JP5563233B2 - スチールコード接着用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

スチールコード接着用ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、スチールコード接着用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
従来、スチールコード接着用ゴム組成物の主たる補強剤としてカーボンブラックが用いられてきたが、近年では、石油資源の枯渇の観点から、シリカが用いられるようになってきている。
シリカを用いた場合、一般的に、ゴム組成物のムーニー粘度が上昇し加工性は悪化するが、特定のシリカを用いることにより、加工性が改善することが知られている。しかしながら、加工性のよいシリカは補強性に劣るため、加工性のよいシリカをスチールコード接着用ゴム組成物に用いる場合、スチールコードとの接着反応を充分に行うため硫黄を多量に配合することとなる。そのため、走行時のゴムの発熱により、接着反応層の劣化やゴムの劣化が進行してしまう。特に、該ゴム組成物をベルトに使用した場合には、ベルトエッジの耐セパレーション性能が劣ることとなる。
ゴム組成物の耐熱性を高めるために老化防止剤(N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)等)が広く使用されているが、近年では耐熱性向上の要求は更に高まり、更なる長寿命化が求められている。老化防止剤の増量によって長寿命化は達成できるが、過剰の老化防止剤の析出・移行によるスチールコードとの接着不良等の問題がある。従って、老化防止剤を増量させることなく、耐熱性を向上し、長寿命化できるゴム組成物の提供が望まれている。
特許文献1には、ジエン系ゴムに、老化防止剤としてのN−(1−メチルヘプチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、及びワックスを配合したゴム組成物が開示されている。しかし、耐熱性の改善の点では未だ改善の余地を残すものである。
特開平10−324779公報
本発明は、前記課題を解決し、老化防止剤を増量することなく、耐熱性を高め、特にゴムの硬化劣化を抑制するとともに、接着性能の低下を抑制して、長寿命化できるスチールコード接着用ゴム組成物、及びそれによりスチールコードを被覆して得られるベルトを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、イソプレン系ゴムを含むゴム成分と、シリカと、下記式(I)及び/又は(II)で表される化合物とを含有するスチールコード接着用ゴム組成物に関する。
Figure 0005563233
(式(I)、(II)において、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。但し、R及びRが同時に水素原子である場合を除く。)
上記イソプレン系ゴムの含有量は、上記ゴム成分100質量%中、30質量%以上であることが好ましい。
上記イソプレン系ゴムがイソプレンゴム、天然ゴム及び改質天然ゴムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記化合物が下記式(III)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005563233
上記シリカの窒素吸着比表面積が50〜200m/gであることが好ましい。
また、上記ゴム組成物は、上記ゴム成分100質量部に対して、酸化亜鉛を8〜20質量部、及び有機酸コバルトを含有することが好ましい。
本発明はまた、スチールコードを上記ゴム組成物により被覆して得られるベルトを有する空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、イソプレン系ゴムを含むゴム成分に、シリカ、上記式(I)及び/又は(II)で表される化合物を配合しているので、耐熱性を改善でき、特にゴムの硬化劣化を抑制するとともに、接着性能を高めることが可能となる。従って、6PPD等の老化防止剤を増量することなく、ゴム組成物を長寿命化でき、スチールコードをゴムにより被覆して得られるタイヤのベルトに好適に適用できる。
本発明のゴム組成物は、イソプレン系ゴムを含むゴム成分と、シリカと、上記式(I)及び/又は(II)で表される化合物を含む。ゴム成分としてイソプレン系ゴムを使用するとともに、更にシリカ及び上記式(I)、(II)で表される化合物を配合することにより、耐熱性を改善でき、ゴムの硬化劣化の抑制とともに、接着性能低下の抑制が可能となる。
ここで、ゴムの硬化劣化とは、劣化因子として酸素が存在する条件下で熱が加わったときに、ゴムが初期状態に比べ硬くなる劣化現象のことであり、本発明では、このような劣化を効果的に抑制できる。このような硬化劣化抑制効果は、いわゆる耐熱疲労性(ブローやチャンクの発生の防止)、耐熱ダレ性とは異質の効果であって、イソプレン系ゴムとシリカと式(I)、(II)の化合物との3成分を使用した場合に特異的に奏する。
更に、これら3成分を用いた場合には、耐熱性の改善効果(特に、硬化劣化抑制効果)が相乗的に生じ、例えば、スチレンブタジエンゴムに、シリカや式(I)、(II)の化合物を配合した場合に比べて、非常に大きな硬化劣化抑制効果が生じる。
従って、本発明では、老化防止剤を増量することなく、耐熱性(特に、硬化劣化抑制効果)を改善できるため、ゴムとスチールコードとの間の接着不良を起こすことなく、スチールコードとの接着反応層の劣化やゴムの劣化を抑制することが可能となり、スチールコードをゴムにより被覆して得られるタイヤのベルトに好適に使用でき、タイヤの長寿命化が可能となる。
