JP2002185285A - 圧電薄膜共振子の電極構造及びその形成方法 - Google Patents
圧電薄膜共振子の電極構造及びその形成方法Info
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- JP2002185285A JP2002185285A JP2000374361A JP2000374361A JP2002185285A JP 2002185285 A JP2002185285 A JP 2002185285A JP 2000374361 A JP2000374361 A JP 2000374361A JP 2000374361 A JP2000374361 A JP 2000374361A JP 2002185285 A JP2002185285 A JP 2002185285A
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Abstract
に優れた下部電極膜を備えた圧電薄膜共振子の電極構造
及びその形成方法を提供する。 【解決手段】 接着層として機能するTiOX(0≦X
≦2)膜11を介して、Pt電極膜(下部電極膜)3を
基板1上に配設するとともに、TiOX膜11の酸素組
成Xの値を、基板1側からPt電極膜(下部電極膜)3
側に向かって、膜厚方向に連続的に変化させる。また、
TiOX(0≦X≦2)膜11の、基板1と接する界面
の組成(初期組成)がTiであり、Pt電極膜(下部電
極膜)3と接する界面の組成(最終組成)がTiO2で
あるように、TiOX(0≦X≦2)膜11の組成を制
御する。
Description
し、詳しくは、基板上に下部電極膜、圧電薄膜、上部電
極膜を順に積層形成してなる圧電薄膜共振子の電極構造
及びその形成方法に関する。
スカイト型の結晶構造を有する酸化物材料には、Pb
(Zr,Ti)O 3、BaTiO3、リラクサー材料な
ど、優れた圧電特性を有するものが多く、これらペロブ
スカイト型酸化物材料を薄膜化して圧電共振子(圧電薄
膜共振子)に応用する試みが広く行われており、基板上
に下部電極膜、圧電薄膜、上部電極膜を順に積層形成し
てなる圧電薄膜共振子が開発されるに至っている。
圧電特性を十分に引き出すためには、圧電薄膜を結晶化
するとともに、圧電薄膜を配向させることが必要である
が、通常、圧電薄膜の結晶化温度は400℃以上と高
く、基板上に形成される下部電極膜と圧電薄膜との相互
拡散が問題となる。
の高いAu、Al、Pt、Pdなどからなる金属膜が用
いられるが、基板との密着性を確保するために、下部電
極膜と基板との間にTi膜を接着層として介在させるこ
とが多い。
を向上させ、下部電極膜の剥離防止に大きく貢献する
が、圧電薄膜を高温条件下で成膜する工程で著しい相互
拡散を生じ、圧電薄膜の絶縁性を劣化させるという深刻
な問題を引き起こす。
8−213560号では、接着層を構成する材料とし
て、RuO2やIrO2などの酸化物が提案され、電気特
性の改善が図られている。また、特開平8−45781
号には、TiO2が有効な接着層となり得ることが開示
されている。
は、TiO2などの酸化物材料を接着層を構成する材料
として用いた場合、基板と下部電極膜の密着力が、金属
Ti膜を接着層として用いた場合よりも小さくなり、圧
電共振子の信頼性が不十分になるという懸念があり、将
来において、実用上の障害となることが考えられる。
ものであり、接着層との相互拡散がなく、基板への密着
力に優れた下部電極膜を備えた圧電薄膜共振子の電極構
造及びその形成方法を提供することを目的とする。
に、本願発明(請求項1)の圧電薄膜共振子の電極構造
は、基板上に下部電極膜、圧電薄膜、上部電極膜を順に
積層形成してなる圧電薄膜共振子の電極構造であって、
前記下部電極膜が、接着層として機能するTiOX(0
≦X≦2)膜を介して基板上に配設されており、かつ、
前記TiOX膜の酸素組成Xの値が、前記基板側から前
記下部電極膜側に向かって、膜厚方向に連続的に変化し
ていることを特徴としている。
電極構造は、接着層として機能するTiOX(0≦X≦
2)膜を介して、下部電極膜を基板上に配設するととも
に、TiOX膜の酸素組成Xの値を、基板側から下部電
極膜側に向かって、膜厚方向に連続的に変化させるよう
