JP2003096353A - インクジェット用顔料インクとそれを用いたインクジェットカートリッジ、インクジェット画像記録方法及びインクジェット記録画像 - Google Patents

インクジェット用顔料インクとそれを用いたインクジェットカートリッジ、インクジェット画像記録方法及びインクジェット記録画像

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JP2003096353A
JP2003096353A JP2001288945A JP2001288945A JP2003096353A JP 2003096353 A JP2003096353 A JP 2003096353A JP 2001288945 A JP2001288945 A JP 2001288945A JP 2001288945 A JP2001288945 A JP 2001288945A JP 2003096353 A JP2003096353 A JP 2003096353A
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ink
pigment
inkjet
image
jet
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JP2001288945A
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Masaki Nakamura
正樹 中村
Atsushi Asatake
敦 朝武
Yasuhiko Kawashima
保彦 川島
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Konica Minolta Inc
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  • Ink Jet (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、粒状性、光沢性、色再現性
(画像の透明性)が良好で、高い印字濃度が得られ、か
つ出射安定性及びインク保存安定性に優れたインクジェ
ット用顔料インクとそれを用いたインクジェットカート
リッジ、インクジェット画像記録方法及びインクジェッ
ト記録画像を提供することにある。 【解決手段】 水性媒体に顔料粒子を分散したインクジ
ェット用顔料インクにおいて、該顔料粒子が表面を高分
子化合物で被覆された顔料であり、水性溶媒中での該顔
料粒子の平均ゼータ電位が−38〜−150mVで、か
つ二次顔料粒子の全質量の0.9(90質量%)に等し
い粒径と二次顔料粒子の全質量の0.1(10質量%)
に等しい粒径との粒径差が、150nm以下であること
を特徴とするインクジェット用顔料インク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット用
顔料インクとそれを用いたインクジェットカートリッ
ジ、インクジェット画像記録方法及びインクジェット記
録画像に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録は、インクの微小液
滴を種々の作動原理により飛翔させて記録媒体に付着さ
せ、画像、文字等の記録を行うものであるが、比較的高
速、低騒音、多色化が容易であるという利点を有してい
る。
【0003】また、近年の技術進歩により、染料インク
によるインクジェットプリントが、その銀塩写真に迫る
高画質や装置の低価格化に伴い、その普及を加速させて
いる。
【0004】染料は溶剤に可溶であり、色素分子は分子
状態もしくはクラスター状態で着色している。従って、
各分子の環境が似通っているために、その吸収スペクト
ルはシャープであり高純度で鮮明な発色を呈する。更
に、粒子に起因する粒状パターンがなく、また、散乱光
や反射光が発生しないため、透明性が高く色相も鮮明な
インクジェット画像を得ることができる。
【0005】しかしその一方で、光化学反応等により分
子が破壊された場合には、分子数の減少がそのまま着色
濃度に反映するために、耐光性が悪いという欠点を有し
ている。染料インクを用いたインクジェット記録画像
は、高画質であるが、経時保存による画像品質の低下が
大きく、画像保存性の観点で銀塩写真を凌駕する技術が
未だ現れていないのが現状である。
【0006】染料インクに対して、光による退色に強い
画像を必要とする用途向けのインクとして、耐光性が良
好である顔料を着色剤として用いる顔料インクが使用さ
れている。しかしながら、顔料は染料と比べて顔料粒子
として存在するため、光の散乱を受けやすく、透明感の
ない画像を与えるので、色再現性の点で染料には及ばな
い欠点があった。
【0007】この欠点を克服するために、顔料粒子とし
て、分散により分散粒径の小さい顔料インクを調製し
て、色再現を向上することが試みられている。しかしな
がら、一般的に、一次粒子が小さくなるほど、顔料の分
散及び安定性の確保が難しくなり、また粘度上昇等の悪
影響がある。それを回避するための技術としては、例え
ば、顔料粒子表面を、分散性を有する高分子化合物で被
覆した高分子被覆顔料等が知られている。
【0008】上記高分子被覆顔料は、例えば、特開平8
−71405号公報に記載の顔料粒子を高分子化合物で
分散させ、高分子化合物を有機溶剤で溶解した後水中で
転相乳化する方法、色材協会誌、70、503(199
7)に記載の顔料粒子表面にモノマーを吸着させた後、
重合させる方法、色材協会誌、69、743(199
6)及び同72、748(1999)に記載の顔料粒子
表面に重合開始剤を導入した後、モノマーと共に重合さ
せる方法等により得ることができ、これらは顔料粒子表
面に強固な高分子膜が形成されており、更に遊離の高分
子化合物が顔料インク中に存在しないため、分散安定性
の高い顔料インクを得ることができる。
【0009】しかしながら、上記に記載の方法で得られ
た顔料粒子は、いずれも高い分散安定性を有してはいる
が、それにより形成されるインクジェット形成画像は、
画像の透明感、色相等に関し、染料画像に比較すると、
決して満足のいく品質ではなく、更なる技術向上が求め
られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
鑑みなされたのであり、その目的は、インクジェット記
録画像の粒状性、光沢性、色再現性(画像の透明性)が
良好で、高い印字濃度が得られ、かつ出射安定性及びイ
ンク保存安定性に優れたインクジェット用顔料インクと
それを用いたインクジェットカートリッジ、インクジェ
ット画像記録方法及びインクジェット記録画像を提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記の構成により達成された。
【0012】1.水性媒体に顔料粒子を分散したインク
ジェット用顔料インクにおいて、該顔料粒子が表面を高
分子化合物で被覆された顔料であり、水性溶媒中での該
顔料粒子の平均ゼータ電位が−38〜−150mVで、
かつ前記で規定するD90とD 10との差が、150nm以
下であることを特徴とするインクジェット用顔料イン
ク。
【0013】2.前記顔料粒子の二次体積平均粒子径
が、10〜90nmであることを特徴とする前記1項に
記載のインクジェット用顔料インク。
【0014】3.表面張力が、25〜45mN/mであ
ることを特徴とする前記1または2項に記載のインクジ
ェット用顔料インク。
【0015】4.pHが、7.0以上であることを特徴
とする前記1〜3項のいずれか1項に記載のインクジェ
ット用顔料インク。
【0016】5.インク溶剤含有量が、5〜70質量%
であることを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項に
記載のインクジェット用顔料インク。
【0017】6.多価金属イオン含有量が、5ppm以
下であることを特徴とする前記1〜5項のいずれか1項
に記載のインクジェット用顔料インク。
【0018】7.アニオン界面活性剤を含有することを
特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載のインク
ジェット用顔料インク。
【0019】8.ノニオン界面活性剤を含有することを
特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載のインク
ジェット用顔料インク。
【0020】9.カチオン界面活性剤を含有することを
特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載のインク
ジェット用顔料インク。
【0021】10.アニオン界面活性剤とノニオン界面
活性剤とを含有することを特徴とする前記1〜6項のい
ずれか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
【0022】11.水溶性高分子または水不溶性高分子
分散液を含有することを特徴とする前記1〜10項のい
ずれか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
【0023】12.前記1〜11項のいずれか1項に記
