JP4543545B2 - 圧電薄膜共振子の電極構造の形成方法 - Google Patents
圧電薄膜共振子の電極構造の形成方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4543545B2 JP4543545B2 JP2000374361A JP2000374361A JP4543545B2 JP 4543545 B2 JP4543545 B2 JP 4543545B2 JP 2000374361 A JP2000374361 A JP 2000374361A JP 2000374361 A JP2000374361 A JP 2000374361A JP 4543545 B2 JP4543545 B2 JP 4543545B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- tio
- forming
- substrate
- layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Physical Vapour Deposition (AREA)
- Formation Of Insulating Films (AREA)
- Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、電極構造の形成方法に関し、詳しくは、基板上に下部電極膜、圧電薄膜、上部電極膜を順に積層形成してなる圧電薄膜共振子の電極構造の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ペロブスカイト型の結晶構造を有する酸化物材料には、Pb(Zr,Ti)O3、BaTiO3、リラクサー材料など、優れた圧電特性を有するものが多く、これらペロブスカイト型酸化物材料を薄膜化して圧電共振子(圧電薄膜共振子)に応用する試みが広く行われており、基板上に下部電極膜、圧電薄膜、上部電極膜を順に積層形成してなる圧電薄膜共振子が開発されるに至っている。
【0003】
ところで、ペロブスカイト型酸化物材料の圧電特性を十分に引き出すためには、圧電薄膜を結晶化するとともに、圧電薄膜を配向させることが必要であるが、通常、圧電薄膜の結晶化温度は400℃以上と高く、基板上に形成される下部電極膜と圧電薄膜との相互拡散が問題となる。
【0004】
なお、下部電極膜としては、通常、導電率の高いAu、Al、Pt、Pdなどからなる金属膜が用いられるが、基板との密着性を確保するために、下部電極膜と基板との間にTi膜を接着層として介在させることが多い。
【0005】
このTi膜は、基板と下部電極膜の密着性を向上させ、下部電極膜の剥離防止に大きく貢献するが、圧電薄膜を高温条件下で成膜する工程で著しい相互拡散を生じ、圧電薄膜の絶縁性を劣化させるという深刻な問題を引き起こす。
【0006】
このような問題を解消するために、特開平8−213560号では、接着層を構成する材料として、RuO2やIrO2などの酸化物が提案され、電気特性の改善が図られている。
また、特開平8−45781号には、TiO2が有効な接着層となり得ることが開示されている。
【0007】
しかしながら、RuO2、IrO2あるいは、TiO2などの酸化物材料を接着層を構成する材料として用いた場合、基板と下部電極膜の密着力が、金属Ti膜を接着層として用いた場合よりも小さくなり、圧電共振子の信頼性が不十分になるという懸念があり、将来において、実用上の障害となることが考えられる。
【0008】
本願発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、接着層との相互拡散がなく、基板への密着力に優れた下部電極膜を備えた圧電薄膜共振子の電極構造の形成方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願発明(請求項1)の電極構造の形成方法は、
基板上に下部電極膜、圧電薄膜、上部電極膜を順に積層形成してなる圧電薄膜共振子の電極構造の形成方法において、
前記基板上に、接着層として機能する、酸素組成Xの値が膜厚方向に連続的に変化するTiOX(0≦X≦2)膜を形成する工程であって、前記基板と接する界面におけるTiO X (0≦X≦2)膜の組成である初期組成がTiであり、成膜の進行に伴って酸素組成Xの値が大きくなり、前記下部電極膜と接する界面におけるTiO X (0≦X≦2)膜の組成である最終組成がTiO 2 となるようにTiO X (0≦X≦2)膜を形成する工程と、
前記TiOX(0≦X≦2)膜上に前記下部電極膜を形成する工程と
を具備することを特徴としている。
【0010】
