JP4486372B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば半導体ウエハなどの基板に対してプラズマにより所定の処理例えばエッチング処理を行うプラズマ処理装置に関する。
従来、半導体デバイスの製造工程においては、例えばキャパシタや素子の分離、あるいはコンタクトホールの形成をするために基板例えば半導体ウエハ(以下、ウエハと呼ぶ)に対してドライエッチングが行われている。この処理を行う装置の一つに枚葉式の平行平板型プラズマ処理装置が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
上述の装置について図28を用いて簡単に述べておくと、このプラズマ装置は、気密容器1の上下に夫々ガスシャワーヘッドを兼ねた上部電極11と載置台を兼ねた下部電極12が設けられ、更に載置台12上のウエハWの周囲を取り囲むように内側にシリコンリング13が、また外側に石英リング14が設けられて構成されている。そして高周波電源15により上部電極11及び下部電極12の間に高周波電圧を印加して、ガスシャワーヘッド(上部電極)11からの処理ガスをプラズマ化すると共に、高周波電源16から下部電極12にバイアス用の電圧を印加し、排気口17から真空排気して所定の圧力に維持することにより、載置台(下部電極)上のウエハWに対してエッチングを行う。
ここでシリコンリング13及び石英リング14の役割について触れておく。ウエハWの表面付近に到達した処理ガスはウエハWの周縁に向かって広がり、その外側から下に向かって排気されるので、ウエハWの周縁部(周縁付近)と中央寄りの領域との間では処理ガスのガスの流れが異なり、ウエハWの周縁部では処理ガスにおける予定の成分比のバランスが崩れてしまうし、またウエハWが置かれている領域とその外側とではプラズマと下部電極との間のインピーダンス成分やコンダクタンス成分などの値が異なる。このためウエハの周縁近傍上方とその内側上方とではプラズマの状態が異なってくる。
一方、ウエハの利用率を高めるため、できるだけウエハの周縁に近い領域までデバイスを形成するという要請が強いことから、ウエハWの周縁近傍に至るまでエッチングレートについて高い面内均一性を確保する必要がある。このためウエハWの外側に導電体、半導体あるいは誘電体からなるフォーカスリングなどと呼ばれるリング部材を配置し、ウエハWの周縁部上方のプラズマ密度を調整している。具体的にはエッチングすべき膜の材質や供給電力の大きさなどに応じてフォーカスリングの材質を選定し、またリング幅や高さなどを調整し、その処理に見合ったフォーカスリングを設置するようにしている(例えば、特許文献3参照。)。
上述の特許文献では一例としてシリコン酸化膜をエッチングする場合にシリコンリングを用いているが、例えばポリシリコンをエッチングする場合には、石英などの絶縁体を用いている。
特開平8−335568号公報(第3−4頁、第2図) 特開2000−36490号公報(第5頁、第3図) 特開平8−162444号公報(第5頁、第2図)
このようなことから、ウエハW上に形成された多層膜をエッチングする場合には、各層毎にあるいは各層のうちの一部の層の間で処理ガスや供給電力の大きさなどが異なるので、各層毎にあるいは各層のうちの一部の層の間で、必要とされるフォーカスリングが異なってしまい、フォーカスリングが異なる分だけチャンバを用意しなければならない。実際には例えば5層の膜をエッチングするために2つの膜についてはチャンバを共用し、残りの膜については夫々のチャンバで処理を行うといったことが行われている。エッチングを行う装置の基本的な構成部分は膜の種類が異なっても同じであるため、チャンバを共通化することが得策であるが、こうした理由からチャンバの共通化が阻まれている。
このためフットプリント(装置の占有面積)の縮小化の困難性の要因の一つになり、また装置のバリエーションが増えるため、装置の量産性及び装置管理の点から装置の制作、運転コストを上昇させる一因になっている。
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、互いに異なる複数のプロセスを行うにあたり装置の共用化を図ることのできるプラズマ処理装置及びその方法を提供することにある。他の目的は、同じプロセスを行う装置間において、プラズマの状態を揃えるための調整が容易なプラズマ処理装置を提供することにある。
本発明のプラズマ処理装置は、処理容器内の載置台に載置された被処理基板に対して、処理ガスのプラズマにより処理を行うプラズマ処理装置において、
前記載置台上の被処理基板を取り囲むように設けられた絶縁材からなるリング部材と、
このリング部材内に設けられた電極と、
前記リング部材上方のプラズマのシース領域を調整するために前記電極に直流電圧を印加する直流電源と、を備え
前記リング部材内の電極は径方向に複数設けられ、これら複数の電極に印加する直流電圧を各々独立して調整できることを特徴とする。
本発明のプラズマ処理装置によれば、絶縁体からなるリング部材内の電極に所定の直流電圧を印加することにより、このリング部材の表面とプラズマとの境界にあるイオンシース領域の厚みを調整することができ、各プロセス処理毎にプラズマの状態を揃えることができる。そのため互いに異なる複数のプロセス処理に対して共通のリング部材を用いて処理することができるので、装置の共用化を図ることができる。
また本発明は、例えば前記載置台上の被処理基板を取り囲むように設けられ、かつ前記リング部材の内側に設けられた導電性のシリコンリングを有していてもよい。
また本発明のプラズマ処理装置は、処理容器内の載置台に載置された被処理基板に対して、処理ガスのプラズマによりエッチング処理を行うプラズマ処理装置において、
前記載置台上の被処理基板を取り囲むように設けられた絶縁材からなるリング部材と、
このリング部材内に設けられた電極と、
前記リング部材上方のプラズマのシース領域を調整するために前記電極に直流電圧を印加する直流電源と、
前記載置台上の被処理基板を取り囲むように設けられ、かつ前記リング部材の内側に設けられた導電性のシリコンリングと、を備えたことを特徴とする。
例えば第1のプロセス時にはリング部材内の電極に第1の直流電圧を印加し、第2のプロセス時にはリング部材内の電極に第2の直流電圧を印加するように印加電圧を切り替えるための手段を備えていてもよい。この場合、前記手段は、例えば第1のプロセスを行うためのプロセス条件と被処理基板に対して第2のプロセスを行うためのプロセス条件とを記憶する記憶部備え、この記憶部内のデータを参照して印加電圧を切り替える構成であってもよい。更に第1のプロセスは例えば薄膜をエッチングする処理であり、第2のプロセスは例えば前記薄膜とは異なる種類の薄膜をエッチングする処理であってもよい
また他の発明のリング部材は、処理容器内の載置台に載置された被処理基板に対して、処理ガスのプラズマにより処理を行うプラズマ処理装置の当該載置台上の被処理基板を取り囲むように設けられる絶縁材からなるリング部材において、
このリング部材の上方のプラズマのシース領域を調整するために直流電圧が印加される電極を内部に備えたことを特徴とする。
このリング部材は、例えば被処理基板に対して第1のプロセスを行うときには前記電極に第1の直流電圧が印加され、被処理基板に対して第2のプロセスを行うときには前記電極に第2の直流電圧が印加されてもよい。この場合、第1のプロセスは薄膜をエッチングする処理であり、第2のプロセスは前記薄膜とは異なる種類の薄膜をエッチングする処理であってもよい。更にリング部材内の電極は例えば径方向に複数設けられ、これら複数の電極に印加する直流電圧を各々独立して調整できるようにしてもよい。
本発明のプラズマ処理方法は、処理容器内の載置台に被処理基板を載置する工程と、
前記載置台上の被処理基板を取り囲むように設けられた絶縁材からなるリング部材内に周方向に沿って設けられたプラズマシース領域調整用の電極に第1の直流電圧を印加した状態で、処理容器内にプラズマを発生させて被処理基板に第1のプロセスを行う工程と、
次いで前記プラズマシース領域調整用の電極に第2の直流電圧を印加した状態で、処理容器内にプラズマを発生させて被処理基板に第2のプロセスを行う工程と、を含むことを特徴とする。
また上記のリング部材において、本発明の第1の観点では、基材と、その表面にセラミックスの溶射によって形成された被膜とを有し、前記被膜を構成するセラミックスは、B、Mg、Al、Si、Ca、Cr、Y、Zr、Ta、CeおよびNdからなる群から選択された少なくとも1種の元素を含み、その少なくとも一部分が樹脂によって封孔処理されていることを特徴とするリング部材を提供する。