にしており、膜厚方向の所定の位置では金属Tiの割合
を高くする(すなわち、酸素組成Xの値を小さくする)
ことにより密着性を向上させることが可能になる一方、
膜厚方向の他の所定の位置ではTi酸化物の割合を高く
する(すなわち、酸素組成Xの値を大きくする)ことに
より、十分なバリア性を確保することができる。その結
果、特性が良好で、電極の密着性に優れた信頼性の高い
圧電薄膜共振子を得ることが可能になる。
造は、前記TiOX(0≦X≦2)膜の、前記基板と接
する界面の組成(初期組成)がTiであり、前記下部電
極膜と接する界面の組成(最終組成)がTiO2である
ことを特徴としている。
いては、TiOX膜の、基板と接する界面の組成がTi
(すなわち、酸素組成Xが0の金属Ti)となるように
しているので、下層電極膜の基板への密着性を十分に向
上させることが可能になり、また、下部電極膜と接する
界面の組成が酸化物であるTiO2(すなわち、酸素組
成Xが2のTi酸化物)となるようにしているので、十
分なバリア性を確保することが可能になり、本願発明を
より実効あらしめることができる。
造は、前記下部電極膜が、Pt、Au、Al、及びPd
からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属からなる
単層膜、又は、該少なくとも1種の金属からなる単層膜
を2以上組み合わせた多層構造膜であることを特徴とし
ている。
いては、下部電極膜の構成材料及び下部電極膜の構成に
ついては特別の制約はないが、下部電極膜の構成材料と
して、Pt、Au、Al、及びPdからなる群より選ば
れる少なくとも1種の金属を用い、下部電極膜を、これ
らの金属からなる単層膜、あるいは、かかる単層膜を2
以上組み合わせた多層構造膜とした場合、基板への密着
性が良好な電極を備え、かつ、所望の特性を備えた信頼
性の高い圧電薄膜共振子を得ることが可能になる。
形成方法は、基板上に下部電極膜、圧電薄膜、上部電極
膜を順に積層形成してなる圧電薄膜共振子の電極構造の
形成方法であって、前記基板上に、接着層として機能す
る、酸素組成Xの値が膜厚方向に連続的に変化するTi
OX(0≦X≦2)膜を形成する工程と、前記TiO
X(0≦X≦2)膜上に前記下部電極膜を形成する工程
とを具備することを特徴としている。
法は、基板上に、接着層として機能する、酸素組成Xの
値が膜厚方向に連続的に変化するTiOX(0≦X≦
2)膜を形成する工程と、TiOX(0≦X≦2)膜上
に下部電極膜を形成する工程とを備えており、この方法
を用いることにより、本願請求項1〜3のいずれかに記
載の圧電薄膜共振子の電極構造を確実に形成することが
可能になる。
前記TiOX(0≦X≦2)膜を、真空蒸着法、マグネ
トロンスパッタリング法、及びレーザーアブレーション
法からなる群より選ばれる少なくとも1つの方法により
成膜するとともに、TiOX(0≦X≦2)膜の成膜工
程における酸化ガスの流量を調整することによって酸素
組成Xの値を制御し、酸素組成Xの値を膜厚方向に連続
的に変化させるようにしたことを特徴としている。
法、マグネトロンスパッタリング法、及びレーザーアブ
レーション法からなる群より選ばれる少なくとも1つの
方法により形成するとともに、TiOX(0≦X≦2)
膜の成膜工程における酸化ガスの流量を調整することに
よって酸素組成Xの値を制御し、酸素組成Xの値を膜厚
方向に連続的に変化させるようにした場合、膜厚方向の
所定の位置では金属Tiの割合を高くする(すなわち、
酸素組成Xの値を小さくする)ことにより密着性を向上
させることが可能になる一方、膜厚方向の他の所定の位
置ではTi酸化物の割合を高くする(すなわち、酸素組
成Xの値を大きくする)ことにより、十分なバリア性を
確保することができる。その結果、特性が良好で、電極
の密着性に優れた信頼性の高い圧電薄膜共振子を得るこ
とが可能になる。
金属Ti単層膜を、真空蒸着法、マグネトロンスパッタ
リング法、及びレーザーアブレーション法からなる群よ
り選ばれる少なくとも1つの方法により形成した後、酸
素雰囲気中又は大気中で熱処理を行って金属Ti単層膜
を酸化させることにより、酸素組成Xの値が膜厚方向に
連続的に変化するTiOX(0≦X≦2)膜を形成する
ことを特徴としている。