載のインクジェット用顔料インクを少なくとも1つ収容
したインク収容部を有することを特徴とするインクジェ
ットカートリッジ。
【0024】13.前記1〜11項のいずれか1項に記
載のインクジェット用顔料インクを少なくとも1つ用い
て画像形成することを特徴とするインクジェット画像記
録方法。
【0025】14.前記1〜11項のいずれか1項に記
載のインクジェット用顔料インクを少なくとも1つ用い
て、インクジェット画像記録を行うことにより形成され
たことを特徴とするインクジェット記録画像。
【0026】本発明者らは、顔料インクによる出力画像
の粒状性、光沢性、色再現性(画像の透明性)の改良、
高い印字濃度の実現、顔料インクの出射安定性及びイン
ク保存安定性の向上に関して鋭意検討を重ねた結果、水
性媒体に顔料粒子を分散したインクジェット用顔料イン
ク(以下、単に顔料インクともいう)において、顔料粒
子が表面を高分子化合物で被覆された顔料であり、水性
溶媒中での顔料粒子の平均ゼータ電位が−38〜−15
0mVで、かつ前記で規定するD90とD10との差が、1
50nm以下であるインクジェット用顔料インクによ
り、実現できることを見いだしたものである。
【0027】顔料インクは、画像の透明性や到達最高濃
度に関して、染料インクの領域には達していないのが現
状である。その主要因としては、染料インクに比較し
て、顔料インクは、インク中での色材濃度を高めること
ができないことにある。顔料インクで顔料濃度比率を高
めると、顔料粒子の増加に伴い、その調製に用いた高分
子分散剤や界面活性剤が連動して増加するため、インク
の保存安定性の劣化や粘度上昇、出射安定性の低下を引
き起こす。
【0028】上記課題に対し、表面を高分子化合物で被
覆した顔料は、得られる顔料粒子の粒径が小さく、比表
面積の増大により、ある程度の高い濃度を得ることがで
きるが、未だ染料インクに比較すると最高濃度、透明
性、粒状性に関しては見劣りをする特性であったが、鋭
意検討の結果、顔料粒子の平均ゼータ電位を特定の値と
すること、本発明で規定したD90−D10を特定の条件と
することにより、高い最高濃度、透明性、粒状性とイン
ク保存性及び出射安定性とを両立できる方法を見いだ
し、本発明に至った次第である。
【0029】更に、顔料粒径、顔料インクのpH、表面
張力、多価金属イオンの含有量、インク溶剤量を特定の
範囲に設定すること、界面活性剤を用いることにより、
本発明の目的、効果がより一層発揮されることを見いだ
したものである。
【0030】以下、本発明の詳細について説明をする。
請求項1に係る発明では、水性媒体に顔料粒子を分散し
たインクジェット用顔料インクにおいて、顔料粒子が、
表面を高分子化合物で被覆した顔料であることが一つの
特徴である。
【0031】本発明で用いることのできる顔料として、
公知の有色有機あるいは有色無機顔料を用いることがで
きる。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ
顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニ
ン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔
料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオイン
ジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等
の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レー
キ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニ
リンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブ
ラック等の無機顔料が挙げられるが、本発明はこれらに
限定されるものではない。
【0032】具体的な有機顔料を以下に例示する。マゼ
ンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.
ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、
C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッ
ド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメン
トレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.
I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレ
ッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、
C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメント
レッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.
I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッ
ド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.
ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド1
78、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられ
る。
【0033】オレンジまたはイエロー用の顔料として
は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.
I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエ
ロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.
ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー
15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグ
メントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー9
3、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメ
ントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー13
8等が挙げられる。
【0034】グリーンまたはシアン用の顔料としては、
例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグ
メントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー1
5:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグ
メントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が
挙げられる。
【0035】また、ブラック用の顔料としては、例え
ば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメン
トブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げ
られる。
【0036】本発明でいう高分子化合物(以下、ポリマ
ーともいう)で表面を被覆した顔料粒子とは、例えば、
顔料粒子をコアとし、その表面をシェルとして高分子化
合物で被覆された粒子、あるいは、顔料粒子を含有した
高分子化合物粒子をコアとし、その表面をシェルとして
高分子化合物で被覆された粒子等を挙げることができ
る。
【0037】本発明に係る高分子化合物で表面を被覆し
た顔料粒子は、以下に記載の各種方法により調製するこ
とができる。
【0038】例えば、特開平8−71405号公報に記
載の顔料粒子を高分子化合物で分散させ、高分子化合物
を有機溶剤で溶解した後水中で転相乳化する方法、色材
協会誌、70、503(1997)に記載の顔料粒子表
面にモノマーを吸着させた後、重合させる方法、色材協
会誌、69、743(1996)及び同72、748
(1999)に記載の顔料粒子表面に重合開始剤を導入
した後、モノマーと共に重合させる方法等を挙げること
ができる。
【0039】上記記載の各方法において、顔料を分散さ
せた高分子化合物を有機溶剤で溶解した後、水中に転相
乳化する方法で用いることのできる高分子化合物は、樹
脂中に酸性基(例えば、−COOH、−SO3H)を有
し、酸型で有機溶剤に可溶で、アルカリまたはアミン等
の塩基性物質により中和され親水性が増加する高分子化
合物である。具体的には、アクリル系樹脂、スチレン系
樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、またはポリウ
レタン樹脂等が挙げられ、好ましくはアクリル系樹脂及
