JP4230111B2 - 選択された相関特性を有する直交アダマール基準シーケンスに基づく通信方法と装置 - Google Patents

選択された相関特性を有する直交アダマール基準シーケンスに基づく通信方法と装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の背景】
本発明は、一般的には電気通信に関し、より具体的には、異なる使用者の無線送信機の同期に関し、さらに具体的には最適化された相関特性を有する直交シーケンスに基づく同期方法と装置に関するものである。
【0002】
セルラー方式やサテライト無線方式の現代通信システムは、周波数分割多元接続(FDMA)、時間分割多元接続(TDMA)、符号分割多元接続(CDMA)やこれらのハイブリッド方法など多くの接続手段(アナログ、デジタルやそのハイブリッド)を使用する。
【0003】
デジタルセルラー通信システムは、システム容量と階層化されたセル構造、つまり、マクロセル、ミクロセル、ピコセル構造等を許容するように機能的に拡大されてきている。「マクロセル」という用語は、従来のセルラー電話システムにおけるセルの大きさと同程度の大きさ(例えば、半径が少なくとも1km程度)を有するセルを意味し、「ミクロセル」と「ピコセル」は、順次、より小さなセルを意味するのが一般的である。例えば、ミクロセルは公衆の屋内又は屋外領域、例えば、会議施設又は交通量の多い通りをカバーし、ピコセルは事務所の通路や高層建物の1つのフロアをカバーする。無線によってカバーする観点からは、マクロセル、ミクロセル、及びピコセルを互いに別々又は重複したものであって、トラヒックのパターンや無線環境が異なるものと考えることができる。
【0004】
図1は階層化されたまたは多層構造を有するセルラーシステムを例示するものである。6角形で示したアンブレラマクロセル10が多層化されたセルラー構造を構成している。各アンブレラセルはその下にミクロセル構造を有する。アンブレラセル10は、破線で示した領域であるミクロセル20と都市部の通りに対応する点線で示したミクロセル30と、ビルの各フロアをカバーするピコセル40、50、60を有する。ミクロセル20と30とがカバーする町の街路の交差点部は、トラヒックが集中する場所であり、したがってホットスポットを構成する。
【0005】
図2は、基地局(BS)110と移動局(MS)120とを収用したセルラー移動無線電話システムの一例を示すものである。基地局が有する制御及び処理ユニット130は移動スイッチングセンタ(MSC)140に接続されており、移動スイッチングセンタは公衆スイッチ電話網(PSTN)(図示しない)に接続されている。図示したようなセルラー無線電話システムは先行技術として既知のものである。基地局110は、制御及び処理ユニット130が制御する音声チャネルトランシーバ150を通じて複数の音声チャネルを取り扱う。同様に、各基地局は、1つ以上の制御及び処理ユニット130を取り扱うことができる制御チャネルトランシーバ160を有する。制御チャネルトランシーバ160は、当該制御チャネルにロックした移動局又は基地局の制御チャネルを通じて制御情報を送信する。トランシーバ150と160は、音声と制御トランシーバのように単一の装置として実現されて、制御チャネルとトラヒックが同じ無線キャリアを使用するものであっても良い。
【0006】
移動局120は、音声と制御チャネルトランシーバ170によって制御チャネル上で送信されている情報を受信する。次に、処理ユニット180が、移動局が検出すべき対象セルの特性を含む、受信した制御チャネル情報を評価し、移動局がどのセルを検出すべきかを決定する。受信された制御チャネル情報は、対応するセルに関する絶対的な情報とともに制御チャネルが対応するセルに近接するセルに関する相対情報を、例えばRaith他による米国特許第5,353,332号、「無線電話システムにおける通信制御のための方法と装置」に記載されたように含むものであることが好ましい。
【0007】
北米では、TDMAを利用したデジタルセルラー無線電話システムはデジタル先進移動電話サービス(d−AMPS)と呼ばれ、TIA/EIA/IS−136によって規定された特性の内のいくらかは通信産業会及び電子産業会(TIA/EIA)によって公表されている。直接シーケンスCDMA(DS−CDMA)を利用した別の通信システムがTIA/EIA/IS−95標準に規定されており、周波数ホッピングCDMA通信システムはEIA SP 3389標準(PCS 1900)に規定されている。PCS1900標準は、北米以外では一般的なGSMシステムを導入するもので、個人通信サービス(PCS)システムのために導入されたものである。
【0008】
種々の標準化設定機構が現在複数の次世代デジタルセルラー通信システムに関する提案について協議しており、その中には、国際通信組合(ITU)、ヨーロッパ通信標準化機構(ETSI)および日本無線産業及びビジネス組合(ARIB)が含まれる。音声情報を伝達することのほかに、次世代システムはパケットデータを搬送し、オープンシステムインターフェース(OSI)モデルや送信制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)のような複数の産業界にまたがって設計されたパケットデータネットワークと相互に通信可能であることが期待されている。これらの標準は、公式にであるか事実上であるかは別として、長年の時間をかけて開発されたものであり、これらのプロトコルを使用したアプリケーションはすぐに使用可能である。標準に準拠したネットワークの第1の目的は他のネットワークとの相互接続の可能性である。インターネットは、同じ目的をもって、標準に準拠するパケットデータネットワークの現在の最も代表的な例である。
【0009】
これらのデジタル通信システムのほとんどでは、通信チャネルは、周波数が800メガヘルツ(MHz)、900MHz、1800MHzおよび1900MHz程度の周波数変調無線キャリア信号で実現されている。TDMAシステムと程度の差はあれCDMAシステムにおいても、各無線チャネルは連続したタイムスロットに分割され、各タイムスロットはユーザからの情報ブロックを含んでいる。タイムスロットは、それぞれが所定の長さを有する連続したフレームにグループ化され、連続したフレームは通常スーパーフレームと呼ばれるものにグループ化される。通信システムが使用する接続方法の種類(例えば、TDMAやCDMA)は、スロットやフレームでどのようにユーザの情報が表現されるかに影響を与えるが、現在の接続方法は全てスロット/フレーム構造を利用している。
【0010】
同じユーザに割り当てられたタイムスロットは、無線キャリア内では必ずしも連続したタイムスロットではないが、当該ユーザに割り当てられた論理チャネルであると考えることができる。各タイムスロット内では、当該通信システムが使用する接続手法(例えば、CDMA)に従って所定の数のデジタルビットが伝送される。音声やデータトラヒックのための論理チャネルのほかに、セルラー無線通信システムはさらに、基地局と移動局の間で交換される呼び−接続メッセージのための呼び出し/接続チャネルや基地局のフレーム/スロット/ビット構造に移動局やその他の遠隔局の各トランシーバを同期させるためにメッセージを送信するための同期チャネルのような、制御メッセージのための論理チャネルを提供する。さらに、ヨーロッパと日本で検討されている第3世代のセルラー通信システムは非同期方式であり、つまり、基地局の構造は他の基地局構造と時間的には関連しておらず、移動局はこれらの構造をあらかじめ知っていない。
【0011】
この種のデジタル通信システムでは、受信端末は情報の伝達を行う前に、送信端末のタイミングリファレンスを検出することが必要である。DS−CDMAを利用した通信システムでは、タイミングリファレンスを発見することは下り線(基地局から移動局への)チップ、シンボルとフレームの境界を検出することに相当する。これらは場合によっては下り線チップ、信号呼びフレーム同期と呼ばれることがある。この意味において、フレームは独立に検出して復号可能なデータの集合を単に意味する。現在のシステムにおけるフレーム長は、典型的には10ミリ秒msから20msの間である。基地局のタイミングを検索することは「セル検索」と称し、現在のDS−CDMA通信システムの特徴である基地局固有の下り線スクランブルコードを識別することを含む。
【0012】
移動局やその他の遠隔端末は、一般的には基地局が送信した信号を、減衰し、フェージングを起こしかつ雑音の雑じった状態で受信する。受信信号のスロットやフレーム境界は移動局には知られておらず、同様に基地局に固有のスクランブルコードも未知である。移動局の目標はしたがって、ノイズのように見える(DS−CDMAの場合)受信信号から1つ以上の基地局を特定して使用されているスクランブルコードを特定することである。
【0013】
遠隔地の端末を基地局と同期させて当該基地局に固有のスクランブルコードを識別することを助けるために、各基地局信号が、移動局が読み出すことでセルの検出を行うことが出来る同期チャネルSCHと称するスクランブルされてない部分を有する場合がある。
【0014】
【発明の要旨】
本発明の1つの側面においては、デジタル通信システムにおいて受信信号のスクランブルコードグループを決定するための方法が提供される。通信システムの信号は対応するスクランブルコードによってスクランブルされている;スクランブルコートは対応するスクランブルコードグループに対応付けられており;スクランブルコードグループの識別記号がS−アダマールシーケンスと称する周期的に識別される符号を付されたコードワードのシーケンスによって信号の中で符号化されている。本方法は、受信信号を複数のコードワードそれぞれに相関付け;相関を複数の符号のシーケンスのそれぞれの周期的シフトにしたがってコヒーレントに結合し;コヒーレントに結合された相関の最大値を決定することで受信信号のスクランブルコードグループを特定するものである。
