JP2009197156A - カチオン重合型インクジェットインク及びインクジェット記録方法 - Google Patents

カチオン重合型インクジェットインク及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インプリンタで使用しても密着性に優れ、かつスジ故障耐性が向上したカチオン重合型インクジェットインクとそれを用いたインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1種の光酸発生剤、カチオン重合性モノマー及び顔料を含有するカチオン重合型インクジェットインクにおいて、数平均分子量が14000以上、25000以下の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を0.3質量%以上、5.0質量%以下含有することを特徴とするカチオン重合型インクジェットインク。
【選択図】なし

Description

本発明は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を含有するカチオン重合型インクジェットインクとそれを用いたインクジェット記録方法に関するものである。
従来、紫外線や電子線などの活性エネルギー線により硬化する活性光線硬化型組成物は、プラスチック、紙、木工及び無機材料等の塗料、接着剤、印刷インキ、印刷回路基板及び電気絶縁関係等の種々の用途に実用化されている。
また、これらの活性光線硬化型組成物を使用したインクジェット用インクシステムとしては、紫外線で硬化する紫外線硬化型インクジェットインクがあるが、この紫外線硬化型インクジェットインクを用いたインクジェット記録方式は、速乾性、インク吸収性の無い記録媒体への記録ができる点で近年注目されつつある。紫外線硬化型インクジェットインクには、その重合方式によりカチオン重合型インクジェットインクとラジカル重合型インクジェットインクに分類される。カチオン重合型インクジェットインクは、空気中の酸素による硬化阻害がないためインクジェット記録装置が簡便に出来ること、プリント物の柔軟性が高いこと等のメリットがある。近年、バーコード等のラベル印刷を少量可変で行いたいというニーズが高まっているが、カチオン重合型インクジェットインクはラベルに多用される非吸収性記録媒体に対しても、紫外線照射により硬化させる定着方式であるため使用可能であること、またラベルを曲面に貼ってもプリント物の密着性が良好で剥がれにくい特徴を備えており、ラベル印刷用途に適している。カチオン硬化型インクジェットインクとしては、オキセタン化合物と光カチオン重合開始剤と顔料とからなり、必要に応じてエポキシ化合物を添加したものが既に提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
このようなインクジェット方式を用いたラベル印刷では、その処理速度が経済性に影響するため従来のようにプリントヘッドが移動しながら印刷する、いわゆるスキャン方式ではなく、幅方向に並んだ固定式のインクジェットヘッドの下を記録媒体が直角方向に移動しながら印刷する、いわゆるライン方式が用いられる。
しかしながら、このライン方式を用いたインクジェット記録方法においては、同じカチオン重合型インクジェットインクを用いても、スキャン方式に比べ、形成した印刷物の記録媒体への密着不良が発生しやすい問題があった。これは、インクドット当たりに照射される紫外線がスキャン方式に対しライン方式では短時間になってしまうためであり、また特に、ラベル材料がポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートのような疎水性の材料である場合に生じやすい傾向にあった。この理由としては、このような疎水性記録媒体では元々、表面エネルギーが低く他の物質との接着性が低いのに加え、帯電しやすいために、帯電防止処理を施しており、このような帯電防止処理に用いられる帯電防止剤は、低分子のカチオン活性剤やカチオンポリマーのようなイオン性物質が使用されていることが多い。(例えば、特許文献2参照。)。そのため、カチオン重合型インクジェットインクでは、紫外線照射により光酸発生剤から発生した開始反応に必要な酸の強度が、塩交換作用により低下してしまうためであると考えている。さらに、ライン方式のインクジェットプリンタでは、隣接するインクドット同士が移動して重なり、記録媒体の搬送方向に平行な濃淡のスジが発生する課題がある(例えば、特許文献3参照。)
特開平8−143806号公報 特開平11−286559号公報 特開2005−279968号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、ラインプリンタで使用しても密着性に優れ、かつスジ故障耐性が向上したカチオン重合型インクジェットインクとそれを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.少なくとも1種の光酸発生剤、カチオン重合性モノマー及び顔料を含有するカチオン重合型インクジェットインクにおいて、数平均分子量が14000以上、25000以下の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を0.3質量%以上、5.0質量%以下含有することを特徴とするカチオン重合型インクジェットインク。
2.前記塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体が、溶液重合法により調製されたことを特徴とする前記1に記載のカチオン重合型インクジェットインク。
3.前記カチオン重合性モノマーとしてオキセタン環を有する化合物及びエポキシ化合物を含有することを特徴とする前記1または2に記載のカチオン重合型インクジェットインク。
4.前記カチオン重合性モノマーとしてビニルエーテル化合物を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のカチオン重合型インクジェットインク。
5.前記1〜4のいずれか1項に記載のカチオン重合型インクジェットインクを、インクジェットプリンタにより、記録媒体上に射出した後、活性光線を照射して画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
6.前記インクジェットプリンタが、ラインヘッド方式のインクジェットプリンタであることを特徴とする前記5に記載のインクジェット記録方法。
7.前記記録媒体は、非吸収性記録媒体であることを特徴とする前記5または6に記載のインクジェット記録方法。
本発明により、ラインプリンタで使用しても密着性に優れ、かつスジ故障耐性が向上したカチオン重合型インクジェットインクとそれを用いたインクジェット記録方法を提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、少なくとも1種の光酸発生剤、カチオン重合性モノマー及び顔料を含有するカチオン重合型インクジェットインクにおいて、数平均分子量が14000以上、25000以下の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を0.3質量%以上、5.0質量%以下含有することを特徴とするカチオン重合型インクジェットインクにより、ラインプリンタで使用しても密着性に優れ、かつスジ故障耐性が向上したカチオン重合型インクジェットインクを実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
上記本発明で規定する構成からなりカチオン重合型インクジェットインクにより、本発明の目的効果が得られる理由としては、以下のように推定している。
ラインヘッド方式を用いたインクジェット記録方式における密着性の低下、特に、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートのような非吸収性材料を用いた際の帯電防止剤の影響も含めた密着性低下に対し、カチオン重合型インクジェットインクに特定の要件を満たす塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を共存させて画像形成を行うことにより、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体が非吸収性記録媒体表面を被覆することで、密着性の低下を防止していると推測している。また、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の記録媒体に対するアンカー効果により、記録媒体に着弾したインク液滴(ドット)の移動を防止し、その結果、スジ故障耐性の向上が図られたものと考えている。
