JP4493607B2 - 濃厚調味液の製造方法 - Google Patents

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本発明は濃厚調味液、特に醤油香が低減され、しかも味が濃厚で旨味の強い調味液に関し、より詳しくは、少なくともグルテンを配合した混合原料を用いて製麹し、得られた麹を食塩水と共に仕込み、醤油酵母を添加して醸造した後、圧搾して一次調味液を得、この調味液に、同様にして得られた麹を仕込み、醤油酵母を添加せずに麹により酵素分解させた後、圧搾して火入れを行うことにより得られる濃厚調味液の製造法に関する。
近年、食生活の多様化、高級化により調味料の一つである醤油の分野でも従来の醤油とは異なる濃厚感、高級感のある醤油が望まれている。代表的な醤油の製造法としては、本醸造方式、新式醸造方式、アミノ酸混合方式などがあり、その中でも本醸造方式で製造された醤油が品質的に最良なものとされている。本醸造方式で製造された醤油には、原料や醸造方法の違いにより、濃口(こいくち)醤油、淡口(うすくち)醤油、溜(たまり)醤油、白(しろ)醤油、再仕込(さいしこみ)醤油などがあり、それぞれの特長に応じた使い分けがなされている。例えば、再仕込醤油は濃厚で醤油香が強く高級醤油として位置付けられており、鰻や焼肉・焼鳥用のたれ、刺身のかけ醤油などに使用されている。このような再仕込醤油は濃厚で醤油香が強いことに加えて、濃口醤油には無い異質な醤油香を有しており、目的や用途によってはこれらの醤油香が所望されないことも多い。
このような再仕込醤油の欠点を改善するため、種々の製造法が提案されている。例えば、仕込み初期の諸味から分離した液汁を仕込み水として醤油麹とともに発酵熟成させる濃厚醤油の製造法(例えば、特許文献1参照)、醤油に醤油麹を仕込み、得られた諸味に酵母を添加して発酵熟成させる再仕込醤油の製造法において、諸味品温を仕込時から発酵熟成終了まで15〜23℃に保持し、用いる酵母として、所定の培養条件下で培養し、培養液中にエチルアルコールを2容量%以上生産蓄積する能力を有する酵母を使用する色沢が淡麗で香りが良好な再仕込醤油の製造法(例えば、特許文献2参照)や、醤油麹を食塩水とともに仕込み、発酵熟成の適当な時期に醤油と醤油麹を添加し更に熟成させる濃厚醤油の製造法(例えば、特許文献3参照)が知られている。これらは、いずれも醤油香気の改善を目的としたもので醤油香気そのものを減少させるものではなかった。また、得られた再仕込醤油の呈味成分の指標である全窒素含量はいずれも2.5%未満で、従来から知られている再仕込醤油とほぼ同程度である。
また、窒素濃度等の高い濃厚醤油としては、原料脱脂大豆に含まれている少糖類および有機酸を水または含水アルコールで抽出し、残渣を加熱により蛋白変性した後、炭水化物原料と混合し、該混合物に麹菌を接種して製麹し、これに食塩水を加えて仕込諸味発酵させる醤油の製造方法(例えば、特許文献4参照)や、大豆を蒸煮後水または温水で抽出して得られる糖類含有液を、仕込水の一部または全部として使用して調製した食塩水を、常法で得た醤油麹に加えて仕込み、諸味発酵させる濃厚本醸造醤油の製造法(例えば、特許文献5参照)や、醤油麹を醤油と混和し、発酵、熟成して濃厚醤油を製造する方法において、該醤油麹および該醤油として、それぞれ「米を使用した醤油麹」、「米醤油」を使用する濃厚醤油の製造方法(例えば、特許文献6参照)が知られている。しかしながら、これら濃厚醤油の製造方法は、用いる原料の処理工程に従来の醤油の製造法にはない新たな処理工程が必要なため、処理工程が増える等の欠点を有しており、また、得られる濃厚醤油の全窒素含量は高いものでも2.7%に止まり、また、醤油香を低減するには至っていない。