本発明の第2の観点では、基材と、その表面にセラミックスの溶射によって形成された被膜とを有し、前記被膜は、B、Mg、Al、Si、Ca、Cr、Y、Zr、Ta、CeおよびNdからなる群から選択された少なくとも1種の元素を含むセラミックスからなる第1セラミックス層と、B、Mg、Al、Si、Ca、Cr、Y、Zr、Ta、CeおよびNdからなる群から選択された少なくとも1種の元素を含むセラミックスからなる第2セラミックス層とを有し、前記第1および第2のセラミックス層の少なくとも一方の少なくとも一部分が樹脂によって封孔処理されていることを特徴とするリング部材を提供する。
上記本発明の第1および第2の観点において、前記樹脂としては、SI、PTFE、PI、PAI、PEI、PBI、およびPFAからなる群から選択されたものが好適である。
本発明の第3の観点では、基材と、その表面にセラミックスの溶射によって形成された被膜とを有し、前記被膜を構成するセラミックスは、B、Mg、Al、Si、Ca、Cr、Y、Zr、Ta、CeおよびNdからなる群から選択された少なくとも1種の元素を含み、その少なくとも一部分がゾルゲル法によって封孔処理されていることを特徴とするリング部材を提供する。
本発明の第4の観点では、基材と、その表面にセラミックスの溶射によって形成された被膜とを有し、前記被膜は、B、Mg、Al、Si、Ca、Cr、Y、Zr、Ta、CeおよびNdからなる群から選択された少なくとも1種の元素を含むセラミックスからなる第1セラミックス層と、B、Mg、Al、Si、Ca、Cr、Y、Zr、Ta、CeおよびNdからなる群から選択された少なくとも1種の元素を含むセラミックスからなる第2セラミックス層とを有し、前記第1および第2のセラミックス層の少なくとも一方の少なくとも一部分がゾルゲル法によって封孔処理されていることを特徴とするリング部材を提供する。
上記本発明の第3および第4の観点において、前記封孔処理は、周期律表第3a族に属する元素から選択されたものを用いて行うことが好ましい。
上記本発明の第1から第4の観点において、前記セラミックスとしては、B4C、MgO、Al2O3、SiC、Si3N4、SiO2、CaF2、Cr2O3、Y2O3、YF3、ZrO2、TaO2、CeO2、Ce2O3、CeF3およびNd2O3からなる群から選択された少なくとも1種を好適に用いることができる。
本発明の第5の観点では、基材と、その表面に形成された被膜とを有し、前記被膜は、セラミックスの溶射によって形成された主層と、B、Mg、Al、Si、Ca、Cr、Y、Zr、Ta、CeおよびNdからなる群から選択された元素を含むセラミックスからなるバリアコート層とを有することを特徴とするリング部材を提供する。
上記本発明の第5の観点において、前記バリアコート層として、B4C、MgO、Al2O3、SiC、Si3N4、SiO2、CaF2、Cr2O3、Y2O3、YF3、ZrO2、TaO2、CeO2、Ce2O3、CeF3およびNd2O3からなる群から選択された少なくとも1種のセラミックスを好適に用いることができる。また、前記バリアコート層としては、少なくともその一部が樹脂によって封孔処理された溶射被膜を用いることができ、前記樹脂としては、SI、PTFE、PI、PAI、PEI、PBI、およびPFAからなる群から選択されたものが好適である。あるいは、前記バリアコート層としては、少なくともその一部がゾルゲル法によって封孔処理された溶射被膜を用いることもでき、前記封孔処理は、周期律表第3a族に属する元素から選択されたものを用いて行うことが好ましい。
本発明の第6の観点では、基材と、その表面に形成された被膜とを有し、前記被膜は、セラミックスの溶射によって形成された主層と、前記基材と前記主層との間に形成されたエンジニアリングプラスチックからなるバリアコート層とを有することを特徴とするリング部材を提供する。
上記本発明の第6の観点において、前記エンジニアリングプラスチックとして、PTFE、PI、PAI、PEI、PBI、PFA、PPS、POMの群から選択されるプラスチックを好適に用いることができる。
上記本発明の第5および第6の観点において、前記主層は、B4C、MgO、Al2O3、SiC、Si3N4、SiO2、CaF2、Cr2O3、Y2O3、YF3、ZrO2、TaO2、CeO2、Ce2O3、CeF3およびNd2O3からなる群から選択された少なくとも1種のセラミックスを好適に用いることができる。
本発明の第7の観点では、基材と、その表面に形成された被膜とを有し、前記被膜は、周期律表第3a族に属する少なくとも1種の元素を含むセラミックスからなり、前記被膜の少なくとも一部分が蒸気または高温水によって水化処理されていることを特徴とするリング部材を提供する。
本発明の第8の観点では、基材と、その表面に形成された被膜とを有し、前記被膜は、周期律表第3a族に属する少なくとも1種の元素を含むセラミックスからなる第1セラミックス層と、周期律表第3a族に属する少なくとも1種の元素を含むセラミックスからなる第2セラミックス層とを有し、前記第1および第2のセラミックス層の少なくとも一方の少なくとも一部分が蒸気または高温水によって水化処理されていることを特徴とするリング部材を提供する。
上記本発明の第7および第8の観点において、前記被膜としては、溶射によって形成された溶射被膜、または薄膜形成技術で形成された薄膜を用いることができる。また、前記被膜を構成するセラミックスとしては、Y2O3、CeO2、Ce2O3、Nd2O3から選択されたものであることが好適である。
本発明の第9の観点では、基材と、その表面に形成された被膜とを有し、前記被膜は、周期律表第3a族に属する少なくとも1種の元素を含むセラミックスからなる第1セラミックス層と、セラミックスの溶射で形成された第2セラミックス層とを有し、前記第1セラミックス層の少なくとも一部分が蒸気または高温水によって水化処理されていることを特徴とするリング部材を提供する。
上記本発明の第9の観点において、前記第1セラミックス層としては、溶射によって形成された溶射被膜、または薄膜形成技術で形成された薄膜を用いることができる。また、前記第1セラミックス層を構成するセラミックスとしては、Y2O3、CeO2、Ce2O3、Nd2O3から選択されたものであることが好適である。さらに、前記第2セラミックス層を構成するセラミックスとしては、B4C、MgO、Al2O3、SiC、Si3N4、SiO2、CaF2、Cr2O3、Y2O3、YF3、ZrO2、TaO2、CeO2、Ce2O3、CeF3およびNd2O3からなる群から選択された少なくとも1種が好適である。
本発明の第10の観点では、基材と、その表面に形成された被膜とを有し、前記被膜は、周期律表第3a族に属する少なくとも1種の元素を含む水酸化物からなる水酸化物層を有することを特徴とするリング部材を提供する。
上記本発明の第10の観点において、前記水酸化物層としては、溶射によって形成された溶射被膜、または薄膜形成技術で形成された薄膜を用いることができる。また、前記水酸化物層を構成する水酸化物としては、Y(OH)3、Ce(OH)3、Nd(OH)3から選択されたものであることが好適である。さらに、前記水酸化物層は少なくともその一部が封孔処理されていてもよい。
上記本発明の第1〜第10の観点において、前記基材と前記被膜との間に、陽極酸化被膜を有していてもよく、この場合には前記陽極酸化被膜は、金属塩水溶液により封孔処理されていることが好ましい。また、前記陽極酸化被膜は、SI、PTFE、PI、PAI、PEI、PBI、およびPFAからなる群から選択された樹脂により封孔処理されたものであってもよい。
本発明の第11の観点では、周期律表第3a族に属する少なくとも1種の元素を含むセラミックス焼結体からなり、その少なくとも一部が蒸気または高温水によって水化処理されていることを特徴とするリング部材を提供する。この場合に、前記セラミックス焼結体は、Y2O3、CeO2、Ce2O3、Nd2O3から選択されたセラミックスを水化処理したものが好ましい。
本発明の第12の観点では、周期律表第3a族に属する少なくとも1種の元素を含む水酸化物を含むセラミックス焼結体からなることを特徴とするリング部材を提供する。この場合に、前記セラミックス焼結体に含まれる水酸化物は、Y(OH)3、Ce(OH)3、Nd(OH)3から選択されたものであることが好ましい。
本発明によれば、絶縁体からなるリング部材内の電極に所定の直流電圧を印加することにより、プロセス処理毎にプラズマの状態を調整できるので、互いに異なる複数のプロセス処理に対して装置の共用化を図ることができる。また、前記電極に印加する直流電圧を種々設定することにより、例えば複数の処理容器を用いて同じプロセスを行う場合に、それらの装置間においてプラズマの状態を揃えるための調整を容易に行うことができる。