本願発明(請求項1)の電極構造の形成方法は、基板上に、接着層として機能する、酸素組成Xの値が膜厚方向に連続的に変化するTiOX(0≦X≦2)膜を形成する工程と、TiOX(0≦X≦2)膜上に下部電極膜を形成する工程とを備えているとともに、酸素組成Xの値を膜厚方向に連続的に変化させるにあたって、TiO X (0≦X≦2)膜の、基板と接する界面の組成(初期組成)がTi(すなわち、酸素組成Xが0の金属Ti)であり、下部電極膜と接する界面の組成(最終組成)がTiO 2 (すなわち、酸素組成Xが2のTi酸化物)であるような態様で変化させるようにしているので、膜厚方向の所定の位置では金属Tiの割合を高くする(すなわち、酸素組成Xの値を小さくする)ことにより密着性を向上させることが可能になる一方、膜厚方向の他の所定の位置ではTi酸化物の割合を高くする(すなわち、酸素組成Xの値を大きくする)ことにより、十分なバリア性を確保することができる。その結果、特性が良好で、電極の密着性に優れた信頼性の高い圧電薄膜共振子を得ることが可能になる。
【0011】
また、請求項2の電極構造の形成方法は、前記TiOX(0≦X≦2)膜を、真空蒸着法、マグネトロンスパッタリング法、及びレーザーアブレーション法からなる群より選ばれる少なくとも1つの方法により成膜するとともに、TiOX(0≦X≦2)膜の成膜工程における酸化ガスの流量を調整することによって酸素組成Xの値を制御し、酸素組成Xの値を膜厚方向に連続的に変化させるようにしたことを特徴としている。
【0012】
TiOX(0≦X≦2)膜を、真空蒸着法、マグネトロンスパッタリング法、及びレーザーアブレーション法からなる群より選ばれる少なくとも1つの方法により形成するとともに、TiOX(0≦X≦2)膜の成膜工程における酸化ガスの流量を調整することによって酸素組成Xの値を制御し、酸素組成Xの値を膜厚方向に連続的に変化させるようにした場合、膜厚方向の所定の位置では金属Tiの割合を高くする(すなわち、酸素組成Xの値を小さくする)ことにより密着性を向上させることが可能になる一方、膜厚方向の他の所定の位置ではTi酸化物の割合を高くする(すなわち、酸素組成Xの値を大きくする)ことにより、十分なバリア性を確保することができる。その結果、特性が良好で、電極の密着性に優れた信頼性の高い圧電薄膜共振子を得ることが可能になる。
【0013】
また、請求項3の電極構造の形成方法は、金属Ti単層膜を、真空蒸着法、マグネトロンスパッタリング法、及びレーザーアブレーション法からなる群より選ばれる少なくとも1つの方法により形成した後、酸素雰囲気中又は大気中で熱処理を行って金属Ti単層膜を酸化させることにより、酸素組成Xの値が膜厚方向に連続的に変化するTiOX(0≦X≦2)膜を形成することを特徴としている。
【0014】
金属Ti単層膜を、真空蒸着法、マグネトロンスパッタリング法、及びレーザーアブレーション法からなる群より選ばれる少なくとも1つの方法により形成した後、酸素雰囲気中又は大気中で熱処理を行って金属Ti単層膜を酸化させ、酸素組成Xの値が膜厚方向に連続的に変化するTiOX(0≦X≦2)膜を形成するようにした場合にも、酸素組成Xの値を制御して、膜厚方向の所定の位置では金属Tiの割合を高くすることにより密着性を向上させることが可能になる一方、膜厚方向の他の所定の位置ではTi酸化物の割合を高くすることにより、十分なバリア性を確保することができる。その結果、特性が良好で、電極の密着性に優れた信頼性の高い圧電薄膜共振子を得ることが可能になる。
【0015】
また、請求項4の電極構造の形成方法は、前記TiOX(0≦X≦2)膜上に前記下部電極膜を形成する工程において、Pt、Au、Al、及びPdからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属からなる単層膜、又は、該少なくとも1種の金属からなる単層膜を2以上組み合わせた多層構造膜を形成することを特徴としている。
【0016】
本願発明の電極構造の形成方法においては、下部電極膜の構成材料及び下部電極膜の構成については特別の制約はないが、下部電極膜の構成材料として、Pt、Au、Al、及びPdからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を用い、下部電極膜を、これらの金属からなる単層膜、あるいは、かかる単層膜を2以上組み合わせた多層構造膜とすることにより、基板への密着性が良好で、所望の特性を備えた信頼性の高い圧電薄膜共振子を確実に得ることが可能になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の圧電薄膜共振子の電極構造及び電極構造の形成方法についての実施の形態を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
なお、以下の各実施形態では、図1(a),(b)に示すように、表面がSiO2膜2により被覆され、振動部6に対応する部分の裏面側には、振動部6の振動を阻害しないように、エッチングによりダイヤフラム部7が設けられた基板(Si基板)1上に、下部電極膜3,圧電薄膜4、上部電極膜5を順に積層形成してなる圧電薄膜共振子における電極構造及びその形成方法を例にとって説明する。
【0018】
[実施形態1]
(1)まず、基板として、熱酸化することによりSiの表面を膜厚500nmのSiO2膜で被覆した基板(Si基板)を用意する。
(2)そして、この基板をマグネトロンスパッタリング装置の基板ホルダーに取り付け、背圧5×10-5Pa程度まで真空吸引を行った後、Arガスをチャンバー内に導入する。