ロンスパッタリング法、及びレーザーアブレーション法
からなる群より選ばれる少なくとも1つの方法により形
成した後、酸素雰囲気中又は大気中で熱処理を行って金
属Ti単層膜を酸化させ、酸素組成Xの値が膜厚方向に
連続的に変化するTiOX(0≦X≦2)膜を形成する
ようにした場合にも、酸素組成Xの値を制御して、膜厚
方向の所定の位置では金属Tiの割合を高くすることに
より密着性を向上させることが可能になる一方、膜厚方
向の他の所定の位置ではTi酸化物の割合を高くするこ
とにより、十分なバリア性を確保することができる。そ
の結果、特性が良好で、電極の密着性に優れた信頼性の
高い圧電薄膜共振子を得ることが可能になる。
前記TiOX(0≦X≦2)膜の酸素組成Xの値を膜厚
方向に連続的に変化させるにあたって、前記基板と接す
る界面におけるTiOX(0≦X≦2)膜の組成(初期
組成)がTiであり、成膜の進行に伴って酸素組成Xの
値が大きくなり、前記下部電極膜と接する界面における
TiOX(0≦X≦2)膜の組成(最終組成)がTiO2
となるように変化させることを特徴としている。
させるにあたって、TiOX(0≦X≦2)膜の、基板
と接する界面の組成(初期組成)がTi(すなわち、酸
素組成Xが0の金属Ti)であり、下部電極膜と接する
界面の組成(最終組成)がTiO2(すなわち、酸素組
成Xが2のTi酸化物)であるような態様で変化させる
ことにより、特性が良好で、電極の密着性に優れた信頼
性の高い圧電薄膜共振子を得ることが可能になる。
前記TiOX(0≦X≦2)膜上に前記下部電極膜を形
成する工程において、Pt、Au、Al、及びPdから
なる群より選ばれる少なくとも1種の金属からなる単層
膜、又は、該少なくとも1種の金属からなる単層膜を2
以上組み合わせた多層構造膜を形成することを特徴とし
ている。
は、下部電極膜の構成材料及び下部電極膜の構成につい
ては特別の制約はないが、下部電極膜の構成材料とし
て、Pt、Au、Al、及びPdからなる群より選ばれ
る少なくとも1種の金属を用い、下部電極膜を、これら
の金属からなる単層膜、あるいは、かかる単層膜を2以
上組み合わせた多層構造膜とすることにより、基板への
密着性が良好で、所望の特性を備えた信頼性の高い圧電
薄膜共振子を確実に得ることが可能になる。
の電極構造及び電極構造の形成方法についての実施の形
態を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明
する。なお、以下の各実施形態では、図1(a),(b)に
示すように、表面がSiO2膜2により被覆され、振動
部6に対応する部分の裏面側には、振動部6の振動を阻
害しないように、エッチングによりダイヤフラム部7が
設けられた基板(Si基板)1上に、下部電極膜3,圧
電薄膜4、上部電極膜5を順に積層形成してなる圧電薄
膜共振子における電極構造及びその形成方法を例にとっ
て説明する。
を膜厚500nmのSiO2膜で被覆した基板(Si基
板)を用意する。 そして、この基板をマグネトロンスパッタリング装置
の基板ホルダーに取り付け、背圧5×10-5Pa程度ま
で真空吸引を行った後、Arガスをチャンバー内に導入
する。 それから、金属Tiをターゲットとして用い、Arガ
ス圧を0.1〜0.5Paとして、時間制御により膜厚
10nmのTi膜を形成する。 それから、放電を継続したままチャンバー内にO2ガ
スを導入し、反応性スパッタリングによりTiOx膜の
成膜を開始する。初期のO2ガス流量はAr20SCCMに
対して1SCCMとし、その後連続的にO2ガス流量を10S
CCMまで増加させることにより、全膜厚が50nmのTi
Ox膜を成膜する。 そして、この時点で一旦放電を停止し、カソードをP
tに切り替えた後、再びArガスを導入して下部電極膜
であるPt膜(膜厚200nm)の成膜を行う。
iO2膜2により被覆された基板1上に、接着層として
機能するTiOX(0≦X≦2)膜11、すなわち、T
i層(X=0)(最下層)12、TiOx層(0<X<
2)(中間層)13、TiO2層(X=2)(表面層)
14が連続して成膜されたTiOX(0≦X≦2)膜
(接着層)11が形成され、さらに、接着層11上に、
下層電極膜であるPt電極膜3が形成された電極構造が
形成される。そして、このPt電極膜3の上に圧電薄膜