本発明では、ゴム成分としてイソプレン系ゴムが使用される。本発明では、イソプレン骨格を持つゴムを使用しているにもかかわらず、耐熱性(特に硬化劣化抑制効果)を改善できる。イソプレン系ゴムとしては、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、改質天然ゴム等が挙げられる。NRには、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(HPNR)も含まれ、改質天然ゴムとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、加工性の点からNR、IRが好ましい。また、NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
本発明では、ゴム成分100質量%中に、イソプレン系ゴムが、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上含まれる。30質量%未満であると、硬化劣化抑制効果が十分に得られないおそれがある。
イソプレン系ゴムの他に、ゴム成分として使用できるものとしては、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明ではシリカが使用される。これにより、耐熱性(特に硬化劣化抑制効果)を改善できると共に、ゴムの補強性を確保することができる。シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(無水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。シリカは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは80m/g以上、更に好ましくは100m/g以上である。50m/g未満では、シリカのゴムに対する補強が充分でないおそれがある。また、シリカのNSAは、好ましくは200m/g以下、より好ましくは180m/g以下、更に好ましくは150m/g以下である。200m/gを超えると、ゴムの加工性が悪化する傾向がある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましく10質量部以上である。1質量部未満では、硬化劣化抑制効果およびゴムに対する補強性が充分に得られないおそれがある。該シリカの含有量は、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは55質量部以下である。70質量部を超えると、混練り加工性が著しく悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物には、シリカとともに、シランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤を含有することにより、混練りゴムのムーニー粘度の上昇を抑制し、加工性を改善することができる。シランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(デグッサ社製のSi266)、(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド等が挙げられる。なかでも、シランカップリング剤の補強性効果と加工性という点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを用いることが好ましい。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカの含有量100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましい。1質量部未満では、シリカをゴム中に分散させることが難しく、混練りゴムのムーニー粘度が高くなり、加工性に劣ったり、耐摩耗性が充分でなくなったりする傾向がある。また、該シランカップリング剤の含有量は、15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。15質量部を超えると、高価なシランカップリング剤を添加した量に見合った充分な効果が得られず、コストの増大を招く傾向にある。
本発明では、下記式(I)及び/又は(II)で表される化合物が使用される。該化合物は加硫促進剤であるが、加硫ゴムの耐熱性(硬化劣化の抑制)を改善できるため、スチールコードとの接着反応層の劣化やゴムの劣化を抑制することが可能となる。
Figure 0005563233
(式(I)、(II)において、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。但し、R及びRが同時に水素原子である場合を除く(即ち、同一の環に結合しているR及びRがともに水素原子である化合物を除く)。)
、Rとしては、アルキル基の炭素数は1〜10、アリール基の炭素数は6〜10、アラルキル基の炭素数は7〜10が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。R〜Rの炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。アルキル基、アリール基、アラルキル基のなかでも、アルキル基が好ましく、該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2である。また、Rがアルキル基、Rが水素原子であることが好ましい。この場合、硬化劣化抑制効果が良好に得られる。