本発明に係るプラズマ処理装置の実施の形態について図1を参照しながら説明する。図中2は例えばアルミニウムなどの導電性部材からなる気密に形成された処理容器であり、この処理容器2は接地されている。処理容器2には、所定の処理ガス例えばエッチングガスを導入するためのガス供給部であるガスシャワーヘッドを兼ねた上部電極3と、被処理基板例えばウエハWを載置するための基板載置台を兼ねた下部電極4とが互いに対向するようにして設けられている。また処理容器2の底部には排気口21が設けられており、この排気口21には排気路21aを介して真空排気手段例えばターボ分子ポンプやドライポンプなどの真空ポンプ22が接続されている。更に処理容器2の側壁には、開閉自在なゲートバルブ23を備えた、ウエハWの搬入又は搬出するための開口部24が設けられている。
前記上部電極3の下面側には、前記下部電極4上に載置されたウエハWに対向して多数のガス拡散孔31が穿設されており、上部のガス供給路32からの処理ガスを、ガス拡散孔31を介してウエハWの表面へ均一に供給するように構成されている。更にガス供給路32は、基端側が第1の処理ガスを供給するための第1のガス供給系33と、第1の処理ガスと種類の異なる第2の処理ガスを供給するための第2のガス供給系34に接続され、これら各供給系33(34)は例えば図示しないバルブの開閉動作により第1のガス供給系33又は第2のガス供給系34のいずれか選択した方の処理ガスを供給可能なように構成されている。ここに示した第1のガス供給系33及び第2のガス供給系34とは、夫々第1の処理を行うための第1の処理ガス及び第2の処理を行うための第2の処理ガスを供給するためのものであり、第1の処理ガス(第2の処理ガス)は、1種類のガスを意味するものではなく、複数種類のガスである場合もある。またガス供給路32は便宜上1本だけ図示したものであり、実際には必要な数だけ設けられる。
また上部電極3には、ローパスフィルタ35を介して、例えば60MHzの周波数を有する電力を供給するための高周波電源部36に接続されている。更にまた、上部電極3の周囲には、環状の石英からなるシールドリング37が上部電極3の外周部に嵌合されて設けられている。
前記下部電極4には、ハイパスフィルタ40を介して例えば2MHzの周波数を有するバイアス用の電圧を印加する高周波電源部41に接続されている。また下部電極4は処理容器2の下部に設けられた昇降機構42の上に配設されており、これにより昇降自在に構成されている。なお43はプラズマが下部電極4の下に入り込まないようにするためのベローズである。また下部電極4の上面には、ウエハWの裏面を電気的な吸着作用により吸着保持するための静電チャック44が設けられている。この静電チャック44は、シート状のチャック電極45と、このチャック電極45の表面を覆う例えばポリイミドからなる絶縁層46と、当該チャック電極45にチャック電圧を印加する直流電源47とにより構成されている。更にまた、下部電極4の周囲には、プラズマから当該電極を保護するための図示しない例えば石英などの絶縁部材からなる環状のベースプレートが設けられている。
更に下部電極4には、ウエハWの温度を所定の温度に調整するため温度調整手段が設けられている。この温度調整手段は、冷媒通流室48、冷媒、ガス供給手段及び伝熱用のガスなどによってウエハWの温度を裏面側から調整するためのものである。具体的に述べると、下部電極4に冷媒通流室48が設けられており、冷媒通流室48と図示しない外部の冷媒温調ユニットとの間を冷媒が循環するように構成されている。更に、真空雰囲気において静電チャック44の表面とウエハWの裏面との間の極めて僅かな隙間(表面の処理精度の限界から生じる凸凹により形成される空間)に、バックサイドガスなどと呼ばれている伝熱用のガス例えばヘリウムガスをパージするためのガス供給孔(図示せず)が静電チャック44の表面に穿設されており、このガス供給孔は例えば図示しないガス供給手段と接続されている。
また静電チャック44の周囲には、当該静電チャック44に吸着保持されたウエハWの周囲を囲むようにして絶縁体例えばアルミナ、石英、酸化イットリウムなどから選択される材質からなるリング部材であるフォーカスリング5が設けられている。このフォーカスリング5は、幅が例えば50mmに設定され、またウエハWの外周縁にできるだけ接近して設けるのが好ましく、例えばウエハWの外周縁から2mm以内、好ましくは1mm以内になるように設けられている。またフォーカスリング5の内部には、周方向に亘って例えばリング状に電極51例えばモリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)などの金属箔、あるいはタングステン膜が設けられている。更に電極51には、プロセス処理毎に所定の直流電圧、例えば第1の処理時には電極51に第1の直流電圧を印加し、第2の処理時には電極51に第2の直流電圧を印加するように印加電圧を切り換えるためのアクチュエータ52aを備えた直流電源52が接続されている。当該フォーカスリング5は、例えばウエハWの周縁及びその近傍に濃縮しがちなプラズマを拡散させ、ウエハWに向うプラズマの均一性を高める役割を有している。
ここで上述のフォーカスリング5を製造する手法について簡単に説明しておくが、製造する手法によって発明が限定されるものではない。まず例えばリング状の石英の表面に、スクリーン印刷、成膜などによりその表面に金属箔を形成するか、あるいは金属のメッシュ体を置くなどして電極51とし、更にその上に石英の薄板を置いて接着あるいは溶着するか、あるいは酸化イットリウムなどを溶射することでフォーカスリング5を得る。また他の手法としては、例えばリング状のアルミナの表面に金属粉を載せ、例えばプレスして金属粉を固めて電極51とし、その上にアルミナ粉を載せて焼結することでフォーカスリング5を得る。
また第1図中6は制御部である。この制御部6は、前記した高周波電源部36、高周波電源部41、アクチュエータ52a、第1のガス供給系33および第2のガス供給系34の動作を制御する機能を有している。制御部6の制御機能について図2を用いて更に説明すると、制御部6はコンピュータ60を備えており、このコンピュータ60の記憶領域61には複数のプロセスレシピが格納されている。このプロセスレシピには例えばウエハWの表面の処理すべき膜の種類に対応づけて処理条件、例えば電極51の印加電圧、プロセス圧力、ウエハW温度、処理ガスの種類および処理ガスの供給流量などの設定値の情報が記憶されている。また62は処理すべき膜の種類に対応するプロセスレシピを、例えばオペレータが選択するためのレシピ選択手段である。例えば処理条件の異なる膜がウエハWの表面にある場合には、それらの膜種および組み合わせに基づいて第1の処理および第2の処理が決められ、更にこの第1の処理および第2の処理に対応するプロセスレシピがレシピ選択手段62により選択される。なお、便宜上第1の処理および第2の処理を示したが、プロセスレシピは必要に応じて第3の処理、第4の処理、…、に対応して用意するようにしてもよく、この場合各処理毎に電極51の印加電圧などの条件が決められる。そして選択されたプロセスレシピの情報に基づいて電極51に所定の直流電圧が印加されるようにアクチュエータ52aが制御され、また所定の処理ガスが所定の流量で処理容器2内に導入されるように、第1のガス供給系33および第2のガス供給系34の供給動作が制御されるように構成されている。なお63はCPUであり、Bはバスである。
ここでフォーカスリング5の電極51に直流電圧を印加することによりプラズマの状態が調整される様子について図3に示す模式図を参照しながら述べておく。先ず図3(a)に示すように、電極51に直流電圧が印加されていない場合には、処理容器2内の処理ガスがプラズマ化されると、ウエハWの表面とプラズマPとの境界には、正イオン種に比して電子の移動速度が大きいことに起因して高密度な正イオン種200を含むイオンシース領域(プラズマシース領域)が形成される。またフォーカスリング5の表面とプラズマPとの境界にも同様にイオンシース領域が形成されるが、フォーカスリング5の材質に絶縁体が選択されていることからウエハW側よりも厚みのあるイオンシース領域が形成される。このイオンシース領域はフォーカスリング5の形状、材質などによってその形状が種々異なって形成される。このようにイオンシース領域の厚さが異なると、ウエハWの面内において特に中心部と周縁部との間でプラズマPの密度がばらついてしまうが、フォーカスリング5内に設けられた電極51に例えば正の直流電圧が印加された場合には、当該正イオン種200と電極51との間で印加電圧の大きさに見合う強さの斥力が作用し、イオンシース領域の正イオン種200がプラズマP内に戻されて当該イオンシース領域の形状、特に厚みが変ることにより、結果としてプラズマPの密度が変ることとなる。
