JP4281277B2 - インクジェット用顔料インクとそれを用いたインクジェットカートリッジ及びインクジェット画像記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット用顔料インクとそれを用いたインクジェットカートリッジ、インクジェット画像記録方法及びインクジェット記録画像に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて記録媒体に付着させ、画像、文字等の記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易であるという利点を有している。
【0003】
また、近年の技術進歩により、染料インクによるインクジェットプリントが、その銀塩写真に迫る高画質や装置の低価格化に伴い、その普及を加速させている。
【0004】
染料は溶媒に可溶であり、色素分子は分子状態もしくはクラスター状態で着色している。従って、各分子の環境が似通っているために、その吸収スペクトルはシャープであり高純度で鮮明な発色を呈する。更に、粒子に起因する粒状パターンがなく、また、散乱光や反射光が発生しないため、透明性が高く色相も鮮明なインクジェット画像を得ることができる。
【0005】
しかしその一方で、光化学反応等により分子が破壊された場合には、分子数の減少がそのまま着色濃度に反映するために、耐光性が悪いという欠点を有している。更に、皮脂等による指紋付着性に劣る特性を有している。染料インクを用いたインクジェット記録画像は、高画質であるが、経時保存による画像品質の低下が大きく、画像保存性の観点で銀塩写真を凌駕する技術が未だ現れていないのが現状である。
【0006】
染料インクに対して、光による退色に強い画像を必要とする用途向けのインクとして、耐光性が良好である顔料を着色剤として用いる顔料インクが使用されている。しかしながら、顔料は染料と比べて顔料粒子として存在するため、光の散乱を受けやすく、透明感のない画像を与え、耐擦過性に劣り、色再現性の点で染料には及ばない欠点があった。
【0007】
上述のように、染料インクは、耐擦過性、光沢性に優れた点を有しているものの耐光性に劣り、逆に、顔料インクは、耐光性に優れているものの耐擦過性、光沢性に劣るという相反する特性である。
【0008】
この欠点を克服するために、顔料インクにおいては、顔料粒子として、分散により分散粒径の小さい顔料インクを調製して、色再現を向上することが試みられている。しかしながら、一般的に、一次粒子が小さくなるほど、顔料の分散及び安定性の確保が難しくなり、また粘度上昇等の悪影響がある。それを回避するための技術としては、例えば、顔料粒子表面を、分散性を有する高分子化合物で被覆した高分子被覆顔料等が知られている。
【0009】
上記高分子被覆顔料は、例えば、特開平8−71405号公報に記載の顔料粒子を高分子化合物で分散させ、高分子化合物を有機溶剤で溶解した後水中で転相乳化する方法、色材協会誌、70、503(1997)に記載の顔料粒子表面にモノマーを吸着させた後、重合させる方法、色材協会誌、69、743(1996)及び同72、748(1999)に記載の顔料粒子表面に重合開始剤を導入した後、モノマーと共に重合させる方法等により得ることができ、これらは顔料粒子表面に強固な高分子膜が形成されており、更に遊離の高分子化合物が顔料インク中に存在しないため、分散安定性の高い顔料インクを得ることができる。
【0010】
しかしながら、上記に記載の方法で得られた顔料粒子は、いずれも高い分散安定性を有してはいるが、それにより形成されるインクジェット形成画像は、画像の光沢性のレベルが決して満足のいく品質ではなく、更に指紋付着性や擦過性が劣るという課題を有しており、新たな改良技術の開発が切望されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みなされたものであり、その目的は、インクジェット記録画像の耐擦過性、光沢性及び耐指紋付着性に優れたインクジェット用顔料インクとそれを用いたインクジェットカートリッジ、インクジェット画像記録方法及びインクジェット記録画像を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
【0013】
1.水性媒体に顔料粒子を分散したインクジェット用顔料インクにおいて、該インクジェット用顔料インク中の、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸無水物から選ばれる脂肪酸誘導体の総含有量が0.01〜0.6質量%であり、かつ該顔料粒子はその二次体積平均粒子径が10〜150nmであって、その表面が水不溶性でかつ水分散性の高分子層で被覆されていることを特徴とするインクジェット用顔料インク。
【0014】
2.前記式(1)で表される再分散係数が0.5〜5であることを特徴とする前記1項に記載のインクジェット用顔料インク。
【0015】
3.pHが、7.0以上であることを特徴とする前記1又は2項に記載のインクジェット用顔料インク。
【0016】
4.表面張力が、25〜45mN/mであることを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
【0018】
5.多価金属イオン含有量が、5ppm以下であることを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
【0019】
6.インク溶剤含有量が、5〜70質量%であることを特徴とする前記1〜5項のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
【0020】
7.アニオン界面活性剤を含有することを特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
【0021】
8.ノニオン界面活性剤を含有することを特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
【0022】
9.カチオン界面活性剤を含有することを特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
【0023】
