JP4493929B2 - 電子部品被覆用接着性フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品被覆用接着性フィルムに関するものであり、詳しくは、半導体パッケージ封止用途に適した絶縁性フイルム状接着剤に関するものである
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化、高周波数動作化の動向に伴い、これに搭載する半導体パッケージは基板に高密度で実装することが要求され、小型・軽量化が進むとともに、外部端子がパッケージ下部にエリアアレイ状に配置されたBGA(ボールグリッドアレイ)やCSP(チップサイズパッケージ)と呼ばれる小型のパッケージの開発が進められている。これらのパッケージの封止方法はこれまで個片のパッケージにタブレット型の封止材を用いてトランスファーモールド成型する方法や、液状型封止材を直接流し込む方法が主流であった。
【0003】
近年、パッケージ回路の高密度、高集積化が更に進み、ウエハーをチップに個片化する前に封止を行うウエハーレベルパッケージを製造する時に用いられる工法やチップとパッケージ基板の間に封止材料を注入させない中空封止と呼ばれる工法が開発されている。これらの新たな工法に従来型のタブレット型や液状型封止材を用いると、封止部分の厚みが不均一であったり、ウエハーを傷つけたり、封止材が入ってはいけない部位に封止材が流れ込むなどの問題があった。
【0004】
これらの問題を解決するために、均一な厚みを形成でき、基板とチップとの接着に好ましく用いられるフイルム型の封止材料が、特許文献1に示されている。特許文献1には、導電性と同時にヒートシール性や剥離性にも優れた半導体封止用トップヒートシールテープが記載されているが、ここに記載されたフイルム状封止用接着材料は弾性率が低くかつ接着性に問題があり、高信頼性を要求される半導体パッケージには適用できず、また導電性があり、封止材に絶縁性が要求されるパッケージには適用できないという欠点も有していた。
【0005】
そこで、特許文献2には、シリカやエポキシ樹脂を用いたフイルム状接着材料が記載されている。しかし、ここに記載されたフイルム状接着材料を、電子部品の被覆用途に用いた場合、遮光性が劣ることから、光により誤作動を生じる電子部品には適さず、また、被覆材をレーザーによりマーキングした場合に、文字の視認性に劣るという問題があり、遮光性やレーザーマーキング性に課題を残していた。
【0006】
特許文献3には、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材、カーボンブラックなどを原料とする半導体封止用樹脂組成物について、YAGレーザーマーキング性が優れていることが示されている。しかしながら、ここに示された樹脂組成物は、一旦成型材料とした後、タブレット化してトランスファー成型して使われるもので、煩雑な工程を必要とするものであった。
【特許文献1】
特開平11-198964号公報
【特許文献2】
特開平13-049220号公報
【特許文献3】
特開平07-165875号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来のタブレット型や液状型の封止材料が持つ高接着性やレーザーマーキング性を有することに加え、厚みの均一性や中空封止工法等に適した、接着性、遮光性、絶縁性に優れた高弾性の電子部品被覆用フィルム材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討した結果、特定組成からなる組成物にカーボンブラックを特定範囲で含有させることで上記課題を解決しうることを見出し本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノキシ樹脂、(C)エポキシ樹脂硬化剤、(D)シリカ及び(E)カーボンブラックを必須成分として含有するフィルム材料であって、(D)シリカを50〜80wt%、(D)シリカ及び(E)カーボンブラック以外の他の成分の合計100重量部に対して、(E)カーボンブラックを0.5〜10重量部含有し、(B)フェノキシ樹脂/(A)エポキシ樹脂の重量比が0.1〜0.7の範囲であり、厚さ範囲が10〜300μmであることを特徴とする電子部品被覆用接着性フィルムである。
