JP3913731B2 - タイヤトレッド用ゴム組成物および空気入りタイヤ - Google Patents

タイヤトレッド用ゴム組成物および空気入りタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP3913731B2
JP3913731B2 JP2003413589A JP2003413589A JP3913731B2 JP 3913731 B2 JP3913731 B2 JP 3913731B2 JP 2003413589 A JP2003413589 A JP 2003413589A JP 2003413589 A JP2003413589 A JP 2003413589A JP 3913731 B2 JP3913731 B2 JP 3913731B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
rubber
rubber composition
salt
tire
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003413589A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005171095A (ja
Inventor
高幸 服部
敏生 鎌田
康久 皆川
則子 八木
清繁 村岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2003413589A priority Critical patent/JP3913731B2/ja
Publication of JP2005171095A publication Critical patent/JP2005171095A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3913731B2 publication Critical patent/JP3913731B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • Y02T10/862

Landscapes

  • Tires In General (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、高性能なタイヤトレッド用ゴム組成物、その製造方法およびそれを用いた空気入りタイヤに関する。さらに詳しくは、シリカ補強したタイヤトレッド用ゴム組成物、その製造方法、およびそれを用いた空気入りタイヤに関する。
従来からタイヤトレッド用ゴム組成物に用いる充填剤としては、カーボンブラックが用いられてきたが、近年の自動車の低燃費化という社会的要求により、カーボンブラックの一部または全部をシリカで代用し、タイヤトレッドの転がり抵抗を低減させることが行なわれている。しかしながら、カーボンブラックの配合量をある一定量以下まで減らすと、タイヤトレッドの電気伝導性が低下してしまい、タイヤやそれを装着した車に静電気が蓄積するという問題がある。静電気の蓄積は、自動車の乗り降りの際に静電気発生による不快感を与えたり、ラジオ電波受信の妨害となったり、給油時の火災の原因となるなどの問題があった(たとえば、特許文献1〜2参照)。
前述の問題を解決するために、低分子量の帯電防止剤や添加塩を用いたものが提案されている(たとえば、特許文献3〜4参照)。しかし、低分子量の化合物が架橋によってゴム組成物中に固定されないため、耐摩耗性が低下するという問題があった。また、場合によっては、ブリードやブルームを起こしてしまうという問題があった。
このため、より高分子量のポリマー型の帯電防止剤を用いたり、さらには、炭素−炭素間の二重結合などの不飽和基を導入して、加硫時にゴム組成物中に固定することを可能とする方法が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。これらの方法によれば、耐摩耗性を大きく改善することができ、とくに、導電性を付与するポリマーとして、エチレンオキシド−プロピレンオキシド−不飽和エポキシドからなるポリエーテル系共重合体(さらに詳しくは、エチレンオキシド−プロピレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合体(以下、EO−PO−AGE共重合体と略す))を用いることにより、シリカとの親和性が高くなって複合体を形成し、より少量の添加で電気抵抗値を低減し得ることが報告されている。
しかしながら、前述のようなポリマーは極性が非常に大きく、一般にタイヤトレッドに使用されるスチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、天然ゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどの低極性ゴムとの相容性が乏しいため、配合内容によっては、添加することにより、耐摩耗性が低下しやすく、未だ改善の余地がある。よって、より少量の添加で、所望の導電性を付与できるようにし、かかるポリマー型帯電防止剤の添加量を極力減らすことと、前記低極性ゴムとの相容状態を改善し、耐摩耗特性を改良することが望まれる。
また、前述のような従来の導電手法では、常温常湿環境下での帯電防止性の確保はそれなりにできるが、最も静電気の起きやすい低温低湿の環境(たとえば、冬場のよく晴れた早朝)では、電気抵抗値が大きく上昇するという問題に直面する。これにより、最も性能が要求される低温低湿の環境で、静電気が生じやすくなり、充分な静電気防止対策がとれないという問題があった。
とくに、従来の発明では、いずれも電気抵抗値の測定を、常温常湿環境下でのみ行ない、このような低温低湿環境における電気抵抗値の上昇に関しては、考慮すら行なっていない。関係各社が定める規格においても、同様に、常温常湿下での電気抵抗値を規定するのみである。ユーザーが体感する静電気の問題やラジオ電波受信妨害の問題のみならず、近年、ガソリンスタンドがセルフ化され、とくに、冬場の火災が発生しやすい時期に、かかる問題に対する配慮を積極的になされていることが求められてきている。
特開平10−147668号公報 特開2000−239445号公報 特開平10−237222号公報 特開平10−237223号公報
