JP4513170B2 - 感光性重合体組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性重合体組成物に関するものであり、さらに詳しくは、パターン加工時のパターンの形状、面内均一性、および、パターンと金属箔との接着性を著しく改良した感光性重合体組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感光性重合体組成物は自身がパターン加工性を有するため、通常の非感光性重合体組成物をレジスト等を用いてパターン加工する場合と比較して、プロセスの簡略化が可能である。そのため、半導体、実装材料、回路付きサスペンションの保護膜、絶縁膜、などとして広く実用化されている。
【0003】
感光性重合体組成物としては、ポリアミド酸に化学線により2量化または重合可能な炭素-炭素2重結合およびアミノ基またはその4級化塩を含む化合物を添加した組成物(特公昭59−52822号公報)、ポリアミド酸にエステル基で感光基を導入したポリイミド前駆体組成物(USP3957512号明細書、USP4040831号明細書)、ポリアミド酸に1,4−ジヒドロピリジン類などの光塩基発生剤を添加した組成物(特開平6−75376号公報)などが知られている。
【0004】
しかしながら、これらの従来技術では金属箔上のパターン加工において、良好なパターン形状が得られにくい、面内の均一性が得られにくい、パターンと金属箔との接着性が悪い、などの問題が生じてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる従来技術の諸欠点に鑑み創案されたもので、パターン加工時に良好な形状のパターンが得られ、面内の均一性が得られ、さらに、パターンと金属箔との接着性が著しく改良された感光性重合体組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、金属箔上に塗布、プリベークして、露光、現像によりパターンを形成し、キュア後の30℃〜100℃の平均熱線膨張係数が25×10−6(1/℃)以下である感光性重合体組成物であって、(A)ポリマー、(B)1,10−フェナントロリン、8−キノリノールおよび2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンから選ばれる金属との接着助剤化合物、(C)感光剤を必須成分とすることを特徴とする感光性重合体組成物である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明は、金属箔上に塗布、プリベークして、露光、現像によりパターンを形成し、キュアすることを目的とした感光性重合体組成物に関するものであり、キュア膜の30℃〜100℃の平均熱線膨張係数が25×10−6(1/℃)以下であることが重要である。30〜100℃の熱線膨張係数が25×10−6(1/℃)よりも大きいと金属箔とキュア膜との熱線膨張係数の違いから、金属箔−キュア膜複合体がキュア膜が内側になるようにカールしてしまう。好ましくは、キュア膜の熱線膨張係数が金属と同じであることがよい。
【0008】
さらに本発明においては、金属との接着性を向上させる成分、いわゆる金属との接着助剤をこの感光性重合体組成物中に含有していることが重要である。
【0009】
本発明の金属との接着性を向上させる化合物としては五員環、六員環、七員環、あるいはこれらの縮合環であり、かつ、環内に窒素原子を1つまたは2つ含有する化合物であることが好ましい。1,2,3−ベンゾトリアゾール、1H−テトラゾールが、窒素原子を含有する接着改良材としてよく知られている。これらの化合物を用いた場合、本目的において若干の効果が得られるものの満足できる効果は得られなかった。本発明にある五員環、六員環、七員環、あるいはこれらの縮合環であり、かつ、環内に窒素原子を1つまたは2つ含有する化合物が、非常に有用な効果を有することを見出した。
【0010】
上記化合物の例としては、1,10−フェナントロリン、8−キノリノールおよび2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどが挙げられる。この中でさらに好ましくは、1,10−フェナントロリンを使用することである。
【0011】
また、金属との接着性を向上させる化合物としては一般式(1)、一般式(2)で示される化合物であることが好ましい。好ましい例としては、各種チオール類、チオエーテル類、チオールの金属塩、スルホン酸エステル類、スルホン酸アミド類、ジチオ酸類、チウラム類などが挙げられる。さらに好ましい例としては、チオールを含むシランカップリング剤、複素環とチオールを含む化合物、ジスルフィド構造を含有する化合物が挙げられる。
【0012】
【化2】
【0013】