ここで、上記フィルム材料は、(D)シリカが、平均粒径5〜40μmの球状シリカと平均粒径0.1〜5μm未満の微粒子球状シリカの混合物であり、全シリカ中に占める微粒子球状シリカの割合が50wt%以下とすることで好ましい態様を与える。
【0010】
また、本発明は上記の接着性フィルムを硬化して得られ、体積抵抗率が1×1015 (Ω・cm) 以上、かつ常温での弾性率が10GPa以上であるフィルム硬化物である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の電子部品被覆用接着性フィルム(以下、単にフィルムともいう)は、(A)エポキシ樹脂(A成分ともいう)、(B)フェノキシ樹脂(B成分ともいう)、(C)エポキシ樹脂硬化剤(C成分ともいう)、(D)シリカ(D成分ともいう)及び(E)カーボンブラック(E成分ともいう)を必須成分として含有する厚さ範囲が10〜300μmのフィルム状の材料である。
【0012】
A成分のエポキシ樹脂は、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、これらの中から任意に選択された単独あるいは複数の混合物を使用することが可能である。グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、ビスフェノール、ビスナフトール等のビスフェノール類のグリシジルエーテル、フェノールノボラック又はナフトールノボラック等のノボラックのポリグリシジルエーテル、アルキレングリコール又はポリアルキレングリコール等のグリコールのグリシジルエーテル、多価アルコールのグリシジルエーテル、フェノール、ナフトール、多価フェノール、多価ナフトール等のフェノール類のグリシジルエーテル、トリフェニルグリシジルエーテル、テトラフェニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。代表的なものを例示すれば、ビスフェノール類のグリシジルエーテルとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノールフルオレン、ビスナフトールAなどのジグリシジルエーテルが挙げられる。ノボラックのポリグリシジルエーテルとしては、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ブロム化フェノールノボラック、ナフトールノボラックなどのノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルが挙げられる。グリコールのジグリシジルエーテルとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオールなどのグリコールのジグリシジルエーテルが挙げられる。これらの中でも、分子内に2個以上のグルシジルエーテル基を持つものが好ましい。より好ましくは、フェノール、ナフトール、クレゾール等のフェノール類とホルムアルデヒド等の架橋剤から生じるノボラックをエポキシ化して得られるエポキシ樹脂、ビスフェノールA等のビスフェノール類をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂が挙げられる。
【0013】
B成分のフェノキシ樹脂は、公知のフェノキシ樹脂を用いることができる。フェノキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールAのようなビスフェノールとエピクロロヒドリンとから得られる通常、分子量が10,000以上の熱可塑性樹脂である。このフェノキシ樹脂は、エポキシ樹脂と構造が類似していることから相溶性がよく、また、接着性もよいという特徴を示す。好ましいフェノキシ樹脂は、主骨格がビスフェノールA型のものであるが、その他にビスフェノールA/F混合型フェノキシ樹脂や臭素化フェノキシ樹脂等市販のフェノキシ樹脂が好ましいものとして挙げられる。
【0014】
