JP4532816B2 - 光学観察装置内の照明用光源装置及び光源のランプの交換方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、顕微鏡のための少なくとも1つのランプを有する光源装置に関し、特にかかる光源装置を備えた手術顕微鏡に関する。更に、本発明は、手術顕微鏡の電気的光源装置内のランプの交換方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
手術顕微鏡用の現在普通の照明装置では、物体野を照明するために光源として大抵ハロゲンランプが使用される。ハロゲンランプは、一方では、完全故障に至るまでの寿命ないし耐用期間が限られており、他方では、ランプの明るさが、その使用時間の経過とともに、ランプの(ガラス)球内面に蒸着するフィラメント材料によって劇的に低減される。
【0003】
患者を過度に照射することを回避するために、患者を保護するための照射量測定装置を使用することが既知である(例えば、特許文献1参照)。また、手術中、予見不能な結果を伴うランプの完全故障を阻止するために、ツァイス社の製品「眼科用OPMI(登録商標)VISU200」において、主ランプが故障した場合に、遅滞なく予備ランプに切換えるランプ交換器を使用することが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
同様に顕微鏡の照明に使用されるキセノンランプの寿命を追跡ないし観察するために、作動時間カウンタ(Betriebsstundenzaehler)が使用される。作動時間カウンタは、ランプが予期せぬ故障をすることがないよう、所定の作動時間数の経過後、利用者がランプを交換できるようにするものとされている。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第4657013号明細書(US 4,657,013)
【非特許文献1】
カールツァイス(Carl Zeiss)、「眼科用(Ophthalmologie)OPMI(登録商標)VISU200」、(ドイツ)、出版−備考(Publikations-Vermerk):IV/98、1998年4月、パンフレット(Druckschriften)番号:30−251−d、p.8−9
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者は、これら既知のシステムは、以下の点で不利であることを見出した。即ち、
a) (電気・光等の)供給システム(電子工学系、光導波路、顕微鏡への差込入射装置等)が全て正常に機能しているにもかかわらず、執刀医(外科医)は、所定時間ランプを使用した後、手術野での明るさの不足に悩まされる。
b) このことは、更に、顕微鏡全体が、不良かつ使用不能と呼ばれるほどに至りうる。
c) このような効果ないし作用を示す使用説明書中の指示は、実際上殆ど了知されていないか、又は非常に慌しい手術中の決定的瞬間において必ずしも頭に入って(意識されて)いないことがしばしばある。
d) 明るさの喪失(減少)を補償するために、通常、分圧器(ポテンシオメータ)ないし調光器(のつまみ等)を回転することにより、電圧を大きくする。この状態でランプを交換する際、明るさショック(明るさの急激な増加:Helligkeitsschock)が生じ得る。というのは、新しい未使用のランプは、同じ入力電圧では、使用されたランプより明るさが遥かに大きいからである。このことは、眼科分野では、患者の眼を傷害する恐れがある。
e) 作動時間カウントシステムがなければ、ランプが都合の悪い時に故障する以前に、何時ランプを交換すべきかを予報ないし予測することは、監視者には不可能である。
f) 作動時間カウンタは、平均的なランプの性能に対してのみ適合化されるものであり、(使用されるランプそれぞれについて)本当に必要なランプの交換時期を示すものではない。
【0007】
それゆえ、本発明の課題は、例えばハロゲンランプ等の光源の寿命を事前検出可能であり、作動時間をカウントする必要なく、早期かつ適時にランプの交換をすると共にランプ交換の際明るさショックを生じないよう自動制御することが可能な装置及び方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の第一の視点において、少なくとも1つのランプを有する光源装置を備える手術顕微鏡において、前記ランプから放射される光の強度を測定するための少なくとも1つの光センサが配設され、該光強度の閾値を下回るか又は上回るとき信号を発する電子ユニットが配設され、かつ予備ランプとのランプ交換装置を備えること、明るさを一定にするために、前記電子ユニットには、前記ランプの明るさを所定の耐用期間に亘って一定に維持する制御回路が配されること、及び前記電子ユニットは、該閾値を下回るか又は上回るとき、自動的に前記ランプを交換させる信号を生成することを特徴とする。