びスチレン系樹脂である。
【0040】また、顔料粒子表面にモノマーを吸着させ
た後、重合させる方法としては、含水液体中に顔料と極
性基含有ポリマーと疎水性モノマーを加え、一定時間モ
ノマーを吸着させた後、重合開始剤を加えて、一定時間
重合させる方法で得ることができる。
【0041】上記方法で用いることのできる極性基含有
モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル
酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、
イタコン酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、アシッ
ドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホ
オキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−アシ
ッドホスホオキシプロピルメタクリレート、2−アクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホ
エチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0042】疎水性モノマーとしては、例えば、スチレ
ン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、t−ブチル
スチレンもしくはクロルスチレンの如き、各種のスチレ
ン系単量体(芳香族ビニルモノマー)類;アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、ア
クリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル
酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−
ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸
n−オクチル、アクリル酸デシルもしくはアクリル酸ド
デシルの如き、各種のアクリル酸エステル類;メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−
ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ア
ミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エ
チルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル
酸デシルもしくはメタクリル酸ドデシルの如き、各種の
メタクリル酸エステル類;アクリル酸ヒドロキシエチル
もしくはメタクリル酸ヒドロキシプロピルの如き、各種
のヒドロキシル基(水酸基)含有モノマー類;またはN
−メチロール(メタ)アクリルアミドもしくはN−ブト
キシメチル(メタ)アクリルアミドの如き、各種のN−
置換(メタ)アクリル系単量体類などが挙げられる。
【0043】用いることのできる重合開始剤としては、
特に制限はなく、例えば、過酸化ベンゾイル、ジ−t−
ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−
ブチルペルオキシドもしくは2−エチルヘキサノエート
の如き、各種の過酸化物;またはアゾビスイソブチロニ
トリルもしくはアゾビスイソバレロニトリルの如き、各
種のアゾ化合物などを挙げることができる。
【0044】また、顔料粒子表面に重合開始剤を導入し
た後、モノマーと共に重合させる方法としては、顔料の
官能基(例えば、アミノ基、水酸基)に、化学反応によ
りペルオキシカルボニル基等の過酸化基を導入する方
法、次亜塩素酸等の酸化剤によって顔料表面にカルボキ
シル基を生じさせ、そのカルボキシル基より重合を開始
する基を導入する方法等が挙げられる。これらの方法に
よって得られた重合開始基を表面に有する顔料に、上記
の疎水性モノマーと極性基含有モノマーとを重合するこ
とにより、高分子被覆顔料を得ることができる。
【0045】本発明において、顔料に対する高分子化合
物の被覆量は、1%以上100%以下であり、好ましく
は5%以上50%以下である。
【0046】本発明において、上記に記載した各顔料
は、顔料インク中に1〜30質量%配合されることが好
ましく、1.5〜25質量%配合されることが更に好ま
しい。上記顔料の配合量が1質量%に満たないと印字濃
度が不十分であり、30質量%を超えるとサスペンショ
ンの経時安定性が低下し、凝集等による粒径増大の傾向
があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0047】請求項1に係る発明においては、水性溶媒
中での該顔料粒子の平均ゼータ電位が−38〜−150
mVであることが一つの特徴である。
【0048】本発明でいうゼータ電位とは、以下のよう
に説明することができる。顔料粒子が分散状態で、媒体
中に存在しているとき、顔料粒子と媒体間には電気二重
層が形成されている。一つは、顔料粒子表面の電荷と反
対電荷のイオンが固着している固定層(または吸着層と
もいう)があり、更にその外側に、固定層と媒体との電
荷を中和する形で、拡散層が形成され、この拡散層の電
位をゼータ電位といい、通常はmVで表される。
【0049】本発明においては、顔料粒子の平均ゼータ
電位として、−38〜−150mVであることが特徴で
あるが、好ましくは−60〜−120mV、特に好まし
くは−80〜−100mVである。
【0050】本発明において、顔料粒子に上記で規定し
たゼータ電位を付与する方法として、特に制限はない
が、例えば、顔料分散時に用いる界面活性剤の種類や添
加量、電荷を有する添加剤の添加等を適宜選択すること
により、所望のゼータ電位を得ることができる。本発明
に係る平均ゼータ電位は、例えば、ELS−800(大
塚電子(株)製)等を用いて測定できるが、好ましくは
個々の着色微粒子についてのゼータ電位測定が可能な顕
微鏡電気泳動法を用いることであり、例えば、マイクロ
テック社のZEECOM ZC−2000を挙げること
ができ、この装置を用いて、着色微粒子500個以上に
ついてのゼータ電位を測定し、その算術平均値より求め
ることができる。
【0051】また、請求項1に係る発明では、水性媒体
に顔料粒子を分散したインクジェット用顔料インクにお
いて、前記で規定するD90とD10との差が、150nm
以下であることが一つの特徴であり、好ましくは10〜
100nmであり、特に好ましくは10〜60nmであ
る。
【0052】本発明におけるD90とD10は、以下のよう
に定義される。D90値、D10値は、分布関数dG=F
(D)×dDの積分曲線において、それぞれ二次顔料粒
子の全質量の0.9(90質量%)、0.1(10質量
%)に等しい粒径(nm)を表す。なお、Gは顔料質
量、Dは顔料粒子の粒径を表す。
【0053】上記関係式を、図を用いて具体的に説明す
る。図1は、二次顔料粒子の粒径(D)が横座標にプロ
ットされ、与えられた寸法の各二次顔料粒子の粒子質量
(G)が縦座標にプロットされている座標系において、
顔料分散液の二次粒径の分布関数の曲線を実線として示
す。さらに、同じ座標系において、10%および90%
粒子質量関数の点および粒径の関連する点D 10およびD
90がクロスにより表されている分布関数の積分を破線曲
線で示す。
【0054】本発明において、体積粒子径の測定は、例
えば、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等
を用いた市販の粒径測定機器により求めることができ
る。具体的粒径測定装置としては、例えば、島津製作所
製のレーザー回折式粒径測定装置SLAD1100、粒
径測定機(HORIBA LA−920)、マルバーン
社製ゼータサイザー1000等を挙げることができる。
【0055】本発明において、顔料粒子のD90とD10
差を規定の範囲にする方法として、特に制限はないが、
例えば、顔料粒子の種類、顔料粒子分散時の分散剤、分
散手段、分散条件、界面活性剤の種類及び添加量等を適
宜選択することにより、所望の粒径分布を有する顔料イ
ンクを得ることができる。また、顔料粒子のD90をコン
トロールする方法として、分散後に遠心分離処理あるい
はフィルター濾過処理等による粗大粒子分離手段を組み
合わせることも有効な方法である。
【0056】本発明で用いることのできる分散装置とし
ては、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライタ
ー、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロ
イドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジ
ェットミル、ペイントシェーカー等の各種分散機を挙げ
ることができる。
【0057】請求項2に係る発明では、顔料粒子の二次
体積平均粒子径が、10〜90nmであることが特徴で
あり、好ましくは20〜70nm、特に好ましくは20
〜50nmであり、本発明で規定する体積平均粒子径と