本発明は、耐摩耗性に非常に優れており、低燃費性にも優れ、とくに低温低湿域においても良好な帯電防止性を示し、安全性にも配慮したタイヤトレッド用ゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明は、(b)複数の炭素−炭素間の二重結合を有しエチレンオキシドの含有量が60モル%以上であるポリマーを含有する架橋可能なポリマー100重量部に対して、シリカ5〜100重量部を配合し、さらに陽イオンと陰イオンに解離可能な塩を配合してなるタイヤトレッド用ゴム組成物であって、印加電圧1000V、温度10℃および相対湿度15%における体積抵抗率が1011.5Ω・cm以下であり、かつ、印加電圧1000V、温度23℃および相対湿度55%における体積抵抗率が1011.0Ω・cm以下であるタイヤトレッド用ゴム組成物に関する。
陽イオンと陰イオンに解離可能な塩は、下記式(1)〜(4)からなる群より選ばれた化学式で表される少なくとも1種類の陰イオンを有する塩であることが好ましい。
Figure 0003913731
f3−SO3 - (2)
BF4 - (3)
および
Figure 0003913731
(式中、Rf1、Rf2、Rf3、Rf4、Rf5およびRf6は、フッ素原子を含む炭素原子数が1〜8の官能基である。)
ポリマー(b)が、エチレンオキシド−プロピレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合体、および/または、エピクロロヒドリンゴムを含有することが好ましい。
架橋可能なポリマーが、(a)低極性ゴム、(b)ポリマー、および、(c)中極性ポリマーからなり、該中極性ポリマー(c)は低極性ゴム(a)よりも高極性でありかつポリマー(b)よりは低極性であることが好ましい。
中極性ポリマー(c)は、エポキシ化天然ゴム、エポキシ化スチレンブタジエンゴム、エポキシ化ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムからなる群より選ばれるポリマーを少なくとも1種含有することが好ましい。
また、本発明は、ポリマー(b)に、陽イオンと陰イオンに解離可能な塩を混合したのち、その他の架橋可能なポリマーと混合する前記タイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法に関する。
さらに、本発明は、前記のタイヤトレッド用ゴム組成物からなる空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、最も静電気の起きやすい低温低湿の環境においても静電気による種々の問題が発生しないうえ、耐摩耗性に非常に優れ、転がり抵抗が低減され低燃費化が実現された空気入りタイヤを提供することができる。
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、架橋可能なポリマーにシリカを配合してなる。
前記架橋可能なポリマーとしては、たとえば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴムなどのタイヤトレッド用として汎用されているものを主成分として用いることができる。これらは、いずれも、溶解度パラメーター(SP値)が8.7以下[(cal/cm31/2]の低極性ゴム(a)である。これらのなかでは、得られるタイヤトレッドの機械的強度を向上させる点、耐摩耗性能を向上させる点、およびグリップ性能を向上させる点で、SBR、BR、NR、IRが好ましく、SBRがとくに好ましい。また、SBRには乳化重合SBRと溶液重合SBRがあるが、分子量、分子量分布、ブタジエン部のミクロ構造、スチレンやビニルなどの結合連鎖、分岐構造などに関して分子設計の自由度が高い点で、溶液重合SBRが特に好ましい。
シリカの配合量は、架橋可能なポリマー100重量部に対して5〜100重量部である。該配合量の下限については10重量部であることが好ましい。上限については80重量部であることが好ましく、60重量部であることがより好ましい。シリカの配合量が5重量部未満では転がり抵抗が改善されなかったり、タイヤとしての耐久性が充分に確保できなかったりする。100重量部をこえると、未加硫ゴムの状態でシュリンクをおこし成形時に問題となったり、同じく未加硫ゴムの状態で粘度が高くなり加工性が悪くなったりする。
また、本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物には、必要に応じて、カーボンブラック、シランカップリング剤、プロセスオイル、加硫剤、加硫促進剤、架橋剤、酸化防止剤、老化防止剤、ワックス、ステアリン酸、酸化亜鉛などの添加剤を配合することができる。
カーボンブラックとしては、チッ素吸着比表面積が70〜250m2/gのものが好ましく、たとえばHAF、ISAF、SAFなどを好ましく使用することができる。カーボンブラックの配合量は、架橋可能なポリマー100重量部に対して0〜15重量部であることが、シリカのみでは不足する補強性を補うという点から好ましい。
前記シランカップリング剤としては、たとえばデグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)、同じくSi266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)、日本ユニカー社製のA−189あるいはA−1289などを好ましく使用することができる。これらシランカップリング剤は1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。シランカップリング剤の配合量は、前記シリカの2〜15重量%である。転がり抵抗低減および補強性向上の点から、該配合量の下限については5重量%であることが、上限については10重量%であることが好ましい。
前記プロセスオイルとしては、たとえばパラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなどを好ましく使用することができる。プロセスオイルの配合量は、架橋可能なポリマー100重量部に対して10〜30重量部であることが、加工性向上の点から好ましい。これらの他、天然物由来の可塑剤である菜種油、大豆油、パーム油なども好適に用いることができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、前述のような構成からなるとともに、印加電圧1000V、10℃、相対湿度15%における体積抵抗率が、1011.5Ω・cm以下であり、かつ、印加電圧1000V、23℃、相対湿度55%における体積抵抗率が1011.0Ω・cm以下であることを特徴とする。これによって、最も静電気の起きやすい低温低湿の環境においても静電気による種々の問題が発生しないうえ、転がり抵抗が低減され、低燃費化が実現し得る。