なお、少なくとも1つの光センサは、コールドミラーの後方に配され、かつ該コールドミラーの後方における光スペクトルの強度が測定される。更に、本発明の第二の視点において、手術顕微鏡の電気的光源装置内のランプの交換方法において、光源装置から放射される光が、その強度に関し、常時測定されること、電子ユニットにより、光強度の閾値を下回るか又は上回るとき、信号が生成されること、明るさを一定にするため、前記電子ユニットには、ランプの明るさを所定の耐用期間に亘って一定に維持する制御回路が配されること、そして前記信号を介して、ランプ交換装置による予備交換ランプとの自動的ランプ交換が行われることを特徴とする。なお、少なくとも1つの光センサは、コールドミラーの後方に配され、かつ該コールドミラーの後方における光スペクトルの強度が測定される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を示すが、これらは従属請求項の対象でもありうる。
(2)光源装置において、明るさを一定にするために、電子ユニットには、ランプの明るさを所定の耐用期間に亘って一定に維持する制御回路が配されること、及び光センサが、光導波路の入射端付近に配されることが好ましい(形態2)。
(3)光源装置において、光センサが、コールドミラーの後方に配され、かつ該コールドミラーの後方における光スペクトルの強度が測定されることが好ましい(形態3)。
(4)光源装置において、電子ユニットには、較正装置が組込可能であり、該較正装置により、新しいランプの(強度の)測定値を100%の値としてセットし、光の(強度の)低下の閾値をパーセントで提示し、かくて、ランプの交換の際に、同じ明るさ水準で更に作動可能に構成されることが好ましい(形態4)。
(5)光源装置において、前記閾値を下回るか又は上回るとき、電子ユニットが、自動的にランプを交換させる信号を生成する(形態5)。
(6)光源装置において、前記閾値が、ランプの明るさ又は強度に対して予設定可能であるか又は利用者ないし観察者により調節可能に構成されることが好ましい(形態6)。
(7)光源装置において、表示ないし通報(装置)が、(それ自体既知の)差込入射ユニットを介して、顕微鏡の中間像に直接差込入射可能に構成されることが好ましい(形態7)。
(8)光源装置は、予備ランプを有するランプ交換器を有する(形態8)。
【0010】
監視センサによって、ランプの実際の光出力が監視される。ランプの使用時間に亘るランプ出力の低下により、何時ランプの状態がクリティカルないし臨界的な段階に近づいたかが、監視センサによって検出される。クリティカルな段階への到達は、利用者ないし監視者に信号化されて伝達される。
【0011】
現在の通常の照明装置(構造)では、しばしばコールドミラーランプ(Kaltlichtspiegellampen)から放射される光は、光導波路の入射端で合焦される。光導波路は、顕微鏡の光学系を介して当該光を手術野等の物体野へ伝送する。しかしながら、(例えば、スポットライトの光ビームのような、)コールドミラーランプから放射される光の包絡面から形成される実際の光円錐ないし円錐状光線(の頭頂部の大きさないし径)は、光導波路の入射端(面)より大きいが、その光強度は、当該入射端の(中心から)縁へ向う向きに従って弱くなる。光円錐のこの部分(上記入射端からはみでる部分)は、本発明によれば、当該光導波路に隣接して配設される光センサによって使用(検出)され、(ランプの)光の明るさに関して常時(所定間隔での間欠的を含む)測定される。
【0012】
センサの信号は、従来の仕方で、信号処理電子工学系に伝達される。そこで、光低減又は光増加に関する閾値(これは、好ましくは任意に選択可能であり更に場合により当該電子工学系で制御可能である)に到達すると、或いは、光強度が所定の値を下回るか又は所定の値を上回ると、光学的表示ないし通報(信号)及び/又は音響的信号が活性化される。これら表示ないし信号は、放射される光量が手術等の作業のために最早十分でないこと、及びランプの交換を行なうべきことを通報する。ここで、ランプ交換器が作動され、上記の信号は、ランプの交換を自動制御するために利用される。
【0013】
好ましい展開形態では、較正装置が電子ユニットに組み込まれる。この較正装置は、新しいランプの(強度の)測定値を100%の値としてセットし、光の(強度の)低下の閾値をパーセント(例えば60%)で提示することを可能にする。
【0014】
測定(値)ないし計算(値)を客観化ないし具体化する(objektivieren)ために、相応の測定(値)及び計算(値)が、電子工学系により、場合により存在する制御電圧で補強(補償)される。
【0015】
