JP4492536B2 - イメージコンバイナ及び画像表示装置 - Google Patents
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Description
また、特開平2001−264682号公報には、シースルー型の頭部装着式画像表示装置のみならず、それと実質的に同じ構成を持ちながら、シースルー型として用いない(つまり画像形成素子からの光に外界から等の他の光を重畳させることなく、画像形成素子からの光のみを使用者の眼に導く)画像表示装置も開示され、この画像表示装置を携帯電話機のフリッパー部に内蔵する例も開示されている。
これらの画像表示装置では、反射型ホログラム光学素子を用いることにより小型軽量化を図っている。反射型ホログラム光学素子は、波長選択性が優れ、極限られた波長領域の光のみを選択的に回折反射し得る。このため、シースルー型の画像表示装置を構成する場合、反射型ホログラム光学素子を使用することにより、外界等からの光が、イメージコンバイナを透過する際に失われる光量を著しく低減させることができる。
そして、これらの画像表示装置では、イメージコンバイナとして反射型ホログラムを使用するため、外界光と表示光を分離するために、反射型ホログラムを光路に対して偏心させて配置している。また、これらの画像表示装置では小型軽量化を図るため、一般的に画像形成素子として液晶表示素子が用いられ、それを照明する光源として小型かつ安価な光源であるLEDが用いられている。
しかしながら、これら従来の画像表示装置では、使用者の眼の瞳の中心がイメージコンバイナの射出瞳の中心と一致している場合には、良好な表示画像を見ることができるものの、使用者の眼の瞳の中心がイメージコンバイナの射出瞳中心から射出瞳周辺に行くに従ってだんだん暗くなり、さらに表示画像がにじんだようになってしまい、画質の点で必ずしも十分でなかった。なお、実際の使用時に使用者の眼の瞳の中心がイメージコンバイナの射出瞳の中心からずれてしまうことは頻繁に起こり得る。
前記目的を達成するための第1の発明は、反射型ホログラム光学素子が設けられ、画像形成手段からの光と本体を透過した光を重畳させるイメージコンバイナであって、前記画像形成手段から発する光がひとつの波長領域の成分のみ又は離散的な複数の波長領域の成分を持ち、前記画像形成手段の表示部の中心から発せられた主光線が前記反射型ホログラム光学素子面に入射する入射角と反射回折角との間に以下の式が成り立つことを特徴とするイメージコンバイナである。
−5<θ1<5、かつ|θ1−θ2|<3
ここに、θ1は、画像形成手段の表示部の中心から発せられた主光線が反射型ホログラム光学素子に入射する入射角(°)、θ2は、表示部の中心から発せられた主光線が反射型ホログラム光学素子で回折反射される際の反射回折角(°)である。
前記目的を達成するための第2の発明は、前記第1の発明であって、
−3<θ1<3
とされていることを特徴とするものである。
前記目的を達成するための第3の発明は、前記第1の発明又は第2の発明であって、
|θ1−θ2|<2
とされていることを特徴とするものである。
前記目的を達成するための第4の発明は、前記第1の発明から第3の発明のいずれかであって、前記反射型ホログラム光学素子が体積型であることを特徴とするものである。
前記目的を達成するための第5の発明は、前記第1の発明から第4の発明のいずれかであって、前記反射型ホログラム光学素子が光学的パワーを持つことを特徴とするものである。
前記目的を達成するための第6の発明は、前記第1の発明から第5の発明のいずれかであって、前記主光線の前記画像形成手段からの射出方向が、前記画像形成手段の表示部の面と略垂直な方向とされていることを特徴とするものである。
前記目的を達成するための第7の発明は、前記第1の発明から第6の発明のいずれかのイメージコンバイナと画像形成手段とを備え、使用時に少なくとも前記イメージコンバイナを含む部分が使用者の目に近接して使用されることを特徴とする画像表示装置である。
前記目的を達成するための第8の発明は、反射型ホログラム光学素子が設けられ、画像形成手段からの光を表示させる画像表示装置であって、前記画像形成手段から発する光がひとつの波長領域の成分のみ又は離散的な複数の波長領域の成分を持ち、前記画像形成手段の表示部の中心から発せられた主光線が前記反射型ホログラム光学素子面に入射する入射角と反射回折角との間に以下の式が成り立つことを特徴とする画像表示装置である。
−3<θ1<3、かつ|θ1−θ2|<5
ここに、θ1は、画像形成手段の表示部の中心から発せられた主光線が反射型ホログラム光学素子に入射する入射角(°)、θ2は、表示部の中心から発せられた主光線が反射型ホログラム光学素子で回折反射される際の反射回折角(°)である。
前記目的を達成するための第9の発明は、前記第8の発明であって、
|θ1−θ2|<3
とされていることを特徴とするものである。
前記目的を達成するための第10の発明は、前記第8の発明又は第9の発明であって、
|θ1−θ2|<2
とされていることを特徴とするものである。
前記目的を達成するための第11の発明は、前記第8の発明から第10の発明であって、前記反射型ホログラム光学素子が体積型であることを特徴とするものである。
前記目的を達成するための第12の発明は、前記第8の発明から第11の発明のいずれかであって、前記反射型ホログラム光学素子が光学的パワーを持つことを特徴とするものである。
前記目的を達成するための第13の発明は、前記第8の発明から第12の発明のいずれかであって、前記主光線の前記画像形成手段からの射出方向が、前記画像形成手段の表示部の面と略垂直な方向とされていることを特徴とするものである。
反射型HOE、とりわけ反射型体積型HOEの回折特性は、鋭い波長選択性と、広い角度特性をもつことが知られている。すなわち、ブラッグ条件を満たす角度と波長で入射した再生光に対して最大の効率で回折光が得られるが、入射波長に対してはブラッグ条件から外れると急激に回折効率が減少する特性があり、一方、入射角がブラッグ角入射から外れる場合には緩やかに回折効率が減少する特性がある。この特性により、反射型体積型HOEは外界光の明るさを損失することなく、広い画角の画像表示が可能なイメージコンバイナに適した素子といわれてきた。しかしながらこれは単一波長で照明した場合の回折効率の値にのみとらわれた議論であって、実際にバンド幅を持った照明光で照明した場合に回折する波長特性までを考慮に入れたものではなかった。
本発明者は、入射角がブラッグ角入射からはずれたときの回折特性を調査し、ブラッグ角入射からのずれに従って、最大効率で回折する波長が変化していくことを発見した。また同様にHOEから回折された光を異なる方向から観察すると、その回折効率が最も高い波長が変化していくことを見出した。この点について以下に説明する。
ホログラムによる回折はブラッグの条件式に従う方向で回折強度が最大となる。体積型ホログラムにおけるブラッグの条件式は以下の式で表され、(1)式、(2)式を同時に満たす方向に回折する光の強度が最大となる。
1/λR(sinθO−sinθR)=1/λC(sinθI−sinθC) …(1)
1/λR(cosθO−cosθR)=1/λC(cosθI−cosθC) …(2)
ここで、(1)および(2)式の左辺はホログラム記録時の状態を示し、λRは記録波長、θOはホログラム面の法線に対する物体光の入射角度、θRは参照光の入射角度である。また右辺はホログラム再生時の状態を示し、λCは再生波長、θCはホログラム面の法線に対する照明光の入射角度、θIは回折光の射出角度である。
これを簡単に図に示すと、図3のようになる。なお図3(b)においてPcは使用者の眼の瞳の中心の位置である。光線追跡を行う場合は、位置Pcから光線追跡するので、図3(b)中の光線の向きは光線追跡の場合に合わせて示しているが、実際の光線の向きは逆向きである。
ここで(1)式、(2)式から、HOE製造時の条件と視線の角度θCとから、回折強度を持つ波長λCと、その照明光の入射角度θIを求めると以下の式になる。
λC=−[(sinθO−sinθR)sinθC+(cosθO−cosθR)cosθC]×2/[(sinθO−sinθR)2+(cosθO−cosθR)2]×λR ...(3)
θI=arcsin{λC/λR×(sinθO−sinθR)+sinθC} ...(4)
ただしブラッグ条件からずれた場合の回折光強度は0ではなく、ズレ量にしたがって強度が低下する。その減り方は位相型体積型ホログラム材料の厚みや屈折率変化量によって変わり、厚みが厚いほど、また屈折率変化が大きいほど、急激に低下する。つまり波長選択性が鋭くなり(2)式に示す式の回折の寄与が大きくなる。
したがって実際には(3)式の波長は回折強度が最大となる波長であり、実際には、この波長の光のみでなく、その近傍のバンド幅を持った波長帯の光も回折反射される。そこでブラッグ条件式を満たす(3)式のλCを回折主波長と呼ぶことにする。
ここで、露光波長476nm、参照光入射角30°、物体光入射角150°、反射型HOEは空気中にあるとして、視線の角度θCを変えて回折主波長と視線に対応する照明光入射角θIのふるまいを調べた。
それぞれの角度は反射型HOEの法線の正の向きから反時計回りに測った。その結果を下記の表に示す。表1から分かるように、視線の角度θCが±5°変化すると回折主波長λCは約±9nmシフトする。
ここで、(3)式を、回折主波長λCと露光波長λRの比(相対回折主波長)λC/λRに書き直すと、下記の式になる。
λC/λR=−[(sinθO−sinθR)sinθC+(cosθO−cosθR)cosθC]×2/[(sinθO−sinθR)2+(cosθO−cosθR)2] ...(5)
露光の角度をパラメータにして、視線の角度θCの露光時における参照光入射角θRに対する(θC−θR)を変えたときの(5)式に示す相対回折主波長λC/λRの値の変化をグラフにしたのが図4である。
図4から分かるように、角度差(θC−θR)が0から離れるに従い、相対回折主波長λC/λRの値も1から離れていく。従って視線の角度θCと露光時の参照光の入射角θRとの差(θC−θR)が大きいほど、波長シフトは大きいことが分かる。なお、説明の便宜上、この現象を「波長シフト現象」と呼ぶ。
前記特開2000−352689号公報及び特開2001−264682号公報に記載の実施例では、製造時の露光用の参照光源の位置をイメージコンバイナの射出瞳の位置と一致させて製造した反射型ホログラム光学素子が用いられている。すなわち、露光時の参照光源の位置が再生系の瞳位置に定義されている。従って、再生時の主光線については、全画角に渡って、露光時の参照光の入射角と視線の角度との差が実質的にゼロとなるのに対し、イメージコンバイナの射出瞳内においてその中心からずれた位置を通る光線(マージナル光線)については、視線の角度θCと参照光の入射角θRとに差が生じる。このため、使用時のマージナル光線においては、前記波長シフト現象によって波長シフトが起こる。
また、前記従来の画像表示装置において使用者の眼の瞳の中心がイメージコンバイナの射出瞳中心から射出瞳周辺にいくに従って、表示画面が暗くなる原因は、瞳周辺にいくに従い波長シフトが大きくなることから、入射照明光のバンド幅と回折強度の波長特性とを掛け合わせた結果としての強度が、瞳周辺に行くに従い下がっているためであり、画像がにじんだように見える原因は、瞳周辺に行くに従い、回折波長が変化しているために横色収差が生じているためであることが判明した。
本発明者は、特開2000−352689号公報及び特開2001−264682号公報に記載のいくつかの実施例の画像表示装置について、観察者(使用者)の瞳から画像形成素子(液晶表示素子などの画像形成部材)へ向かって光線追跡を行うことにより、前記回折波長変化およびそれによる横色収差の量を具体的に求めた。以下にその結果を述べる。
特開2000−352689号公報に記載の実施例3の場合、主光線すなわち瞳の中央から像面の各点へ向かう光線に関してはブラッグ条件を満たすので、露光波長と同じ波長532nmの光はすべての画角にわたって高い回折効率で反射回折するが、瞳座標y=1.5mm(y軸は紙面内上向きにとる)から入射する光線の回折効率は527nmのとき最大となる。逆に瞳座標y=−1.5mmの位置から入射する光線の回折効率は537nmのとき最大となる。すなわち、瞳の周辺に行くに従って回折波長は±5nmシフトしていることが分かる。ここで瞳座標とは、瞳の中心を原点とする瞳面内の位置座標であり、その単位をmmとする。
照明光源に532nm付近に発光ピークを持つ緑色のLEDを用いた場合、例えばその発光特性が半値全幅で10nm程度とすると、波長532nmの発光強度を1として、波長527nmの発光強度は0.5、波長537nmの発光強度は0.5である。従って瞳座標y=±1.5の位置ではたとえ回折効率が90%以上の高効率だったとしても、回折波長が±5nmシフトしているために照明光の強度が中心に比べて0.5以下になってしまい、観察像が暗くなってしまう。
また、横色収差を計算すると、波長532nmで瞳中心から画角0°で入射する光の像面上でのy座標y=0.0に対して、波長527nmで瞳座標y=1.5mmから入射する光線の像面上での高さはy=−0.10mm、波長532nmで瞳座標y=−1.5mmから入射する光線の像面上での高さはy=0.12mmであり、0.1mm以上の横色収差を生じている。
像面すなわち映像形成部材上に、仮に1/4インチ(4.8×3.6mm)のQVGA(320×240画素)の液晶表示装置を置くとすると、1画素の大きさは0.015mm角であり、上記の倍率色収差量は7画素ないし8画素分に相当する大きな値である。すなわちこの波長シフトによる色収差によって、瞳周辺に行くに従い像がにじんだようになる。
本発明者は、このような従来の画像表示装置における前記不都合の原因究明の結果に基づき、この波長シフト現象についてさらに研究すると、(θC−θR)に対する相対回折主波長の変化の傾きは、露光時の参照光入射角θRに依存することがわかった。
そこで(5)式においてθR=0、θO=180°としてみると、これはHOEの両面の法線方向から露光する場合に相当し、その場合(5)式は
λC/λR=cosθC ...(6)
となる。
この状態で、反射型HOEは空気中にあるとして、視線の角度θC(画角に相当)を変えて相対回折主波長と視線に対応する照明光入射角θIのふるまいを調べた。その結果を下記の表2に示す。
表2から分かるように、視線の角度θCが±5°変化に対して相対回折主波長の変化は約±0.4%である。すなわち露光波長を476nmとすると、回折主波長の波長シフトは±1.9nmと前述の例に比べて非常に小さい値となる。すなわち、HOEの両面の法線方向から露光した反射型HOEを用いてイメージコンバイナを構成すれば、使用者の視線の角度が変わっても波長シフトがほとんど起こらない。
したがって、表示画面の周辺部においても、あるいは使用者の眼の瞳の中心がイメージコンバイナの射出瞳の中心からずれた場合でも、表示画面が暗くなったり表示画像が滲んだように見えたりすることが少なくなり、画質は前記従来の画像表示装置に比べて大きく向上する。これにより、使用者の使い勝手が大幅に向上するということを発見した。
ところで、反射型HOEに対する光線の入射角と反射回折角が正反射でない場合には、波長の微小変化に対しても回折角が大きく変化する、すなわち表示画面に色収差が発生することが知られている。
前記特開平2000−352689公報に開示されている第3,4,5の実施例では、反射型HOEに対する視線の角度は0°にしているものの、視線の角度に対応する照明光の入射角はHOEの法線に対して18°程度であり、HOEに対する光線の入射角と反射角が正反射から著しく異なる構成になっているために、照明光のバンド幅による色収差が激しく、性能を低下させている。
以上の検討を踏まえて、使用者の視線の角度の変化に対する波長シフトを小さくし、照明光のバンド幅による色収差を抑えた本発明の構成を、使用時の配置の角度で考える。
画像表示手段の表示部の中心から発せられた主光線が反射型ホログラム光学素子に入射する入射角をホログラム面の法線から測った角度をθ1(°)とし、その主光線が反射型ホログラム光学素子で回折反射される際の反射回折角(すなわちその主光線に対する視線の角度)を同じ法線から測った角度をθ2(°)とするとき、使用者の視線の角度が±5°程度変化したときの波長シフトによる表示画面の明るさの低下をある程度以上向上させようとする場合には、下記の式を満たすことが好ましい。
−5<θ1<5、かつ|θ1−θ2|<3
そして、使用者の視線の角度のより大きな変化に対しても波長シフトを抑える場合には、
−3<θ1<3、かつ|θ1−θ2|<3
であることがさらに好ましい。
又、QVGA規格の液晶表示装置を用いた場合、上下方向の画角を±6°としたときに横色収差が実質的にない領域が中央部約30%の中に入っていれば、上下端に残存する横色収差も許容範囲となると考えられる。このような条件を満足させるために、|θ1−θ2|を2°以下にすることが好ましい。画質を更に向上させるためには|θ1−θ2|を1.5°以下にすることがより一層好ましい。
以上は画像形成素子の表示部の中心に対応する主光線についての説明であった。この光線のみならず反射型HOEで回折反射するすべての光線に対して、入射角と反射角を等しくすれば、全く横色収差のない画像情報を眼に導くことができる。しかし、そうした場合は、反射型HOEは、波長選択性については作用するものの、レンズ作用(すなわち光学的パワー)を持たない平面ミラーとしての働きしかしないことになる。そうした場合は、全体の系を考えると、画像形成素子側の光学系ですべての収差(球面収差や非点収差など)を補正しなければならなくなり、その部分の光学系が複雑になってしまう。
このため、光学系を簡略化するためには、反射型HOEに光学的パワーを持たせることが好ましい。この場合、画像形成素子の表示部の中心に対応する主光線に関して横色収差が生じないようにしても、画像形成素子の周辺からの光線に関しては横色収差が発生する。しかし、反射型HOEに極端に強い光学的パワーを持たせなければ、他の光学系の分散で打ち消し、実用上問題ない範囲に抑えることも可能であり、問題にならない。
また、先に検討したように、横色収差補正の必要な波長範囲は、最大限で反射型HOEの波長選択性の範囲であれば良いため、ある程度の横色収差補正でも十分であり、横色収差補正の完全化のために反射型HOEのレンズ作用を犠牲にするほどではない。
又、反射型体積型HOEの回折特性は、鋭い波長選択性(ある入射角で入射する再生照明光に対して、特定の波長の光だけが特定方向に回折される特性)を持つので、反射型ホログラム光学素子として体積型のものを用いることが特に好ましい。
さらに、主光線の画像形成手段からの射出方向が、画像形成手段の表示部の面と略垂直な方向とされているようにすると、画像形成手段の面上のどの位置からの主光線についても、前記関係式が成立するようにすることができるので好ましい。
このようなイメージコンバイナを画像合成手段として使用し、画像形成手段からの光によりHOEに形成された画像と、外界からの画像を合成して使用者の眼に導くもので、使用者の眼に近接して使用されるようなものとすることが特に好ましい。例えば、ヘッドマウントディスプレイのように使用者に装着して使用されるか、カメラのファインダや双眼鏡の接眼レンズ等のように、使用時に、使用者の眼に近接した状態で使用される場合が考えられる。このように、本発明の画像合成装置は、特に、使用者の眼の近傍、多くの場合は眼球表面から15mm以内離れた位置で使用することを想定している。
前記第8の発明から第13の発明においては、反射型ホログラム光学素子を必ずしもイメージコンバイナとして使用せず、単に画像形成素子からの光を回折反射して画像を形成し、目視可能なものとするために使用される場合をも含んでいる。このようなシースルーでない画像表示装置は、例えば携帯電話のフリッパ部に内蔵することができる。
前記目的を達成するための第14の発明は、画像形成素子からの光を反射型ホログラム光学素子に照射して形成された画像を、外界からの光に重畳させて2重画像を形成するイメージコンバイナを有する画像表示装置であって、透光体中に設けられた偏光ビームスプリッタと、前記偏光ビームスプリッタから見て外界側に設けられた1/4波長板とを有し、前記反射型ホログラム光学素子は、前記1/4波長板の外界側に設けられており、前記画像形成素子からの光は、前記偏光ビームスプリッタで反射されるような偏光状態で前記透光体に入射し、前記透光体の両面で全反射されながら前記偏光ビームスプリッタに入射して反射され、前記1/4波長板を透過した後、前記反射型ホログラム光学素子にθ1(°)の入射角で入射して、反射角θ2(°)で回折反射され、再び前記1/4波長板を透過した後、前記偏光ビームスプリッタを透過し、前記透光体を透過した外界からの光と共に使用者の眼に至るように構成され、前記入射角θ1と反射角θ2の間に、
|θ1−θ2|<3
の関係があることを特徴とする画像表示装置である。
本発明においては、|θ1−θ2|<3の関係をシースルー型の画像表示装置に使用するために、偏光ビームスプリッタを使用している。後に実施の形態で述べるように、偏光ビームスプリッタを使用することにより、画像形成素子からの光を、薄い透光体中を全反射させながら、効率良く反射型ホログラム光学素子に導き、|θ1−θ2|<3の条件を満足させた状態で、使用者の眼に導くことができる。なお、透光体の両側の面は平行であることが、画像形成素子からの光を導く上においては好ましいが、全反射条件を満足すれば必ずしも平行である必要はなく、光学的パワーを有するものであってもよい。このことは、後記第15の発明、第16の発明において同じである。
前記目的を達成するための第15の発明は、画像形成素子からの光を反射型ホログラム光学素子に照射して形成された画像を、外界からの光に重畳させて2重画像を形成するイメージコンバイナを有する画像表示装置であって、透光体中に設けられた偏光ビームスプリッタと、前記偏光ビームスプリッタから見て外界側で、前記透光体に対してエアギャップを介した位置に設けられた1/4波長板とを有し、前記反射型ホログラム光学素子は、前記1/4波長板の外界側に設けられており、前記画像形成素子からの光は、前記偏光ビームスプリッタで反射されるような偏光状態で前記透光体に入射し、前記透光体の両面で全反射されながら前記偏光ビームスプリッタに入射して反射され、前記1/4波長板を透過した後、前記反射型ホログラム光学素子にθ1(°)の入射角で入射して、反射角θ2(°)で回折反射され、再び前記1/4波長板を透過した後、前記偏光ビームスプリッタを透過し、前記透光体を透過した外界からの光と共に使用者の眼に至るように構成され、前記入射角θ1と反射角θ2の間に、
|θ1−θ2|<3
の関係があることを特徴とする画像表示装置である。
本発明は、前記第14の発明とは、1/4波長板と反射型ホログラム光学素子が、透光体とのエアギャップを介するように設けられている点が異なっている。後に実施の形態で説明するように、このようにすることにより、使用する光線が反射型ホログラム光学素子との間で多重反射を繰り返すことが無くなり、ホログラムの特性が悪化することを防止できると共に、1/4波長板の大きさを小さくすることができる。さらに、外界からの光を受光する際に光学的パワーを持たせたい場合、透光体は平行平面とし、これとエアギャップを介して配置され、1/4波長板と反射型ホログラム光学素子が取り付けられる部材に光学的パワーを持たせるようにすることにより、画像形成素子からの光の光路の光学設計が容易になる。
前記目的を達成するための第16の発明は、画像形成素子からの光を反射型ホログラム光学素子に照射して形成された画像を、外界からの光に重畳させて2重画像を形成するイメージコンバイナを有する画像表示装置であって、透光体中に設けられた偏光ビームスプリッタと、前記透光体中で、前記偏光ビームスプリッタの前記画像形成素子とは反対側に設けられた1/4波長板とを有し、前記反射型ホログラム光学素子は、前記1/4波長板に対して、前記偏光ビームスプリッタとは反対側に設けられており、前記画像形成素子からの光は、前記偏光ビームスプリッタを透過するような偏光状態で前記透光体に入射し、前記透光体の両面で全反射されながら前記偏光ビームスプリッタに入射して透過し、前記1/4波長板を透過した後、前記反射型ホログラム光学素子にθ1(°)の入射角で入射して、反射角θ2(°)で回折反射され、再び前記1/4波長板を透過した後、前記偏光ビームスプリッタで反射され、前記透光体を透過した外界からの光と共に使用者の眼に至るように構成され、前記入射角θ1と反射角θ2の間に、
|θ1−θ2|<3
の関係があることを特徴とする画像表示装置である。
本発明においては、反射型ホログラム光学素子が透光体の中に埋め込まれているので、使用状況において安定した特性を有し、かつ、使用する光線が反射型ホログラム光学素子との間で多重反射を繰り返すことが無くなり、ホログラムの特性が悪化することを防止できる。
前記目的を達成するための第17の発明は、画像形成素子からの光を反射型ホログラム光学素子に照射して形成された画像を、外界からの光に重畳させて2重画像を形成するイメージコンバイナを有する画像表示装置であって、透光体中に設けられたハーフミラーを有し、前記反射型ホログラム光学素子は、前記透光体の外界に面する面に設けられており、前記画像形成素子からの光は、前記透光体に入射し、前記透光体の両面で全反射されながら前記ハーフミラーに入射して反射され、前記反射型ホログラム光学素子にθ1(°)の入射角で入射して、反射角θ2(°)で回折反射され、前記ハーフミラーを透過し、前記透光体を透過した外界からの光と共に使用者の眼に至るように構成され、前記入射角θ1と反射角θ2の間に、
|θ1−θ2|<3
の関係があることを特徴とする画像表示装置である。
前記目的を達成するための第18の発明は、画像形成素子からの光を反射型ホログラム光学素子に照射して形成された画像を、外界からの光に重畳させて2重画像を形成するイメージコンバイナを有する画像表示装置であって、透光体中に設けられたハーフミラーを有し、前記反射型ホログラム光学素子は、前記透光体に対してエアギャップを介した位置に設けられており、前記画像形成素子からの光は、前記透光体に入射し、前記透光体の両面で全反射されながら前記ハーフミラーに入射して反射され、前記反射型ホログラム光学素子にθ1(°)の入射角で入射して、反射角θ2(°)で回折反射され、前記ハーフミラーを透過し、前記透光体を透過した外界からの光と共に使用者の眼に至るように構成され、前記入射角θ1と反射角θ2の間に、
|θ1−θ2|<3
の関係があることを特徴とする画像表示装置である。
前記目的を達成するための第19の発明は、画像形成素子からの光を反射型ホログラム光学素子に照射して形成された画像を、外界からの光に重畳させて2重画像を形成するイメージコンバイナを有する画像表示装置であって、透光体中に設けられたハーフミラーを有し、前記反射型ホログラム光学素子は、前記透光体中で、前記ハーフミラーの前記画像形成素子とは反対側に設けられており、前記画像形成素子からの光は、前記透光体に入射し、前記透光体の両面で全反射されながら前記ハーフミラーに入射して透過し、前記反射型ホログラム光学素子にθ1(°)の入射角で入射して、反射角θ2(°)で回折反射され、前記ハーフミラーで反射され、前記透光体を透過した外界からの光と共に使用者の眼に至るように構成され、前記入射角θ1と反射角θ2の間に、
|θ1−θ2|<3
の関係があることを特徴とする画像表示装置である。
これら第17の発明から第19の発明は、それぞれ、前記第14の発明から第15の発明における偏光ビームスプリッタの代わりにハーフミラーを用いたものである。よって、光量が1/4程度に低下するが、強い光源を使用可能な場合には、安価なハーフミラーを使用して構成できるため、装置全体を安価にすることができる。
図2は、本発明における反射型HOEを定義する座標系を示す図である。
図3は、ホログラムの特性を説明するための図である。
図4は、露光の角度をパラメータにして、視線の角度θCの露光時における参照光入射角θRに対する(θC−θR)を変えたときの(5)式に示す相対回折主波長λC/λRの値の変化を示すグラフである。
図5は、本発明の第1実施の形態の具体例における横収差図である。
図6は、本発明の第2の実施の形態である画像表示装置の構成およびその光線の経路を示す図である。
図7は、第2実施の形態の、第1の具体例における横収差図である。
図8は、第2実施の形態の、第2の具体例における横収差図である。
図9は、第2実施の形態の、第3の具体例における横収差図である。
図10は、第2の実施の形態の、第1から第3の具体例を多重化した場合の、RGBスポット位置ずれ、及びディストーションを示す図である。
図11は、第2の実施の形態の、第1から第3の具体例を多重化した場合の、画角の変化に対する明るさバランスの変化、及び瞳座標の変化に対する明るさバランスの変化を示す図である。
図12は、本発明の第3の実施の形態である画像表示装置の構成およびその光線の経路を示す図である。
図13は、第3の実施の形態の第1具体例における横収差図である。
図14は、第3の実施の形態の第2具体例における横収差図である。
図15は、第3の実施の形態の第3具体例における横収差図である。
図16は、第3の実施の形態の、第1から第3の具体例を多重化した場合の、RGBスポット位置ずれ、及びディストーションを示す図である。
図17は、第3の実施の形態の、第1から第3の具体例を多重化した場合の、画角の変化に対する明るさバランスの変化、及び瞳座標の変化に対する明るさバランスの変化を示す図である。
図18は、第2の実施の形態、及び第3の実施の形態の具体例で用いたLED光源の発光スペクトルを示す図である。
図19は、本発明の第4の実施の形態である画像表示装置のその光線の経路を示す図である。
図20は、本発明の第4の実施の形態である画像表示装置におけるGreen代表3波長の横収差図である。
図21は、本発明の第4の実施の形態である画像表示装置におけるBlue代表3波長の横収差図である。
図22は、本発明の第4の実施の形態である画像表示装置におけるRed代表3波長の横収差図である。
図23は、本発明の第4の実施の形態である画像表示装置における、多重化した場合のRGBスポット位置ずれおよびディストーションを示す図である。
図24は、本発明の第4の実施の形態である画像表示装置における、は多重化した場合の画角および瞳座標の変化に対する明るさバランスの変化を示す図である。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態である、イメージコンバイナを用いた画像表示装置の構成及びその光線(画像形成素子2からの光線のみ)の概略の経路を示す図である。(a)は全体の概要図、(b)はA部の部分拡大図である。
ここでは図1に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する。すなわち、図1の紙面内の左右方向をZ軸とし、右方向をZ座標値のプラス方向とする。図1の紙面内の上下方向をY軸とし、上方向をY座標値のプラス方向とする。図1の紙面に垂直な方向をX軸とし、右手系3次元直交座標系とする。すなわち、図1の紙面から奥の方向をX座標値のプラス方向とする。なお、Y軸方向は、実際の上下方向と一致していてもよいし、その他の適宜の方向であってもよい。又、本発明の実施の形態の説明では、図2に示す配置を基に説明する。なお、図中で5は板状部であり、板状部5の、イメージコンバイナ1の射出瞳Pに近い側の面を5aとし、遠い側の面を5bとする。又、座標軸の方向も各実施の形態を示す図全部において図2に示すとおりである。ただし、原点は図で示した位置に限らず、任意の位置でよい。これらの定義は後述する図6および図12についても、同様である。
本実施の形態の画像表示装置は、イメージコンバイナ1と、画像形成素子2とを備えている。本実施の形態では、画像形成素子2として透過型LCDが用いられている。画像形成素子2は、LED3及び放物面鏡等の反射鏡4からなる光源からの光により、その背後から照射され、光源光を空間光変調して表示画像を示す光を透過させる。なお、画像形成素子2として、反射型LCD等の他の素子を用いてもよいし、エレクトロルミネッセンス発光素子などの自発光型の素子を用いてもよいことは、言うまでもない。
イメージコンバイナ1は、ガラスやプラスチック等の光学材料で、上部を除いて平行平板上に構成された板状部5を備えている。もっとも、板状部5は、例えば使用者の視力矯正用光学的パワーを有していてもよい。その場合には、例えば板状部5のZ軸方向の両面5a、5bのうちの少なくとも一方の面は、曲面で構成される。これらの点は、後述する各実施の形態についても同様である。なお、板状部5は、図1中の下方にも延びているが、その図示は省略している。
導光部11は平凸レンズで構成され、画像形成素子2からの光が入射される曲面からなる入射面11bと、入射面11bから入射した光を射出して板状部の面5aの図1中の上部付近に入射させる平面からなる射出面11aとを有している。また画像形成素子2と導光部11の間にλ/2板9を有している。
板状部5は、フレーム等の支持部材(図示せず)を介して、眼鏡レンズと同様に、使用者の頭部に装着されて、使用者の眼(図示せず)の前に位置する。図1において、Pは、イメージコンバイナ1の、画像形成素子2からの光に対する射出瞳を示し、P0は射出瞳Pの中心を示す。この射出瞳Pが使用者の眼の瞳とほぼ一致するように、イメージコンバイナ1が使用者に装着される。従って射出瞳の中心P0は、使用者の眼の瞳の中心とほぼ一致する。
図1では、Z軸方向が板状部5の厚み方向と一致している。板状部5の眼側の面5a及び反対側の面5bは、XY平面と平行となっている。なお、図面には示していないが、LED3、反射鏡4及び画像形成素子2および導光部11も、前記支持部材により支持されている。これにより、画像形成素子2は、使用者が外界を観察するのを妨げないとともに、使用者が当該画像表示装置を装着するときに邪魔にならないように、板状部5に対して図中紙面内の斜め左上方に配置されている。もっとも、画像形成素子2を他の適当な箇所に配置し、リレー光学系によって図1中の画像形成素子2の位置に表示画像を導いてもよいし、また、スキャン光学系を用いてこの位置に空中画像を形成してもよい。この点は、後述する各実施の形態についても同様である。
なお、図1において、点A1,A2は、画像形成素子2の表示部の図中紙面内での両端の位置をそれぞれ示す。また、点A0は、当該表示部の中心を示す。イメージコンバイナ1は、板状部5の前方から板状部5の厚みdを通過するように(すなわち、面5bから入射して面5aから射出するように)板状部5を透過する光(以下、「外界光」という。)に対して、画像形成素子2からの光を重畳させて、使用者の眼に導くように構成されている。
本実施の形態では、板状部5の面5b面の領域R4、R5を覆う範囲にλ/4板7が設けられている。λ/4板の軸の向きは図1のXY平面において、X軸に対して±45°のいずれかの方向になるように設ける。また、板状部5の面5b上における使用者の眼と対向する位置付近(領域R5)に、反射型ホログラム光学素子(反射型HOE)6が設けられている。
また本実施の形態では、偏光ビームスプリッタ(PBS)8が、図1に示すように、面5a,5bに対して反時計方向に所定角度傾けられている。例えば、PBS8を板状部5と同じ材質の小片に接着させて作成し、その後その小片を板状部5を形成する型枠の中に配置し、板状部5の材質を溶かした状態で型枠の中に流し込み、その後固めることによって、PBS8を板状部5の内部に設けることができる。もっともPBS8を板状部5の内部に設ける方法は、これに限定されるものではない。
る導光部11の面11aと対向する位置付近において、板状部5の内部に反射面(ミラー)5cが設けられている。反射面5cは、図1に示すように、面5a,5bに対して反時計方向に所定角度傾けられている。なお反射面5cより図1の斜め上側の板状部5の部分は、画像形成素子2からの光が通過しないので、カットしておいてもよい。この場合、反射面5cは板状部5の表面に設けられることになる。
画像形成素子2からの光の波長は、前記反射型HOE6の回折効率ピークの波長を含む波長幅を持ち、その波長幅のうち極大部が回折効率ピークの波長と略一致しており、この反射型HOE6で画像形成素子2からの光を反射させる。一方、反射型HOE6は、外界光(図示せず)を偏向させることなく透過させる。なお、反射型HOE6としては、外界光を極力妨げることがないように、波長選択性の高いものを用いることが好ましい。反射型HOE6として、R,G,Bの各色を代表する狭い波長域の3波長光に対してそれぞれ選択性を持つものを用いれば、使用者が見る表示画像をカラー化することも可能である。
反射型HOE6は、図1に示すように、画像形成素子2からの光を観察者の瞳の方向へ反射させる特性を有しているとともに、所定の結像作用を持つように光学的パワーを有している。もっとも、反射型HOE6は、必ずしも光学的パワーを持つ必要はない。反射型HOE6は、平面状のものでもよいし、曲面状のものでもよい。反射型HOE6として曲面状のものを用いる場合、その曲面の曲率中心が使用者の眼側にあるように配置すると、画角が大きい場合に、反射型HOE6の発生する画角による収差変動量が小さくなり、好ましい。
反射型HOE6を構成するためのホログラム感光材料としては、例えば、フォトポリマー、フォトレジスト、フォトクロミック、フォトダイクロミック、銀塩乳剤、重クロム酸ゼラチン、ダイクロメートゼラチン、プラスチック、強誘電体、磁気光学材料、電気光学材料、非晶質半導体、フォトリフラクチィブ材料等が用いられる。そして、公知の手法に従い、製造用の光学系にて2つの光源からの光を前記材料に同時に照射することによって、反射型HOE6を作製することができる。
本実施の形態では画像形成素子2としてLCDを用いているので、画像形成素子2から出た光は直線偏光になっている。λ/2板9の軸は、画像形成素子2からの直線偏光が、Y軸の方向に偏光している直線偏光となるような方向に配置する。画像形成素子2の表示部上の任意の点を通過した光(表示画像の光)は、λ/2板9を透過して上記偏光面回転作用を受けた後、導光部11の平凸レンズを透過し、板状部5の面5aの領域R0から板状部5内に入射する。
領域R0から板状部5内に入射した光は、反射面5cで反射された後に、板状部5の面5aの領域R1に臨界角より大きい入射角で入射し、領域R1で全反射される。この光は、板状部5の面5bの領域R2に臨界角より大きい入射角で入射し、領域R2で全反射される。この光は、さらに板状部5の面5aの領域R3に臨界角より大きい入射角で入射し、領域R3で全反射される。この光は、さらに板状部5の面5bの領域R4に臨界角より大きい入射角で入射し、領域R4で全反射した後、PBS8に入射する。
この光の偏光方向は、板状部5に入射するときはY軸方向に偏光しているが、R4領域で空気との臨界面で全反射する際に、λ/4板7を2度透過するため、合わせてλ/2の位相変化を受け、偏光方向が90°変わり、X軸方向の直線偏光になる。すなわち、S偏光となってPBS8入射するため、PBS8で反射される。
そして、5b面のR5領域のλ/4板7に入射して円偏光に変換された後、反射型HOE6により、反射回折作用及び結像作用を受ける。その後、この光は、再度λ/4板7を通ってP偏光の直線偏光となるため、PBS8に再度入射の際は透過する。そして板状部5の面5aの領域R6から板状部5外へ射出される。
このとき、画像形成素子2の同一箇所から出た光は、射出瞳Pから無限遠又は所定距離(後述する具体例では、600mm)に拡大虚像を形成するように、射出瞳Pに置かれた使用者の眼の瞳に入射する。
画像形成素子2から発し、反射型HOE6で回折反射された後に使用者の眼に到達する光は、LED3の発光スペクトル特性と反射型HOE6の波長選択性とに応じて、通常は1つの波長領域の成分のみを持つ。しかし、たとえばLED3として白色LEDを用いると共に反射型HOE6としてカラーの反射型HOEを用いるような場合には離散的な複数の波長領域成分を持つ。ここで画像形成素子2から発し、反射型HOE6で回折反射された後に、使用者の眼に到達する光のうちの、画像形成素子2の中心A0から発して射出瞳Pの中心に到達する光線について考える。この光線のうち波長が前記1つの波長領域の略中心波長または前記複数の波長領域のうちの最も短波長側の波長領域の略中心波長である光線で、かつ光束の中心をここでは主光線と呼ぶ。
ここで、第1の実施の形態の具体例について説明する。この具体例の設計に際し、設計プログラムとして、当該技術分野において著名な米国のOptical Research Associates製のcode V(商品名)を用いた。このとき、画像形成素子2の表示部の中心A0中央から発して、射出瞳Pの中心POを通過する光線の経路を、この光学装置全体の光軸と定義する。本具体例では、光軸は1本の直線ではなく、互いに傾いた線分を連結した形状となっている。これらの点は、後述する各実施の形態の具体例についても同様である。
この具体例の光学的な諸量は、下記のとおりである。
射出瞳Pの径は3mmである。図中紙面内上方向の視野角度は5°である。図中紙面内下方向の視野角度は−5°である。紙面奥行き方向の視野角は±6.67°である。図中紙面内での画面サイズ(点A1と点A2との間の長さ)は3.6mmである。紙面奥行き方向の画面サイズは4.8mmである。板状部5の厚さdは3.4mmである。使用波長は約480nm〜約540nmの波長幅である。板状部5の波長587.56nm(d線)に対する屈折率はnd=1.593947で、アッベ数はνd=34.99である。
反射型HOE6の定義については露光に用いる2光束を定義することによりホログラムを一義的に定義する。2光束の定義は光源の位置と、各光源からの出射ビームが収束(VIR)か発散(REA)のどちらかで定義する。第1の点光源(HV1)の座標を(HX1,HY1,HZ1)、第2の点光源の座標を(HX2,HY2,HZ2)とする。この座標は図2に示すようにHOE面が光軸と交わる点を原点とし、光軸方向にZ軸、HOE面内で紙面上方向をY軸、紙面の奥行き方向をX軸としている。
またホログラムを記録する乳剤は厚み29μm、屈折率1.493、屈折率変調は0.0224のものを使用している。露光波長は532nmである。HOE6は結像性能を最適にするために位相関数成分を持っている。
ここで位相関数について説明すると、位相関数は、反射型HOE6の純粋な各2個の点光源により定義される以外の非球面的な位相変換量を定義するもので、光学設計プログラムcode Vにおいては、X,Y軸成分の多項式係数などを用いて指定することができる。また、この具体例の光線追跡のための諸量を、下記の表3に示す。光学面の順序(面番号の順序)は使用者の眼の瞳面(=イメージコンバイナ1の射出瞳Pの面)から画像形成素子2への順である。なお表3において、各面番号に対応する図1中の参照符号を括弧書きの「符号」として示している。この点は、後述する表についても同様である。
表3で用いた位相関数の定義は、反射型HOE6をXY座標面上の位置と指定した点に入射する光線の受ける光路差を、使用する波長で規格化した値で表すもので、m,nを整数とするとき、一般形の下記の(7)式で表される多項式の係数を指定することで決められる。ただし、C0 0=0である。
ただし、この係数は65個まで指定可能であって、順にC1,C2,C3,・・・,C65と呼び、係数の順番をjという整数で表すときに、X座標及びY座標の次数を示す整数m,nとの間に下記の(8)式の関係が成り立つように対応付ける。
j={(m+n)2+m+3n}/2 ...(8)
すなわち、本例では、位相関数は、下記の(9)式の多項式で定義されている。このような位相関数の定義は、後述する表についても同様である。
C1X+C2Y+C3 X2+C4 XY+C5Y2 +・・・+C65Y10 …(9)
また、本具体例における各光学面の位置関係として、第1面(面番号1=図1中の符号P)の中心を原点(X,Y,Z)=(0,0,0)とした各光学面の中心の絶対位置とX軸の周りの回転量(反時計周りを正として測った値)を、下記の表4に示す。
本具体例について回折効率を計算すると、画角−5°、0°、+5°の主光線の回折効率主波長、およびそれぞれの画角の瞳座標の端と中心の光線の回折効率主波長は下記の表5に示すとおりとなっている。
表5によると、回折効率主波長は、画角の変化に対しても瞳座標の変化に対してもほとんど変動していないことが分かる。さらに、本具体例の光学系の結像性能を表すための横収差図を、図5に示す。画角ごとに回折主波長±5nmの光線の横収差図を一つの図に同時に示してある。図5から、画角内全域に渡って色収差が少なく、結像性能が優れていることが分かる。
本具体例では、画像表示手段の表示部の中心から発せられた主光線が反射型ホログラム光学素子に入射する入射角θ1は0.05°であり、回折反射される際の反射回折角θ2は0°であって、前述した条件を満たしている。その結果、既に説明した内容から分かるように、視線の角度によって回折波長のシフトが起こらず、表示画像の画質を向上させることができる。
また、本実施の形態の具体例の反射型HOE6は、第1光源と第2光源が反射型HOE6の法線方向で反対の向きにあり、第1光源は無限遠である。したがって、本実施の形態の反射型HOE6を製造するときには、参照光は平面波であり、物体光は設計した位相係数による位相変換作用と等価な波面を生成する露光レンズによって構成された露光レンズ系を通って非球面波面となる。このとき参照光と物体光を反射型HOE6の法線方向に同軸に設定することができ、露光光学系の軸合わせが簡単になるという利点がある。
ところで、本実施の形態による反射型HOE6は板状部5の面5b上の領域R5に接合されるが、この反射型HOE6の有効領域は同じ面5b上の領域R4と空間的に重なっている。そのため画像形成素子からの光束は領域R4で全反射する際に、反射型HOE6を通過することになる。この影響を検討する。本実施の形態のθR、θ0は、θR=0,θ0=180°であるので、波長シフト現象は(10)式に従う。
λC/λR=cosθC …(10)
ここでθCは乳剤中の入射角であるので、板状部内の入射角をθC1、屈折率をn1、乳剤の屈折率をn2として、(10)は下記の様に書き直せる。
λC/λR=cos[arcsin{(n1/n2)×sinθC1}] …(11)
光束が板状部内で領域R4を通過するときのHOE6への入射角は概ね60°である。θC1=60°とすると、(11)式の値はλC/λR=0.372となり、本実施の形態の露光波長λR=532nmの場合は、λC=198nmとなる。
すなわち本実施の形態の反射型HOE6に領域R4で入射角60°で入射する際の回折主波長は198nmであることが分かる。光源として用いるLED3にそのような短波長のスペクトルは含まれない。したがって画像形成素子からの光が反射型HOE6に領域R4で入射しても回折は起こらず、空気との界面で全反射するだけであり、結像に悪影響はない。
本実施の形態で露光波長を赤色の647nmとした場合でも、同様の計算からR4領域での回折主波長は241nmであり、紫外域であるため結像に悪影響はないことが分かる。したがって後述する第2、第3の実施の形態と同様に、本実施の形態の具体例もR,G,B相当のHOE6を設計して多重化しフルカラーの画像表示装置にすることも可能である。
[第2の実施の形態]
図6は、本発明の第2の実施の形態である画像表示装置の構成およびその光線(画像形成素子2からの光線のみ)の経路を示す図である。図6において、図1中の要素と同一または対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。なお図6において、図1に示された光源を構成するLED3及び反射鏡4は、図示を省略している。又、(a)は全体の概要図、(b)はB部の部分拡大図である。
本実施の形態が前記第1の実施の形態と基本的に異なるところは、板状部5の面5bの外側にエアギャップを介して薄い別の板状部21が設けられていることである。そして、λ/4板7と反射型HOE6は板状部21の使用者側の面21a上の、使用者の視線に対向する位置に設けられている。
そして本実施の形態では、λ/2板9の軸は画像形成素子からの直線偏光をX軸の方向に偏光する直線偏光に変換するような向きに配置されている。この光はPBS8に入射する際S偏光であるから、PBS8で反射され、λ/4板7で円偏光に変換され、反射型HOE6で反射回折作用及び結像作用を受ける。そして再度λ/4板7を通ってP偏光に変換され、再度PBS8に入射する際は使用者の眼の方へ透過する。また本実施の形態では導光部11を用いず、板状部の左上方に面5dを設け、面5dは回転対称非球面形状をしている。
そして、光源を構成するLED3として、3色LEDが用いられている。図18はLED3の発光スペクトルを示す。図18においてラインLRはLED3の赤色発光部の発光スペクトルを示し、ラインLGはLED3の緑色発光部の発光スペクトルを示し、ラインLBはLED3の青色発光部の発光スペクトルを示している。図18から分かるように、LED3が発する光はR(赤)の波長領域、G(緑)の波長領域及びB(青)の波長領域の各波長領域においてそれぞれピーク波長を有し、各ピーク波長の前後に渡る各波長領域においてそれぞれ強度を有している。このLED3のR波長領域におけるピーク波長についてのスペクトル強度の半値全幅は23nm、G波長領域におけるピーク波長についての半値全幅は60.8nm、B波長領域におけるピーク波長の半値全幅は29nmである。これらの点は後述する各実施の形態についても同様である。
<第1の具体例>
本実施の形態の第1の具体例について図6を用いて説明する。この具体例の光学的な諸量は下記のとおりである。
射出瞳Pの径は3mmである。図中紙面内上方向の視野角度は5°である。図中紙面内下方向の視野角度は−5°である。紙面奥行き方向の視野角は±6.67°である。図中紙面内での画面サイズ(図1における、点A1と点A2との間の長さ)は3.6mmである。紙面奥行き方向の画面サイズは4.8mmである。板状部5の厚さdは3.4mmである。板状部5は前記第1の実施の形態の具体例と同じ材質を用いている。
また、この第1の具体例の光線追跡のための諸量を、下記の表6に提示する。光学面の順序(面番号の順序)は使用者の眼の瞳の面(=イメージコンバイナ1の射出瞳Pの面)から画像形成素子2への順である。ここで、λ/4板7とλ/2板9は、液晶画面の照明光の偏光補正に用いられる広帯域に対応するごく薄いシート状の波長板を用いる。厚さは無視できるため、光線追跡では省略している。これは本発明の別の実施の形態についても同様である。
表4で用いたHOE面の位相関数の定義は、HOEをR2=X2+Y2で表される回転対称な多項式で表すもので、係数は昇順のR2の累乗で、R2からR20までである。
即ち、位相関数は以下の式で定義される。
また、面番号12の非球面は次の式で定義される高次非球面を表している。
ここでr2=x2+y2
cは曲率
kはコーニック定数
A,B,C,D,E,F,G,H,Jは非球面係数である。
また、本具体例における各光学面の位置関係として、第1面(面番号1=図1中の符号P)の中心を原点(X,Y,Z)=(0,0,0)とした各光学面の中心の絶対位置とX軸の周りの回転量(反時計周りを正として測った値)を、下記の表7に示す。
本具体例について回折効率を計算すると、画角−5°、0°、+5°の主光線の回折効率主波長、およびそれぞれの画角の瞳座標の端と中心の光線の回折効率主波長は下記の表8に示すとおりとなっている。
表8より、回折効率主波長は、画角の変化に対しても瞳座標の変化に対してもほとんど変動していないことが分かる。さらに、本具体例の光学系の結像性能を表すための横収差図を、図7に示す。画角ごとに回折主波長±5nmの光線の横収差図を一つの図に同時に示してある。図7から、画角内全域に渡り色収差が少なく、結像性能が優れていることが分かる。
本具体例では、画像表示手段の表示部の中心から発せられた主光線が反射型ホログラム光学素子に入射する入射角θ1は0°であり、回折反射される際の反射回折角θ2も0°であって、前述した条件を満たしている。その結果、既に説明した内容から分かるように、視線の角度によって回折波長のシフトが起こらず、表示画像の画質を向上させることができる。
<第2の具体例>
続いて本実施の形態の第2の具体例について説明する。この具体例の構成は図6に示す第1の具体例と全く同じで、反射型HOE6の露光波長と位相係数のみ異なる。この第2の具体例の反射型HOE6の位相係数を、下記の表9に示す。
本具体例について回折効率を計算すると、画角−5°、0°、+5°の主光線の回折効率主波長、およびそれぞれの画角の瞳座標の端と中心の光線の回折効率主波長は下記の表10に示すとおりとなっている。
回折効率主波長は、画角の変化に対しても瞳座標の変化に対してもほとんど変動していないことが分かる。さらに、本具体例の光学系の結像性能を表すための横収差図を、図8に示す。画角ごとに回折主波長±5nmの光線の横収差図を一つの図に同時に示してある。図8に示すように画角内全域に渡り色収差が少なく、結像性能が優れていることが分かる。
本具体例では、画像表示手段の表示部の中心から発せられた主光線が反射型ホログラム光学素子に入射する入射角θ1は0°であり、回折反射される際の反射回折角θ2も0°であって、前述した条件を満たしている。その結果、既に説明した内容から分かるように、視線の角度によって回折波長のシフトが起こらず、表示画像の画質を向上させることができる。
<第3の具体例>
さらに、本実施の形態の第3の具体例について説明する。この具体例の構成は図6に示す第1の具体例と全く同じで、反射型HOE6の露光波長と位相係数のみ異なる。この第3の具体例の反射型HOE6の位相係数を、下記の表11に示す。
本具体例について回折効率を計算すると、画角−5°、0°、+5°の主光線の回折効率主波長、およびそれぞれの画角の瞳座標の端と中心の光線の回折効率主波長は下記の表12に示すとおりとなっている。
回折効率主波長は、画角の変化に対しても瞳座標の変化に対してもほとんど変動していないことが分かる。さらに、本具体例の光学系の結像性能を表すための横収差図を図9に示す。画角ごとに回折主波長±5nmの光線の横収差図を一つの図に同時に示してある。図9に示すように画角内全域に渡り色収差が少なく、結像性能が優れていることが分かる。
本具体例では、画像表示手段の表示部の中心から発せられた主光線が反射型ホログラム光学素子に入射する入射角θ1は0°であり、回折反射される際の反射回折角θ2も0°であって、前述した条件を満たしている。その結果、既に説明した内容から分かるように、視線の角度によって回折波長のシフトが起こらず、表示画像の画質を向上させることができる。
本実施の形態では、エアギャップを介して別の板状部21を設けているため、板状部5の面5bの透過面である領域R7、R6が、反射面である領域R5と重なっていても、λ/4板7と反射型HOE6は、反射面である領域R5と光学的に分離され、領域R5で光線が反射される際、λ/4板7や反射型HOE6による光学的な影響を防ぐことができるので、領域R7と空間的に、実質的に等価な位置に、λ/4板7や反射型HOE6を配置することができる。そのためλ/4板7の大きさを領域R7、R6の有効径のみの必要最小限に抑えることが可能である。別の板状部21の大きさは、λ/4板7と反射型HOE6の大きさを覆うに十分な大きさであればかまわないが、眼鏡型のイメージコンバイナとして用いる際の外観を意識して、板状部5すなわち眼鏡レンズ全体と等しい大きさでもよい。
そして、別の板状部21は曲率を持つ形状であってもよい。たとえば特願2002−178363号において本発明者が提案したように、使用者の視力を矯正するようなパワーを持たせた形状にすることも可能である。
又、本実施の形態においては、第1の実施の形態と異なり、画像形成素子からの光がHOE面で多重反射されることがない。第1の実施の形態においては、この多重反射の影響が無いことはすでに検討したとおりであるが、設計条件が変わって、この影響が現れるような場合は、本実施の形態のような構成にしておけば、確実に多重反射の影響を無くすることができる。
本実施の形態では、第1から第3の具体例をそれぞれ別の単色の画像表示装置としてもよいことは言うまでもないが、第1から第3の具体例の反射型HOE6をそれぞれ重ね合わせて3層構造にすることも可能である。また、広帯域の波長に感光する一層の乳剤、あるいは各波長領域に対応する感光作用を持つ3層の感光および記録層がバリア層を介して予め接合された乳剤に、第1から第3の具体例のR,G,Bに対応するHOEを露光させる方法でも、同様に多重化した反射型HOE6を得ることができる。
その際、前記LEDからの3つの波長領域の光が画像形成素子を透過するとき、画像表示素子の1表示単位を空間的に3分割して、それぞれR,G,Bに対応するドットとし、対応する画像を表示させてもよいし、時間的に分割してたとえば1/90秒ごとにR,G,Bそれぞれに対応する画像を切り替え表示し、それとLEDの3つの波長領域の発光のタイミングを同期させてもよい。そしてそれぞれの波長領域の画像情報は対応するHOEの層で回折作用及び結像作用を受け、観察者の瞳に導かれたのち、加法混色されてフルカラー画像を得ることが可能となる。このことは後述の第3の実施の形態についても同様である。
図10は本実施の形態の第1から第3の具体例の反射型HOE6を、上記いずれかの方法で多重化した反射型HOEを用いた画像表示装置について、使用者の眼の瞳から画像形成素子へ光線追跡した際の、画像形成素子面上のR,G,Bのスポットの位置ずれを、画面上のいくつかの点について調べ、プロットしたものである。X軸、Y軸の単位はmmである。スポットの位置ずれは概ね20μm以下に補正されており、良好なカラー画像を得ることができる。また、画像形成素子のサイズは3.6×4.8mmであるから、その目盛と比較することで、光学系のディストーションを評価することもでき、図10に示すとおり、各具体例の光学系とも良好にディストーションが補正されていることが分かる。
また図11は同様に多重化した場合に、使用者の眼の瞳から画像形成素子へ光線追跡した際の、Y方向の画角の変化に対する3色の明るさバランス(a)と瞳Y座標の変化に対する明るさバランス(b)を示す。ここで明るさとは、反射型HOE6による反射光の回折強度を、波長と開口形状について積分したもので、どちらも最も明るい点を1として規格化している。(a)の図で若干周辺減光があるのは、幾何光学的な口径食によるものである。回折主波長の波長シフトがごく小さいために、画面内も瞳面内も回折効率による減光はほとんどなく、良好な画像表示が得られることが分かる。
また、本実施の形態の第1から第3の具体例の反射型HOE6は、いずれも、第1光源と第2光源がHOE6の法線方向で反対の向きにあり、第1光源は無限遠である。そして位相係数は回転対称の係数で表されている。したがって、第1から第3の具体例の反射型HOE6を製造するときには、参照光は平行光、物体光を生成する露光レンズは回転対称な非球面レンズ、あるいはそれと等価な波面を生成する複数枚の球面レンズによって構成され、参照光と物体光をHOE6の法線方向に同軸に設定することができ、露光光学系の軸合わせが簡単になるという利点がある。露光レンズはR,G,Bでそれぞれ異なるが、軸は同軸であることから、レボルバやターレットのような構造にして順次交換することや、またはダイクロイックプリズム等の素子を用いて3色の波面を混合して、同時露光する構成も簡単に設定することができる。
[第3の実施の形態]
図12は、本発明の第3の実施の形態である画像表示装置の構成およびその光線(画像形成素子2からの光線のみ)の経路を示す図である。図12において、図1中の要素と同一または対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。なお図12において、図1に示された光源を構成するLED3及び反射鏡4は省略している。又、(a)は全体の構成を示す概要図、(b)はC部の部分拡大図である。
本実施の形態が前記第1の実施の形態と基本的に異なるところは、λ/4板7と反射型HOE6を板状部5の内部に設けたことである。そして、λ/2板9の軸は画像形成素子2からの直線偏光を、X軸の方向に偏光している直線偏光となるような方向に配置されている。すなわちP偏光でPBS8に入射するため、PBS8を透過し、λ/4板7に入射して円偏光に変換された後、反射型HOE6により、反射回折作用および結像作用を受ける。その後再度λ/4板7を通ってS偏光の直線偏光に変換された後、PBS8に再度入射して、使用者の眼の方向へ反射される。ここでλ/4板7の軸は、その法線方向から見て、Y軸を投影した線より±45°いずれかの方向を向いて配置されている。また本実施の形態では凸メニスカス形状の球面レンズである導光部31を用い、板状部の左上方に面5eを設け、面5eは球面形状をしている。そして、光源を構成するLED3として、第2の実施の形態と同様に3色LEDが用いられている。
<第1の具体例>
本実施の形態の第1の具体例について図12を用いて説明する。この具体例の光学的な諸量は下記のとおりである。射出瞳Pの径は3mmである。前記第1、第2の実施の形態とは異なり、図中紙面内上方向の視野角度は0°で、図中紙面内下方向の視野角度は−10°である。紙面奥行き方向の視野角は±6.67°である。図中紙面内での画面サイズ(点A1と点A2との間の長さ)は3.6mmである。紙面奥行き方向の画面サイズは4.8mmである。板状部5の厚さdは3.6mmである。板状部5は前記第1の実施の形態の具体例と同じ材質を用いている。この第1の具体例の光線追跡のための諸量を、下記の表13に示す。光学面の順序(面番号の順序)は使用者の眼の瞳の面(=イメージコンバイナ1の射出瞳Pの面)から画像形成素子2への順である。
また、本具体例における各光学面の位置関係として、第1面(面番号1=図1中の符号P)の中心を原点(X,Y,Z)=(0,0,0)とした各光学面の中心の絶対位置とX軸の周りの回転量(反時計周りを正として測った値)を、下記の表14に示す。
本具体例について回折効率を計算すると、画角−10°、−5°、0°の主光線の回折効率主波長、およびそれぞれの画角の瞳座標の中心と端の光線の回折効率主波長は下記の表15に示すとおりとなっている。
回折効率主波長は、画角の変化に対しても瞳座標の変化に対してもほとんど変動していないことが分かる。さらに、本具体例の光学系の結像性能を表すための横収差図を、図13に示す。画角ごとに回折主波長±5nmの光線の横収差図を一つの図に同時に示してある。図13に示すように画角内全域に渡り色収差が少なく、結像性能が優れていることが分かる。
本具体例では、画像表示手段の表示部の中心から発せられた主光線が反射型ホログラム光学素子に入射する入射角θ1は1°であり、回折反射される際の反射回折角θ2は1°であって、前述した条件を満たしている。その結果、既に説明した内容から分かるように、視線の角度によって回折波長のシフトが起こらず、表示画像の画質を向上させることができる。
<第2の具体例>
続いて本実施の形態の第2の具体例について説明する。この具体例の構成は図12に示す第1の具体例と全く同じで、反射型HOE6に関して露光波長と2光束の定義のみ異なる。
本具体例の反射型HOEの諸量を下記表16に示す。
本具体例について回折効率を計算すると、画角−10°、−5°、0°の主光線の回折効率主波長、およびそれぞれの画角の瞳座標の中心と端の光線の回折効率主波長は下記の表17に示すとおりとなっている。
回折効率主波長は、画角の変化に対しても瞳座標の変化に対してもほとんど変動していないことが分かる。さらに、本具体例の光学系の結像性能を表すための横収差図を、図14に示す。画角ごとに回折主波長±5nmの光線の横収差図を一つの図に同時に示してある。図14に示すように画角内全域に渡り色収差が少なく、結像性能が優れていることが分かる。
本具体例では、画像表示手段の表示部の中心から発せられた主光線が反射型ホログラム光学素子に入射する入射角θ1は0.985°であり、回折反射される際の反射回折角θ2は0.985°であり、前述した条件を満たしている。その結果、既に説明した内容から分かるように、視線の角度によって回折波長のシフトが起こらず、表示画像の画質を向上させることができる。
<第3の具体例>
続いて本実施の形態の第3の具体例について説明する。この具体例の構成は図12に示す第1の具体例と全く同じで、反射型HOE6に関して露光波長と2光束の定義のみ異なる。本具体例の反射型HOEの諸量を下記表18に示す。
本具体例について回折効率を計算すると、画角−10°、−5°、0°の主光線の回折効率主波長、およびそれぞれの画角の瞳座標の中心と端の光線の回折効率主波長は下記の表19に示すとおりとなっている。
回折効率主波長は、画角の変化に対しても瞳座標の変化に対してもほとんど変動していないことが分かる。さらに、本具体例の光学系の結像性能を表すための横収差図を、図15に示す。画角ごとに回折主波長±5nmの光線の横収差図を一つの図に同時に示してある。図15から、画角内全域に渡り色収差が少なく、結像性能が優れていることが分かる。
本具体例では、画像表示手段の表示部の中心から発せられた主光線が反射型ホログラム光学素子に入射する入射角θ1は1.02°であり、回折反射される際の反射回折角θ2は1.02°であって、前述した条件を満たしている。その結果、既に説明した内容から分かるように、視線の角度によって回折波長のシフトが起こらず、表示画像の画質を向上させることができる。
前記第2の実施の形態と同様に、本実施の形態の第1から第3の具体例の反射型HOEを多重化して3色HOEとした場合の、使用者の眼の瞳から画像形成素子へ光線追跡した際の、画像形成素子面上のR,G,Bのスポットの位置ずれを、画面上のいくつかの点について調べ、プロットしたものが図16である。X軸、Y軸の単位はmmである。スポットの位置ずれは概ね29μm以下に補正されており、良好なフルカラー画像を得ることができる。
また図17は同様に多重化した場合に、使用者の眼の瞳から画像形成素子へ光線追跡した際の、Y方向の画角の変化に対する3色の明るさバランス(a)と瞳Y座標の変化に対する明るさバランス(b)を示す。ここで明るさとは、反射型HOE6による反射光の回折強度を、波長と開口形状について積分したものである。(a)の図で周辺減光があるのは、幾何光学的な口径食によるものである。
また、本実施の形態の第1から第3の具体例の反射型HOE6は、いずれも、第1光源と第2光源が反射型HOE6の法線方向で反対の向きにあり、第1光源は無限遠である。そして位相係数は設定していない。したがって、第1から第3の具体例の反射型HOE6を製造するときには、参照光は平面波、物体光は球面波という単純な構成で、参照光と物体光を反射型HOE6の法線方向に同軸に設定することができ、露光光学系の軸合わせが簡単になるという利点がある。露光レンズはそれぞれ焦点距離の異なる顕微鏡対物レンズを用いて交換してもよいし、軸上色収差を発生させた1種類の露光レンズでR,G,Bに対応する球面波を発生することも可能である。1種類の露光レンズで3色の波面を混合すれば、3色のレーザー光を予めひとつの軸に合成しておき、それぞれの光量比を適当に設定した上で同時露光する構成を簡単に設定することができる。
さらに、前述した各実施の形態において、イメージコンバイナの一部としてPBSを使用しているが、このPBSの薄膜特性に波長選択性を持たせることも可能である。そうすることにより外界光のシースルー性を高めることができる。その場合、PBS膜の波長選択性のピーク波長と半値幅は、薄膜の入射角度特性を考慮した上で決定すればよい。入射角度による特性の変化が無視できる場合は、HOEの波長選択性のピーク波長および半値幅とほぼ同等が好ましいが、あえてHOEの波長選択性の波長幅より狭める設定にして、画像表示面からの光の色収差低減効果に利用することも可能である。
逆にコストダウンを優先して、通常のハーフミラーとすることも可能である。その場合は画像形成素子からの光束はハーフミラーを2度通過するために、使用者の瞳に到達するまでに光量が1/4になる。したがって、画像形成素子を照明するLEDの光量を高める必要がある。
[第4の実施の形態]
図19は、本発明の第4の実施の形態である画像表示装置の構成およびその光線(画像形成素子2からの光線のみ)の経路を示す図である。図19において、図1中の要素と同一または対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。なお、図19においては、図1に示された光源を構成するLED3及び反射鏡4は省略している。
本実施の形態が前記第3の実施の形態と基本的に異なるところは、PBSとHOEの配置角、及び導光部41に接合レンズを使用しているところのみである。すなわち、導光部には凸レンズと凹レンズを接合したレンズが用いられている。41a〜41cは、面番号との対応をとるための記号である。
<第1の具体例>
本実施の形態の第1の具体例について図19を用いて説明する。この具体例の光学的な諸量は下記のとおりである。射出瞳Pの径は3mmである。前記第1、第2の実施の形態とは異なり、図中紙面内上方向の視野角度は0°で、図中紙面内下方向の視野角度は−9°である。紙面奥行き方向の視野角は±6°である。図中紙面内での画面サイズ(点A1と点A2との間の長さ)は3.6mmである。紙面奥行き方向の画面サイズは4.8mmである。板状部5の厚さdは3.6mmである。板状部5は、nd=1.583、νd=29.9の材質のものを用いている。この第1の具体例の光線追跡のための諸量を、下記の表Xに示す。HOEの露光波長は、532nmである。光学面の順序(面番号の順序)は使用者の眼の瞳の面(=イメージコンバイナ1の射出瞳Pの面)から画像形成素子2への順である。
また、本具体例における各光学面の位置関係として、第1面(面番号1=図1中の符号P)の中心を原点(X,Y,Z)=(0,0,0)とした各光学面の中心の絶対位置とX軸の周りの回転量(反時計周りを正として測った値)を、下記の表X+1に示す。
本具体例について回折効率を計算すると、画角−9°、−4.5°、0°の主光線の回折効率主波長、およびそれぞれの画角の瞳座標の中心と端の光線の回折効率主波長は下記の表22に示す通りとなっている。
回折効率主波長は、画角の変化に対しても瞳座標の変化に対してもほとんど変動していないことがわかる。さらに、本具体例の光学系の結像性能を表すための横収差図を、図20に示す。画角ごとに回折主波長±5nmの光線の横収差図を一つの図に同時に示してある。図20に示すように画角内全域に渡り色収差が少なく、結像性能が優れていることがわかる。
本具体例では、画像表示手段の表示部の中心から発せられた主光線が反射型ホログラム光学素子に入射する入射角θ1は0.01度であり、回折反射される際の反射回折角θ2は0.01度であり、前述した条件を満たしている。その結果、既に説明した内容からわかるように、視線の角度によって回折波長のシフトが起こらず、表示画像の画質を向上させることができる。
<第2の具体例>
HOEの露光波長波が476.5nmであるだけで、他の条件は第1の具体例と同じである。本具体例について回折効率を計算すると、画角−9°、−4.5°、0°の主光線の回折効率主波長、およびそれぞれの画角の瞳座標の中心と端の光線の回折効率主波長は下記の表23に示す通りとなっている。
回折効率主波長は、画角の変化に対しても瞳座標の変化に対してもほとんど変動していないことがわかる。さらに、本具体例の光学系の結像性能を表すための横収差図を、図21に示す。画角ごとに回折主波長±5nmの光線の横収差図を一つの図に同時に示してある。図21に示すように画角内全域に渡り色収差が少なく、結像性能が優れていることがわかる。
本具体例では、画像表示手段の表示部の中心から発せられた主光線が反射型ホログラム光学素子に入射する入射角θ1は0.03度であり、回折反射される際の反射回折角θ2は0.03度であり、前述した条件を満たしている。その結果、既に説明した内容からわかるように、視線の角度によって回折波長のシフトが起こらず、表示画像の画質を向上させることができる。
<第3の具体例>
HOEの露光波長波が647nmであるだけで、他の条件は第1の具体例と同じである。本具体例について回折効率を計算すると、画角−9°、−4.5°、0°の主光線の回折効率主波長、およびそれぞれの画角の瞳座標の中心と端の光線の回折効率主波長は下記の表24に示す通りとなっている。
回折効率主波長は、画角の変化に対しても瞳座標の変化に対してもほとんど変動していないことがわかる。さらに、本具体例の光学系の結像性能を表すための横収差図を、図22に示す。画角ごとに回折主波長±5nmの光線の横収差図を一つの図に同時に示してある。図22に示すように画角内全域に渡り色収差が少なく、結像性能が優れていることがわかる。入射角θ1は0.01度、反射回折角θ2は0.01度である。
前記第2の実施の形態と同様に、本実施の形態の第1から第3の具体例の反射型HOEを多重化して3色HOEとした場合の、使用者の眼の瞳から画像表示素子へ光線追跡した際の、画像表示素子面上のR,G,Bのスポットの位置ずれを、画面上のいくつかの点について調べ、プロットしたものが図23である。スポットの位置ずれは概ね10μm以下に補正されており、良好なフルカラー画像を得ることができる。
また図24は同様に多重化した場合に、使用者の眼の瞳から画像表示素子へ光線追跡した際の、Y方向の画角の変化に対する3色の明るさバランス(a)と瞳Y座標の変化に対する明るさバランス(b)を示す。
ここで明るさと回折効率とは、どちらも最も明るい点を1として規格化している。(a)の図で周辺減光があるのは、幾何光学的なVignettingによるものである。
本実施の形態において特質すべき事項は、第2光源の座標がRGBともに同一であるので、多重露光時においては、単一の球面波発生手段により同時に多重露光が可能であることである。又、PBSへの入射角が42度なので、消光比の高いPBS膜を設定可能である。
以上、本発明の各実施の形態及びそれらの具体例について説明したが、本発明はこれらの実施の形態や具体例に限定されるものではない。例えば、前述した各実施の形態は、本発明によるイメージコンバイナを用いて頭部装着式の画像表示装置を構成した例であったが、前述した各実施の形態で採用されていた各イメージコンバイナ1は、カメラのファインダや顕微鏡及び双眼鏡の接眼レンズ部に装着し得るように構成したり、あるいは、当該イメージコンバイナをカメラや顕微鏡や双眼鏡等に組み込んでもよい。
以上説明した本発明の実施の形態によれば、視線の角度変化に対する回折効率の波長シフト現象を抑えることができるので、画面周辺および瞳周辺まで光量損失のない明るい観察像を得ることができる。また、露光の際の参照光と物体光がHOE面の法線方向の一軸に設定できるので、露光光学系の配置、調整が非常に簡単になる。さらに、光学的パワーのある面が光軸に対して一切偏心していない構成であるため、偏心収差が発生しないことも大きな特徴で、この結果、シンプルな構成で高分解能な光学系が実現できる。
Claims (19)
- 反射型ホログラム光学素子が設けられ、画像形成手段からの光と本体を透過した光を重畳させるイメージコンバイナであって、前記画像形成手段から発する光がひとつの波長領域の成分のみ又は離散的な複数の波長領域の成分を持ち、前記画像形成手段の表示部の中心から発せられた主光線が前記反射型ホログラム光学素子面に入射する入射角と反射回折角との間に以下の式が成り立つことを特徴とするイメージコンバイナ。
−5<θ1<5、かつ|θ1−θ2|<3
θ1:画像形成手段の表示部の中心から発せられた主光線が反射型ホログラム光学素子に入射する入射角(°)
θ2:表示部の中心から発せられた主光線が反射型ホログラム光学素子で回折反射される際の反射回折角(°) - 請求の範囲第1項に記載のイメージコンバイナであって、
−3<θ1<3
とされていることを特徴とするイメージコンバイナ。 - 請求の範囲第1項に記載のイメージコンバイナであって、
|θ1−θ2|<2
とされていることを特徴とするイメージコンバイナ。 - 前記反射型ホログラム光学素子が体積型であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のイメージコンバイナ。
- 前記反射型ホログラム光学素子が光学的パワーを持つことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のイメージコンバイナ。
- 前記主光線の前記画像形成手段からの射出方向が、前記画像形成手段の表示部の面と略垂直な方向とされていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のイメージコンバイナ。
- 請求の範囲第1項から第6項のうちいずれか1項に記載のイメージコンバイナと画像形成手段とを備え、使用時に少なくとも前記イメージコンバイナを含む部分が使用者の目に近接して使用されることを特徴とする画像表示装置。
- 反射型ホログラム光学素子が設けられ、画像形成手段からの光を表示させる画像表示装置であって、前記画像形成手段から発する光がひとつの波長領域の成分のみ又は離散的な複数の波長領域の成分を持ち、前記画像形成手段の表示部の中心から発せられた主光線が前記反射型ホログラム光学素子面に入射する入射角と反射回折角との間に以下の式が成り立つことを特徴とする画像表示装置。
−5<θ1<5、かつ|θ1−θ2|<3
θ1:画像形成手段の表示部の中心から発せられた主光線が反射型ホログラム光学素子に入射する入射角(°)
θ2:表示部の中心から発せられた主光線が反射型ホログラム光学素子で回折反射される際の反射回折角(°) - 請求の範囲第8項に記載の画像表示装置であって、
−3<θ1<3
とされていることを特徴とする画像表示装置。 - 請求の範囲第8項に記載の画像表示装置であって、
|θ1−θ2|<2
とされていることを特徴とする画像表示装置。 - 前記反射型ホログラム光学素子が体積型であることを特徴とする請求の範囲第8項に記載の画像表示装置。
- 前記反射型ホログラム光学素子が光学的パワーを持つことを特徴とする請求の範囲第8項に記載の画像表示装置。
- 前記主光線の前記画像形成手段からの射出方向が、前記画像形成手段の表示部の面と略垂直な方向とされていることを特徴とする請求の範囲第8項に記載の画像表示装置。
- 画像形成素子からの光を反射型ホログラム光学素子に照射して形成された画像を、外界からの光に重畳させて2重画像を形成するイメージコンバイナを有する画像表示装置であって、透光体中に設けられた偏光ビームスプリッタと、前記偏光ビームスプリッタから見て外界側に設けられた1/4波長板とを有し、前記反射型ホログラム光学素子は、前記1/4波長板の外界側に設けられており、前記画像形成素子からの光は、前記偏光ビームスプリッタで反射されるような偏光状態で前記透光体に入射し、前記透光体の両面で全反射されながら前記偏光ビームスプリッタに入射して反射され、前記1/4波長板を透過した後、前記反射型ホログラム光学素子にθ1(°)の入射角で入射して、反射角θ2(°)で回折反射され、再び前記1/4波長板を透過した後、前記偏光ビームスプリッタを透過し、前記透光体を透過した外界からの光と共に使用者の眼に至るように構成され、前記入射角θ1と反射角θ2の間に、
|θ1−θ2|<3
の関係があることを特徴とする画像表示装置。 - 画像形成素子からの光を反射型ホログラム光学素子に照射して形成された画像を、外界からの光に重畳させて2重画像を形成するイメージコンバイナを有する画像表示装置であって、透光体中に設けられた偏光ビームスプリッタと、前記偏光ビームスプリッタから見て外界側で、前記透光体に対してエアギャップを介した位置に設けられた1/4波長板とを有し、前記反射型ホログラム光学素子は、前記1/4波長板の外界側に設けられており、前記画像形成素子からの光は、前記偏光ビームスプリッタで反射されるような偏光状態で前記透光体に入射し、前記透光体の両面で全反射されながら前記偏光ビームスプリッタに入射して反射され、前記1/4波長板を透過した後、前記反射型ホログラム光学素子にθ1(°)の入射角で入射して、反射角θ2(°)で回折反射され、再び前記1/4波長板を透過した後、前記偏光ビームスプリッタを透過し、前記透光体を透過した外界からの光と共に使用者の眼に至るように構成され、前記入射角θ1と反射角θ2の間に、
|θ1−θ2|<3
の関係があることを特徴とする画像表示装置。 - 画像形成素子からの光を反射型ホログラム光学素子に照射して形成された画像を、外界からの光に重畳させて2重画像を形成するイメージコンバイナを有する画像表示装置であって、透光体中に設けられた偏光ビームスプリッタと、前記透光体中で、前記偏光ビームスプリッタの前記画像形成素子とは反対側に設けられた1/4波長板とを有し、前記反射型ホログラム光学素子は、前記1/4波長板に対して、前記偏光ビームスプリッタとは反対側に設けられており、前記画像形成素子からの光は、前記偏光ビームスプリッタを透過するような偏光状態で前記透光体に入射し、前記透光体の両面で全反射されながら前記偏光ビームスプリッタに入射して透過し、前記1/4波長板を透過した後、前記反射型ホログラム光学素子にθ1(°)の入射角で入射して、反射角θ2(°)で回折反射され、再び前記1/4波長板を透過した後、前記偏光ビームスプリッタで反射され、前記透光体を透過した外界からの光と共に使用者の眼に至るように構成され、前記入射角θ1と反射角θ2の間に、
|θ1−θ2|<3
の関係があることを特徴とする画像表示装置。 - 画像形成素子からの光を反射型ホログラム光学素子に照射して形成された画像を、外界からの光に重畳させて2重画像を形成するイメージコンバイナを有する画像表示装置であって、透光体中に設けられたハーフミラーを有し、前記反射型ホログラム光学素子は、前記透光体の外界に面する面に設けられており、前記画像形成素子からの光は、前記透光体に入射し、前記透光体の両面で全反射されながら前記ハーフミラーに入射して反射され、前記反射型ホログラム光学素子にθ1(°)の入射角で入射して、反射角θ2(°)で回折反射され、前記ハーフミラーを透過し、前記透光体を透過した外界からの光と共に使用者の眼に至るように構成され、前記入射角θ1と反射角θ2の間に、
|θ1−θ2|<3
の関係があることを特徴とする画像表示装置。 - 画像形成素子からの光を反射型ホログラム光学素子に照射して形成された画像を、外界からの光に重畳させて2重画像を形成するイメージコンバイナを有する画像表示装置であって、透光体中に設けられたハーフミラーを有し、前記反射型ホログラム光学素子は、前記透光体に対してエアギャップを介した位置に設けられており、前記画像形成素子からの光は、前記透光体に入射し、前記透光体の両面で全反射されながら前記ハーフミラーに入射して反射され、前記反射型ホログラム光学素子にθ1(°)の入射角で入射して、反射角θ2(°)で回折反射され、前記ハーフミラーを透過し、前記透光体を透過した外界からの光と共に使用者の眼に至るように構成され、前記入射角θ1と反射角θ2の間に、
|θ1−θ2|<3
の関係があることを特徴とする画像表示装置。 - 画像形成素子からの光を反射型ホログラム光学素子に照射して形成された画像を、外界からの光に重畳させて2重画像を形成するイメージコンバイナを有する画像表示装置であって、透光体中に設けられたハーフミラーを有し、前記反射型ホログラム光学素子は、前記透光体中で、前記ハーフミラーの前記画像形成素子とは反対側に設けられており、前記画像形成素子からの光は、前記透光体に入射し、前記透光体の両面で全反射されながら前記ハーフミラーに入射して透過し、前記反射型ホログラム光学素子にθ1(°)の入射角で入射して、反射角θ2(°)で回折反射され、前記ハーフミラーで反射され、前記透光体を透過した外界からの光と共に使用者の眼に至るように構成され、前記入射角θ1と反射角θ2の間に、
|θ1−θ2|<3
の関係があることを特徴とする画像表示装置。
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