さらに、グルテンを原料の一部に用いる方法として、乾燥グルテン25〜100%および小麦75〜0%とから成る原料に蒸気を直接添加して含水率を12〜18%の範囲内に調整して成型された原料を90〜70%と、大豆類を10〜30%配合した混合原料を用い、以下常法により製麹・醸造する、香気に優れ、こくがあって旨味を有する調味液の製造法(例えば、特許文献7参照)や、醤油麹、グルテンおよび食塩水とを混合して諸味とする際に、先ず醤油麹と食塩水とを混合し、この諸味を酵素分解して分解物の粘度を低下させ、次いでこの分解物に、活性グルテンを添加、混合して分散させる、高窒素を含有する調味液を容易に得る調味液の製造方法(例えば、特許文献8参照)や、乾物換算質量でグルテン25〜100%および小麦75〜0%とから成る原料を100〜60%と、大豆類を0〜40%配合した混合原料を用いて製麹し、次いで得られた麹を濃度7〜24%の食塩水と共に仕込み、醸造する淡色調味液の製造法(例えば、特許文献9参照)が知られている。しかしながら、これらの方法によっても、醤油香が低減され、しかも全窒素含量が4%以上でBrixが45以上であるような、味が濃厚で旨味の強い濃厚調味液とすることはできなかった。
特開昭58−9668号公報 特開2001−61437号公報 特開2005−245433号公報 特開平5−123132号公報 特開平7−31411号公報 特開平10−179083号公報 特開平8−116918号公報 特開平11−89537号公報 特開2000−50836号公報
近年、天然調味料に求められるニーズの一つとして、素材本来の味や香りを損なうことなく食品に旨みや濃厚感を付与することなどを挙げることができる。本発明の課題は、上記従来の調味液やその製造法の欠点を解消し、通常の醤油香が低減され、再仕込み醤油に特有の異質な醤油香が無く、しかも味が濃厚でエキス分が高くて旨味の強い調味液を提供することにある。小麦グルテンを用いた調味液、例えば特許文献7または9に記載の製造法により得られる調味液を、従来の再仕込醤油の製造法に適用しても、味が濃厚でエキス分が高く、旨味の強い調味液が得られるが、醤油香が発生してしまう。
本発明者らは、上記課題を解決するために、従来の再仕込醤油の製造工程と同様の工程を何ら複雑化することなく、醤油原料の選択や、麹に食塩水と酵母を添加して醸造する期間、醸造後の火入れ、後半の工程における麹による酵素分解の条件や酵母添加の必要性など広範囲にわたり鋭意研究した結果、醤油の原料としてグルテンに小麦と大豆類を配合した混合原料を用いて製麹し、得られた麹を食塩水と共に仕込み、酵母を添加して醸造した後、圧搾して得られた一次調味液に、同様にして得られた麹を混合し、酵母を添加せずに10〜30℃で1〜3ヶ月間麹により酵素分解させ、火入れを行うことで、醤油香が低減され、しかも味が濃厚でエキス分が高く、旨味の強い調味液が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、[1]乾物換算質量でグルテン25〜100%および小麦75〜0%とからなる原料100〜60%と大豆類0〜40%とを配合した混合原料を用いて製麹し、得られた麹を食塩水と共に仕込み、醤油酵母を添加して醸造した後、圧搾して一次調味液を得、この調味液に、乾物換算質量でグルテン25〜100%および小麦75〜0%とからなる原料100〜60%と大豆類0〜40%とを配合した混合原料を用いて製麹して得られた麹を混合し、醤油酵母を添加せずに10〜30℃で1〜3ヶ月間麹により酵素分解させた後、圧搾して火入れを行うことを特徴とする濃厚調味液の製造法に関する。
また本発明は、[2]濃厚調味液のBrixが45以上である、上記(1)記載の濃厚調味液の製造法や、[3]濃厚調味液の全窒素含量4.0%以上である、上記(1)または(2)記載の濃厚調味液の製造法や、[4]一次調味液を得るための醸造が10〜30℃で2〜5ヶ月間である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の濃厚調味液の製造法や、[5]上記(1)〜(4)のいずれかに記載の濃厚調味液の製造法により得られる濃厚調味液に関する。