より具体的に述べると、例えば図3(b)に示すように、電極51に印加する直流電圧が小さいと、プラズマPに戻される正イオン種200が少ないのでイオンシース領域は厚くなり、そのためウエハWの周縁部近傍のプラズマPが中央部に比して高密度になる。一方、図3(c)に示すように、電極51に印加する直流電圧が大きいと、正イオン種200がプラズマPに戻されてイオンシース領域は薄くなり、そのためウエハWの周縁部近傍のプラズマPが図3(b)のウエハW周縁部近傍のプラズマ密度に比して低密度になる。更に図3(d)に示すように、直流電圧を更に大きくすると、ウエハW側よりも薄いイオンシース領域となる。従って電極51に所定の直流電圧を印加すれば、結果としてプラズマPの状態が調整されることとなるが、実際に印加する直流電圧をどのように設定すればウエハWの面内均一な処理ができるかはエッチングすべき膜の種類、各電極3、4への供給電力などによって異なるので、予め実験を行って処理毎の設定値を決めておくのが望ましい。なお、電極51には負の電圧を印加するようにしてもよい。
続いて上述のプラズマ処理装置を用いて被処理基板であるウエハWを処理する手法について説明するが、ここでは互いに異なるプロセス処理の一例として、図4(a)に示すように、下地膜であるシリコン膜64の上に、シリコン膜とは処理条件の異なるシリコンナイトライド膜65が積層されたウエハWをエッチングする例を挙げて説明する。この例では、図4(b)に示すように、上層のシリコンナイトライド膜65をエッチングする処理が第1の処理となり、また図4(c)に示すように、第1の処理の後に行われる下層のシリコン膜64をエッチングする処理が第2の処理となり、これらの処理に対応するプロセスレシピがレシピ選択手段62により選択され、選択されたプロセスレシピの情報に基づいて処理条件が設定されることとなる。
そして先ずゲートバルブ23を開放し、ウエハWを図示しないロードロック室から処理容器2内に搬入して、図示しない基板昇降ピンを介してこのウエハWを下部電極4の静電チャック44上に載置し、この後ゲートバルブ23を閉じて処理容器2を気密な状態にする。次いで昇降機構42が上昇し、上部電極3に対してウエハWの表面が所定の高さ位置になるように設定される。一方、下部電極4の表面は通流室50に冷媒が循環しているため所定の温度に設定されており、この表面にウエハWが吸着されるとガス供給孔51からウエハWの裏面と下部電極4の表面との極めて小さい隙間に伝熱用のガスが供給され、後述のようにプラズマが発生したときに、プラズマからウエハWに伝熱される熱と、下部電極4から伝熱用のガスを介してウエハWに伝熱される熱とのバランスによってウエハWが所定のプロセス温度に調整される。
更に真空ポンプ22により処理容器2内を真空排気する一方で、第1のガス供給系33からの第1のエッチングガス例えばCHF等をガス供給路32を介して所定の流量で導入し、ガス拡散孔31を介してウエハWの表面に向けて均一に噴射させ、処理容器2内を例えば30mTorr〜100mTorr(約4〜13.3Pa)の真空度に維持する。この第1のエッチングガスは、ウエハWの表面に沿って径方向外方に向かって流れる気流を形成し、下部電極4の周囲から均一に排気される。
また電極51には、第1の直流電圧、例えば1000Vの電圧が印加されると共に、上部電極3に高周波電源部34から例えば60MHzの高周波電圧を例えば1800Wで印加し、更に例えば1秒以下のタイミングをあけて下部電極4に高周波電源41から例えば2MHzのバイアス用の電圧を例えば1800〜2250Wで印加する。これにより第1のエッチングガスがプラズマ化すると共に、ウエハWおよびフォーカスリング5の表面とプラズマとの境界にイオンシース領域が形成される。フォーカスリング5の上方のイオンシース領域は、既述のように電極51に印加されている直流電圧の大きさに応じた厚さに形成され、これによりウエハW周縁部の上方のプラズマが所望の形状になる。ここでプラズマの活性種はイオンシース領域に移動し、そして高周波バイアスのかかっているウエハWの表面に向かって高い垂直性をもって入射してシリコンナイトライド膜65がエッチングされる。
こうして第1の処理であるシリコンナイトライド膜65のエッチングが終了すると、記憶領域61内の第2の処理のプロセスレシピを読み出してプロセス条件が設定され、第2の処理が開始される。先ず処理容器2内を引き切りにして第1のエッチングガスを排気し、第2の直流電圧、例えば100Vの電圧が電極51にかかるようにアクチュエーター52aにより印加電圧が切り換えられる。更に高周波電源部36、高周波電源41により上部電極3と下部電極4にかかる高周波電圧をプロセスレシピに従って調整し、第2のガス供給系34から処理容器2内に第2のエッチングガス例えばCl等が導入されるとすると、第2のエッチングガスがプラズマ化する。このとき電極51に印加される第2の直流電圧に応じてフォーカスリング5の上方のイオンシース領域の厚さが調整され、シリコン膜64のエッチングに適切な形状のプラズマが生成されてシリコン膜64がエッチングされることとなる。
上述の実施の形態によれば、フォーカスリング5の電極51に所定の直流電圧を印加することにより、プロセス処理毎例えば処理条件の異なる膜の種類毎にフォーカスリング5の表面とプラズマとの境界にあるイオンシース領域の形状を調整することができ、ウエハWが面内均一に処理できる適切なプラズマの状態を形成することができる。従って、互いに異なる複数のプロセス処理を共通のフォーカスリング5を用いて処理することができるので、装置の共用化を図ることができる。このように複数のプロセス処理に対して装置の共用ができれば、装置のフットプリントの縮小化を図ることができ、また装置の制作、運転コストの低下を図れるので得策である。
更に上述の実施の形態によれば、例えば複数の処理容器2を用いて同じプロセスを行う場合に、それらの装置間においてプラズマの状態を揃えるための調整を容易に行うことができる。例えば既述のプラズマ処理装置がクリーンルーム内に複数台配置されていて、これらの装置間で同じ処理を行う場合、装置のアセンブリなどが微妙に異なるため、ウエハWの処理結果に微妙な差異が生じることがあるが、この場合において電極51の印加電圧を調整することにより装置間の特性つまり処理結果を揃えることができ、装置間の調整が容易である。例えば処理後のウエハWの状態を検査し、その結果に基づいて装置毎に印加電圧を微調整すればよい。なお、本発明は、装置の共有化を図ることに限られるものではなく、ある種の処理例えば特定の膜をエッチングするための専用の装置であってもよい。
本発明のプラズマ処理装置においては、第1の処理および第2の処理のように2種類のプロセス処理を共用する構成に限られず、例えばウエハWの表面に5つの積層膜がある場合に、それらのなかで処理条件の異なる膜の種類に応じて3つ、4つあるいは5つの異なるプロセスを共用できるようにしてもよい。更には6つ以上の異なる種類のプロセスを共用してもよい。このような構成であっても上述の場合と同様の効果を得ることができる。
本発明のプラズマ処理装置においては、絶縁体からなるフォーカスリング5をウエハWの周縁に接近して配置する構成に限られず、図5に示すように、ウエハWの周縁とフォーカスリング5の内縁との間に、周方向に亘って導電体例えばシリコンリング8を設けた構成としてもよい。このような構成であっても上述の場合と同様の効果を得ることができる。
本発明のプラズマ処理装置においては、フォーカスリング5に設けられる電極51は一つに限られず、図6に示すように、例えばフォーカスリング5内に2つのリング状の電極51a、51bが径方向に並べて設けられ、各電極51a、51bに各々アクチュエータを備えた直流電源52A、52Bが夫々接続され、独立して直流電圧を調整できる構成としてもよい。このような構成であっても上述の場合と同様の効果を得ることができる。更にこの場合には、例えば内側にある電極51aよりも小さい直流電圧を外側の電極52bに印加するようにするなど、フォーカスリング5の面内において細かく直流電圧を設定できるので、イオンシース領域の厚みをより高精度に調整することができる。そしてまた処理容器2は平面的に見ると例えば一部には搬送口が設けられるなど中心に対して対称ではなく、そのためプラズマが周方向に亘って均一でない場合もあり、中心から見た特定の方向においては処理の面内均一性が悪い場合がある。その場合フォーカスリング5内の電極51について周方向の特定の部位の電極だけ他の部位の電極と分離し、両者の電極の印加電圧を変えて周方向のプラズマの均一性を図るようにしてもよい。
本発明においては、アクチュエータ52aにより印加電圧を切り換える構成に限られず、例えば第1の処理用の直流電源52と、第2の処理用の直流電源52を設け、スイッチで切り換えるようにしてもよい。この場合でも上述の場合と同様の効果を得ることができる。更に上述の例ではプラズマ処理としてエッチングをする例を挙げているが、他のプラズマ処理としては、例えばCVD、アッシング、などの種々のプラズマ処理に適用できる。