上記表示ないし通報(信号)は、例えば、(発光要素の)赤色で明滅するシグナル光、シグナル音、又は(好ましくは顕微鏡の照明電子工学系の)計器上の測定値(スカラー量)として構成されうる。また、既知のないし現存する差込入射装置によって、該表示ないし通報を執刀医(利用者ないし観察者)に対し手術顕微鏡の中間像(面)で直接可視化することも可能である。
【0016】
更なる一実施形態では、光センサは、光導波路に隣接配置される代わりに、ランプのコールドミラーの後方に配される。使用されるミラーは、可視領域の(波長の)光のみを反射し、その他のスペクトル領域の光は透過するので、ここ(コールドミラーの後方)でも測定を行なうこと(尤も、その被測定スペクトル領域は異なるが)は可能である。尤も、このスペクトル領域(熱線ないし赤外線)は、フィラメントの光強度に直接比例するので、この実施形態は、非常に目的に適うであろう。
【0017】
光学観察装置の光源を監視するための装置の使用による光源装置の上述の改善によって、以下のような利点が得られる。即ち:
1) 光源の光強度が最早その初期強度に相応しない場合、ないし所定の減光閾値に近づいた場合、利用者ないし観察者に適時に情報が与えられる。
2) ランプの完全故障が起こりそうな場合、早期に信号化が行われ(て通報され)る。
3) 完全故障する前にランプを自動的に交換することができ、これは、付加的安全手段をなす。
4) 顕微鏡の照明装置の自己制御ないし自己監視が実現される。
5) 制御回路によって、ランプの所定の耐用期間ないし寿命に亘って照明強度を一定に維持することができると共に、ランプの交換の際その前後を通じて同じ明るさ水準でさらに作動可能である。かくて、レンズ交換の際の明るさショックを防止できる。
【0018】
【実施例】
本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、特許請求の範囲に付した図面参照符号は、発明の理解の容易化のためであり、本発明を図示の態様に限定することを意図しない。また、以下の実施例も発明の理解の容易化のために過ぎず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において当業者により実施可能な付加・置換等を排除することも意図しない。例えば、以下では、ステレオ顕微鏡について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されず、相応の態様でその他の照明装置(例えば、その他の手術顕微鏡の照明等)にも使用可能である。なお、この点に関しては、出願から補正・訂正後に至るまで同様である。
【0019】
図1に、例えばステレオ手術顕微鏡等の顕微鏡7のための本発明の照明装置の模式的構造を示した。照明装置は、ランプ1、光導波路2、及びランプ1から放射された光を光導波路2の入射端に合焦するためのコールドミラー11を有する。図1には、更に、ランプ1から放射された光の強度を測定するための光センサ3a、3b、電子ユニット4、通報−及び明るさ制御装置5、音響的信号発信器6、顕微鏡7への差込入射を行うための差込入射ユニット8、観察者9のための表示ユニット12、及び被検体10を示した。
【0020】
光センサ3a、3bは、同時に両方共、或いは何れか一方のみを選択的に配設することができる。本発明は、光導波路の起こり得る影響を一緒に考慮するために、照明の光円錐中において物体の際又は物体の近傍にセンサを配するバリエーションも含む。上記音響的信号発信器6は、任意の形状及び態様を取りうるが、極めて有利な例として、例えば、ピエゾブザー(Piezo-Summer)を挙げることができる。通報装置ないし信号音発生器(Signalhorn)は、同時に又は択一的に設けることができる。これら装置の配設位置は、利用者の要求に応じて選択可能である。例えば、顕微鏡7に直接取り付けることもできるし、光源(ランプ)1のハウジングに直接取り付けることもできる。
【0021】
ランプ1から放射される光は、コールドミラー11を介して光導波路2(の入射端)に収束される。しかしながら、この光は、光導波路2の入射端面に完全には収束されないので、光導波路2の(入射端の)付近に配した(第1の)光センサ(可視光に感応するセンサ)3aによって、ランプ1の(光の)強度を検出(測定)することができる。この測定値は、電気信号に変換され、電子ユニット4へ伝送される。この電子ユニット4の内部で、この(電気)信号は、予設定可能な所定の閾値と比較される。(この電気信号が)当該閾値を下回るか上回ると、このような状況は、(通報装置の)表示5、音響的信号発信器6の音響的信号、及び顕微鏡7の表示ユニット12の内少なくとも1つによって観察者9に表示ないし伝達される。なお、このとき、利用者は、ランプ1を直ちに交換するか、或いは、今しばらく作業を続行した後手動で又はランプ交換器により(自動で)ランプ1を交換するかどうかを決定することもできる。