することにより、本発明の効果をいかんなく発揮するこ
とができ好ましい。
【0058】顔料粒子の二次体積平均粒子径は、前述の
90−D10での測定で記載したのと同様の方法で求める
ことができる。
【0059】請求項3に係る発明では、請求項1または
2で規定するインクジェット用顔料インクの表面張力
が、25〜45mN/mであることが特徴であり、好ま
しくは30〜40mN/mである。本発明の顔料インク
の表面張力の調整手段としては、後述の各種界面活性剤
の種類及び添加量を適宜調整することが好ましい。
【0060】請求項4に係る発明では、請求項1〜3で
規定するインクジェット用顔料インクのpHが、7.0
以上であることが特徴であるが、好ましくは8.0〜1
0.0である。本発明の顔料インクに使用される水性媒
体で用いられるpH調整剤としては、例えば、モノエタ
ノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールア
ミン等の各種有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化リ
チウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸物等の
無機アルカリ剤、有機酸や、鉱酸が挙げられる。
【0061】請求項5に係る発明では、インク溶剤含有
量が、5〜70質量%であることが特徴であり、好まし
くは10〜60質量%、特に好ましくは20〜50質量
%である。
【0062】本発明でいうインク溶剤とは、特に制限は
ないが、下記一般式(1)で表される化合物を用いるこ
とが好ましい。 一般式(1) A−B 式中、Aは親水性置換基を含む基を表し、Bは疎水性基
を表す。
【0063】ここでAで表される基は、親水性置換基を
含む基であり、親水性置換基としてはヒドロキシ基、カ
ルボキシル基、スルホキシド基、スルホン基、スルホン
酸基、2−ケト−1−ピロリジニル基等が挙げられる。
中でもヒドロキシ基が好ましい。
【0064】Bは疎水性基を表し、好ましくは炭素原子
数3〜10の脂肪族あるいは芳香族炭化水素基である。
さらにBは炭素原子数4〜8の脂肪族基であることが好
ましい。
【0065】前記一般式(1)で表される化合物は一般
的な界面活性剤と類似の構造を有している。一般的な界
面活性剤は水溶液中で、低濃度でミセルを形成する特徴
を示す。
【0066】一般式(1)で表される化合物は、このよ
うなミセル形成能力を有していないことが好ましい。こ
れはミセル形成能を有する場合、分子間の相互作用が強
いため、1%を超え濃度が上昇すると、インクの粘度を
著しく増加させてしまう欠点があるためである。
【0067】前記一般式(1)で示される化合物のう
ち、好ましい例としては、例えば多価アルコールエーテ
ル誘導体および炭素原子数4〜8の脂肪族1,2−ジオ
ールが挙げられ、エチレングリコールモノブチルエーテ
ル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノブ
チルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエー
テル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、1,
2−ヘキサンジオール、あるいは1,2−ペンタンジオ
ールから選ばれる化合物であることがより好ましい。さ
らに好ましくはトリエチレングリコールモノブチルエー
テルあるいは1,2−ヘキサンジオールである。
【0068】本発明で用いることのできるその他のイン
ク溶剤としては、水溶性の有機溶剤が好ましく、具体的
にはアルコール類(例えば、メタノール、エタノール、
プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブ
タノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタ
ノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノ
ール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例
えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオ
ール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオ
ール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル
類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリ
コールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフ
ェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエー
テル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリ
コールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメ
チルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテ
ル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテー
ト、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリ
エチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレン
グリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコー
ルジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロ
ピルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエー
テル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエ
タノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジ
エタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モ
ルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、
ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラ
エチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチ
ルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジア
ミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド
等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル
−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリド
ン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミ
ダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチル
スルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン
等)、スルホン酸塩類(例えば1−ブタンスルホン酸ナ
トリウム塩等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が
挙げられる。
【0069】また、請求項6に係る発明では、顔料イン
クの多価金属イオン含有量が、5ppm以下であること
が特徴であり、好ましくは0.1〜3ppm、特に好ま
しくは0.1〜1ppmである。顔料インク中の多価金
属イオンの含有量を、上記で規定した量とすることによ
り、本発明に係る顔料粒子のゼータ電位を維持すること
により、高い分散安定性を有する顔料インクを得ること
ができる。
【0070】本発明でいう多価金属イオンとは、例え
ば、Fe3+、Sr2+、Mg2+、Ca2+、Zn2+、Z
2+、Ni2+、Al3+などを挙げることができ、それら
は硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、有機アンモニウム
塩、EDTA塩等で含有されている。
【0071】本発明の顔料インクにおいて、請求項7に
係る発明ではアニオン界面活性剤を、また請求項8に係
る発明ではノニオン界面活性剤を、また請求項9に係る
発明ではカチオン界面活性剤を、また請求項10に係る
発明ではアニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤とを
含有していることが特徴である。