上記式(I)で表される化合物の具体例としては、ビス(4−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(4−エチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(5−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(5−エチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(6−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(6−エチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(4,5−ジメチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(4,5−ジエチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(4−フェニルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(5−フェニルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(6−フェニルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド等が挙げられる。上記式(II)で表される化合物の具体例としては、2−メルカプト−4−メチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4−エチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−エチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−メチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−エチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4,5−ジメチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4,5−ジエチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4−フェニルベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−フェニルベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−フェニルベンゾチアゾール等が挙げられる。なかでも、ビス(4−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(5−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、メルカプト−4−メチルベンゾチアゾール、メルカプト−5−メチルベンゾチアゾールが好ましい。また、式(I)、(II)では、式(I)で表される化合物の方が好適に用いられる。更に、上述した化合物のなかでも、式(III)で表される化合物(4m−MBTS)が特に好適に用いられる。以上の化合物を使用する場合、硬化劣化抑制効果が良好に得られる。
Figure 0005563233
式(I)、(II)で表される化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。該化合物の市販品として、例えば、NOCIL社の製品を使用することができる。
上記式(I)、(II)で表される化合物の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは1.3質量部以上である。1.0質量部未満では、硬化劣化抑制効果が充分に得られないおそれがある。該合計含有量は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下である。5.0質量部を超えると、適切な架橋密度、架橋形態を維持するのが難しくなるおそれがある。
本発明のゴム組成物には、酸化亜鉛を含有することが好ましい。酸化亜鉛を配合する場合、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは8質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。8質量部未満では、ゴムとスチールコードとの接着反応性が低下し、接着耐久性、ベルトの耐セパレーション性能が悪化するおそれがある。また、酸化亜鉛の含有量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは18質量部以下である。20質量部を超えると、酸化亜鉛の分散性が悪くなり、接着耐久性、ベルトの耐セパレーション性能が悪化するおそれがある。
本発明のゴム組成物には、有機酸コバルトを含有することが好ましい。有機酸コバルトは、スチールコードとゴムとを架橋する役目を果たすため、この成分を配合することにより、スチールコードとゴムとの接着性を向上させることができる。有機酸コバルトとしては、例えば、ステアリン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ホウ素3ネオデカン酸コバルトなどが挙げられる。なかでも、ステアリン酸コバルト、ナフテン酸コバルトが好ましい。
有機酸コバルトの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、コバルトに換算して好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.15質量部以上である。0.1質量部未満では、スチールコードのメッキ層とゴムの接着性が充分ではないおそれがある。また、該含有量は、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.3質量部以下である。0.5質量部を超えると、ゴムの酸化劣化が顕著になり、破断特性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、カーボンブラック等の充填剤、ステアリン酸等の加硫促進助剤、各種老化防止剤、オゾン劣化防止剤、ワックス、オイル等の軟化剤、硫黄又は硫黄化合物等の加硫剤、加硫促進剤などを必要に応じて適宜配合することができる。