最後に上述のプラズマ処理装置を組み込んだシステムの一例について図7を用いて説明する。図中90は第1の移載室であり、この移載室90の両側には多数枚のウエハWを収納可能なカセット91を外部から搬入可能なカセット室92A、92BがゲートバルブG1、G2を介して夫々接続されている。更に第1の移載室90の後方には予備真空室93A、93BがゲートバルブG3、G4を介して夫々接続されている。また第1の移載室90内には、例えば多関節アームよりなる第1の移載手段94が配設されている。予備真空室93A、93Bの後方側には、ゲートバルブG5、G6を介して第2の移載室95が接続され、更に当該第2の移載室92には、左右及び後方の三方に夫々ゲートバルブG7〜G9(ゲートバルブ23に相当)を介して既述のプラズマ処理装置の処理容器2(2A、2B、2C)が夫々接続されている。また第2の移載室95内には、例えば多関節アームよりなる第2の移載手段96が配設されている。
このシステムにおいてカセット91内のウエハWは、第1の移載室90→予備真空室93A→第2の移載室95の経路で搬送される。ここで各処理容器2A〜2Cでは、いずれも例えば3種類の膜をエッチングできるようになっており、エッチングすべき前記3種類の膜が形成されたウエハWは、処理容器2A〜2Cのうちの空きになっている処理容器2A(2B、2C)に搬入され、3種類の膜がその処理容器2A(2B、2C)内でエッチングされる。その後ウエハWは処理容器2A(2B、2C)から搬出され、先述した搬入動作の逆の流れでウエハWがカセット91内に戻される。
図8は、本発明の対象となるリング部材を有するプラズマ処理装置であるプラズマエッチング処理装置の一例を示す縦断面図である。図中20は処理容器をなす真空チャンバであり、アルミニウムなどの導電性材料により気密構造をなすように形成されており、真空チャンバ20は保安接地されている。また、真空チャンバ20の内面には、円筒形状のデポシールド20aが配置され、内面がプラズマにより損傷されるのを防止する。そして、真空チャンバ20内には、上部電極を兼用するガスシャワーヘッド30と、下部電極を兼用する載置台210とが対向して設けられており、底面には、たとえばターボ分子ポンプやドライポンプなどからなる真空排気手段25と連通する真空排気路としての排気管26が接続される。また、真空チャンバ20の側壁部には、被処理体たとえば半導体ウエハWを搬入出するための開口部27が形成され、ゲートバルブGにより開閉自在とされている。この側壁部の外方には、開口部27を上下に挟む位置に、たとえば夫々リング状をなす永久磁石28,29が設けられている。
ガスシャワーヘッド30は、載置台210上の被処理体Wに対向する位置に多数の孔部38が形成され、上部のガス供給管39から送られる流量制御または圧力制御されたプロセスガスを、当該孔部38を介して被処理体Wの表面へ均一に供給するように構成されている。
ガスシャワーヘッド30の下方に約5mm〜150mmの間隔で離間して設けられる載置台210は、たとえば表面がアルマイト処理されたアルミニウムなどからなり、真空チャンバ20に対して絶縁部材211aにより絶縁された円柱状の本体部211と、この本体部211の上面に設けられた静電チャック212と、この静電チャック212の周囲を囲む環状のリング部材であるフォーカスリング213と、このフォーカスリング213と本体部211との間に設けられた環状の絶縁部材である絶縁リング213aとを備えた構成とされている。前記静電チャック212は、シート状のチャック電極216と、このチャック電極216の表面を覆う例えばポリイミドからなる絶縁層215とで構成されている。なお、フォーカスリング213は、プロセスに応じて絶縁性または導電性の材料が選択され、上述したように反応性イオンを閉じ込めるまたは拡散させるように作用する。フォーカスリング213の内部には、図示しないが図1の実施の形態と同様に例えばリング状に電極が設けられる。また図1に示した直流電源52、アクチュエータ52a及び制御部6が設けられ、フォーカスリング213内の電極に第1の直流電圧及び第2の直流電圧が印加されるようになっている。また絶縁リング213a内にも同様に電極を設け、同様に他の直流電源或いは前記直流電源に接続して印加電圧を切り替えるようにしてもよい。
載置台210のたとえば本体部211には、コンデンサC1およびコイルL1を介して高周波電源200が接続され、たとえば13.56MHz〜100MHzの高周波電力が印加される。
また、載置台210の内部には、冷却ジャケット等の温度調整手段314aと、たとえばHeガスを被処理体Wの裏面に供給する熱伝達ガス供給手段314bと、がそれぞれ設けられ、これら温度調整手段314aと熱伝達ガス供給手段314bとを能動化することによって、載置台210上に保持された被処理体Wの処理面温度を所望の値に設定することができる。温度調整手段314aは、冷媒を冷却ジャケットを介して循環させるための導入管315および排出管316を有し、適当な温度に調整された冷媒が、導入管315によって冷却ジャケット内に供給され、熱交換後の冷媒が、排出管316によって外部に排出される。
載置台210と真空チャンバ20との間であり、載置台210表面よりも下側には、複数の排気孔が穿設されたリング状の排気プレート214が、載置台210を囲むように配置される。この排気プレート214により、排気流の流れが整えられるとともに、載置台210とガスシャワーヘッド30との間にプラズマが最適に閉じ込められる。さらに、載置台210の内部には、外部の図示しない搬送アームとの間で被処理体Wの受け渡しを行うための昇降部材である昇降ピン310が複数たとえば3本(2本のみ図示)突没自在に設けられ、この昇降ピン310は連結部材311を介して駆動機構312により昇降できるように構成されている。313は昇降ピン310の貫通孔と大気側との間の気密を保持するベローズである。
このようなプラズマエッチング処理装置においては、まず、ゲートバルブGおよび開口部27を介して被処理体Wを真空チャンバ20内に搬入し、静電チャック212上に載置し、ゲートバルブGを閉じた後、真空排気手段25により排気管26を介して真空チャンバ20内を所定の真空度に排気する。そして、真空チャンバ20内にプロセスガスを供給するとともに、直流電源217からチャック電極216に直流電圧を印加して、被処理体Wを静電チャック212によって静電吸着させ、この状態で高周波電源200から載置台210の本体部211に所定周波数の高周波電力を印加し、これにより、ガスシャワーヘッド30と載置台210との間に高周波電界を発生させ、プロセスガスをプラズマ化して、静電チャック212上の被処理体Wにエッチング処理を施す。直流電源217のオン/オフは、制御部80の指令に基づいてスイッチSW1を切り替えることで行われる。
プロセスガスとしてはC4F8やNF3のような弗化物、BCl3やSnCl4などの塩化物、HBrの如き臭化物をはじめとするハロゲン元素を含むガスを使用する。このため、真空チャンバ20内は極めて強い腐食環境となり、例えば、デポシールド20a、排気プレート214、フォーカスリング213、シャワーヘッド30、載置台210、静電チャック212、さらには真空チャンバ20の内壁材などの真空チャンバ20内の部材すなわちプラズマ処理容器内部材には、耐プラズマ性が強く要求される。
以下、上述したリング部材について詳細に説明する。本発明の構造が適用されるリング部材は、ここではフォーカスリング213及び絶縁リング213aに相当する。前記絶縁リング213aは、フォーカスリング213の下部に積層されているが、内縁部は処理ガスや洗浄液と接触するため絶縁リング213aについても以下の処理を施すことが好ましい。なお本発明ではフォーカスリング213についてのみ以下の処理を行ってもよい。
リング部材として基材の上に溶射被膜を形成したものを用いた場合、従来、溶射被膜の剥がれが生じていたが、本発明者らの検討結果によれば、リング部材の溶射被膜の剥がれは、溶射被膜の貫通気孔(微細孔)、溶射被膜との境界部、あるいは、プラズマやガス等により損傷した部位などから、プロセスガスや洗浄液が侵入し基材に到達して、基材表面が腐食することにより発生することに想到した。
すなわち、フッ化物を含むプロセスガスを用いてプラズマ処理を施したリング部材を準備し、溶射被膜との境界面(基材表面)を分析すると、その部分においてF(フッ素)を確認することができ、このことから、このFが水分(OH)と反応してHF化することによって、基材表面が腐食変化(腐食生成物が発生)して、溶射被膜の剥離に至ったものと推測される。
したがって、溶射被膜との境界面すなわち基材表面が、プロセスガスまたは洗浄液に曝されないことが重要である。
このような知見に基づき、図8におけるリング部材において、溶射被膜の表面から基材までのいずれかの位置に、プロセスガスまたは洗浄液に曝されても腐食され難く、ガスまたは洗浄液が基材表面に到達することを防止することができる、バリア機能を有する部分を形成するようにした。