A成分のエポキシ樹脂とB成分のフェノキシ樹脂の混合比率は、用いられるそれぞれの樹脂の種類によって変わるが、樹脂成分(C成分を除く)だけを混合して得られる組成物の軟化点が、100℃以下、好ましくは50〜100℃、更に好ましくは65〜90℃の範囲を示すものが、本発明のフィルム材料とした場合、優れた接着性を示すことから好ましい。この軟化点が100℃を超える場合は、フイルムが硬く、脆くなるとともに、これを本発明のフィルム材料とした場合、接着力が低下するため好ましくない。また、軟化点が50℃以下の場合、フイルム表面にタック性が強く発現してハンドリング性が著しく悪化するとともに、常温保存時にフイルムが流動するという不具合が発生するので好ましくない。ここで、樹脂成分とは、A成分、B成分とその他必要により加えられる樹脂からなる。C成分のエポキシ樹脂硬化剤にはフェノール樹脂のような樹脂である場合があるが、これを配合すると軟化点の測定時に硬化反応を生じてしまうため、ここでいう樹脂成分からは除外される。また、樹脂成分の軟化点とはこれらを均一な組成物としたときの軟化点をいう。そして、B成分/A成分で計算される重量比は0.02〜1、好ましくは0.1〜0.7の範囲である。
【0015】
上記樹脂成分は、エポキシ樹脂とフェノキシ樹脂を主成分とするが、本発明の効果を損なわない範囲であれば他の樹脂成分を少量含有させてもよい。樹脂成分中に占めるフェノキシ樹脂の割合は、50wt%以下であることが好ましい。フェノキシ樹脂の割合を50wt%以下とすることで、フィルム材料としての支持性を持たせることが容易となる。また、樹脂成分中のフェノキシ樹脂の割合は、10wt%以上であることがよく、より好ましくは、10〜50wt%の範囲である。フェノキシ樹脂の割合が10wt%未満の場合、フイルムは脆いものになり、樹脂成分の軟化点も低くなるため、フイルム単独での支持性が発現しにくく、またフイルムにする際にフイルム表面にはじきによる気泡が無数に発生し遮光性の悪化に繋がる。また、フェノキシ樹脂の割合が、50wt%を超えるとフイルムが硬くなり、フイルム単独では割れやすくなる。
【0016】
C成分のエポキシ樹脂硬化剤としては、アミン類、酸無水物類、多価フェノール類等の公知の硬化剤を使用することができるが、好ましくは常温以上の所定の温度、例えば前記樹脂成分が必要な粘着性を示す温度以上で硬化性を発揮し、しかも速硬化性を発揮する潜在性硬化剤である。潜在性硬化剤には、ジシアンジアミド、イミダゾール類、ヒドラジド類、三弗化ホウ素-アミン錯体、アミンイミド、ポリアミン塩及びこれらの変性物、更にマイクロカプセル型のものも使用可能である。これらは、単独あるいは2種以上混ぜて使用できる。潜在性硬化剤を使用することで室温での長期保存も可能な保存安定性の高いフィルム材料を提供できる。C成分の使用量は、通常、A成分に対して0.5〜50wt%の範囲である。
【0017】
D成分のシリカは、特に限定されるものではないが、破砕状や球状の溶融シリカ粉末が挙げられる。その中でも平均粒径が5〜40μmの球状シリカと平均粒径が0.1〜5μm未満の微粒子球状シリカの混合物であることが好ましい。この場合、全球状シリカ中に占める微粒子球状シリカの割合は、50wt%以下であることが好ましく、5〜50wt%の範囲であることがより好ましい。微粒子球状シリカの割合が50wt%より多い場合は、接着性を低下させる傾向があり、また、微粒子球状シリカの割合が5wt%より少ないとフイルム材料としたときの表面状態が悪くなったり、フイルム自体がやや脆いものとなったりする傾向がある。微粒子球状シリカ比率が5〜50wt%のときには、幅広い粒度分布となり、安定したフイルム表面性状、接着性を示す。
【0018】
フィルム中のD成分の含有量は、50〜80wt%の範囲である。シリカ含有量が80wt%を超えると、バインダーとして働く樹脂成分の不足により接着性が低下する。シリカ含有量が50wt%未満では、組成物の弾性率が低下し、封止材としての組成物の強度が低下するために好ましくない。例えば、パッケージに組み立てられた後の温度サイクル試験(−65〜150℃)等や吸湿リフロー試験の際に発生する応力に耐えられないケースが生じる。
【0019】