4、上部電極膜5を順次形成することにより、図1に示
すような圧電薄膜共振子が形成される。
で熱処理を施し、TiO2(0≦X≦2)膜との間の相
互拡散の状態を調べた。なお、熱処理温度(アニール温
度)は、圧電薄膜(ペロブスカイト型圧電材料)の結晶
化温度を考慮して500℃とした。そして、アニール後
におけるPt電極膜中へのTiの拡散状態を、オージェ
電子分光の深さ方向組成分析により調べた結果、Pt電
極膜中へのTiの拡散はまったく認められないことが確
認された。
め、Pt電極膜が形成された基板上に、密着強度評価用
のテープを貼り付けた後、テープを基板に対して直角を
保ったまま剥がして行くテープ剥離試験を行った。この
テープ剥離試験において、下部電極膜のハガレはまった
く発生せず、十分な密着性を有していることが確認され
た。
膜11を構成するTiO2層(表面層)14及びTiOx
層(中間層)13により相互拡散が防止されるととも
に、金属Ti層(最下層)12により下部電極膜の密着
性が確保され、本願発明の目的が達成されることが確認
された。
を膜厚500nmのSiO2膜で被覆した基板(Si基
板)を用意する。 そして、この基板をマグネトロンスパッタリング装置
の基板ホルダーに取り付け、背圧5×10-5Pa程度ま
で真空吸引を行った後、Arガスをチャンバー内に導入
する。 それから、金属Tiをターゲットとして用い、Arガ
ス圧を0.1〜0.5Paとして、時間制御により膜厚
50nmのTi単層膜を形成した後、一旦放電を停止す
る。 そして、放電を停止した状態で、チャンバー内にO2
ガスを導入し、輻射式ヒータを用いてTi単層膜の表面
を加熱して、表面にTi酸化膜を形成した後、O2の導
入を停止する。 次いで、カソードをPtに切り替えた後、再びArガ
スを導入して下部電極膜であるPt膜(膜厚200nm)
の成膜を行う。
(図2参照)に、表面がSiO2膜2により被覆された
基板1上に、接着層として機能するTiOX(0≦X≦
2)膜11が形成され、さらに、接着層11上に、下層
電極膜であるPt電極膜3が形成された電極構造が形成
される。そして、このPt電極膜3の上に圧電薄膜4、
上部電極膜5を順次形成することにより、図1に示すよ
うな圧電薄膜共振子が形成される。
1の場合と同様にして、Pt電極膜へのTiの拡散の有
無及び、基板へのPt電極膜の密着性を調べた結果、上
記実施形態1の場合と同様に、TiOX(0≦X≦2)
膜11を構成するTiO2層(表面層)14及びTiOx
層(中間層)13により相互拡散が防止されるととも
に、金属Ti層(最下層)12により下部電極膜の密着
性が確保され、本願発明の目的が達成されることが確認
された。
を膜厚500nmのSiO2膜で被覆した基板(Si基
板)を用意する。 そして、この基板をマグネトロンスパッタリング装置
の基板ホルダーに取り付け、背圧5×10-5Pa程度ま
で真空吸引を行った後、Arガスをチャンバー内に導入
する。 それから、金属Tiをターゲットとして用い、Arガ
ス圧を0.1〜0.5Paとして、時間制御により膜厚
50nmのTi単層膜を形成した後、放電を停止し、表面
にTi単層膜が形成された基板を一旦チャンバーから取
り出す。 そして、取り出された基板をオーブンに入れて、大気
中でアニールを施し、Ti単層膜の表面にTi酸化膜を
形成する。 次いで、カソードをPtに切り替えた後、再びArガ
スを導入して下部電極層であるPt膜(膜厚200nm)
の成膜を行う。
(図2参照)に、表面がSiO2膜2により被覆された
基板1上に、接着層として機能するTiOX(0≦X≦
2)膜11が形成され、さらに、接着層11上に、下層
電極膜であるPt電極膜3が形成された電極構造が形成
される。そして、このPt電極膜3の上に圧電薄膜4、
上部電極膜5を順次形成することにより、図1に示すよ
うな圧電薄膜共振子が形成される。
1の場合と同様にして、Pt電極膜へのTiの拡散の有
無及び、基板へのPt電極膜の密着性を調べた結果、上
記実施形態1の場合と同様に、TiOX(0≦X≦2)
膜11を構成するTiO2層(表面層)14及びTiOx
層(中間層)13により相互拡散が防止されるととも
に、金属Ti層(最下層)12により下部電極膜の密着
性が確保され、本願発明の目的が達成されることが確認
された。
