JP4063473B2 - こく味調味料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、調味料原料に、特定の条件下で醤油麹を作用させてなるこく味調味料、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
醤油は日本の代表的な調味料であり、耐塩の醤油乳酸菌、及び醤油酵母が発酵、熟成過程で生成する醤油特有の香気及び約16%以上の食塩を有している。しかしながら、日本人の食塩摂取量は諸外国と比較すると多い点が問題視されており、最近は低塩醤油の需要が伸びている。
低塩醤油の製造法としては、電気透析法、選択透析膜法、イオン排斥樹脂法、減圧濃縮法、濃厚仕込み法、及び低食塩仕込み法等がある。この中で濃厚仕込み法及び低食塩仕込み法は、一般的な醤油製造企業において、特別な製造設備を有さずに対応可能である点から多くの報告がある。濃厚仕込みは高窒素、減食塩の生醤油を製造し、これを規格調整して減塩醤油を得る方法である。低食塩仕込み法としては、エタノール、食塩の存在下に、醤油麹と変性処理した脱脂大豆を仕込み、醤油酵母を添加して発酵熟成させる方法(特公昭62−62143号公報)、醤油麹を5〜13%食塩水で仕込んだもろみ(諸味)を40〜45℃の温度で7〜10日間発酵消化させ、pH5.0〜5.5にとどめた加温消化もろみ液を圧搾して液汁を調製し、醤油もろみ、又は生揚醤油に50%以下添加し、10〜25℃で15〜25日間熟成させることを特徴とする醤油の製造法(特公昭49−15797号公報)等がある。
【0003】
また、古来より実施されている味醂の製造工程において、高アルコール濃度を使用することによって消化、熟成中における雑菌の汚染を防止していることに着目して、これを蛋白質の消化に応用した例もある(特開平4−346768号公報)。この方法によれば、食塩を添加することなく雑菌の繁殖を抑え、且つ高アルコール存在下においても醤油と同程度にまで蛋白質を分解することができたとされている。
【0004】
一方、産業廃棄物として捨てられている食品製造残渣の処理や有効利用技術の開発が求められている。
例えば、米、麦、甘蔗、芋(甘藷)、蕎麦等を用いた乙類焼酎は現在大量に製造されているが、その際に生産量の数倍量副生する焼酎蒸留残渣の処理が現在問題となっている。従来は主に海洋投棄されていたが、近年中に国際条約により全面禁止されるため、焼酎生産企業は、対応に苦慮している。これまでに幾つかの方法が提案されており、例えば、かんしょ(甘藷)を原料とする乙類焼酎蒸留廃液又はその加水分解物に小麦及び大豆を原料とする麹及び食塩水を混合して仕込み、発酵熟成させたのち、ろ過して調味料を製造する方法(特公平4−62707号公報)、穀類を原料とする焼酎廃液に大豆蛋白含有物を加え蒸煮し、後40〜50℃に冷却し、低塩分下に醤油麹を作用せしめて高窒素含量の分解液とし、これに醤油乳酸菌及び醤油酵母を移植して発酵、熟成、ろ過をして調味料を得る方法(特公平4−78261号公報)、及び焼酎蒸留残渣を固液分離するに当り、焼酎諸味仕込み時にヘミセルラーゼを添加しておくことを特徴とし、固液分離された焼酎蒸留残液の濃縮液に、醤油麹のアルコールによる自己消化液を作用させることを特徴とする調味料の製造方法(特許第2916666号公報)がある。
【0005】
この他の食品製造残渣として、食肉抽出残渣、穀物抽出残渣等があるが、これらを利用した調味料の製造方法も開示されている。
【0006】