10.アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤とを含有することを特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
【0024】
11.水溶性高分子または水不溶性高分子分散液を含有することを特徴とする前記1〜10項のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
【0025】
12.前記1〜11項のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インクを少なくとも1つ収容したインク収容部を有することを特徴とするインクジェットカートリッジ。
【0026】
13.前記1〜11項のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インクを少なくとも1つ用いて画像形成することを特徴とするインクジェット画像記録方法。
【0028】
本発明者らは、顔料インクによる出力画像の耐擦過性、光沢性及び耐指紋付着性の向上に関し鋭意検討を重ねた結果、水性媒体に顔料粒子を分散したインクジェット用顔料インク(以下、単に顔料インクともいう)において、顔料インク中の脂肪酸誘導体の総含有量が1.0質量%以下であり、かつ該顔料粒子の表面が水不溶性でかつ水分散性の高分子層で被覆されているインクジェット用顔料インクを用いることにより、実現できることを見いだしたものである。
【0029】
本発明の構成の上記課題に対する詳細な効果に関しては明確ではないが、以下のように推測している。すなわち、顔料粒子は記録媒体上で他の顔料粒子と水素結合やファンデルワールス力等の相互作用により緩やかに結合し、安定な画像を形成している。記録媒体表面上にインクを印字した際、インク溶剤が蒸発や記録媒体中へ浸透することにより、顔料粒子が記録媒体表面に残留する。この際、顔料インク中に脂肪酸誘導体が含有されていると、顔料粒子を構成している樹脂との相互作用が強いため、インク溶剤のように蒸発あるいは記録媒体中へ浸透することなく、表面に顔料インクと共に存在することになる。インク溶剤が蒸発あるいは記録媒体中へ浸透することにより、顔料粒子と脂肪酸誘導体との濃度が高くなるに従って、脂肪酸誘導体が顔料粒子表面を被覆することにより、顔料粒子同士の結合が阻害されると共に、形成された画像表面が疎水化される結果となる。
【0030】
その様な特性を有する画像表面を指等で触れた際には、指先の皮脂等が画像に転写しやすくなり、指紋が画像に付着するという問題点を生ずると考えられる。また、同様の理由により顔料粒子同士の結合が阻害されて、擦過性が劣化する。
【0031】
更に、同様の理由により、顔料粒子同士の結合が阻害されることにより、記録媒体表面で顔料粒子が整然と配列せずに、無秩序な凝集を起こすことで、光沢性が低下すると推測している。
【0032】
以上のような理由により、顔料インク中の脂肪酸誘導体の含有率を、本発明で規定する量以下とすることにより、顔料粒子の表面状態を親水性に保つことができ、上記各課題を解決できたものと推測している。
【0033】
特開平10−140065号公報には、顔料粒子表面を高分子層で被覆したマイクロカプセル顔料の例が記載されている。該特許において、その効果として印字安定性が挙げられているが、光沢性、耐擦過性あるいは耐指紋付着性に関しては全く記載がない。一方、特開平9−3375号公報には、いわゆる高分子分散剤を用いて分散された顔料インクにおいて、脂肪酸エステルの含有量を規定した例が記載されている。該特許において、インクの長期保存下に脂肪酸エステルが析出物を生じさせ、インクジェットノズルの目詰まりが発生することが記載されているが、光沢性に関する記載は全くない。該特許の構成に従い本発明者らが追試確認を行った結果、光沢性、耐擦過性、耐指紋付着性については全く不十分なレベルであり、現在要求されている画像レベルを満足するものではないことが判明した。
【0034】
本発明の効果は、更に、顔料インクの再分散性、pH、表面張力、顔料粒子径、多価金属イオンの含有量、インク溶剤量を特定の範囲に設定すること、界面活性剤を用いること、水溶性高分子または水不溶性高分子分散液を用いることにより、本発明の目的、効果がより一層発揮されることを見いだしたものである。
【0035】
以下、本発明の詳細について説明する。
はじめに、本発明のインクジェット用顔料インクについて説明する。
【0036】
請求項1に係る発明では、水性媒体に顔料粒子を分散したインクジェット用顔料インクにおいて、インクジェット用顔料インク中の脂肪酸誘導体の総含有量が1.0質量%以下であることが一つの特徴である。
【0037】
本発明でいう脂肪酸誘導体とは、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドや脂肪酸無水物等の脂肪酸又は脂肪酸塩より誘導される化合物を意味する。
【0038】
脂肪酸エステルとは、炭素数が8から22までの飽和又は不飽和のアルキルカルボン酸(例えば、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等)とアルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、シクロヘキサノール、イソトリデシルアルコール、ステアリルアルコール等)から生成するエステル化合物を指し、例えば、ミリスチン酸イソトリデシル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸プロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、パルミチン酸メチル、ベヘニン酸メチル等を挙げることができる。
【0039】
脂肪酸アミドとは、上記脂肪酸とアンモニア又は低級アミンから形成されるアミド化合物を指し、例えば、エチレンビスステアロアミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、N,N′−メチレンビスステアルアミド等が挙げられる。
【0040】
脂肪酸無水物とは、上記脂肪酸から形成される酸無水物を指し、例えば、無水ステアリル、無水オレイル、無水ミリスチル、ステアリル酸−酢酸無水物等が挙げられる。
【0041】