以下、本発明のカチオン重合型インクジェットインクの構成要素について説明する。
《カチオン重合型インクジェットインク》
〔塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体〕
本発明のカチオン重合型インクジェットインク(以下、単にインクともいう)においては、数平均分子量が14000以上、25000以下の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を0.3質量%以上、5.0質量%以下含有することを特徴とする。
本発明に係る塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の他、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体等を挙げることができる。特に好ましい塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体としては、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体であり、この共重合体は、出射安定性と耐擦過性やアルコール耐性およびブロンジング耐性をバランスよく向上できる。本発明でいうアルコール拭き取り耐性とは、エタノールまたはエタノール・水混合溶媒で画像表面を拭き取った際に、画像の剥離等の乱れに対する耐性をいう。屋外用途のポスター等で、画像表面の汚れをアルコールで拭き取ることに対するユーザーニーズである。また、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体と塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体を混合して用いることも好ましい。
本発明に係る塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の合成法としては、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法など特に制約はなく適用することができるが、溶液重合法が特に好ましい。溶液重合法により合成された塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体においては、比較的高分子量であっても溶解性が高く、耐擦過性とブロンジング耐性を両立しやすい。溶液重合法とは、ビニル基をもつモノマーのラジカル重合を行う際に用いられる方法の一つで、生成するポリマーが可溶な溶媒にモノマーおよび開始剤を溶解させて、加熱して重合を行う方法である。本発明において特に好ましい塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体は、溶液重合法により合成された塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体であり、該樹脂のより好ましい数平均分子量は14000〜20000の範囲である。
本発明のインクにおける塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の含有量は、0.3〜5.0質量%であることを特徴とする。0.3%以上であれば、密着性の向上効果を発面することができ、5質量%以下では安定したインク吐出性能を維持することができる。より好ましい含有量の範囲は0.5〜2.0質量%である。
本発明のカチオン重合型インクジェットインクにおいては、本発明に係る塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体に加えて、本発明の目的効果を損なわない範囲で、他の樹脂を添加しても良い。併用することが可能な樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。
〔カチオン重合性モノマー〕
本発明に係るカチオン硬化型インクジェットインクは、カチオン硬化性モノマー(カチオン重合性化合物)及び光重合開始剤を含有する。カチオン硬化性モノマー(カチオン重合性化合物)としてはオキセタン環を有する化合物及びエポキシ化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、かつ、更にビニルエーテル化合物を含有することがより好ましい。
(オキセタン環を有する化合物)
本発明に係るオキセタン環を有する化合物について、以下説明する。
〈2位が置換されているオキセタン環を有するオキセタン化合物〉
本発明に係るカチオン重合性組成物では、下記一般式(1)で表される2位が置換されているオキセタン環を分子中に少なくとも1つ有するオキセタン化合物を用いることが好ましい。
Figure 2009197156
上記一般式(1)において、R1〜R6は各々水素原子または置換基を表す。但し、R3〜R6で表される基の少なくとも一つは置換基である。一般式(1)において、R1〜R6で表される置換基としては、例えば、フッ素原子、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等)、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、フリル基またはチエニル基を表す。また、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
(分子中に1個のオキセタン環を有するオキセタン化合物)
更に、上記一般式(1)の中でも、下記一般式(2)〜(5)で表されるオキセタン環を有する化合物が好ましく用いられる。
Figure 2009197156
式中、R1〜R6は水素原子または置換基を表し、R7、R8は各々置換基を表し、Zは各々独立で酸素または硫黄原子、あるいは主鎖に酸素または硫黄原子を含有してもよい2価の炭化水素基を表す。一般式(2)〜(5)において、R1〜R6で表される置換基は前記一般式(1)のR1〜R6で表される置換基と同義である。
一般式(2)〜(5)において、R7、R8で表される置換基としては、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等)、炭素数1〜6個のアルケニル基(例えば、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基または3−ブテニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基等)、炭素数1〜6個のアシル基(例えば、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基またはペンチルカルボニル基等)、炭素数1〜6個のアルコキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、炭素数1〜6個のアルキルカルバモイル基(例えば、プロピルカルバモイル基、ブチルペンチルカルバモイル基等)、アルコキシカルバモイル基(例えば、エトキシカルバモイル基等)を表す。
一般式(2)〜(5)において、Zで表される酸素または硫黄原子、あるいは主鎖に酸素または硫黄原子を含有してもよい2価の炭化水素基としては、アルキレン基(例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等)、アルケニレン基(例えば、ビニレン基、プロペニレン基等)、アルキニレン基(例えば、エチニレン基、3−ペンチニレン基等)が挙げられ、また前記のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基の炭素原子は酸素原子や硫黄原子に置き換わっていてもよい。