一般式(1)、一般式(2)のR1、R2は、それぞれ炭素数1〜20の有機基を示し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。Mは水素原子、または、1〜3価の金属イオンを示す。mは1〜10、tは1〜10の整数を示す。また一般式(2)のtが2以上の整数のとき、硫黄原子は連続して存在するものである。
【0014】
さらに、上記一般式のR1、R2において、少なくとも1つが五員環、六員環、七員環、あるいはこれらの環の縮合環であり、かつ、窒素原子を少なくとも1つ以上含有する有機基であることが好ましい。好ましい例としては、メルカプトベンゾイミダゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、ベンゾチアゾールスルフェンアミド類、トリアジンチオール類、メルカプトイソシアヌル酸類が挙げられる。
【0015】
本発明で用いる化合物(B)はいずれも単独で用いてもよいし、2種類以上の組み合わせとして用いてもよい。感光性重合体組成物のポリマーに対して0.01重量%〜30重量%用いることが好ましく、0.3重量%〜15重量%であることがより好ましい。量が少なすぎると充分な効果が得られないし、多すぎるとキュア膜の膜物性を損なう可能性がある。
【0016】
本発明で用いるポリマーとしては、ポリイミドおよびその前駆体であるポリアミド酸やポリアミド酸誘導体、ポリベンゾオキサゾールおよびその前駆体であるポリヒドロキシアミド、ポリベンゾチアゾールおよびその前駆体であるポリチオヒドロキシアミド、ポリベンゾイミダゾールおよびその前駆体であるポリアミノアミドなどのポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。このなかで、好ましくは、多くの種類のモノマーを選択できることからポリイミドおよびその前駆体であるポリアミド酸やポリアミド酸誘導体が使用される。ポリイミドおよびその前駆体であるポリアミド酸やポリアミド酸誘導体で望む熱線膨張係数のキュア膜を得ることは、剛直な成分となりうるテトラカルボン酸残基、柔軟な成分となりうるテトラカルボン酸残基、剛直な成分となりうるジアミン残基、剛直な成分となりうるジアミン残基を組み合わせて使用することによって達成される。
【0017】
剛直なテトラカルボン酸残基の具体例としては、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸類などが挙げられるがこれに限定されない。また、柔軟なテトラカルボン酸残基としては、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸類、ジフェニルヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸類、ベンゾフェノンテトラカルボン酸類、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸類などの残基が挙げられるがこれに限定されない。
【0018】
剛直なジアミン残基の具体例としては、トリフルオロメチルパラフェニレンジアミン、トリフルオロメチルメタフェニレンジアミン、ビス(トリフルオロ)メチルパラフェニレンジアミン、ビス(トリフルオロ)メチルメタフェニレンジアミン、トリフルオロメトキシパラフェニレンジアミン、トリフルオロメトキシメタフェニレンジアミン、フルオロパラフェニレンジアミン、フルオロメタフェニレンジアミン、ビス(トリフルオロメチル)ジアミノビフェニルなどのフッ素を含有する残基やパラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、メチルパラフェニレンジアミン、メチルメタフェニレンジアミン、ジメチルパラフェニレンジアミン、ジメチルメタフェニレンジアミン、トリメチルパラフェニレンジアミン、トリメチルメタフェニレンジアミン、テトラメチルパラフェニレンジアミン、テトラメチルメタフェニレンジアミン、メトキシパラフェニレンジアミン、メトキシメタフェニレンジアミン、クロロパラフェニレンジアミン、クロロメタフェニレンジアミン、ブロモパラフェニレンジアミン、ブロモメタフェニレンジアミン、カルボキシパラフェニレンジアミン、カルボキシメタフェニレンジアミン、メトキシカルボニルパラフェニレンジアミン、メトキシカルボニルメタフェニレンジアミン、ジメチルジアミノビフェニル、ジクロロジアミノビフェニルなどのフッ素を含まない残基が挙げられるがこれらに限定されない。
【0019】
