JPH10215810A - 魚醤油 - Google Patents

魚醤油

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JPH10215810A
JPH10215810A JP9041549A JP4154997A JPH10215810A JP H10215810 A JPH10215810 A JP H10215810A JP 9041549 A JP9041549 A JP 9041549A JP 4154997 A JP4154997 A JP 4154997A JP H10215810 A JPH10215810 A JP H10215810A
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JP
Japan
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soy sauce
fish
salmon
koji
squeezing
Prior art date
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JP9041549A
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English (en)
Inventor
Fumio Takeshima
文雄 竹島
Kenji Yoneda
憲司 米田
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KONGO KIKAI KK
Original Assignee
KONGO KIKAI KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 甘味やこくがあり、刺激臭がなく、不揮発性
アミンの少ない魚醤油を提供する。 【解決手段】 生の魚を粉砕してこれに麹および食塩を
添加し、水分調整した混合物を醗酵させ、醗酵したもろ
みを搾汁してなる。 【効果】 甘味やこくがあり、刺激臭がなく、不揮発性
アミンの少ない、調味料として優れた適正を備えた魚醤
油を提供することに成功したものであって、しかも、熟
成期間が短くて済むばかりでなく、加熱を要しないので
省エネに適し、もろみを搾った残渣をも調味料として利
用可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、魚を原料とする醗酵
調味料としての魚醤油に関する。
【0002】
【従来の技術】魚醤油は、魚に食塩を添加して醗酵さ
せ、濾過した汁を用いたもので、これには、ハタハタや
マイワシ等を原料とする「しょっつる」(秋田)、スル
メイカの肝臓を原料とする「いしる」(輪島)等を挙げ
ることができる。また、東南アジアを中心とした地域で
も魚醤油(例えば、タイのナンプラー)が好んで用いら
れる。いずれにしても、従来、秋鮭を原料とする魚醤油
はなかったし、製造方法において麹を用いることもなか
った。秋鮭は、シロザケまたはブナザケとも称される魚
であるが、遡上した秋鮭は、体色素や体脂肪の消失や、
特有の臭から食品としてはほとんど利用されていない。
【0003】「しょっつる」の製造については、原料魚
に対して20〜30%の食塩をまぶし、容器に入れてお
き、汁が浸出して脱水した魚体を1週間くらいのうちに
他の桶に移し、その汁を沸騰する程度に釜で煮込み、魚
体には新たに塩をかけながら、漉した煮込み汁をその魚
体に張り、重しをおいて1〜数年間漬込む。そして、桶
の上から製品にする分だけ汁と魚を汲み上げ、釜に入れ
約20分程度煮込み、エキス分の移行と蛋白質の凝固を
促進させ、浮いた油を除去した後、濾過した液を海砂に
通してさらに濾過して魚醤油を得ていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】魚醤油は、塩水中で、
魚自身が持つ自己消化酵素を利用し蛋白質を分解させて
液化したものである。このため、熟成期間が1〜3年と
非常に長い。また、東南アジアの魚醤油は、製造工程に
脱臭工程を取り入れているものの強い魚臭の刺激臭の原
因となる揮発性アンモニア態窒素が多く含まれる。この
ため、日本国内では広く一般の消費者に受け入れられる
には至っていない。さらに、食中毒の原因となる不揮発
性アミン(ヒスタミン)の含量が高い。
【0005】魚体自身には炭水化物がほとんど含まれ
ず、生成される有機酸の量が僅かである。呈味性に強く
影響する窒素濃度を高めるには、塩水の添加を少なくす
ることが必要となり、このことからも醗酵期間を長くせ
ざるを得なくなる。また、このようにして得られたもろ
みを圧搾した残渣は資源として利用されずに廃棄物とし
て処理されているのが現状である。
【0006】この発明は、上記のような実情に鑑み、甘
味やこくがあり、刺激臭がなく、不揮発性アミンの少な