上記の置換基の中でも、R1が低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)が好ましく、特に好ましく用いられるのはエチル基である。また、R7及びR8としてはプロピル基、ブチル基、フェニル基またはベンジル基が好ましく、Zは酸素または硫黄原子を含まない炭化水素基(アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基等)が好ましい。
〈分子中に2個以上のオキセタン環を有する化合物〉
また、本発明では、下記一般式(6)、(7)で表されるような分子中に2個以上のオキセタン環を有する化合物を用いることができる。
Figure 2009197156
式中、Zは前記一般式(2)〜(5)において用いられる基と同義であり、mは2、3または4を表す。R1〜R6は水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)またはフリル基を表す。但し、一般式(6)においては、R3〜R6の少なくとも一つは置換基である。
式中、R9は炭素数1〜12の線形または分岐アルキレン基、線形または分岐ポリ(アルキレンオキシ)基、または下記一般式(9)、(11)及び(12)からなる群から選択される2価の基を表す。
上記の炭素数1〜12の分岐アルキレン基の一例としては、下記一般式(8)で表されるアルキレン基が好ましく用いられる。
Figure 2009197156
式中、R10は低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
Figure 2009197156
式中、nは0または1〜2000の整数を表し、R12は炭素数1〜10個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等)を表し、R11は炭素数1〜10個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等)または下記一般式(10)で表される基を表す。
Figure 2009197156
式中、jは0または1〜100の整数を表し、R13は炭素数1〜10個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等)を表す。
Figure 2009197156
式中、R14は水素原子、炭素数1〜10個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等)、炭素数1〜10個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、アルコキシカルボニル基((例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)またはカルボキシル基を表す。
Figure 2009197156
式中、R15は酸素原子、硫黄原子、−NH−、−SO−、−SO2−、−CH2−、−C(CH32−、または、−C(CF32−を表す。
本発明で使用されるオキセタン環を有する化合物の好ましい部分構造の態様としては、例えば、上記一般式(6)、(7)において、R1が低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)であることが好ましく、特に好ましくはエチル基である。また、R9としてはヘキサメチレン基、または上記一般式(11)において、R14が水素原子であるものが好ましく用いられる。
上記一般式(8)において、R10がエチル基、R12及びR13がメチル基、Zが酸素または硫黄原子を含まない炭化水素基が好ましい。
更に、本発明に係るオキセタン環を有する化合物の好ましい態様の一例としては、下記一般式(13)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009197156
式中、rは25〜200の整数であり、R16は炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)またはトリアルキルシリル基を表す。R1、R3、R5、R6は、上記一般式(1)においてR1〜R6で表される置換基と同義である。但し、R3〜R6の少なくとも一つは置換基である。
以下、本発明に係る2位が置換されているオキセタン環を有する化合物の具体例を例示化合物1〜15として示すが、本発明はこれらに限定されない。
1:trans−3−tert−ブチル−2−フェニルオキセタン
2:3,3,4,4−テトラメチル−2,2−ジフェニルオキセタン
3:ジ[3−エチル(2−メトキシ−3−オキセタニル)]メチルエーテル
4:1,4−ビス(2,3,4,4−テトラメチル−3−エチル−オキセタニル)ブタン
5:1,4−ビス(3−メチル−3−エチルオキセタニル)ブタン
6:ジ(3,4,4−トリメチル−3−エチルオキセタニル)メチルエーテル
7:3−(2−エチル−ヘキシルオキシメチル)−2,2,3,4−テトラメチルオキセタン
8:2−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−2,3,3,4,4−ペンタメチル−オキセタン
9:4,4′−ビス[(2,4−ジメチル−3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ビフェニル
10:1,7−ビス(2,3,3,4,4−ペンタメチル−オキセタニル)ヘプタン)
11:オキセタニル・シルセスキオキサン
12:2−メトキシ−3,3−ジメチルオキセタン
13:2,2,3,3−テトラメチルオキセタン
14:2−(4−メトキシフェニル)−3,3−ジメチルオキセタン
15:ジ(2−(4−メトキシフェニル)−3−メチルオキセタン−3−イル)エーテル
本発明に係る少なくとも2位が置換されているオキセタン環を有する化合物の合成は、下記に記載の文献を参考に合成することができる。
(1)Hu Xianming,Richard M.Kellogg,Synthesis,533〜538,May(1995)
(2)A.O.Fitton,J.Hill,D.Ejane,R.Miller,Synth.,12,1140(1987)
(3)Toshiro Imai and Shinya Nishida,Can. J.Chem.Vol.59,2503〜2509(1981)
(4)Nobujiro Shimizu,Shintaro Yamaoka,and Yuho Tsuno,Bull.Chem.Soc.Jpn.,56,3853〜3854(1983)
(5)Walter Fisher and Cyril A.Grob,Helv.Chim.Acta.,61,2336(1978)
(6)Chem.Ber.101,1850(1968)
(7)“Heterocyclic Compounds with Three− and Four−membered Rings”,Part Two,Chapter IX,Interscience Publishers,John Wiley&Sons,New York(1964)
(8)Bull.Chem.Soc.Jpn.,61,1653(1988)
(9)Pure Appl.Chem.,A29(10),915(1992)
(10)Pure Appl.Chem.,A30(2&3),189(1993)
(11)特開平6−16804号公報
(12)ドイツ特許第1,021,858号明細書
本発明に係る少なくとも2位が置換されているオキセタン環を有する化合物のカチオン重合性インク中の含有量は、1〜97質量%が好ましくは、より好ましくは30〜95質量%である。
〈オキセタン化合物とその他のモノマーとの併用〉
また、本発明に係る少なくとも2位が置換されているオキセタン環を有する化合物は、単独で用いてもよいが、構造の異なる2種を併用してもよく、また、後述する、光重合性モノマーや重合性モノマー等の光重合性化合物等を併用して使用することができる。併用する場合、混合比は少なくとも2位が置換されているオキセタン環を有する化合物が混合物中、10〜98質量%になるように調整することが好ましく、またその他の光重合性モノマーや重合性モノマー等の光重合性化合物が2〜90質量%になるように調整することが好ましい。
〈3位のみに置換基を有するオキセタン化合物〉