使用できるカーボンブラックとしては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、特に限定されない。カーボンブラックを配合することにより、補強性を高めることができる。
カーボンブラック及びシリカを配合する場合、カーボンブラック及びシリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは50質量部以上である。30質量部未満では、充分なゴムの補強性が得られないおそれがある。また、該合計含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下である。100質量部を超えると、フィラーの分散性が悪化するおそれがある。
本発明では、加硫剤として硫黄を好適に使用できる。硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などが挙げられる。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3.5質量部以上、より好ましくは4質量部以上である。3.5質量部未満では、スチールコードとの接着性や接着耐久性が劣る傾向がある。また、該含有量は、好ましくは6質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。6質量部を超えると、硬化劣化抑制効果が充分に得られないおそれがあるだけでなく、ゴム中に溶解しない硫黄分がゴム表面に析出(ブルーミング)しやすくなり、ムーニー粘度が高くなりやすいシリカ配合のゴム混練り時の厳密な温度管理が必要となり、生産性が悪化するおそれがある。
本発明では、上記式(I)、(II)で表される化合物とともに、他の加硫促進剤を配合してもよく、この場合でも、硬化劣化抑制効果を好適に得ることができる。
他の加硫促進剤としては、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)、ジフェニルグアニジン(DPG)などが挙げられ、例えば、ゴム成分100質量部に対して、DZを0.1〜2.0質量部配合してもよい。
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで加硫剤(硫黄)及び加硫促進剤以外の前記各成分を混練りし(硫黄を含まない混練り工程(以下、ベース練り工程ともいう))、その後、得られた混練り物に加硫剤(硫黄)及び加硫促進剤を添加して、混練りし(硫黄を含む混練り工程(以下、仕上げ練り工程ともいう))、加硫する方法等により製造できる。
ベース練り工程の混練り温度は、140℃以上であることが好ましい。140℃未満であると、シリカとシランカップリング剤の反応が不十分となり、練り不良となるおそれがある。ベース練り工程の混練り温度は、160℃以下であることが好ましい。160℃を超えると、シランカップリング剤中のSとポリマー(ゴム成分)が反応し、ゲル化(焼けゴム)が起こり、練り生地の品質が悪化し、トッピング工程ができなくなるおそれがある。なお、ベース練り工程において混練りされるゴム組成物には、シランカップリング剤が含まれることが好ましい。
本発明のゴム組成物は、スチールコードをゴムにより被覆して得られるタイヤの部材(例えば、ベルト、ブレーカー、カーカス)に好適に使用できる。本発明のゴム組成物を、スチールコードをゴムにより被覆して得られるタイヤの部材に使用した場合、老化防止剤を増量することなく、耐熱性(特に、硬化劣化抑制効果)を改善できるため、スチールコードとの接着反応層の劣化やゴムの劣化を抑制することが可能となり、タイヤの長寿命化が可能となる。また、本発明のゴム組成物をベルトに使用した場合、さらに、ベルトの耐セパレーション性能を改善することができる。
ベルトは、カーカスのタイヤ半径方向外側に位置する部材であり、例えば、特開2009−7408号公報の図1に示されるものである。
本発明の空気入りタイヤは、スチールコードを上記ゴム組成物で被覆してベルト等の部材の形状に成形したのち、他のタイヤ部材と貼りあわせて未加硫タイヤを成形し、加硫することによって、空気入りタイヤを得ることができる。
本発明に用いられるスチールコードとしては、とくに制限はないが、たとえば、1×n構成の撚りスチールコード、k+m構成の層撚りスチールコードなどがあげられる。ここで、1×n構成の撚りスチールコードとは、n本のフィラメントを撚りあわせて得られる1層の撚りスチールコードのことである。また、k+m構成の層撚りスチールコードとは、撚り方向、撚りピッチの異なる2層構造を持ち、内層にk本のフィラメント、外層にm本のフィラメントを有するスチールコードのことである。nは1〜27の整数、kは1〜10の整数、mは1〜3の整数である。スチールコードの表面は、ゴム化合物との接着性を向上させるため、真鍮、Znなどでメッキしてもよい。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:RSS#3
SBR:JSR(株)製のS−SBR HPR355
シリカ:ローディアジャパン(株)製のシリカ115Gr(NSA:110m/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi266
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN330(NSA:75m/g)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華2種