い魚醤油を提供することを目的とした。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】上記の目的を
達成するために、この発明は、生の魚を粉砕してこれに
麹および食塩を添加し、水分調整した混合物を醗酵さ
せ、醗酵したもろみを搾汁してなる魚醤油を提供するも
のである。従来の魚醤油においては、醗酵条件として麹
を用いることはなかったが、麹を用いることにより、甘
味やこくがあり、刺激臭がなく、不揮発性アミンの少な
い魚醤油を得ることができた。
【0008】麹の基質には、大豆、脱脂大豆、小麦、
米、ライ麦、大麦、トウモロコシ、馬鈴薯、タピオカ等
を混合もしくは単独で用いるか、大豆、脱脂大豆と澱粉
を合わせ、若しくは単独で用い、常法にて処理し、麹と
する。この混入により、窒素源や有機酸源として脱脂大
豆や澱粉等を加えることになり、味のバランスを整える
ことが容易となる。
【0009】なお、魚体を加熱変成処理しないことを特
徴とする。これにより、熱エネルギーの消費が少なくな
り、製造工程の省力化が可能になる。熟成を行ない形成
されたもろみは、所定の水分に圧搾してもろみ残渣およ
び魚醤油を製造するが、熟成に要する時間については、
30℃では30日程度、室温では3〜12ケ月間で所定
のもろみが形成される。これにより従来法に比べ大幅な
醗酵期間の短縮が可能となる。次に、上記の麹を所定の
混合比で配合することにより、麹の基質が窒素および炭
水化物を多く含むことにより、麹を用いない従来法に比
べて窒素濃度および有機酸量がはるかに高い醤油を得る
ことが可能となり、味の改善が可能となる。
【0010】さらに、不揮発性アミンであるヒスタミン
は、本製法ではほとんど検出されず、このようにして得
られた魚醤油は、原料魚の特徴を有し、揮発性アンモニ
ア態窒素の少ない香りの良い魚醤油が得られる。しか
も、落とし身を用い、麹の基質を選択することにより、
従来廃棄物として処理していたもろみの圧搾残渣が調味
料として利用可能となる。
【0011】また、秋鮭は、油やけ臭の発生の原因とな
る体脂肪が少ないこと、また、プロテアーゼによる魚肉
の自己消化作用も強いこと等から、調味料原料として最
適であることが分かった。
【0012】
【実施例】本発明に先立って、従来法に近い製造方法に
おいて試作鮭醤油1を造り、数々の実験と研究をしなが
ら試行錯誤の後、本発明による試作鮭醤油2を完成し
た。その実施例を次に説明する。図1がフローシートで
示した製造方法による比較説明図であり、表1に「醗酵
状態と官能による比較」を示した。
【表1】
【0013】(本発明の実施による試作鮭醤油2)生の
秋鮭から頭や内臓を除去して、さらに皮と骨を除去して
落とし身を得る。この生の落とし身をチョッパー等で細
かく粉砕し、これに醤油麹を添加して混合し、さらに食
塩および水を添加し混合し、泥状に水分調整する。醤油
麹の量は、重量において落とし身の肉7に対して3とし
た。また、食塩は、醤油麹を混合したものに対して17
%とした。醤油麹については、脂肪大豆と小麦を等量混
合した基質に醤油麹菌(ハイソーヤ)を植えて常法によ
り調整したものを使用した。
【0014】仕込みをこのようにして、30℃程度で6
カ月の間熟成させた。醗酵前のpHは6.2であった。
醗酵したもろみの状態では、肉の残存はほとんど見られ
ず、このもろみを所定の水分量になるまで搾汁して魚醤
油(表1の鮭醤油2)を得た。また、残った残渣につい
ては、ミクロカッター等で微細化処理しペースト状の調
味料を得た。
【0015】(試作鮭醤油1)試作鮭醤油1の場合は、
上記の試作鮭醤油2に対して、醤油麹を用いない点に違
いがあり、その他についてはほゞ同様に製造した(図1
および表1参照)。
【0016】官能による性状の比較については、表1に
よる醤油麹を添加しない「鮭醤油1」の場合は、肉の残
存が多く液化が不十分であった。さらに、アンモニア臭
と思われる刺激臭が強い上に旨味が弱く、薄い茶色を呈
しており、6カ月の醗酵期間では魚醤油としての熟成が
不十分であると考えられた。しかし、醤油麹を添加して
醗酵させた「鮭醤油2」は、液化が十分進行し、色、臭
とも穀物醤油とほとんど変わらなかった。さらに、味、
旨味成分も十分引き出されており、魚醤油として熟成さ
れた製品となった。
【0017】このように、麹を使用しない場合には、醗
酵熟成に時間がかかる上、魚醤油独特の不快な臭が出る
ことなどから、十分熟成された製品でも、一般消費者に
は受け入れにくい製品となると考えられる。しかし、醤
油麹を使用することで、醗酵を促進するとともに、味・
香りとも優れた製品に改良できることから、日本人の嗜
好にあった魚醤油の製造が可能である。
【0018】上記の「試作鮭醤油1」、「試作鮭醤油
2」と共に、他の魚醤油としての「しょっつる」、「い
しる」、「ナンプラー」、普通の醤油としての「こいく
ち本醸造」との比較を、表2(醤油の原料、生産地)、
表3(成分)、表4(遊離アミノ酸組成)を提示する。
【表2】
【表3】
【表4】