(3)それから、金属Tiをターゲットとして用い、Arガス圧を0.1〜0.5Paとして、時間制御により膜厚10nmのTi膜を形成する。
(4)それから、放電を継続したままチャンバー内にO2ガスを導入し、反応性スパッタリングによりTiOx膜の成膜を開始する。初期のO2ガス流量はAr20SCCMに対して1SCCMとし、その後連続的にO2ガス流量を10SCCMまで増加させることにより、全膜厚が50nmのTiOx膜を成膜する。
(5)そして、この時点で一旦放電を停止し、カソードをPtに切り替えた後、再びArガスを導入して下部電極膜であるPt膜(膜厚200nm)の成膜を行う。
【0019】
これにより、図2に示すように、表面がSiO2膜2により被覆された基板1上に、接着層として機能するTiOX(0≦X≦2)膜11、すなわち、Ti層(X=0)(最下層)12、TiOx層(0<X<2)(中間層)13、TiO2層(X=2)(表面層)14が連続して成膜されたTiOX(0≦X≦2)膜(接着層)11が形成され、さらに、接着層11上に、下層電極膜であるPt電極膜3が形成された電極構造が形成される。
そして、このPt電極膜3の上に圧電薄膜4、上部電極膜5を順次形成することにより、図1に示すような圧電薄膜共振子が形成される。
【0020】
[特性の確認]
(1)Pt電極膜へのTiの拡散の有無の確認
上記実施形態の方法により形成したPt電極膜に真空中で熱処理を施し、TiO2(0≦X≦2)膜との間の相互拡散の状態を調べた。なお、熱処理温度(アニール温度)は、圧電薄膜(ペロブスカイト型圧電材料)の結晶化温度を考慮して500℃とした。
そして、アニール後におけるPt電極膜中へのTiの拡散状態を、オージェ電子分光の深さ方向組成分析により調べた結果、Pt電極膜中へのTiの拡散はまったく認められないことが確認された。
【0021】
(2)密着性評価試験
Pt電極膜(下部電極膜)の基板への密着性を調べるため、Pt電極膜が形成された基板上に、密着強度評価用のテープを貼り付けた後、テープを基板に対して直角を保ったまま剥がして行くテープ剥離試験を行った。
このテープ剥離試験において、下部電極膜のハガレはまったく発生せず、十分な密着性を有していることが確認された。
【0022】
以上の結果から、TiOX(0≦X≦2)膜11を構成するTiO2層(表面層)14及びTiOx層(中間層)13により相互拡散が防止されるとともに、金属Ti層(最下層)12により下部電極膜の密着性が確保され、本願発明の目的が達成されることが確認された。
【0023】
[実施形態2]
(1)まず、基板として、熱酸化することによりSiの表面を膜厚500nmのSiO2膜で被覆した基板(Si基板)を用意する。
(2)そして、この基板をマグネトロンスパッタリング装置の基板ホルダーに取り付け、背圧5×10-5Pa程度まで真空吸引を行った後、Arガスをチャンバー内に導入する。
(3)それから、金属Tiをターゲットとして用い、Arガス圧を0.1〜0.5Paとして、時間制御により膜厚50nmのTi単層膜を形成した後、一旦放電を停止する。
(4)そして、放電を停止した状態で、チャンバー内にO2ガスを導入し、輻射式ヒータを用いてTi単層膜の表面を加熱して、表面にTi酸化膜を形成した後、O2の導入を停止する。
(5)次いで、カソードをPtに切り替えた後、再びArガスを導入して下部電極膜であるPt膜(膜厚200nm)の成膜を行う。
【0024】
これにより、上記実施形態1の場合と同様(図2参照)に、表面がSiO2膜2により被覆された基板1上に、接着層として機能するTiOX(0≦X≦2)膜11が形成され、さらに、接着層11上に、下層電極膜であるPt電極膜3が形成された電極構造が形成される。
そして、このPt電極膜3の上に圧電薄膜4、上部電極膜5を順次形成することにより、図1に示すような圧電薄膜共振子が形成される。
【0025】
また、特性を確認するため、上記実施形態1の場合と同様にして、Pt電極膜へのTiの拡散の有無及び、基板へのPt電極膜の密着性を調べた結果、上記実施形態1の場合と同様に、TiOX(0≦X≦2)膜11を構成するTiO2層(表面層)14及びTiOx層(中間層)13により相互拡散が防止されるとともに、金属Ti層(最下層)12により下部電極膜の密着性が確保され、本願発明の目的が達成されることが確認された。
【0026】
[実施形態3]
(1)まず、基板として、熱酸化することによりSiの表面を膜厚500nmのSiO2膜で被覆した基板(Si基板)を用意する。
(2)そして、この基板をマグネトロンスパッタリング装置の基板ホルダーに取り付け、背圧5×10-5Pa程度まで真空吸引を行った後、Arガスをチャンバー内に導入する。
(3)それから、金属Tiをターゲットとして用い、Arガス圧を0.1〜0.5Paとして、時間制御により膜厚50nmのTi単層膜を形成した後、放電を停止し、表面にTi単層膜が形成された基板を一旦チャンバーから取り出す。
(4)そして、取り出された基板をオーブンに入れて、大気中でアニールを施し、Ti単層膜の表面にTi酸化膜を形成する。
(5)次いで、カソードをPtに切り替えた後、再びArガスを導入して下部電極層であるPt膜(膜厚200nm)の成膜を行う。