醤油特有の香気は非常に食欲を向上させ、素晴らしいものであるが、一面、種々の食品の製造に使用する場合には、食品素材本来の香気が醤油香気で圧倒されて、その中心としたい食品素材が霞んでしまう場合もある。このような理由から、癖のない調味料の開発が要望されている。しかしながら、醤油製造工場内には醤油香気に寄与する醤油酵母や醤油乳酸菌が生息しており、これらが諸味中に混入して生育するので、醤油香気のない調味料を得るのは困難であった。また、減塩調味料を製造する場合には、低食塩諸味の雑菌を抑えるために、特別な加熱設備及び冷却設備が必要となる。
【0007】
一方、高アルコール濃度下での熟成では、味醂製造で作用するアミラーゼ、グルコアミラーゼ等は充分作用するが、蛋白質分解に作用するプロテアーゼ、とりわけエキソプロテアーゼ活性が阻害を受け、その結果、苦味ペプチドが残存し、得られた調味液が苦味を有する点が問題であった。更に、原料面からみると、産業廃棄物として捨てられている食品製造残渣を原料とした調味料の製造方法は開示されているが、得られる調味料は、いずれも醤油特有の香味を有するものであり、醤油代替品とも言うべき調味料であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、特別な設備を要さずに、一般の醤油製造企業の設備を用いて、醤油香気を持たない良好な風味を有するこく味調味料を製造することであり、第2の目的は、苦味を有さないこく味調味料を製造することであり、第3の目的は、産業廃棄物として捨てられる各種エキス抽出残渣、焼酎蒸留残渣等の食品製造残渣を利用したこく味調味料を開発することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は、蛋白含有物、それらの処理物、及び焼酎蒸留残渣よりなる群から選択した少なくとも1種である調味料原料に、諸味中のアルコール濃度3.5〜6%v/v及び塩濃度8〜12%w/vとして醤油酵母、酒精酵母及び醤油乳酸菌が生育しない条件下で醤油麹を作用させてなる醤油香気を有しないこく味調味料に関する。更に本発明の第2の発明は、調味料原料に、諸味中のアルコール濃度を3.5〜6%v/v、塩濃度を8〜12%w/vに維持しつつ、20〜40℃で醤油麹を作用させることを特徴する第1の発明の醤油香気を有しないこく味調味料の製造方法に関する。
【0010】
本発明者らは醤油特有の香気を持たない、食品素材特有の良い香気を持つ、調味料の開発を目指した。そのために、従来の考えとは全く逆の、麹酵素力価は保持されるが、醤油乳酸菌、醤油酵母及び酒精酵母の生育困難な条件を検索した。その結果、諸味中のアルコール濃度が3.5%v/v以上及び塩濃度が8%w/v以上では醤油乳酸菌、醤油酵母の生育及び雑菌による腐敗が見られないことを見出した。更に、諸味中のアルコール濃度3.5〜6%v/v、及び塩濃度8〜12%w/vに維持しつつ穀物麹を作用させて得られた熟成諸味は、醤油乳酸菌、醤油酵母及び酒精酵母の生育抑制により、諸味の香気が劣るであろうとの予想に反して、熟成が進むにつれて、諸味の香気はまろやかになり、良好な香気を呈することを見出した。
【0011】
本発明者らは、更に焼酎蒸留残渣中の蛋白質が蛋白分解酵素により既に相当分解されていることから、麹中の蛋白分解酵素が活発に作用するような、例えば低塩濃度条件下では、麹、及び焼酎蒸留残渣以外に他の蛋白含有物質を諸味中に添加しても充分分解されるものと考え、種々条件検討を行った。その結果、焼酎蒸留残渣に他の蛋白含有物を加えた諸味であっても、諸味中のアルコール、及び食塩を適当濃度にすることにより、腐敗等の雑菌汚染防止のために諸味を特別な温度条件にする必要もなく、通常の室温付近の温度で熟成すれば、良好な風味の調味料を安全に製造できることを見出した。本発明は上記した新事実を基に完成されたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明における調味料原料は、一般の調味料原料として使用可能なものであれば、特に制限はない。また、焼酎蒸留残渣も本発明における調味料原料として使用できる。
