JP6395792B2 - 白熱ランプ劣化診断装置およびそれを備えた検査機器およびシステム - Google Patents
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Description
まず、本発明に至った背景となる白熱ランプ劣化診断の原理について説明する。ここでいう白熱ランプとは、窒素やアルゴンなどの不活性ガスが封入されたガラス球内のフィラメントに通電することでフィラメントから輻射されるジュール熱を発光に利用するランプのことをいう。白熱ランプの代表例としてハロゲンランプが挙げられる。なお、以下で言及する白熱ランプはハロゲンランプのことを想定しているが、本発明の適用範囲はハロゲンランプに限定されずにクリプトンランプなどにも適用可能である。
図1は、特定の波長領域(例えば、700[nm]〜800[nm])における白熱ランプのスペクトル例を示す図である。図1に示したように、白熱ランプのスペクトル強度は、白熱ランプが劣化していないときには比較的高いが、劣化が進むにつれ徐々に減少する。特に、白熱ランプのスペクトルの形状は、当初山状形状であったものが白熱ランプの劣化が進むにつれ次第になだらかな形状へと変化する。このように、白熱ランプの劣化の進行は、スペクトル強度の減少および形状の平坦化として観察される。しかし、スペクトル強度は露光時間や白熱ランプの発光強度などに応じて直流成分がオフセットとして加わるため、露光時間の違いおよび個々の発熱ランプの発光強度の違いなどによって計測されるスペクトル強度が違ってくる。したがって、計測されたスペクトル強度から直ちに白熱ランプの劣化を診断することは難しい。
図2は、図1のスペクトルを2回微分および平滑化処理した2次微分スペクトル例を示す図である。図2からわかるように、特定の波長領域において、劣化のない白熱ランプおよびわずかに劣化した白熱ランプの2次微分スペクトルは極大点および極小点を持つ変化をするのに対して、大きく劣化した白熱ランプの2次微分スペクトルはほぼ単調に増大する。すなわち、白熱ランプの2次微分スペクトルの形状は、当初極大点および極小点をもつ曲線であったものが白熱ランプの劣化が進むにつれて極大点および極小点がなくなってほぼ単調増加する形状へと変化する。
白熱ランプのスペクトルのさらに高次の微分スペクトルからはまた別の特徴が観察される。図4は、図1のスペクトルを3回微分および平滑化処理した高次微分スペクトル例を示す図である。図4からわかるように、特定の波長領域において、劣化のない白熱ランプの3次微分スペクトルおよびわずかに劣化した白熱ランプの3次微分スペクトルはいずれも比較的大きく変動するのに対して、大きく劣化した白熱ランプの3次微分スペクトルの変動幅は小さい。すなわち、白熱ランプの3次微分スペクトルの形状は、当初山状形状であったものが白熱ランプの劣化が進むにつれて平坦な形状へと変化する。
図6は、第1の実施形態に係る白熱ランプ劣化診断装置のブロック図である。第1の実施形態に係る白熱ランプ劣化診断装置10は、白熱ランプ100のスペクトルを2回微分した2次微分スペクトルを参照して白熱ランプ100の劣化状態を診断する装置である。
図8は、第2の実施形態に係る白熱ランプ劣化診断装置のブロック図である。第2の実施形態に係る白熱ランプ劣化診断装置10は、白熱ランプ100のスペクトルを3回以上微分した高次微分スペクトルを参照して白熱ランプ100の劣化状態を診断する装置である。装置構成は第1の実施形態とほぼ同じであるため、以下では第1の実施形態と異なる点を重点的に説明する。
白熱ランプの光を用いた分光分析により各種検査を行う検査機器に第1の実施形態または第2の実施形態に係る白熱ランプ劣化診断装置10を組み込むことで、当該検査機器において白熱ランプの劣化診断を行うことができるようになる。
図11は、第4の実施形態に係るシステムのブロック図である。第4の実施形態に係るシステムは統合セキュリティシステム30である。統合セキュリティシステム30において、上記の液体検査装置20、入退室管理装置31、セキュリティゲート管理装置32、収納庫管理装置33、録画監視装置34、中央管理装置35がネットワーク36により互いに接続されている。ネットワーク36はLANに限られずインターネットをも含み得る。
100 白熱ランプ
11 受光部
12 分光器
112 微分部
113 劣化診断部
20 液体検査装置(検査機器の一例)
201 液体物(試料の一例)
211 制御部
212 成分分析部
30 統合セキュリティシステム(システムの一例)
35 中央管理装置
36 ネットワーク
Claims (8)
- 劣化診断対象の白熱ランプの発光を受光する受光部と、
前記受光部により受光された光が入射され、当該入射された光の近赤外領域におけるスペクトルを計測する分光器と、
前記分光器により計測されたスペクトルを微分および平滑処理して微分スペクトルを生成する微分部と、
前記微分部により生成された前記白熱ランプの微分スペクトルに基づいて前記白熱ランプの劣化を診断する劣化診断部とを備えた白熱ランプ劣化診断装置。 - 前記劣化診断部が、前記微分部により生成された前記白熱ランプの微分スペクトルと劣化のない白熱ランプおよび大きく劣化した白熱ランプの各微分スペクトルとの相関性を求め、前記微分部により生成された前記白熱ランプの微分スペクトルが、劣化のない白熱ランプの微分スペクトルよりも大きく劣化した白熱ランプの微分スペクトルの方により相関していれば、劣化診断対象の白熱ランプが劣化していると診断するものである請求項1に記載の白熱ランプ劣化診断装置。
- 前記微分スペクトルが、元のスペクトルを2回微分した2次微分スペクトルである請求項2に記載の白熱ランプ劣化診断装置。
- 前記微分スペクトルが、元のスペクトルを3回以上微分した高次微分スペクトルであり、
前記劣化診断部が、前記高次微分スペクトルの特徴のみに基づいて前記白熱ランプの劣化を診断するものである請求項1に記載の白熱ランプ劣化診断装置。 - 前記劣化診断部が、前記高次微分スペクトルの変動幅が所定値よりも小さければ、前記白熱ランプが劣化していると診断するものである請求項4に記載の白熱ランプ劣化診断装置。
- 前記白熱ランプがハロゲンランプである請求項1ないし5のいずれかに記載の白熱ランプ劣化診断装置。
- 白熱ランプと、
前記白熱ランプの劣化診断を行う請求項1ないし6のいずれかに記載の白熱ランプ劣化診断装置と、
前記白熱ランプ劣化診断装置の受光部および分光器により受光されて計測された、前記白熱ランプの光が照射された試料からの透過光および/または反射光のスペクトルに基づいて、前記試料に含まれる成分を分析する成分分析部と、
前記白熱ランプ劣化診断装置の受光部が前記白熱ランプの光を直接受光するときに前記白熱ランプ劣化診断装置による白熱ランプ劣化診断を実行し、前記白熱ランプ劣化診断装置により前記白熱ランプの劣化が診断された場合にランプ交換を通知する制御部とを備えた検査機器。 - 請求項7に記載の検査機器と、
前記検査機器およびその他の機器とネットワークを介して接続され、これら機器を一元管理する中央管理装置とを備えたシステム。
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