【0022】
上述の実施例の一変形例では、(第2の)光センサ3bは、非可視光に感応するセンサであり、コールドミラー11の背後に配される。コールドミラーは、可視光領域の波長の光のみを反射し、非可視光領域の波長の光は反射しない(透過する)ので、コールドミラー11の背部領域でも(ランプの)光の強度を測定することができる。
【0023】
更に、ランプ1の光強度を所定の耐用期間ないし寿命に亘って一定に維持するために、電子ユニット4に制御回路が設けられる。このため、利用者は−利用者が選択した分圧器(ポテンシオメータ)の調節量(出力)に応じて−常に同じ明るさで被検体を照明することができるが、このことは、利用者(執刀医ないし外科医)に対し手術技術上有利に作用する。
【0024】
【発明の効果】
本発明の独立請求項1(第一の視点)及び8(第二の視点)により、所定の課題として掲げた効果が上述の通り達成される。即ち、本発明の手術顕微鏡(第一の視点)及びランプ交換方法(第二の視点)により、光源をその寿命ないし耐用期間全体に亘って監視し、ランプの光強度を所定の耐用時間ないし寿命に亘って一定に維持し、かつ作動時間をカウントする必要なく、ランプの自動的交換が出来ると共に、ランプ交換に際しての患者の眼を傷害するおそれのある明るさショックを防止することができる。各従属請求項により、更に付加的な効果がそれぞれ達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光源装置の模式的構造。当該光源装置が使用される顕微鏡も同時に示した。
【符号の説明】
1 ランプ
2 光導波路
3a 光センサ
3b 光センサ
4 電子ユニット
5 通報−及び明るさ調節装置
6 音響的信号発信器
7 顕微鏡
8 差込入射ユニット
9 観察者
10 被検体
11 コールドミラー
12 表示ユニット
Claims (8)
- 少なくとも1つのランプを有する光源装置を備える手術顕微鏡において、
前記ランプ(1)から放射される光の強度を測定するための少なくとも1つの光センサ(3a、3b)が配設され、該光強度の閾値を下回るか又は上回るとき信号を発する電子ユニットが配設され、かつ予備ランプとのランプ交換装置を備えること、
明るさを一定にするために、前記電子ユニット(4)には、前記ランプ(1)の明るさを所定の耐用期間に亘って一定に維持する制御回路が配されること、
前記電子ユニット(4)は、該閾値を下回るか又は上回るとき、自動的に前記ランプを交換させる信号を生成すること、及び
前記少なくとも1つの光センサ(3b)が、コールドミラー(11)の後方に配され、かつ該コールドミラー(11)の後方における光スペクトルの強度が測定されること
を特徴とする顕微鏡。 - 前記ランプ(1)の光の強度の閾値が、利用者により調節可能であること、
を特徴とする請求項1に記載の顕微鏡。 - 前記センサは、前記電子ユニットを介して観察者への通報装置と結合すること、
前記通報装置は、音響的信号発信器、アナログ的及び/又はデジタル的ディスプレイ、発光要素、及び顕微鏡に配設される表示ユニットの内、少なくとも一つを有すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の顕微鏡。 - 前記通報装置は、既知の差込入射ユニット(8)を介して、顕微鏡の中間像内に直接差込入射可能であること、
を特徴とする請求項3に記載の顕微鏡。 - 前記ランプ(1)はコールドミラー(11)を含み、光は手術野への光の伝送のため、光導波路(2)の入射端に合焦されること、
を特徴とする請求項1〜4に記載の顕微鏡。 - 前記光センサ(3a)は、光導波路(2)の入射端付近に配されること
を特徴とする請求項1〜5の一に記載の顕微鏡。 - 前記電子ユニット(4)には、較正装置が組込可能であり、該較正装置により、新しいランプの光の強度の測定値を100%の値としてセットし、光の強度の低下の閾値をパーセントで提示し、かくて、ランプの交換の際に、同じ明るさ水準で更に作動可能に構成されること
を特徴とする請求項1〜6の一に記載の顕微鏡。 - 手術顕微鏡の電気的光源装置内のランプの交換方法において、
光源装置から放射される光が、そのスペクトル強度に関し、コールドミラー(11)の後方に配された少なくとも1つの光センサ(3b)により、常時測定されること、
電子ユニットにより、光強度の閾値を下回るか又は上回るとき、信号が生成されること、
明るさを一定にするため、前記電子ユニットには、ランプの明るさを所定の耐用期間に亘って一定に維持する制御回路が配されること、そして
前記信号を介して、ランプ交換装置による予備交換ランプとの自動的ランプ交換が行われること、
を特徴とするランプ交換方法。
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