JP4502519B2 - マルテンサイト系快削ステンレス鋼 - Google Patents

マルテンサイト系快削ステンレス鋼 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マルテンサイト系快削ステンレス鋼に係わり、快削性元素として、Pb,Se,Te等の有害元素を含有せず、耐食性,冷間加工性,被削性に優れた環境に優しいマルテンサイト系快削ステンレス鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、マルテンサイト系快削ステンレス鋼にSUS416,SUS420F等の硫化物系の快削鋼が使用されてきたが、耐食性,冷間加工性,または被削性等の特性向上の要求が高かった。
そのため、近年、該鋼に快削元素としてPb,Se,Teを添加して対応してきた。例えば、Sに加えTeを添加して硫化物の形態を球状に制御して冷間鍛造性を向上させることが提案されている(特開昭54−59712号公報)。また、低Cのマルテンサイト系ステンレス鋼にPb,Te,Se,Bi等の快削元素を添加した冷間加工性に優れる快削鋼が提案されている(特開平1−008258号公報)。
【0003】
しかしながら、最近Pb等の毒性の強い快削元素は、近年の環境問題から規制される動きが強くなっており、製造できなくなりつつある。
このように従来のステンレス鋼では、Pb,Te等の毒性の強い元素を使用せずに、熱間製造性を損なうことなく冷間鍛造性,耐食性,被削性等の特性を向上させた、環境親和性に優れたマルテンサイト系快削ステンレス鋼はあまり提案されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の欠点を解消するためになされたものであって、Pb等の毒性の強い元素を使用せずに、熱間製造性を損なうことなく冷間鍛造性,耐食性,被削性の特性を向上させた、環境に優しいマルテンサイト系快削ステンレス鋼を安価に提供することを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明者らは、マルテンサイト系ステンレス鋼に快削元素として、熱間製造性,耐食性,冷間加工性を低下させずに被削性を向上させるSnを添加し、またSi,O,Ca,Al,S,Bi量を制御することで更に被削性を向上させ、またBi,S等の添加を制限することで、Pb等の毒性の強い元素を使用せずに冷間加工性,耐食性を改善できることを見出し、本発明をなしたものである。
【0006】
すなわち、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1) 質量%で、
C :0.05〜0.40%、 Mn:0.05〜3.0%、
P :0.01〜0.1%、 Cr:10〜17%、
Sn:0.03〜0.3% N :0.005〜0.10%
S :0.05%超〜0.4%、 Si:0.05〜0.5%、
Ni:0.05〜1.0%、 Cu:0.05〜2.5%、
Mo:0.05〜3.0%
を含有し、残部がFe及び不可避的成分からなることを特徴とするマルテンサイト系快削ステンレス鋼。
(2) 質量%で、
C :0.05〜0.15%、 Mn:0.05〜3.0%、
P :0.01〜0.1%、 S :0.0005〜0.05%、
Cr:10〜17%、 Sn:0.03〜0.3%、
N :0.005〜0.10%、 Si:0.05〜0.5%、
Ni:0.05〜1.0%、 Cu:0.05〜2.5%、
Mo:0.05〜3.0%
を含有し、残部がFe及び不可避的成分からなることを特徴とするマルテンサイト系快削ステンレス鋼。
【0007】
) 質量%で、さら
Al:0.01%以下、 O :0.005〜0.015%
を含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載のマルテンサイト系快削ステンレス鋼。
) 質量%で、さらに
B :0.0005〜0.02%、 Ca:0.0005〜0.02%、
Bi:0.005〜0.20%
の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のマルテンサイト系快削ステンレス鋼。
【0008】
) 質量%で、さら
Co:0.05〜1.0%以下含有することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のマルテンサイト系快削ステンレス鋼。