【0015】
本発明の他の側面によれば、デジタル通信システムにおける受信信号のスクランブルコードグループを決定する方法で、信号を対応するスクランブルコードでスクランブルし、当該スクランブルコードは対応するスクランブルコードグループに対応付けられており、スクランブルコードグループはそれぞれ周期的に識別可能なコードワードシーケンスによって識別されている方法が提供される。当該方法は、受信信号をS−アダマールシーケンスである複数のコードワードシーケンスのそれぞれの周期的シフトとの相関を求め;相関を複数のコードワードシーケンスのそれぞれと対応付け;結合された相関の最大値を決定することで受信信号のスクランブルコードを識別するステップを有する。
【0016】
本発明のさらに別の側面によれば、少なくとも1つの送信機と少なくとも1つの受信機を有するデジタル無線通信システムは、送信機にS−アダマールシーケンスの符号付バージョンを有する同期信号を有する装置を具備する。S−アダマールシーケンスは、ウォルシュ−アダマールシーケンスを、振幅が一定の複素エレメントを有する特殊なシーケンスによって場所に関してスクランブルすることによって得られる。受信機には、受信した同期信号の時間的な位置とシーケンス識別を推定する装置が設けられる。
【0017】
本発明のさらに別の側面に基づけば、受信信号の時間的位置を推定し、受信信号に含まれるS−アダマールシーケンスとして符号化されたウォルシュ−アダマールシーケンスを識別する方法が提供される。S−アダマールシーケンスは、ウォルシュ−アダマールシーケンスと振幅が一定の特殊な複素エレメントとの積であり、ウォルシュ−アダマールシーケンスはウォルシュ−アダマールシーケンスの第1のセットの1つである。当該方法は、受信信号と特定のシーケンスとの積を求め;その積とウォルシュ−アダマールシーケンスのそれぞれとの相関を求めて受信信号で符号化されたウォルシュ−アダマールシーケンスを特定するステップを含む。
【0018】
出願人による発明は、添付の図面を参照しつつ本明細書を読むことによって理解されるはずである。
【0019】
本明細書においては、本発明をセルラー無線DS−CDMA通信システムにおけるセル検索との関連において説明する。これは単なる例であって、本発明は多くの他の技術に対しても適用可能である。
【0020】
図3は、16のスロットに分割された40960の複素(同位相及び直角変調)チップを有する10msの長さを有するフレームを図示するものである。各スロットは2560のチップを有し、256個のチップからなるシンボル10個に相当する。このようなフレーム/スロット/チップ構造は、ETSIが検討している第3世代ワイドバンドCDMA通信システムの特徴の1つである。この種の通信システムにおいて基地局から送信される無線信号は、拡散とスクランブルを行ったデータおよび制御ビットとスクランブルされていない同期チャネルSCHの合計である。データと制御ビットは代表的な場合は、ウォルシュ−アダマールシーケンスのような1つまたは複数の直交シーケンスによってビットごとにまたはブロック毎の置換によって拡散される。(この手法はm進法直交キーイングとも呼ばれる)。拡散の結果は次に、ビットごとに擬似ノイズ(PN)スクランブルシーケンスのモデューロ2の加算によってスクランブルされる。
【0021】
SCHは2つの部分を有する:スロットごとに何れも1度送信される第1の同期コード(PSC)と第2の同期コード(SSC)である。図3では、PSCとSSCとが同時に送信されるように図示してあるが、これは必須の条件ではなく、SSCはスロットの別の部分で送信されても良い。WCDMAシステムの1つの形式では、全ての基地局が、全ての基地局に関してスロット内の相対位置が固定されている同じPSCを使用する。図3に例示したものは、PSCがスロットの冒頭に位置している。SSCの位置も固定されていても良い(例えば、図3に示したようにスロットの冒頭に)が、SSCの値は基地局ごとに異なっていても良い。実際、同じ基地局から、スロットごとに異なるSSCの値が送信されても良い。それにもかかわらず、16シーケンスの(異なる場合もあるが)SSCの値が基地局から送信される連続フレームを通じて繰り返される。
【0022】
上述のように、例えば移動局である遠隔端末は基地局のような送信基地から、基地局が実際に送信した信号の減衰し、フェージングを起こし、雑音の混じったものの合計を受信する。遠隔地の端末にとって、最初は、受信信号のスロット及びフレーム境界も、送信装置が使用したスクランブルコードと同様に未知である。遠隔地の端末の目標は、ノイズのような受信信号のフレーム/スロット/チップ構造を決定して使用されているスクランブルコードを識別することである。
【0023】
これを行う方法の一つは、まず最初にフレームタイミングを確定して、次に、受信したフレームと可能性のあるスクランブルコード全てとの相関を求めることによって力任せにスクランブルコードを算出することである。容量の大きい(セルの小さな)通信システムにおける場合のように、可能性のあるスクランブルコードの数が多いと、この方法は極めて複雑かつ労力を要する方法になる。
【0024】
同様の目的を達成するためのよりよい方法は、可能性のあるスクランブルコードを少ない数のスクランブルコードを含むグループに分け、SSCのシーケンスのグループの識別符号を符号化しておくことである。この方法によって、受信したフレーム1つまたは複数に渡るスロットの1つまたは複数にわたるSSCシーケンスを検出することで、遠隔端末は基地局のスクランブルコードが属する可能性のあるスクランブルコードの小さなサブセットを確認することができる。そうすれば、遠隔端末は、受信信号とサブセットに含まれるもっと妥当な小さな数のスクランブルコードと相関を求めることで、基地局が使用した特定のスクランブルコードを確認することができる。以下に記載する何れの方法においても、スクランブルコードグループ識別符号とフレームタイミングが同時に得られるようなSSCシーケンスが選択されている。
【0025】
以下に2つの方法を述べるに当って、変調されていても良いSSCは長さが256で、長さ256の直交ゴールドコードの組から選択される。PSCシーケンスもまたゴールドコードの組から選択されていても良い。当然ながらこれらは単に例であって、これらに変えて長さまたは形式の異なる直交コードを使用することもできる。実際には、PSCとSSCとは、直交性を有することが好ましいが、直交性を有することは必須ではない。
【0026】
2つの方法(図4参照)に共通の第1のステップは、スロットとチップの同期である。スクランブルされていない共通PSCを有するWCDMA提案のような同期チャネルを有する通信システムでは、遠隔端末は受信信号を(キャリアを削除した後)PSCに整合したフィルタに送る。この種の整合フィルタは遠隔端末の演算装置180が実行するソフトウエアの形で実現することも可能であるし、例えば、適宜タップされた遅延ラインまたはシフトレジスタによってハードウエアとしても実現することができる。他の通信システムでは、スロットとチップの同期を得るために他の装置や方法を使用しても良い。
【0027】
一般的には、スロットの同期は必要ではないことを理解する必要がある。受信機はチップまたはビット同期さえ得られればSSCを検索することができる。これを行う方法の1つは、受信機がスロットの同期を得ていない場合には可能性のあるSSCに整合した整合フィルタを複数の選択した量だけ遅延させて用いる方法である。それにもかかわらず、スロット同期無しの場合に可能な開始位置の数はスロットの数ではなくフレーム内のチップかビットの数と同じであることが理解される。現在提案されているWCDMAシステムでは、各フレームに40960のチップが含まれるが、スロットは16に過ぎない。従って、キャリア信号の存在を検出することが容易になることに加えて、1つ以上のスロットで送信されるスクランブルされていないPSCは、可能性のあるフレーム開始位置の数が、フレーム内のチップの数からPSCを含むスロットの数にまで少なくなるという明確な利益を通信システムにもたらすことになる。
【0028】
図4に示した次の共通のステップで、受信機はSSCシーケンス、したがってフレームタイミングを決定しグループを識別する。さらに共通である第3のステップでは、前のステップで識別されたコードグループに属する全ての可能性のあるスクランブルコードに対して受信データの逆スクランブルを行う。
【0029】
WCDMAのような通信システムにおいて図4に示したステップ1をうまく行うには、PSCシーケンスは良好な非周期的自己相関特性を有している必要がある。「良好な」自己相関特性とは、コードワードまたはシーケンスの同じコードまたはシーケンスをシフトさせたものとの相関値が、シフト量がゼロである場合を除いて小さい場合である。非周期性は、現在提案されているWCDMAシステムのようにコードワードやシーケンスが連続的に送信されず、PSCシーケンスはスロット毎に送られる9つのシンボルの1つに過ぎないような場合には重要である。PSCを検索している整合フィルタはフィルタを通過する特定のスロットに存在するPSCの影響のみを受けるので、重要なことはPSCが非周期的自己相関を有することである。良好な非周期的自己相関は、図5と6に例示する下記の2つの方法の何れによっても得ることができる。
【0030】
方法1
一般性を損なわずに、512のスクランブルコードが、それぞれは16のコードからなる32のグループに分割されていると仮定する。それぞれのグループlに対して、SCHにおいて、フレームにおけるSSCシーケンスによって(図5におけるステップ502)当該グループを表すコードワードCを付与する。付与されたコードワードは遠隔端末に送信することも可能であるし、端末の記憶装置に予め記憶させておくこともできる。もしコードワードCが各フレームスロットのSSCとして単に送信されるなら、Cを決定する受信機はスクランブルコードグループ(PSCが各スロットに設けられていなければスロットタイミング)を決定するがフレームタイミング(フレーム同期)を決定しない。従って、本発明の1つの側面に従って、1つまたは複数のフレーム1つまたは複数あるいは全てのスロットでCの署名されたものを送信する。スロットに固有の符号は(図5におけるステップ504)、フレームのSSCシーケンスが好ましい自己相関特性を有する16長の周期的に特異性を有するシーケンスを有する。
【0031】
従って、miをi番目のスロットにおけるコードワードCの符号とすると、16のスロットを有するフレームにおいてフレームで送信されるシーケンスSSCは、以下の式で表される。
【数1】
Figure 0004230111
【0032】
受信したスロット情報と全ての可能性のあるコードワードCとの相関を求め、シーケンスの全ての周期的シフトに対応する符号付のシーケンス[m1,m2,...m15,m16]に従ってこの相関値をコヒーレントに組み合わせることによって、組み合わせ相関値の値が最大となるコードワードCと[m1,m2,...m15,m16]の位相を求めることができる(図5におけるステップ510)。
【0033】
スロット/コードワードをコヒーレントに組み合わせるためには、受信機が通信チャネルの重み付け関数またはインパルス応答を決定することを経てチャネル推定を行うことが必要である。WCDMAのようなシステムで、同期的デジタル振幅変調とフェージングを有するチャネルを介した送信を行うためには、そのようなチャネル応答推定は基地のPSCに基づいて、例えば、受信したスロット情報と基地のPSCとの相関を求めることで行うことができる。デジタル無線通信システムにおけるチャネル推定の側面は、Schramm他による米国特許第5,768,307号、「デジタル通信の決定のためのチャネル推定を伴う同期復調」に記載されている。
【0034】
方法2
この方法は、それぞれのスクランブルコードを十分な明瞭さで特定することができる、異なるコードワードCの小さな組の要素シーケンスの作成(図6におけるステップ602)に基づくものである。ここでも一般性を失わずに、512のスクランブルコードが16のコードからなる32のグループに分割されていると仮定する。例示のために、それぞれが16のスロットを有する17のコードワードCとフレームがあるとする。17の「文字」の「アルファベット」またはシンボルは複数の16文字シーケンスを構成することができ、これらのシーケンスのうちの多くはかなり良好な周期的自己相関と相互相関特性を有することが証明できる。このようなシーケンス作成方法は、テキサスインストルメンツ社によるIMT−2000研究委員会、無線インターフェースワーキンググループSWG2による「高速長コード取得のためのコンマフリーコード」文書番号AIF/SWG2−15−6(P)に記載されている。
【0035】
「良好な」相互相関特性とは、コードワードやシーケンスが、それ以外のコードワードやシーケンスあるいは当該シーケンスとどのようなシフトを行っても相関値が小さくなるような特性を言う。16のシンボルからなるSSCのシーケンスがフレームごとに繰り返される、現在提案されているWCDMAシステムのように、コードワードやシーケンスが連続的に送信される状況においては周期的特性が重要である。SSCはスロットごとに送信される10個のシンボルのうちの1つに過ぎず、その意味において連続的に送信されるわけではないにもかかわらず、スロット同期を確立することによってフレームの中の9/10においてSSCを検索することを避けてSSCがあたかも連続的であるかのように取り扱うことが可能である。16の連続するスロットが得られれば、受信機は16シンボルからなるシーケンス全体の任意のシンボルごとの少なくとも1つの周期的シフトを捕捉したことを認識することができる。
【0036】
可能性のある多くの16文字長のシーケンスから、対応するSSCシーケンスを表すものとして相関特性に基づいて32個を選択する。方法1で述べたように、選択されたシーケンスは遠隔端末に送信することもできるし、予め端末の適当な記憶装置に記憶しておくこともできる。しかし、方法1で作成されたシーケンスは方法2で作成されたシーケンスよりも相関特性が若干優れていることは注意する必要がある。
【0037】
SSCコードワードCのシーケンスは、シーケンスがコードワードに関して周期的に異なり、従って良好な相互相関特性を有するように17のコードワードの「アルファベット」から選択することで構成される。例えば、SSCのように互いに直交する長さ256の2つの「文字」AとBとを有すると仮定し、さらにこれらの「文字」の中の長さ8のシーケンスを求めるものとする。仮にシーケンスAAAAABBAからスタートしたとすると、該シーケンスの1サイクルシフトはAAAAAABBとなりもとのシーケンスAAAAABBAとは異なる。コードワードの観点から周期的に異ならないシーケンスの例はABABABABであり、別の(一層違いが無いもの)例はAAAAAAAAである。後者の場合は、全てのサイクリックシフトが同じものであることに注意する必要がある。シーケンス長と同じ長さのシフトを行えば(シンボル数と同じだけのシフト)、元のシーケンスが得られることは当然であり、コードワードに関して周期的判別不能なシーケンスを与えることになる。
【0038】
コードワードに関して周期的に異なるシーケンスを2例挙げると、便宜上シーケンス1と呼ぶことにするABBBBBBBと、便宜上シーケンス2と呼ぶことにするABBAAABBである。もとのシーケンスとシフトしたシーケンスとで一致する場所の数、つまり、一致する文字の数を下の表に示す。
【数2】
Figure 0004230111
この表から、コードワードまたはシーケンスをシフトさせたものと元のコードワードまたはシーケンスとの間の相関がシフトゼロの場合を除いて小さくなっているので、シーケンス2の自己相関特性のほうがシーケンス1の自己相関特性よりも前記において「好ましい」と称した意味で「より好ましい」ことがわかる。コードワードの意味で識別性を有しないシーケンスに関しては、ゼロで無いシフトの少なくとも1つにおいて、8箇所が(全て)一致する。相関(自己相関であれ相互相関であれ)は、通常一致の数から不一致の数を引いたものと定義されるので、一致の数は相関の値と関係していることがわかる。
【0039】
シーケンス1とシーケンス2の間の相互相関、つまり、シーケンス1の位置を順次移動させながらシーケンス1とシーケンス2とが同じ「文字」を有する数を求めると下の表のようになる。
【数3】
Figure 0004230111
コードワードの好ましいセットとは、コードワードを他のコードワードおよび/または他のコードワードをシフトさせたものと間違える可能性が低いものである。同様に、受信されたスロット情報は、全てのシフトを行って他の全ての可能なコードワードシーケンスとの相関を求める(図6におけるステップ604)。
【0040】
コードワードCは、方法1とは違って符号がついておらず、従って、受信したスロットの対応するコードワードとの無相関組み合わせが可能であることに留意する必要がある(図6におけるステップ606)。例えば、i番目のスロットで受信した情報とRiと、仮定されたSSCのシーケンスにおけるi番目のSSCであるSSCiとの相関をCi=C(SSCi,Ri)とする。そうすれば、iに関してCiの合計を取ったものは、仮定されたシーケンスと受信情報の相関を表すが、複数のRiが未知あるいは異なるフェージングの影響を受けあるいは通信外乱の影響を受けているので、チャネル推定が無ければ非同期組み合わせが不可欠である。チャネル推定aiが得られれば、Ciとaiの共役複素数との積をiにわたって合計することによって相関値をコヒーレントに組み合わせることができる。方法1では、符号miを保持するためにコヒーレント組み合わせが必要であったが、方法2では、コヒーレント組み合わせと非コヒーレント組み合わせの何れを使用することもできる。
【0041】
従って、もしi番目のSSCがCiであれば送信されたSSCシーケンスは、16のスロットを有するフレームに関して以下のようになる:
【数4】
Figure 0004230111
受信したスロット情報と全ての可能なSSCを全ての値だけシフトさせたものとの相関値から最大相関を決定することで、スクランブルコードグループを特定するフレームタイミングとシーケンス[C1,C2,...C15,C16]が特定される(図6におけるステップ608)。
【0042】
すでに述べたように、同期コードPSCとSSCは長さ256の直交ゴールドコードであっても良い。このような同期コードは,現在ETSIやARIBで検討しているWCDMA通信システムで使用されるものである。現在提案されているWCDMAシステムにおけるPSCシーケンスは、選択されたシーケンスが最大のメリット係数(MF)、遅延の無い非周期的事項相関値をゼロで無い遅延を有する非周期的自己相関値で割ったものの2乗の値として定義される、を有するように、256長の直交ゴールドコードのセットから選択される。換言すれば、メリットの値は、自己相関関数における位相の異なる最大ピークの値である。
【0043】
この種のコードおよび関連する多くのタイプのコードの側面の一つは、直交ゴールドコードの自己相関特性が必ずしも最善でないことである。上記の基準に従って選択したゴールドコードシーケンスの自己相関特性は悪くはないが、より好ましい特性を有するシーケンスを見つけるのが望ましい。
【0044】
さらに、直交ゴールドコードを使用すると、受信機は、入来する信号に対して時間差をおいて各スロット情報に対して256チップの相関演算を複数回行わなければならないので、受信機が複雑になる。周知のウォルシュ−アダマールシーケンスは高速ウォルシュ変換(FWT)によって有効に相関を排除することができるので受信機を単純にすることができる。FWTを行うための方法と装置はDentによる米国特許第5,357,454号「高速ウォルシュ返還装置」に開示されており、当該明細書の開示内容をここに取り込むものとする。ウォルシュ−アダマールシーケンスは、受信シーケンスとウォルシュ−アダマールシーケンスとの相関を、単に力任せに計算するのに比較してはるかに簡単に求めることができる性質を有している。FWT演算の結果は、実質的に所定長さの全てのウォルシュ−アダマールシーケンスとの相関を求めたものと同じである。
【0045】
さらに、現在提案されているWCDMA通信システムのようなアプリケーションでは、ウォルシュ−アダマールシーケンスのファミリーからなるサブセットを使用するだけですみ、FWTの結果をサブセットだけを対象とすればよい。FWTは有効であるが、完全なFWTは不要な演算を伴うものである。もしウォルシュ−アダマールシーケンスのサブセットを注意深く選択すれば、全FWTに比較して小さなFWTについて逆相関を求めるだけで十分である。複雑性の観点からは、従ってアダマールシーケンスが適当である。にもかかわらず、ウォルシュ−アダマールシーケンスの自己相関特性は非常に悪くセル検索の目的には不適当である。
【0046】
一般的に、上述のゴールドコードシーケンスと同等以上の非周期的自己相関特性を少なくとも1つのシーケンスが有するようなシーケンスの組であって、PSCとSSCシーケンスとして使用することができる直交シーケンスの組を得ることが望ましい。同様に、受信機で効率的に相関処理を行うことができるシーケンスの組を得ることが望ましい。この目的は、ウォルシュ−アダマールシーケンスに基づくが、よりすぐれた自己相関特性を有する直交シーケンスの組によって達成される。この出願においては、このようなシーケンスをS−アダマールシーケンスと呼ぶことにする。
【0047】
本発明の1つの側面によれば、ウォルシュ−アダマールシーケンスのそれぞれに、位置毎に、単位振幅を有する特別な複素シーケンスSを掛ける。特別なシーケンスSは、結果として得られるS−アダマールシーケンスのメンバーがSシーケンスに起因して良好な自己相関及び相互相関特性を有するように注意深く選択される。その相関特性に関するシーケンスの構造はP. Dentによる米国特許第5,353,352号、「無線通信のためのマルチプル接続コーディング」とG. Bottomley他による米国特許第5,550,809号、「移動無線通信のためのベントシーケンスを使用したマルチプル接続コーディング」に開示されている。これらの特許をここに参照して取り込むものとする。
【0048】
Mを、マトリックスの最も上の行に全て1からなるシーケンスが現れるようにノーマライズしたMXMウォルシュ−アダマールマトリックスとする。ウォルシュ−アダマールシーケンスはマトリックスのM番目の行で与えられ、HMの内容は(シーケンスの要素)は+1か−1である。マトリックスHMは、以下の式に基づいて通常の方法で作成することができる。
【数5】
Figure 0004230111
ここで、H=[+1]である。いわゆるシルベスター型のアダマールマトリックスが存在する。
【0049】
Mの行か列に所定の倍率を掛けるか、いずれかの行か列に−1を掛けてもなおアダマールマトリックスである。行の中からシーケンスを選択するための以下に示す基準はシルベスター型のマトリックスに対して有効で、直接的に他の型のアダマールマトリックスに変換する。一般性を失わずに、以下の記載では例としてシルベスター型のマトリックスを使用する。
【0050】
i番目のアダマールシーケンスを[hi,0,hi,1,・・・,hi,M-1]とし、一定振幅(この例では単位の大きさ)の複素エレメントを有する特別なシーケンスSをS=[s0,s1,・・・,sM-1]とする。この場合、i番目のS−アダマールシーケンスは以下の式で表され、
【数6】
Figure 0004230111
送信機がウォルシュ−アダマールコードをシーケンスSによってスクランブルした結果とみなすことができる。
【0051】
i番目とj番目のS−アダマールシーケンスの相互相関は以下の式によって与えられ、
【数7】
Figure 0004230111
これは、元のウォルシュ−アダマールシーケンスが相互に直交しているので、i=jであればMと等しくなり、さもなければゼロである。従って、S−アダマールシーケンスは全て直交性を有する。
【0052】
Mの最初の行は全て1のシーケンスであり、以下に示すように、対応するS−アダマールシーケンスは特別なシーケンスS自体である。
【数8】
Figure 0004230111
従って、良好な非周期的自己相関特性を有するようにSを選択すれば、直交S−アダマールシーケンスはこのような良好な自己相関特性を有するメンバーを少なくとも1つ有する。
【0053】
現在提案されているWCDMAシステムで使用することができるような、ゴールドシーケンスと同等以上の自己相関特性を有するシーケンスを設計する方法はいくつか存在する。簡単な方法の1つは、特別なシーケンスSとして現在提案されているPSCシーケンスを選択することである。そうすれば、新たなPSCシーケンスのベースとして全てが1からなるウォルシュ−アダマールシーケンスが選択されたなら、上述のように、S−アダマールシーケンスのうちの1つと、新しいPSCシーケンスもまた、特別なシーケンスSになる。
【0054】
別の方法は、いわゆるシーケンスの相補的な組からシーケンスを選択することであり、この方法はS. Z. Budisinによる"New Complementary Pairs of Sequences"、Electronics Letters、第26巻、第8号、pp881-883(1990年6月21日)、および、S. Z. Budisinによる"New Multilevel Complementary Pairs of Sequences", Electronics Letters、第26巻、第22号、pp1861-1863(1990年10月25日)に記載されている。これらの出版物をここに参照して取り込むものとする。その種のシーケンスは、良好な自己相関特性を有するシーケンスを含むものとして知られている。一般的に、シーケンスの相補的組み合わせSとS'は、ずらし幅がゼロで無い全ての場合について対応する非周期的自己相関関数の合計がゼロである特徴を有している。ただし、本適用では相補的な組が1つあれば十分である。
【0055】
Budisinの文献で説明されているように、複数のレベルの実シーケンスaとbは、以下の関係式を使用して作成することができる。
【数9】
Figure 0004230111
ここで、δ(i)はクロネッカーのデルタ関数であり;nはイテレーションの回数;nは1からN−1の範囲の自然数;Wは+1または−1の値をとる係数;Sは任意の正の遅延でiは時間のスケールを表す整数である。
【0056】
Budisinの文献に記載されているように、マルチレベル実相補シーケンスは以下の方法によって作成することもできる。
【数10】
Figure 0004230111
ここでもまたδ(i)はクロネッカーのデルタ関数であり;nは1からN−1の範囲の自然数;Aは実数である係数;Sは任意の正の遅延でiは時間のスケールを表す整数である。
【0057】
出願人は、前述のBudisinの文献に記載されていた手法に従って256長の2値要素から構成される相補的な組を全て評価した。直交ゴールドシーケンスであるPSCシーケンスのMFと最大ピーク値とを、MFに関して最適化された相補シーケンスと最大ピーク値に関して最適化された相補シーケンスとにおける値と比較したものを以下に示す。
S MF 最大ピーク値
直交ゴールド 2.7 18
相補組(MF最適化) 4.5 25
相補組(ピーク最適化) 3.1 12
上記の表から、直交ゴールドコードPSCよりもメリット値が優れた(MFまたはピーク値に関して)シーケンスが存在することがわかる。
【0058】
現在提案されているWCDMAシステムに適した相補組み合わせシーケンスの具体的な1例として、前出のBudisinの文献に記載された方法においてシーケンスSとWとして下記のものを使用して、
【数11】
Figure 0004230111
n=8で、0,1,・・・,255の内のいずれかであるiに対して、最適MFを有するシーケンス[a(i)]を得ることができる。
【0059】
現在提案されているWCDMAシステムに好適な相補的な組の他の例として、Budisinの文献に記載されているアルゴリズムでSとWとして下記のものを使用して、
【数12】
Figure 0004230111
n=8で、0,1,・・・,255の内のいずれかであるiに対して、ゼロで無い時間差に対する相関のピークが最も小さくなるシーケンスであるシーケンス[a(i)]を得ることができる。
【0060】
相補的なシーケンスの組に属する多くのシーケンスは、ゴールドコードよりも良好なMF係数や良好な最大ピーク値を有しているので、特別のシーケンスSとして好適に使用することができる。双方的なシーケンスの組は、長さがシルベスター型のウォルシュ−アダマールシーケンスに適合するので、つまり、2の累乗になるので、特にこの目的に適している。
【0061】
一般的に、良好な相関特性を有するシーケンスは多く作ることができるが、それらのうちの多くはウォルシュ−アダマールシーケンスと長さが適合しない。従って、そのようなシーケンスは変更無しに(従って相関特性に影響を与えずに)使用することはできない。
【0062】
ウォルシュ−アダマールシーケンスと特別なシーケンスSの位置毎の掛け算によって、FWTによって効率的に逆相関を求めることができるウォルシュ−アダマールシーケンスの構造的な特性が壊される。それにもかかわらず、受信信号を受信複素シーケンスr’で表すと、
【数13】
Figure 0004230111
受信機は第1のステップでr’に特別なシーケンスSの共役複素数を位置毎に掛けて以下に示すシーケンスrを得る。
【数14】
Figure 0004230111
これは、受信機によってシーケンスSによってウォルシュ−アダマールシーケンスを逆スクランブルした結果とみなすことができる。シーケンスrについて、次にFWTを使用して対象ウォルシュ−アダマールシーケンスとの相関を求め、最も確率の高い候補を選択することができる。
【0063】
長さMの受信信号と長さMで、M個の候補シーケンスとの相関を算出するためには、一般的にMの演算を要する。S−アダマールシーケンスを使用することによって、シーケンスrの相関演算は、FWTを使用することができるのでMlog2Mの演算になる。もちろん、受信信号と可能性のあるS−アダマールシーケンスの相関を単に演算することで、力任せにS−アダマールシーケンスを決定するのが有用な場合もある。
【0064】
図7に図示したように、受信信号r’に例えばPSCやSSCとして含まれるS−アダマールシーケンスrとして符号化されたウォルシュ−アダマールシーケンスを決定する有利な方法の1つは、受信機に特定のアプリケーション用に製作された集積回路などのハードウエアまたは受信機の演算装置が実行するソフトウエアとして以下のステップを有する方法である。
【0065】
1.特別なシーケンスSを使用して受信シーケンスr’を逆スクランブルしてrを得て(ステップ702);
2.rに対してM点からなるFWT処理を行うことによって受信したウォルシュ−アダマールコードを特定する(ステップ704)。必要なら、受信したS−アダマールシーケンスを上述のように掛け算によって求めることもできる。特別なシーケンスは、例えば上述の全て1であるウォルシュ−アダマールシーケンスに基づくS−アダマールシーケンスとして受信機に対して送信されても良いし、受信機に候補となるSシーケンスを記憶していても良いし、別の方法として受信機が作成しても良い。
【0066】
上述のように、現在提案されているWCDMA通信システムの同期チャネルは、フレーム中のスロットの数であるMの長さを有するウォルシュ−アダマールシーケンスの可能な全てのサブセットのうちの1つだけを利用することができる。上述の方法1では、サブセットに含まれるメンバーの数はスクランブルコードグループの数と同じである(例の場合には32である)。方法2の例では、17のシーケンスが必要である。PSCで使用するために必要なシーケンスを考慮すると、例示した場合には、長さ16のシーケンスを、33個(方法1の場合)または18個(方法2の場合)含むサブセットが有効である。以下においては、2の累乗の基本数を有するシーケンスサブセットについて述べ、次に33や18のように2の累乗でない数に基本数を有するサブセットについて述べる。
【0067】
Mをシーケンスの合計数でかつ長さであると仮定し、NをMシーケンスで使用されるシーケンスの数とする。同様に、MとNとは2の整数による累乗とし、L=M/Nとする。従って、使用されるN個のシーケンスは以下のように定義される。
【数15】
Figure 0004230111
k=0,1,...,L−1に対して、つまり、選択されたウォルシュ−アダマールシーケンスは行kから始まってマトリックスHMのL番目毎の行である。これらの選択されたシーケンスは、特別なシーケンスSとスクランブルされて、自己相関特性を調整する。受信機の側でN点のFWTを適用することができるようにウォルシュ−アダマールシーケンスのサブセットを選択するのが好ましい。
【0068】
選択されたウォルシュ−アダマールシーケンスを詳細に見れば、長さMのN個のそれぞれは、長さLの後続S’のN個の符号付の連結であることがわかる。後続S’は全てのウォルシュ−アダマールシーケンスに対して同じであるが、以下に示すように、符号のパターンが異なっている。
【数16】
Figure 0004230111
ここで、h'ijは、i番目のウォルシュ−アダマールシーケンスのS’のj番目のコピーに付与されるべき符号である。kによってはシーケンスS’は異なって見える。
【0069】
符号マトリックスH’N=[h'ij]はそれ自体、N次のアダマールマトリックスであることが理解される。このことは、使用されたシーケンスの数Nとシーケンスの長さMが2の整数乗であれば、例えば、図7に示したように下に述べる変更を受信機に装備することができることを意味する。
【0070】
1.受信した複素シーケンスr’を特別なシーケンスSで逆スクランブルしてシーケンスrを得る(ステップ702);
2.rの長さがLでN個の連続したサブシーケンスに対してN個の連続した相関を求めて、長さNのシーケンスr”を求める(ステップ704);
3.r”に対してN点FWTを行い、受信した長さNのウォルシュ−アダマールシーケンスを特定する(同様にステップ704)。ステップ1と2を組み合わせて、図7に示した方法を単純化して以下のようにしても良い。
1.受信した複素シーケンスr’の長さがLであるN個の連続したサブシーケンスについて、短いシーケンスS’1,...S’Nとの長さLのN個の連続した相関を求めて,長さNのシーケンスr”をえて(ステップ702);
2.r”に対してN点のFWTを行って、受信した長さNのウォルシュ−アダマールシーケンスを特定する(ステップ704).
【0071】
短いシーケンスS’iはSの長さLのi番目のサブセグメントをS’と場所ごとに掛け算することに相当する.従って、逆スクランブルを行い部分的な相関を求めることは同時に行うことができる.
【0072】
使用されたシーケンスの数が、上述の例のように2の整数乗でなければ、32点のFWTと1つの通常の相関を演算して33個のメンバーからなるサブセットを取り扱うことができ、16点のFWTと2つの通常の相関演算によって18のメンバーを有するサブセットを取り扱うことができる。使用する長さ32と長さ16のシーケンスは上述のように選択し、追加で使用する1つまたは2つのシーケンスは32個または16個のシーケンスに含まれないものであればどんなシーケンスであっても良い。
【0073】
別な方法としては、2の整数乗でない数のシーケンスに対しては、例えば、(例えば、256のうちの)48の場合には、受信機は上述のステップ2とステップ3を2回実施することができる:N=32として1回とN=16として1回(S’、Lとkもまた異なる)。32+16のシーケンスは、上述の方法に従って、また同一のものが含まれないように注意深く選択する必要がある。この手法は、全ての数は2の累乗の合計によって表すことができるので、Mより小さい全ての数に対して拡張することができる。必要なものよりも大きければ低次のFWT、例えば64点FWT、を使用して結果として得られる相関値のうちの16個を単に使用しないようにすることもできる。
【0074】
上述のように、2の累乗で無い数Nを取り扱う方法はたくさん存在する。
【0075】
本発明に基づく通信システムの送信機800の一部を示すブロック図が図8である。ジェネレータ802は、特別なシーケンスSを作成してジェネレータ804に送り、S−アダマールコードワードの組を作成させる。ジェネレータ804は発生装置、例えば長さMのシルベスター型のウォルシュ−アダマールシーケンスのサブセットと、特別なシーケンスSと長さMのウォルシュ−アダマールセットまたはサブセットとの積を計算するための乗算器を具備していても良い。他の方法としては、ジェネレータ804は、長さMのウォルシュ−アダマールシーケンスのセットまたはサブセットのメンバーを記憶する記憶手段と積算機とを具備していても良い。S−アダマールコードワードのセットまたはサブセットの特定のメンバーが、所定のグループ識別符号を記憶する記憶素子であっても良い、ジェネレータ808が供給する所望のスクランブルコードグループに基づいてセレクタ806によって選択される。前述のようにPSCとSSCであっても良い、選択されたS−アダマールコードワードのシーケンスは、変調/組み合わせ器810に送られて、信号は制御チャネル無線装置160後に送信される信号を作成する(図2)。変調/組み合わせ装置810は、選択されたS−アダマールコードワードとのシーケンスと組み合わせられた他の通信チャネルまたは情報に関する信号を受信しても良い。
【0076】
図8に示したほとんどの装置の機能は基地局の処理ユニット130によって実行されることが理解される(図2参照)。ジェネレータ802,804は、長さMのS−アダマールコードワードのセットまたはサブセットを記憶する適当な記憶手段で置き換えても良いことが理解される。さらに、ジェネレータ802、804、808とセレクタ806は、選択されたS−アダマールコードワードのシーケンスの1つまたは複数を記憶する適当な記憶手段によって置き換えられても良い。
【0077】