また、柔軟なジアミン残基の具体例としては、ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノエチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノジエチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどのフッ素を含有する残基やジアミノジフェニルメタン、ビス(アミノメチルフェニル)メタン、ビス(アミノエチルフェニル)メタン、ビス(アミノクロロフェニル)メタン、ビス(アミノジメチルフェニル)メタン、ビス(アミノジエチルフェニル)メタン、ジアミノジフェニルプロパン、ビス(アミノメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノエチルフェニル)プロパン、ビス(アミノクロロフェニル)プロパン、ビス(アミノジメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノジエチルフェニル)プロパン、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(アミノメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノエチルフェニル)スルホン、ビス(アミノジメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノジエチルフェニル)スルホン、ジアミノジフェニルエーテル、ビス(アミノメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノエチルフェニル)エーテル、ビス(アミノジメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノジエチルフェニル)エーテル、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)メタン、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホンなどのフッ素を含まない残基が挙げられるがこれらに限定されない。これらの剛直な残基と柔軟な残基を組み合わせることによって望む熱線膨張係数のキュア膜を得ることが可能である。
【0020】
また、ポリマーの接着性を向上させるために、耐熱性を低下させない範囲で、シロキサン結合を有する脂肪族基を共重合することも可能である。好ましい具体例としてはビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0021】
本発明における重合体は、単独の重合体であってもよいし、複数の重合体のブレンドであってもよい。このとき、キュア膜の膜物性を著しく損なわれない範囲で選択することが好ましい。
【0022】
感光性を付与するために、カルボン酸にエチレン性不飽和結合を有するアミノ化合物をイオン結合させる方法、カルボン酸にエチレン性不飽和結合を有する基をエステル化する方法、エチレン性不飽和結合を有する基をアミド化する方法、ポリアミド酸に1,4−ジヒドロピリジン類などの光塩基発生剤を加える方法などが挙げられるが、とくにこれらに限定されない。キュア時の感光剤の揮発が起こりやすいイオン結合型が高い膜物性のキュア膜を得るためには好ましい。なお、本発明における感光性重合体組成物は感光剤とポリマーをブレンドすることで形成してもよく、また感光剤が共有結合またはイオン結合で導入されたポリマーとして形成してもよく、そのいずれにも該当するものである。
【0023】
イオン結合型の感光性重合体組成物は、酸二無水物とジアミンを反応して得られたポリアミド酸に1種のエチレン性不飽和結合を有するアミンを混合し、アミド酸のカルボキシル基にイオン結合させることにより得ることができる。このアミン化合物の具体例としては、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアミノブチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノブチルアクリレートおよびN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノブチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノブチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、アリルアミン、2−メチルアリルアミン、ジアリルアミンなどが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0024】
エステル結合型の感光性重合体組成物は、酸二無水物と1種のエチレン性不飽和結合を有するアルコールとを反応させた後、脱水縮合剤を用いてジアミンと反応させることにより得ることができる。また、酸二無水物とジアミンを反応させた後に1種のエチレン性不飽和結合を有するエポキシ化合物とを反応させることによっても得られる。先のエステル化するための化合物の具体例としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクルレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテルなどが挙げられ、後者のエステル化するための具体例としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