本発明では、上記の2位に置換基を有するオキセタン化合物と従来公知のオキセタン化合物とを併用することができるが、中でも3位のみに置換基を有するオキセタン化合物が好ましく併用できる。
ここで、3位のみに置換基を有するオキセタン化合物としては、例えば、特開2001−220526号公報、同2001−310937号公報に紹介されているような公知のものを使用することができる。
3位のみに置換基を有する化合物としては、下記一般式(14)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2009197156
一般式(14)において、R1は水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基である。R2はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、またはエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等である。本発明で使用するオキセタン化合物としては、1個のオキセタン環を有する化合物を使用することが粘着性に優れ、低粘度で作業性に優れるため特に好ましい。
2個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(15)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 2009197156
一般式(15)において、R1は上記一般式(14)におけるそれと同様の基である。R3は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の線状または分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等の線状または分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等の線状または分枝状不飽和炭化水素基、またはカルボニル基またはカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基等である。
また、R3としては下記一般式(16)、(17)及び(18)で示される基から選択される多価基も挙げることができる。
Figure 2009197156
一般式(16)において、R4は水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシル基またはカルバモイル基である。
Figure 2009197156
一般式(17)において、R5は酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF32またはC(CH32を表す。
Figure 2009197156
一般式(18)において、R6はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。nは0〜2000の整数である。R7はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。R7としては、更に下記一般式(19)で示される基から選択される基も挙げることができる。
Figure 2009197156
一般式(19)において、R8はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。mは0〜100の整数である。
2個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
Figure 2009197156
例示化合物1は、前記一般式(15)においてR1がエチル基、R3がカルボキシル基である化合物である。また、例示化合物2は、前記一般式(15)においてR1がエチル基、R3が前記一般式(18)でR6及びR7がメチル基、nが1である化合物である。
2個のオキセタン環を有する化合物において、上記の化合物以外の好ましい例としては、下記一般式(20)で示される化合物がある。一般式(20)において、R1は前記一般式(14)のR1と同義である。
Figure 2009197156
また、3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(21)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2009197156
一般式(21)において、R1は前記一般式(14)におけるR1と同義である。R9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基または下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは3または4である。
Figure 2009197156
上記Aにおいて、R10はメチル基、エチル基またはプロピル基等の低級アルキル基である。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、例示化合物3が挙げられる。
Figure 2009197156
更に、上記説明した以外の1〜4個のオキセタン環を有する化合物の例としては、下記一般式(22)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2009197156
一般式(22)において、R8は前記一般式(19)のR8と同義である。R11はメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
本発明に係るオキセタン化合物の好ましい具体例としては、以下に示す例示化合物4、5、6がある。
Figure 2009197156
上述したオキセタン環を有する各化合物の製造方法は、特に限定されず、従来知られた方法に従えばよく、例えば、パティソン(D.B.Pattison,J.Am.Chem.Soc.,3455,79(1957))が開示している、ジオールからのオキセタン環合成法等がある。また、これら以外にも、分子量1000〜5000程度の高分子量を有する1〜4個のオキセタン環を有する化合物も挙げられる。これらの具体的化合物例としては、以下の例示化合物7、8、9が挙げられる。
Figure 2009197156
(エポキシ化合物)
本発明に係るエポキシ化合物としては、エポキシ基を有する化合物のモノマー及びそのオリゴマーのいずれも使用できる。具体的には、従来公知の芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物及び脂肪族エポキシ化合物が挙げられる。なお、以下エポキシ化合物とは、モノマーまたはそのオリゴマーを意味する。本発明におけるオリゴマーとしては、低分子量の化合物が好ましく、分子量が1000未満のオリゴマーがより好ましい。
芳香族エポキシ化合物として好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物としては、少なくとも1個のシクロヘキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましく、具体例としては、以下に示す化合物等が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物の好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
更に、これらの化合物の他に、分子内に1個のオキシラン環を有するモノマーである脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル及びフェノール、クレゾールのモノグリシジルエーテル等も用いることができる。これらのエポキシ化合物のうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物が好ましく、特に脂環式エポキシ化合物が好ましい。本発明では、上記エポキシ化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明で好ましく用いることできるエポキシ化合物の具体例を以下に挙げる。
Figure 2009197156
Figure 2009197156