このような耐腐食性に優れる材料によりバリア機能を有する部分を形成することによって、溶射被膜の貫通気孔(微細孔)を通って侵入するガスまたは洗浄液に対して、基材の表面を保護することが可能である。また、バリア機能を有する部分を基材と接するようにすれば、その材料として高い密着性を有するものを選択することによって、バリア機能を有する部分と基材の表面との境界面からのプロセスガスまたは洗浄液の侵入に対して基材表面を保護することが可能である。
以下、リング部材の具体的な構成について詳述する。先ず、リング部材の第1の例は、図9に示すように、基本的に、基材71と、その表面に形成された被膜72とからなる。被膜72は、溶射によって形成された主層73と、基材71と主層との間のプロセスガスまたは洗浄液に曝されても腐食し難いバリア機能を有するバリアコート層74とを有している。
上記被膜72の施工対象となる基材71としては、ステンレス鋼(SUS)を含む各種の鋼、AlおよびAl合金、WおよびW合金、TiおよびTi合金、MoおよびMo合金、炭素ならびに酸化物系、非酸化物系セラミックス焼結体、および炭素質材料などが好適に用いられる。
バリアコート層74の材質としては、B、Mg、Al、Si、Ca、Cr、Y、Zr、Ta、CeおよびNdからなる群から選択された少なくとも1種の元素を含むセラミックスであることが好ましく、より具体的には、B4C、MgO、Al2O3、SiC、Si3N4、SiO2、CaF2、Cr2O3、Y2O3、YF3、ZrO2、TaO2、CeO2、Ce2O3、CeF3およびNd2O3からなる群から選択された少なくとも1種のセラミックスが好適である。例えばトーカロ株式会社製の「CDC−ZAC」、「スーパーZAC」などを適用することができる。「CDC−ZAC」は、Cr2O3を主成分とする複合セラミックスであり、無気孔、高硬度、高密着力などの性質を有している。
一方、「スーパーZAC」は、SiO2とCr2O3を主成分とする複合セラミックスであり、無気孔、高硬度、高密着力に加え、耐熱性と耐摩耗性に優れる。このバリアコート層74は溶射法により形成することが好ましい。溶射法は、燃焼ガス、電気等の熱源により溶融した原料を母材に吹き付け皮膜を形成する方法である。また、バリアコート層74は、PVD法やCVD法等の薄膜形成技術、浸漬法、あるいは塗布法などの方法で形成することもできる。PVD法とは、イオンプレーティング法により、各種セラミック膜を低温でコーティングする方法であり、一方、CVD法は、熱化学的蒸着法により、高温度で単層または多層コーティングする方法である。また、浸漬法は、各種材料を樹脂溶液に浸漬した後、熱処理を施す方法であり、塗布法は、各種材料に樹脂溶液を塗布後、所定温度で熱処理する方法である。バリアコート層74の厚さは50〜100μmであることが好ましい。
この場合に、バリアコート層74の少なくとも一部分、例えば基材71との接合面側または全体に、樹脂を用いた封孔処理を施すのがよい。その際の樹脂としては、SI、PTFE、PI、PAI、PEI、PBI、PFAの群から選択されたものが好ましい。すなわち、セラミックスからなるバリアコート層74を上述した溶射法等で形成する場合、貫通気孔(微細孔)を有する多孔質で構成されるが、その多孔質層の少なくとも一部分の微細孔を、樹脂で封孔することにより、溶射被膜である主層73の微細孔を通って侵入するガスまたは洗浄液を阻止する効果が高まり、基材71を有効に保護することができる。
なお、SIはシリコーン、PTFEはポリテトラフルオロエチレン、PIはポリイミド、PAIはポリアミドイミド、PEIはポリエーテルイミド、PBIはポリベンゾイミダゾール、PFAはパーフルオロアルコキシアルカンを意味する。
封孔処理は、ゾルゲル法で行うこともできる。ゾルゲル法による封孔処理は、セラミックスを有機溶剤に分散させたゾル(コロイド溶液)で封孔した後、加熱によるゲル化させることにより行う。これにより、セラミックスによる封孔が実現され、バリア効果を向上させることができる。この場合の封孔処理は、周期律表第3a族に属する元素から選択されたものを用いることが好ましい。その中でも、耐食性の高いY2O3が好ましい。
また、バリアコート層74の他の材質としては、エンジニアリングプラスチックを好適に用いることができる。具体的には、PTFE、PI、PAI、PEI、PBI、PFA、PPS、POMの群から選択された樹脂であることが好ましく、たとえばデュポン株式会社製の「テフロン(登録商標)」(PTFE)などを適用することができる。これらの樹脂は、密着性に優れるうえ、耐薬品性に優れ、クリーニング時の洗浄液にも充分に耐え得る。
なお、PTFEはポリテトラフルオロエチレン、PIはポリイミド、PAIはポリアミドイミド、PEIはポリエーテルイミド、PBIはポリベンゾイミダゾール、PFAはパーフルオロアルコキシアルカン、PPSはポリフェニレンサルファイド、POMはポリアセタールを意味する。
さらに、基材71とバリアコート層74との間に図10に示すように陽極酸化被膜75を形成するようにしてもよい。この場合において、蓚酸、クロム酸、リン酸、硝酸、ギ酸、またはスルホン酸などの有機酸による陽極酸化被膜を形成することによって、硫酸による陽極酸化処理の場合と比べ耐腐食性に優れる酸化被膜を形成して、プロセスガスや洗浄液による腐食をより一層抑制することができ、好ましい。陽極酸化被膜75の膜厚は、10〜200μmであることが好ましい。
このように、基材71とバリアコート層74との間に陽極酸化被膜75を形成する場合、陽極酸化被膜75の微細孔を封孔することによって、耐食性を格段に向上させることができる。この場合に、Niなどの金属塩を含む熱水に材料を浸漬し、酸化被膜の微細孔において、金属塩水溶液が加水分解して、水酸化物が沈殿することによって封孔する、金属塩封孔などを適用することができる。
また、陽極酸化被膜75の微細孔を樹脂により封孔処理しても同様の効果を期待することができる。この場合の樹脂としては、上述したSI、PTFE、PI、PAI、PEI、PBI、PFAの群から選択されたものが好ましい。
また、基材71の表面に形成する陽極酸化被膜75として、多孔質セラミックス層を有する陽極酸化被膜(KEPLA−COAT:登録商標)を用いてもよい。
なお、この陽極酸化被膜(KEPLA−COAT)は、陽極として基材をアルカリ系有機電解液に浸漬し、酸素プラズマをこのアルカリ系有機電解液の中で放電することにより形成するものである。
溶射被膜である主層73は、B、Mg、Al、Si、Ca、Cr、Y、Zr、Ta、CeおよびNdからなる群から選択された少なくとも1種の元素を含むことが好ましく、具体的には、B4C、MgO、Al2O3、SiC、Si3N4、SiO2、CaF2、Cr2O3、Y2O3、YF3、ZrO2、TaO2、CeO2、Ce2O3、CeF3およびNd2O3から選択された少なくとも1種のセラミックスが好適である。この場合において、主層73の膜厚は、10μm〜500μmであることが好ましい。
このような構造のリング部材を製造するに際しては、まず、基材71の表面に、Al2O3、SiCまたは砂等の粒子を吹き付けるブラスト処理を施し、微視的に表面が凹凸形状となるようにして、その上に形成するバリアコート層74や陽極酸化被膜75との密着性を高めるのがよい。また、表面を凹凸にする手法として、上記のブラスト処理に限定されず、たとえば、所定の薬液に浸すことによって表面をエッチングするようにしてもよい。
次に、基材71に直接または陽極酸化被膜75を介して、上述のバリアコート層74を、溶射法等、上記適宜の方法で形成する。必要に応じて上述したような封孔処理を行う。
封孔処理に際しては、上記の樹脂やセラミックスのゾルをバリアコート層74の表面に塗布するか、あるいは、バリアコート層74をともなった基材71を樹脂封孔剤またはセラミックスのゾル中に浸漬させる。セラミックスのゾルで封孔した場合には、その後加熱してゲル化させる。
バリアコート層74を形成した後、引き続き、その上に、B4C、MgO、Al2O3、SiC、Si3N4、SiO2、CaF2、Cr2O3、Y2O3、YF3、ZrO2、TaO2、CeO2、Ce2O3、CeF3およびNd2O3からなる群から選択された少なくとも1種のセラミックスからなる溶射被膜である主層73を形成する。また、バリアコート層74は密着性に優れるものが選択されるが、主層73との密着性をより一層良くするため、バリアコート層74の表面にブラスト処理などを施すようにしてもよい。
以上のように、この例では、ハロゲン元素を含むプロセスガスまたは洗浄液に対して耐腐食性に優れる材料からなるバリアコート層74を、溶射被膜である主層73と基材71との間に形成し、基材71の表面が、プロセスガス(ハロゲン元素)または洗浄液に曝されないように構成したので、基材71の表面に腐食生成物が発生することによって、基材71上の溶射被膜72が剥がれるといった問題を解消することができる。