膜がPt電極膜の単層膜である場合を例にとって説明し
たが、下部電極膜を構成する材料としては、Pt、A
u、Al、Pdなどの種々の材料を用いることが可能で
ある。また、電極膜の構造としては、単層膜としたり、
これらの金属からなる単層膜を2以上組み合わせた多層
構造膜としたりすることが可能である。
限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内におい
て、種々の応用、変形を加えることが可能である。
圧電薄膜共振子の電極構造は、接着層として機能するT
iOX(0≦X≦2)膜を介して、下部電極膜を基板上
に配設するとともに、TiOX膜の酸素組成Xの値を、
基板側から下部電極膜側に向かって、膜厚方向に連続的
に変化させるようにしているので、膜厚方向の所定の位
置では金属Tiの割合を高くして(すなわち、酸素組成
Xの値を小さくして)、密着性を向上させることが可能
になる一方、膜厚方向の他の所定の位置ではTi酸化物
の割合を高くする(すなわち、酸素組成Xの値を大きく
する)ことにより、十分なバリア性を確保することがで
きる。その結果、特性が良好で、電極の密着性に優れた
信頼性の高い圧電薄膜共振子を得ることが可能になる。
造のように、TiOX(0≦X≦2)膜の、基板と接す
る界面の組成(初期組成)がTiであり、下部電極膜と
接する界面の組成(最終組成)がTiO2であるよう
に、TiOX(0≦X≦2)膜の組成を制御するように
した場合、下層電極膜の基板への密着性を十分に向上さ
せることが可能になるとともに、十分なバリア性を確保
することが可能になり、本願発明をより実効あらしめる
ことができる。
造のように、下部電極膜の構成材料として、Pt、A
u、Al、及びPdからなる群より選ばれる少なくとも
1種の金属を用い、下部電極膜を、これらの金属からな
る単層膜、あるいは、かかる単層膜を2以上組み合わせ
た多層構造膜とした場合、基板への密着性が良好な電極
を備え、かつ、所望の特性を備えた信頼性の高い圧電薄
膜共振子を得ることができるようになる。
形成方法は、基板上に、接着層として機能する、酸素組
成Xの値が膜厚方向に連続的に変化するTiOX(0≦
X≦2)膜を形成する工程と、TiOX(0≦X≦2)
膜上に下部電極膜を形成する工程とを備えているので、
この方法を用いることにより請求項1〜3のいずれかに
記載の圧電薄膜共振子の電極構造を確実に形成すること
が可能になる。
うに、TiOX(0≦X≦2)膜を、真空蒸着法、マグ
ネトロンスパッタリング法、及びレーザーアブレーショ
ン法からなる群より選ばれる少なくとも1つの方法によ
り形成するとともに、TiO X(0≦X≦2)膜の成膜
工程における酸化ガスの流量を調整することによって酸
素組成Xの値を制御し、酸素組成Xの値を膜厚方向に連
続的に変化させるようにした場合、膜厚方向の所定の位
置では金属Tiの割合を高くする(すなわち、酸素組成
Xの値を小さくする)ことにより密着性を向上させるこ
とが可能になる一方、膜厚方向の他の所定の位置ではT
i酸化物の割合を高くする(すなわち、酸素組成Xの値
を大きくする)ことにより、十分なバリア性を確保する
ことができる。その結果、特性が良好で、電極の密着性
に優れた信頼性の高い圧電薄膜共振子を得ることが可能
になる。
うに、金属Ti単層膜を、真空蒸着法、マグネトロンス
パッタリング法、及びレーザーアブレーション法からな
る群より選ばれる少なくとも1つの方法により形成した
後、酸素雰囲気中又は大気中で熱処理を行って金属Ti
単層膜を酸化させ、酸素組成Xの値が膜厚方向に連続的
に変化するTiOX(0≦X≦2)膜を形成するように
した場合にも、酸素組成Xの値を制御して、膜厚方向の
所定の位置では金属Tiの割合を高くすることにより密
着性を向上させることが可能になる一方、膜厚方向の他
の所定の位置ではTi酸化物の割合を高くすることによ
り、十分なバリア性を確保することができる。その結
果、特性が良好で、電極の密着性に優れた信頼性の高い
圧電薄膜共振子を得ることが可能になる。
うに、酸素組成Xの値を膜厚方向に連続的に変化させる
にあたって、TiOX(0≦X≦2)膜の、基板と接す
る界面の組成(初期組成)がTi(すなわち、酸素組成
Xが0の金属Ti)であり、下部電極膜と接する界面の
組成(最終組成)がTiO2(すなわち、酸素組成Xが