Figure 2009197156
脂環式エポキシ化合物の添加量としては、10〜80質量%含有することが好ましい。10質量%未満であると硬化環境(温度、湿度)により硬化性が著しく変わってしまい使えない。80質量%を超えると、硬化後の膜物性が弱く使えない。本発明では、脂環式エポキシ化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、これらの脂環式エポキシ化合物はその製法は問わないが、例えば、丸善KK出版、第四版実験化学講座20有機合成II、213〜、平成4年、Ed.by Alfred Hasfner,The chemistry of heterocyclic compounds−Small Ring Heterocycles part3 Oxiranes,John&Wiley and Sons,An Interscience Publication,New York,1985、吉村、接着、29巻12号、32、1985、吉村、接着、30巻5号、42、1986、吉村、接着、30巻7号、42、1986、特開平11−100378号、特許2906245号、特許2926262号の各公報等の文献を参考にして合成できる。
本発明に係るカチオン重合性組成物においては、エポキシ化合物として、エポキシ化脂肪酸エステルまたはエポキシ化脂肪酸グリセライドを含有する。
エポキシ化脂肪酸エステルまたはエポキシ化脂肪酸グリセライドをオキセタン化合物/脂環式エポキシ化合物の系に併用することにより、AMES及び感作性、皮膚刺激性、臭気等の安全・環境の観点で好ましいだけでなく、硬化環境(温度、湿度)により硬化収縮による皺の発生、硬化性・吐出性の不良等の従来からの問題点を解決することができる。
本発明で用いることのできるエポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ化脂肪酸グリセライドとしては、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセライドにエポキシ基を導入したものであれば、特に制限はなく用いられる。
エポキシ化脂肪酸エステルは、オレイン酸エステルをエポキシ化して製造されたもので、エポキシステアリン酸メチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル等が用いられる。また、エポキシ化脂肪酸グリセライドは、同様に大豆油、アマニ油、ヒマシ油等をエポキシ化して製造されたもので、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ヒマシ油等が用いられる。
(ビニルエーテル化合物)
本発明で用いることのできるビニルエーテル化合物としては、例えばエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、i−プロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物の内、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
〔カチオン重合開始剤〕
本発明に係るカチオン重合性インクにおいて、カチオン重合開始剤(単に光重合開始剤ともいう。)としてオニウム塩を用いることができる。オニウム塩としては、スルホニウム塩、オキソニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。
本発明でカチオン重合開始剤として用いられるスルホニウム塩としては、下記一般式〔1〕〜〔4〕で表されるスルホニウム塩化合物が好ましい。
Figure 2009197156
上記一般式〔1〕〜〔4〕において、R31〜R47はそれぞれ水素原子、または置換基を表し、R31〜R33が同時に水素原子を表すことがなく、R34〜R37が同時に水素原子を表すことがなく、R38〜R41が同時に水素原子を表すことがなく、R42〜R47が同時に水素原子を表すことはない。
31〜R47で表される置換基としては、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピル基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基等のアルコキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、デシルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンゾイルオキシ基等のカルボニル基、フェニルチオ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基等を挙げることができる。
31は、非求核性のアニオン残基を表し、例えば、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子、B(C654、R18COO、R19SO3、SbF6、AsF6、PF6、BF4等を挙げることができる。ただし、R18及びR19は、それぞれメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基等で置換されていてもよいアルキル基もしくはフェニル基を表す。この中でも、安全性の観点からB(C654、PF6が好ましい。
上記化合物は、THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN Voi.71 No.11,1998年、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、に記載の光酸発生剤と同様、公知の方法にて容易に合成することができる。
本発明においては、前記一般式〔1〕〜〔4〕で表されるスルホニウム塩が、下記一般式〔5〕〜〔13〕から選ばれるスルホニウム塩の少なくとも1種であることが、特に好ましい。X31は非求核性のアニオン残基を表し、前述と同様である。
Figure 2009197156
本発明においては、一般式〔1〕〜〔4〕で表されるスルホニウム塩が、前記一般式〔5〕〜〔13〕から選ばれるスルホニウム塩の少なくとも1種であることが特に好ましい。Xは非求核性のアニオン残基を表し、前述と同様である。
ヨードニウム塩を含めた例示化合物としては、前記〔5〕〜〔13〕式のX=PF6の他に下記の化合物が挙げられる。
Figure 2009197156
Figure 2009197156
Figure 2009197156
本発明に係るカチオン重合性組成物において、光重合開始剤として、オニウム塩を1質量%以上〜5質量%未満含有することが好ましい。
〔色材〕
本発明に係る光重合性化合物を含有してなるインクは色材として顔料を含有することが好ましい。本発明で好ましく用いることのできる顔料を、以下に列挙する。
C.I Pigment Yellow−1、3、12、13、14、17、42、74、81、83、87、93、95、109、120、128、138、139、151、166、180、185
C.I Pigment Orange−16、36、38
C.I Pigment Red−5、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57:1、63:1、101、122、144、146、177、185
C.I Pigment Violet−19、23
C.I Pigment Blue−15:1、15:3、15:4、18、60、27、29
C.I Pigment Green−7、36
C.I Pigment White−6、18、21
C.I Pigment Black−7
上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。分散媒体は光重合性化合物、その中でも最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
顔料の分散は顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。この粒径管理によってヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持することができる。