本発明においては、上記脂肪酸誘導体の総含有量が、インク全質量に対し1.0質量%以下であることが一つの特徴であるが、好ましくは0.01〜0.6質量%であり、さらに好ましくは0.01〜0.2質量%の範囲である。
【0042】
請求項1に係る発明では、水性媒体に顔料粒子を分散したインクジェット用顔料インクにおいて、顔料粒子の表面が水不溶性でかつ水分散性の高分子層で被覆されていることが一つの特徴である。
【0043】
本発明で用いることのできる顔料として、公知の有色有機あるいは有色無機顔料を用いることができる。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
具体的な有機顔料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0045】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0046】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0047】
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
【0048】
本発明でいう粒子表面を水不溶性でかつ水分散性の高分子層で被覆した顔料粒子とは、例えば、顔料粒子をコアとし、その表面をシェルとして高分子化合物(ポリマーともいう)で被覆された粒子、あるいは、顔料粒子を含有した高分子化合物粒子をコアとし、その表面をシェルとして高分子化合物で被覆された粒子等を挙げることができる。
【0049】
本発明に係る高分子化合物で表面を被覆した顔料粒子は、以下に記載の各種方法により調製することができる。
【0050】
例えば、特開平8−71405号公報に記載の顔料粒子を高分子化合物で分散させ、高分子化合物を有機溶剤で溶解した後水中で転相乳化する方法、色材協会誌、70、503(1997)に記載の顔料粒子表面にモノマーを吸着させた後、重合させる方法、色材協会誌、69、743(1996)及び同72、748(1999)に記載の顔料粒子表面に重合開始剤を導入した後、モノマーと共に重合させる方法等を挙げることができる。
【0051】
上記記載の各方法において、顔料を分散させた高分子化合物を有機溶剤で溶解した後、水中に転相乳化する方法で用いることのできる高分子化合物は、樹脂中に酸性基(例えば、−COOH、−SO3H)を有し、酸型で有機溶剤に可溶で、アルカリまたはアミン等の塩基性物質により中和され親水性が増加する高分子化合物である。具体的には、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、またはポリウレタン樹脂等が挙げられ、好ましくはアクリル系樹脂及びスチレン系樹脂である。
【0052】
また、顔料粒子表面にモノマーを吸着させた後、重合させる方法としては、含水液体中に顔料と極性基含有ポリマーと疎水性モノマーを加え、一定時間モノマーを吸着させた後、重合開始剤を加えて、一定時間重合させる方法で得ることができる。
【0053】
上記方法で用いることのできる極性基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0054】
疎水性モノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、t−ブチルスチレンもしくはクロルスチレンの如き、各種のスチレン系単量体(芳香族ビニルモノマー)類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシルもしくはアクリル酸ドデシルの如き、各種のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸デシルもしくはメタクリル酸ドデシルの如き、各種のメタクリル酸エステル類;アクリル酸ヒドロキシエチルもしくはメタクリル酸ヒドロキシプロピルの如き、各種のヒドロキシル基(水酸基)含有モノマー類;またはN−メチロール(メタ)アクリルアミドもしくはN−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドの如き、各種のN−置換(メタ)アクリル系単量体類などが挙げられる。
【0055】
用いることのできる重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオキシドもしくは2−エチルヘキサノエートの如き、各種の過酸化物;またはアゾビスイソブチロニトリルもしくはアゾビスイソバレロニトリルの如き、各種のアゾ化合物などを挙げることができる。
【0056】
また、顔料粒子表面に重合開始剤を導入した後、モノマーと共に重合させる方法としては、顔料の官能基(例えば、アミノ基、水酸基)に、化学反応によりペルオキシカルボニル基等の過酸化基を導入する方法、次亜塩素酸等の酸化剤によって顔料表面にカルボキシル基を生じさせ、そのカルボキシル基より重合を開始する基を導入する方法等が挙げられる。これらの方法によって得られた重合開始基を表面に有する顔料に、上記の疎水性モノマーと極性基含有モノマーとを重合することにより、高分子被覆顔料を得ることができる。
【0057】
本発明において、顔料に対する高分子化合物の被覆量は、1%以上100%以下であり、好ましくは5%以上50%以下である。
【0058】
請求項2に係る発明では、水性媒体に顔料粒子を分散したインクジェット用顔料インクにおいて、水性溶媒中での該顔料粒子の前記式(1)で表される再分散係数が0.5〜5であることが特徴の一つである。
【0059】
本発明でいう再分散係数とは、顔料粒子の分散安定性、凝集性を表す尺度であり、前記式(1)で表されるように、顔料粒子の再分散前の体積平均粒子径に対する再分散後の顔料粒子の体積平均粒子径の比で表す。なお、本発明における体積平均粒子径は、二次粒子径で測定した値である。
【0060】
詳しくは、再分散前の顔料粒子の体積平均粒子径は、調製した顔料インクの二次粒子径を表し、再分散後の顔料粒子の体積平均粒子径とは、顔料インクを乾燥した後、水、あるいは有機溶剤等の顔料インク媒体中に乾燥した顔料粒子を添加、解膠した後の顔料粒子の二次粒子径であり、式(1)で表される再分散係数が小さいほど、解膠性、分散性に優れ、凝集体の発生が少ないことを表し、再分散係数1は再分散前後で二次粒子径の変化がないことを意味する。
【0061】