【0072】本発明で用いることのできる各界面活性剤
として、特に制限はないが、例えば、ジアルキルスルホ
コハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂
肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルア
リルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシ
エチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類
等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四
級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げら
れる。特にアニオン性界面活性剤およびノニオン性界面
活性剤を好ましく用いることができる。
【0073】また、本発明においては、高分子界面活性
剤も用いることができ、例えば、スチレン−アクリル酸
−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−ア
クリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸
アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重
合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエ
ステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、ス
チレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナ
フタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マ
レイン酸共重合体等を挙げることができる。
【0074】請求項11に係る発明では、顔料インクが
水溶性高分子または水不溶性高分子分散液を含有してい
ることが特徴である。
【0075】水溶性高分子としての好ましい例としては
天然高分子が挙げられ、その具体例としては、にかわ、
ゼラチン、ガゼイン、若しくはアルブミンなどのたんぱ
く質類、アラビアゴム、若しくはトラガントゴムなどの
天然ゴム類、サボニンなどのグルコシド類、アルギン酸
及びアルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギ
ン酸トリエタノールアミン、若しくはアルギン酸アンモ
ニウムなどのアルギン酸誘導体、メチルセルロース、カ
ルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、若しくはエチルヒドロキシルセルロースなどのセル
ロース誘導体が挙げられる。
【0076】更に、水溶性高分子の好ましい例として合
成高分子が挙げられ、ポリビニルアルコール類、ポリビ
ニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アク
リルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリル
ニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共
重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重
合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重
合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メ
タクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−
α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはス
チレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸
エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチ
レン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸
共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビ
ニルナフタレン−マレイン酸共重合体、及び酢酸ビニル
−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレ
ン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合
体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−ア
クリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれ
らの塩が挙げられる。これらの中で、特に好ましい例と
しては、ポリビニルピロリドン類が挙げられる。
【0077】水溶性高分子の分子量は、1,000以上
200,000以下が好ましい。更には、3,000以
上20,000以下がより好ましい。1,000未満で
は顔料粒子の成長及び凝集を抑制する効果が少なくな
り、200,000を越えると粘度上昇、溶解不良等の
問題が発生し易くなる。
【0078】水溶性高分子の添加量は、顔料に対して1
0質量%以上1,000質量%以下が好ましい。更に
は、50質量%以上200質量%以下がより好ましい。
10質量%未満では顔料粒子の成長及び凝集を抑制する
効果が少なくなり、1000質量%を越えると粘度上
昇、溶解不良等の問題が発生し易くなる。
【0079】また、本発明で用いることのできる水不溶
性高分子分散液(以下、ラテックスともいう)として、
特に制限はないが、例えば、スチレン−ブタジエン共重
合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、
シリコン−アクリル共重合体およびアクリル変性フッ素
授脂等のラテックスが挙げられる。ラテックスは、乳化
剤を用いてポリマー粒子を分散させたものであっても、
また乳化剤を用いないで分散させたものであってもよ
い。乳化剤としては界面活性剤が多く用いられるが、ス
ルホン酸基、カルボン酸基等の水に可溶な基を有するポ
リマー(例えば、可溶化基がグラフト結合しているポリ
マー、可溶化基を持つ単量体と不溶性の部分を持つ単量
体とから得られるポリマー)を用いることも好ましい。
【0080】また本発明の顔料インクでは、ソープフリ
ーラテックスを用いることが特に好ましい。ソープフリ
ーラテックスとは、乳化剤を使用していないラテック
ス、およびスルホン酸基、カルボン酸基等の水に可溶な
基を有するポリマー(例えば、可溶化基がグラフト結合
しているポリマー、可溶化基を持つ単量体と不溶性の部
分を持つ単量体とから得られるポリマー)を乳化剤とし
て用いたラテックスのことを指す。
【0081】近年ラテックスのポリマー粒子として、粒
子全体が均一であるポリマー粒子を分散したラテックス
以外に、粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・
シェルタイプのポリマー粒子を分散したラテックスも存
在するが、このタイプのラテックスも好ましく用いるこ
とができる。
【0082】本発明の顔料インクにおいて、ラテックス
中のポリマー粒子の平均粒径は10nm以上、300n
m以下であり、10nm以上、100nm以下であるこ
とがより好ましい。ラテックスの平均粒径が300nm
を越えると、画像の光沢感の劣化が起こり、10nm未
満であると耐水性、耐擦過性が不十分となる。ラテック
ス中のポリマー粒子の平均粒子径は、光散乱法、電気泳
動法、レーザードップラー法を用いた市販の粒径測定機
器により求めることができる。
【0083】本発明の顔料インクにおいて、ラテックス
は固形分添加量としてインクの全質量に対して0.1質
量%以上、20質量%以下となるように添加されるが、
ラテックスの固形分添加量を0.5質量%以上、10質
量%以下とすることが特に好ましい。ラテックスの固形
分添加量が0.1質量%未満では、耐水性に関して十分
な効果を発揮させることが難しく、また20質量%を越
えると、経時でインク粘度の上昇が起こったり、顔料分
散粒径の増大が起こりやすくなる等インク保存性の点で
問題が生じることが多い。
【0084】本発明の顔料インクでは、上記説明した以
外に、必要に応じて、出射安定性、プリントヘッドやイ
ンクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、そ
の他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、
例えば、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外
線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤
等を適宜選択して用いることができ、例えば、流動パラ
フィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェ
ート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−7
4193号、同57−87988号及び同62−261
476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−7419
2号、同57−87989号、同60−72785号、
同61−146591号、特開平1−95091号及び
同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特
開昭59−42993号、同59−52689号、同6
2−280069号、同61−242871号および特
開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤
等を挙げることができる。
【0085】本発明で用いられる記録媒体としては、普
通紙、コート紙、インク液を吸収して膨潤するインク受
容層を設けた膨潤型インクジェット用記録紙、多孔質の
インク受容層を持った空隙型インクジェット用記録紙、
また基紙の代わりにポリエチレンテレフタレートフィル
ムなどの樹脂支持体を用いたものも用いることができる
が、記録媒体としては、多孔質インクジェット記録媒体
を用いることが好ましく、この組み合わせにより本発明
の効果を最も発揮することができる。
【0086】多孔質インクジェット記録媒体としては、
具体的には、空隙型インクジェット用記録紙又は空隙型
インクジェット用フィルムを挙げることができ、これら
はインク吸収能を有する空隙層が設けられている記録媒
体であり、空隙層は、主に親水性バインダーと無機微粒
子の軟凝集により形成されるものである。
【0087】空隙層の設け方は、皮膜中に空隙を形成す
る方法として種々知られており、例えば、二種以上のポ
リマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾
燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を
形成する方法、固体微粒子及び親水性又は疎水性バイン
ダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、
インクジェット記録用紙を水或いは適当な有機溶剤を含
有する液に浸漬して固体微粒子を溶解させて空隙を作製
する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を
含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡
させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子
と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布
し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、
親水性バインダーに対して概ね等量以上の容積を有する
固体微粒子及び/又は微粒子油滴と親水性バインダーを
含有する塗布液を支持体上に塗布して固体微粒子の間に
空隙を作製する方法などが挙げられるが、本発明のイン
クを用いる上では、いずれも方法で設けられても、良い
結果を与える。
【0088】本発明のインクジェット画像記録方法で用
いることのできるインクジェットヘッドとしては、オン
デマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。
また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例え
ば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、
ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアー
ドウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマ
ルインクジェット型、バブルジェット型等)、静電吸引
方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及
び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具
体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方
式を用いても構わない。
【0089】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されない。
【0090】 実施例1 《顔料分散液の調製》 (マゼンタ顔料分散液1の調製:比較例) C.I.ピグメントレッド122 166g 〈ポリマー1〉 モノマー組成比:スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/n−ブチルア クリレート/メタクリル酸=59/11/15/15 32g ジエチレングリコール 180g イオン交換水 1000g 上記各添加剤を混合した後、0.3mmのジルコニアビ
ーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザ
ワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散した。次い
で、イオン交換水でマゼンタ顔料濃度として5質量%に
なるまで希釈した後、遠心分離操作を行った。次いで、
上澄み液を限外濾過装置を用いて、濃縮及び加水を繰り
返し、電気伝導度が2000μS/cm以下になるまで
脱塩を行って、マゼンタ顔料分散液1を調製した。
【0091】(マゼンタ顔料分散液2の調製:比較例)
上記マゼンタ顔料分散液1の調製において、ポリマー1
に代えて、下記ポリマー2を用い、かつ遠心分離操作を
除いた以外は同様にして、マゼンタ顔料分散液2を調製
した。
【0092】〈ポリマー2〉 モノマー組成比:スチレン/2−エチルヘキシルアクリ
レート/n−ブチルアクリレート/スチレンスルホン酸
=64/16/15/5 (マゼンタ顔料分散液3の調製:比較例)22gの前記
ポリマー1と100gのC.I.ピグメントレッド12
2を3000gのメチルエチルケトン中で、0.3mm
のジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビー
ズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて
分散を行って、分散液を調製した。次いで、この分散液
に100gのn−ブタノールを添加した後、1モル/L
の水酸化ナトリウム溶液でpHを7.0に調整した。次
いでこの分散液を、滴下ロートによりイオン交換水中に
滴下した後、減圧下でメチルエチルケトン、n−ブタノ
ールを除去し、次いで遠心分離操作を施して、マゼンタ
顔料分散液3を調製した。
【0093】(マゼンタ顔料分散液4の調製:樹脂被覆
顔料)上記マゼンタ顔料分散液3の調製において、ポリ
マー1に代えて、下記ポリマー3を用いた以外は同様に
して、マゼンタ顔料分散液4を調製した。
【0094】〈ポリマー3〉 モノマー組成比:スチレン/2−エチルヘキシルアクリ
レート/n−ブチルアクリレート/メタクリル酸/スチ
レンスルホン酸ナトリウム=59/11/15/15/
1 (マゼンタ顔料分散液5の調製:樹脂被覆顔料) C.I.ピグメントレッド122 3g ピリジン 2ml アジピン酸ジクロリド 2ml テトラヒドロフラン 100ml 上記混合物を窒素気流下で、60℃で2時間反応させ
た。次いで、濾過操作によりマゼンタ顔料反応物を分離
し、これに20mlのt−ブチルヒドロパーオキサイド
と0.4gの水酸化ナトリウムを添加し、窒素気流下
で、室温で24時間反応させた。次いで、反応物を濾別
し、テトラヒドロフランで洗浄した後、反応物にテトラ
ヒドロフランを30mlと下記モノマー1を1.5g添
加し、80℃で6時間反応させた。重合反応物にイオン
交換水を適量添加し、ジエタノールアミンでpHを7.
0に調整した後、限外濾過による濃縮、加水を繰り返し
た後、遠心分離操作を行って、マゼンタ顔料分散液5を
調製した。
【0095】〈モノマー1〉 組成比:スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/
n−ブチルアクリレート/アクリル酸/スチレンスルホ
ン酸ナトリウム=64/16/15/15/1 (マゼンタ顔料分散液6の調製:樹脂被覆顔料)スルホ
琥珀酸ジオクチルナトリウムを用いて分散したC.I.
ピグメントレッド122の10質量%水分散液の10g
に、下記モノマー2を含む添加剤を加えた後、80℃で
6時間重合反応をさせた。
【0096】 〈モノマー2〉 組成比:スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/メタクリル酸=64/ 16/15 2g エタノール 5g 過硫酸カリウム 0.01g 重合反応後、限外濾過による濃縮、加水を繰り返した