【0013】
一般の調味料原料としては魚介類、畜肉、穀類、芋類等の蛋白含有物及びそれらの処理物がある。魚介類に特に限定はないが、鰯、鯖、いか、蛸、海老、鰹等が、畜肉に特に限定はないが、鶏肉、牛肉、豚肉等が、穀類に特に限定はないが、米、大麦、小麦、トウモロコシ、燕麦、大豆、胡麻、菜種、ひえ、あわ、もろこし、きび等が、芋類に特に限定はないが、サツマイモ、ジャガイモ、サトイモ、キャッサバ、コンニャク等が、それぞれ例示される。また、これらの蛋白含有物の処理物とは、魚介類、畜肉、穀類、芋類等の蛋白含有物の加工物、加工残渣、蛋白含有物の抽出物又は抽出残渣等を言う。例えば、米デンプン、小麦デンプン、小麦グルテン、コーングルテン、コーンスターチ、大豆粉末、脱脂大豆粉末、胡麻粕、菜種粕等が例示される。またこれら魚介類、畜肉、穀類、芋類等の蛋白含有物、及びそれらの処理物は一種類又は数種類の混合物を使用しても良い。
【0014】
また、本発明においては、焼酎蒸留残渣を調味料原料として使用することができる。焼酎蒸留残渣を調味料原料として利用することは、未利用資源を有効に利用でき、また得られた調味料に健康機能性を付与できる可能性がある。
【0015】
本発明に使用する焼酎蒸留残渣は、甲類焼酎蒸留残渣、乙類焼酎蒸留残渣のいずれであっても良いが、焼酎蒸留残渣中に含まれるエキス分を考慮に入れると、乙類焼酎蒸留残渣が好ましい。乙類焼酎蒸留残渣、特に減圧蒸留処理で得られた残渣中には、生きた酒精酵母菌体が相当量残っている。酒精酵母菌体は、その生育に適しない濃度の食塩及びアルコール含有条件で熟成することにより、自己消化が容易に起こり、菌体内蛋白、及び核酸分解物が遊離し、調味料に良好な香味及びこく味を加えることができる。乙類焼酎蒸留残渣としては、米焼酎、麦焼酎、芋焼酎、甘蔗焼酎、及び蕎麦焼酎等を生産する際に副生する蒸留廃液が例示される。廃液はそのままを使用しても良く、あるいは濃縮したものでも良い。またこれらの蒸留残渣は一種類又は数種類の混合物を使用しても良い。
本発明においては上記した焼酎蒸留残渣に干麩、小麦ふすま、大豆蛋白粉、大豆粉末、コーングルテン、脱脂大豆粉末、米糠、脱脂米糠、菜種脱脂粕、胡麻脱脂粕等の蛋白含有物又はその処理物を加えることができる。
これらの蛋白含有物及びそれらの処理物は、一種類でも又は数種類を適当に混ぜたものでも良い。
本発明において、前記した調味料原料は、一種類又は数種類の混合物でも良いが、魚介類、畜肉、穀類、芋類、それらの処理物、及び/又は焼酎蒸留残渣が特に好適に用いられる。
【0016】
本発明で使用する穀物麹には、特に限定はない。通常は濃口醤油麹、薄口醤油麹、溜醤油麹等の醤油麹を用いるのが都合が良いが、それ以外の例えば、うるち米麹、もち米麹、ふすま麹を使用しても良い。種麹はアスペルギルス属に属する菌のほか、ペニシリウム属、ムコール属、リゾップス属に属する各種の菌株を使用することができる。
【0017】
本発明における醤油酵母、酒精酵母及び醤油乳酸菌の生育しない条件下とは、諸味中の麹菌のプロテアーゼ活性を阻害せずに該微生物の増殖を阻止するような諸味組成あるいは諸味環境のことを言う。また、該条件を達成する手段に特に限定はないが、好ましくは、諸味中のアルコール及び塩濃度を調整することによって達成する。なお、諸味中のアルコール及び塩濃度を調整するに当っては、例えば、原料由来の持込み分がある場合には、アルコール及び塩を補正して添加する必要がある。
【0018】