E成分のカーボンブラックは特に限定されるものではないが、粒子径10〜500nmの粉末状が好ましい。また、レーザーマーキング性を向上させるためにはアセチレンブラックのような体積抵抗率の低いカーボンブラック粉末をカーボンブラック中に50wt%以上混合させることが好ましい。E成分の使用量はフィルム中のD成分とE成分を除いたその他の成分100重量部に対して、0.5〜10重量部の範囲であることが必要であり、1.5〜8重量部の範囲が好ましい。上記使用量が10重量部を超えると、フイルム性状が硬いものとなり接着性能を著しく低下させるほか、体積抵抗率も下がり絶縁性能を保つことができなくなる恐れがあり好ましくない。一方、使用量が0.5重量部未満では、遮光性やレーザーマーキング性が著しく低下するため好ましくない。ここで、上記その他の成分は、A成分、B成分及びC成分等の樹脂マトリックスを構成する成分の合計として計算される。
【0020】
フイルム原料となる上記A〜E成分を必須成分とする樹脂組成物には添加剤として、例えばカップリング剤、酸化防止剤、難燃剤、応力緩和剤としてブタジエン系ゴムやシリコーンゴム等を含有することも可能である。カップリング剤は、カーボンブラックやシリカとの界面を補強し高い破壊強度を発現させるとともに接着力向上の目的から好ましい。
【0021】
本発明のフイルムは、上記A〜E成分を含む樹脂組成物を、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、MIBKやMEK等のケトン系、モノグライム、ジグライム等のエーテル系の単独又は混合溶媒に溶解し、このワニスを、離型処理されたPP、PE、PET等の基材(保護フイルム)に塗工し、樹脂混合物の硬化開始温度以下の熱処理を施し、乾燥することで得られる。本発明のフィルムの厚みは、10〜300μmの範囲である。フィルムの厚みが10μmに満たないと、遮光性等、電子部品の保護機能に劣るため好ましくなく、また、300μmを超えると、無駄な容積が増え好ましくない。
【0022】
本発明のフィルムは、熱硬化により、常温において10GPa以上である硬化物を与える。得られた硬化物の弾性率の値が10GPaより低いと、IC封止材として用いた時にICチップ保護機能やパッケージとしての信頼性が低下し、パッケージの破壊につながるため好ましくない。
【0023】
本発明の電子部品被覆用接着性フィルムは、例えば、ウエハーレベルパッケージ用のチップ裏面被覆用途に用いることができる。この場合、まずウエハーの裏面にウエハーサイズに切断したフイルムを40℃以上に加熱して0.05〜0.5MPaの圧力をかけてラミネートさせる。フイルムは常温では殆ど粘着性がなく、40℃以上で粘着性を発揮することがよく、その硬化温度以下でラミネートする。ボイドの発生を防止するためには圧力が必要であるが、高すぎるとフイルムの変形や厚みが不均一になったりする。フイルムをラミネートしたウエハーにフイルム状接着剤硬化温度以上の熱を加えフイルムを硬化させてウエハー全面を被覆する。得られたフィルム付きウエハーをダイシングにより個片化し、樹脂(硬化フィルム)が被覆した電子部品とすることができる。この樹脂被覆部分は、樹脂固有の特性の他、黒色であり、遮光性を有し、更にレーザーマーキングによる文字の視認性にも優れる。
【0024】
【実施例】
実施例1
YP-50(フェノキシ樹脂、重量平均分子量59,000、Tg約100℃、東都化成社製)20g、YDCN-702(オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、軟化点75℃、東都化成社製)50g、YD-127(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、東都化成社製)40gを秤量し、80gのMIBKを溶剤として500mlのセパラブルフラスコ中、110℃で2時間加熱攪拌して樹脂ワニスを得た。この溶液190gを800mlのプラネタリーミキサーに秤量し、FB-48(球状シリカ、平均粒径16μm、電気化学社製)240gとSO-C2(微粒子球状シリカ、平均粒計0.5μm、アドマテックス社製)40g、HS‐100(カーボンブラック、電気化学社製)3gを加えて混合したものを3本ロールで混練した。この混合物に、AH-150(ジシアンジアミド、味の素社製)8g、HX-3722(マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤、旭化成社製)2gを加えてプラネタリーミキサーで攪拌混合後、真空脱泡して混合ワニスを得た。上記混合ワニスを厚さ50μmの離型処理されたPETフィルム上に塗布後、60℃/5分、120℃/5分で熱風乾燥させ、これを離型して70μm厚のフィルムを得た。このフイルムについて、チップ−基板との接着性、レーザーマーキング性、遮光性、絶縁性等の各項目を評価した。
