
(4)プロピレンカーボネートを1〜3質量%含有する。
(5)330nm以上の長波長領域の紫外線(紫外光)を吸収し得る増感剤を含有する。
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JP2011063652A (ja) * | 2009-09-15 | 2011-03-31 | Toshiba Tec Corp | 感光性インクおよびそれを用いた硬化物 |
JP2013082209A (ja) * | 2011-09-29 | 2013-05-09 | Fujifilm Corp | 画像形成方法 |
JP2017115073A (ja) * | 2015-12-25 | 2017-06-29 | 株式会社ダイセル | 立体造形用硬化性組成物 |
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2006
- 2006-03-17 JP JP2006074199A patent/JP2007246794A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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