本発明に係る活性光線硬化型インクにおいては、色材濃度としてはインク全体の1質量%乃至10質量%であることが好ましい。
顔料分散剤としては、塩基性のアンカー部を有するものを用いることが好ましく、且つ櫛形構造を有する高分子分散剤を用いることが更に好ましい。
本発明で用いることのできる顔料分散剤の具体例としては、Avecia社製ソルスパース9000、同17000、同18000、同19000、同20000、同24000SC、同24000GR、同28000、同32000、味の素ファインテクノ社製アジスパーPB821、同PB822、楠本化成社製PLAAD ED214、同ED251、DISPARLON DA−325、同DA−234、EFKA社製EFKA−5207、同5244、同6220、同6225等が挙げられる。また、顔料分散剤と併せて顔料誘導体(シナジスト)を用いることができる、顔料誘導体の具体例としては、Avecia社製ソルスパース5000、同12000、同22000、EFKA社製EFKA−6746、同6750等が挙げられる。
〔インク粘度〕
本発明のカチオン重合型インクジェットインクは、25℃における粘度が10mPa・s以上50mPa・s未満であることが好ましい。10mPa・s以上であることで本発明の効果を得ることができて好ましい。また、50mPa・s未満であると吐出性の点から好ましい。
《記録材料》
本発明で用いることができる記録媒体としては、様々な記録媒体を用いることができ、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチックおよびそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、延伸ポリスチレン(OPS)フィルム、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、延伸ナイロン(ONy)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等を挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、ポリビニルアルコール(PVA)、ゴム類などが使用できる。また、金属類や、ガラス類にも適用可能である。これらの記録媒体の中でも、特に熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムへ画像を形成する場合に本発明の構成は、有効となる。これらの基材は、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいばかりでなく、インク膜が基材の収縮に追従し難い。
これらの各種プラスチックフィルムの表面エネルギーは大きく異なり、記録媒体によっては、インク着弾後のドット径が変わってしまうことが、従来から問題となっていた。本発明に係るインクは、表面エネルギーの低いOPPフィルム、OPSフィルムや表面エネルギーの比較的大きいPETまでを含む、表面エネルギーが35〜60mN/mの広範囲な記録媒体に良好な高精細な画像を形成できる。
本発明において、包装の費用や生産コスト等の記録媒体のコスト、プリントの作製効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺(ウェブ)な記録媒体を使用する方が有利である。
《インクジェット記録方法》
次に、本発明のインクジェット記録方法について説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のカチオン重合型インクジェットインクを、インクジェットプリンタを用いたインクジェット記録方式により記録媒体上に吐出、描画し、次いで紫外線などの活性光線を照射してインクを硬化させる方法である。
(インク着弾後の総インク膜厚)
本発明では、記録媒体上にインクが着弾し、活性光線を照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜25μmであることが好ましい。スクリーン印刷分野の活性光線硬化型インクジェット記録では、総インク膜厚が25μmを越えているのが現状であるが、記録媒体が薄いプラスチック材料であることが多い軟包装印刷分野では、前述した記録媒体のカール・皺の問題でだけでなく、印刷物全体のこし・質感が変わってしまうという問題が有るため、過剰な膜厚のインク吐出は好ましくない。
尚、ここで「総インク膜厚」とは記録媒体に描画されたインクの膜厚の最大値を意味し、単色でも、それ以外の2色重ね(2次色)、3色重ね、4色重ね(白インクベース)のインクジェット記録方式で記録を行った場合でも総インク膜厚の意味するところは同様である。
(インクの吐出条件)
インクの吐出条件としては、記録ヘッド及びインクを35〜100℃に加熱し、吐出することが吐出安定性の点で好ましい。活性光線硬化型インクは温度変動による粘度変動幅が大きく、粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度を上げながらその温度を一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅としては、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃である。また、本発明では、各ノズルより吐出する液滴量が2〜15plであることが好ましい。
(インク着弾後の光照射条件)
本発明のインクジェット記録方法においては、活性光線の照射条件として、インク着弾後0.001秒〜1秒の間に活性光線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001秒〜0.5秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングが出来るだけ早いことが特に重要となる。
本発明のインクジェット記録方法は、インク組成物を記録媒体に付着させた後に、光照射を行う。光照射は可視光照射、紫外線照射であってもよく、特に紫外線照射が好ましい。紫外線照射を行う場合、紫外線照射量は100mJ/cm2以上、好ましくは500mJ/cm2以上であり、また10,000mJ/cm2以下、好ましくは5,000mJ/cm2以下の範囲で行う。かかる程度の範囲内における紫外線照射量であれば、十分硬化反応を行うことができ、また紫外線照射によって着色剤が退色してしまうことも防止できるので有利である。紫外線照射はメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等のランプが挙げられる。例えば、Fusion System社製のHランプ、Dランプ、Vランプ等の市販されているものを用いて行うことができる。
メタルハライドランプは高圧水銀ランプ(主波長は365nm)に比べてスペクトルが連続しており、200〜450nmの範囲で発光効率が高く、且つ長波長域が豊富である。従って、色材として顔料を使用している本発明の活性光線硬化型インクジェットインクでは、メタルハライドランプが適している。
活性光線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号公報に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射はインク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号明細書では、照射方法として光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の画像形成方法においては、これらの何れの照射方法も用いることが出来る。
また、活性光線を照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2秒の間に前述の方法で活性光線を照射し、且つ全印字終了後、更に活性光線を照射する方法も好ましい態様の1つである。活性光線の照射を2段階に分けることで、よりインク硬化の際に起こる記録媒体の収縮を抑えることが可能となる。
従来、UVインクジェット方式では、インク着弾後のドット広がり、滲みを抑制のために、光源の総消費電力が1kW・hrを超える高照度の光源が用いられるのが通常であった。しかしながら、これらの光源を用いると、特にシュリンクラベルなどへの印字では、記録媒体の収縮があまりにも大きく、実質上使用出来ないのが現状であった。