本発明で使用するアルコールは、特に限定はなく、食品に使用できるものであれば良い。例えば、醸造用アルコール、清酒、焼酎等のアルコール飲料がある。
【0019】
本発明で使用する塩としては、通常は食塩、岩塩等の塩化ナトリウムを使用するが、塩化カリウム等の他の塩類も使用可能である。
【0020】
次に、諸味中のアルコール濃度と、塩濃度の至適範囲について、実験例に基づいて説明する。
【0021】
(実験例1)醤油酵母及び醤油乳酸菌が生息している醤油工場にて、麦焼酎蒸留残渣483ml、干麩50g及び醤油麹140gを含む諸味液に、醸造用アルコール及び食塩を、諸味中の仕込み濃度がそれぞれ0、2、3、3.5、4、5、6、7%v/v及び0、6、8、10、12、14%w/vとなるように加え、全量を700mlとした。これを30℃で2ヶ月間分解、熟成させた。この間、定期的にサンプリングを行って、諸味中のアルコール及び塩濃度を所定濃度に維持した。熟成後、顕微鏡観察により、醤油酵母、酒精酵母及び醤油乳酸菌の生育程度を調べた。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
表1に示すように、諸味中のアルコール濃度が3.5%v/v未満では諸味中に醤油酵母や醤油乳酸菌が生育し、熟成後の諸味は醤油香気が高くなるか、又は腐敗してしまい、本発明の趣旨からかい離する。また、諸味中のアルコール濃度が6%v/vを超えた場合は、醤油酵母及び醤油乳酸菌の生育又は腐敗は無いが、醤油麹中の蛋白分解酵素活性が阻害を受け、その結果、原料中窒素の利用率が低くなる。また、諸味中の塩濃度が8%v/v未満では諸味中に焼酎蒸留残渣由来の酒精酵母が生育し、アルコール発酵するか、又は腐敗してしまい、本発明の趣旨からかい離する。また諸味中の塩濃度が12%w/vを超えた場合には、酒精酵母の生育又は腐敗は無いが、酒精酵母の自己消化が阻害され、結果的に調味料に旨味をもたらすアミノ酸や核酸塩基由来成分が不足する。
したがって、本発明のこく味調味料を得るためには、諸味中のアルコール濃度3.5〜6%v/v及び塩濃度8〜12%w/vに維持することが望ましい。なお、該濃度を維持する方法は任意である。
【0024】
本発明のこく味調味料の製造は、例えば以下のように行う。すなわち、所定量の焼酎蒸留残渣、蛋白含有物、醤油麹、アルコール及び塩を混合した諸味を、通常20〜40℃、温度管理の容易さを考えると好ましくは25〜35℃の温度条件下に通常2〜12週間、経済性を考慮に入れると好ましくは8〜10週間分解、熟成を行う。
【0025】
諸味のpHは、使用する醤油麹、及び蛋白含有物の種類、濃度により異なるが、一般には5〜6の範囲であり、特に調整の必要は無い。もちろん、常法に従い、各種穀物麹中の蛋白分解酵素に適したpHに調整することも可能である。熟成終了後、ろ過をし、必要に応じて火入れ等の殺菌を行い調味料とする。
このようにして得られた調味料はこのままでも各種用途に使用可能であるが、必要に応じて公知処理方法を実施することで更に高品質の製品とすることができる。処理手段としては、精密ろ過、活性炭処理、濃縮操作、粉末化等がある。
【0026】
以上説明したごとく、本発明のこく味調味料は、醤油香気を持たず、良好な風味を有する新規の調味料である。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
実施例1
米を原料とする乙類焼酎生産過程で副生した焼酎蒸留残渣(水分96%)4.8kgに干麩500g、醤油麹1.4kg、食塩700g、アルコール350mlを混和して仕込み、30℃で2ヶ月分解、熟成させた。熟成中は1日に1回諸味を混合した。熟成終了後に圧搾し、次いで90℃、3分間火入れを行い5リットルの調味液を得た。得られた調味液は、従来の醤油と異る風味を有し、こく味のある調味料であった。なお、熟成期間中において醤油酵母の増殖は見られなかった。