印加電圧1000V、10℃、相対湿度15%における体積抵抗率ρv[Ω・cm]の常用対数値log10ρvは、11.5以下である。該常用対数値の下限については6.5であることが好ましく、9.0であることがより好ましい。また、上限については11.3であることが好ましく、11.0であることがより好ましい。かかる条件におけるlog10ρvが11.5をこえると、とくに低温低湿のもとで、タイヤやそれを装着した車に静電気が蓄積されやすくなり、さきに述べた静電気の蓄積によって起こる種々の問題が発生してしまう。一般にかかるlog10ρvは、低ければ低いほど、静電気の蓄積は起こりにくくはなるが、あまりに低くすると同一のlog10ρvの下げ幅に対して静電気の蓄積が改善される程度は小さくなり、低い抵抗値を得るために必要となる、添加塩や前記ポリマー(b)の量が多くなって不必要なコストの上昇をまねく。
また、印加電圧1000V、23℃、相対湿度55%における体積抵抗率は、体積抵抗率ρv[Ω・cm]の常用対数値log10ρvが11.0以下である。該常用対数値の下限については6.0であることが好ましく、8.5であることがより好ましい。上限については10.8であることが好ましく、10.5であることがより好ましい。かかる条件におけるlog10ρvが11.0をこえると、上記同様静電気の蓄積によって起こる種々の問題が発生しやすくなってしまう。6.0Ω・cm未満では、上記の10℃、相対湿度15%における場合と同様、不必要なコスト上昇をまねいてしまう傾向がある。
前述の両条件下におけるlog10ρvの差Δlog10ρvは、0.7以下であることが好ましく、小さければ小さいほど好ましい。かかる差はより好ましくは、0.5以下、さらには好ましくは0.3以下であるとよい。このようにすると低温低湿条件下でも常温常湿下と同様に静電気の蓄積による問題が生じにくくさせることができるうえ、低温低湿条件下での静電気防止性能を確保するために余分に添加すべき添加塩や前記ポリマー(b)の量を低減でき、コストを下げることができるので好ましい。
なお、本明細書において、体積抵抗率とは、JIS K6911に準拠した測定機を用いて測定された値である。
前記の体積抵抗率の条件を満たすためには、たとえば、架橋可能なポリマーの一部に、(b)複数の炭素−炭素間の二重結合を有しエチレンオキシドの含有量が60モル%以上であるポリマーを用い、さらに陽イオンと陰イオンに解離可能な塩を配合することが好ましい。このことにより、導電性を付与するポリマーを架橋によって固定することが可能となり、耐摩耗性および燃費特性が良好となる。
エチレンオキシド単位は、水素イオンや水、各種金属陽イオンなどの電荷の媒体を、その非共有電子対によって安定化させることができる。かかる効果は、プロピレンオキシド単位やテトラメチレンオキシド単位、エピクロロヒドリン単位なども持ち合わせているが、安定化効果はエチレンオキシド単位の方が大きい。そこへ、陽イオンと陰イオンに解離可能な塩を混入することにより、非常に少量の添加で、低い電気抵抗値を得ることができる。
ポリマー(b)のエチレンオキシドの含有量は、好ましくは60モル%以上である。該含有量の下限については65モル%であることがより好ましく、70モル%であることがさらに好ましい。上限については95モル%であることがより好ましく、93モル%であることがさらに好ましい。このように、エチレンオキシドの含有量を高く設定することにより、より多くの電荷媒体を安定化することができ、より少量の添加で、所望の帯電防止性を得ることができる。一方で、エチレンオキシド量の上限を規定することにより、エチレンオキシドの結晶化による抵抗上昇を防ぐことができる。なお、かかるポリマーは1種類だけでなく、複数種を併用してもよい。
ポリマー(b)1分子当たりに含有される炭素−炭素間の二重結合の平均数は2以上であることが好ましい。該平均数の下限については12であることがより好ましく、36であることがさらに好ましく、60であることがとくに好ましい。上限については7000であることがより好ましく、2500であることがさらに好ましく、1250であることがとくに好ましい。炭素−炭素間の二重結合の平均数が2未満では、加硫時にゴム組成物中に固定されにくくなり、耐摩耗性が悪化する。7000をこえると、架橋点が多くなりすぎて、耐屈曲性や疲労特性が悪くなったり、電気抵抗値が低下しにくくなったりする傾向がある。
ポリマー(b)の具体例としては、エチレンオキシド−プロピレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合体(EO−PO−AGE共重合体)、および/または、エピクロロヒドリンゴムを使用することが望ましい。エピクロロヒドリンゴムとしては、エチレンオキシドの含有量が60モル%以上であるエピクロロヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合体(略称:GECO)、エピクロロヒドリン−エチレンオキシド−プロピレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合体などがあげられる。
これらを使用することにより、より効果的に電気抵抗値を低減することができるとともに、耐摩耗性などの力学物性をあまり損なうことがない。さらに、これらはポリマーメーカーにより大量に量産されていることから、比較的低コストで入手することができる。とくに、導電性を付与するポリマーとして、EO−PO−AGE共重合体を用いることにより、シリカとの親和性が高くなって複合体を形成し、より少量の添加で電気抵抗値を低減することができる。また、とくに、EO−PO−AGE共重合体を用いた場合、非塩素、非臭素を実現できて、環境面からも好ましい。これら以外のポリマーについても、すべて非塩素、非臭素のものを用いることによって、タイヤを廃棄したときに、ダイオキシンなどを発生させることなく容易に燃焼させることができる。
また、ポリマー(b)としては、粘弾性の温度依存性が小さく、低温低湿時の抵抗上昇を抑えることができ、かつ実用温度域でポリマー鎖の運動性を高くして導電付与性能を大きくできるため、ガラス転移温度(Tg)が低いものが望ましい。具体的には、−40℃以下、とくには−50℃以下が好ましい。
ポリマー(b)の数平均分子量は、10000〜5000000であることが好ましい。該数平均分子量の下限については30000であることがより好ましく、50000であることがさらに好ましい。上限については2000000でであることがより好ましく、1000000であることがさらに好ましい。ポリマー(b)の数平均分子量が10000未満では耐摩耗性が悪化したり、ブルームやブリードがおこってしまったりする可能性がある。また、5000000をこえると、適切なコストでそのようなポリマーを得ることが難しくなったり、加工性が悪くなったりする場合がある。
低極性ゴム(a)とポリマー(b)との配合重量比は、99:1〜50:50であることが好ましく、より好ましくは、98:2〜75:25、とくに好ましくは97:3〜90:10である。ポリマー(b)が少なすぎると、組成物全体の体積抵抗率を充分に下げることができなくなる傾向があり、多すぎると、耐摩耗性などの物性が低下し、実用性が乏しくなるうえ、必要以上にコストが上昇する傾向がある。
前記陽イオンと陰イオンに解離可能な塩を構成する陰イオンとしては、下記式のいずれかで表される少なくとも1種類の陰イオンが用いられる。
Figure 0003913731
f3−SO3 - (2)
BF4 - (3)
および
Figure 0003913731
式中、Rf1、Rf2、Rf3、Rf4、Rf5およびRf6は、フッ素原子を含む炭素原子数が1〜8の官能基であり、なるべくたくさんのフッ素原子を含むことが好ましく、炭素原子数は好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2であるとよい。炭素原子数が8をこえると塩の重量が重くなって、イオンの移動度が小さくなり、導電性が低下する傾向がある。また、フッ素原子のいくつかが、水素原子などにおきかわると、Rf1~6の電子吸引性が弱くなり、式(1)、(2)、(4)の陰イオンとしての安定性、塩の解離度および導電付与能力が低下してしまうため、なるべくたくさんのフッ素原子を含むことが好ましい。
これらの陰イオンを備える塩を用いることにより、電気抵抗値を大きく低減することができ、ポリマー(b)の量を低減することができて、耐摩耗性などを損なうことなく、必要な帯電防止性を付与することができる。
また、これらの陰イオンを備える塩を用いると、低温低湿域においても、電気抵抗値を下げることができ、非常に望ましい。これらの陰イオンを備えた塩は、解離度が非常に大きい点や、EO−PO−AGE共重合体やエピクロロヒドリンゴムなどのポリマー(b)との相容性が高い点から、少量の添加でも電気抵抗値を大きく低減できるうえに、低温低湿状態でも充分な導電性付与をできるので好ましい。
低温低湿において電気抵抗値を下げる能力は、式(1)あるいは式(2)で示される陰イオン、なかでも、トリフルオロメタンスルホン酸の陰イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド陰イオンが大きく、コストに関してもそれほど高すぎないので非常に好ましい。
そのほか、コストと性能との兼ね合いで、式(3)〜(4)で示される陰イオンを備えた塩も、好適に用いることができる。ただし、式(4)で示される陰イオンを備えた塩、なかでもトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオンを備える塩は、低温低湿において電気抵抗値を下げる能力はかなり大きいものの、コストがやや高くなる。
つぎに、前記陽イオンと陰イオンに解離可能な塩を構成する陽イオンとしては、アルカリ金属、2A族、遷移金属、両性金属のうちいずれかの陽イオン、もしくは、式(5)〜(7)で示されるような陽イオンを用いることができる。
Figure 0003913731
Figure 0003913731
Figure 0003913731
アルカリ金属は、イオン化エネルギーが小さいため安定な陽イオンを形成しやすいので、その陽イオンをもつ塩は、系中で安定して解離し続けやすく好ましい。なかでも、リチウムイオンは、陰イオンの構造にもよるが、導電度が高くなることが多い。そのほかでは、式(7)で示される陽イオンを備えた塩が、他と比べてかなり安価に入手することができる一方で、それなりに導電度を高くすることができるので、好ましい。
なお、式(5)〜(7)において、R1〜R10は、水素原子または炭素原子数が1〜20のアルキル基またはその誘導体であり、R1〜R4、R5〜R6、R7〜R10は同じものでも別々のものでもよい。
とくに、式(5)において、R1〜R4のうちの3つがメチル基、エチル基、プロピル基またはn−ブチル基であり、残りの1つが炭素原子数4〜20(より好ましくは6〜20)のアルキル基またはその誘導体からなる第4級アンモニウム塩は、電子供与性の強い3つのメチル基、エチル基、プロピル基またはn−ブチル基によりチッ素原子上の正電荷が安定化され、残りのアルキル基またはその誘導体によりポリマーとの相容性が向上することから、より好ましい。式(7)で示されるような第4級ホスホニウム塩においても同様のことが考えられる。
式(6)で示される陽イオンにおいては、R5およびR6は、前記と同様に電子供与性を有する基である方が、同じくチッ素原子上の正電荷が安定化されることにより、陽イオンとしての安定度が高まり、より解離度が高く、導電付与性能に優れる塩とすることができる。このため、R5およびR6は、メチル基またはエチル基であることが望ましい。
陽イオンと陰イオンに解離可能な塩の添加割合は、架橋可能なポリマー100重量部に対して、0.01〜20重量部であることが好ましい。該添加割合の下限については0.1重量部であることがより好ましく、0.3重量部であることがさらに好ましい。上限については5重量部であることがより好ましく、2重量部であることがさらに好ましい。
前記塩の配合量が0.01重量部未満の場合、充分な帯電防止性が得られない傾向があり、20重量部をこえる場合は、コストが高くなるうえに、それによる帯電防止性の向上効果が得られない傾向がある。
さらに、本発明においては、架橋可能なポリマーとして、低極性ゴム(a)、ポリマー(b)と併用して、低極性ゴムよりも高極性であり、かつポリマー(b)よりは低極性であるポリマー(中極性ポリマー(c))を配合することが好ましい。このことにより、ポリマー(b)と低極性ゴム(a)との相容性を改善し、耐摩耗性などを向上させると共に、必要な帯電防止性を得るために添加するポリマー(b)や塩の添加量を低減することができる。
中極性ポリマー(c)としては、SP値が8.5〜10.5[(cal/cm31/2]のものがあげられる。中極性ポリマー(c)としては、極性(SP値)のほか、コストや加工性、力学特性などの観点から考えると、エポキシ化天然ゴム(ENR)、エポキシ化スチレンブタジエンゴム、エポキシ化ブタジエンゴム、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)が好ましい。NBRとしては、低ニトリルNBR(アクリロニトリル含有量24重量%以下)、中ニトリルNBR(アクリロニトリル含有量25〜30重量%)、中高ニトリルNBR(アクリロニトリル含有量31〜35重量%)が好ましく、なかでも低ニトリルNBRを用いると、Tgが低いことにより、低温低湿時の電気抵抗値の上昇を抑えることができ、より好ましい。これらの中極性ポリマーのなかでも、とくにENRを用いると、耐摩耗性を改善することができるうえに、エポキシ基で塩を安定化させられることより、より低電気抵抗化することもできるので、非常に好ましい。