ステアリン酸コバルト:日鉱金属(株)製のCOST−S
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDZ(N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤3:NOCIL社製の4m−MBTS(ビス(4−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド(式(III)))
実施例1〜3及び比較例1〜4
表1に示す配合内容に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、90℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で10分間、0.5mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。得られた加硫ゴム組成物を新品サンプルとした。
(劣化条件)
上記にて作製した新品サンプルを100℃のオーブンで7日間熱劣化させた。得られたものを劣化サンプルとした。
得られた新品サンプル、劣化サンプルを使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表1に示す。表1の硬度、膨潤、M100では、新品サンプルを100としたときの劣化サンプルの値を指数化して示しており、100に近いほど新品に比べて硬化劣化が硬度、膨潤、M100で少なく、良好であることを示す。
<硬度>
作製したサンプルを用いてゴムの硬度をJIS K6253に準拠し、25℃の温度で硬度計を用いて測定した(ショア−A測定)。数値が大きいほど硬いことを示す。
<膨潤率>
作製したサンプルの浸漬試験をJIS K6258に準拠して実施し、40℃のトルエンに24時間浸漬し、膨潤させた後のサンプルの体積を測定し、体積変化より算出した。数値が小さいほど架橋密度が高いことを示す。
<100%伸張時の応力(M100)>
作製したサンプルからなる3号ダンベル型試験片を用いて、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準拠し、引張り速度500mm/分で引張試験を実施した。23℃における100%伸張時の応力(M100(MPa))を測定した。数値の大きい方が弾性率が高く硬いことを示す。また、M100は架橋密度の指標にもなる。
<接着性>
未加硫ゴム組成物とスチールコードとを貼り合わせ、160℃の条件化で30分間加硫した後、ゴム/スチールコードの接着試験を実施し、温度80℃、湿度95%の条件下で150時間、湿熱劣化したのちのスチールコード表面のゴム被覆率(%)を測定した。ゴム被覆率は、スチールコードとゴム間を剥離したときの剥離面のゴムの覆われている割合を指数表示した。5は100%全面が覆われ、0は全く覆われていない状態を示す。
Figure 0005563233
表1により、シリカ、NRに4m−MBTSを配合したゴムにおいて、DZやNSなどの従来の促進剤を配合したゴムに比べ、硬化劣化の抑制(特に、100%伸張時の応力、接着性)効果を改善することができた。
また、NR100質量部に4m−MBTSを配合したゴムにおいて、シリカ/カーボンブラックを60/0,30/30と変化させ、フィラー効果を調べると、シリカ量が多い系において、硬化劣化の改善は有意に大きかった。
また、例えば、実施例1(NR/シリカ/4m−MBTS)、比較例1(NR/シリカ/NS)の結果と、比較例3(SBR/シリカ/4m−MBTS)、比較例4(SBR/シリカ/NS)の結果を対比すると、NR/シリカ/4m−MBTS系の場合に、相乗的に硬化劣化抑制効果が発現していることが示されている。

Claims (7)

  1. イソプレン系ゴムを含むゴム成分と、シリカと、下記式(I)及び/又は(II)で表される化合物とを含有し、
    該シリカの含有量が、ゴム成分100質量部に対して10〜70質量部である
    スチールコード接着用ゴム組成物。
    Figure 0005563233
    (式(I)、(II)において、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。但し、R及びRが同時に水素原子である場合を除く。)
  2. 前記イソプレン系ゴムの含有量は、前記ゴム成分100質量%中、30質量%以上である請求項1記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
  3. 前記イソプレン系ゴムがイソプレンゴム、天然ゴム及び改質天然ゴムからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
  4. 前記化合物が下記式(III)で表される化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
    Figure 0005563233
  5. 前記シリカの窒素吸着比表面積が50〜200m/gである請求項1〜4のいずれかに記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
  6. 前記ゴム成分100質量部に対して、酸化亜鉛を8〜20質量部、及び有機酸コバルトを含有する請求項1〜5のいずれかに記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
  7. スチールコードを請求項1〜6のいずれかに記載のスチールコード接着用ゴム組成物により被覆して得られるベルトを有する空気入りタイヤ。
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