後、遠心分離操作を行って、マゼンタ顔料分散液6を調
製した。
【0097】(マゼンタ顔料分散液7の調製:樹脂被覆
顔料)上記マゼンタ顔料分散液6の調製において、モノ
マー2に代えて、下記モノマー3を用いた以外は同様に
して、マゼンタ顔料分散液7を調製した。
【0098】〈モノマー3〉 組成比:スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/
メタクリル酸/スチレンスルホン酸=64/16/20
/1 (マゼンタ顔料分散液8の調製:樹脂被覆顔料)上記マ
ゼンタ顔料分散液7の調製において、遠心分離操作を行
わなかった以外は同様にして、マゼンタ顔料分散液8を
調製した。
【0099】《マゼンタ顔料インクの調製》次いで、上
記で調製したマゼンタ顔料分散液1〜8を用いて、マゼ
ンタ顔料インク1〜20を調製した。
【0100】各マゼンタ顔料分散液に、純水および表1
に記載のインク溶剤、多価金属イオン水溶液、界面活性
剤、ラテックス、高分子化合物を、表1に記載の濃度と
なるように加えて各マゼンタ顔料インクを調製した。な
お、各マゼンタ顔料分散液は、顔料インク中のマゼンタ
顔料濃度が3質量%となるように添加量を適宜調整し
た。また、マゼンタ顔料分散液中のマゼンタ顔料濃度が
不足し、顔料インク中のマゼンタ顔料濃度として3%に
調整できない場合には、マゼンタ顔料分散液を減圧下、
水を除去し濃縮して調整した。
【0101】インク溶剤としては、エチレングリコール
(EG)/グリセリン(gly)/トリエチレングリコ
ールモノブチルエーテル(TEGBE)の混合溶剤を用
い、表中にその比率(インク中の質量%)を表示する。
【0102】また、多価金属イオン水溶液としては、鉄
イオンとして塩化第二鉄の0.1%水溶液を用い、表1
に記載の濃度となるように調整した。また、pHは、
0.1モル/Lの硝酸水溶液または水酸化ナトリウム水
溶液を用い、表1に記載のpHとなるように調整した。
【0103】表1に、各マゼンタ顔料インクの構成の詳
細を示す。なお、表1中の各略称の具体的化合物は、以
下の通りである。
【0104】SA−1:ドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム(アニオン界面活性剤) SA−2:エマルゲンLS−110(花王社製、ノニオ
ン界面活性剤) LX−1:ジュリマーFC−60(アクリル系ソープフ
リーラテックス:日本純薬製) P−1:ジョンクリル61J(水溶性アクリル系ポリマ
ー:ジョンソンポリマー社製) P−2:ポリビニルアルコール(クラレ社製)
【0105】
【表1】
【0106】《各マゼンタ顔料インクの特性値の測定》
上記作製した各マゼンタ顔料インクについて、下記の各
特性値の測定を行い、得られた結果を、表2に示す。
【0107】〈マゼンタ顔料粒子の平均ゼータ電位の測
定〉マゼンタ顔料インク液を、1000倍に希釈した
後、マイクロテック社のZEECOM ZC−2000
を用いて、500個の顔料粒子のゼータ電位を測定し、
500個の各ゼータ電位の算術平均値より平均ゼータ電
位を算出した。
【0108】〈マゼンタ顔料インクの二次平均粒子径及
びD10、D90の測定〉以上の様にして調製したマゼンタ
顔料インクを1000倍に希釈した後、マルバーン社製
ゼータサイザー1000を用いて、二次粒子径測定を行
い、二次平均粒子径及びD90−D10を測定した。
【0109】〈表面張力の測定〉表面張力は、常法に従
い測定し、表1に示す。
【0110】
【表2】
【0111】《マゼンタ画像の形成及び評価》 (画像出力)得られた各マゼンタ顔料インクをインクカ
ートリッジに収納した後、ノズル孔径20μm、駆動周
波数12kHz、1色当たりのノズル数128、同色間
のノズル密度180dpiであるピエゾ型ヘッドを搭載
し、最大記録密度720×720dpiのオンデマンド
型のインクジェットプリンタを使用して、コニカ(株)
製インクジェットペーパー フォトライクQPに画像を
出力した。なお、本発明で言うdpiとは、2.54c
m(1inch)当たりのドット数をいう。出力画像と
しては、出力濃度を0%から100%の間を16段階に
分割したウェッジ画像(各濃度について3cm×3cm
のパッチ状に出力)を用いた。また、同じ画像データ
を、デジタルミニラボQD−21 PLUS(コニカ
製)を用い、コニカカラーQAペーパータイプA7上に
出力し、現像処理して比較用のカラー銀塩写真画像を作
成し、下記の評価を行った。
【0112】(粒状性の評価)粒状性については、銀塩
写真同等の粒状性が得られたか否かを判定するため、上
記で作成したウェッジ画像を、同時に作成した比較用の
カラー銀塩写真画像と比較評価した。評価は20人の一
般評価者による目視評価を行い、以下の基準に則り判定
した。
【0113】 5:銀塩写真と同等と評価した人が18人以上 4:銀塩写真と同等と評価した人が15人〜17人 3:銀塩写真と同等と評価した人が11人〜14人 2:銀塩写真と同等と評価した人が8人〜10人 1:銀塩写真と同等と評価した人が7人以下 (光沢性の評価)光沢についても、銀塩写真同等の光沢
が得られたか否かを判定するため、上記で作成したウェ
ッジ画像を、同時に作成した比較用のカラー銀塩写真画
像と比較評価した。評価は20人の一般評価者による目
視評価を行い、以下の基準に則り判定した。
【0114】 5:銀塩写真と同等と評価した人が18人以上 4:銀塩写真と同等と評価した人が15人〜17人 3:銀塩写真と同等と評価した人が11人〜14人 2:銀塩写真と同等と評価した人が8人〜10人 1:銀塩写真と同等と評価した人が7人以下 (透明感の評価)透明感についても、その画像が銀塩写
真と同等の透明感が得られたか否かを判定するため、上
記で作成したウェッジ画像を、同時に作成した比較用の
カラー銀塩写真画像と比較評価した。評価は20人の一
般評価者による目視評価を行い、以下の基準に則り判定
した。
【0115】 5:銀塩写真と同等と評価した人が18人以上 4:銀塩写真と同等と評価した人が15人〜17人 3:銀塩写真と同等と評価した人が11人〜14人 2:銀塩写真と同等と評価した人が8人〜10人 1:銀塩写真と同等と評価した人が7人以下 (印字濃度の測定)各マゼンタ顔料インクの出力濃度1
00%のウェッジ出力画像部を、光学濃度計(X−Ri
te社製X−Rite938)を用いて濃度測定を行
い、反射濃度値(Dmax)を測定し、下記に記載の基
準に則り評価した。
【0116】5:反射濃度が、2.10以上である 4:反射濃度が、1.80〜2.10未満である 3:反射濃度が、1.50〜1.80未満である 2:反射濃度が、1.30〜1.50未満である 1:反射濃度が、1.30未満である (出射安定性の評価)上記作製した各マゼンタ顔料イン
クを、上記画像記録方法により10秒間連続吐出→一定
時間休止→連続吐出の間欠動作を行った。この際、吐出
休止後の最初で吐出方向の乱れが発生するか否かは休止
時間の長さで決まるので、吐出休止時間の長さを段階的
に変えることにより間欠吐出の安定性を測定し、以下の
基準で評価した。尚、評価は環境温度23℃湿度55%
RHで行った。
【0117】 5:31〜45秒休止しても安定に吐出した 4:21〜30秒休止しても安定に吐出した 3:11〜20秒休止しても安定に吐出した 2:6〜10秒休止しても安定に吐出した 1:5秒以下の休止でも安定吐出しなかった (インク保存性の評価)各マゼンタ顔料インクについ
て、ゼータサイザー1000(マルバーン社製)を用い
て、分散粒径を測定した後、マゼンタ顔料インク100
mlを蒸発が起こらない様に密閉したサンプル瓶に入
れ、60℃の恒温槽に1週間停滞させ、その後、ゼータ
サイザー1000を使用して、再度分散粒径を測定し、
その粒径変化率を求め、下記の基準に則り、インク保存
性の評価を行った。
【0118】5:分散粒径変化率が5%未満である 4:分散粒径変化率が5〜10%未満である 3:分散粒径変化率が10〜25%未満である 2:分散粒径変化率が25〜50%未満である 1:分散粒径変化率が50%以上である 以上により得られた評価結果を、表3に示す。
【0119】
【表3】
【0120】表3より明らかなように、本発明の顔料粒
子表面が高分子化合物で被覆され、顔料粒子のゼータ電
位が−38〜−150mVで、かつ本発明で規定するD
90−D10が150nm以下である顔料インクは、比較例
に対し、カラー銀塩写真画像と同等以上の粒状性、光沢
性、透明性を有し、かつ印字濃度、出射安定性及びイン
ク保存性に優れていることが判る。更に、本発明の効果
は、顔料インクとして、pH、表面張力、顔料粒子の粒
径を本発明で規定する範囲とすること、界面活性剤を用
いること、多価金属イオンを規定量以下とすること、イ
ンク溶剤量をコントロールすること、水溶性高分子を用
いることにより、その効果がより一層発揮されているこ
とを確認することができた。
【0121】実施例2 (顔料インクセットの作製)実施例1で調製したマゼン
タ顔料分散液1〜8の調製方法に準じて、各イエロー顔
料分散液(Y−1〜Y−8)、シアン顔料分散液(C−
1〜C−8)、ブラック顔料分散液(B−1〜B−8)
を調製した。なお、イエロー顔料としては、C.I.ピ
グメントイエロー128、シアン顔料としてはC.I.