本発明では、254nmの波長領域に最高照度をもつ活性光線を用いることが好ましく、総消費電力が1kW・hr以上の光源を用いても、高精細な画像を形成出来、且つ記録媒体の収縮も実用上許容レベル内に収められる。
本発明においては、更に活性光線を照射する光源の総消費電力が1kW・hr未満であることが好ましい。総消費電力が1kW・hr未満の光源の例としては、蛍光管、冷陰極管、熱陰極管、LEDなどがあるが、これらに限定されない。
(インクジェットプリンタ)
次いで、本発明のインクジェット記録方法に適用可能なインクジェットプリンタについて、図を用いて説明する。
図1は、本発明に適用可能なインクジェットプリンタのインクジェット記録ヘッド及び活性光線を照射する照射手段について示した正面図である。
記録装置1はヘッドキャリッジ2、記録ヘッド3、照射手段4、プラテン部5等を備えて構成される。この記録装置1は、記録媒体Pの下にプラテン部5が設置されている。プラテン部5は、紫外線を吸収する機能を有しており、記録媒体Pを通過してきた余分な紫外線を吸収する。その結果、高精細な画像を非常に安定に再現できる。
記録媒体Pはガイド部材6に案内され、搬送手段(図示せず)の作動により、図1における手前から奥の方向に移動する。ヘッド走査手段(図示せず)は、ヘッドキャリッジ2を図1におけるY方向に往復移動させることにより、ヘッドキャリッジ2に保持された記録ヘッド3の走査を行う。
ヘッドキャリッジ2は記録媒体Pの上側に設置され、記録媒体P上の画像印刷に用いる色の数に応じて後述する記録ヘッド3を複数個、インク吐出口1を下側に配置して収納する。ヘッドキャリッジ2は、図1におけるY方向に往復自在な形態で記録装置1本体に対して設置されており、ヘッド走査手段の駆動により、図1におけるY方向に往復移動する。
尚、図1では、ヘッドキャリッジ72が、ホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、ライトイエロー(Ly)、ライトマゼンタ(Lm)、ライトシアン(Lc)、ライトブラック(Lk)、ホワイト(W)の記録ヘッド3を収納するものとして描図を行っているが、実施の際にはヘッドキャリッジ72に収納される記録ヘッド3の色数は適宜決められるものである。
記録ヘッド3は、インク供給手段(図示せず)により供給された活性光線硬化型インク(例えば、UVインク)を、内部に複数個備えられた吐出手段(図示せず)の作動により、インク吐出口31から記録媒体Pに向けて吐出する。記録ヘッド3により吐出されるUVインクは色材、重合性モノマー、開始剤等を含んで組成されており、紫外線の照射を受けることで開始剤が触媒として作用することに伴なうモノマーの架橋、重合反応によって硬化する性質を有する。
記録ヘッド3は記録媒体Pの一端からヘッド走査手段の駆動により、図1におけるY方向に記録媒体Pの他端まで移動するという走査の間に、記録媒体Pにおける一定の領域(着弾可能領域)に対してUVインクをインク滴として吐出し、該着弾可能領域にインク滴を着弾させる。
上記走査を適宜回数行い、1領域の着弾可能領域に向けてUVインクの吐出を行った後、搬送手段で記録媒体Pを図1における手前から奥方向に適宜移動させ、再びヘッド走査手段による走査を行いながら、記録ヘッド3により上記着弾可能領域に対し、図1における奥方向に隣接した次の着弾可能領域に対してUVインクの吐出を行う。
上述の操作を繰り返し、ヘッド走査手段及び搬送手段と連動して記録ヘッド3からUVインクを吐出することにより、記録媒体P上に画像が形成される。
照射手段4は特定の波長領域の紫外線を安定した露光エネルギーで発光する紫外線ランプ及び特定の波長の紫外線を透過するフィルターを備えて構成される。ここで、紫外線ランプとしては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザー、紫外線レーザー、冷陰極管、熱陰極管、ブラックライト、LED(Light Emitting Diode)等が適用可能であり、帯状のメタルハライドランプ、冷陰極管、熱陰極管、水銀ランプもしくはブラックライトが好ましい。特に波長254nmの紫外線を発光する低圧水銀ランプ、熱陰極管、冷陰極管及び殺菌灯が滲み防止、ドット径制御を効率よく行え、好ましい。ブラックライトを照射手段4の放射線源に用いることで、UVインクを硬化するための照射手段4を安価に作製することができる。
照射手段4は、記録ヘッド3がヘッド走査手段の駆動による1回の走査によってUVインクを吐出する着弾可能領域のうち、記録装置(UVインクジェットプリンタ)1で設定できる最大のものとほぼ同じ形状か、着弾可能領域よりも大きな形状を有する。
照射手段4はヘッドキャリッジ2の両脇に、記録媒体Pに対してほぼ平行に、固定して設置される。
前述したようにインク吐出部の照度を調整する手段としては、記録ヘッド3全体を遮光することはもちろんであるが、加えて照射手段4と記録媒体Pの距離h1より、記録ヘッド3のインク吐出口31と記録媒体Pとの距離h2を大きくしたり(h1<h2)、記録ヘッド3と照射手段4との距離dを離したり(dを大きく)することが有効である。また、記録ヘッド3と照射手段4の間を蛇腹構造7にすると更に好ましい。
ここで、照射手段4で照射される紫外線の波長は、照射手段4に備えられた紫外線ランプ又はフィルターを交換することで適宜変更することができる。
本発明に係るインクジェットプリンタでは、ラインヘッド方式のインクジェットプリンタを用いて画像形成するが好ましい。
図2は、ラインヘッド方式のインクジェットプリンタの要部の構成の一例を示す上面図である。図2で示したインクジェット記録装置はラインヘッド方式と呼ばれており、ヘッドキャリッジ2に、各色のインクジェット記録ヘッド3を、記録媒体Pの全幅をカバーするようにして、複数個、固定配置されている。
一方、ヘッドキャリッジ2の下流側には、同じく記録媒体Pの全幅をカバーするようにして、インク印字面全域をカバーするように配置されている照射手段4が設けられている。照明手段4に用いられる紫外線ランプは、図1に記載したのと同様のものを用いることができる。
このラインヘッド方式では、ヘッドキャリッジ2及び照射手段4は固定され、記録媒体Pのみが、搬送されて、インク出射及び硬化を行って画像形成を行う。なお、本発明において、記録媒体Pは35〜60℃に加温することが望ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の合成》
〔塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体A〜Fの合成〕
特開2001−114839号公報の実施例1及び実施例6、特開平11−21319号公報の実施例1(合成例8)及び特開平10−67826号公報の実施例(合成例14)にそれぞれ記載の懸濁重合法に準じ、モノマー種、モノマー比率および反応時間を適宜変更し、表1に記載の数平均分子量を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体A〜Fを合成した。
〔塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体Gの合成〕
特開平6−340715号公報の実施例に記載の溶液重合法に準じて、数平均分子量が18000の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体Gを合成した。
《ブラック顔料分散液の調製》
以下に記載の方法に従って、ブラック顔料分散液を調製した。
以下2種の化合物をステンレスビーカーに入れ、65℃ホットプレート上で加熱しながら1時間加熱撹拌溶解した。
PB822(味の素ファインテクノ社製分散剤) 9部
OXT−221(東亞合成社製、オキセタン化合物、2官能) 71部
室温まで冷却した後、これに下記顔料20部を加えて、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共に樹脂瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて10時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去した。