【0027】
これにより、上記実施形態1の場合と同様(図2参照)に、表面がSiO2膜2により被覆された基板1上に、接着層として機能するTiOX(0≦X≦2)膜11が形成され、さらに、接着層11上に、下層電極膜であるPt電極膜3が形成された電極構造が形成される。
そして、このPt電極膜3の上に圧電薄膜4、上部電極膜5を順次形成することにより、図1に示すような圧電薄膜共振子が形成される。
【0028】
また、特性を確認するため、上記実施形態1の場合と同様にして、Pt電極膜へのTiの拡散の有無及び、基板へのPt電極膜の密着性を調べた結果、上記実施形態1の場合と同様に、TiOX(0≦X≦2)膜11を構成するTiO2層(表面層)14及びTiOx層(中間層)13により相互拡散が防止されるとともに、金属Ti層(最下層)12により下部電極膜の密着性が確保され、本願発明の目的が達成されることが確認された。
【0029】
なお、上記実施形態1〜3では、下部電極膜がPt電極膜の単層膜である場合を例にとって説明したが、下部電極膜を構成する材料としては、Pt、Au、Al、Pdなどの種々の材料を用いることが可能である。また、電極膜の構造としては、単層膜としたり、これらの金属からなる単層膜を2以上組み合わせた多層構造膜としたりすることが可能である。
【0030】
なお、本願発明は、上記実施形態1〜3に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0031】
【発明の効果】
上述のように、本願発明(請求項1)の圧電薄膜共振子の電極構造の形成方法は、基板上に、接着層として機能する、酸素組成Xの値が膜厚方向に連続的に変化するTiOX(0≦X≦2)膜を形成する工程と、TiOX(0≦X≦2)膜上に下部電極膜を形成する工程とを備えているとともに、酸素組成Xの値を膜厚方向に連続的に変化させるにあたって、TiO X (0≦X≦2)膜の、基板と接する界面の組成(初期組成)がTi(すなわち、酸素組成Xが0の金属Ti)であり、下部電極膜と接する界面の組成(最終組成)がTiO 2 (すなわち、酸素組成Xが2のTi酸化物)であるような態様で変化させるようにしているので、膜厚方向の所定の位置では金属Tiの割合を高くする(すなわち、酸素組成Xの値を小さくする)ことにより密着性を向上させることが可能になる一方、膜厚方向の他の所定の位置ではTi酸化物の割合を高くする(すなわち、酸素組成Xの値を大きくする)ことにより、十分なバリア性を確保することができる。その結果、特性が良好で、電極の密着性に優れた信頼性の高い圧電薄膜共振子を得ることが可能になる。
【0032】
また、請求項2の電極構造の形成方法のように、TiOX(0≦X≦2)膜を、真空蒸着法、マグネトロンスパッタリング法、及びレーザーアブレーション法からなる群より選ばれる少なくとも1つの方法により形成するとともに、TiOX(0≦X≦2)膜の成膜工程における酸化ガスの流量を調整することによって酸素組成Xの値を制御し、酸素組成Xの値を膜厚方向に連続的に変化させるようにした場合、膜厚方向の所定の位置では金属Tiの割合を高くする(すなわち、酸素組成Xの値を小さくする)ことにより密着性を向上させることが可能になる一方、膜厚方向の他の所定の位置ではTi酸化物の割合を高くする(すなわち、酸素組成Xの値を大きくする)ことにより、十分なバリア性を確保することができる。その結果、特性が良好で、電極の密着性に優れた信頼性の高い圧電薄膜共振子を得ることが可能になる。
【0033】
また、請求項3の電極構造の形成方法のように、金属Ti単層膜を、真空蒸着法、マグネトロンスパッタリング法、及びレーザーアブレーション法からなる群より選ばれる少なくとも1つの方法により形成した後、酸素雰囲気中又は大気中で熱処理を行って金属Ti単層膜を酸化させ、酸素組成Xの値が膜厚方向に連続的に変化するTiOX(0≦X≦2)膜を形成するようにした場合にも、酸素組成Xの値を制御して、膜厚方向の所定の位置では金属Tiの割合を高くすることにより密着性を向上させることが可能になる一方、膜厚方向の他の所定の位置ではTi酸化物の割合を高くすることにより、十分なバリア性を確保することができる。その結果、特性が良好で、電極の密着性に優れた信頼性の高い圧電薄膜共振子を得ることが可能になる。
【0034】
また、請求項4の電極構造の形成方法のように、下部電極膜の構成材料として、Pt、Au、Al、及びPdからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を用い、下部電極膜を、これらの金属からなる単層膜、あるいは、かかる単層膜を2以上組み合わせた多層構造膜とするようにした場合、基板への密着性が良好で、所望の特性を備えた信頼性の高い圧電薄膜共振子を確実に得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の電極構造の形成方法により形成された下部電極膜を備えた圧電薄膜共振子の構造を示す図であり、(a)は正面断面図、(b)は平面図である。