アミド結合型の感光性重合体組成物は、酸二無水物とジアミンを反応して得られたポリアミド酸に、塩基触媒存在下、1種のエチレン性不飽和結合を有するイソシアネートと反応させることにより得ることができる。この化合物の具体例としては、イソシアネートエチルアクリレート、イソシアネートプロピルアクリレート、イソシアネートブチルアクリレート、イソシアネートペンチルアクリレート、イソシアネートヘキシルアクリレート、イソシアネートオクチルアクリレート、イソシアネートデシルアクリレート、イソシアネートペンチルアクリレート、イソシアネートエチルメタクリレート、イソシアネートプロピルメタクリレート、イソシアネートブチルメタクリレート、イソシアネートペンチルメタクリレート、イソシアネートヘキシルメタクリレート、イソシアネートオクチルメタクリレート、イソシアネートデシルメタクリレートなどが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0026】
感光性を付与するための光塩基発生剤を含む感光性重合体組成物は、酸二無水物とジアミンを反応して得られたポリアミド酸に、光塩基発生剤を混合することによって得られる。この化合物の具体例としては、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1−メチル−4−ヒドロピリジン、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジアセチル−1,4−ジヒドロピリジンなどが挙げられるがとくにこれらに限定されない。
【0027】
エチレン性不飽和結合基は、ポリイミド前駆体組成物中のカルボキシル基に対し0.1〜2倍モル当量存在するのが好ましく、0.3〜1.0モル等量がさらに好ましい。この量が少なすぎれば、感光特性が不良となり、逆に量が多すぎれば、ポリイミド前駆体膜を金属箔に塗布し熱処理してポリイミド膜を形成する時に、この複合材料のそりが大きくなったり、キュア時の膜厚の減少量が大きくなったりする。
【0028】
また、光塩基発生剤は全ジアミンおよび全テトラカルボン酸のモル数に対して5〜50モル当量存在することが好ましい。
【0029】
エチレン性不飽和結合を有する感光性重合体組成物を用いる場合、光重合開始剤や増感剤を用いることができる。
【0030】
光重合開始剤の具体的な例として、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、N−フェニルグリシン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、また、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4´−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイルおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組み合わせなどが挙げられるが、特にこれらに限定されない。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。
【0031】
本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物に含有される光重合開始剤の量は、ポリアミド酸の0.01〜30重量%が好ましく、0.1〜15重量%がさらに好ましい。光重合開始剤の量が少なすぎれば、組成物の光感度が不良となり、光重合開始剤の量が多すぎれば、ポリイミド前駆体膜を熱処理してポリイミド膜を形成する時に、膜厚の減少量が大きくなりすぎる。
【0032】
また、増感剤の具体的な例として、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4’−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4’−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N’−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、1−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールなどが挙げられるが、特にこれらに限定されない。本発明ではこれらの増感剤を1種または2種以上使用することができる。なお、増感剤のなかには光重合開始剤としても作用するものがある。
【0033】