次に、リング部材の第2の例について説明する。第2の例では、図11の(a)、(b)、(c)に示すように、基材71の表面に、セラミックスの溶射により被膜76を形成し、被膜76の少なくとも一部分に封孔処理部76aを形成するようにしている。図11の(a)の例では、被膜76の基材71側に封孔処理部76aを形成しており、図11の(b)の例では、被膜76の表面側に封孔処理部76aを形成しており、図11(c)の例では、被膜76の全体を封孔処理部76aとしている。
被膜76は、B、Mg、Al、Si、Ca、Cr、Y、Zr、Ta、CeおよびNdからなる群から選択された少なくとも1種の元素を含むものであり、具体的には、B4C、MgO、Al2O3、SiC、Si3N4、SiO2、CaF2、Cr2O3、Y2O3、YF3、ZrO2、TaO2、CeO2、Ce2O3、CeF3およびNd2O3からなる群から選択された少なくとも1種のセラミックスが好適である。この場合において、被膜76の膜厚は、50〜300μmであることが好ましい。なお、基材71としては、第1の例と全く同じものを使用することができる。
封孔処理部76aは、上述した第1の例のバリア層74に施したものと全く同様の樹脂封孔またはゾルゲル法による封孔により形成することができる。このように、封孔処理部76aを設けることにより、溶射被膜である被膜76の微細孔を通って侵入するガスまたは洗浄液を有効に阻止することができ、基材71を十分に保護することができる。この封孔処理部76aは、このように基材71へのガスまたは洗浄液の到達を阻止するためのものであるから、上記図11の(a)〜(c)のいずれでもその効果を発揮することができる。ただし、図11の(a)に示すように、被膜76の基材71側に封孔処理部76aを形成するのが望ましい。すなわち、溶射被膜に封孔処理を施したリング部材を、高真空領域(例えば、13.3Pa)で高周波電力を印加してなるプラズマ雰囲気で用いると、封孔剤中の希釈有機溶媒(例えば、酢酸エチル)が蒸発したり、プラズマやプロセスガスなどによって封孔剤が腐食するなどして、溶射被膜中に再び気孔(微細孔)が形成されることがある。この気孔によって、リング部材の表面状態(温度や生成物の付着状態など)が経時的に変化して、処理容器内のプロセスに悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、図11の(a)のように、被膜76の表面側に封孔処理を施さないようにすれば、被膜76の表面改質を抑制してプロセスを安定的に実施することができる。なお、封孔処理部76aは、上記図11の(a)〜(c)に示した位置に限らず、例えば、被膜76の中間位置に形成してもよい。封孔処理部76aの厚さは、50〜100μmであることが好ましい。
この例においても、図12に示すように、基材71と被膜76との間に、上述した第1の例と全く同様の陽極酸化被膜75を形成するようにしてもよい。また、この場合にも、この陽極酸化被膜75を封孔処理することが好ましく、この封孔処理としては上述したのと同様の金属塩封孔などを適用することができる。
次に、リング部材の第3の例について説明する。第3の例では、図13の(a)、(b)に示すように、基材71の表面に、セラミックスの溶射により被膜77を形成し、被膜77を、第1のセラミックス層78と第2のセラミックス層79の2層構造とし、その少なくとも一方の少なくとも一部分に封孔処理部を形成するようにしている。図13の(a)の例では、表面側の第1のセラミックス層78に封孔処理部78aを形成しており、図13の(b)では、基材71側の第2のセラミックス層79に封孔処理部79aを形成している。
被膜77を構成する第1のセラミックス層78および第2のセラミックス層79は、いずれもB、Mg、Al、Si、Ca、Cr、Y、Zr、Ta、CeおよびNdからなる群から選択された少なくとも1種の元素を含むものであり、具体的には、B4C、MgO、Al2O3、SiC、Si3N4、SiO2、CaF2、Cr2O3、Y2O3、YF3、ZrO2、TaO2、CeO2、Ce2O3、CeF3およびNd2O3からなる群から選択された少なくとも1種のセラミックスが好適である。この場合において、被膜77の膜厚は、50〜300μmであることが好ましい。なお、基材71としては、第1の例と全く同じものを使用することができる。
封孔処理部78a,79aは、上述した第1の例のバリアコート層74に施したものと全く同様の樹脂封孔またはゾルゲル法による封孔により形成することができる。このように、封孔処理部78a,79aを設けることにより、溶射被膜である第1および第2のセラミックス層78,79の微細孔を通って侵入するガスまたは洗浄液を有効に阻止することができ、基材71を十分に保護することができる。この封孔処理部78a,79aは、このように基材71へのガスまたは洗浄液の到達を阻止するためのものであるから、その機能を発揮できる限りこれら封孔処理部78a、79aの位置は限定されず、また層全体を封孔処理部としてもよい。また、第1および第2のセラミックス層78,79の両方に封孔処理部を形成してもよい。封孔処理部78a,79aの厚さは50〜100μmであることが好ましい。
このように、基材71上に形成する被膜77を2層構造にすることにより、要求される耐食性およびバリア性に応じて、これら2層の材料を適宜設定することができ、所望の位置に封孔処理を施すことにより、極めて自由度の高い適用が可能となる。例えば、表面側の第1のセラミックス層78としてY2O3を用い、基材71側の第2のセラミックス層79としてYF3またはAl2O3を用い、第2のセラミックス層79の少なくとも一部に封孔処理を施せば、耐食性およびバリア性を極めて高いものとすることができる。
この例においても、図14に示すように、基材71と被膜77との間に、上述した第1の例と全く同様の陽極酸化被膜75を形成するようにしてもよい。また、この場合にも、この陽極酸化被膜75を封孔処理することが好ましく、この封孔処理としては上述したのと同様の金属塩封孔などを適用することができる。
リング部材をこのような構造としたことによる効果を確認するため、Al合金の基材上にY2O3の溶射被膜を形成した試料1と、Al合金の基材上に樹脂(PTFE)のバリアコート層を介してY2O3の溶射被膜を形成した試料2と、Al合金の基材上にY2O3の溶射被膜を形成してその一部分を樹脂により封孔処理した試料3とをそれぞれ準備し、これら試料1〜3の表面にフッ酸(HF)溶液を滴下して、プラズマ環境下に置いたときの溶射被膜の表面状態を比較した。より具体的に説明すると、各試料表面に、38%濃度のフッ酸溶液を10μL滴下し、50℃で3時間加熱した後、試料をCF系ガスのプラズマ雰囲気に3分間放置した。その結果、溶射被膜の剥がれ対策が施されていない試料1は、表面全体にクラックが発生したのに対し、基材と溶射被膜との間にバリアコート層を形成した試料2と、溶射被膜の一部分を樹脂により封孔処理した試料3は、いずれもクラックが発生しておらず、フッ酸溶液の侵入を防いで、基材表面が保護されていることがわかった。
またリング部材としてAl2O3やY2O3を用いる場合には、空気中の水分との反応性が高いため、処理容器である真空チャンバを大気開放したときや真空チャンバをウェットクリーニングするときに水分を大量に取り込み、種々の問題を生じるが、本発明者らの検討結果によれば、Y2O3等の周期律表第3a族に属する元素を含むセラミックスに水化処理を施すことにより、またはこれら元素を含む水酸化物を形成することにより、このような不都合が解消されることを知見した。
このような知見に基づき、図8におけるリング部材(この例ではフォーカスリング213及び絶縁リング213a)において、周期律表第3a族に属する元素を含むセラミックスに水化処理を施した部分を形成する、あるいは、少なくともその一部分をその元素を含む水酸化物にするようにした。
このようにすることにより、水分を吸着しにくく、脱離しにくい構造とすることができるので、プラズマ処理時における水分の離脱が生じ難いリング部材を得ることができる。
先ずリング部材の第4の例では、図15に示すように基材81の上に、周期律表第3a族に属する元素を含むセラミックスからなる被膜82を形成し、例えば、少なくともその表面部分に水化処理部82aを形成する。
基材81としては、上記基材71と同様、ステンレス鋼(SUS)を含む各種の鋼、AlおよびAl合金、WおよびW合金、TiおよびTi合金、MoおよびMo合金、炭素ならびに酸化物系、非酸化物系セラミックス焼結体、および炭素質材料などが好適に用いられる。
被膜82は、周期律表第3a族に属する元素を含むセラミックスで構成されていればよいが、周期律表第3a族に属する元素を含む酸化物であることが好ましい。また、これらの中ではY2O3、CeO2、Ce2O3、Nd2O3が好適であり、その中でも、従来から多用され、高い耐食性を有することから、Y2O3が特に好ましい。