) 質量%で、さらに
Nb:0.05〜0.3%、 V :0.05〜0.3%、
W :0.05〜0.3%、 Ta:0.05〜0.3%、
Zr:0.005〜0.3%
の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のマルテンサイト系快削ステンレス鋼。
) 質量%で、さらに
REM:0.0005〜0.2%、 Ti:0.01〜0.3%、
Mg:0.0005〜0.01%
の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)から(6)のいずれか1項に記載のマルテンサイト系快削ステンレス鋼。
ここでREMとは、La,Ce,Y等の希土類元素をいう。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、請求項1、2の本発明鋼の成分範囲について、限定理由を述べる。
Cは、マルテンサイト組織を得てマトリックスの強度を高めるため0.05%以上添加するが、過度な添加は被削性を劣化させるため、上限を0.40%とした。好ましくは0.35%以下である。
【0010】
Mnは、Sと硫化物をつくり被削性を向上させる元素であるため、0.05%以上添加する。しかしながら3%超添加するとその効果は飽和するし、逆に切削性が劣化する。そのため上限を3%に限定した。更に、耐食性を向上させるには、好ましくは0.8%以下である。
【0011】
Pは被削性の向上に有効な元素であり、0.01%以上添加するが、製造性,冷間加工性および耐食性を劣化させるため、上限を0.1%とした。好ましくは0.01〜0.04%である。
【0012】
Crは耐食性を確保するために10%以上添加する。しかしながら、17%を超えて添加するとマルテンサイト組織を得難くなる。そのため上限を17%とした。好ましくは11.0〜15.0%である。
【0013】
Snはマルテンサイト系ステンレス鋼において軟化焼鈍で粒界偏析する元素であり、熱間製造性,冷間鍛造性,耐食性を劣化させずに被削性を向上させる元素である。そのために0.03%以上添加する。しかしながら、0.3%を超えて添加すると熱間製造性や被削性が劣化する。そのため上限を0.3%とした。
図1に12Cr−0.1C−0.05Bi系の材料にSnを添加した材料(4mm厚さ)のドリル穴開け時間を示す。Snを0.03〜0.3%までは25秒以内にドリルが貫通しており、その効果が大きい。好ましくは0.05〜0.20%である。
【0014】
Nは製品の強度を確保するため、0.005%以上添加するが、添加し過ぎると軟化焼鈍時のマトリックスの強度を高め、冷間鍛造性および被削性を劣化させるため上限を0.10%とした。好ましくは0.005〜0.06%である。
【0015】
なお、Cは、マルテンサイト組織を得てマトリックスの強度を高めるため0.05%以上添加するが、0.15%超の添加は冷間鍛造性を劣化させるため、冷間鍛造を実施する時の上限を0.15%とした。好ましくは0.12%以下である。
【0016】
Sは快削元素であるが、マトリックス中でMnやCrの硫化物を形成し、そのノッチ効果のため冷間鍛造性を劣化させる。そのため、冷間鍛造性を実施する時(請求項2)の上限は0.05%とした。好ましくは0.03%以下である。また冷間鍛造性を実施せず、切削性を重視する時(請求項)は、Sを0.05%超添加する。しかしながら、0.4%超添加するとその効果は飽和するし、熱間製造性が著しく劣化する。そのため上限を0.4%とした。好ましくは0.35%以下である。
【0017】
Siは脱酸元素として必要なため0.05%以上添加する。しかしながら、0.5%を超えて添加すると凝固時の脱酸生成物が低融点のMnO−SiO系リッチとなり、それを核として晶出する非金属介在物も微細分散する。0.5%以下であれば、凝固時の脱酸生成物が比較的高融点で粗大なMnO−Cr系リッチとなり、それを核として晶出する非金属介在物も粗く分散する。その結果、被削性が向上する。そのため上限を0.5%とした。好ましくは0.05〜0.3%である。尚、非金属介在物の粗大分散には、後述するが、Oを0.005%以上とする必要である。
Niはマトリックスの靱性を高めるため、0.05%以上添加するが、過剰に添加し過ぎると硬度が高くなり被削性が劣化するため、上限を1%とした。
Cuは被削性元素であるため、0.05%以上添加するが、過剰に添加しすぎると硬さが高くなり、被削性が逆に低下する。そのため上限を2.5%とした。
Moは鋼の耐食性を向上させるため、0.05%以上添加するが、過剰に添加すると経済的でないばかりか、被削性が逆に低下する。そのため上限を3.0%とした。好ましくは2.5%以下である。
【0018】
Alは0.01%を超えて添加された場合、硬質なAl系の酸化物を主に形成し、被削性を劣化させる。そのため上限を0.01%に限定した。好ましくは0.005%以下である。
【0019】
Oは前述しているように凝固時の脱酸生成物を粗大なMnO−Cr2 3 系リッチにすることで被削性を向上させるために、0.005%以上添加する。但し、0.015%を超えて添加すると逆に硬質な酸化物の割合が増え、被削性が低下する。そのため上限を0.015%とした。好ましくは0.005〜0.012%である。
【0020】
次に、請求項の本発明の成分について、限定理由を述べる。
Bは熱間加工性の向上のために必要に応じて0.0005%添加する。しかしながら、0.02%を超えて添加すると粗大なボライドが生成し、逆に熱間加工性や耐食性を劣化させる。そのため上限を0.02%とした。好ましくは0.01%以下である。
【0021】
Caは凝固時の硫化物の形態を均一に分散させ、被削性および熱間製造性を向上させ、また、S快削鋼の耐食性を向上させる目的で、必要に応じて0.0005%以上添加する。しかしながら、0.02%を超えて添加するとその効果は飽和するし、逆に粗大な介在物が増加して耐食性が劣化するし、不経済である。そのため上限を0.02%とした。好ましくは0.008%以下である。
【0022】
Biは被削性を向上させるため、必要に応じて0.005%以上添加する。しかしながら、0.20%を超えて添加すると熱間加工性を著しく劣化させる。そのため上限を0.20%とした。好ましくは0.15%以下である。
【0023】
次に、請求項の本発明の成分について、限定理由を述べる。
Coはマトリックスの靱性を高めるため、必要に応じてそれぞれ0.05%以上添加するが、過剰に添加し過ぎると硬度が高くなり被削性が劣化するため、上限を1%とした。
【0026】
次に、請求項の本発明の成分について、限定理由を述べる。
Nb,V,W,Taは炭窒化物の生成により旧オーステナイト粒を微細化させ、靱性を高めるため、必要に応じてそれぞれ0.05%以上添加するが、過剰な添加は強度を高め、被削性を劣化させる。そのため上限をそれぞれ0.3%とした。好ましくは0.15%以下である。
Zrは炭窒化物の生成に加え、硫化物を均一に微細分散させて被削性および冷間加工性を向上させるため、必要に応じて0.005%以上添加するが、過剰な添加は強度を高め、被削性を劣化させる。そのため上限を0.3%とした。好ましくは0.15%以下である。
【0027】
次に、請求項の本発明の成分について、限定理由を述べる。
REM(La,Ce,Y等の希土類元素)は熱間加工性の劣化を防止するのに有効な元素である。その効果を得るには必要に応じて0.0005%以上が必要であるが、多量に添加するとかえって熱間加工性を低下させるため、上限を0.2%とした。好ましくは0.1%以下である。
【0028】
Tiは鋼の耐食性を向上させ、また、Mgと同時に添加すると鋳片の組織を微細化させ、熱間加工性を向上させるのに有効な元素である。その効果を得るには必要に応じて0.01%以上が必要であるが、多量に添加すると粗大な硬質介在物を生成させ、被削性を劣化させるため、上限を0.3%とした。好ましくは0.15%以下である。
【0029】
Mgは鋼の熱間加工性を向上させ、特にTiの共存でその効果が大きくなる。その効果を得るには必要に応じて0.0005%以上が必要であるが、多量に添加すると粗大な硬質介在物を生成させ、被削性を劣化させるため、上限を0.01%とした。好ましくは0.005%以下である。
【0030】
【実施例】
表1,表2に示す化学成分の供試材を真空溶解し、50kg鋼塊を作製した。表1は、Sが0.05%以下で冷間鍛造と切削性が要求される場合、表2は、Sが0.05%超で切削性のみが要求される場合の化学成分を示す。これらの鋼塊を熱間鍛造および熱間圧延を行い、21mmφの棒鋼にした。その後、850℃で焼鈍を行い、ピーリング加工およびセンタレス加工により、20mmφの棒鋼に仕上げた。
【0031】
評価は、Sが0.05%未満で冷間鍛造性と切削性の両特性が要求される場合と、Sが0.05%以上で切削性のみが要求される場合に分けた。
冷間鍛造性と切削性の両特性が要求される場合、すわなちSが0.05%以下の場合(成分:表1)、切削性,冷間鍛造性,熱間製造性を評価した。
【0032】
切削性は、この棒鋼を表3に示す条件で切削試験を行い、被削性を評価した。なお、被削性の評価は工具寿命と切屑形状で行った。工具寿命はフランク摩耗量で評価し、30min 後のフランク摩耗量が50μm以下であれば工具寿命は○、50μm超の場合は×と評価した。また、切屑形状は規則的にカール状に分断されていれば○,不規則な形の連続切屑の場合は×と評価した。本発明鋼の切屑処理性は○であった。
【0033】
熱間製造性は上記鋳片表層から、試験片(φ8mm×110mm)を切り出し、サーモレスター試験によって熱間加工性を評価した。評価は1000℃における破断絞り値で行い、その時の絞り値が60%以上であれば熱間加工性は○、60%未満の場合は×と評価した。本発明鋼の熱間加工性は全て○であった。
【0034】
冷間鍛造性は、上記棒鋼から0.5mmVノッチを入れたφ10mm×20mm試験片を切り出し、1mm/secのスピードで圧縮試験を行い、割れが発生する圧縮加工率(限界圧縮率)にて評価した。限界圧縮率が60%以上であれば冷間加工性を○とし、60%未満なら×と評価した。本発明の冷間加工性は全て○であった。
【0035】
これらの試験結果をまとめて表4に示す。
本発明鋼のNo.1〜37は、マルテンサイト系ステンレス鋼にSn,Bi等を適用添加することによって、Pb等の毒性の強い元素を使わなくても、冷間鍛造性,切屑処理性,工具寿命,熱間製造性の全てに優れている。
【0036】
これに対して、比較鋼の No.38〜61では、いずれも次のような欠点が見られた。
比較鋼の No.38では、Sn量(%)が低いため切削時の工具寿命と切屑処性に劣っている。比較鋼39のでは、Sn量(%)が高いため素材が硬くなり、切削時の工具寿命に劣り、また、熱間製造性にも劣る。比較鋼の No.40,41では、C量(%)およびN量(%)が高いため冷間鍛造性および工具寿命に劣っている。比較鋼の No.42では、Mn量(%)が高いため冷間鍛造性と工具寿命に劣っている。
【0037】
比較鋼の No.43では、P量(%)が高いため冷間鍛造性と熱間加工性に劣っている。比較鋼の No.44では、S量(%)が高いため冷間鍛造性に劣っている。比較鋼の No.45では、Cr量(%)が低いため耐食性に劣る。一方、比較鋼 No.46では、Cr量(%)が高いため、マルテンサイト組織が得られない。比較鋼の No.47では、Ni量(%)が高いため冷間鍛造性に劣っている。比較鋼の No.48,49,50では、Mo量(%),Cu量(%),Co量(%)がいずれも本発明範囲を超えているため、冷間鍛造性および工具寿命に劣る。比較鋼の No.51では、B量(%)が高いため熱間加工性に劣る。
【0038】
比較鋼の No.52では、Ca量(%)が高いため耐食性に劣るばかりか、不経済である。比較鋼の No.53では、Bi量(%)が高いため冷間鍛造性および熱間加工性に劣る。比較鋼の No.54〜58では、Nb量(%),V量(%),W量(%),Ta量(%),Zr量(%)がいずれも本発明の範囲を超えているため、冷間鍛造性および工具寿命に劣る。比較例の No.59では、Y量(%)が高いため、熱間加工性に劣る。比較例の No.60では、Ti量(%)が高いため、冷間鍛造性および工具寿命に劣る。比較例の No.61では、Mg量(%)が高いため、工具寿命に劣る。
【0039】
次に切削性のみが要求される場合、すわなち、Sが0.05%超の場合、切削性,熱間加工性を評価した。切削性は、棒鋼を表2に示す条件で切削試験を行い、工具寿命と切屑形状で行った。工具寿命はフランク摩耗量で評価し、30min 後のフランク摩耗量が30μm以下であれば工具寿命は○、30μm超の場合は×と評価した。また、切屑形状は規則的にカール状に分断されていれば○,不規則な形の連続切屑の場合は×と評価した。本発明鋼の工具寿命と切屑処理性は共に○であった。
【0040】
熱間加工性は上記鋳片表層から、試験片(φ8mm×110mm)を切り出し、サーモレスター試験によって熱間加工性を評価した。評価は1000℃における破断絞り値で行い、その時の絞り値が60%以上であれば熱間加工性は○、60%未満の場合は×と評価した。本発明鋼の熱間加工性は全て○であった。
【0041】
これらの試験結果を表5に示す。