増感剤を本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物に添加する場合、その添加量は、ポリアミド酸の0.01〜30重量%が好ましく、0.3〜15重量%がさらに好ましい。添加量が大きすぎれば、ポリイミド前駆体膜を熱処理してポリイミド膜を形成する時に、膜厚の減少量が大きくなりすぎる。また、添加量が小さすぎれば、光感度を向上させる効果が発揮されない。
【0034】
また、本感光性重合体組成物の溶媒としては、たとえばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、γ−ブチロラクトンなどの極性溶媒が好ましく使用されるが、これらに限定されるものではない。この他、これらの極性溶媒以外に一般的有機溶媒であるケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類など、たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコ−ルジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロルエタン、1,4−ジクロルブタン、トリクロルエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどと混合して使用することができる。
【0035】
本発明における熱線膨張係数は、感光性重合体組成物をキュアした厚さ10μm、幅15mm、長さ30mmのポリイミドフィルムを、長さ方向に円筒状に巻き、セイコー電子(株)製TMA/SS−6000を用いて測定した。装置中、窒素雰囲気中280℃までアニールした後冷却し、再度昇温し、30〜100℃の範囲で昇温速度5℃/分で測定した。また30〜100℃の平均熱線膨張係数は、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、および100℃における線膨張係数の平均値である。
【0036】
本発明における感光性重合体組成物は、金属箔上でパターン加工したのち、キュアし、絶縁膜、保護膜として使われる。この目的において、吸湿によるパターンの寸法安定性の悪化、誘電率の上昇などを防ぐために、吸水率が1%以下であることが必要である。好ましくは、0.8%以下であり、さらに好ましくは0.5%以下である。吸水率は低ければ低いほど好ましい。
【0037】
また、吸水率1%以下のキュア膜を得るためには、形成されるポリマーのジアミン残基に少なくとも1種類のフッ素を含有する残基を含むことが好ましい。
【0038】
吸水率は、感光性重合体組成物をキュアした厚さ10μmのポリイミドフィルムをオーブンにて110℃で2時間、乾燥させ、デシケーター中で冷却した後の重量を測定し(m1)、その後、23℃の水中に24時間つけておき、水から取り出した直後の重量を測定した(m2)。これを5回繰り返し、その平均値を次式((m2−m1)/m1)×100にあてはめて、得られた値を吸水率とした。
【0039】
得られた感光性重合体組成物を基板上に塗布する方法としては、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、リバースコーター、スクリーン印刷法などで基板に塗布する方法、基板をワニス中に浸漬する方法、ワニスを基板に噴霧するなどの種々の方法を用いることができるが、これらに限定されるものではない。基板としては、厚さが1〜100μmの金属箔好ましくは5〜30μmの金属箔を用いることができる。金属箔には、銅箔、アルミニウム箔、ステレンス箔などあらゆる種類の単独の金属もしくは合金の金属箔を用いることが可能である。好ましくは10〜30μmのステンレス箔を用い、前記感光性重合体組成物をキュア後の膜厚が1〜30μmになるように基板上に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、感光性重合体組成物膜(プリベーク膜)を形成し、この膜を、窒素雰囲気中、あるいは真空中で150〜450℃の温度のもとで0.5〜5時間連続的または段階的に加熱処理することによって耐熱性樹脂に変換でき、金属箔−キュア膜複合体を得ることができる。
【0040】
また、上記金属箔−感光性重合体組成物膜をパターン加工することもできる。この場合、通常のフォトマスクを用いて露光される。この際に使用される活性光線としては、たとえば、紫外線、電子線、X線などが挙げられるが、これらの中では紫外線が好ましく、その光源としては、たとえば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが挙げられる。これらの光源の中で超高圧水銀灯が好適である。
【0041】
露光後、必要なら熱処理を行った後、現像液を使用して現像を行い、未露光部あるいは露光部を除去する。この場合、浸漬法やスプレー法を用いることができる。現像液としては通常、感光性重合体組成物を合成する場合に好適に使用される感光性重合体組成物を溶解しうる有機溶媒と同様のものが使用される。なお、このような有機溶媒に、現像性を良好とするために水を添加して用いることもできる。水を添加する場合、その添加量は有機溶媒に対して通常、1〜100重量%、好ましくは5〜50重量%である。添加量が大きすぎる場合、有機溶媒とのあいだで相分離を起こすおそれが生じ、添加量が小さすぎる場合は、現像性を良好にする効果を発揮しない。アルカリ水溶液の場合は、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリンなどが用いられる。また、現像直後に、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ヘキサン、ペンタンなどの有機溶剤、水と任意の割合で混和可能な有機溶剤と水との混合溶剤あるいは水単独で、リンスを行うことが望ましい。本感光性重合体組成物の場合は、水単独でのリンスが、実用における経費を考えると好ましい。
【0042】
ここで、パターン加工におけるパターン形状とは、光学顕微鏡にてパターンを観察し、金属箔上の全面において良好なパターンが得られたときを○、現像における面内の不均一性のために一部においてスカムが残る場合を△とした。また、パターン加工におけるパターン剥がれとは、10cm×10cmの金属箔上でパターン加工をしたときに、真ん中の1cm×1cmおよび真ん中から2cm離れた場所4ヶ所の1cm×1cmのすべてのパターンを光学顕微鏡にて観察し、
((浮きが1つ以上観察されたパターン数)/(全パターン数))×100
にあてはめて、得られた値をパターン剥がれ率とした。
【0043】
現像によって得られた感光性重合体組成物のパターンは、その後、加熱処理することによって、耐熱性樹脂のパターンに変換される。加熱処理は通常、窒素雰囲気中、あるいは、真空中で、150〜450℃の温度のもとで、0.5〜5時間、連続的または段階的に行われ、パターン状に形成された金属箔−キュア膜複合体が得られる。
【0044】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0045】
熱膨張係数評価
感光性重合体組成物をキュアした厚さ10μm、幅15mm、長さ30mmのポリイミドフィルムを、長さ方向に円筒状に巻き、セイコー電子(株)製TMA/SS−6000を用いて測定した。装置中、窒素雰囲気中280℃までアニールした後冷却し、再度昇温し、30〜100℃の範囲で昇温速度5℃/分で測定した。また30〜100℃の平均熱線膨張係数は、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、および100℃における線膨張係数の平均値とした。
【0046】
パターン形状評価
光学顕微鏡にてパターンを観察し、金属箔上の全面において良好なパターンが得られたときを○、現像における面内の不均一性のために一部においてスカムが残る場合を△とした。
【0047】
パターン剥がれ評価方法
10cm×10cmの金属箔上でパターン加工をしたときに、真ん中の1cm×1cmおよび真ん中から2cm離れた場所4ヶ所の1cm×1cmのすべてのパターンを光学顕微鏡にて観察し、((浮きが1つ以上観察されたパターン数)/(全パターン数))×100にあてはめて、得られた値をパターン剥がれ率とした。
【0048】
吸水率評価
感光性重合体組成物をキュアした厚さ10μmのポリイミドフィルムをオーブンにて110℃で2時間、乾燥させ、デシケーター中で冷却した後の重量を測定し(m1)、その後、23℃の水中に24時間つけておき、水から取り出した直後の重量を測定した(m2)。これを5回繰り返し、その平均値を次式((m2−m1)/m1)×100にあてはめて、得られた値を吸水率とした。
【0049】
実施例1
温度計および乾燥空気導入口と攪拌装置を付した300mlの4つ口フラスコに、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)28.8g(0.09モル)、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)5.19g(0.01モル)、N−メチル−2−ピロリドン100gを仕込み、窒素気流下、60℃で攪拌した。溶解したのを確認した後、60℃でピロメリット酸二無水物(PMDA)21.81g(0.1モル)、N−メチル−2−ピロリドン30gを添加し、60℃で3時間攪拌した。
【0050】
次に、光遮断下の室温で、ミヒラーケトン0.6g、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム0.6g、N,N−ジメチルアミノエチルメタクレート18.5g、1,10−フェナントロリン一水和物1.8gをN−メチル−2−ピロリドン60g混合撹拌後、フィルターでろ過して感光性ポリイミド前駆体組成物溶液を得た。
【0051】