【図2】 本願発明の一実施形態にかかる方法で形成された電極構造を備えた圧電薄膜共振子の下部電極膜の構造を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板(Si基板)
2 SiO2膜
3 Pt電極膜(下部電極膜)
4 圧電薄膜
5 上部電極膜
6 振動部
7 ダイヤフラム部
11 TiOX(0≦X≦2)膜(接着層)
12 Ti層(最下層)
13 TiOx層(中間層)
14 TiO2層(表面層)
Claims (4)
- 基板上に下部電極膜、圧電薄膜、上部電極膜を順に積層形成してなる圧電薄膜共振子の電極構造の形成方法において、
前記基板上に、接着層として機能する、酸素組成Xの値が膜厚方向に連続的に変化するTiOX(0≦X≦2)膜を形成する工程であって、前記基板と接する界面におけるTiO X (0≦X≦2)膜の組成である初期組成がTiであり、成膜の進行に伴って酸素組成Xの値が大きくなり、前記下部電極膜と接する界面におけるTiO X (0≦X≦2)膜の組成である最終組成がTiO 2 となるようにTiO X (0≦X≦2)膜を形成する工程と、
前記TiOX(0≦X≦2)膜上に前記下部電極膜を形成する工程と
を具備することを特徴とする電極構造の形成方法。 - 前記TiOX(0≦X≦2)膜を、真空蒸着法、マグネトロンスパッタリング法、及びレーザーアブレーション法からなる群より選ばれる少なくとも1つの方法により成膜するとともに、TiOX(0≦X≦2)膜の成膜工程における酸化ガスの流量を調整することによって酸素組成Xの値を制御し、酸素組成Xの値を膜厚方向に連続的に変化させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の電極構造の形成方法。
- 金属Ti単層膜を、真空蒸着法、マグネトロンスパッタリング法、及びレーザーアブレーション法からなる群より選ばれる少なくとも1つの方法により形成した後、酸素雰囲気中又は大気中で熱処理を行って金属Ti単層膜を酸化させることにより、酸素組成Xの値が膜厚方向に連続的に変化するTiOX(0≦X≦2)膜を形成することを特徴とする請求項1記載の電極構造の形成方法。
- 前記TiOX(0≦X≦2)膜上に前記下部電極膜を形成する工程において、Pt、Au、Al、及びPdからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属からなる単層膜、又は、該少なくとも1種の金属からなる単層膜を2以上組み合わせた多層構造膜を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電極構造の形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000374361A JP4543545B2 (ja) | 2000-12-08 | 2000-12-08 | 圧電薄膜共振子の電極構造の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000374361A JP4543545B2 (ja) | 2000-12-08 | 2000-12-08 | 圧電薄膜共振子の電極構造の形成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002185285A JP2002185285A (ja) | 2002-06-28 |
JP4543545B2 true JP4543545B2 (ja) | 2010-09-15 |
Family
ID=18843563
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000374361A Expired - Lifetime JP4543545B2 (ja) | 2000-12-08 | 2000-12-08 | 圧電薄膜共振子の電極構造の形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4543545B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005056870A1 (ja) * | 2003-12-09 | 2005-06-23 | Asahi Glass Company, Limited | 可視光で光触媒活性を有するTi酸化物膜およびその製造方法 |
DE102005057214A1 (de) * | 2005-11-29 | 2007-06-14 | Justus-Liebig-Universität Giessen | Erfindung betreffend Gassensoren |
JP2008258516A (ja) | 2007-04-09 | 2008-10-23 | Funai Electric Co Ltd | 圧電素子及び結晶質セラミックスの成膜方法 |
JP5590828B2 (ja) * | 2008-07-28 | 2014-09-17 | キヤノン株式会社 | 光学素子の製造方法および光学素子 |
JP2012174955A (ja) | 2011-02-23 | 2012-09-10 | Stanley Electric Co Ltd | 圧電アクチュエータ及びその製造方法 |