本発明によれば、従来の再仕込醤油が有する強い醤油香や濃口醤油には無い異質な醤油香を顕著に低減し、しかも味が濃厚でエキス分が高く、旨味の強い調味液を、一般的な再仕込み醤油と比較して短期間に製造することができる。本発明の濃厚調味液は、めんつゆや各種たれ、煮物等に添加して濃厚な旨味を付与し、素材由来の味や旨味に伸びや深みを与えることができる。さらに本発明の濃厚調味液は、魚卵加工液等の魚介類加工液やさしみ醤油に適量配合することで生臭みを低減し、またカレーやシチュー、おでんつゆ、各種惣菜のかくし味として少量添加することで旨味を底上げし、これら食品にコクや熟成感を付与するのに適する。
本発明の濃厚調味液の製造法としては、乾物換算質量でグルテン25〜100%および小麦75〜0%とからなる原料を100〜60%と大豆類を0〜40%配合した混合原料を用いて製麹し、得られた麹を食塩水と共に仕込み、醤油酵母を添加して醸造した後、圧搾して一次調味液を得、この調味液に、乾物換算質量でグルテン25〜100%および小麦75〜0%とからなる原料100〜60%と大豆類0〜40%とを配合した混合原料を用いて製麹して得られた麹を混合し、醤油酵母を添加せずに10〜30℃にて1〜3ヶ月間麹により酵素分解させた後、圧搾して火入れを行う製造法であれば特に制限されるものでなく、これら本発明においては、上述の一次調味液と麹を混合し、醤油酵母を添加せず10〜30℃にて1〜3ヶ月間麹により酵素分解させるという特徴を有する。本発明の濃厚調味液としては、上述の製造方法で得られる濃厚調味液であれば特に制限されるものでない。
本発明における濃厚調味液は、Brixが45以上であることが好ましく、Brixが50以上であることがより好ましい。Brixが45以上であると、出来上がった製品の品質(旨味、甘味、およびコク味)が優れたものになる。また、全窒素含量が4.0%以上であることが好ましく、全窒素含量が4.5%以上であることがより好ましい。全窒素含量が4.0%以上であると、前述のBrixと同様に製品の品質が優れたものになる。なお、Brixとは、溶液100gあたりの可溶性固形物質量[g]をBrix(ブリックス度)として表示したものをいう。
本発明で用いられるグルテンとしては、例えば、小麦グルテン、コーングルテンを挙げることができ、特に小麦グルテンが好ましい。水分を含んだ状態のもの(ウェットグルテン)は変敗しやすいので凍結状態のものか、あるいは変性を軽減させながら乾燥して得られる乾燥グルテンが挙げられ、特に乾燥グルテンが好ましい。乾燥グルテンとしては、バイタルグルテン粉末または乾麩等を挙げることができる。
本発明における製麹工程で使用される麹としては、この種の調味液や醤油の製造に用いられる麹であれば特に制限されるものではなく、例えばアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)やアスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)等を好適に例示することができる。製麹は常法により行えばよい。
本発明において、澱粉質原料として用いる小麦は、小麦粒でも小麦粉でもよい。これらのグルテンまたはグルテンと小麦は、熱処理して蛋白質を十分に変性させることが好ましく、かかる熱変性の方法としては、水を加えずに蒸気を直接添加して含水率を12〜18%の範囲内に調整し、ペレットミル等で一旦成型した後、ゲージ圧1.0kg/cm2以上の高圧蒸煮缶にて2分間以上処理する方法、あるいは、グルテン単独またはグルテンと小麦の混合物をエクストルーダ−にて110℃以上の温度で押し出し成型する方法を好適に例示することができる。
このように熱処理されたグルテンは完全に失活しており、粘着性も生じず、蛋白質の熱変性も十分であり、これを適宜粉砕し、これを盛込み水分35〜50%になるように加水して製麹に供しても何等作業性の支障もなく、むしろグルテンの膨潤性があるため堆積性に優れ、通風製麹には非常に好適なものとなる。更に、熱処理された大豆類と混合する場合も同様の優れた製麹効果を示す。また、このようにして得られた麹は、グルテンの使用割合が高まるほどプロテアーゼ活性、グルタミナーゼ活性が高くなる。
