JP4579001B2 - アクリルゴム製コネクタ用パッキン - Google Patents
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Description
しかし、アクリルゴム材料は、それ自体は絶縁性を示すものの、他のゴム材料に比べて導電しやすい材料であることから次の問題がある。
温耐油性を有しつつ、高い絶縁性などを示すことを見出して本発明を完成するに至った。
ステアリン酸ナトリウム、2,4,6−トリメルカプトトリアジンを含む加硫性組成物を混練し、プレス加硫してなるコネクタパッキンや、より好ましい態様ではシロキサン変性アクリルエラストマー加硫物を用いたコネクタパッキン等が例示されている。
塩素系未加硫アクリルゴムと、
該未加硫アクリルゴム100重量部に対し、
クレー5〜30重量部、シリカ10〜50重量部、ファーネスブラック1〜20重量部、サーマルブラック5〜30重量部、(メタ)アクリロキシ基を有するシランカップリング剤0.3〜10重量部、及びトリアジン系加硫剤0.5〜10重量部を含む未加硫アクリルゴム組成物を
加硫成形してなることを特徴としている。
この未加硫アクリルゴム組成物は、塩素系未加硫アクリルゴムと、
該未加硫アクリルゴム100重量部に対し、
クレー5〜30重量部、シリカ10〜50重量部、ファーネスブラック1〜20重量部、サーマルブラック5〜30重量部、(メタ)アクリロキシ基を有するシランカップリング剤0.3〜10重量部、及びトリアジン系加硫剤0.5〜10重量部を含むことを特徴としている。
本発明に係るアクリルゴム製コネクタ用パッキンは、下記の架橋可能な未加硫アクリルゴム組成物を、所望形状に加硫成形してなる。
この未加硫アクリルゴム組成物には、塩素系未加硫アクリルゴムと、クレーと、シリカと、ファーネスブラックと、サーマルブラックと、シランカップリング剤と、トリアジン系加硫剤とが含まれている。
<塩素系未加硫アクリルゴム>
本発明で用いられる未加硫アクリルゴム組成物には、未加硫で架橋性のベースゴム成分として、塩素系未加硫アクリルゴムが含まれているので、この未加硫アクリルゴム組成物を加硫すれば、耐熱・耐油性に優れ、高温油に曝された状況においても優れた耐性を示し、エンジン周辺部等であっても好適に使用可能なコネクタパッキンが低コストで得られる。
このような未加硫塩素系アクリルゴムとして、具体的には、日本メクトロン社製の「ノックスタイト(商品名)」、日本ゼオン社の「ニポール(商品名)」、東亜ペイントの「トアアクロン(商品名)」などがある。
<充填材、加硫剤、その他の配合成分>
上記したように、本発明に係るコネクタ用パッキン形成用の未加硫アクリルゴム組成物には、上記未加硫アクリルゴム成分の他に、充填材として、クレーと、シリカと、黒色充填材の1種であるカーボンブラックのうちのファーネスブラックとサーマルブラックとが
含まれ、また、特定のシランカップリング剤とトリアジン系加硫剤とが含まれている。
以下にその理由を詳説する。
ダーの抵抗値を示す。よって、シール性確保のために通常必要とされるような量で導電性のカーボンブラックなどを充填材として用いると、得られるアクリルゴム系のコネクタ用パッキンなどの成形体は導電性をも有してしまうこととなる。
(クレー)
クレートは、珪酸アルミニウムを主成分とし、通常、白色を呈することが多い。
(シリカ)
本発明におけるシリカは、得られるアクリルゴム製コネクタ用パッキンに絶縁性を付与し、また機械的特性を付与するために用いられる。本発明の場合、絶縁性を確保する上では、カーボンブラック等の通電しやすい充填材は多量に配合できない。そのため補強性を
所望レベルまで向上させるために、一部シリカを配合することでカーボンブラックの代用をさせる。ただし、シリカの硬度は一般のカーボンに比べても高く、絶縁性や機械的強度を付与するためにもし多量に配合すると、得られるパッキンの硬度が高くなりすぎることになる。また硬度を所望の値に設定しようとすると、シリカはあまり多く配合できないため、必要な絶縁性を付与できないという問題が生じる。これらの点を考慮すると、シリカは、塩素系未加硫アクリルゴム100重量部に対して、通常10〜50重量部、好ましくは10〜40重量部の量で用いられる。
(シランカップリング剤)
本発明におけるシランカップリング剤は、一般式(A):「XnSiY4-n」(X:有機質と反応性の基であり、Yは加水分解性基であり、n:1〜3の整数を示す。)で表される化合物であって、通常では結合しにくい有機質材料と無機質材料(特に白色系の補強材であるクレーなど)とのバインダーとしての機能を有する。なお、カーボンブラックはゴム成分との接着性が良好であるため、カーボンブラックとの関係では、シランカップリング剤は、必ずしも必要とされない。
解性基(Y)としては、例えば、「−OR」(R:C1〜10、好ましくはC1〜5のアルキル基)、−Cl、−NR2(R:同上)などが挙げられる。
上記シランカップリング剤としては、例えば、アミノシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン{CH2=C(CH3)COO(CH2)3 Si(OCH3)3}、ビニルトリアセトキシシラン{CH2=CHSi(OCOCH3)3}、ビニル−トリス(
β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルメトキシシラン等が挙げられ、(メタ)アクリロキシ基を有するシランカップリング剤が好ましい。
(カーボンブラック)
カーボンブラックは、絶縁性のパッキンを製造する上では、本来使用しないのが好ましいが、充填材のカーボンブラック全量を白色充填材で置換したパッキンに比べて、カーボンブラックを所望量で配合してなるパッキンは機械的特性に優れており、圧縮永久歪も良好であるため、絶縁性に悪影響を及ぼさない範囲で配合される。
本発明におけるカーボンブラックとしては、通電しにくいことが望ましい条件に挙げられる。粒子径の小さいカーボンブラックは凝集しやすく、擬似ポリマー構造をとることにより通電しやすくなるという問題がある。
平均粒子径450〜556μmφ]とを併用することが望ましい。
その他薬品について
(加硫剤)
本発明において加硫剤としては、トリアジン加硫剤を選択することが必要である。なお、加硫剤としては、一般に、石鹸、硫黄、トリアジン、ジアミン系、カルバメート系、有機カルボン酸アンモニウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられ、1種もしくは2種以上組合わせて使用されているが、本発明では、アクリルゴムとして活性塩素系のものを用い
ているため、パッキンに優れた圧縮永久歪みを付与する上でトリアジン系加硫剤を用いることが必要である。
(可塑剤、老化防止剤等)
本発明において必要により用いられる可塑剤は、加工性の改善、低温性の改善に寄与でき、本発明においても、適宜使用することが望ましい。
[未加硫アクリルゴム組成物及びコネクタ用パッキンの調製]
本発明に係る上記未加硫アクリルゴム組成物は、上記配合成分を上記量で用いて、これら成分を一度に、あるいは任意の添加順序で少しづつ添加して調製できる。その際には、ゴム組成物を調製する際に通常用いられる一般的製造装置を用いて調製してもよい。例えば、ロール混練り機、加圧ニーダー、インターナルミキサー(バンバリーミキサー)を用いることが可能である。混練り温度は、常温附近が好ましい。得られたアクリルゴム組成物は、一般のゴム組成物同様に例えば、100〜200℃の加熱温度で、約0.5〜120分程度の時間で加熱されつつ、加圧成形法、射出成形法等により、所望の形状のコネクタ用パッキンに成形することが可能である。
このようにして得られた本発明に係るコネクタ用パッキンは、常態物性(引張強さ、破断伸び、硬度)、圧縮永久歪み、電気絶縁性の何れの特性も優れ、しかもこれら特性のバランスがよい。そのためこのパッキンは、上記したような用途に好適に使用できる。
り望ましい。
ためのパッキン、絶縁チューブのシール性を確保するためのパッキン、自動車などの燃料油、潤滑油などのオイル(油)が近接して存在し、絶縁性などが要求される部位などが挙げられる。
[実施例]
以下、本発明について実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は係る実施例により何ら限定されるものではない。
<(イ)試験片の作成>
表1に示す実施例1の配合処方に従い、各実施例、比較例ともアクリルゴム組成物を配合し、各種物性を測定、評価した。
ルブラック、ファーネスブラック、シランカップリング剤及びトリアジン系加硫剤、を所定量秤量し、ロール混練り機(ロール混練り機:関西ロール(株)製、型番:8インチロール)にて配合する。この時、混練り条件は25℃、ロール回転速度は20rpm、配合時間は30minにて実施した。
<(ロ)評価試験方法>
(i)常態物性試験:25℃条件下、引張強さ、破断伸び、硬度を測定する。硬度はデュロメータタイプA硬さ試験にて測定。JISK6251、6253に準拠。
(ii)圧縮永久歪み試験:150℃×72時間、圧縮率25%、φ29×12.5ディスク使用。JISK6262準拠。
(iii)電気絶縁性測定:アクリルゴム組成物の絶縁性を確認する。表面抵抗率及び体積抵
抗率を測定する。50mm×2mm厚シートを用いる。
(iv)製品表面形状:製品の表面状態を目視で判断する。良と劣の2段階で判断する。190mm×150mm×2mm厚のシートを成形し表面状態を確認する。表面に何らかの凹凸、またはその他の異常が確認された場合を劣とする。
(イ)アクリルゴム(活性塩素系):トウペ社製、「トアアクロンAR840」。
(ハ)クレー:加藤産商社製、「RC-32」。
(ニ)サーマルブラック:Cancarb社製、「MT (Thermax N-990)」(平均粒子径450〜556nm。
。
(ヘ)アクリロキシ系シランカップリング剤:東芝シリコーン社製、「TSL8375」。
(チ)トリアジン系加硫剤:川口化学社製、「アクターTSH」。
(リ)石鹸加硫剤:花王社製、「NSソープ」。
表1によれば、このパッキンは、優れた絶縁性はもちろんのこと、全試料中で比較例1に次いで優れた圧縮永久歪性を示している。
した。
すなわち、上記アクリルゴム100重量部にシリカ:30重量部、クレー:15重量部、サーマルブラック:15重量部、ファーネスブラック:10重量部、アクリロキシ系シランカップリング剤:3重量部、トリアジン加硫剤:1重量部、老化防止剤(ジメチルベンジルジフェニルアミン):1重量部、加工助剤(ステアリン酸):1重量部を配合し、上記方法にて試験片を作成し、各種物性を評価した。
実施例2では、実施例1に比してそのシランカップリング剤の量を増加しているだけであるが、実施例1より、圧縮永久歪が悪くなっている。ただし、まったくシランカップリング剤の配合されていない比較例4に比べ、圧縮永久歪がよくなっており、シランカップリング剤を配合することによる、改善効果は高いことが分かる。絶縁性は実施例1同様に優れ、実使用上問題ない。
した。
すなわち、上記アクリルゴム100重量部にシリカ:40重量部、クレー:10重量部、サーマルブラック:10重量部、ファーネスブラック:10重量部、アクリロキシ系シランカップリング剤:2重量部、トリアジン加硫剤:1重量部、老化防止剤(ジメチルベンジルジフェニルアミン):1重量部、加工助剤(ステアリン酸):1重量部を配合し、上記方法にて試験片を作成し、各種物性を評価した。
実施例3では、実施例1と比べると、充填材量を変量した物である。圧縮永久歪は25%と優れた値を示しているが、実施例1の19%には及ばず、充填材のバランスが圧縮永久歪性に影響を与えているということが確認できる。
[比較例1]
実施例1において、その配合組成を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様に
した。
圧縮永久歪性は全試料中で最も優れているが、絶縁抵抗が非常に低く、絶縁材料とはい
えない。
[比較例2]
実施例1において、その配合組成を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様に
した。
ファーネスブラックが多く配合されている状態で、シリカを配合し絶縁性を向上させようとしたが、まったく効果が出ず、比較例1と同様に絶縁抵抗が非常に低く、絶縁材料とはいえない。
[比較例3]
実施例1において、その配合組成を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様に
した。
比較例3では、絶縁レベルとしては、悪くはないものの、実施例に比べ、絶縁性が低く、クレー及びファーネスブラックが配合されていないことの効果が確認できる。圧縮永久歪も実施例に比べれば若干悪くなっている。
[比較例4]
実施例1において、その配合組成を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様に
した。
比較例4は、実施例1のアクリロキシシランカップリング剤が配合されていないものであるが、圧縮永久歪率が非常に悪くなり、アクリロキシシランカップリング剤の配合効果が確認できる。
[比較例5]
実施例1において、その配合組成を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様に
した。
比較例5は、実施例1のアクリロキシシランカップリング剤を6部配合したものであるが、圧縮永久歪率が非常に悪くなり、アクリロキシシランカップリング剤を配合しすぎると加硫阻害を生じやすくなると考えられる。
[比較例6]
実施例1において、その配合組成を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様に
した。
比較例6は、実施例1のアクリロキシシランカップリング剤をエポキシシランカップリング剤に変更したものであるが、比較例4に非常に近いデータが得られている。このため、エポキシシランカップリング剤では、物性の改善効果は確認できない。
[比較例7]
実施例1において、その配合組成を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様
にした。
比較例7では、絶縁性の点では高い効果が確認できたが、圧縮永久歪が全試料中で最も悪く、実使用できるレベルではない。
[比較例8]
実施例1において、その配合組成を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様に
した。
比較例8では、クレーを配合していないため、物性面は非常に良好ではあるが、表面に凹凸が見られ加工性に問題が確認された。
[比較例9]
実施例1において、その配合組成を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様に
した。
比較例9では、サーマルブラックを配合していないため、強度が若干劣り、また圧縮永久歪も悪くなる傾向が見られる。
[比較例10]
実施例1において、その配合組成を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様に
した。
比較例10では、実施例1の加硫剤をトリアジンから石鹸に変更した。
結果としては圧縮永久歪が実施例1より大幅に悪くなる傾向が確認された。
本発明によれば、優れた絶縁性を持ち且つ、耐熱性の優れたアクリルゴム系のコネクタ用パッキン、及び該パッキンを形成可能な組成物を得ることが可能である。
Claims (2)
- 塩素系未加硫アクリルゴムと、
該未加硫アクリルゴム100重量部に対し、
クレー5〜30重量部、シリカ10〜50重量部、ファーネスブラック1〜20重量部、サーマルブラック5〜30重量部、(メタ)アクリロキシ基を有するシランカップリング剤0.3〜10重量部、及びトリアジン系加硫剤0.5〜10重量部を含む未加硫アクリルゴム組成物を
加硫成形してなるアクリルゴム製コネクタ用パッキン。 - 塩素系未加硫アクリルゴムと、
該未加硫アクリルゴム100重量部に対し、
クレー5〜30重量部、シリカ10〜50重量部、ファーネスブラック1〜20重量部、サーマルブラック5〜30重量部、(メタ)アクリロキシ基を有するシランカップリング剤0.3〜10重量部、及びトリアジン系加硫剤0.5〜10重量部を含む未加硫アクリルゴム組成物。
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