この溶液を10cm×10cm角の25μmSUS箔にスピンコートし、90℃で60分間加熱乾燥して、厚み19μmの膜を形成した。これを140℃30分間、350℃60分間のステップで加熱処理し、厚み10μmのポリイミドの膜を得た。 このポリイミド膜の30℃〜100℃の範囲での平均線膨張係数は14×10-6(1/℃)であり、吸水率は0.4%であった。
【0052】
次にパターン加工するために、25μmSUS箔にスピンコートし、90℃で60分間加熱乾燥して厚み20μmの膜を形成した。この膜面をパターンの付いたマスクで覆い、窒素雰囲気下、7mW/cm2の出力の超高圧水銀灯を用いて2分間露光を行った。その後、東レ(株)製DV−822現像液を用い25℃で現像し、水で1分間リンス洗浄したところ、厚み17μmのポリイミド前駆体のパターンを得た。良好な形状のパターンが面内の全てにおいてとられ(パターン形状○)、パターン−SUS箔間の剥がれが全く見られなかった(パターン剥がれ率0%)。これを窒素雰囲気下、140℃30分間、350℃60分間のステップで加熱処理し、厚み10μmのポリイミドのパターンを得た。
【0053】
実施例2〜3、比較例1〜4の組成、結果は表1に示した。ポリマーの作成方法及び評価方法は実施例1と同様に行った。
【0054】
【表1】
【0055】
実施例4
温度計および乾燥空気導入口と攪拌装置を付した100mlの4つ口フラスコに、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)5.76g(0.018モル)、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)1.04g(0.002モル)、N,N’−ジメチルアセトアミド56.45gを窒素気流化、室温で攪拌した。溶解したのを確認した後、ピロメリット酸二無水物4.36g(0.02モル)を添加した後、約5時間攪拌し、その後65℃で1時間加熱した。次に、光遮断下の40℃でN,N−ジメチルベンジルアミン0.2gを触媒としてイソシアネートエチルメタクリレート1.45g(0.01モル)を徐々に加え、40℃で4時間撹拌した後、ミヒラーケトン0.09g、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム0.09g、2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン0.27gを混合撹拌後、フィルターでろ過して感光性ポリイミド前駆体組成物溶液を得た。
【0056】
この溶液を10cm×10cm角の25μmSUS箔にスピンコートし、90℃で60分間加熱乾燥して、厚み20μmの膜を形成した。この膜面に、窒素雰囲気下、7mW/cm2 の出力の超高圧水銀灯を用いて1.5分間露光を行った。次に、N,N−ジメチルアセトアミド(80部)とメタノール(20部)の混合溶媒を用いて現像し、エタノールで1分間リンス洗浄した。このとき膜の厚みは18μmであった。これを150℃30分間、400℃60分間のステップで加熱処理し、厚み10μmのポリイミドの膜を得た。このポリイミド膜の30℃〜100℃の範囲での平均線膨張係数は15×10-6(1/℃)であり、吸水率は0.4%であった。
【0057】
次にパターン加工するために、上記厚み20μmの膜を用いて、実施例1と同様に露光、現像したところ、厚み18μmのポリイミド前駆体のパターンを得た。良好な形状のパターンが面内の全てにおいてとられ(パターン形状○)、パターン−SUS箔間の剥がれが全く見られなかった(パターン剥がれ率0%)。これを窒素雰囲気下、150℃30分間、400℃60分間のテップで加熱処理し、厚み10μmのポリイミドのパターンを得た。
【0058】
実施例5
温度計および乾燥空気導入口と攪拌装置を付した500mlのセパラブルフラスコに、ピロメリット酸二無水物21.81g(0.1モル)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート26.02g(0.2モル)、γ−ブチロラクトン100mlを入れ、室温で1時間撹拌した後、60℃まで昇温し、同温度で1時間攪拌した。さらに、氷冷下、撹拌しながらピリジン17.0gを加えた。室温で16時間撹拌した後、ジシクロヘキシルカルボジイミド41.2g(0.2モル)のγ−ブチロラクトン40mlの溶液を氷冷下、10分間で加え、続いて、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)28.8g(0.09モル)、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)5.19g(0.01モル)を15分間で加えた。氷冷下、3時間撹拌した後、エタノール5mlを加えてさらに1時間撹拌し、沈殿をろかした後、得られた溶液に10Lのエタノールを加え、生成した沈殿をエタノールで洗浄した後、真空乾燥して粉末を得た。光遮断下で、この粉末30g、ミヒラーケトン0.6g、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム0.6g、2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン1.8gをN−メチル−2−ピロリドン45gに溶解した後、フィルターでろ過して感光性ポリイミド前駆体組成物溶液を得た。
【0059】
次に実施例4と同様に膜形成および露光を行い、シクロヘキサノン(70部)とキシレン(30部)の混合溶媒の現像液を用いて現像した後、イソプロパノールで1分間リンス洗浄した。このとき膜の厚みは19μmであった。これを150℃60分間、350℃120分間のステップで加熱処理し、厚み10μmのポリイミドの膜を得た。
【0060】
このポリイミド膜の30℃〜100℃の範囲での平均線膨張係数は15×10-6(1/℃)であり、吸水率は0.4%であった。
【0061】
次にパターン加工するために、上記厚み20μmの膜を用いて、この膜面をパターンマスクし、同様にして現像したところ、厚み19μmのポリイミド前駆体のパターンを得た。良好な形状のパターンが面内の全てにおいてとられ(パターン形状○)、パターン−SUS箔間の剥がれが全く見られなかった(パターン剥がれ率0%)。これを窒素雰囲気下、150℃60分間、350℃120分間のステップで加熱処理し、厚み10μmのポリイミドのパターンを得た。
【0062】
実施例6
温度計および乾燥空気導入口と攪拌装置を付した300mlの4つ口フラスコに、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)28.8g(0.09モル)、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)5.19g(0.01モル)、N−メチル−2−ピロリドン100gを仕込み、窒素気流下、60℃で攪拌した。溶解したのを確認した後、60℃でピロメリット酸二無水物(PMDA)21.81g(0.1モル)、N−メチル−2−ピロリドン30gを添加し、60℃で3時間攪拌した。
【0063】
次に、光遮断下の室温で、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン18g、2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン1.8gをN−メチル−2−ピロリドン60g混合撹拌後、フィルターでろ過して感光性ポリイミド前駆体組成物溶液を得た。
【0064】
この溶液を10cm×10cm角の25μmSUS箔にスピンコートし、90℃で60分間加熱乾燥して、厚み19μmの膜を形成した。これを140℃30分間、350℃60分間のステップで加熱処理し、厚み10μmのポリイミドの膜を得た。 このポリイミド膜の30℃〜100℃の範囲での平均線膨張係数は14×10-6(1/℃)であり、吸水率は0.4%であった。
【0065】
次にパターン加工するために、25μmSUS箔にスピンコートし、90℃で60分間加熱乾燥して厚み20μmの膜を形成した。この膜面をパターンの付いたマスクで覆い、窒素雰囲気下、7mW/cm2の出力の超高圧水銀灯を用いて2分間露光を行った。その後、180℃で30分間加熱した。続いて、5%テトラアンモニウムヒドロキシド−エタノール(80/20重量比)、40℃で現像し、水で1分間リンス洗浄したところ、厚み17μmのポリイミド前駆体のパターンを得た。良好な形状のパターンが面内の全てにおいてとられ(パターン形状○)、パターン−SUS箔間の剥がれが全く見られなかった(パターン剥がれ率0%)。これを窒素雰囲気下、140℃30分間、350℃60分間のステップで加熱処理し、厚み10μmのポリイミドのパターンを得た。
【0066】
【発明の効果】
金属箔上に塗布、プリベークして、露光、現像によりパターンを形成し、キュアすることを目的とする感光性重合体組成物であって、従来の技術では困難であった金属箔上でのパターン加工において、良好な形状なパターンを面内で均一に得ることができ、さらに、金属箔とパターンの間で剥がれが生じることがない。
Claims (2)
- 金属箔上に塗布、プリベークして、露光、現像によりパターンを形成し、キュア後の30℃〜100℃の平均熱線膨張係数が25×10−6(1/℃)以下である感光性重合体組成物において、(A)ポリマー、(B)1,10−フェナントロリン、8−キノリノールおよび2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンから選ばれる金属との接着助剤化合物、(C)感光剤を必須成分とすることを特徴とする感光性重合体組成物。
- 前記(B)金属との接着助剤化合物が1,10−フェナントロリンである請求項1記載の感光性重合体組成物。
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