顔料:Pigment Black 7(三菱化学社製、#52)
《インクの調製》
〔インク1の調製〕
下記に示す各構成材料を混合した後、ADVATEC社製のテフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過を行って、インク1を調製した。
ブラック顔料分散液 12.5部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体A(数平均分子量18000、懸濁重合法により合成) 0.2部
カチオン重合性モノマー:セロキサイド3000(ダイセル化学工業社製、エポキシ化合物) 32.5部
カチオン重合性モノマー:OXT−221(東亞合成社製、オキセタン化合物、2官能) 49.8部
光重合開始剤:UVI6992(ダウ・ケミカル社製、プロピオンカーボネート50%液) 5.0部
〔インク2〜14の調製〕
上記インク1の調製において、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体Aに代えて、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の種類及び添加量を表1に記載のように変更した以外は同様にして、インク2〜14を調製した。なお、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の添加量変化に伴い、総量が100部となるように、OXT−221の添加量を調整した。
〔インク15の調製〕
下記に示す各構成材料を混合した後、ADVATEC社製のテフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過を行って、インク15を調製した。
ブラック顔料分散液 12.5部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体G(数平均分子量18000、溶液重合法により合成) 1.0部
カチオン重合性モノマー:DVE−3(トリエチレングリコールジビニルエーテル、ISP社製) 32.5部
カチオン重合性モノマー:OXT−221(東亞合成社製、オキセタン化合物、2官能) 49.0部
光重合開始剤:UVI6992(ダウ・ケミカル社製、プロピオンカーボネート50%液) 5.0部
〔インク16の調製〕
下記に示す各構成材料を混合した後、ADVATEC社製のテフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過を行って、インク16を調製した。
ブラック顔料分散液 12.5部
カチオン重合性モノマー:セロキサイド3000(ダイセル化学工業社製、エポキシ化合物) 32.5部
カチオン重合性モノマー:OXT−221(東亞合成社製、オキセタン化合物、2官能) 50.0部
光重合開始剤:UVI6992(ダウ・ケミカル社製、プロピオンカーボネート50%液) 5.0部
《インクジェット画像記録》
インクジェットプリンタとして1ヘッド当たりのノズル数が512で、計6ヘッドから構成されるワンパスインクジェットプリントユニットSP−2130(コニカミノルタIJ社製)を用いて、各インクを記録媒体搬送速度を30m/minに設定して黒ベタ画像を印字した。記録媒体にインクを着弾させた後、HAP200NL(ジーエスユアサ社)を用いて標準的な照射量よりかなり低めの30mJ/cm2の照射量で紫外線照射を行って、黒ベタ画像を硬化させた。なお、記録媒体としては、ポリプロピレン製であるユポ80(UV)(リンテック社)を使用した。
《インクジェットプリンタ及び形成画像の評価》
〔吐出安定性の評価〕
上記インクジェットプリンタを用いて、23℃、50%RHの環境下で連続50時間の出射を行った後、各ノズルの吐出状態を目視観察し、下記の基準に従って吐出安定性を評価した。
◎:ノズル欠及び出射曲がりの発生が認められない
○:出射曲がりが、わずかに認められる
△:ノズル欠の発生は認められないが、出射曲がりのあるノズルが数カ所で認められる
×:ノズル欠または出射曲がりが多発し、実用に耐えない
〔密着性の評価〕
記録媒体の印字し、紫外線照射により硬化した各黒ベタ画像表面を、硬化直後、1時間後、3時間後に爪で擦って形成した画像の剥離の有無を測定し、下記の基準に従って密着性の評価を行った。
◎:硬化直後でも、画像の剥離は認められない
○:硬化直後は僅かに画像剥離が認められるが、保存1時間後は全く剥がれない
△:硬化直後、保存1時間後は画像剥離が認められるが、3時間後は全く剥がれない
×:硬化3時間後でも、明らかな画像剥離が認められる
〔スジムラ耐性の評価〕
形成した黒ベタ画像のスジ(印字ムラ)の発生状態を目視観察し、下記の基準に従ってスジムラ耐性の評価を行った。
◎:スジムラの発生が全く認められない
○:ごく弱いスジムラが認められるが、ほぼ均一の画像である
△:弱いスジムラの発生が認められるが、実用上許容できる品質である
×:強いスジムラが発生し、記録媒体表面が見える状態で、実用に耐えない品質である
なお、インク8及びインク13を用いた画像形成において、インクの吐出性が著しく低下し、均一な黒ベタ画像を形成することができなかったため、密着性及びスジムラ耐性の評価を行うことができなかった。
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2009197156
表1に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する特性を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を含有したインクは、比較例に対し、インクジェットプリンタでの吐出安定性に優れ、非吸収性記録媒体上に形成した画像の密着性及びスジムラ耐性に優れていることが分かる。
本発明に適用可能なインクジェットプリンタの要部の構成の一例を示す正面図である。 ラインヘッド方式のインクジェットプリンタの要部の構成の一例を示す上面図である。
符号の説明
1 記録装置
2 ヘッドキャリッジ
3 記録ヘッド
31 インク吐出口
4 照射手段
5 プラテン部
6 ガイド部材
7 蛇腹構造
8 照射光源
P 記録材料

Claims (7)

  1. 少なくとも1種の光酸発生剤、カチオン重合性モノマー及び顔料を含有するカチオン重合型インクジェットインクにおいて、数平均分子量が14000以上、25000以下の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を0.3質量%以上、5.0質量%以下含有することを特徴とするカチオン重合型インクジェットインク。
  2. 前記塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体が、溶液重合法により調製されたことを特徴とする請求項1に記載のカチオン重合型インクジェットインク。
  3. 前記カチオン重合性モノマーとしてオキセタン環を有する化合物及びエポキシ化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のカチオン重合型インクジェットインク。
  4. 前記カチオン重合性モノマーとしてビニルエーテル化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカチオン重合型インクジェットインク。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のカチオン重合型インクジェットインクを、インクジェットプリンタにより、記録媒体上に射出した後、活性光線を照射して画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
  6. 前記インクジェットプリンタが、ラインヘッド方式のインクジェットプリンタであることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記記録媒体は、非吸収性記録媒体であることを特徴とする請求項5または6に記載のインクジェット記録方法。
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