本発明において、蛋白質原料として用いる大豆類としては、例えば脱脂大豆、丸大豆、割砕大豆等を挙げることができ、これらは加水または水浸漬した後蒸煮処理し、あるいは前記のグルテンや小麦と共にエクストルーダーにて110℃以上の温度で押し出し成型等を行って蛋白質を十分に変性させることが好ましい。
本発明においては、上記のグルテンと小麦の配合割合を、両者の合計使用量中、乾物換算質量でグルテンを25〜100%、好ましくは50〜70%、小麦を75〜0%、好ましくは50〜30%とし、かつ大豆類の配合割合を、全使用原料中の0〜40%とすることが本発明の目的を達成する上で重要である。ここで、グルテンと小麦の配合については、グルテンのみを用い小麦を用いなくてもよいが、小麦を用いる場合には小麦を75%以下とし、グルテンを25%以上配合することが必要である。グルテンが25%より少ない場合には、旨味が不足がちになり、本発明の目的を達成し得ない。
次に、大豆類を配合する場合には、全使用原料中、40%以下とすることが必要である。因みに、大豆類が40%より多い場合には、醤油香の発生を十分に低減させることができず、香りが劣ったものとなり、本発明の目的を達成し得ない。
また、本発明においては、上記混合原料を用い、常法により製麹して得られた麹を濃度7〜24%の食塩水とともに仕込み、醤油酵母を添加して10〜30℃で2〜5ヶ月間、好ましくは10℃で2〜3ケ月間、あるいは10℃で1ケ月間次いで20〜25℃で1〜2ケ月間醸造した後、圧搾することにより一次調味液を得る。上記食塩濃度が7%未満の場合には、雑菌増殖による腐敗が生じるおそれがあり、他方24%を超える場合には、得られる調味液に旨味が不足がちとなるおそれがある。また、上記食塩水の仕込容量としては、混合原料質量の1.35〜1.65倍量とすることが好ましい。一次調味液作製の際には、圧搾後に一度、火入れを行うことが好ましい。この火入れを行うことにより、一次調味液中の酵母が死滅することにより以降の麹による酵素分解過程においてアルコール発酵を生じさせず、醤油香が低減する。火入れは80〜90℃で30分〜60分、次いで60〜70℃で60分〜120分保持した後自然放冷するか、またはプレートヒーター等により110℃〜120℃で数秒間処理後、60〜70℃で60分〜120分保持した後、自然放冷する方法を採用することができる。
上記一次調味液の調製に用いられる醤油酵母としては、通常の醤油の製造に利用される酵母であれば特に制限されず、チゴサッカロミセス・ルキシー(Zygosaccharomyces rouxii)などの酵母を好適に例示することができる。また、一次調味液の調製の際に、例えばペディオコッカス・ハロフィルス(Pediococcus halophilus)などの醤油用乳酸菌を必要に応じて添加することもできる。
次に、この一次調味液に、上述の方法により得られた麹を混合する。このときの一次調味液の混合量は、麹の質量の1.2〜2.5倍量とすることが好ましい。一次調味液の混合量がこの範囲であると、圧搾性に優れ調味液の収量が著しく向上し、得られた調味液は醤油香が感じられず、酸味も抑えられ優れたものとなる。この一次調味液と麹の混合物を10℃〜30℃にて1〜3ヶ月間、好ましくは10℃で2〜3ケ月間次いで30℃で1ヶ月間、または10℃で1ケ月間次いで20℃で1ケ月間さらに25℃で1ヶ月間、麹により酵素分解させる。この麹に含まれるプロテアーゼ等の酵素による酵素分解により、この混合物に含まれるグルテンを主体とするタンパク質が分解され、得られる調味液に含まれる水溶性ペプチドおよびアミノ酸(例えばグルタミン酸等)の含量が増加する。また、麹による加水分解の際には醤油酵母を添加しないことが重要である。醤油酵母を添加するとアルコール発酵が起こり、醤油香が発生するため本発明の目的を達し得ない。
以下、参考例および実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[参考例1]