図9A、9B、9Cは本発明に基づく受信機の部分を示すブロック図である。図9Aに示す受信機900では、受信された複素シーケンスr’が逆相関器902に提供され、シーケンスr’と適当なジェネレータ904から提供されるS−アダマールコードワードのセットのメンバーとの相関が演算される。ジェネレータ904は、図8の説明で述べたように、単にコードワードを記憶する記憶手段であっても良い。逆相関器902の出力はセル検索に適当な値またはその他の手段、例えば、受信したシーケンスのS−アダマールコードワードの同一性標識である。図9Aに示したように逆相関を取ることは可能ではあるが、S−アダマールコードワードの効率をほとんど利用することができていない。
【0078】
図9Bは、シーケンスr’が積算機910に送られそこでシーケンスR’と適当なジェネレータ912が供給する特別なシーケンスSとの積算が行われる、より効率の良い受信機900’を示すものである。積算機910が作成する「逆スクランブル」されたシーケンスrは、逆相関器914に供給されて、そこでシーケンスrと上述の長さMのウォルシュ−アダマールシーケンスのセットかサブセットのメンバーとの逆相関が求められる。ウォルシュ−アダマールシーケンスは、シーケンスをくり返し作成する演算装置かそれらを単に取り出すだけの記憶装置である適当なジェネレータ916によって供給される。逆相関器914とジェネレータ916は好ましくはFWTプロセッサによって置き換えられえる。図9Aに示したように、逆相関器/FWTの出力は、セル検索のようなタスクに適当な、例えば、受信したS−アダマールコードワードの同一性識別のための値または手段である。
【0079】
図9Cは逆相関器920と逆相関器922を具備する受信器900”を示すものである。受信機900”の一つの形態においては、逆相関器920は受信したシーケンスr’の、長さがM以下の短いシーケンスとの部分逆相関を順次求め、このことは特別なシーケンスSと長さMのウォルシュ−アダマールシーケンスのセットのメンバーのサブシーケンスとの位置毎の積算に相当する。逆相関処理の結果は別の逆相関器922に供給され、そこでサブシーケンスを含むウォルシュ−アダマールシーケンスのセットのメンバーとの連続的な部分的逆相関が算出される。上述のように、逆相関器922はFWTで置き換えることができ、出力はセル検索に好適な値または手段、例えば、受信したシーケンスに含まれるS−アダマールコードワードの識別符号である。
【0080】
受信機の別の形態900”では、逆相関器920は受信したシーケンスrの「逆スクランブル」値と長さMのウォルシュ−アダマールシーケンスのサブシーケンスの部分的な連続逆相関を作成する。受信したシーケンスr’と特別なシーケンスSとの積(シーケンスr)を作成する積算器は、図を明瞭にするために図9Cからは削除してある。逆相関器920の出力は、逆相関器922によってサブシーケンスを含むウォルシュ−アダマールシーケンスのセットのメンバーと相関が求められる。前述のように、逆相関器920,922はFWT等によって置き換えることができる。
【0081】
本発明は、同期チャネルSCHでPSCやSSCを使用するETSIに記載されたWCDMAのような通信システムのみならず、マスクしたシンボルを使用するARIBに記載されたWCDMAのような通信システムにおいて利用価値を有する。(「マスクしたシンボル」とは、スクランブルされていないシンボル、基地局のスクランブルコードが当該シンボルに対して「マスク」されているかブロックされているものをいう。)上述のように、PSCとSSCは、下り線信号の他の成分、例えば、多くの遠隔端末に対するトラヒック情報が組み合わせられてスクランブルされた後で下り線に(基地局から遠隔端末に向けて)追加される。ARIBが現在提案しているWCDMAシステムにおけるマスクされたシンボルは、ETSIシステムにおけるPSCとSSCに相当しているが、マスクされたシンボルは下り線信号の成分と時間多重が施されている。例えば、マスクされたシンボルはトラヒックチャネルにおいて時間的に分散して埋め込まれていても良い。
【0082】
さらに別の例では、マトリックスHkのそれぞれの行が、値が+1/−1である長さM=2kのウォルシュ−アダマールシーケンスである。仮にMウォルシュ−アダマールシーケンスのサブセット例えばN個のシーケンスのみを送信すればよいのであれば、上述のように、FWT受信機はM−N個の不要な相関値を算出していることになる。N個のシーケンスをうまく選択すれば、受信機は次数の小さなFWT演算を行うことで大幅に演算の簡素化を図ることができる。特に、Nが2の整数乗と仮定し、L=M/Nとする。この場合、N個のシーケンスを、Hkのj番目の行から開始してL番目毎の行を取ったものからなるとする。このN個のシーケンスを詳細に検討すれば、N個の選択したシーケンスは何れも、長さLのサブシーケンスS’の符号付コピーをN個含むことがわかる。マトリックスのS’の符号付のコピーはN次のシルベスター型のウォルシュ−アダマールシーケンスを構成する。
【0083】
数値的な例として、M=16、N=4、L=16/4=4でj=2を仮定する。この場合、ウォルシュ−アダマールシーケンスH4から選択されたN=4のシーケンスは以下のようになる。
【数17】
Figure 0004230111
または、
【数18】
Figure 0004230111
ここでサブシーケンスS’は,S’=[1,−1,1,−1]である。対応する符号マトリックスは以下のようになる。
【数19】
Figure 0004230111
【0084】
符号マトリックスは,4次のオーダーのシルベスター型のウォルシュ−アダマールマトリックス,つまりH2である。
【0085】
上述の構造は,受信機はまずサブシーケンスS’とN個の長さLの受信シーケンスのサブセグメントとの間でN個の相関を求めて、次にN点のFWT演算を行わなければならないことを示している。
【0086】
従って、N・L+Nlog2Nの複雑さが増加するだけで、N個全ての相関値を求めることができる。これは一般的なシーケンスの場合には、相関を求めなければならないとすればN・Mの演算が必要になることと比較しなければならない。
【0087】
残念ながら、これらのウォルシュ−アダマールシーケンスの自己及び相互相関特性は好ましくない。それにもかかわらず、これらのシーケンスは上述のように適宜変更することで、自己相関及び相互相関特性が優れ検出装置が複雑にならないものにすることができる。
【0088】
新しいシーケンスは、ウォルシュ−アダマールシーケンスを長さMに固定された特別なシーケンスSによって「スクランブル]することで得られる。結果的に得られるシーケンスのセットは、Sが単位の大きさを有している限りSの選択にかかわらずウォルシュ−アダマールシーケンスの直交性を維持している。また、受信機は、まず受信シーケンスにSを掛けて「逆スクランブル」してからFWT演算を行うことで、FWT構造を利用することができる(図9Bを参照)。
【0089】
従って、送信機でウォルシュ−アダマールマトリックスのN個の行を選択して上述のように基本ウォルシュ−アダマールシーケンスを得て;選択したシーケンスのそれぞれを特別なシーケンスSによってスクランブルすることによってコードを構成することができる。結果として得られるシーケンスは、例えば同期チャネルSCHで使用することができる一組の直交コードを含むシーケンスである。
【0090】
受信機は受信したシーケンスに特別なシーケンスを掛けることによって逆スクランブルし;逆スクランブルしたシーケンスの長さLの連続したサブセグメントとサブシーケンスS’とのN個の相関を演算し、N点のFWT演算を行って最終的な結果を得る。必要な演算の数は、従っておよそ、M+N・L+N・log2N回の複素足し算である。さらに、受信機の最初の2つのステップは組み合わせることができることに着目すれば、N・L+N・log2N回の複素足し算が必要になるに過ぎない。
【0091】
17個のゴールドコードを使用した場合に相当する数値的な例として、N=32と仮定し、本発明による方法は使用されない15の値を算出することになる。256のオーダーのウォルシュ−アダマールマトリックスH8から8つごとにウォルシュ−アダマールシーケンスを選択する。本発明の方法によれば、256+256+32・5=672の複素数の足し算が必要である;高速ウォルシュ変換構造を有しない一般的なシーケンスのセットの場合には、17・256=4352の複素足し算が必要になる。仮に受信機の最初の2つのステップを組み合わせたとすると、256+32・5=416の演算が必要なだけであり、演算量はおよそ10分の1以下になる。従って、2つの256長相関以下の複雑さのものに対して、17個の相関値全て(と15個の使用されない相関値)が得られた。
【0092】
上述のように、コード構造はFWT手法に埋め込まれているので、受信機において相関を算出すべきシーケンスを(SとS’を除いて)厳密に作成し記憶しておく必要は無い。一般的なシーケンスの組やFWTを使用しない受信機に関しては、実際の相関を行う前にN個のシーケンスを作成して/記憶するための追加の複雑さ/記憶容量を考慮する必要がある。
【0093】
方法1と2はS−アダマールシーケンスを全部使用する場合、つまり、各PSCおよび/またはSSCが完全なS−アダマールシーケンスである場合に関して説明した。しかし、このことは必ずしも必要ではないことは理解されるはずである。実際に、高次のS−アダマールシーケンスを複数の部分に分割し、それぞれの部分を全体シーケンスに関して既に述べた方法によって送信する、例えば、部分相互の間に時間をあけて送信して受信した部分を組み合わせて処理のための完全なS−アダマールシーケンスを作成する方法には利点がある。
【0094】
例えば、フレームが256ビットまたはチップのSSCを16個有する通信システムは、上述の256長のS−アダマールシーケンスの16のエレメントを使用するか、あるいは、長さが(16・256)のS−アダマールシーケンスの16個の部分を使用することができる。この例では、高次のS−アダマールシーケンスは、長さ4096(つまり212)ビットまたはチップであり、そのような高次のシーケンスは種々の目的、例えば、基地局のスクランブルコードグループの識別、に直接使用することができる。