ピグメントブルー15:3、ブラック顔料としては、カ
ーボンブラックを用いた。
【0122】上記調製したイエロー、シアン、ブラック
の各色顔料分散液を用いて、実施例1で記載のマゼンタ
顔料インク7の条件に準じて、各色の顔料インクを調製
し、顔料インクセット1〜8を作製した。
【0123】以上により作製した顔料インクセット1〜
8の各顔料粒子について、実施例1に記載の方法に従
い、ゼータ電位、顔料粒子のD90−D10を測定し、得ら
れた結果を表4に示す。
【0124】
【表4】
【0125】《画像出力及び評価》 (画像出力)得られた各顔料インクセットをインクジェ
ットカートリッジに収納した後、ノズル孔径20μm、
駆動周波数12kHz、1色当たりのノズル数128、
同色間のノズル密度180dpiであるピエゾ型ヘッド
を搭載し、最大記録密度720×720dpiのオンデ
マンド型のインクジェットプリンタを使用して、コニカ
(株)製インクジェットペーパー フォトライクQPに
画像を出力した。
【0126】出力画像としては、出力濃度を0%から1
00%の間を16段階に分割したウェッジ画像(各濃度
について3cm×3cmのパッチ状に出力)と財団法人
・日本規格協会発行の高精細カラーデジタル標準画像デ
ータ「N5・自転車」(1995年12月発行)を出力
画像として使用した。また、同じ画像を、デジタルミニ
ラボQD−21 PLUS(コニカ製)を用い、コニカ
カラーQAペーパータイプA7上に出力し、現像処理し
て比較用のカラー銀塩写真画像を作成し、実施例1に記
載の方法で、粒状性、光沢性、透明感、印字濃度、出射
安定性及びインク保存性の測定を行い、更に下記の方法
により総合画質評価を行った。
【0127】(総合画質評価)上記方法で画像形成を行
った財団法人・日本規格協会発行の高精細カラーデジタ
ル標準画像データ「N5・自転車」(1995年12月
発行)を出力画像について、任意に10人のパネラーを
選び、目視観察にて、下記の基準に則り質感の評価を行
った。なお、評価時の視距離は300〜400mmで、
照度は1000±50ルックスとした。
【0128】5:出力画像に、質感、深み、透明感があ
り、写真画像に匹敵する画質である 4:出力画像に、質感、深み、透明感が感じられ、写真
画像に近似の画質である 3:出力画像に、質感、深み、透明感が若干不足し、僅
かに写真画像に劣る画質である 2:出力画像に、質感、深み、透明感が不足し、写真画
像に劣る画質である 1:出力画像に、質感、深み、透明感が全くなく、写真
画像とはかけ離れた画質である なお、評価は各パネラーの評価値を平均して、その値を
四捨五入して表示した。
【0129】以上により得られた結果を表5に示す。
【0130】
【表5】
【0131】表5より明らかなように、実施例1の結果
と同様に、Y、M、C、Kの多色インクにおいても、本
発明の顔料粒子表面に極性基を有し、顔料粒子のゼータ
電位が−38〜−150mVで、かつ本発明で規定する
90−D10が150nm以下である顔料インクは、比較
例に対し、カラー銀塩写真画像と同等以上の粒状性、光
沢性、透明性を有し、かつ印字濃度、出射安定性、イン
ク保存性及び総合画質に優れていることが判る。
【0132】
【発明の効果】本発明により、インクジェット記録画像
の粒状性、光沢性、色再現性(画像の透明性)が良好
で、高い印字濃度が得られ、かつ出射安定性及びインク
保存安定性に優れたインクジェット用顔料インクとそれ
を用いたインクジェットカートリッジ、インクジェット
画像記録方法及びインクジェット記録画像を提供するこ
とができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るD10、D90を表す粒径の分布関数
曲線。
【符号の説明】
1 顔料分散液の粒径分布関数 2 粒径の分布関数の積分曲線 3 D90の表示 4 D10の表示 5 D90−D10
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA04 FC01 2H086 BA55 BA59 BA60 BA62 4J039 AD03 AD09 AE04 AE05 AE06 BA13 BA29 BC09 BC13 BC14 BC15 BC19 BC35 BE01 BE12 BE22 BE28 BE29 BE30 CA06 EA24 EA33 EA44 EA48 GA24

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性媒体に顔料粒子を分散したインクジ
    ェット用顔料インクにおいて、該顔料粒子が表面を高分
    子化合物で被覆された顔料であり、水性溶媒中での該顔
    料粒子の平均ゼータ電位が−38〜−150mVで、か
    つ下記に規定するD90とD10との差が、150nm以下
    であることを特徴とするインクジェット用顔料インク。 D90:二次顔料粒子の分布関数dG=F(D)dDの積
    分曲線で、二次顔料粒子の全質量の0.9(90質量
    %)に等しい粒径を表す。 D10:二次顔料粒子の分布関数dG=F(D)dDの積
    分曲線で、二次顔料粒子の全質量の0.1(10質量
    %)に等しい粒径を表す。なお、Gは二次顔料質量、D
    は二次顔料粒子の粒径を表す。
  2. 【請求項2】 前記顔料粒子の二次体積平均粒子径が、
    10〜90nmであることを特徴とする請求項1に記載
    のインクジェット用顔料インク。
  3. 【請求項3】 表面張力が、25〜45mN/mである
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェ
    ット用顔料インク。
  4. 【請求項4】 pHが、7.0以上であることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェッ
    ト用顔料インク。
  5. 【請求項5】 インク溶剤含有量が、5〜70質量%で
    あることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記
    載のインクジェット用顔料インク。
  6. 【請求項6】 多価金属イオン含有量が、5ppm以下
    であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に
    記載のインクジェット用顔料インク。
  7. 【請求項7】 アニオン界面活性剤を含有することを特
    徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジ
    ェット用顔料インク。
  8. 【請求項8】 ノニオン界面活性剤を含有することを特
    徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジ
    ェット用顔料インク。
  9. 【請求項9】 カチオン界面活性剤を含有することを特
    徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジ
    ェット用顔料インク。
  10. 【請求項10】 アニオン界面活性剤とノニオン界面活
    性剤とを含有することを特徴とする請求項1〜6のいず
    れか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
  11. 【請求項11】 水溶性高分子または水不溶性高分子分
    散液を含有することを特徴とする請求項1〜10のいず
    れか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれか1項に記載
    のインクジェット用顔料インクを少なくとも1つ収容し
    たインク収容部を有することを特徴とするインクジェッ
    トカートリッジ。
  13. 【請求項13】 請求項1〜11のいずれか1項に記載
    のインクジェット用顔料インクを少なくとも1つ用いて
    画像形成することを特徴とするインクジェット画像記録
    方法。
  14. 【請求項14】 請求項1〜11のいずれか1項に記載
    のインクジェット用顔料インクを少なくとも1つ用い
    て、インクジェット画像記録を行うことにより形成され
    たことを特徴とするインクジェット記録画像。
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