【0029】
実施例2
乙類麦焼酎蒸留残渣5kg(水分95%)に大豆蛋白粉600g、醤油麹1.4kg、食塩700g、アルコール350mlを混合して仕込み、30℃で3ヶ月分解、熟成を行った。熟成終了後に圧搾し、次いで80℃、30分火入れ後精密ろ過をして5.2リットルの調味料を得た。これと、従来法で生産された本醸造醤油の一般成分値〔「調味料−その科学と製造−」、1966年10月1日初版発行、発行所(株)光生館、第252頁〕を表2に示した。本発明により、成分的には従来の醤油と遜色がないが、醤油独特の香りを持たない風味の良いこく味調味料が得られた。
【0030】
【表2】
【0031】
実施例3
雑魚抽出残渣4kg(全窒素12.3%)、醤油麹12.2kg、汲み水32.5リットル、食塩5kg、アルコール2.5リットルを混和して仕込み、30℃で2ヶ月分解、熟成を行った。熟成中は1日に1回程度良くかくはんをした。次いで、圧搾し、80℃、30分加熱し、精密ろ過を行い3.5リットルの調味液を得た。
なお、熟成中に醤油酵母の生育は見られなかった。得られた調味液は、醤油酵母に由来する醤油香気が見られず、癖の無い、種々の食品製造に使用しやすいものであった。一般分析値は全窒素1.5%w/v、アミノ態窒素0.8%w/v、pH5.2、全糖4.0%w/v、アルコール5.1%v/v、食塩10.2%w/v、であり、成分的には従来の醤油と遜色がないが、醤油独特の香りを持たないこく味調味料が得られた。
【0032】
実施例4
干麩(小麦蛋白)6kg、醤油麹14kg、汲み水47.3リットル、 食塩70kg、アルコール35リットルを混合し、総量70リットルを、30℃で2ヵ月分解、熟成を行った。なお、熟成後に圧搾して、90℃、3分加熱し、精密ろ過をして、調味液50リットルを得た。熟成中の醤油酵母の生育は見られなかった。得られた調味液は、醤油香気が無いが、醤油とは違った良好な香気を有し、また良い呈味を示した。一般分析値は、全窒素1.8%w/v、アミノ態窒素0.8%w/v、pH5.3、全糖5%w/v、アルコール5.2%v/v、食塩10.5%w/vであり、成分的には従来の醤油と遜色がないが、醤油独特の香りを持たないこく味調味料が得られた。
【0033】
【発明の効果】
本発明により、焼酎蒸留残渣及び各種の抽出残渣の有効利用法を提供できる。また本発明により、焼酎蒸留残渣、醤油麹、蛋白含有物、アルコール、及び塩を含有する諸味を、分解及び熟成して得られる、健康に良い、醤油香気を有さず、良い香気、旨み及びこく味を豊富に有する、塩濃度の低い調味料を提供することができる。更に、原料である焼酎蒸留残渣、蛋白含有物、及び、醤油麹の種類、使用量を勘案することにより、種々の香味の調味料を製造することが可能である。
Claims (3)
- 蛋白含有物、それらの処理物、及び焼酎蒸留残渣よりなる群から選択した少なくとも1種である調味料原料に、諸味中のアルコール濃度3.5〜6%v/v及び塩濃度8〜12%w/vとして醤油酵母、酒精酵母及び醤油乳酸菌が生育しない条件下で醤油麹を作用させてなる醤油香気を有しないこく味調味料。
- 蛋白含有物が、魚介類、畜肉、穀類又は芋類である請求項1記載の醤油香気を有しないこく味調味料。
- 諸味中のアルコール濃度及び塩濃度をそれぞれ3.5〜6%v/v及び8〜12%w/vに維持しつつ、20〜40℃で調味料原料に醤油麹を作用させることを特徴とする請求項1又は2に記載の醤油香気を有しないこく味調味料の製造方法。
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