バイタルグルテン粉末840gと、小麦粉560gを混合したものに直接蒸気を添加し、含水率15%でペレットミルにて直径4mmの円筒形になるように成型した後、ゲージ圧力1.5kg/cmの飽和蒸気にて4分間蒸煮処理した後、これを粉砕して粉砕物を得た。一方、脱脂大豆600gに690mlの水を加え、ゲージ圧力1.0kg/cmの飽和蒸気にて30分間処理して蒸煮大豆を得た。前記、粉砕物に420mlの水を加えた後、蒸煮大豆を混合し、更に水分が46%となるように調整の上、この混合物に種麹としてアスペルギルス・オリゼを接種した後、22〜35℃にて40時間製麹し、麹を得た。このように得られた麹を22.0%濃度の食塩水3000mlとともに仕込み、仕込み1.5ヶ月後に市販の醤油酵母を添加して醸造を行った。その際の醸造条件は、10℃で1ヶ月間次いで20℃で1ヶ月間さらに25℃で1ヶ月間とした。醸造後、圧搾して、85℃で30分、次いで65℃で90分の火入れを行うことにより調味液を得た。
[実施例1]
参考例1で得られた調味液(一次調味液)2000mlと、参考例1と同様にして得られた麹1000gを混合して、10℃で1ヶ月間次いで20℃で1ヶ月間さらに25℃で1ヶ月間麹により酵素分解させ、圧搾した後、85℃で30分次いで65℃で90分間の火入れを行うことにより濃厚調味液を得た。なお、酵素分解の際には醤油酵母は添加しなかった。
[実施例2]
参考例1で得られた調味液(一次調味液)1400mlと、参考例1と同様にして得られた麹1000gを混合し、30℃で1ヶ月間麹により酵素分解させ、圧搾した後、85℃で30分次いで65℃で90分間の火入れを行うことにより濃厚調味液を得た。なお、酵素分解の際には醤油酵母は添加しなかった。
[実施例3]
参考例1で得られた調味液(一次調味液)2300mlと、参考例1と同様にして得られた麹1000gを混合し、30℃で1ヶ月間麹により酵素分解させ、圧搾した後、85℃で30分、次いで65℃で90分間の火入れを行うことにより濃厚調味液を得た。なお、酵素分解の際には醤油酵母は添加しなかった。
[実施例4]
参考例1において醸造し圧搾した後に火入れ処理をしないこと以外は、参考例1と同様にして一次調味液を得た。この一次調味液2000mlと参考例1と同様にして得られた麹1000gを混合し、10℃で1ヶ月間次いで20℃で1ヶ月間さらに25℃で1ヶ月間麹により酵素分解させ、圧搾した後、85℃で30分次いで65℃で90分間の火入れを行うことにより濃厚調味液を得た。なお、酵素分解の際には醤油酵母は添加しなかった。
[実施例5]
参考例1において、バイタルグルテン粉末1200gと小麦粉800gを用いたこと以外は、参考例1と同様にして蒸煮・粉砕物を得た。この粉砕物に水を加えることにより、水分が46%となるように調整の上、種麹を接種した後、22〜35℃にて40時間製麹して麹を得た。このように得られた麹を22.0%濃度の食塩水3000mlとともに仕込み、仕込み1.5ヶ月後に市販の醤油酵母を添加して醸造を行った。その際の醸造条件は、10℃で1ヶ月間次いで20℃で1ヶ月間さらに25℃で1ヶ月間とした。醸造後、圧搾して、85℃で30分次いで65℃で90分の火入れをすることにより一次調味液を得た。
得られた一次調味液2000mlに、上記と同様にして得られた麹1000gを混合し、30℃で1ヶ月間麹により酵素分解させ、圧搾した後、85℃で30分次いで65℃で90分間の火入れを行うことにより濃厚調味液を得た。なお、酵素分解の際には醤油酵母は添加しなかった。
[比較例1]
参考例1で得られた調味液(一次調味液)2000mlと参考例1と同様にして得られた麹1000gを混合して、10℃で1ヶ月間次いで20℃で1ヶ月間さらに25℃で4ヶ月間麹により酵素分解させた後、圧搾して、85℃で30分次いで65℃で90分間の火入れを行うことにより調味液を得た。なお、酵素分解の際には醤油酵母は添加しなかった。
[比較例2]