【0025】
接着性:
チップ−基板との接着性は、まず10mm×10mmに加工した厚み100μmのポリイミドフイルムの中央部に2mm×2mmに切断した接着性フイルムを置き、60℃に加熱したヒートブロックをエアシリンダーによって0.3MPaの圧力で3秒間プレスして貼り付けた後に2mm×2mm、厚み300μmのシリコンチップをフイルム材料の上にチップやフイルム材料のはみだしがないように正確に置き、150℃に加熱したヒートブロックをエアシリンダーによって0.05MPaの圧力で3秒間プレスして貼り付けた後180℃1時間の条件でフイルム材料を硬化させて試験片を作成し、ダイシェアテスターによって試験片のチップとポリイミド間の剪断接着力を測定することで求めた。
【0026】
レーザーマーキング性:
レーザーマーキング性は、100mm×100mmに切断した厚み1mmのガラス板上に50mm×50mmに切断した接着性フイルムを置き、60℃に加熱したヒートブロックをエアシリンダーによって0.3MPaの圧力で3秒間プレスして貼り付けた後、180℃1時間の条件でフイルム材料を硬化させて試験片を作成し、試験片にレーザーマーカー(NEC製、パルスタイプ)で波長1μm、レーザーパワー2.0KV、パルス幅120μsecの条件でマーキングし、目視により印字の視認性を確認することで評価した。視認性の良好なものを〇、視認性に劣るものを×とした。
【0027】
遮光性:
遮光性は、100mm×100mmに切断した厚み1mmのガラス板上に50mm×50mmに切断したフイルム材料を置き、60℃に加熱したヒートブロックをエアシリンダーによって0.3MPaの圧力で3秒間プレスして貼り付けた後、180℃、1時間の条件でフイルム状接着材料を硬化させて試験片を作成し、試験片の硬化させたフイルム状接着材料面に垂直に波長300nm〜3000nmの光を照射し、紫外領域(波長300nm〜400nm)、可視領域(波長400nm〜700nm)、赤外領域(波長700nm〜3000nm)での光透過率を分光光度計(U‐4000 日立製)で測定しその平均値を算出することで評価した。
【0028】
絶縁性:
絶縁性は、接着性フイルムを180℃、1時間の硬化条件で圧縮成形した成形物を直径100mm×厚み5mmの大きさに加工したものを試験片として使用し、デジタル超高抵抗器(SER0303179 アドバンテスト製)で体積抵抗率を求めることで評価した。
【0029】
弾性率:
弾性率は、フイルムを180℃、1時間の硬化条件で圧縮成形した成形物を4×4×10mmの大きさに切削したものを試験片として使用し、万能試験機(UCT‐100 エーアンドディー製)で23℃での曲げ弾性率を求めることで評価した。
【0030】
以下の例は、実施例1において混合ワニスを製造する際の配合組成を変えた他は、実施例1と同様にして混合ワニスを得て、これを使用して実施例1と同様にしてフイルムを製造し、同様にして評価した例である。
【0031】
実施例2
カーボンブラックとして、HS‐100を10g使用した他は、実施例1と同様にしてフイルムを製造し、評価した。
【0032】
実施例3
エポキシ樹脂として、EPPN-501H(多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、軟化点55℃、日本化薬社製)60g及びYD-127を30g使用した他は、実施例1と同様にしてフイルムを製造し、評価した。
【0033】
実施例4
シリカとして、FB-48を190g、SO-C2を90g使用した他は、実施例1と同様にしてフイルムを製造し、評価した。
【0034】
実施例5
シリカとして、FB-48を300g、SO-C2を50g使用した他は、実施例1と同様にしてフイルムを製造し、評価した。
【0035】
比較例1
カーボンブラックとして、HS‐100を0.3g使用した他は、実施例1と同様にしてフイルムを製造し、評価した。
【0036】
比較例2
カーボンブラックとして、HS‐100を20g使用した他は、実施例1と同様にしてフイルムを製造し、評価した。
【0037】
比較例3
シリカとして、FB-48を90g、SO-C2を15g使用した他は、実施例1と同様にしてフイルムを製造し、評価した。
【0038】
比較例4
シリカとして、FB-48を600g、SO-C2を100g使用した他は、実施例1と同様にしてフイルムを製造し、評価した。
【0039】
比較例5
フェノキシ樹脂を全く使用せずYD-127を60g使用した他は、実施例1と同様にしてフイルムを製造し、評価した。
【0040】
以上の評価結果をまとめて表1、2に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0004493929
【0042】
【表2】
Figure 0004493929
【0043】
カーボンブラックの含有量が1.5〜10wt%でかつシリカの含有量が50〜80wt%の範囲にあるものは接着性、レーザーマーキング性、遮光性、耐熱性、絶縁性、弾性率の全てにおいて良好な結果を示した。実施例1〜2、比較例1〜2ではカーボンブラックの使用量を変えたがカーボンブラックの使用量が0.5wt%を下回るとレーザーマーキング性が著しく悪化し、遮光性においても赤外領域での透過率の悪化が確認された。また、カーボンブラックの使用量が10wt%を上回ると接着性の悪化と絶縁性の悪化が確認された。
【0044】
実施例1と実施例3ではグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の種類を変えたが、オルソクレゾール型、多官能型、何れも良好な仮圧着性能、シート性状を示した。実施例1、5、比較例3、4ではシリカの使用量を変えたが、シリカ使用量が50wt%以下のときは、弾性率の著しい低下が確認され、シリカ使用量が80wt%のときはフイルムの性状が硬くなり、接着力の著しい低下が確認された。実施例1、比較例5ではフェノキシ樹脂の使用量を変えたがフェノキシ樹脂の使用量がないときはフイルム表面に無数のはじいたような気泡が発生し、その気泡から光が通ることで遮光性が著しく悪化した。
【0045】
【発明の効果】
本発明の電子部品被覆用フィルムは、ウエハーレベルパッケージ工法や中空封止工法において厚みの均一性、接着性、遮光性、絶縁性、高弾性を兼ね備えた電子部品の被覆が可能になり、より小型で高密度な半導体パッケージの製造が可能になる。また、本発明のフイルムを使用した半導体パッケージは、樹脂固有の特性であるより高い信頼性を持つ。

Claims (4)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)フェノキシ樹脂、(C)エポキシ樹脂硬化剤、(D)シリカ及び(E)カーボンブラックを必須成分として含有するフィルムであって、(D)シリカを50〜80wt%、(D)シリカ及び(E)カーボンブラック以外の他の成分の合計100重量部に対して、(E)カーボンブラックを0.5〜10重量部含有し、(B)フェノキシ樹脂/(A)エポキシ樹脂の重量比が0.1〜0.7の範囲であり、厚さ範囲が10〜300μmであることを特徴とする電子部品被覆用接着性フィルム。
  2. (C)エポキシ樹脂硬化剤が、潜在性硬化剤であり、その使用量が(A)エポキシ樹脂に対して0.5〜50wt%の範囲である請求項1記載の接着性フィルム。
  3. (D)シリカが、平均粒径5〜40μmの球状シリカと平均粒径0.1〜5μmの微粒子球状シリカの混合物であり、全シリカ中に占める微粒子球状シリカの割合が50wt%以下である請求項1又は2記載の接着性フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の接着性フィルムを硬化して得られ、体積抵抗率が1×1015 (Ω・cm)以上、かつ常温での弾性率が10GPa以上であるフィルム硬化物。
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