【0019】穀物醤油の品質は全窒素量に大きく影響さ
れる。例えば、JAS規格ではその量により等級が定め
られている。即ち、「こいくち醤油」は、特級で1.50g
/100ml以上、上級では1.35g/100ml以上、標準は
1.20g/100ml以上とされる。表3によると「鮭醤油
1」の全窒素量は1.38g/100ml、「鮭醤油2」では
3.15g/100mlであった。これを市販魚醤油の全窒素
量と比較すると、「いしる」が2.10g/100ml、「ナ
ンプラー」は2.06g/100ml、「しょっつる」が0.54
g/100mlであり、「しょっつる」以外は「こいくち
本醸造」の1.55g/100mlを上回っており、「鮭醤油
1」でもJASの上級に位置していた。また、「しょっ
つる」は、ある報告(阿部輝雄、露木英男:日本食品工
業学会誌,15、(11),536、(1968))によると、全窒素量が
1.8g/100mlから3.1g/100mlであることから、今
回分析に供した商品は、かなり稀釈されているものと考
えられた。「鮭醤油1」の全窒素は「ナンプラー」、
「いしる」よりは少ないことから、この点でも熟成が進
んでないものと考えられた。しかし、「鮭醤油2」は、
市販品と比べてもはるかに全窒素量が多く、醤油麹は、
醗酵促進に大きな効果があることが分かった。
【0020】遊離アミノ酸は味に大きく影響しているも
のと考えられる。そこで、試作鮭醤油、市販魚醤油およ
び穀物醤油のアミノ酸の量と組成を表4に示した。表4
によると、「鮭醤油1」は3466mg/100ml、「鮭醤
油2」は9552mg/100mlであった。市販魚醤油およ
び穀物醤油と比べると、「鮭醤油1」は「しょっつる」
と同程度と少なく、これは「しょっつる」が稀釈した値
であることから考えて、醗酵が不十分であることがここ
からも推察できる。「鮭醤油2」は「いしる」と同程度
で「こいくち本醸造」と比べてもアミノ酸の量が多く、
旨味の強い魚醤油であった。特に「鮭醤油2」には、旨
味に関係のあるグルタミン酸やアスパラギン酸の量が
「いしる」や「ナンプラー」、「こいくち本醸造」より
も多く、この点からも、旨味の強い魚醤油であることが
裏付けられた。機能性成分であるタウリンは、原料の影
響が強く、スルメイカを原料とした「いしる」が最も多
かったが、「鮭醤油2」にもかなり含まれていた。しか
し、大豆を原料とした「こいくち本醸造」にはタウリン
は全く含まれなかった。
【0021】上記方法で得られた魚醤油は、その含量が
多いと、食中毒の原因となる不揮発性アミンであるヒス
タミンがほとんど含まれない。表5は、さらに東南アジ
アや中国、日本の魚醤油を比較して、ヒスタミンの有無
および含量を示し、表6では、麹がヒスタミンの生成に
及ぼす影響を示した。これから、麹がヒスタミンの生成
を抑えていることが分かる。
【表5】
【表6】
【0022】前記実施例における「試作鮭醤油2」にお
いては、魚肉7に対して麹3の割合であったが、より適
正な醗酵条件については検討する必要がある。すなわ
ち、さらなる実験から、麹の種類や配合の違い、熟成温
度の違い、醗酵開始時の食塩水の配合量等が秋鮭を原料
とした魚醤油の熟成に影響を及ぼすことが考えられた。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、甘味やこくがあり、刺激臭がなく、不揮発性アミン
の少ない、調味料として優れた適正を備えた魚醤油を提
供することに成功したものであって、しかも、熟成期間
が短くて済むばかりでなく、加熱を要しないので省エネ
に適し、もろみを搾った残渣をも調味料として利用可能
である等の優れた効果がある。
【0023】さらに、従来利用され難かった秋鮭を原料
として特に調味料として適正に利用でき、また、醤油麹
や落とし身によれば独特の風味が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の試作鮭醤油2と、これに至る過程に
おける試作鮭醤油1との製造方法を並列して示すフロー
シートである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生の魚を粉砕してこれに麹および食塩を
    添加し、水分調整した混合物を醗酵させ、醗酵したもろ
    みを搾汁してなることを特徴とする魚醤油。
  2. 【請求項2】 魚が秋鮭であることを特徴とする請求項
    1記載の魚醤油。
  3. 【請求項3】 麹が醤油麹であることを特徴とする請求
    項1または2記載の魚醤油。
  4. 【請求項4】 魚が頭、内臓、骨、皮等を除去した落と
    し身であることを特徴とする請求項1,2または3記載
    の魚醤油。
JP9041549A 1997-02-10 1997-02-10 魚醤油 Pending JPH10215810A (ja)

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