JP6786796B2 (ja) * | 2015-12-18 | 2020-11-18 | セイコーエプソン株式会社 | 電子デバイス、電子デバイスの製造方法、電子機器および移動体 |
GB2586635B (en) * | 2019-08-30 | 2024-01-24 | Dyson Technology Ltd | Deposition system |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5438231A (en) * | 1993-08-23 | 1995-08-01 | Rockwell International Corporation | Thin film micromechanical resonator gyro |
JP2000244030A (ja) * | 1999-02-23 | 2000-09-08 | Mitsubishi Electric Corp | 圧電体薄膜素子 |
-
2000
- 2000-12-08 JP JP2000374361A patent/JP4543545B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002185285A (ja) | 2002-06-28 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4289641B2 (ja) | 強誘電体キャパシタおよびその製造方法 | |
EP0855738B1 (en) | Method of depositing a platinum film for capacitor electrode | |
KR100386539B1 (ko) | 산화된 내열 금속 동반 장벽을 갖는 복합체 이리듐 장벽구조 및 그의 제조방법 | |
KR100503952B1 (ko) | 전자 부품의 제조 방법, 전자 부품 및 탄성표면파 필터 | |
JP4218350B2 (ja) | 強誘電体薄膜素子およびその製造方法、これを用いた薄膜コンデンサ並びに圧電アクチュエータ | |
JP5267251B2 (ja) | 薄膜コンデンサ、及び薄膜コンデンサの製造方法 | |
KR20110120342A (ko) | 스퍼터링된 압전 재료 | |
JP4543545B2 (ja) | 圧電薄膜共振子の電極構造の形成方法 | |
JP2006521224A (ja) | 積層構造体の製造方法 | |
JP2002043644A (ja) | 薄膜圧電素子 | |
JP3594787B2 (ja) | 半導体装置及びその製造方法 | |
JP4144043B2 (ja) | 圧電体薄膜素子の製造方法 | |
JP4029162B2 (ja) | 圧電素子の製造方法 | |
JP3122759B2 (ja) | 金属−セラミックス積層薄膜および同薄膜の形成方法 | |
JPH11348277A (ja) | インクジェットプリンタヘッド | |
JPH0670258U (ja) | 圧電体素子 | |
JPH11243032A (ja) | 薄膜コンデンサ | |
JP7464360B2 (ja) | 圧電積層体、圧電素子および圧電積層体の製造方法 | |
KR100437071B1 (ko) | Fram 및 dram용 고온 전극 및 배리어 구조 | |
JPH01321615A (ja) | 電極 | |
JPH0745402A (ja) | 積層ptcサーミスタ | |
JP2002299578A (ja) | 強誘電体薄膜素子の製造方法ならびに強誘電体薄膜素子 | |
JP2024034606A (ja) | Pzt薄膜積層体の成膜方法およびpzt薄膜積層体 | |
WO2008075641A1 (ja) | 多層膜形成方法及び多層膜形成装置 | |
CN115734698A (zh) | 压电层叠体及压电元件 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070920 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100126 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100326 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100608 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100621 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130709 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 4543545 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |