JP5077545B2 - コンバイナ光学系、装着型ディスプレイ装置、および眼鏡 - Google Patents

コンバイナ光学系、装着型ディスプレイ装置、および眼鏡 Download PDF

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本発明は、コンバイナ光学系、装着型ディスプレイ装置、および眼鏡に関し、さらに詳細には眼鏡タイプの装着型ディスプレイ装置に関するものである。
従来、眼鏡タイプの装着型ディスプレイ装置が知られている(特許文献1を参照)。この装着型ディスプレイ装置では、例えば一方の眼鏡レンズに埋め込まれた薄型のコンバイナ光学系を介して、画像表示面からの光を観察者の瞳へ導いている。このようなコンバイナ光学系を用いることにより、観察者は眼鏡レンズを介して外界を見ながら画像表示された情報を得ることができる。
特開2005−84522号公報
装着型ディスプレイ装置では、眼鏡レンズへの埋め込みを重視してコンバイナ光学系の薄型化を図っているため、観察に適した画角の広い画像を観察者に提示することができない可能性がある。また、観察者が眼鏡レンズを介して外界を見る際に、コンバイナ光学系の反射部が視界を遮る度合いが比較的大きくなる可能性がある。
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、観察に適した画角の比較的広い画像を提示することのできる装着型ディスプレイ装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、屈折率が1.7よりも大きい光学材料により形成されて、画像表示面から一方の端面を介して入射した光を導く導光プリズムと、
前記導光プリズムの前記一方の端面と他方の端面との間の光路中に設けられた偏光分離面と、
前記偏光分離面と前記他方の端面との間の光路中に設けられた1/4波長板と、
前記導光プリズムの前記他方の端面に設けられた反射面とを備え、
前記反射面を経て前記偏光分離面に再入射した光が前記導光プリズムの一方の側面を介して観察者のアイポイントに達するように構成され、
前記偏光分離面に再入射する光束の中心光線の入射角度、および前記偏光分離面と前記導光プリズムの前記一方の側面とがなす角度は42度よりも小さく設定され、
前記反射面の光軸中心を通り且つ光軸に垂直な面を延長した仮想面と前記導光プリズムの前記一方の側面から射出される光束の中心光線との交点と、前記アイポイントとの距離が5mmよりも小さく設定されていることを特徴とするコンバイナ光学系を提供する。
本発明の第2形態では、第1形態のコンバイナ光学系と、前記画像表示面を有する画像表示素子とを備えていることを特徴とする装着型ディスプレイ装置を提供する。
本発明の第3形態では、第2形態の装着型ディスプレイ装置を備えていることを特徴とする眼鏡を提供する。
本発明の第4形態では、第1形態のコンバイナ光学系がファインダー光学系に組み込まれていることを特徴とする一眼レフカメラを提供する。
本発明の装着型ディスプレイ装置では、屈折率が1.7よりも大きい光学材料により導光プリズムが形成されているので、導光プリズムの空気換算光路長が短くなり、その内部を伝播する光束の拡がりが小さく抑えられる。また、偏光分離面に再入射する光束の中心光線の入射角度、および偏光分離面と導光プリズムの射出側面とがなす角度は42度よりも小さく設定されているので、観察者のアイポイントから偏光分離面を見込む角度が比較的大きく確保される。このように、導光プリズムの内部を伝播する光束の拡がりが小さく抑えられ且つアイポイントから偏光分離面を見込む角度が比較的大きく確保されるので、観察に適した画角の比較的広い画像を提示することができる。
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる眼鏡タイプの装着型ディスプレイ装置の全体構成を概略的に示す斜視図である。図2は、図1の装着型ディスプレイ装置の内部構成を概略的に示す図であって、装用時の装着型ディスプレイ装置を上から見た図である。
本実施形態にかかる眼鏡タイプの装着型ディスプレイ装置は、図1に示すように、眼鏡30の一方のレンズ31に埋め込まれたコンバイナ光学系10と、コンバイナ光学系10の近傍に設けられた画像表示装置20とを備えている。なお、図1では図面の明瞭化のために右側(装用者にとって右側)の眼鏡レンズ31にコンバイナ光学系10を埋め込んだ構成を例示しているが、図2では通例にしたがって光が左から右へ進むように左側の眼鏡レンズにコンバイナ光学系10が埋め込まれた構成を示している。
図2を参照すると、画像表示装置20は、液晶ディスプレイ(LCD)パネル21、LCDパネル21を照明する発光ダイオード(LED)22、LCDパネル21の表示画像およびLED22からの照明光を制御する制御部23を備えている。コンバイナ光学系10は、光の入射順に、集光レンズ11、導光プリズム(光伝播プリズム)12、導光プリズム12の内部に設けられた偏光分離膜(偏光分離面)13、導光プリズム12の内部に設けられた1/4波長板14、および凹面状の反射面15を備えている。
画像表示装置20では、画像表示素子としてのLCDパネル21を透過した直線偏光の光(図2の紙面に平行な偏光方向を有する光)、すなわちLCDパネル21に表示された画像情報を含む光が、コンバイナ光学系10に向かって照射される。画像表示装置20からの光は、例えば接合正レンズのような集光レンズ11により集光され、導光プリズム12の入射端面(一方の端面)12aに入射する。
導光プリズム12の入射端面12aに入射した光は、導光プリズム12の側面(眼鏡レンズ31の外側の面(表面)に対応する面)12bで全反射された後、P偏光状態で偏光分離膜(偏光ビームスプリッタ)13を透過する。偏光分離膜13を透過した光は、1/4波長板14を介して円偏光に変換され、反射面15に入射する。反射面15は、導光プリズム12の他方の端面12cに形成され、偏光分離膜13側に凹面を向けている。
反射面15に入射した光は、反射されて概平行光になり、反射面15への入射光と同じ光路に沿って、偏光分離膜13に再入射する。すなわち、反射面15で反射された円偏光の光は、1/4波長板14を介してS偏光に変換され、偏光分離膜13に再入射する。偏光分離膜13で反射された光は、導光プリズム12の側面(眼鏡レンズ31の内側の面(裏面)に対応する面)12dを介して、観察者のアイポイントEPに達し、ひいては観察眼の網膜上に結像する。
一方、外界からの背景光は、導光プリズム12およびその周囲(図2では導光プリズム12の右側および上下)の眼鏡レンズ31を介して、観察者のアイポイントEPに達する。すなわち、導光プリズム12の側面12bから入射した背景光は側面12dを介してアイポイントEPに達し、眼鏡レンズ31の表面から入射した背景光は裏面を介してアイポイントEPに達する。こうして、観察者は、眼鏡レンズ31を介して外界を見ながら、画像表示装置20から提供される画像情報も同時に観察することができる。
本実施形態では、屈折率が1.7よりも大きい光学材料により導光プリズム12が形成されている。その結果、導光プリズム12の空気換算光路長が短くなるので、導光プリズム12の内部を伝播する光束の拡がりが小さく抑えられる。また、偏光分離膜13に再入射する光束の中心光線の入射角度、および偏光分離膜13と導光プリズム12の側面12dとがなす角度は42度よりも小さく設定されている。その結果、アイポイントEPから偏光分離膜13を見込む角度が比較的大きく確保される。
以上のように、本実施形態の装着型ディスプレイ装置では、導光プリズム12の内部を伝播する光束の拡がりが小さく抑えられ且つアイポイントEPから偏光分離膜13を見込む角度が比較的大きく確保されるので、観察に適した画角の比較的広い画像を提示することができる。なお、導光プリズム12を形成する光学材料の屈折率を1.78よりも大きくすることもできる。また、偏光分離膜13に再入射する光束の中心光線の入射角度、および偏光分離膜13と導光プリズム12の側面12dとがなす角度を40度よりも小さくすることもできる。
以下、具体的な数値実施例にしたがって、本実施形態のコンバイナ光学系10の構成をさらに詳細に説明する。本実施例では、d線(波長λ=587nm)における屈折率が例えば1.804の光学材料により、導光プリズム12が形成されている。また、画像表示装置20から集光レンズ11を介して導光プリズム12の入射端面12aに入射した光束の中心光線の側面12bへの入射角度が、例えば78度になるように構成されている。
さらに、偏光分離膜13と導光プリズム12の側面12dとがなす角度が、例えば39度に設定されている。したがって、本実施例では、導光プリズム12の入射端面12aに入射して側面12bで全反射された光束の中心光線の偏光分離膜13への入射角度は、39度になる。また、反射面15を経て偏光分離膜13に再入射する光束の中心光線の偏光分離膜13への入射角度も39度になる。
このように、導光プリズム12の屈折率が1.7よりも大きいという条件、並びに偏光分離膜13に再入射する光束の中心光線の入射角度、および偏光分離膜13と導光プリズム12の側面12dとがなす角度が42度よりも小さいという条件を満たす構成は容易に実現可能である。ちなみに、導光プリズム12の屈折率が1.804で且つ偏光分離膜13への光の入射角度が39度という条件は、偏光分離膜13におけるS偏光の光の透過率を小さく抑えるのに特に好ましい条件である。
ここで、図2を再び参照すると、反射面15の光軸中心を通り且つ光軸に垂直な面を延長した仮想面(図中破線で示す)41がアイポイントEPを通る場合には、反射面15が観察者の視界を遮らないことが理解される。換言すれば、仮想面41がアイポイントEPを通らない場合には、反射面15が観察者の視界を遮る(視界をじゃまする)ことになる。
実用的に、観察者が眼鏡レンズ31を介して外界を見る際に、コンバイナ光学系10の反射面15が視界を実質的に遮らないようにするには、仮想面41と導光プリズム12の側面12dから射出される光束の中心光線との交点41aと、観察者のアイポイントEPとの距離Lが5mmよりも小さいことが好ましい。なお、距離Lを3mmよりも小さく設定することもできる。
反射面15とは異なり、偏光分離膜13は透明であるため、偏光分離膜13が観察者の視界を遮ることはない。しかしながら、偏光分離膜13を介することなく、眼鏡レンズ31を介して外界を鮮明に見ることが容易にできるように構成することも可能である。一例として、図3に示すように、眼鏡レンズ31を介して外界を見る通常視線方向LOSから例えば10度程度下向きの観察視線方向42が偏光分離膜13の中心13aを通るように配置する構成が考えられる。図3は、図2の線A−Aに沿った断面図に対応している。
図3に示す変形例では、観察者の眼球の回旋中心43を通る通常視線方向LOSが眼鏡レンズ31を通り、回旋中心43を通り通常視線方向LOSよりも例えば10度だけ下向きの観察視線方向42が偏光分離膜13の中心13aを通るように設定されている。この場合、視線を例えばほぼ水平に保つことにより、偏光分離膜13が視界に入ることなく、眼鏡レンズ31を介して外界を鮮明に見ることができる。そして、回旋中心43を中心として眼球を回転させて視線を下向きにして、アイポイントEPの位置に観察者の瞳が重なったときに、画像表示装置20から提供される画像情報を観察することができる。
なお、上述の実施形態では、画像表示装置20と導光プリズム12との間の光路中に集光レンズ11を配置し、導光プリズム12の端面12cに凹面状の反射面15を配置している。しかしながら、これに限定されることなく、集光レンズ11の配置を省略する構成や、凹面状の反射面15に代えて平面状の反射面を用いる構成も可能である。
また、上述の実施形態では、導光プリズム12の端面12aに入射した光が1回の全反射を経て偏光分離膜13に達するように構成されている。しかしながら、これに限定されることなく、導光プリズムに入射した光が全反射されることなく偏光分離面に達するような構成も可能である。ただし、導光プリズムの薄型化、ひいてはコンバイナ光学系の薄型化を図るには、導光プリズムの一方の端面に入射した光を少なくとも1回の全反射を経て偏光分離面へ導くことが好ましい。
また、上述の実施形態では、コンバイナ光学系10が一方の眼鏡レンズ31に埋め込まれている例を示したが、これに限定されることなく、コンバイナ光学系と眼鏡レンズとを別々の部材として構成することも可能である。
図4は、本実施形態のコンバイナ光学系がファインダー光学系に組み込まれた一眼レフカメラの構成を概略的に示す図である。図4を参照すると、一眼レフカメラ101の光学系は、対物レンズ(または交換レンズ)41と、ミラー42と、撮像素子43と、フィールドレンズ44と、ペンタプリズム45と、接眼レンズ46とにより構成されている。ここで、対物レンズ41、ミラー42、および撮像素子43は、撮像系を構成している。フィールドレンズ44、ペンタプリズム45、および接眼レンズ46は、ファインダー光学系を構成している。
図4に示す一眼レフカメラ101では、図2に詳細に示したコンバイナ光学系10が、ファインダー光学系の接眼レンズ46の射出端付近に装着されている。なお、一眼レフカメラ101には画像表示装置20も組み込まれているが、図4では液晶ディスプレイパネル21だけを図示し、発光ダイオード22および制御部23の図示を省略している。図4に示す構成では、コンバイナ光学系10を含むファインダー光学系を介して外界を見ながら、画像表示装置20からコンバイナ光学系10を介して提供される画像情報も同時に観察することができる。一眼レフカメラ101がデジタル撮像系を有する場合、撮像しているときの像をコンバイナ光学系10から表示しても良い。
一眼レフカメラ101では、撮像時にミラー42のミラーアップ動作によって光束が撮像素子43に向かうため、ファインダー光学系へ入射する光束が無くなり、ファインダー光学系を介して外界を見ることができない。しかしながら、デジタル撮像された画像をコンバイナ光学系10から表示することにより、たとえば動画(ムービー)を撮影するときでも、ファインダーから目を離さずに撮影動作を行うことができる。ファインダーを覗きながら一眼レフカメラ101を支えることにより、手ブレを小さく抑えた良好な状態で撮影することができる。
また、撮影時以外のときには、ファインダーからシースルーで外界を随時見ることができ、さらに別の撮影情報、たとえばシャッター速度、絞り値、被写体までの距離などの情報をコンバイナ光学系10から表示することもできる。
以上説明したように、一眼レフカメラ101のファインダー光学系に本実施形態のコンバイナ光学系10を組み込むことにより、現在デジタルカメラにおいて撮像時にファインダーが見えなくなる問題を解決することができる。また、ファインダーから目を離すことなく動画を撮影することもできる。
本発明の実施形態にかかる眼鏡タイプの装着型ディスプレイ装置の全体構成を概略的に示す斜視図である。 図1の装着型ディスプレイ装置の内部構成を概略的に示す図であって、装用時の装着型ディスプレイ装置を上から見た図である。 図2の線A−Aに沿った断面図に対応する図であって、変形例にかかる装着型ディスプレイ装置の要部構成を概略的に示す図である。 本実施形態のコンバイナ光学系がファインダー光学系に組み込まれた一眼レフカメラの構成を概略的に示す図である。
符号の説明
10 コンバイナ光学系
11 集光レンズ
12 導光プリズム(光伝播プリズム)
13 偏光分離膜(偏光分離面)
14 1/4波長板
15 反射面
20 画像表示装置
21 液晶ディスプレイ(LCD)パネル
22 発光ダイオード(LED)
23 制御部
EP アイポイント

Claims (9)

  1. 屈折率が1.7よりも大きい光学材料により形成されて、画像表示面から一方の端面を介して入射した光を導く導光プリズムと、
    前記導光プリズムの前記一方の端面と他方の端面との間の光路中に設けられた偏光分離面と、
    前記偏光分離面と前記他方の端面との間の光路中に設けられた1/4波長板と、
    前記導光プリズムの前記他方の端面に設けられた反射面とを備え、
    前記反射面を経て前記偏光分離面に再入射した光が前記導光プリズムの一方の側面を介して観察者のアイポイントに達するように構成され、
    前記偏光分離面に再入射する光束の中心光線の入射角度、および前記偏光分離面と前記導光プリズムの前記一方の側面とがなす角度は42度よりも小さく設定され、
    前記反射面の光軸中心を通り且つ光軸に垂直な面を延長した仮想面と前記導光プリズムの前記一方の側面から射出される光束の中心光線との交点と、前記アイポイントとの距離が5mmよりも小さく設定されていることを特徴とするコンバイナ光学系。
  2. 前記画像表示面と前記導光プリズムの前記一方の端面との間の光路中に配置された集光レンズを備えていることを特徴とする請求項1に記載のコンバイナ光学系。
  3. 前記反射面は、前記偏光分離面側に凹面を向けていることを特徴とする請求項1または2に記載のコンバイナ光学系。
  4. 前記導光プリズムは、前記一方の端面に入射した光を少なくとも1回の全反射を経て前記偏光分離面へ導くように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコンバイナ光学系。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコンバイナ光学系と、前記画像表示面を有する画像表示素子とを備えていることを特徴とする装着型ディスプレイ装置
  6. 請求項5に記載の装着型ディスプレイ装置を備えていることを特徴とする眼鏡
  7. 前記コンバイナ光学系が一方の眼鏡レンズに埋め込まれていることを特徴とする請求項6に記載の眼鏡。
  8. 観察者の眼球の回旋中心を通る通常視線方向が前記一方の眼鏡レンズを通り、前記回旋中心を通り前記通常視線方向よりも所定角度だけ下向きの視線方向が前記偏光分離面の中心を通るように設定されていることを特徴とする請求項6または7に記載の眼鏡。
  9. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコンバイナ光学系がファインダー光学系に組み込まれていることを特徴とする一眼レフカメラ
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