【0095】
WCDMA送信機は次に、高次のS−アダマールシーケンスの部分を不連続的に(おそらく直交性の無い)SSCシンボルとして送信することができる。図10はこのことを図示したものであり、長さが212のアダマールシーケンスが16個の2の長さを有する部分1,2,...,16に分割され、送信される信号にSSCとして、間に時間を空けて埋め込まれている。(SSCの間の時間的な間隔は同一であるが、一般的には同じである必要は無い。)上述のように、送信機は図8に示したように構成されていても良い。
【0096】
上述のS−アダマールシーケンスの利点を享受するために必要なことは、受信機の側では受信信号中の前記部分の位置を何らかの方法で決定することができるか「知っている」ことだけである。提案されているWCDMA通信システムでは、前記の部分がSSCまたはデータスロットのその他の基地のデータエレメントとして送られるなら、前記部分の位置は「知られている」。スロットの同期を行ったがフレーム同期を行っていない受信機は、高次のS−アダマールシーケンスの部分を検出することができるが、元の部分を検出することができず、このことを図10でシーケンスの部分3、4、...16、1、2として表している。
【0097】
受信機は部分を集めて上述の方法、つまり、まず集まった部分に対して高次のS−アダマールシーケンスを作成するときに使用した特別なシーケンスの全ての適当なシフト量だけシフトさせたものと掛け合わせることによって「逆スクランブル」を行うことによって受信したS−アダマールシーケンスを識別する(図7のステップ702を参照)。一例として、特別なシーケンスは長さが212の直交ゴールドコードである。次に、受信機は、直接的な演算またはFWTを用いて、支持された順序で集めた部分と高次のS−アダマールシーケンスのセットのメンバーとの間の相関を求めて、受信したメンバーを特定する(図7のステップ704を参照)。上述のように、受信機は図9A、9Bまたは9Cのいずれかに示されたような構成であっても良い。
【0098】
高次のシーケンスを使用することは種々の利点を有し、そのうちの1つは「良好な」特性を有するシーケンスを発見することがはるかに容易なことである。1つの長さ4096のS−アダマールシーケンスの16個の部分を使用することに代えて、システムは2つの長さ2048のS−アダマールシーケンスの8つの部分、あるいは、4つの長さ1024のS−アダマールシーケンスの4つの部分を使用することができる。さらに、受信機は、部分を受信すると、特別なシーケンスの部分と高次のS−アダマールシーケンスのセットのメンバーの部分とを使用して、逆スクランブルと高次のS−アダマールシーケンスの識別を開始することができる。高次のシーケンスは長いので、全ての部分を受領するのを待たずに処理を開始することが望ましい。
【0099】
本発明に係る通信システムまたは受信機には多くの利点がある。少なくとも1つのシーケンスの周期的または非周期的、自己相関または相互相関特性を、特別なシーケンスSを適切に選択することで選択することができる。WCDMAのような通信システムにおけるスロット同期は、特別なシーケンスSを適切に選択することでゴールドコードPSCよりも特性が良好なシーケンスを選択することができるので容易になる。受信機では、効果的な高速ウォルシュ変換を使用することができる。使用されるシーケンスの数が可能な全てのシーケンスの適切に選択されたサブセットであれば、受信機は小型の高速ウォルシュ変換を使用することができる。このような効率的な受信機はバッテリーで駆動される装置に実行するのに適している。
【0100】
本発明は、基本的な性質を変更することなく他の形態で実現できることが当業者には理解される。したがって、上述の実施例はあらゆる意味において例示であって限定的ではないことが理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 階層構造または複数の層構造を有するセルラー通信システムを例示したものである。
【図2】 セルラー無線電話システムの1例を示すブロック図である。
【図3】 無線フレーム/スロット/チップ構造と第1の同期コードと第2の同期コードを有する同期チャネルを示す図である。
【図4】 本発明に基づく方法を示すフロー図である。
【図5】 本発明に基づいてスクランブルコードグループを決定する方法を示すフロー図である。
【図6】 本発明に基づきスクランブルコードを決定する他の方法を示すフロー図である。
【図7】 受信信号に含まれるS−アダマールシーケンスとして符号化されたウォルシュ−アダマールシーケンスを決定する方法を示すフロー図である。
【図8】 本発明に基づく通信システムの送信機を示すブロック図である。
【図9】 図9Aから図9Cは本発明に基づく受信機の部分を示すブロック図である。
【図10】 高次S−アダマールシーケンスの使用を示す図である。

Claims (44)

  1. デジタル通信システムにおいて受信信号のスクランブルコードグループを決定する方法であって、信号は対応するスクランブルコードでスクランブルされており、スクランブルコードは対応するスクランブルコードグループに関連付けられており、該スクランブルコードグループの識別標識は信号に対応する符号付コードワードのコード−ワード毎の周期的に識別可能なシーケンスで符号化されており、当該方法は、
    受信信号と、S−アダマールシーケンスである複数のコードワードのそれぞれとの相関を求め、
    複数の符号シーケンスそれぞれを周期的にシフトさせて相関をコヒーレント結合し、
    コヒーレント結合した相関値の最大値を求めて受信信号のスクランブルコードグループを決定する方法。
  2. 符号付の各コードワードが受信信号のフレームに対応し、コヒーレント結合された相関の最大値決定によってフレームの開始位置が特定されるものである請求項1に記載の方法。
  3. デジタル通信システムにおいて受信信号のスクランブルコードグループを決定する方法であって、信号は対応するスクランブルコードによってスクランブルされており、スクランブルコードは対応するスクランブルコードグループに対応付けられており、スクランブルコードグループの識別符号はコードワードの周期的に特異なシーケンスによってコードワードごとに信号に埋め込まれており、当該方法は、
    受信信号と、周期的にシフトさせたコードワードの複数のシーケンスの各々との相関を求め、ここでコードワードは、S−アダマールシーケンスであり;
    コードワードの複数のシーケンスのそれぞれに対する相関を組み合わせ;
    組み合わせた相関の最大値を決定することで受信信号のスクランブルコードグループを識別する方法。
  4. コードワードの各シーケンスが受信信号のフレームに対応し、組み合わせ相関の最大値決定によってフレームの開始を識別する請求項3に記載の方法。
  5. 相関をコヒーレントに組み合わせる請求項3に記載の方法。
  6. 相関をコヒーレントでなく組み合わせる請求項3に記載の方法。
  7. 少なくとも1つの送信機と少なくとも1つの受信機を有するデジタル無線通信システムであって、
    送信機において、符号付S−アダマールシーケンスを含む同期信号を作成する手段であって、大きさが一定の複素エレメントを有する特別なシーケンスに基づいてウォルシュ−アダマールシーケンスの第1のセットのメンバーをビットまたはチップ毎にスクランブルすることで前記S−アダマールシーケンスを作成する手段と;
    受信機において、受信した同期信号に関する時間的な位置と受信信号中に符号化されたウォルシュ−アダマールシーケンス識別との推定を行う手段とを具備するシステム。
  8. 前記推定手段は、受信信号を特別なシーケンスに基づいて逆スクランブルし、逆スクランブルした受信信号とウォルシュ−アダマールシーケンスの第1のセットのメンバーとの相関を求めて受信信号中に符号化されたウォルシュ−アダマールシーケンス識別を行う請求項7に記載のシステム。
  9. 前記推定手段は、高速ウォルシュ変換によって相関を求める請求項8に記載のシステム。
  10. 前記推定手段は、受信信号とS−アダマールシーケンスとの相関を求めて受信信号中に符号化されたウォルシュ−アダマールシーケンス識別を行う請求項7に記載のシステム。
  11. 前記推定手段は、受信信号を特別なシーケンスに基づいて逆スクランブルし、逆スクランブルした受信信号とウォルシュ−アダマールシーケンスの第1のセットのメンバーのサブシーケンスとの連続的な部分逆相関を求め、連続的な部分逆相関とウォルシュ−アダマールシーケンスの第2のセットのメンバーとの相関を求め、該第2のセットのメンバーの長さは該第1のセットのメンバーの長さよりも短い請求項7に記載のシステム。
  12. 前記推定手段は、連続的な部分逆相関と第2のセットのメンバーとの相関を高速ウォルシュ変換によって求める請求項11に記載のシステム。
  13. 前記推定手段は、受信信号と複数の短いシーケンスとの連続的部分逆相関を求め、連続的部分逆相関とウォルシュ−アダマールシーケンスの第2のセットのメンバーとの相関を求め、該短いシーケンスと該第2のセットのメンバーは第1のセットのメンバーよりも長さが短く、短いシーケンスは特別なシーケンスと第1のセットのメンバーのサブシーケンスとのビットまたはチップ毎の積に対応する請求項7に記載のシステム。
  14. 前記推定手段は連続的な部分逆相関値と第2のセットのメンバーとの相関を高速ウォルシュ変換によって求める請求項13に記載のシステム。