本発明鋼の No.62〜71は、マルテンサイト系ステンレス鋼にSnを添加し、更にS,P,Bi,Zr等に加え、酸化物制御を施しており、Pb等の毒性の強い元素を使わなくても切屑処理性,工具寿命,熱間加工性の全てに優れている。但しSi,Alを低めてOを高めた本発明鋼の No.62,67は、Si,Alが高くOが低い本発明鋼の No.65,66に比べて工具寿命に優れている。
【0042】
これに対して比較鋼の No.72〜76では、いずれも次のような欠点が見られた。比較鋼の No.72,73では、N量(%)およびC量(%)が高いため工具寿命に劣る。比較鋼の No.74〜76では、S,P,Bi量(%)がいずれも本発明の範囲を超えているため、熱間加工性に劣る。
【0043】
【表1】
Figure 0004502519
【0044】
【表2】
Figure 0004502519
【0045】
【表3】
Figure 0004502519
【0046】
【表4】
Figure 0004502519
【0047】
【表5】
Figure 0004502519
【0048】
【発明の効果】
本発明は、マルテンサイト系ステンレス鋼にSn等を添加し、また、S,P,Bi等の添加元素を規制し、更には介在物の形態を制御することによって、環境衛生上で問題のあるPb,Se,Teなしに冷間鍛造性,切削性,熱間製造性に優れたマルテンサイト系快削ステンレス鋼を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Cr12−0.1C−0.05Bi(4mm厚さ)のドリル穴開け時間とSn量の関係を示す図である。

Claims (7)

  1. 質量%で、
    C :0.05〜0.40%、
    Mn:0.05〜3.0%、
    P :0.01〜0.1%、
    Cr:10〜17%、
    Sn:0.03〜0.3%、
    N :0.005〜0.10%
    S :0.05%超〜0.4%、
    Si:0.05〜0.5%、
    Ni:0.05〜1.0%、
    Cu:0.05〜2.5%、
    Mo:0.05〜3.0%
    を含有し、残部がFe及び不可避的成分からなることを特徴とするマルテンサイト系快削ステンレス鋼。
  2. 質量%で、
    C :0.05〜0.15%、
    Mn:0.05〜3.0%、
    P :0.01〜0.1%、
    S :0.0005〜0.05%、
    Cr:10〜17%、
    Sn:0.03〜0.3%、
    N :0.005〜0.10%
    Si:0.05〜0.5%、
    Ni:0.05〜1.0%、
    Cu:0.05〜2.5%、
    Mo:0.05〜3.0%
    を含有し、残部がFe及び不可避的成分からなることを特徴とするマルテンサイト系快削ステンレス鋼。
  3. 質量%で、さら
    Al:0.01%以下、
    O :0.005〜0.015%
    を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のマルテンサイト系快削ステンレス鋼。
  4. 質量%で、さらに
    B :0.0005〜0.02%、
    Ca:0.0005〜0.02%、
    Bi:0.005〜0.20%
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマルテンサイト系快削ステンレス鋼。
  5. 質量%で、さら
    Co:0.05〜1.0%以下
    含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルテンサイト系快削ステンレス鋼。
  6. 質量%で、さらに
    Nb:0.05〜0.3%、
    V :0.05〜0.3%、
    W :0.05〜0.3%、
    Ta:0.05〜0.3%、
    Zr:0.005〜0.3%
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のマルテンサイト系快削ステンレス鋼。
  7. 質量%で、さらに
    REM:0.0005〜0.2%、
    Ti:0.01〜0.3%、
    Mg:0.0005〜0.01%
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のマルテンサイト系快削ステンレス鋼。
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