参考例1で得られた調味液(一次調味液)2000mlと参考例1と同様にして得られた麹1000gを仕込み、仕込み1.5ヶ月後に市販の醤油酵母を添加して醸造を行った。その際の醸造条件は一次調味液と同じ醸造条件であり、10℃で1ヶ月間次いで20℃で1ヶ月間さらに25℃で1ヶ月間とした。醸造後、圧搾し85℃で30分次いで65℃で90分の火入れを行うことにより調味液を得た。
[試験例]
本発明の製法により得られた濃厚調味液についての評価試験を下記のように行った。
実施例1〜5、参考例1および比較例1〜2で得られた各調味液のBrix、全窒素含量(%)を測定した。また、実施例1〜5および比較例1〜2の調味液の香り、呈味性について、官能評価を以下に示す評価基準で10人のパネラーで行った。さらに、市販の濃口醤油、市販の再仕込醤油についても同様にBrix、全窒素含量(%)を測定し、香り、呈味性の官能評価を行った。これらの結果を表1に示す。
評価基準は次のとおり5段階で評価した。
香り
5:醤油香が参考例1の調味液より少ない。
4:醤油香が参考例1の調味液よりやや少ない。
3:醤油香が参考例1の調味液と同程度に感じられる。
2:醤油香が参考例1の調味液よりやや強い。
1:醤油香が参考例1の調味液より強い。
呈味性
5:旨味が参考例1の調味液より強い。
4:旨味が参考例1の調味液よりやや強い。
3:旨味が参考例1の調味液と同程度に感じられる。
2:旨味が参考例1の調味液よりやや弱い。
1:旨味が参考例1の調味液より弱い。
表1に示される結果から明らかなように、Brixと全窒素含量(%)についてみると、本発明の実施例1〜5で得られた濃厚調味液の分析値は、Brix45以上、全窒素含量(%)4.1以上を示し、参考例1の調味液と比較して高い値であり、市販の濃口醤油や再仕込醤油と比べて顕著に高いが、比較例1(6ヶ月間麹により酵素分解させたもの)および比較例2(麹による酵素分解の代わりにさらに醤油酵母を添加して醸造させたもの)と同等であった。次に、香りおよび呈味性についてみると、本発明の実施例1〜5の濃厚調味液は、参考例1の調味液より醤油香が少なく、旨味が強いものであった。比較例1、2と比較すると、呈味性は同程度であるが、醤油香の低減は顕著であった。一方、市販の濃口醤油や再仕込醤油は、参考例1の調味液と比較して、醤油香が強く感じられ、旨味は弱いという評価であった。また、実施例1〜5の調味液では、再仕込醤油が有する濃口醤油には無い異質な醤油香は無く、また酸味についても参考例1の調味液や濃口醤油、再仕込醤油よりも低減されていた。このように、本発明に係る濃厚調味液は、旨味が強い、即ち、好ましい旨味を維持し、かつ醤油香が低減された濃厚調味液であることがわかった。
従来の再仕込醤油の製造法を説明する概略図である。 本発明の濃厚調味液の製造法を説明する概略図である。

Claims (5)

  1. 乾物換算質量でグルテン25〜100%および小麦75〜0%とからなる原料100〜60%と大豆類0〜40%とを配合した混合原料を用いて製麹し、得られた麹を食塩水と共に仕込み、醤油酵母を添加して醸造した後、圧搾して一次調味液を得、この調味液に、乾物換算質量でグルテン25〜100%および小麦75〜0%とからなる原料100〜60%と大豆類0〜40%とを配合した混合原料を用いて製麹して得られた麹を混合し、醤油酵母を添加せずに10〜30℃で1〜3ヶ月間麹により酵素分解させた後、圧搾して火入れを行うことを特徴とする濃厚調味液の製造法。
  2. 濃厚調味液のBrixが45以上である、請求項1記載の濃厚調味液の製造法。
  3. 濃厚調味液の全窒素含量4.0%以上である、請求項1または2記載の濃厚調味液の製造法。
  4. 一次調味液を得るための醸造が10〜30℃で2〜5ヶ月間である、請求項1〜3のいずれかに記載の濃厚調味液の製造法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の濃厚調味液の製造法により得られる濃厚調味液。
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