  15. 前記特別なシーケンスは直交ゴールドコードシーケンスである請求項7に記載のシステム。
  16. 前記特別なシーケンスは一対の相補的コードワードシーケンスの1つである請求項7に記載のシステム。
  17. 受信信号の時間的位置を決定し、受信信号中にS−アダマールシーケンスとして符号化されたウォルシュ−アダマールシーケンスを特定する方法であって、S−アダマールシーケンスはウォルシュ−アダマールシーケンスと絶対値が一定で複素エレメントを有する特別なシーケンスとの積であって、ウォルシュ−アダマールシーケンスはウォルシュ−アダマールシーケンスの第1のセットのメンバーであり、当該方法は、
    受信信号と特別なシーケンスのビットまたはチップごとの積を求め;
    前記積と複数のウォルシュ−アダマールシーケンスのそれぞれとの相関を求めて、受信信号中に符号化されたウォルシュ−アダマールシーケンスを識別するステップを有する方法。
  18. 前記ビットまたはチップ毎の積と第1のセットのメンバーとの相関を高速ウォルシュ変換によって求める請求項17に記載の方法。
  19. ウォルシュ−アダマールシーケンスの第1のセットのメンバーのサブシーケンスと前記ビットまたはチップ毎の積との連続的な部分逆相関を求めるとともに、連続的な部分逆相関とウォルシュ−アダマールシーケンスの第2のセットのメンバーとの相関を求めることにより、前記ビットまたはチップ毎の積の相関が求められ、当該第2のセットのメンバーの長さは第1のセットのメンバーの長さよりも短い請求項17に記載の方法。
  20. 前記連続的な部分逆相関と第2のセットのメンバーとの相関を高速ウォルシュ変換によって求める請求項17に記載の方法。
  21. 前記ビットまたはチップ毎の積と複数の短いシーケンスとの連続的部分逆相関を求めるとともに、連続的部分逆相関とウォルシュ−アダマールシーケンスの第2のセットのメンバーとの相関を求めることにより、前記ビットまたはチップ毎の積の相関が求められ、短いシーケンスと第2のセットのメンバーの長さは第1のセットのメンバーの長さよりも短く、短いシーケンスは特別なシーケンスと第1のセットのメンバーのサブシーケンスとのビットまたはチップ毎の掛け算に対応する請求項17に記載の方法。
  22. 連続的な部分逆相関と第2のセットのメンバーとの相関を高速ウォルシュ変換によって求める請求項21に記載の方法。
  23. 前記特別なシーケンスは直交ゴールドコードシーケンスである請求項17に記載の方法。
  24. 前記特別なシーケンスが一組の相補的コードワードシーケンスの1つである請求項17に記載の方法。
  25. デジタル通信システムにおいて送信された信号のためのスクランブルコードグループの識別符号を伝達する方法であって、信号は対応するスクランブルコードを用いてスクランブルされており、スクランブルコードは対応するスクランブルコードグループに関連付けられており、当該方法は、
    少なくとも1つのS−アダマールシーケンスを提供し;
    送信された信号においてスクランブルコードグループの識別符号を、符号付のS−アダマールシーケンスのコードワードごとに周期的に識別可能なシーケンスとして符号化するステップとを有する方法。
  26. 前記符号付のS−アダマールシーケンスは、送信された信号のフレームに対応する請求項25に記載の方法。
  27. デジタル通信システムにおいて送信信号のスクランブルコードグループの識別を通信する方法であって、信号は対応するスクランブルコードでスクランブルされており、スクランブルコードは対応するスクランブルコードグループに関連付けられており、当該方法は、
    複数のS−アダマールコードワードを提供し;
    スクランブルコードグループの識別符号を送信信号においてS−アダマールコードワードのコードワード別に周期的に区別しえるシーケンスとして符号化するステップを含む方法。
  28. 前記S−アダマールコードワードのシーケンスは送信された信号のフレームに対応する請求項27に記載の方法。
  29. 無線送信機の信号発生装置であって、
    大きさが一定の複素エレメントからなる特別なシーケンスを作成する特別なシーケンス作成装置と;
    該特別なシーケンスを受けて当該特別なシーケンスに基づいて少なくとも1つのS−アダマールシーケンスを作成するS−アダマールシーケンス作成装置と;ここでS−アダマールシーケンスは該特別なシーケンスでビットまたはチップ毎のスクランブルを行ったウォルシュ−アダマールシーケンスのセットのメンバーに対応するものである、
    スクランブルコードグループ識別符号を作成する識別符号作成装置と;
    S−アダマールシーケンス発生装置が作成したS−アダマールシーケンスをスクランブルコードグループ識別符号に基づいて選択する選択手段と;
    選択手段が選択したS−アダマールシーケンスと情報信号を組み合わせて組み合わせ信号を作成する組み合わせ手段とを有する装置。
  30. 前記特別なシーケンス作成装置は、当該特別なシーケンスを読み出すことのできる記憶手段を有する請求項29に記載の信号作成装置。
  31. 前記S−アダマールシーケンス作成装置は、ウォルシュ−アダマールシーケンスをくり返し作成する演算装置と、前記特別なシーケンスと演算装置が作成したウォルシュ−アダマールシーケンスとの積を算出する積算手段とを有する請求項29に記載の信号作成装置。
  32. 前記S−アダマールシーケンス作成装置は、ウォルシュ−アダマールシーケンスを記憶する記憶手段と、前記特別なシーケンスと該記憶手段から読み出されたウォルシュ−アダマールシーケンスとの積を算出する積算手段とを有する請求項29に記載の信号作成装置。
  33. 前記識別符号作成装置は、スクランブルコードグループ識別符号を読み出すことができる記憶手段を有する請求項29に記載の信号作成装置。
  34. デジタル通信システムにおいて受信信号のスクランブルコードグループを決定するために使用する装置であって、信号は対応するスクランブルコードによってスクランブルされており、スクランブルコードは対応するスクランブルコードグループに対応付けられており、スクランブルコードグループの識別符号は対応するコードワードによって信号中に符号化されており、当該装置は、
    特別なシーケンスに基づいて少なくとも1つのS−アダマールコードワードを作成するS−アダマールコードワード作成手段と;当該S−アダマールコードワードは前記特別なシーケンスによってビットまたはチップ毎にスクランブルしたウォルシュ−アダマールシーケンスのセットのメンバーに対応し、
    受信信号と、S−アダマールコードワード作成手段が作成した少なくとも1つのS−アダマールコードワードとの少なくとも1つの相関を求める逆相関手段とを具備する装置。
  35. 前記S−アダマールコードワード作成手段は、少なくとも1つのS−アダマールコードワードを読み出すことができる記憶手段を有する請求項34に記載の装置。
  36. 前記逆相関手段は、
    特別なシーケンスとウォルシュ−アダマールシーケンスのセットのメンバーのサブシーケンスとのビットまたはチップ毎の積算に対応する複数の短いシーケンスと、受信信号との連続的な相関を算出する第1の逆相関手段と;
    該第1の逆相関手段が算出した連続的相関と前記サブシーケンスを含むウォルシュ−アダマールシーケンスのセットのメンバーとの相関を求める第2の逆相関手段とを具備する請求項34に記載の装置。
  37. 前記第2の逆相関手段は、高速ウォルシュ変換演算装置である請求項36に記載の装置。
  38. さらに受信信号と特別なシーケンスの積を求めて、逆スクランブルされた受信信号を作成する積算手段を具備し、前記第1の逆相関手段は逆スクランブルされた受信信号とウォルシュ−アダマールシーケンスのセットのメンバーのサブシーケンスとの連続的相関を求める請求項36に記載の装置。
  39. 前記第1と第2の逆相関手段が高速ウォルシュ変換演算装置である請求項38に記載の装置。
  40. デジタル通信システムにおいて受信信号のスクランブルコードグループを決定するために使用する装置であって、信号は対応するスクランブルコードを使用してスクランブルされており、スクランブルコードは対応するスクランブルコードグループに関連付けられており、スクランブルコードグループの識別符号は対応するコードワードによって信号に埋め込まれており、当該装置は、
    大きさが一定の複素エレメントを有する特別なシーケンスを作成する特別なシーケンス作成手段と;
    受信信号と特別なシーケンスとの積を求めて逆スクランブルされた受信信号を作成する積算手段と;
    少なくとも1つのウォルシュ−アダマールシーケンスを作成するウォルシュ−アダマールシーケンス作成手段と;
    逆スクランブルされた受信信号とウォルシュ−アダマールシーケンス作成手段が作成した少なくとも1つのウォルシュ−アダマールシーケンスとの少なくとも1つの相関を求める逆相関手段とを具備する装置。
  41. 前記特別なシーケンス作成手段は、当該特別なシーケンスを読み出す記憶手段を有する請求項40に記載の装置。
  42. 前記ウォルシュ−アダマールシーケンス作成手段は、ウォルシュ−アダマールシーケンスをくり返し作成する演算装置を具備する前記請求項40に記載の装置。
  43. 前記ウォルシュ−アダマールシーケンス作成手段は、少なくとも1つのウォルシュ−アダマールシーケンスを読み出す記憶手段を有する請求項40に記載の装置。
  44. 前記ウォルシュ−アダマールシーケンス作成手段と前記逆相関手段は高速ウォルシュ変換演算装置である請求項40に記載の装置。
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