中極性ポリマー(c)の配合量は、低極性ゴム(a)とポリマー(b)のあいだの相容化剤的に用いる場合は、架橋可能なポリマー中に、好ましくは0.5〜20重量%である。該配合量の下限については1重量%であることが好ましく、1.5重量%であることがより好ましい。また、上限については15重量%であることが好ましい。中極性ポリマー(c)の配合量が0.5重量%未満では低極性ゴム(a)とポリマー(b)の相容性を向上させることができないため好ましくない。また、20重量%をこえるとポリマーの種類によっては、コストの上昇をまねいたり、耐摩耗性を悪化させたりする可能性があるため好ましくない。
なお、ENR、エポキシ化スチレンブタジエンゴム、エポキシ化ブタジエンゴムは、得られるタイヤトレッドの機械的強度を向上させることができるうえ、耐摩耗性を向上させたり、グリップ性能も向上させたりできるので、上記のように相容化剤的に用いるだけでなく、低極性ゴム(a)のかわりに、主成分的に用いることもできる。この場合、これらのエポキシ化ゴムの配合量としては、架橋可能なポリマー100重量%中に合計して25〜97重量%であることが好ましい。該配合量の下限については50重量%であることがより好ましく、上限については95重量%であることがより好ましい。
さらに、これらのエポキシ化ゴムのエポキシ化率は、5〜80%であることが好ましい。該エポキシ化率の下限については15%であることがより好ましい。上限については60%であることがより好ましい。
つぎに、本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物を製造する際には、前記陽イオンと陰イオンに解離可能な塩を、ポリマー(b)に、予め混合することが好ましい。このことにより、前記塩およびポリマー(b)の含有量を低減することができ、コストが削減できるうえに、ポリマー(b)の添加により耐摩耗性などの力学特性が悪化することを防ぐことが可能となる。
前記塩は、ポリマー(b)との親和性が高いため、先にポリマー(b)とブレンドしておくと、ゴム練りしたのちでも、ポリマー(b)中に主に分配され、電気抵抗値低減の点から非常に効果的である。
さらに、陽イオンと陰イオンに解離可能な塩を配合する際には、低分子量(分子量1万以下)のポリエーテル化合物や低分子量極性化合物からなる媒体を介さずに配合することが好ましい。低分子量のポリエーテル化合物や低分子量極性化合物からなる媒体を用いると、耐摩耗性などが低下したり、これらの低分子量化合物を原因とするブリードやブルームが起こる可能性が生じる。
低分子量のポリエーテル化合物や低分子量極性化合物からなる媒体を介さずに、塩を配合する方法としては、とくに制限はなく、公知の手法を用いることができる。たとえば、ヘンシェルミキサー、タンブラーなどを用いてドライブレンドしたり、ポリマー(b)と塩を、単軸または二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどの密閉式混練機やオープンロールなどを用いて溶融混合するなどの方法を用いることができる。
なお、帯電防止剤用途として従来汎用されていた過塩素酸塩は、かかる低分子量極性化合物からなる媒体を用いることなしに、ポリマー中に均一に分散させることは安全上難しい。しかしながら、式(1)〜(4)で示される陰イオンを備える塩は、安全に扱うことができる。このような塩の中でも、とくに、式(1)、(2)または(4)に示すような陰イオンを備える塩は、高温でも安定であり、さらに安全である。また、過塩素酸塩などのように塩素・臭素を含まないので、使用後に焼却などをした際にダイオキシンが発生することを防ぐことができると共に、ホイールなどの金属表面を腐食、発錆あるいは汚染する可能性をなくすことができる。
つぎに、塩とブレンドされたポリマー(b)を、その他の架橋可能なポリマー(低極性ゴム(a)および、必要に応じて中極性ポリマー(c))、シリカなどの充填剤、その他の添加剤とブレンドする装置としては、密閉式混練機やオープンロールなどを採用することができる。
本発明の空気入りタイヤは、前記ゴム組成物をタイヤのトレッド部分に用いて製造される。本発明の空気入りタイヤは、耐摩耗性に非常に優れており、低燃費性にも優れ、とくに低温低湿域においても良好な帯電防止性を示し、安全性に優れている。
以下に実施例、比較例をあげて、本発明をさらに具体的に説明する。本発明はその要旨をこえない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で使用した薬品の詳細を以下に示す。
SBR:溶液重合SBR。日本ゼオン(株)製のニッポールNS116(結合スチレン量21%)
EO−PO−AGE共重合体:日本ゼオン(株)製のZSN8030(共重合組成EO:PO:AGE=90:4:6(mol%)、Mn=8万、Mw=40万、Tg=−63℃)
GECO:ダイソー(株)製のEPION−301(EO:EP:AGE=73:23:4、Mn=13万、Mw=58万、Tg=−55℃)
塩1:リチウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド。(住友スリーエム(株)製の3M Fluorad HQ−115)
塩2:森田化学工業(株)製のトリフルオロメタンスルホン酸リチウム
塩3:リチウム−トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン(米国特許第5554664号公報、特開2000−219692号公報、特開2000−226392号公報などに記載の公知の方法で合成した。)
塩4:エチルトリフェニルホスホニウム−テトラフルオロボレート(日本化学工業(株)製のヒシコ−リンETPP−FB)
塩5:テトラ−n−ブチルホスホニウム−テトラフルオロボレート(日本化学工業(株)製のヒシコ−リンPX−4FB)
塩6:1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(ステラケミファ(株)製のEMI−TFSI)
塩7:広栄化学工業(株)製のヘキシルトリメチルアンモニウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
塩8:キシダ化学(株)製のホウフッ化リチウム
導電性可塑剤(過塩素酸リチウム含有エステル系):田岡化学工業(株)製のUS70(改2)
ENR:ガスリー社(マレーシア)製のENR−25(エポキシ化率25%)
NBR:低ニトリルNBR(日本ゼオン(株)製のニッポールDN401、アクリロニトリル含有量18%)
CR:昭和電工(株)製のショウプレンWRT