2のTi酸化物)であるような態様で変化させることに
より、特性が良好で、電極の密着性に優れた信頼性の高
い圧電薄膜共振子を得ることが可能になる。
うに、下部電極膜の構成材料として、Pt、Au、A
l、及びPdからなる群より選ばれる少なくとも1種の
金属を用い、下部電極膜を、これらの金属からなる単層
膜、あるいは、かかる単層膜を2以上組み合わせた多層
構造膜とするようにした場合、基板への密着性が良好
で、所望の特性を備えた信頼性の高い圧電薄膜共振子を
確実に得ることが可能になる。
た圧電薄膜共振子の構造を示す図であり、(a)は正面断
面図、(b)は平面図である。
た圧電薄膜共振子の下部電極膜の構造を模式的に示す断
面図である。
Claims (8)
- 【請求項1】基板上に下部電極膜、圧電薄膜、上部電極
膜を順に積層形成してなる圧電薄膜共振子の電極構造で
あって、 前記下部電極膜が、接着層として機能するTiOX(0
≦X≦2)膜を介して基板上に配設されており、かつ、 前記TiOX膜の酸素組成Xの値が、前記基板側から前
記下部電極膜側に向かって、膜厚方向に連続的に変化し
ていることを特徴とする圧電薄膜共振子の電極構造。 - 【請求項2】前記TiOX(0≦X≦2)膜の、前記基
板と接する界面の組成(初期組成)がTiであり、前記
下部電極膜と接する界面の組成(最終組成)がTiO2
であることを特徴とする請求項1記載の圧電薄膜共振子
の電極構造。 - 【請求項3】前記下部電極膜が、Pt、Au、Al、及
びPdからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属か
らなる単層膜、又は、該少なくとも1種の金属からなる
単層膜を2以上組み合わせた多層構造膜であることを特
徴とする請求項1又は2記載の圧電薄膜共振子の電極構
造。 - 【請求項4】基板上に下部電極膜、圧電薄膜、上部電極
膜を順に積層形成してなる圧電薄膜共振子の電極構造の
形成方法であって、 前記基板上に、接着層として機能する、酸素組成Xの値
が膜厚方向に連続的に変化するTiOX(0≦X≦2)
膜を形成する工程と、 前記TiOX(0≦X≦2)膜上に前記下部電極膜を形
成する工程とを具備することを特徴とする電極構造の形
成方法。 - 【請求項5】前記TiOX(0≦X≦2)膜を、真空蒸
着法、マグネトロンスパッタリング法、及びレーザーア
ブレーション法からなる群より選ばれる少なくとも1つ
の方法により成膜するとともに、TiOX(0≦X≦
2)膜の成膜工程における酸化ガスの流量を調整するこ
とによって酸素組成Xの値を制御し、酸素組成Xの値を
膜厚方向に連続的に変化させるようにしたことを特徴と
する請求項4記載の電極構造の形成方法。 - 【請求項6】金属Ti単層膜を、真空蒸着法、マグネト
ロンスパッタリング法、及びレーザーアブレーション法
からなる群より選ばれる少なくとも1つの方法により形
成した後、酸素雰囲気中又は大気中で熱処理を行って金
属Ti単層膜を酸化させることにより、酸素組成Xの値
が膜厚方向に連続的に変化するTiOX(0≦X≦2)
膜を形成することを特徴とする請求項4記載の電極構造
の形成方法。 - 【請求項7】前記TiOX(0≦X≦2)膜の酸素組成
Xの値を膜厚方向に連続的に変化させるにあたって、前
記基板と接する界面におけるTiOX(0≦X≦2)膜
の組成(初期組成)がTiであり、成膜の進行に伴って
酸素組成Xの値が大きくなり、前記下部電極膜と接する
界面におけるTiOX(0≦X≦2)膜の組成(最終組
成)がTiO2となるように変化させることを特徴とす
る請求項4〜6のいずれかに記載の電極構造の形成方
法。 - 【請求項8】前記TiOX(0≦X≦2)膜上に前記下
部電極膜を形成する工程において、Pt、Au、Al、
及びPdからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属
からなる単層膜、又は、該少なくとも1種の金属からな
る単層膜を2以上組み合わせた多層構造膜を形成するこ
とを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の電極構
造の形成方法。
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