具体的な測定方法としては、顔料インクを1ml採取し、これを洗浄済みのシャーレ上に均一に広げた後、常温、常湿下で1週間放置して、乾燥する。次いで、乾燥物に1mlの水を添加し、ガラス棒を用いて、2分間攪拌して再分散させて、乾燥前及び再分散後の顔料溶液中の顔料粒子の体積平均粒子径を下記の方法で測定する。
【0062】
体積平均粒子径の測定は、例えば、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることができ、具体的粒径測定装置としては、例えば、島津製作所製のレーザー回折式粒径測定装置SLAD1100、粒径測定機(HORIBA LA−920)、マルバーン社製ゼータサイザー1000等を挙げることができる。
【0063】
本発明では、再分散係数が0.5〜5であることが特徴であるが、好ましくは0.5〜4、更に好ましくは0.5〜3、特に好ましくは0.5〜2である。
【0064】
本発明において、再分散係数を上記で規定した範囲にする手段として、特に制限はないが、例えば、本発明に係る表面に極性基を有する顔料粒子を用いること、本発明に係る顔料表面を高分子化合物で被覆すること、界面活性剤の種類及び添加量を最適化すること、顔料粒子の二次粒径分布をコントロールすること、顔料分散手段とその分散条件を最適化すること等の各手段を適宜選択、あるいは組み合わせることにより、所望の再分散度を得ることができる。
【0065】
本発明で用いることのできる分散装置としては、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各種分散機を挙げることができる。
【0066】
請求項3に係る発明では、請求項1又は2で規定するインクジェット用顔料インクのpHが、7.0以上であることが特徴であるが、好ましくは8.0〜10.0である。本発明の顔料インクに使用される水性媒体で用いられるpH調整剤としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸物等の無機アルカリ剤、有機酸や、鉱酸が挙げられる。
【0067】
また、請求項4に係る発明では、請求項1〜3で規定するインクジェット用顔料インクの表面張力が、25〜45mN/mであることが特徴であり、好ましくは30〜40mN/mである。本発明の顔料インクの表面張力の調整手段としては、後述の各種界面活性剤を用いて、種類及び添加量を適宜調整することが好ましい。
【0068】
また、請求項5に係る発明では、顔料粒子の二次体積平均粒子径が、10〜150nmであることが特徴であり、好ましくは20〜120nm、特に好ましくは20〜90nmであり、本発明で規定する体積平均粒子径とすることにより、本発明の効果をいかんなく発揮することができ好ましい。
【0069】
顔料粒子の二次体積平均粒子径は、前述の再分散係数で記載したのと同様の方法で求めることができる。
【0070】
また、請求項6に係る発明では、顔料インクの多価金属イオン含有量が、5ppm以下であることが特徴であり、好ましくは0.1〜3ppm、特に好ましくは0.1〜1ppmである。顔料インク中の多価金属イオンの含有量を、上記で規定した量とすることにより、高い分散安定性を有する顔料インクを得ることができる。
【0071】
本発明でいう多価金属イオンとは、例えば、Fe3+、Sr2+、Mg2+、Ca2+、Zn2+、Zr2+、Ni2+、Al3+などを挙げることができ、それらは硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、有機アンモニウム塩、EDTA塩等で含有されている。
【0072】
請求項7に係る発明では、インク溶剤含有量が、5〜70質量%であることが特徴であり、好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは20〜50質量%である。
【0073】
本発明でいうインク溶剤とは、特に制限はないが、下記一般式(1)で表される化合物を用いることが好ましい。
一般式(1)
A−B
式中、Aは親水性置換基を含む基を表し、Bは疎水性基を表す。
【0074】
ここでAで表される基は、親水性置換基を含む基であり、親水性置換基としてはヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホキシド基、スルホン基、スルホン酸基、2−ケト−1−ピロリジニル基等が挙げられる。中でもヒドロキシ基が好ましい。
【0075】
Bは疎水性基を表し、好ましくは炭素原子数3〜10の脂肪族あるいは芳香族炭化水素基である。さらにBは炭素原子数4〜8の脂肪族基であることが好ましい。
【0076】
前記一般式(1)で表される化合物は一般的な界面活性剤と類似の構造を有している。一般的な界面活性剤は水溶液中で、低濃度でミセルを形成する特徴を示す。
【0077】
一般式(1)で表される化合物は、このようなミセル形成能力を有していないことが好ましい。これはミセル形成能を有する場合、分子間の相互作用が強いため、1%を超え濃度が上昇すると、インクの粘度を著しく増加させてしまう欠点があるためである。
【0078】
前記一般式(1)で示される化合物のうち、好ましい例としては、例えば多価アルコールエーテル誘導体および炭素原子数4〜8の脂肪族1,2−ジオールが挙げられ、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、1,2−ヘキサンジオール、あるいは1,2−ペンタンジオールから選ばれる化合物であることがより好ましい。さらに好ましくはトリエチレングリコールモノブチルエーテルあるいは1,2−ヘキサンジオールである。
【0079】
本発明で用いることのできるその他のインク溶剤としては、水溶性の有機溶媒が好ましく、具体的にはアルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、スルホン酸塩類(例えば1−ブタンスルホン酸ナトリウム塩等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
【0080】
本発明の顔料インクにおいて、請求項8に係る発明ではアニオン界面活性剤を、また請求項9に係る発明ではノニオン界面活性剤を、また請求項10に係る発明ではカチオン界面活性剤を、また請求項11に係る発明ではアニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤とを含有していることが特徴である。
【0081】
本発明で用いることのできる各界面活性剤として、特に制限はないが、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
【0082】
また、本発明においては、高分子界面活性剤も用いることができ、例えば、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等を挙げることができる。
【0083】
請求項12に係る発明では、顔料インクが水溶性高分子または水不溶性高分子分散液を含有していることが特徴である。
【0084】
水溶性高分子としての好ましい例としては天然高分子が挙げられ、その具体例としては、にかわ、ゼラチン、ガゼイン、若しくはアルブミンなどのたんぱく質類、アラビアゴム、若しくはトラガントゴムなどの天然ゴム類、サボニンなどのグルコシド類、アルギン酸及びアルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、若しくはアルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸誘導体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、若しくはエチルヒドロキシルセルロースなどのセルロース誘導体が挙げられる。
【0085】
更に、水溶性高分子の好ましい例として合成高分子が挙げられ、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、及び酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩が挙げられる。これらの中で、特に好ましい例としては、ポリビニルピロリドン類が挙げられる。
【0086】
水溶性高分子の分子量は、1,000以上200,000以下が好ましい。更には、3,000以上20,000以下がより好ましい。1,000未満では顔料粒子の成長及び凝集を抑制する効果が少なくなり、200,000を越えると粘度上昇、溶解不良等の問題が発生し易くなる。
【0087】
水溶性高分子の添加量は、顔料に対して10質量%以上1,000質量%以下が好ましい。更には、50質量%以上200質量%以下がより好ましい。10質量%未満では顔料粒子の成長及び凝集を抑制する効果が少なくなり、1000質量%を越えると粘度上昇、溶解不良等の問題が発生し易くなる。
【0088】
また、本発明で用いることのできる水不溶性高分子分散液(以下、ラテックスともいう)として、特に制限はないが、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、シリコン−アクリル共重合体およびアクリル変性フッ素授脂等のラテックスが挙げられる。ラテックスは、乳化剤を用いてポリマー粒子を分散させたものであっても、また乳化剤を用いないで分散させたものであってもよい。乳化剤としては界面活性剤が多く用いられるが、スルホン酸基、カルボン酸基等の水に可溶な基を有するポリマー(例えば、可溶化基がグラフト結合しているポリマー、可溶化基を持つ単量体と不溶性の部分を持つ単量体とから得られるポリマー)を用いることも好ましい。
【0089】
また本発明の顔料インクでは、ソープフリーラテックスを用いることが特に好ましい。ソープフリーラテックスとは、乳化剤を使用していないラテックス、およびスルホン酸基、カルボン酸基等の水に可溶な基を有するポリマー(例えば、可溶化基がグラフト結合しているポリマー、可溶化基を持つ単量体と不溶性の部分を持つ単量体とから得られるポリマー)を乳化剤として用いたラテックスのことを指す。
【0090】
近年ラテックスのポリマー粒子として、粒子全体が均一であるポリマー粒子を分散したラテックス以外に、粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプのポリマー粒子を分散したラテックスも存在するが、このタイプのラテックスも好ましく用いることができる。
【0091】
本発明の顔料インクにおいて、ラテックス中のポリマー粒子の平均粒径は10nm以上、300nm以下であり、10nm以上、100nm以下であることがより好ましい。ラテックスの平均粒径が300nmを越えると、画像の光沢感の劣化が起こり、10nm未満であると耐指紋付着性、耐擦過性が不十分となる。ラテックス中のポリマー粒子の平均粒子径は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法を用いた市販の粒径測定機器により求めることができる。
【0092】
本発明の顔料インクにおいて、ラテックスは固形分添加量としてインクの全質量に対して0.1質量%以上、20質量%以下となるように添加されるが、ラテックスの固形分添加量を0.5質量%以上、10質量%以下とすることが特に好ましい。ラテックスの固形分添加量が0.1質量%未満では、耐指紋付着性に関して十分な効果を発揮させることが難しく、また20質量%を越えると、経時でインク粘度の上昇が起こったり、顔料分散粒径の増大が起こりやすくなる等インク保存性の点で問題が生じることが多い。
【0093】
本発明の顔料インクでは、上記説明した以外に、必要に応じて、出射安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号および特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤等を挙げることができる。
【0094】
本発明で用いられる記録媒体としては、普通紙、コート紙、インク液を吸収して膨潤するインク受容層を設けた膨潤型インクジェット用記録紙、多孔質のインク受容層を持った空隙型インクジェット用記録紙、また基紙の代わりにポリエチレンテレフタレートフィルムなどの樹脂支持体を用いたものも用いることができるが、記録媒体としては、多孔質インクジェット記録媒体を用いることが好ましく、この組み合わせにより本発明の効果を最も発揮することができる。
【0095】
多孔質インクジェット記録媒体としては、具体的には、空隙型インクジェット用記録紙又は空隙型インクジェット用フィルムを挙げることができ、これらはインク吸収能を有する空隙層が設けられている記録媒体であり、空隙層は、主に親水性バインダーと無機微粒子の軟凝集により形成されるものである。
【0096】
空隙層の設け方は、皮膜中に空隙を形成する方法として種々知られており、例えば、二種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子及び親水性又は疎水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、インクジェット記録用紙を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬して固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バインダーに対して概ね等量以上の容積を有する固体微粒子及び/又は微粒子油滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布して固体微粒子の間に空隙を作製する方法などが挙げられるが、本発明のインクを用いる上では、いずれも方法で設けられても、良い結果を与える。
【0097】
本発明のインクジェット画像記録方法で用いることのできるインクジェットヘッドとしては、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
【0098】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0099】
実施例1
《高分子層被覆顔料粒子の調製》
(顔料粒子分散液101の調製:顔料分散方法A)
顔料としてファストゲン・スーパー・マゼンタ・RTS(大日本インキ化学工業製)を用い、特開平10−140065号公報に記載の製造例3に準じ、顔料粒子表面を高分子化合物で被覆されたマゼンタの顔料粒子分散液101を調製した。
【0100】
(顔料粒子分散液102の調製:顔料分散方法B)
顔料としてファストゲン・スーパー・マゼンタ・RTS(大日本インキ化学工業製)を用い、特開平10−140065号公報に記載の製造例4に準じ、顔料粒子表面を高分子化合物で被覆されたマゼンタの顔料粒子分散液102を調製した。
【0101】
(顔料粒子分散液103の調製:顔料分散方法C)
C.I.ピグメントレッド122(PV FastPink EB−Trans、クラリアント製)を15g、ピリジン10ml及びアジピン酸ジクロリド10mlを、500mlのテトラヒドロフラン中に分散し、窒素気流下、60℃で2時間反応させた。反応終了後、顔料反応物を濾過により濾別し、テトラヒドロフランにより洗浄をした後、これを100mlのt−ブチルヒドロペルオキシド水溶液(70質量%)中に分散し、更に2gの水酸化ナトリウムを加え、窒素気流下、室温で24時間反応させた。次いで、反応物を濾別し、テトラヒドロフランで洗浄した後、反応物を150mlのテトラヒドロフラン中に分散させた。この分散物に、下記モノマー混合物1を7.5g添加し、80℃で6時間反応させた。反応終了後、重合反応物にイオン交換水を適量添加し、ジエタノールアミンでpHを7.0に調整した後、限外濾過による濃縮及び加水を繰り返し、次いで遠心分離操作を行って目的とするマゼンタの顔料粒子分散液103を得た。
【0102】
〈モノマー混合物1〉
組成比:スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸/スチレンスルホン酸ナトリウム=64/15/15/15/1
(顔料粒子分散液104の調製:顔料分散方法D)
スルホ琥珀酸ジオクチルナトリウムを用いて分散したPV FastPinkEB−Trans(クラリアント製)の10質量%水分散液を100gとり、これに下記組成のモノマー混合物2を20g、エタノールを50g、過硫酸カリを0.1g加え、80℃で6時間重合反応をさせた。重合反応後、限外濾過による濃縮、加水を繰り返した後、遠心分離操作を行って、マゼンタの顔料粒子分散液104を調製した。
【0103】
〈モノマー混合物2〉
組成比:スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/メタクリル酸=64/16/15
(顔料粒子分散液105の調製)
上記記載の顔料粒子分散液101の調製(顔料分散方法A)において、顔料として、ファストゲン・スーパー・マゼンタ・RTSに代えて、カーボンブラック(C.B.)を用いた以外は同様にして、顔料粒子分散液105を調製した。
【0104】
(顔料粒子分散液106の調製)
上記記載の顔料粒子分散液104の調製(顔料分散方法D)において、顔料として、PV FastPink EB−Transに代えて、カーボンブラック(C.B.)を用いた以外は同様にして、顔料粒子分散液106を調製した。
【0105】
(顔料粒子分散液107の調製)
顔料としてカーボンブラック(C.B.)を用い、特開平9−3375号公報の実施例に記載の材料及び方法に従い分散して、顔料粒子分散液107を調製した。
【0106】
以上により得られた各顔料粒子の特性を表1に示す。
なお、表1に記載の顔料粒子の二次体積平均粒子径(平均粒径)は、下記の方法により測定した。
【0107】
〈顔料粒子の平均粒径の測定〉
各顔料粒子分散液を、SA−2(ペレックスOT−P)の0.1%水溶液で1000倍に希釈した後、マルバーン製ゼータサイザー1000を用いて測定した。
【0108】
また、表1中に記載の化合物略称の詳細は、以下の通りである。
顔料a:ファストゲン・スーパー・マゼンタ・RTS(大日本インキ化学工業製)
顔料b:PV FastPink EB−Trans(クラリアント製)
C.B.:カーボンブラック(三菱化学社製 MA−7)
P−1:n−ブチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸=175/10.7/37.5/26.8
P−2:n−ブチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=171.4/6.3/37.5/34.8
P−3:スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸/スチレンスルホン酸ナトリウム=64/15/15/15/1
P−4:スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸=64/16/15
【0109】
【表1】
【0110】
《インクの調製》
上記で調製した各顔料粒子の分散液を用い、マゼンタ及びブラックインク1〜30を調製した。各マゼンタ及びブラックインクの調製においては、各顔料粒子の分散液に、純水および表2、表3、表4に記載の脂肪酸誘導体、インク溶媒、多価金属イオン水溶液、界面活性剤、高分子化合物を、表2、表3、表4に記載の濃度となるように加えて調製した。なお、分散液中の色材濃度が不足し、インク中の色材濃度を目標値に調整できない場合には、顔料粒子の分散液を減圧下で、水を除去、濃縮して所望の濃度に再調整した。
【0111】
ここで、多価金属イオン水溶液として鉄イオン、アルミニウムイオン、カルシウムイオンを用いる場合には、それぞれ塩化第二鉄、塩化アルミニウム、塩化カルシウムの0.1%水溶液で添加し、表2、表3、表4に記載の多価金属イオン濃度となるように調整した。また、pHは0.1モル/Lの硝酸水溶液および水酸化ナトリウム水溶液を用い、後述の表5に記載の値となるように調整した。
【0112】
なお、表2、表3、表4中に記載の化合物略称の詳細は、以下の通りである。
EG:エチレングリコール
gly:グリセリン
TEGBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
DEG:ジエチレングリコール
HDO:1,2−ヘキサンジオール
TEG:テトラエチレングリコール
PG:プロピレングリコール
PYR:2−ピロリジノン
SA−1:オルフィンE1010(日信化学製、ノニオン界面活性剤)
SA−2:ペレックスOT−P(花王製、アニオン界面活性剤)
SA−3:オルフィンE1004(日信化学製、ノニオン界面活性剤)
SA−4:レベノールWX(花王製、アニオン界面活性剤)
SA−5:エマルゲンLS−110(花王製、ノニオン界面活性剤)
SA−6:エマルゲン920(花王製、アニオン界面活性剤)
P−5:タケラックW−605(武田薬品製、ウレタン系ソープフリーラテックス)
P−6:Nipol LX844B(日本ゼオン製、アクリル系ラテックス)
P−7:タケラックW−6060(武田薬品製、ウレタン系ソープフリーラテックス)
P−8:PVA203(クラレ製、ポリビニルアルコール)
【0113】
【表2】
【0114】
【表3】
【0115】
【表4】
【0116】
《各インクの特性値の測定》
以上のようにして調製した各マゼンタ及びブラックインクについて、下記に記載の方法に従って、マゼンタ及びブラックインク及びインク中の各顔料粒子の各特性について測定を行った。
【0117】
〈再分散係数の測定〉
各インクを1ml採取し、これを洗浄済みのシャーレ上に均一に広げた後、常温、常湿下で1週間放置して、乾燥する。次いで、乾燥物に1mlの水を添加し、ガラス棒を用いて、2分間攪拌して再分散させて、乾燥前及び再分散後のインク中の着色微粒子及び顔料粒子の体積平均粒子径を下記の方法で測定した。
【0118】
体積平均粒子径の測定は、乾燥前後の各インクを1000倍に希釈した後、マルバーン社製ゼータサイザー1000を用いて測定し、前記式(1)に従い再分散係数を求めた。
【0119】
〈pH及び表面張力の測定〉
pH及び表面張力は、常法に従い測定した。
【0120】
以上により得られた結果を、表5に示す。
《マゼンタ及びブラック画像の形成及び評価》
(画像形成)
上記調製した各マゼンタ及びブラックインクをインクジェットカートリッジに収納した後、カラーインクジェットプリンターPM820C(エプソン製)を用いて画像を出力した。出力画像としては、出力濃度を0%から100%の間を16段階に分割したウェッジ画像(各濃度について3cm×3cmのパッチ状に出力)を用いた。
【0121】
(耐擦過性の評価)
耐擦過性については、上記で作成した各ウェッジ画像を用い、最も画像濃度が高いパッチ画像(出力濃度100%)に対し、事務用消しゴム(MONO トンボ鉛筆社製)でその表面を5回の往復擦過を行い、20人の一般評価者による残存濃度の目視評価を行い、以下の基準に則り判定した。
【0122】
a:ほぼ原画像の濃度が残存していると評価した人が16人以上
b:ほぼ原画像の濃度が残存していると評価した人が12〜15人
c:ほぼ原画像の濃度が残存していると評価した人が8〜11人
d:ほぼ原画像の濃度が残存していると評価した人が7人以下
(光沢性の評価)
光沢性は、上記で作成したウェッジ画像に対し、20人の一般評価者による目視評価を行い、以下の基準に則り判定した。
【0123】
4:良好な光沢と評価した人が16人以上
3:良好な光沢と評価した人が12〜15人
2:良好な光沢と評価した人が8〜11人
1:良好な光沢と評価した人が7人以下
(耐指紋付着性の評価)
上記で作成した各ウェッジ画像を用い、最も画像濃度が高いパッチ画像(出力濃度100%)に対し、任意に選んだ5人の人間が、右手親指で各画像面に3箇所ずつ指紋を付着させ、その後恒温恒湿器(温度65℃、相対湿度60%)中で7日間保存した。保存処理後の画像について、画像付着部の変褪色を20人の一般評価者により目視評価し、以下の基準に則り判定した。
【0124】
A:指紋付着部分が明確に変褪色していると評価した人が4人以下
B:指紋付着部分が明確に変褪色していると評価した人が5〜8人
C:指紋付着部分が明確に変褪色していると評価した人が9〜12人
D:指紋付着部分が明確に変褪色していると評価した人が13人以上
以上により得られた各評価結果を表5に示す。
【0125】
【表5】
【0126】
表5から明らかなように、比較例においては耐擦過性、光沢性及び耐指紋付着性の全てを満足できる試料を得ることができなかった。
【0127】
一方、本発明の各試料は、いずれの試料においても優れた耐擦過性、光沢性及び耐指紋付着性を示し、良好な画像特性を有していることを確認できた。
【0128】
実施例2
《カラー画像の作成及び評価》
(各色着色微粒子及び顔料粒子分散液の調製)
実施例1に記載の顔料粒子分散液104の調製方法(顔料分散方法D)に準じて、イエロー・シアン・ブラック各色の顔料粒子の分散液を調製した。ここで、イエロー顔料としてはPigment Yellow 128、シアン顔料としてPigment Blue 15:3、ブラック顔料としてカーボンブラックを用いた。また、マゼンタ顔料粒子としては前述の表1に記載のマゼンタ顔料粒子分散液104を用いた。
【0129】
(各色インクの調製)
以上のようにして得られた各顔料粒子の分散液を用い、表4に記載のインク24の構成に準じ、各色のインクを調製した。ここで、色材濃度としては、ラージフォーマットインクジェットプリンター・イグアス1044SD(コニカ製)用の純正の吸光度と同じとなるよう、それぞれ濃度を適宜調整して、各色共に濃淡二色ずつのインクを調製し、インクジェットカートリッジに収納した。
【0130】
得られた各色インクジェットカートリッジを、吐出ノズル数が512、ノズル径が25μm、吐出周波数が30kHzであるピエゾ方式インクジェットヘッドを8機搭載したインクジェット試験機を用い、コニカインクジェットペーパーPhotolike QP上に、1440×720dpi(dpiとは2.54cm当たりのドットの数を表す)の画素密度で、画像データを出力した。
【0131】
なお、上記ノズルの駆動電圧を変化させ、液滴速度が8m/secとなるように調整した。この時、吐出されたインク液滴の量を測定したところ、7plであった。また、低〜中濃度部域では低濃度インクジェット画像記録液を中心に、高濃度部域では高濃度のインクジェット画像記録液を中心に出力するよう、駆動条件を適宜設定した。
【0132】
なお、上記ピエゾ方式インクジェット試験機のヘッドの構成は、図1(a)のようになっている。また、ヘッド1のA−Aでの断面図を図1(b)に示す。
【0133】
図1(a)では、説明のために5本の吐出ノズルを有するヘッド1を例示しているが、実施例2では128本のノズルを有するヘッドを用いた。ピエゾ素子の変位によりインク液滴の吐出を行わせるピエゾ素子2が各吐出ノズルに対応してヘッド上に設けられている。また、ピエゾ素子に対して駆動信号や加熱用信号を供給するドライバIC3がインク流路(インク溜まり)上に配置されている。
【0134】
また、ピエゾ素子近傍の吐出ノズル上にサーミスタ4が設けられていて、測温手段を備えている。
【0135】
出力画像データとしては、実施例1で用いたウェッジ画像と、財団法人・日本規格協会発行の、高精細カラーデジタル標準画像データ「N5・自転車」(1995年12月発行)を用いた。
【0136】
また、同一画像データをデジタルミニラボQD−21 PLUS(コニカ製)を用い、コニカカラーQAペーパータイプA7上に出力し、現像処理して比較用のカラー銀塩写真画像を得た。
【0137】
以上のようにして得られた各画像について、実施例1に記載の方法により、耐擦過性、光沢性及び耐指紋付着性の評価を行った。耐擦過性と耐指紋付着性については、実施例1の結果と同様に、各色とも良好な結果を示した。また、光沢性についても、比較のカラー銀塩写真画像と同等の良好な結果を示した。
【0138】
【発明の効果】
本発明により、インクジェット記録画像の耐擦過性、光沢性及び耐指紋付着性に優れたインクジェット用顔料インクとそれを用いたインクジェットカートリッジ、インクジェット画像記録方法及びインクジェット記録画像を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用されるピエゾ方式インクジェット試験機のヘッドの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 ヘッド
2 ピエゾ素子
3 ドライバIC
4 サーミスタ
Claims (13)
- 水性媒体に顔料粒子を分散したインクジェット用顔料インクにおいて、該インクジェット用顔料インク中の、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸無水物から選ばれる脂肪酸誘導体の総含有量が0.01〜0.6質量%であり、かつ該顔料粒子はその二次体積平均粒子径が10〜150nmであって、その表面が水不溶性でかつ水分散性の高分子層で被覆されていることを特徴とするインクジェット用顔料インク。
- 下記式(1)で表される再分散係数が0.5〜5であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用顔料インク。
式(1)
再分散係数=再分散後の顔料粒子の二次体積平均粒子径/再分散前の顔料粒子の二次体積平均粒子径 - pHが、7.0以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット用顔料インク。
- 表面張力が、25〜45mN/mであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
- 多価金属イオン含有量が、5ppm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
- インク溶剤含有量が、5〜70質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
- アニオン界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
- ノニオン界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
- カチオン界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
- アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤とを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
- 水溶性高分子または水不溶性高分子分散液を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インク。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インクを少なくとも1つ収容したインク収容部を有することを特徴とするインクジェットカートリッジ。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット用顔料インクを少なくとも1つ用いて画像形成することを特徴とするインクジェット画像記録方法。
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