シリカ:デグッサ社製のウルトラジル(Ultrasil)VN3
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi266
プロセスオイル:アロマオイル。(株)ジャパンエナジー製のJOMOプロセスX140
ステアリン酸:日本油脂(株)製
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:鶴見化学工業(株)の粉末硫黄
加硫促進剤TBBS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド)
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニル・グアニジン)
実施例1〜13
表1の配合内容にしたがって、複数の炭素−炭素間の二重結合を有しエチレンオキシドの含有量が60モル%以上であるポリマーとして、EO−PO−AGE共重合体と、陽イオンと陰イオンに解離可能な塩をドライブレンドし、あるいは、密閉式混練機やオープンロールなどを用いて塩を混入するなどして、均一に分散させた。ただし、実施例10は、二軸のオープンロールを用いて、GECOに塩を混入することにより均一分散させた。
つぎに、1.7リットルの小型バンバリーを用いて、かかるポリマーと塩の混合物と、他のゴムとを、素練りし、シリカ、オイル、シランカップリング剤、ステアリン酸、酸化亜鉛を投入して混練した。混練時間は素練りから含めて合計で4分間とした。そののち、硫黄と加硫促進剤を、二軸オープンロールを用いて60℃で混入し、タイヤトレッド用ゴム組成物を得た。
オープンロールからリボン取りしたゴムをシート状に成形し、それを金型に仕込んで、170℃で最適時間プレス加硫した。加硫時間はキュラストメーターなどにより測定し、95%トルク上昇時間t95[分]程度を目安に適宜調整した。
これにより、厚さ約2mm、一辺130mmの体積抵抗率(体積固有抵抗値)評価用の加硫ゴムスラブシートを得た。並行して、同様に、摩耗試験用の加硫ゴム試験片も作製した。
比較例1〜5
表2に示す配合内容にしたがって、1.7リットルの小型バンバリーを用いて、SBRと必要に応じてEO−PO−AGE共重合体とを素練りし、シリカ、オイル、シランカップリング剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、導電性可塑剤を投入して混練した。混練時間などの条件は基本的に実施例の場合と同様とした。そののち、硫黄と加硫促進剤を、二軸オープンロールを用いて60℃で混入し、タイヤトレッド用ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を用いて、実施例1と同様の方法で、加硫ゴムスラブシートおよび加硫ゴム試験片を作製した。
これらのスラブシートおよび試験片を用いて以下の試験を行なった。
[体積固有抵抗値(体積抵抗率)]
アドバンテストコーポレーション社製のデジタル超高抵抗微小電流計R−8340Aを用いて、常温常湿(23℃、相対湿度55%)、および、低温低湿(10℃、相対湿度15%)の恒温恒湿条件下で、加硫ゴムスラブシートの体積固有抵抗値を測定した。印加電圧は1000Vとし、また、測定する前に、サンプルを5時間以上、測定雰囲気になじませてから測定した。それ以外の項目については、JIS K6911に記載の体積抵抗率の測定法にしたがった。
表1および2に、低温低湿と常温常湿の両環境での体積抵抗率ρv[Ω・cm]を、その常用対数値log10ρvを用いて表示した。また、低温低湿と常温常湿の環境での常用対数値の差Δlog10ρv(=log10ρv(低温低湿)−log10ρv(常温常湿))を計算して表示した。
[転がり抵抗特性]
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で、各配合のtanδを測定した。比較例1のtanδを100として、下記計算式により転がり抵抗特性を指数評価した。指数が大きいほど転がり抵抗が低く、転がり抵抗特性に優れる。
(転がり抵抗特性指数)=(比較例1のtanδ/各配合のtanδ)×100
[耐摩耗性]
ランボーン摩耗試験機にて、温度20℃、スリップ率20%、試験時間5分間の条件で、ランボーン摩耗量を測定し、各配合の容積損失量を計算した。比較例1の損失量を100として下記計算式により耐摩耗性を指数表示した。指数が大きいほど耐摩耗性に優れる。
(耐摩耗性指数)=(比較例1の損失量/各配合の損失量)×100
[ブリード/ブルームの評価]
作製したスラブシートを常温常湿(23℃、相対湿度55%)のもとで1週間放置したのちに、ブリードおよびブルームを生じていないか、その表面を目視で確認した。
○:ブルームおよびブリードともになし
×:ブルームまたはブリードあり
Figure 0003913731
Figure 0003913731
結果を表1および2に示す。EO−PO−AGE共重合体またはGECOと塩1〜7との混合物を配合した実施例1〜13は、いずれも常温常湿および低温低湿の両環境において体積抵抗率が低く、転がり抵抗特性および耐摩耗性に優れ、ブリードやブルームを生じなかった。特に、塩2のトリフルオロメタンスルホン酸リチウムを用いた実施例3〜4では、塩の添加量やEO−PO−AGE共重合体の量をかなり少量としても、充分に体積抵抗率を低減することができ、特に優れていた。この他、式(1)に記載の陰イオンを有する塩である塩1、あるいは式(4)に記載の陰イオンを有する塩である塩3、あるいは式(1)に記載の陰イオンと式(6)に記載の陽イオンを有する塩である塩6は常温常湿と低温低湿の体積抵抗率の差を小さくでき、優れていた。
また、ENRやNBR、CRを相容化剤として用いた場合、さらに電気抵抗値を低減でき優れていた。特にENRあるいはNBRを用いた場合、転がり抵抗特性を良好としたまま、耐摩耗性もかなり向上でき、非常に優れていた。さらには低ニトリルNBRを用いた実施例12では低温低湿および常温常湿でも電気抵抗値を非常に大きく低減でき、特に優れていた。一方、これらの混合物を配合しない比較例1では、体積抵抗率が高く、EO−PO−AGE共重合体は配合したが塩を配合しなかった比較例2および3では、とくに低温低湿における体積抵抗率が高くなり、EO−PO−AGE共重合体の配合量が多い比較例3では、耐摩耗性が著しく低下した。従来型の導電性可塑剤を配合した比較例4では、低温低湿での体積抵抗率が高くなると共に耐摩耗性が低下し、ブリードも見られた。EO−PO−AGE共重合体と塩8(ホウフッ化リチウム)との混合物を配合した比較例5では、低温低湿における体積抵抗率が高くなった。また、ホウフッ化リチウムは毒性の問題がある。

Claims (8)

  1. (b)複数の炭素−炭素間の二重結合を有しエチレンオキシドの含有量が60モル%以上であるポリマーを含有する架橋可能なポリマー100重量部に対して、シリカ5〜100重量部を配合し、さらに陽イオンと陰イオンに解離可能な塩を配合してなるタイヤトレッド用ゴム組成物であって、印加電圧1000V、温度10℃および相対湿度15%における体積抵抗率が1011.5Ω・cm以下であり、かつ、印加電圧1000V、温度23℃および相対湿度55%における体積抵抗率が1011.0Ω・cm以下であるタイヤトレッド用ゴム組成物。
  2. 陽イオンと陰イオンに解離可能な塩が、下記式:
    Figure 0003913731
    f3−SO3 - (2)
    BF4 - (3)
    および
    Figure 0003913731
    (式中、Rf1、Rf2、Rf3、Rf4、Rf5およびRf6は、フッ素原子を含む炭素原子数が1〜8の官能基である。)
    からなる群より選ばれた化学式で表される少なくとも1種類の陰イオンを有する塩である請求項記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  3. ポリマー(b)が、エチレンオキシド−プロピレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合体、および/または、エピクロロヒドリンゴムを含有する請求項または記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  4. 架橋可能なポリマーが、(a)低極性ゴム、(b)ポリマー、および、(c)中極性ポリマーからなり、該中極性ポリマー(c)は低極性ゴム(a)よりも高極性でありかつポリマー(b)よりは低極性である請求項1、2または3記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  5. 中極性ポリマー(c)が、エポキシ化天然ゴム、エポキシ化スチレンブタジエンゴム、エポキシ化ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムからなる群より選ばれるポリマーを少なくとも1種含有する請求項記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  6. ポリマー(b)に、陽イオンと陰イオンに解離可能な塩を混合したのち、その他の架橋可能なポリマーと混合する請求項1記載のタイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法。
  7. 請求項1、2、3、4または5記載のタイヤトレッド用ゴム組成物からなる空気入りタイヤ。
  8. 請求項記載のタイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法によって得られた空気入りタイヤ。
JP2003413589A 2003-12-11 2003-12-11 タイヤトレッド用ゴム組成物および空気入りタイヤ Expired - Fee Related JP3913731B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003413589A JP3913731B2 (ja) 2003-12-11 2003-12-11 タイヤトレッド用ゴム組成物および空気入りタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003413589A JP3913731B2 (ja) 2003-12-11 2003-12-11 タイヤトレッド用ゴム組成物および空気入りタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005171095A JP2005171095A (ja) 2005-06-30
JP3913731B2 true JP3913731B2 (ja) 2007-05-09

Family

ID=34733687

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003413589A Expired - Fee Related JP3913731B2 (ja) 2003-12-11 2003-12-11 タイヤトレッド用ゴム組成物および空気入りタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3913731B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5208361B2 (ja) 2005-10-28 2013-06-12 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
US7335714B1 (en) 2007-01-18 2008-02-26 The Goodyear Tire & Rubber Company Sulfine control agents for synthesizing polymers
JP2009102507A (ja) * 2007-10-23 2009-05-14 Toyo Tire & Rubber Co Ltd タイヤトレッド用ゴム組成物
JP2011012161A (ja) * 2009-07-01 2011-01-20 Sumitomo Rubber Ind Ltd タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP6481370B2 (ja) * 2015-01-06 2019-03-13 横浜ゴム株式会社 スタッドレスタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたスタッドレスタイヤ
ITUA20161981A1 (it) * 2016-03-24 2017-09-24 Bridgestone Corp Mescola per body ply skim
JP2020015884A (ja) * 2018-07-27 2020-01-30 住友ゴム工業株式会社 ゴム組成物及びタイヤ
EP3744777B1 (en) * 2018-07-27 2023-03-15 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Rubber composition and tire
US20210292521A1 (en) * 2018-07-27 2021-09-23 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Rubber composition and tire
WO2020246218A1 (ja) * 2019-06-04 2020-12-10 住友ゴム工業株式会社 ゴム組成物及びタイヤ

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3363539B2 (ja) * 1993-09-20 2003-01-08 横浜ゴム株式会社 タイヤトレッド用ゴム組成物
CA2111049A1 (fr) * 1993-12-09 1995-06-10 Paul-Etienne Harvey Copolymere d'oxyde d'ethylene et/ou d'oxyde de propylene et d'au moins un oxiranne portant une fonction reticulable, un procede pour sa preparation et son utilisation pour l'elaboration de materiaux a conduction onique
JPH09118783A (ja) * 1995-10-24 1997-05-06 Bridgestone Corp タイヤ用ゴム組成物
JPH10237222A (ja) * 1997-02-24 1998-09-08 Sumitomo Chem Co Ltd ゴム組成物及び加硫ゴム組成物
JP2000109555A (ja) * 1998-10-07 2000-04-18 Nippon Zeon Co Ltd ポリエーテル系共重合体及びゴム組成物
JP2000239445A (ja) * 1999-02-22 2000-09-05 Sumitomo Rubber Ind Ltd トレッドゴム組成物
JP4868632B2 (ja) * 1999-11-11 2012-02-01 日本ゼオン株式会社 架橋性ゴム組成物およびその架橋物
JP4769924B2 (ja) * 2001-02-06 2011-09-07 三光化学工業株式会社 高制電性ゴム組成物
JP3766619B2 (ja) * 2001-08-30 2006-04-12 三光化学工業株式会社 制電性組成物、その製造方法およびそれを用いた成形品
JP4089239B2 (ja) * 2002-02-15 2008-05-28 Jsr株式会社 ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ
JP2004131572A (ja) * 2002-10-09 2004-04-30 Toyo Tire & Rubber Co Ltd ゴム組成物及び空気入りタイヤ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005171095A (ja) 2005-06-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1652878B1 (en) Rubber composition and tire comprising the same
EP0733673A1 (en) Rubber composition improved in static-charge buildup and pneumatic tire made therefrom
JP2009126907A (ja) ゴム組成物
JP2011132412A (ja) トレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2008019334A (ja) タイヤトレッド用ゴム組成物
JP3913731B2 (ja) タイヤトレッド用ゴム組成物および空気入りタイヤ
JP2005146115A (ja) タイヤトレッド用ゴム組成物
JP2011246563A (ja) タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
JP2014210829A (ja) ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
EP0928810B1 (en) Rubber composition for a tyre tread
JP2001233997A (ja) ゴム組成物及びその製造方法
JP2007161822A (ja) タイヤ用ゴム組成物
JP5213369B2 (ja) スタッドレスタイヤのキャップトレッド用ゴム組成物およびスタッドレスタイヤ
JP2000239445A (ja) トレッドゴム組成物
JP2011144322A (ja) ベーストレッド用ゴム組成物及び空気入り空気入りタイヤ
JP2002020550A (ja) ゴム組成物
JP2009007422A (ja) ゴム組成物およびタイヤ
JP6701713B2 (ja) ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2008308637A (ja) トレッド用ゴム組成物およびそれを用いたトレッドを有するタイヤ
JP2015221883A (ja) ゴム組成物および空気入りタイヤ
JP2005126556A (ja) ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ
JP5139675B2 (ja) 架橋剤およびこの架橋剤を含むゴム組成物およびこのゴム組成物を用いて製造したタイヤ
JP4028762B2 (ja) ゴム組成物
JP2017110163A (ja) ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2008291087A (ja) タイヤトレッド用ゴム組成物およびそれを用いたトレッドを有する空気入りタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060920

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060926

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061117

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070123

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070131

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees