JP4505040B2 - スペクトラム拡散通信において効率的に同期を獲得するための方法および装置 - Google Patents

スペクトラム拡散通信において効率的に同期を獲得するための方法および装置 Download PDF

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Description

本発明は、遠隔通信に関し、具体的には、直接拡散型のスペクトラム拡散無線通信システムでのトランシーバの同期化に関する。
セルラ無線システムおよび衛星無線システムなどの現代の通信システムでは、さまざまな動作のモード(アナログ、ディジタル、およびハイブリッド)と、周波数分割多元接続(FDMA)、時分割多元接続(TDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、およびこれらの技法のハイブリッドなどのアクセス技法が使用される。
ディジタル・セルラ通信システムは、システム容量を最適化し、階層セル構造すなわちマクロセル、マイクロセル、ピコセルなどの構造をサポートする機能性を拡張してきた。用語「マクロセル」は、一般に、通常のセルラ電話システムのセルのサイズ(たとえば少なくとも約1kmの半径)に匹敵するサイズを有するセルを指し、用語「マイクロセル」および「ピコセル」は、一般に、より小さいセルを指す。たとえば、マイクロセルは、公共の室内または戸外の区域、たとえば会議センタまたは繁華街をカバーすることができ、ピコセルは、オフィスの廊下または高層建築の1階をカバーすることができる。無線カバレッジの観点から、マクロセル、マイクロセル、およびピコセルは、互いに別個とするか、異なるトラフィック・パターンまたは無線環境を扱うために互いにオーバーラップさせることができる。
通常のセルラ移動無線電話システムには、1つまたは複数の基地局(BS)と複数の移動局(MS)が含まれる。基地局には、通常は、モバイル・スイッチング・センタ(MSC)などのコア・ネットワーク・タイプ・ノードに接続された制御処理ユニットが含まれ、MSCは、公衆交換電話網(PSTN)に接続される。そのようなセルラ無線電話システムの一般的な態様は、当技術分野で既知である。基地局は、制御処理ユニットによって制御されるトラフィック・チャネル・トランシーバを介して複数の音声チャネルまたはデータ・チャネルを処理する。また、各基地局には、やはり制御処理ユニットによって制御される複数の制御チャネルを処理することができるものとすることができる制御チャネル・トランシーバが含まれる。制御チャネル・トランシーバは、基地局の制御チャネルを介して、その制御チャネルに同調(またはロック)された移動体へ制御情報をブロードキャストする。
移動体は、制御チャネルでブロードキャストされる情報を、その音声および制御チャネル・トランシーバで受信する。移動体処理ユニットは、その移動体がロックする候補であるセルの特性を含む受信した制御チャネル情報を評価し、その移動体がロックしなければならないセルを判定する。有利なことに、受信した制御チャネル情報には、それに関連するセルに関する絶対情報だけではなく、その制御チャネルに関連するセルに隣接する他のセルに関する相対情報も含まれる。
北米では、TDMAを使用するディジタル・セルラ無線電話システムを、digital advanced mobile phone service(D−AMPS)と称し、その特性の一部が、Telecommunications Industry Associationおよび電子工業会(TIA/EIA)によって公表されたTIA/EIA/IS−136標準規格で仕様を定められている。直接拡散CDMA(DS−CDMA)を使用するもう1つのディジタル通信システムが、TIA/EIA/IS−95標準規格で仕様を定められており、周波数ホッピングCDMA通信システムが、EIA SP 3389標準規格(PCS 1900)で仕様を定められている。PCS 1900標準規格は、GSMシステムの実装であり、GSMシステムは、北米以外で一般的であり、パーソナル通信サービス(PCS)システムのために導入されている。
次世代ディジタル・セルラ通信システムに関する複数の提案が、現在、国際電気通信連合(ITU)、European Telecommunications Standards Institute(ETSI)、および日本の電波産業会(ARIB)を含むさまざまな標準規格策定組織で議論されている。現在ETSIによって提案されている、例の第3の標準規格が、Universal Mobile Telecommunications System(UMTS)Terrestrial Radio Access(UTRA)である。音声情報の送信のほかに、次世代システムは、パケット・データを搬送し、通常はオープン・システム間相互接続(OSI)モデルまたはtransmission control protocol/Internet protocol(TCP/IP)スタックなどの産業界全体のデータ標準規格の上で設計され、これに基づくパケット・データ・ネットワークと相互運用すると期待することができる。これらの標準規格は、正式であれデファクトであれ、長年にわたって開発され、これらのプロトコルを使用するアプリケーションは、簡単に入手可能である。
これらのディジタル通信システムのほとんどで、通信チャネルが、800MHz、900MHz、1800MHz、および1900MHz付近の周波数を有する周波数変調無線搬送波信号によって実施される。TDMAシステムおよびCDMAシステムでのさまざまな範囲で、各無線チャネルは、一連のタイム・スロットに分割され、各タイム・スロットに、ユーザからの情報のブロックが含まれる。タイム・スロットは、それぞれが所定の持続時間を有する連続するフレームにグループ化され、連続するフレームを、一連の、通常はスーパーフレームと称するものにグループ化することができる。通信システムによって使用されるアクセス技法の種類(たとえばTDMAまたはCDMA)が、ユーザ情報がスロット内およびフレーム内でどのように表現されるかに影響するが、現在のアクセス技法のすべてで、スロット/フレーム構造が使用されている。
同一の移動体ユーザに割り当てられたタイム・スロットは、無線搬送波上で連続するタイム・スロットでない場合があるが、その移動体ユーザに割り当てられた論理チャネルとみなすことができる。各タイム・スロット中に、所定の数のディジタル・ビットが、システムによって使用される特定のアクセス技法(たとえばCDMA)に従って送信される。音声トラフィックまたはデータ・トラフィック用の論理チャネルのほかに、セルラ無線通信システムは、基地局と移動局によって交換される呼セットアップ・メッセージ用のページング/アクセス・チャネルと、移動局または他のリモート端末によって使用される、それらのトランシーバを基地局のフレーム/スロット/ビット構造に同期化するためのブロードキャスト・メッセージ用の同期チャネルなどの、制御メッセー用の論理チャネルも提供する。一般に、これらの異なるチャネルの送信ビット・レートが一致する必要はなく、異なるチャネルのスロットの長さが均一である必要はない。さらに、欧州および日本で検討されている第3世代セルラ通信システムは、非同期であり、これは、ある基地局の構造が、別の基地局の構造に対して時間的に関係せず、移動体が前もってそれらの構造のどれも知らないことを意味する。
そのようなディジタル通信システムでは、受信側端末が、情報転送を行う前に、送信側端末のタイミング基準を見つけなければならない。DS−CDMAを使用する通信システムでは、タイミング基準の発見が、ダウンリンク(たとえばBSからMSへの)チップ、シンボル、およびフレームの境界の発見に対応する。これらを、それぞれ、ダウンリンク・チップ同期化、ダウンリンク・シンボル同期化、およびダウンリンク・フレーム同期化と称する場合がある。これに関して、フレームは、単に、独立に検出しデコードすることができるデータのブロックである。現在のシステムのフレーム調波、通常は、10ミリ秒(ms)から20msの範囲に含まれる。このBSタイミングの検索を、「セル検索」と称する場合があり、これには、現在のDS−CDMA通信システムの特徴であるBS固有ダウンリンク・スクランブリング・コードの識別が含まれる。
移動体または他のリモート端末は、通常は、BSによって送信された信号の、減衰した版、フェードした版、および妨害された版の重ね合せ(合計)である信号を受信する。受信された信号のスロット境界およびフレーム境界は、初めにはMSに未知であり、BS固有スクランブリング・コードも同様である。したがって、移動体は、雑音様(DS−CDMAの場合)の受信された信号内で、使用されるスクランブリング・コードを識別するために、1つまたは複数のBSを検出し、識別しなければならない。リモート端末がBSに同期し、BS固有スクランブリング・コードを識別するのを助けるために、一部の通信システムでは、各BS信号に、同期チャネル(SCH)と称する場合がある、MSがロックし、「セル検索」を実行できるスクランブリングされない部分が含まれる。
ダウンリンク同期化を達成した後であっても、アップリンク通信(たとえばMSからBSへ)に関しても同期化を達成しなければならない。これは、基地局と移動局の間のすばやく変化する無線インターフェースならびに基地局との間の「ラウンドトリップ」伝搬遅延が原因である。移動体が、基地局への送信を望む時に、移動体は、アップリンク・チャネル(たとえばランダム・アクセス・チャネル(RACH))を介して最初の送信を送る。基地局と移動局の間の既に達成されたダウンリンク同期化のゆえに、アップリンク送信は、おおむねまたは粗に、たとえば、通常は1タイム/アクセス・スロット以内に同期化されている。たとえば、基地局が、8つの別個のタイム/アクセス・スロット中の移動体からのアップリンク送信だけを許容する場合がある。移動体は、一般に、基地局によってブロードキャストされるダウンリンク信号に同期化する時に、これらのタイム・スロットが始まる時を知る。したがって、移動体が、そのようなタイム/アクセス・スロットの1つ分を超えて同期がずれてはいないと仮定することができる。直接拡散型のスペクトラム拡散システムでは、そのようなタイム/アクセス・スロットが、所定のチップ数、たとえば256チップに対応する。この例では、最大ラウンドトリップ伝搬遅延すなわち、移動体が基地局との同期から外れる量が、255チップであると仮定する。
同期化を達成するために、1つの局の送信に、いくつかの既知の信号(すなわち、他の局に既知の)が含まれる。ダウンリンク方向では、この既知の信号を、同期シーケンス、同期コード、主同期シーケンス、または主同期コードと称する場合がある。アップリンク方向では、この既知の信号を、プリアンブル・シーケンスと称する場合がある。ランダム・アクセスでは、移動局が、アップリンク・ランダム・アクセス・バーストを送信する。ランダム・アクセス・バーストは、プリアンブル(またはプリアンブル・シーケンス)部分とメッセージ部分からなる。基地局のRACH受信器が、受信した信号サンプルと既知のプリアンブル・シーケンスを相関させる。最大プリアンブル相関が、基地局RACH受信器によって検出された後に、基地局は、同期状態になり、RACHバーストのメッセージ部分に含まれる移動体からの実質的なメッセージを正確にデコードすることができる。基地局ごとに1つのランダム・アクセス同期コード/プリアンブルだけが必要であるが、基地局に関連する異なる同期コード/プリアンブルを使用して、異なる移動局からのアップリンク送信の間の相互相関を最小にすることができる。
どの場合でも、ダウンリンク・セル検索またはアップリンク・ランダム・アクセス同期化に使用される同期コード/プリアンブルは、最小の位相はずれの非周期的自己相関を有しなければならない。自己相関は、コードまたはシーケンスがそれ自体とどれほどよく相関するかを記述する特性である。最小の位相はずれの非周期的自己相関は、非0タイム・シフト(すなわち基地局と移動局の同期が1チップ以上ずれている)の自己相関値が、0タイム・シフト自己相関値(基地局と移動局がチップ同期化している)と比較して少ないことを意味する。非0タイム・シフト自己相関値を、自己相関副ローブと称する。0タイム・シフト自己相関値を、自己相関主ローブと称する。
単位エンベロープを有する同期コードの1つの可能な供給源が、バイナリまたは多相のバーカー(Barker)コードである。バーカー・コードの主ローブ対最大副ローブ比は、Lに等しく、Lは、コード長である。残念ながら、バイナリ・バーカー・コードは、長さ2、3、4、5、7、11、および13のみに関して存在し、多相バーカー・コードは、現在、45までの長さに関して既知である。その結果、より長いプリアンブル同期コードが必要な時には、最適でないコードを使用しなければならない。たとえば、第3世代移動体通信標準規格(UTRA)用に提案されたランダム・アクセス・バースト信号のプリアンブルは、4096コード・チップの長さを有する。
最小の非周期的自己相関およびより長いコード長のほかに、同期コードを効率的に生成し、相関させることも重要である。基地局での相関に関して、ランダムに使用することができる複数の異なる同期プリアンブル/コードがあり、その結果、基地局ランダム・アクセス・チャネル受信器が、受信したコンポジット信号をすべての可能な同期/プリアンブル・コードと相関させなければならない場合には、効率がさらに重要である。この状況では、基地局受信器は、特にコード長が長い場合に、それぞれが大量のデータ処理動作を実行する、ランダム・アクセス・プリアンブル相関器のバンクを使用する。移動体が基地局タイミングを識別でき、フレーム同期、シンボル同期、およびチップ同期を得られる(すなわちセル検索)ようにするために基地局によって送信されるダウンリンク同期コードの設計および検出に関して、類似する問題が存在する。
効率を達成するために、提案されたUTRAランダム・アクセス・バースト・プリアンブルは、相関演算の数が減るという長所を有する直列(または階層)コード連結手順を使用して生成される。プリアンブルは、16個の複素シンボルを有する「シグネチャ」を使用して生成される。各バイナリ・シーケンスに定数複素数C=(1+j)/√2、(ここでj=√−1)をかけることによって、長さ16のバイナリ直交ゴールド(ゴールド)シーケンスの直交の組から得られる16個の異なるシグネチャがある。各シグネチャ・シンボルは、256チップ長の直交ゴールド・シーケンスになるように選択される、いわゆるプリアンブル拡散コードを用いて拡散される。したがって、結果のプリアンブル・シーケンスは、4096チップの長さすなわち16×256=4096を有する。プリアンブル拡散コードは、セル固有であり、基地局によってそのセル内で許容されるシグネチャに関する情報と共にブロードキャストされる。
残念ながら、直列連結された直交ゴールド・シーケンスに基づくプリアンブルの非周期的自己相関特性は、最適ではない、すなわち、大きい自己相関副ローブが生成される。大きい自己相関副ローブは、受信器が、これらの副ローブの1つに誤って同期し、その結果、送信されるメッセージが正しく受信されないことを意味する。
したがって、より長い長さについて、最小の非周期的自己相関特性をもたらし、効率的に生成でき伝導することができる、1つまたは複数の同期シーケンスを提供することが望ましい。そのような同期シーケンスは、ダウンリンク・セル検索およびアップリンク・ランダム・アクセスなどの多くのタイプのスペクトラム拡散通信応用分野で有利に使用することができる。
これらおよび他の目的を満たすために、本発明は、第2トランシーバによって送信された受信信号を相関させるのに使用される第1トランシーバに含めることができる相関器を提供する。相関器には、受信された信号をシーケンスの相補ペアの1つと相関させるためにシーケンスの相補ペアに対応するマッチドフィルタが含まれる。検出器が、マッチドフィルタからのピーク出力を検出し、タイミング回路が、検出されたピーク出力を使用して、第1トランシーバと第2トランシーバの間の送信の同期化のためのタイミング推定値を生成する。相補シーケンスのそれぞれが、その相補シーケンスのすべての非0遅延に関する非常に低い非周期的自己相関副ローブ値と、その相補シーケンスの0遅延に関する最大の自己相関主ローブ値を有する。
1つの例の応用例では、第1トランシーバを基地局とすることができ、第2トランシーバを移動局とすることができる。1つのシーケンスを、ランダム・アクセス・チャネルを介して基地局へ移動局によって送信されるランダム・アクセス・バーストのプリアンブル部分として使用することができる。その代わりに、第1トランシーバを移動局とし、第2トランシーバを基地局とすることができる。1つのシーケンスを、同期チャネルまたは他のブロードキャスト・タイプのチャネルを介して基地局によって送信される同期シーケンスとして使用することができる。
複数のそのようなマッチドフィルタを、第1トランシーバ側で相関器のバンクとして使用することができ、各マッチドフィルタは、最小の非周期的自己相関副ローブ特性を有するシーケンスの相補ペアに対応する。これは、直交の組からの複数のシーケンスを同一セル内で使用する必要がある時、たとえば、たとえば容量を増やすために複数のランダム・アクセス・チャネルを使用する必要がある時に、特に有利である。好ましい例の実施形態では、シーケンスの相補ペアが、長さL=2のバイナリ・シーケンスの相補ペアであり、ここで、Nは、正の整数である。バイナリ・シーケンスの相補ペアは、通常は、ゴーレイ(Golay)相補ペアと称し、そのようなペア(対)を形成するシーケンスを、ゴーレイ相補シーケンスと称する。シーケンスのゴーレイ相補ペアは、比較的長い長さ、たとえばL=4096チップを有することが好ましい。
本発明は、N個のメモリ手段だけを必要とする、長さL=2のゴーレイ相補シーケンスのペアを効率的に生成するシーケンス生成器も提供する。N個のメモリ手段を有するモジュロ2カウンタが、0から2N−1まで循環的にカウントする。カウンタからN個の並列出力を受け取り、1からNまでの範囲の整数のある置換に従って置換する置換器。N個の論理AND演算器の第1の組が、隣接する置換されたカウンタ出力の対からN個の並列出力を作る。これらの出力を、第1合計器内で2を法として合計する。N個の論理AND演算器の第2組が、置換されたカウンタ出力のそれぞれおよびN個の重みづけ係数の組の1つに作用して、N個の並列出力を作る。第2合計器が、N個の論理AND演算器の第2組によって生成された出力を、2を法として合計する。第3合計器が、第1合計器および第2合計器の出力の2を法とする合計をとって、バイナリ・シーケンスの相補ペアの第1バイナリ・シーケンスを作る。第4合計器が、第3合計器の出力と、置換器からの最上位出力の2を法とする合計をとって、バイナリ・シーケンスの相補ペアの第2バイナリ・シーケンスを作る。
効率的な同期シーケンス生成器のほかに、本発明は、受信したスペクトラム拡散信号を、長さL=2のバイナリ(ゴーレイ)相補シーケンスまたは多相相補シーケンスのペアと効率的に相関させる効率的なシーケンス相関器も提供する。そのような相関器を、効率的なゴーレイ相関器(EGC)と称する場合がある。効率的なシーケンス相関器には、N個の直列に連結された処理ステージが含まれ、各ステージは、第1および第2の並列処理ブランチを有する。第1処理ブランチの各ステージには、対応する加算器に結合された遅延線が含まれる。第2処理ブランチの各ステージには、減算器に結合された乗算器が含まれる。特定の処理ステージで第1処理ブランチに供給される入力信号は、対応する遅延線の複数のメモリ手段に保管され、同一の遅延線の最後のメモリ手段の内容が、加算器(第1ブランチ内)と、同一ステージの減算器(第2ブランチ内)に入力される。同一のステージで第2処理ブランチに供給される入力信号は、乗算器内で、対応する重みづけ係数をかけられる。乗算器の出力は、減算器(第2ブランチ内)の負入力および加算器(第1ブランチ内)に供給される。加算器の出力が、次の連続するステージの遅延線に入力される。減算器の出力が、次の連続するステージの乗算器に入力される。第1処理ステージの第1処理ブランチおよび第2処理ブランチの入力信号は、受信したスペクトラム拡散信号に対応する。
第N処理ステージの第1処理ブランチの出力は、受信したスペクトラム拡散信号とシーケンスの相補ペアの第1シーケンスとの相互相関になる。第N処理ステージの第2処理ブランチの出力は、受信したスペクトラム拡散信号とシーケンスの相補ペアの第2シーケンスとの相互相関になる。好ましい例の実施形態では、相補シーケンスが、バイナリ相補シーケンスまたはゴーレイ相補シーケンスである。
本発明は、L=2の相補シーケンスのペアからのシーケンスの1つを使用する受信信号の相関のための、実質的に減らされたメモリを有するメモリ効率のよいゴーレイ相関器も提供する。相補ペアからの1つのシーケンスが、長さXの、2つのより短い構成要素相補シーケンスの連結として表現される。各構成要素シーケンスが、L/X回だけ繰り返され、長さY=L/Xのシグネチャ・シーケンスに従って+1または−1によって変調される。長さXの第1相関器が、スペクトラム拡散信号を受信し、構成要素相補シーケンスに対応する相関値の中間対を生成する。第1セレクタが、要素が集合{0,1}に属する長さY=L/Xのインターリーブ化シーケンスの現在値に基づいて、連続するタイム・ウィンドウのそれぞれの間に、相関値の中間対の1つを交互に供給する。構成要素シーケンスの連結の順序は、インターリーブ化シーケンスによって決定される。乗算器が、選択された中間相関値に、シグネチャ・シーケンスの対応するビットをかけて、乗算された相関出力を生成する。乗算された相関出力は、X個のメモリ手段を有する遅延線によって生成されるフィードバック出力と合計され、結果の合計自体は、遅延線の入力にフィードバックされる。最終相関値は、Y個の連続するタイム・ウィンドウが発生した後の結果の合計に対応する。好ましい例の実施形態では、N=12、L=4096、X=256、およびY=16であり、最終相関器が、上で説明したものなどの効率的なゴーレイ相関器である。
もう1つの実施形態では、このメモリ効率のよい相関器が、受信したスペクトラム拡散信号を、複数のシグネチャを使用して生成された複数の直交シーケンスと相関させる。複数の乗算器のそれぞれが、選択された中間相関値を、異なるシグネチャ・シーケンスの要素にかけて、対応する乗算された相関出力を生成する。複数の合計器が設けられ、各合計器は、乗算器の1つに対応し、乗算された相関出力を、対応する遅延線のフィードバック出力と合計する。シグネチャ・シーケンス内のすべての要素を処理した後に、最終相関値が、直交シーケンスのそれぞれについて生成される。16個のシグネチャを使用して16個の直交ゴーレイ・シーケンスを生成する、1つの例の実施形態を開示する。もう1つの例の実施形態では、32個のシグネチャを使用して、32個の直交ゴーレイ・シーケンスを生成する。
本発明の結果として、比較的長いシーケンス長に関して優秀な非周期的自己相関特性を有する、単一の同期シーケンスまたは同期シーケンスの直交の組(セット)が提供される。同等に重要なことに、本発明は、1つの同期シーケンスまたはそのような同期シーケンスの直交の組の効率的な生成およびそれとの相関を提供する。これらの同期シーケンスは、有利なことに、1つの例の応用例で、ランダム・アクセス・チャネルを介するアップリンク同期化およびブロードキャスト同期チャネルを介するダウンリンク同期化に使用することができる。
本発明の前述および他の目的、特徴、および長所は、好ましい実施形態の下記の説明から明白であると同時に、添付図面に示されており、図面では、全体を通じて符号が同一の部分を指す。個々の機能ブロックおよび構成要素が図の多くに示されているが、当業者は、これらの機能を、個別のハードウェア回路によって、適当にプログラムされたディジタル・マイクロプロセッサによって、特定用途向け集積回路(ASIC)によって、1つまたは複数のディジタル信号プロセッサ(DSP)によって、またはこれらの組合せによって実行できることを諒解するであろう。
本発明を有利に使用することができる、例の移動体通信システムの機能ブロック図である。 本発明を有利に使用することができる、例の無線局トランシーバの機能ブロック図である。 図2の無線局トランシーバの受信器チェーン内のベースバンド処理ブロックの追加の詳細を示す機能ブロック図である。 再帰ゴーレイ・シーケンス生成器の図である。 直接ゴーレイ・シーケンス生成器の図である。 一般的なタイプの相関器の図である。 効率的なゴーレイ相関器の図である。 ランダム・アクセス・チャネルを介するランダム・アクセス・バーストのシグナリング・フォーマットを示す図である。 ランダム・アクセス・チャネルを介するランダム・アクセス・バーストのシグナリング・フォーマットを示す図である。 移動局によって実行されるランダム・アクセス・ルーチンの手順を示す流れ図である。 基地局によって実行されるランダム・アクセス・ルーチンを示す流れ図である。 連結されたシーケンスに基づく特定のランダム・アクセス・チャネル・プリアンブル相関器の図である。 本発明の例の実施形態を組み込まれた、やはり連結されたシーケンスに基づくランダム・アクセス・プリアンブル相関器を示す図である。 本発明の例の実施形態が使用される、ランダム・アクセス・プリアンブル相関器のバンクを示す図である。 因数分解された効率的なゴーレイ相関器を実施する、本発明のもう1つの例の実施形態のブロック図である。 ランダム・アクセス・プリアンブル相関器の、遅延に対する自己相関値を示すグラフである。 本発明の例の実施形態を実施するランダム・アクセス・プリアンブル相関器の、遅延に対する自己相関値を示すグラフである。
以下の説明では、制限ではなく例示のために、本発明の完全な理解をもたらすために、特定の実施形態、手順、技法などの特定の詳細を示す。しかし、当業者には、本発明を、これらの特定の詳細から逸脱する他の実施形態で実践できることが明白であろう。たとえば、本発明を、時々、アップリンク拡散コードを使用する移動体無線局に関して説明するが、本発明は、たとえば無線基地局などの他の無線局に同等に適用可能であり、実際に、すべてのスペクトラム拡散通信システムに同等に適用可能である。他の場合には、不要な詳細で本発明の説明を不明瞭にしないように、周知の方法、インターフェース、装置、およびシグナリング技法の詳細な説明を省略した。
本発明を、図1に示されたUniversal Mobile Telecommunications System(UMTS)10の、制限的でない例の文脈で説明する。雲12として示された、代表的なコネクション指向の外部コア・ネットワークは、たとえば、公衆交換電話網(PSTN)またはサービス総合ディジタル網(ISDN)もしくはその両方とすることができる。雲14として示された、代表的なコネクションレス指向外部コア・ネットワークは、たとえばインターネットとすることができる。両方のコア・ネットワークが、対応するサービス・ノード16に結合される。PSTN/ISDNコネクション指向ネットワーク12は、回路交換サービスを提供するモバイル・スイッチング・センタ(MSC)ノード18として示されたコネクション指向サービス・ノードに接続される。既存のGSMモデルでは、MSC18が、インターフェースAを介して基地局サブシステム(BSS)22に接続され、BSS22は、インターフェースA’を介して無線基地局23に接続される。インターネット・コネクションレス指向ネットワーク14は、パケット交換型サービスを提供するように調整されたGeneral Packet Radio Service(GPRS)ノード20に接続される。コア・ネットワーク・サービス・ノード18および20のそれぞれが、radio access network(RAN)インターフェースを介してUMTS Radio Access Network(URAN)24に接続される。URAN24には、1つまたは複数の無線ネットワーク・コントローラ26が含まれる。各RNC26は、複数の基地局(BS)28と、URAN24内の他のRNCとに接続される。
好ましい実施形態では、無線アクセスが、広帯域符号分割多重多元接続(WCDMA)に基づき、個々の無線チャネルが、CDMA拡散コードを使用して割り振られる。WCDMAは、マルチメディア・サービスおよび他の高速需要のための広い帯域幅、ならびに高品質を保証するためのダイバーシティ・ハンドオフ(diversity handoff)およびRAKE受信器などの堅牢な機能を提供する。各移動局24は、基地局20がその特定の移動局からの送信を識別するため、ならびに移動局が同一区域内に存在する他の送信および雑音からその移動局にあてられた基地局からの送信を識別するために、それ自体のスクランブリング・コードを割り当てられる。ダウンリンク(BSからMSへ)ブロードキャスト・チャネルおよびアップリンク(MSからBSへ)ランダム・アクセス・チャネルが、図示されている。
本発明を使用することができるCDMA無線局トランシーバ30を、機能ブロック図形式で図2に示す。当業者は、本発明に関係しない、CDMAトランシーバで使用される他の無線トランシーバ機能が、図示されていないことを諒解するであろう。送信ブランチでは、送信される情報ビットが、拡散器32によって受け取られ、拡散器32が、拡散コード生成器40によって生成される拡散コードに従って、使用可能な周波数スペクトル上でこれらの情報ビットを拡散する(広帯域CDMAの場合、この周波数帯域は、たとえば、5MHz、10MHz、15MHz、またはそれ以上である)。コントローラ44が、コード生成器40によって供給される拡散コードのどれを拡散器32に供給するかを決定する。コード生成器40によって供給される拡散コードは、CMDA通信システムの無線チャネルに対応する。非常に多数のコード・シンボル(「チップ」と称する場合もある)を使用して、各情報ビットをコード化することができるので(WCDMAシステムなどの可変データ・レート・システムでの現在のデータ・レートに依存する)、拡散動作によって、データ・レートがかなり高くなり、これによって、信号帯域幅が広がる。拡散信号は、変調器34に供給され、変調器34は、拡散信号でRF搬送波を変調する。発振器42が、コントローラ44によって選択された周波数の、適当な無線周波数搬送波を生成する。変調されたRF信号は、アンテナ38によって無線インターフェースを介して送信される前に、RF処理ブロック36内でフィルタリングされ、増幅される。
類似するが逆の動作が、トランシーバ30の受信ブランチで実行される。RF信号が、アンテナ38によって受信され、RF処理ブロック150でフィルタリングされる。処理された信号を、発振器44によって供給される適当なRF搬送波信号を使用して、RF復調器48内でRF復調して、RF搬送波から複素ベースバンド信号を抽出する。通常、受信信号を実数(I)直交成分および虚数(Q)直交成分に分解するために、RF復調器内で直交ダウンコンバータが使用される。この形で、チャネル・フェージングまたは送信器発振器と受信器発振器の間の位相非同期に起因する着信信号の位相シフトを検出し、補償することができる。RF復調された複素ベースバンド信号は、同期を得るためにプリアンブル・シーケンスと相関され、その後、ベースバンド受信器46内で、逆拡散コードに従って逆拡散される。
図3を参照すると、ベースバンド受信器46が詳細に示されている。同期プリアンブルは、バイナリ・シーケンスであり、プリアンブルマッチドフィルタ/相関器51に、2つの同一のバイナリ・プリアンブル相関器が含まれ、その一方(52)は、受信したベースバンド信号のIブランチを相関させ、他方(53)は、同一の信号のQブランチを相関させる。プリアンブル・シーケンスは、プリアンブルマッチドフィルタ51に組み込まれ、逆拡散コードは、コード生成器40によって生成される。
受信された複素ベースバンド・プリアンブル信号は、着信信号との正確な同期を達成するため、およびベースバンド(RAKE)復調器57で使用され、後に追跡されるフェージング・チャネル係数の初期値を得るために、対応する同期プリアンブル相関器51内で相関される。タイミング情報は、実数相関器52および虚数相関器53からの絶対相関値を閾値と比較することによって、ピーク検出器54内で得られる。ピーク検出器54は、受信した信号のさまざまなマルチパス成分の遅延(受信器タイミングに対する相対的な)を提供する。タイミング・ユニット56は、この情報を使用して、マルチパス成分の組合せおよびベースバンド(RAKE)復調器での復調の前に、マルチパス成分の相互遅延を補償する。検出された相関ピークに対応する複素相関値が、初期チャネル推定器55に保管され、ベースバンド復調器57で、打ち消される初期フェージング・チャネル係数として使用される。
本発明では、シーケンスの相補ペアからの1つまたは複数の同期パターンとして使用する。シーケンスの相補ペアの基本特性は、それらの非周期的自己相関関数の合計が、すべての非0タイム・シフトについて0になることである。好ましい例の実施形態では、同期シーケンスが、バイナリ相補シーケンスすなわちゴーレイ相補シーケンスに基づく。有利なことにゴーレイ相補シーケンスは、すべての長さL=2(Nは任意の正の整数)について構成することができ、長さ10および26についても構成でき、これらの長さの任意の組合せについても構成できる。長いシーケンス長の可能性を有することのほかに、多くのゴーレイ相補シーケンスは、低い非周期的自己相関副ローブを有する。以下の文章では、説明のみの目的でゴーレイ相補シーケンスに焦点を合わせるが、本発明の多くの態様に、任意の相補シーケンスのペアに属するすべてのシーケンスが含まれる。
シーケンスの長さがL=2である場合に、シーケンスの多相相補ペアを構成する一般的な方法があり、シーケンスのゴーレイ相補ペアは、特殊なバイナリの場合すなわち2相である。その一般的な構成は、次の再帰関係によって定義される。
(k)=δ(k)
(k)=δ(k)
(k)=an−1(k)+W・bn−1(k−D
(k)=an−1(k)−W・bn−1(k−D) (1)
ここで、
k=0,1,2,...,2−1
n=1,2,...,N
=2Pn
であり、
(k)およびb(k)は、長さ2の2つの相補シーケンスであり、
δ(k)は、クロネッカのデルタ関数であり、
kは、タイム・スケールを表す整数であり、
nは、反復回数であり、
は、遅延であり、
、n=1,2,...,Nは、数{0,1,2,...,N−1}の任意の置換であり、
は、単位大きさの任意の複素数である。
が+1または−1の値を有する場合に、バイナリ(ゴーレイ)相補シーケンスが得られる。すべての可能な置換Pおよびすべての2個の異なるベクトルW、(n=1,2,...,N)を使って、N!2個の異なる相補ペアを構成することが可能である。しかし、長さ2の異なるゴーレイ・シーケンスの数は、N!2N−1である。
遅延が、式(1)で定義されているように2の電力ではない場合、または、すべての重みづけ係数Wが同一の大きさを有するのでない場合には、式(1)の構成によって、マルチレベルの相補ペアが作られる。しかし、本発明の多くの態様は、マルチレベルの相補ペアにも適用される。
相補ペアからの両方のシーケンスa(k)およびb(k)の同時生成のための一般的な再帰方式を、図4に示す。図4に示された再帰ゴーレイ・シーケンス生成器60は、式(1)で定義された相補ゴーレイ・シーケンスa(k)およびb(k)の対を作るが、特に長いコードの場合に、大量のメモリ手段を必要とする。たとえば、長さL=4096、N=12のシーケンスの場合、12個の遅延線(DないしD12)が必要であり、最初の遅延線が、D個のメモリ手段を有し、第2の遅延線が、D個のメモリ手段を有し、以下同様である。したがって、メモリ手段の総数は、L−1=2−1になる。というのは、式(1)によれば、
+D+...+D=1+2+4+...+2N−1=2−1
になるからである。ゴーレイ相補シーケンスを生成するためのより効率的な(したがって、好ましいが必要ではない)手段を、これから説明する。
図5に示された直接ゴーレイ相補シーケンス生成器は、図4に示された再帰ゴーレイ・シーケンス生成器60と正確に同一のゴーレイ相補シーケンスのペアを作る。直接ゴーレイ・シーケンス生成器70には、0から2−1までの循環カウントを可能にするN個のメモリ手段だけを含むモジュロ2カウンタ72が含まれる。カウンタ72並列出力は、正の整数変数kのバイナリ表現に対応し、ここで、
Figure 0004505040
である。置換器74が、N個の並列出力B(k)ないしB(k)を受け取るように結合され、これらのN個の並列出力を、1からNまでの範囲の整数のある置換に従って置換する。置換器74で使用される置換ベクトルは、式(1)で使用される置換のすべての数に1を加算することによって得られる。N−1個のANDゲートの第1組76が、置換器74の隣接する出力の対からN−1個の並列出力を作る。第1合計器80が、ANDゲートの第1組76によって生成された出力の2を法とする合計をとる。ANDゲートの第2組78が、置換器74の出力のそれぞれと、式(1)で使用されたバイナリ・ベクトルWを使用して、1を0に、−1を1に写像することによって得られるN個の重みづけ係数W ないしW の組の1つとの論理積をとる。第2合計器82が、ANDゲートの第2組78によって生成された出力の2を法とする合計をとる。第3加算器84が、第1加算器と第2加算器の出力の2を法とする合計をとって、バイナリ・シーケンスの相補ペアの第1のバイナリ・シーケンスを作る。第4合計器86が、第3加算器84と、置換器74の最上位出力すなわちBP(N)(k)の2を法とする合計をとって、シーケンスの相補ペアの第2バイナリ・シーケンスを作る。写像器88が、アルファベット{0,1}からの要素を有する第1および第2のバイナリ・シーケンスを、アルファベット{−1,1}からの対応する要素に変換する。
直接ゴーレイ相補シーケンス生成器70は、メモリ効率がよく、かなり低い複雑さすなわち、従来の線形フィードバック・シフトレジスタ・シーケンス(mシーケンス)生成器に類似する複雑さを有する。これらの特色によって、生成器70が、移動体端末のランダム・アクセス・バースト送信器内および基地局送信器内のシーケンス生成器として特に魅力的になっている。
受信器側で、完全なシーケンスを受信した時を正確に検出するために、受信されたスペクトラム拡散信号を、送信されたゴーレイ相補シーケンスと相関させなければならない。送信されたゴーレイ相補シーケンスは、最小の非周期的自己相関を有するように選択されるので、検出された最大相関値が自己相関主ローブに対応する確度は、非常に高い。任意の同期シーケンスに整合された相関器90の一般的な簡単な実施形態を、図6に示す。
受信信号r(k)が、L−1個のメモリ手段を有する遅延線に供給される。各入力信号および各メモリ手段ステージが、a(L−1)、a(L−2)、a(L−3)、...、a(0)によって表されるシーケンスとの相関のために、L個の乗算器への入力を提供する。乗算器の出力を合計して、相関出力信号R(τ)を供給する。ゴーレイ相関器90は、相関を実行するには満足なものであるが、メモリおよびデータ処理に関して非常にコストが高い。たとえば、L=4096の場合に、4095個のメモリ手段、4096個の乗算器、および4095個の合計器が必要である。
したがって、本発明の好ましい実施形態では、図7に示された、効率的なゴーレイ相関器(EGC)100を使用する。機能的には、効率的なゴーレイ相関器100は、式(1)によって定義される相補シーケンスa(k)およびb(k)に直接に対応するマッチドフィルタである。この相関器100を特に魅力的にしているものは、図6に示された一般的な相関器90に必要なものよりかなり少ないメモリおよびデータ処理動作を使用することである。
効率的なゴーレイ相関器100は、入力信号r(k)の、2つの相補シーケンスa(k)およびb(k)との相関を同時に実行する。2つのマッチドフィルタ相関器出力Rra(τ)およびRrb(τ)が、対応する非周期的相互相関関数すなわち、受信した信号r(k)が2つのシーケンスa(k)およびb(k)と一致する度合を表す値である。マッチドフィルタ/相関器100は、式(1)で定義された重みづけ係数Wの複素共役、W を使用する。
したがって、効率的なゴーレイ相関器100は、各ステージが第1および第2の並列処理ブランチを有するN個の直列に連結された処理ステージを使用して、受信したスペクトラム拡散信号r(k)を長さL=2のゴーレイ相補シーケンスのペアと相関させる。各処理ステージの第1処理ブランチに供給される入力信号R (n−1)(k)が、対応する遅延線D(n=1,...,N)の第1メモリ手段に保管され、同一の遅延線Dの最後のメモリ手段の内容が、同一の処理ステージの加算器(第1ブランチ内)および減算器(第2ブランチ内)に入力される。同一ステージの第2処理ブランチに供給される入力信号R (n−1)(k)は、乗算器内で対応する重みづけ係数W をかけられるが、この重みづけ係数W は、式(1)で定義された重みづけ係数Wの複素共役である。乗算器の出力は、減算器の負入力および第1ブランチの加算器に入力される。加算器の出力R (n)(k)は、次の連続するステージの遅延線に入力される。減算器の出力R (n)(k)は、次の連続するステージの乗算器に入力される。第1処理ステージの第1処理ブランチおよび第2処理ブランチへの入力信号R (0)(k)およびR (0)(k)は、受信したスペクトラム拡散信号r(k)に対応する。
第N処理ステージの第1処理ブランチの出力によって、受信したスペクトラム拡散信号とシーケンスのゴーレイ相補ペアの第1シーケンスa(k)との相互相関Rra(k)が作られる。第N処理ステージの第2処理ブランチの出力によって、受信したスペクトラム拡散信号とシーケンスのゴーレイ相補ペアの第2シーケンスb(k)との相互相関Rrb(k)が作られる。
EGCでの乗算の回数は、log(L)に等しい。対照的に、図6に示されたゴーレイ・シーケンス相関器の簡単なマッチドフィルタ実施形態90は、2・Lに対応するはるかに多数の乗算を必要とする。簡単な実施形態90が、相補ペアの相関に2つの相関器を必要とするが、効率的なゴーレイ相関器100が、相補ペアを同時に相関させることに留意されたい。効率的なゴーレイ相関器100での加算の回数は、2・log(L)であり、簡単なマッチドフィルタ実施形態90の場合(2・(L−1)になる)より少ない。効率的なゴーレイ相関器100に必要なメモリ手段の数は、L−1であるが、図6に示された一般的な相関器90は、シーケンスの対の相関のために(2(L−1))個のメモリ手段を2組必要とする。したがって、効率的なゴーレイ相関器100では、ICスペースが節約され、処理演算が減らされ、電力が節約され、コストが減らされる。
本発明は、移動局が基地局に対応するランダム・アクセス・チャネルを介してメッセージを送信する時に移動局と基地局の間の同期を提供する、特に有利な制限的でない応用分野を有する。そのようなランダム・アクセス・チャネルの1つの例のフォーマットを、図8Aおよび図8Bに関して説明する。ランダム・アクセス・チャネル・フォーマットは、移動局が、特定のフレーム境界に対する複数の明瞭に定義された時間オフセットでランダム・アクセス・チャネル上で送信を行うことができる、スロット付きアロハ(slotted ALOHA)手法に基づく。異なる時間オフセットが、アクセス・スロットとして図示され、1.25ミリ秒だけ離隔する。現在のセルでどのアクセス・スロットが使用可能であるかに関する情報が、ダウンリンク・ブロードキャスト・チャネル上で基地局によってブロードキャストされる。フレーム境界も、現在のセルのブロードキャスト・チャネルによって定義される。ランダム・アクセス・バーストに、2つの部分すなわち、1ミリ秒の長さを有するプリアンブル部分と、10ミリ秒の長さを有するメッセージ部分が含まれる。プリアンブルとメッセージの間に、たとえば0.25ミリ秒のアイドル時間期間をおくことができ、これによって、プリアンブルの検出(相関)およびメッセージの後続のオンライン処理が可能になる。
移動局によって実行されるランダム・アクセス手順を、図9に示されたランダム・アクセス(MS)ルーチン(ブロック200)に関して説明する。当初、移動局は、特定の基地局呼に対する同期を獲得しなければならない(ブロック210)。背景で説明したように、移動局は、この初期同期化を、最も低いパス損失を有する基地局のセル検索中に実行する。移動局は、基地局ブロードキャスト・チャネルに同調し、ブロードキャスト信号を処理して、同期シーケンスを検出する。1つの例の実施形態では、同期化が、2つのステップに分解される。第1ステップでは、移動体が、すべての基地局に共通の主同期シーケンスを検出する。最も強い相関または最大の相関を検出した後に、移動局は、第2ステップを実行し、この第2ステップでは、移動局が、この基地局に特有の第2同期シーケンスを相関させる。
特定のセルへの同期を獲得した後に、移動局は、ダウンリンク・ブロードキャスト・チャネルから、この特定のセルで使用されるランダム・アクセス・プリアンブル拡散コードおよびメッセージ・スクランブリング・コードに関する情報を、使用可能なプリアンブル・シグネチャ、使用可能なランダム・アクセス・チャネル・アクセス・スロット、および他の情報に関する情報と共に獲得する(ブロック220)。その後、移動局は、使用可能なものからアクセス・タイム・スロットおよびシグネチャを選択する(ブロック230)。その後、移動局は、選択されたアクセス・タイム・スロット中に、シグネチャおよびプリアンブル拡散コードを使用してランダム・アクセス・バーストを生成する(ブロック240)。
移動局によって送信されたランダム・アクセス・バーストは、図10に流れ図形式で示されたランダム・アクセス(BS)ルーチン(ブロック300)と共に説明するように、基地局で受信され、正しく相関されなければならない。基地局は、コンポジットRF信号を受信し、その信号をベースバンドに変換し、ベースバンド信号を1つまたは複数のプリアンブル・シーケンスと相関させる(ブロック310)。具体的に言うと、基地局は、マッチドフィルタ・タイプの相関器を使用して、ベースバンド・コンポジット信号をプリアンブル・シーケンスと相関させる(ブロック320)。その後、最大相関ピークを検出し、これを使用して、フレーム、スロット、およびチップの同期タイミング情報を推定する。ピーク検出器(たとえば54)が、受信した信号のさまざまなマルチパス成分の相対(受信器タイミングに対する)遅延を供給する(ブロック330)。推定されたタイミング情報を、ランダム・アクセス・チャネル・バーストのメッセージ部分の復調のためにRAKEコンバイナ(たとえば57)に供給する(ブロック340)。タイミング・ユニット(たとえば56)が、RAKE復調器(たとえば57)での組合せおよび復調の前に、マルチパス成分の相互遅延を補償する。検出された相関ピークに対応する複素相関値を、RAKE復調器で打ち消される初期フェージング・チャネル係数として使用する。
図11に示されたランダム・アクセス・チャネル(RACH)プリアンブル相関器400は、使用するメモリの量に関して特に効率的である。効率性は、シグネチャ・バイナリ・シーケンスとプリアンブル拡散コードを直列に(階層的に)連結することによって達成される。すなわち、シグネチャ・シーケンスの各バイナリ・ビットが、同一のプリアンブル拡散コードによって拡散される。受信信号は、マッチドフィルタ410内で、たとえばTmax=256チップの長さを有する、プリアンブル拡散コードと相関される。マッチドフィルタ410によって作られる中間相関値は、乗算器420で、たとえば16の長さを有するシグネチャ・シーケンス(ブロードキャスト・チャネルを介して基地局によって供給される)の要素をかけられる。合計器430が、乗算器420の出力と、マッチドフィルタの長さ、たとえば256と同一の要素数を有する遅延線420の出力と合計する。合計器430の出力は、遅延線440に入力され、ピーク検出器450に供給される。プリアンブル相関器400は、受信信号r(k)の期待される遅延τが、|τ|<Tmaxになるように制限され、Tmaxが、プリアンブル拡散コードの長さであるという条件の下で、望み通りに動作する。
相関演算は、その間にランダム・アクセス・バーストが受信されると期待されるタイム・ウィンドウ、たとえば256チップと同期化される。このタイム・ウィンドウの長さは、移動局が基地局とのダウンリンク同期または主同期を既に達成していることが前提になっている。連続する256チップ・ウィンドウのそれぞれについて、そのウィンドウについてマッチドフィルタ410によって生成される256個の相関値に、16シンボル長のシグネチャ・シーケンスの1シンボルをかける。その後、シグネチャ・シーケンスの次のシンボルを、次の256チップ・タイム・ウィンドウの開始時に選択する。乗算された相関値を、前のタイム・ウィンドウ内の同一の相対時間位置で実行された前の合計の結果と合計する。前の合計の結果は、遅延線440の出力から得られ、その後、現在の合計の結果が、遅延線440に保管される。ピーク検出器450に出力される最終相関値は、16個のタイム・ウィンドウすなわち、256チップ・タイム・ウィンドウ内の各時間位置での合計の16回の繰り返しの後に供給される。したがって、反復のそれぞれで、値256の中間相関ピークが積分されるので、完全な相関ピークは4096に等しくなる。ピーク検出器450は、I受信器ブランチおよびQ受信器ブランチの両方から相関値を受け取り、絶対相関値または自乗絶対相関値を計算する。ピーク検出器450は、たとえば図3に示されたRACH受信器の残りに接続される。
RACHプリアンブル相関器400は、従来の相関器よりかなり少ないメモリを必要とするので、特に効率的である。たとえば、L=4096の場合、RACHプリアンブル相関器400は、511個のメモリ手段だけを必要とするが、図6に示された一般的な相関器90は、4095個のメモリ手段を必要とする。
プリアンブル相関器400の構造のメモリ削減の利益は、図12に示された、図11に示されたものに類似する構造を有するメモリ効率のよいゴーレイ・シーケンス相関器500の実施に有利に使用される。相関器500では、必要な加算および乗算の数が減っている。図12に示された効率的なゴーレイ相関器500は、長さL=2=J・Tmaxのゴーレイ・シーケンスの、2つのより短い長さTmaxの構成要素相補シーケンスA(k)およびB(k)の関数としての表現に基づく。この関数は、シーケンスの相補ペアの式(1)での一般的な再帰構成の結果である。すなわち、一般的な再帰構成が、相補シーケンスの任意の対から開始される場合、すなわち、初期ベクトルa(k)およびb(k)が、
(k)=A(k)
(k)=B(k), k=0,1,2,...,Tmax−1
になるように選択され、A(k)およびB(k)が、長さTmaxの2つの相補シーケンスである場合に、結果の長さL=2=J・Tmaxの相補シーケンスのペアが、J回の反復の後に生成される。式(1)のすべての遅延Dが、構成要素シーケンスの長さ(Tmax)をかけられる。
受信された信号r(k)は、たとえば長さL=256チップを有する、図7に示された効率的なゴーレイ相関器510によって受け取られることが好ましい。効率的なゴーレイ相関器510は、シーケンスのゴーレイ相補ペアに対応する2つの相互相関値RrA(τ)およびRrB(τ)を生成する。スイッチまたはセレクタ520が、この2つの相関値を受け取る。「インターリービング信号」と称する制御信号が、セレクタ520を制御して、「0」が供給される場合にはRrA(τ)相関値、「1」が供給される場合にはRrB(τ)相関を選択する。これによって、セレクタ520が、インターリーブ化シーケンスの現在の値に基づいて、連続するタイム・ウィンドウのそれぞれの間の相関値の中間対の1つを交互に供給する。より短い構成要素シーケンスの連結の順序は、インターリーブ化シーケンスによって決定される。シグネチャが長さ16を有するこの例のインターリーブ化シーケンスは、やはり16に等しい長さを有する。セレクタ520の出力は、乗算器420で、乗算器420内の現在の256チップ・タイミング・ウィンドウに対応するシグネチャのシンボルの1つをかけられる。乗算器420、合計器430、遅延線440、およびピーク検出器450で実行される動作は、図11に関して説明したものに類似する。図11からの方式の場合と同様に、メモリ効率のよいゴーレイ相関器400は、受信信号r(k)の期待される遅延τが、|τ|<Tmaxになるように制限され、Tmaxが、構成要素相補シーケンスの長さであるという条件の下で、望み通りに動作する。
相関器500は、図11の相関器400と同数のメモリ手段を有するが、乗算器と加算器の数はそれよりかなり少ない。図11のマッチドフィルタ・プリアンブル拡散コード相関器410の代わりに使用されるEGC510のより高い効率のゆえに、総合効率が改善される。
より高い容量が望ましいセルでは、複数の同期シーケンスの組を構成することが有用である。より多くの同期シーケンスによって、より多くの容量の可能性がもたらされる。そのような組のシーケンスは、相互相関を最小にするために直交であることが好ましい。本発明は、式(1)の再帰構成からのゴーレイ・シーケンスの直交する組の効率的な生成を提供する。
直交ゴーレイ・シーケンスの組は、置換Pのそれぞれについて、すなわち、遅延Dの組のそれぞれについて、長さNのL/2=2N−1個のベクトルW(v,n)の適当な組すなわち、v=0,1,...,2N−1−1およびn=1,2,3,...,Nを選択することによって、式(1)から生成することができる。各ベクトルW(v,n)によって、相補ゴーレイ・シーケンスの対が作られる。その結果、合計2個のシーケンスが、長さ2のゴーレイ・シーケンスの直交の組で提供される。
式(1)からゴーレイ・シーケンスの直交の組を作る長さNの2N−1個のベクトルW(v,n)の組は、たとえば、2つの異なる形で生成することができる。第1のアルゴリズムは、
Figure 0004505040
であり、ここで、B(x)は、ある正整数xのNビット長バイナリ表現の第nビットすなわち、
Figure 0004505040
である。第2のアルゴリズムは、次式によって与えられる。
Figure 0004505040
以下の例示的な例を検討されたい。長さL=8=2、N=3のゴーレイ・シーケンスの直交の組を、式(1)を使用して得ると仮定する。数{0,1,2}の任意の置換P={P,P,P}から始めて、P={0,2,1}であるものとする。長さ3の必要な重みづけベクトルW(v,n)は、式(2a)から得られ、これを次の表1に示す。
Figure 0004505040
結果の直交の長さ8のゴーレイ・シーケンスの組S(u,k)を、表2に示す。
Figure 0004505040
対応する4相コードを得るために、各ゴーレイ・シーケンスに、定数複素数(1+j)/√2、(ここでj=√−1)をかけることができる。
RACHプリアンブルに対する直交ゴーレイ・シーケンスの特定の有利な応用例を、図13に示されたメモリ効率のよいゴーレイ相関器に関して説明する。図13に、複数のプリアンブル・シーケンスを使用することができるRACHプリアンブル相関器600を実施する、本発明の好ましい例の実施形態を示す。図13の相関器のバンク内に示された32個の相関器のそれぞれが、図12に示された相関器500に類似する形で動作する。構成要素シーケンスが、Tmax=256の長さであり、置換ベクトルP、および重みづけ付けベクトルWが、16の長さである場合に、相補ペアの各シーケンスの結果の全長は、4096になる。シーケンスA(k)およびB(k)からなる結果のゴーレイ・シーケンスは、8回繰り返され、これが、置換ベクトルPに依存する「インターリービング」関数を使用して、セレクタ520によって多重化される。インターリービング関数I(k)が、最初の16個の直交プリアンブルに共通であり、インターリービング関数I(k)が、残りの16個の直交プリアンブルに共通である。各プリアンブルは、独自の「シグネチャ」シーケンスを有し、このシグネチャ・シーケンスは、重みづけ関数Wおよび置換ベクトルPに依存する。インターリービング関数によって、送信されたプリアンブルの構造に従って、EGCの一方または他方の出力が選択される。
長さ256の共通の構成要素シーケンスA(k)およびB(k)(および共通のインターリービング関数)を有する、長さ4096の16個のゴーレイ・シーケンスの第1の直交の組は、長さ16の単一の置換ベクトルを、式(2)による8つの重みづけベクトルと共に選択することによって得られる。式(1)のすべての遅延Dに、構成要素シーケンスの長さ(Tmax=256)をかける。
同一の構成要素シーケンスA(k)およびB(k)を有するが、もう1つのインターリービング関数I(k)に従ってもう1つのセレクタ610によってインターリーブされる、長さ4096の追加の16個の直交ゴーレイ・シーケンスは、下記によって得られる。
(k)=B(k)
(k)=A(k), k=0,1,2,...,Tmax−1
直交ゴーレイ・シーケンスの追加の組を得るために式(1)で使用される置換ベクトルおよび重みづけベクトルは、直交ゴーレイ・シーケンスの第1の組と同一である。合計で、長さ256の共通する構成要素シーケンスを有する長さ4096の32個の直交ゴーレイ・シーケンスがある。一般に、J=L/Tmaxであるものとして、2J個のそのような直交ゴーレイ・シーケンスを生成することが可能である。
これらのインターリービング関数およびシグネチャ関数を、上の表1および表2で与えられるものと同一の例を使用する長さ8のゴーレイ・シーケンスの直交の組によって示す。Tmax=2であり、構成要素シーケンスがA(k)={1,1}およびB(k)={1,−1}である場合に、表2で与えられたシーケンスの組を、表3に示されるように表すことができる。
Figure 0004505040
インターリービング関数I(k)およびI(k)は、
(k)={0,0,1,1}およびI(k)={1,1,0,0}
であり、ここで、「0」の値によって、シーケンスA(k)との相互相関が選択され、「1」の値によって、シーケンスB(k)との相互相関が選択される。したがって、インターリービング関数I(k)は、I(k)を反転した版である。最初の4つの「シグネチャ」関数を下に示す。
シグネチャ0={1,1,1,−1}、シグネチャ1={1,−1,1,1}、
シグネチャ2={1,1,−1,1}、シグネチャ3={1,−1,−1,−1}
他の4つのシグネチャ関数の値は、同一すなわち、シグネチャ4=シグネチャ0、シグネチャ5=シグネチャ1、シグネチャ6=シグネチャ2、およびシグネチャ7=シグネチャ3である。
本発明の前の例の応用例は、移動局によって送信されたランダム・アクセス・バーストを受信し、同期化するために基地局によって使用される1つまたは複数の相関器に対するものである。前に述べた本発明のもう1つの例の有利な応用例は、移動局内で使用されるセル検索相関器に対するものである。初期セル検索中に、移動局は、最も低いパス損失を有する基地局を検索する。その後、移動局は、基地局のタイム・スロットおよびフレーム同期と、基地局に関連するダウンリンク・スクランブリング・コードを判定する。初期セル検索は、3ステップすなわち、(1)スロット同期化、(2)フレーム同期化およびコード・グループ識別、および(3)スクランブリング・コード識別で行われる。この、本発明の他の非制限的な例の応用例は、第1および第2のステップ(1)および(2)に関する。
移動局でのスロット同期化手順では、各タイム・スロットの先頭ですべての基地局によってブロードキャストされる、すべての基地局に共通の主同期コードを使用する。同期化手順は、着信信号を主同期コードと相関させることからなる。相関器の出力によって、移動局の範囲内の各基地局からの各放射線のピークが生成される。最も強いピークの位置を検出することによって、最も強い基地局の、タイム・スロット長を「法」とするタイミングが与えられる。
スロット同期化は、移動局の観点からはクリティカルなステップである。というのは、この動作が、移動局がある他の基地局へのリンクを既に有する場合であっても、常時実行されるからである。したがって、主同期コードに関する移動局の相関器の実装の複雑さは、可能であれば最小にしなければならない。そのような最小化は、主同期コードの特殊な構造を利用することによって達成することができる。その一方で、主同期化コードは、移動局が所望の主ローブではなく副ローブに同期する可能性を最小にするために、最小の非周期的自己相関副ローブを有しなければならない。
セル検索主同期コードに関するこの後者の要件は、その開示が参照によって本明細書に組み込まれる、本願の譲受人に譲渡された米国特許出願第09/135247号明細書、表題「Communication Methods and Apparatus Based on Orthogonal Hadamard−Based Sequences Having Selected Autocorrelation Properties」、1998年8月17日出願で提案されているように、ゴーレイ相補シーケンスを使用することによって満たすことができる。その特許出願書では、最初のセル検索ステップで使用する、ゴーレイ相補シーケンスに基づく主同期コードのマッチドフィルタリングの効率的な方法が指定されていない。幸い、本発明は、主同期コードとしてゴーレイ相補シーケンスを使用する効率的な実施形態を提供する。
図7に示されたEGC100に類似する効率的なゴーレイ相関器を、セル検索の第1ステップで主同期コード相関器として使用することによって、たとえば階層主同期コードに整合された図11に示された相関器400に類似する階層相関器(HC)より大きい実施の利益がもたらされる。長さ256の階層コードは、UTRAシステムの1提案に含まれるように、長さ16の2つの構成要素シーケンスの、直列すなわち階層的な連結によって得られる。好ましい実施形態では、主同期コードの長さが、256チップである。長さ256のゴーレイ相補シーケンスは、最小の最大絶対非周期的自己相関副ローブ(MAS)値を有するので、主セル検索コードとしての応用に最適である。長さ256のすべてのゴーレイ相補シーケンスについて得られた最小MAS値は、12である。MAS=12を有するゴーレイ・シーケンスの対の1つが、次式によって定義される。
={6,3,7,2,1,4,0,5}およびW={1,−1,−1,1,1,−1,1,1} (3)
EGCのメモリ・ビット数Nmemは、各遅延線のメモリ・セルの数と、最初の遅延線の後で、メモリ・セル・ワード長が、新しい遅延線ごとに1つ増えるという事実を考慮することによって計算することができる。受信信号の1ビット量子化を前提にすると、次のようになる。
mem (EGC)=1・2+2・2+3・2+4・2+5・2+6・2+7・2+8・2=849
階層相関器(HC)は、長さ16の1つの簡単な相関器と、長さ16の15個の遅延線を必要とする。そのような遅延線のそれぞれのメモリ・セル・ワード長は、5ビットである。したがって、このHCについて、Nmem (HC)=1・16+(5・16)・15=1216である。
EGCによって相関されたゴーレイ相補シーケンスは、階層シーケンスに対する下記の利点を提供する。
・加算器の数が、HCの30個に対してEGCでは16個である。
・乗算器の数が、HCの32個に対してEGCでは8個である。
・メモリ・ビットの数が、EGCではHCの場合より30%少ない。
・ゴーレイ相補シーケンスでは、非周期的自己相関副ローブの最大絶対値が、階層シーケンスの1/3である。
本発明のもう1つの例の実施形態では、因数分解された効率的なゴーレイ相関器を提供する。長さ256のそのような相関器を、図14に示す。因数分解された形で表されたゴーレイ・シーケンスは、たとえば長さ64の、2つのより短い構成要素(相補)シーケンスの連結として構成することができる。その場合に、相関器700に、図7に示されたものに類似する、長さ64の効率的なゴーレイ相関器710、長さ64の遅延線720、730、740、および750、乗算器790、および加算器760、770、および780が含まれる。乗算器の総数は、多くとも10であり、加算器の総数は、15に等しい。加算器の数が、長さ256のEGCの場合より1つ少ないことに留意されたい。遅延線の実際の数は、インターリーブ化シーケンスに依存する。
相関器700は、受信器局部発振器の可干渉時間がシーケンス長より短い(たとえば、多くとも64チップである)時に有用になる可能性がある。その結果、中間相関値の最適下限の非コヒーレント積分が必要である。言い換えると、相関器700を用いると、中間相関値のコヒーレントおよび非コヒーレントの両方の積分が可能になる。図14の例の相関器700は、コヒーレントである。この例では、長さ256のゴーレイ・シーケンスが、{−B,B,A,A}と表され、ここで、AおよびBは、長さ64の相補シーケンスである。
セル検索の第2ステップでは、長さ256チップの17個の第2同期コード(SSC)の組を使用することができる。SSCは、主同期コード(PSC)に対して直交しなければならない。主同期コードが、本発明の1つの例の応用例によるゴーレイ相補シーケンスであると仮定すると、17個の直交SSCの組を生成する方法の1つが、その開示を参照によって本明細書に組み込まれる、本願の譲受人に譲渡された米国特許出願第09/135247号明細書、表題「Communication Methods and Apparatus Based on Orthogonal Hadamard−Based Sequences Having Selected Autocorrelation Properties」、1998年8月17日出願で提案されている。SSCの直交の組は、PSCに同一の長さの17個の異なるウォルシュ(Walsh)関数をかけることによって生成される。そのようなSSCの組を用いると、実装の複雑さを減らすために、セル検索の第2ステップで高速アダマール(Hadamard)変換(FHT)プロセッサを使用することができるようになる。さらに、PSCが、ゴーレイ相補シーケンスである場合に、そのゴーレイPSCに異なるウォルシュ関数をかけることによって得られるシーケンスの組が、ゴーレイ・シーケンスの直交の組をもたらす。この場合、これらのSSCを、上で説明した主同期コード相関手順に類似するEGCのバンクを使用して検出することもできる。本発明によるそのようなEGCのバンクは、必要な動作の数に関して、FHTに基づく相関よりも効率的である。
SSCに関する追加要件は、第2同期コードから主同期コード相関器への干渉を最小にするために、PSCと17個のSSCのそれぞれとの間の非周期的相互相関を小さくすることである。この場合では、式(2)を使用して長さ256チップの256個の直交ゴーレイ・シーケンスの完全な組を生成し、これらのゴーレイ・シーケンスの1つを主同期コードとして選択し、その後、それぞれが、ある適度な閾値未満の、主同期コードとの最大絶対非周期的相互相関を有する、17個の第2同期コードを選択することが有利である。たとえば、PSCが、式(1)および(3)によって生成されたa(k)シーケンスであると仮定すると、42の閾値以下のPSCとの最大絶対非周期的相互相関を有する17個のSSCの組は、式(3)と同一の置換ベクトルと、下記の重みづけベクトルによって定義される。
WSSC1={ 1 1 1 −1 1 1 −1 1}、(a)
WSSC2={ 1 −1 1 −1 −1 −1 1 1}、(b)
WSSC3={−1 1 1 −1 −1 1 1 1}、(b)
WSSC4={−1 1 1 −1 −1 −1 −1 1}、(a)
WSSC5={−1 1 −1 1 1 −1 1 1}、(b)
WSSC6={−1 −1 1 −1 −1 1 1 1}、(b)
WSSC7={−1 −1 1 −1 −1 −1 −1 1}、(a)
WSSC8={−1 −1 −1 1 1 1 1 1}、(b)
WSSC9={−1 −1 −1 1 1 −1 1 1}、(a)
WSSC10={−1 −1 −1 1 1 −1 −1 1}、(a)
WSSC11={−1 −1 −1 1 −1 −1 1 1}、(b)
WSSC12={−1 −1 −1 1 −1 −1 −1 1}、(a)
WSSC13={−1 −1 −1 1 −1 −1 −1 1}、(b)
WSSC14={−1 −1 −1 −1 1 1 1 1}、(a)
WSSC15={−1 −1 −1 −1 1 1 −1 1}、(a)
WSSC16={−1 −1 −1 −1 −1 1 1 1}、(a)
WSSC17={−1 −1 −1 −1 −1 1 −1 1}、(a)
(4)
対応するシーケンスSSCnは、重みつけベクトルWSSCnが(1)で置換される時に、ゴーレイ・シーケンスa(k)またはb(k)に等しい((4)では、各ベクトルに付加された括弧内に示されている)。SSCは、PSCの場合と同様に、17個(またはそれ未満)のEGCの対応するバンクを使用して検出することができる。
改良された実装効率に加えて、ゴーレイ相補ペアシーケンスに基づく同期コードは、たとえば連結された直交ゴールド・シーケンスに基づく同期シーケンスと比較して、最大絶対非周期的自己相関副ローブ(MAS)に関して優れた性能を提供する。この比較を、図15および図16のグラフによって示す。図15は、直列に連結された直交ゴールド・シーケンスの非周期的自己相関関数のグラフである。0遅延に対応するサンプルに実質的な最大値があるが、さまざまな非0遅延に、誤った相関検出を引き起こす可能性があるかなりの最大ピークもあることに留意されたい。対照的に、図16のグラフでは、ゴーレイ相補ペアシーケンスに基づく同期コードについて、副ローブがはるかに低く、ランダム・アクセス検出に重要な範囲(すなわち、主ローブから±255チップ)内で、副ローブが他の部分よりさらに低いことが示されている。
ランダム・アクセス・プリアンブルとしての直交ゴーレイ相補シーケンスの適用に関して、その非周期的自己相関特性を、一般的なプリアンブル拡散コードを用いる直交シグネチャの直列連結によって得られる直交プリアンブルの別の組のそれと比較することが重要である。比較のパラメータは、組のプリアンブルのそれぞれの最大絶対非周期的自己相関副ローブ(MAS)である。現在開発中のUTRAシステムを対象とする、この例の比較では、本発明による長さ4096の16個の直交ゴーレイ・シーケンスの組を、直交ゴールド・シーケンスに基づくRACHプリアンブルに関するもう1つのUTRA提案と比較する。表4に、長さ256の、2つのより短い構成要素相補シーケンスA(k)およびB(k)の関数としての16個のゴーレイ・シーケンスを示す。
Figure 0004505040
この構成要素ゴーレイ・シーケンスA(k)およびB(k)は、置換
={0,2,1,5,6,4,7,3}
および重みづけ
={1,−1,1,−1,1,−1,−1,1}
を使用して、式(1)から得られる。
上で定義した16個の直交ゴーレイ・シーケンスの組のMAS値と、UTRAに関するもう1つの提案に記載された一般的なプリアンブル拡散コード(プリアンブル拡散コード数n=1)によって拡散された16個の直交シグネチャから得られる16個の連結された直交ゴールド・シーケンスの組のMAS値を、表5に示す。
Figure 0004505040
前に説明したように、ランダム・アクセス・プリアンブルは、移動端末が基地局タイミングに関する基本情報を既に有するので、基地局受信器に対して完全に非同期ではないが、基地局と移動端末の間のラウンドトリップ伝搬遅延によって導入される不確実性がある。適度な仮定の1つが、ラウンドトリップ遅延が多くとも255チップであり、したがって、ランダム・アクセス・プリアンブルの非周期的自己相関関数が、実際には、主ローブから±255チップの領域でのみ重要であるということである。主ローブから±255チップの領域内の非周期的自己相関副ローブの最大絶対値を、前に説明した長さ4096の直交ゴーレイ・シーケンスおよび連結された直交ゴールド・シーケンスについて、表6に示す。
Figure 0004505040
表6には、直交ゴーレイ・シーケンスが、主ローブから±255チップの領域で、連結された直交ゴールド・シーケンスより25倍低い自己相関副ローブを有することが示されている。
特定の実施形態に関して本発明を説明してきたが、当業者は、本発明が、本明細書で説明され図示された特定の実施形態に制限されないことを諒解するであろう。図示され説明されたもの以外の異なるフォーマット、実施形態、および適応ならびに多数の修正、変形、および同等の配置を使用して、本発明を実施することもできる。したがって、本発明をその好ましい実施形態に関して説明してきたが、この開示が、例示的であるのみであって、決して制限的ではなく、単に本発明の例示であることを理解されたい。

Claims (4)

  1. 直接拡散方式のスペクトル拡散無線通信装置において使用され、受信したスペクトル拡散信号に対してシーケンス長Lが2 である相補シーケンスのペアを用いて相関演算する相関器であって(Nは正の整数)、
    それぞれ並行して処理を実行する第1ブランチおよび第2ブランチを備えた、N段の直列に連結された処理段を備え、
    前記N段の直列に連結された処理段のそれぞれが備える前記第1ブランチは、それぞれ対応する加算器と接続された複数の記憶素子を備えた遅延線を含み、
    前記N段の直列に連結された処理段のそれぞれにおいて、前記遅延線に備えられる前記複数の記憶素子に、入力信号の複数のサンプルが次々に記憶され、該複数の記憶素子のうち最後に位置している記憶素子に記憶された内容が前記加算器へ入力されるとともに、その処理段における減算器にも該内容が入力され、
    さらに、その処理段における乗算器において前記入力信号が対応する重み係数と乗算され、該乗算器からの出力信号がその処理段における前記加算器と前記減算器への入力として供給されることを特徴とする相関器。
  2. 前記N段の直列に連結された処理段のうちN番目の処理段が備える前記第1ブランチからの出力は、前記受信したスペクトル拡散信号と、前記相補シーケンスのペアにおける第1のシーケンスとの相互相関値であり、前記N番目の処理段が備える前記第2ブランチからの出力は、前記受信したスペクトル拡散信号と、前記相補シーケンスのペアにおける第2のシーケンスとの相互相関値であることを特徴とする請求項1に記載の相関器。
  3. 前記相補シーケンスのペアは、以下の式に従って決定されることを特徴とする請求項2に記載の相関器。
    (k)=δ(k)
    (k)=δ(k)
    (k)=a n−1 (k)+W ・b n−1 (k-D
    (k)=a n−1 (k)−W ・b n−1 (k-D )、
    ただし、k=0,1,2,...,2 −1、n=1,2,...,Nとして、D =2 Pn 、a (k)およびb (k)は長さ2 の相補シーケンスのペア、δ(k)はクロネッカーのデルタ関数、kは時間尺度を表す整数、nは反復回数、D は遅延、P (n=1,2,...,N)は数{0,1,2,....,N−1}の任意の順列、W は大きさ1の任意の複素数である。
  4. 前記重み係数はW の複素共役であるこことを特徴とする請求項2に記載の相関器。
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