この被膜82は、溶射法、PVD法やCVD法等の薄膜形成技術によって好適に形成することができる。また、その他、浸漬法、あるいは塗布法などの方法で形成することもできる。
水化処理部82aは、例えば、被膜82を水蒸気または高温の水と反応させることにより水化反応を生じさせることにより形成することができる。セラミックスとしてY2O3を用いた場合には以下の(1)式のような反応が生じる。
Y2O3+H2O→Y2O3・(H2O)n→2(YOOH)→Y(OH)3…(1)
ただし、上記(1)式は価数を考慮していない。
この(1)式に示すように、水化処理により、最終的にYの水酸化物が形成される。他の周期律表第3a族に属する元素の場合も、ほぼ同様な反応によってこのような水酸化物を形成する。このような水酸化物としてはY(OH)3、Ce(OH)3、Nd(OH)3が好ましい。
このことを確認するために、基材上にY2O3の溶射被膜を形成した試料を準備し、80℃の高温水に150時間浸漬して水化処理を行った後、室温にて乾燥したものと、このような処理を行わなかったものについてX線回折測定を行った。その結果、図16の(a),(b)に示すように、水化処理を行った試料のみにY(OH)3が認められ、水化処理により水酸化物が形成されることが確認された。
周期律表第3a族に属する元素の水酸化物は、極めて安定であり、化学的に吸着した水が脱離しにくく、かつ水を吸着し難いという特性を有しており、水化処理によりこのような水酸化物を形成することで、プロセス中における水分による不都合を回避することができる。
このような水化処理による効果を確認するために、基材の上にY2O3溶射被膜を200μm程度形成し、沸騰水にて3時間処理した試料と処理しなかった試料とを準備し、この両者にIPAを吹き付けた。なお、IPAは水よりも吸着性が高く、したがって、IPA吹き付けは加速試験となる。この試験の結果、図17に示すように水化処理していないものはIPAが吸着したが、水化処理したものは全く吸着しなかった。このことから水化処理により吸水が極めて生じ難くなることが確認された。
次に、上と同様に基材の上にY2O3溶射被膜を200μm程度形成し、沸騰水にて3時間処理した試料と処理しなかった試料とを準備し、これらの上に樹脂を塗布した後、切断して断面を確認した。その結果、図18の(a),(b)に示すように、表面状態は両者で差がないのにもかかわらず、「処理無し」の場合には被膜が全体的に透明であり全体に樹脂が浸透していたことが認められるのに対し、「処理有り」の場合には表層わずかな部分のみが透明であり、内部は白くなっており、樹脂がほとんど浸透していないことが確認された。すなわち、水化処理を行うことにより、疎水性となったことが判明した。また、図18の(c)に示すように水化処理後20μm程度除去するとその部分は透明になっており、水化処理を行った表層の20μm程度を除去することにより、疎水性が低下することが確認された。
なお、H2OがY2O3表面に及ぼす影響については、Langmuir,Vol.16, No.17,2000の6937−6947 頁に記載された黒田らの「Specific Adsorption Behavior of Water on aY2O3 Surface」という論文に詳しい。
以下、水化処理について具体的に説明する。水化処理は、水蒸気が豊富な環境で熱処理を行うか、沸騰した水中で処理することにより行うことができる。これにより、例えばイットリア(Y2O3)分子の周囲に数個の水分子を引きつけて結合し、安定した一つの分子集団にすることができる。このとき、水蒸気の分圧、熱処理温度、熱処理時間などがパラメーターとなる。例えば、相対湿度が90%以上の環境で100〜300℃程度の炉の中で、24時間程度、加熱処理を行うことにより安定した水酸化物を形成することができる。もし、相対湿度や熱処理温度が低い場合には、処理時間を長くすればよい。水化処理を効率的に行うためには、高温・高圧で処理することが好ましい。イットリア表面での水和反応は、基本的に室温程度でも長時間行えば十分に進行するので、上記条件以外でも、同じ最終状態を得ることができる。また、水化処理する際、純水を用いて水化処理するよりも、イオンを含む水(pH7より大きいアルカリ水)を用いて水化処理を施したほうが、疎水性がより優れたものとなる。
なお、水化処理に限らず、例えば原料段階で水酸化物にする等、最終的に水酸化物が形成されれば、他の方法を採用してもよい。被膜を溶射法で製造する場合には、原料が高温にさらされるため、原料段階で水酸化物にすると水酸化物が酸化物に変化することが懸念されるが、この場合でも、高湿度環境下で溶射することにより水酸化物膜を形成することができる。このように、水化処理部を形成する代わりに、他の方法によって直接水酸化物を形成してもよい。
このような水化処理部ないしは水酸化物層は、被膜82を、水分を吸着しにくく、脱離しにくい構造とするためには、被膜82の表面部分に形成する必要がある。この場合の水化処理部ないしは水酸化物膜の厚さは100μm以上が好ましく、使用する場所に応じて最適な厚みに設定するのが良い。
周期律表第3a族に属する元素を含むセラミックスを水化処理することにより緻密化も促進する。例えば、溶射により形成したY2O3膜について、水化処理前に図19の(a)に示すようなポーラスな状態であったものが、水化処理することにより、図19の(b)に示すように緻密化される。このように緻密化されることにより、上記効果の他、既述したバリア効果も得られる。
バリア効果のみを得る観点からは、水化処理により水酸化物とされた水化処理部82aは必ずしも表面にある必要はなく、被膜82の任意の位置に形成されていればよい。他の方法で水酸化物にされた水酸化物層を形成する場合には、上述したような樹脂やゾルゲル法での封孔処理をすることが好ましい。この例においては、図20に示すように、上述の実施の形態と同様、基材81と被膜82との間に、全く同様の陽極酸化被膜83を形成するようにしてもよい。また、この陽極酸化被膜83を封孔処理することが好ましく、この封孔処理としては上述したのと同様の金属塩封孔などを適用することができる。
次に、リング部材の第5の例について説明する。第5の例では、図21の(a)、(b)に示すように、基材81の表面に、被膜84を形成し、被膜84を、第1のセラミックス層85と第2のセラミックス層86の2層構造とし、その少なくとも一方の少なくとも一部分に水化処理部を形成するようにしている。図21の(a)の例では、表面側の第1のセラミックス層85に水化処理部85aを形成しており、図21の(b)では、基材81側の第2のセラミックス層86に水化処理部86aを形成している。
被膜84を構成する第1のセラミックス層85および第2のセラミックス層は、いずれも第4の例と同様、周期律表第3a族に属する元素を含むセラミックスで構成されており、周期律表第3a族に属する元素を含む酸化物であることが好ましく、これらの中ではY2O3、CeO2、Ce2O3、Nd2O3が好適であり、特に、Y2O3が好ましい。なお、基材81としては、第4の例と全く同じものを用いることができる。
これら第1および第2のセラミックス層85,86は、第1の例における被膜82と同様、溶射法、PVD法やCVD法等の薄膜形成技術によって好適に形成することができる。また、その他、浸漬法、あるいは塗布法などの方法で形成することもできる。
水化処理部85a,86aは、第4の例における水化処理部82aと全く同様に形成することができる。図21の(a)に示すように、被膜84の表面に水化処理部がある場合には、水分を吸着しにくく、脱離しにくい構造とすることができ、図21の(b)に示すように、被膜84の内部に水化処理部がある場合には、バリア効果を有効に発揮させることができる。被膜84内部の水化処理部86aを形成するためには、基材81上に第2のセラミックス層86を製造した後、水化処理を行い、さらに第1のセラミックス層85を形成すればよい。水化処理部85a,86aの厚さは100μm以上とすることが好ましい。
このように、基材81上に形成する被膜84を2層構造にすることにより、要求される特性に応じて、これら2層の材料および水化処理の位置を適宜設定することができ、極めて自由度の高い適用が可能となる。
この例においても、図22に示すように、基材81と被膜84との間に、第1の例と全く同様の陽極酸化被膜83を形成するようにしてもよい。
次に、リング部材の第6の例について説明する。第6の例では、図23に示すように、基材81の表面に、被膜87を形成し、被膜87を、周期律表第3a族に属する少なくとも1種の元素を含むセラミックスからなる第1セラミックス層88と、セラミックスの溶射で形成された第2のセラミックス層89とを有し、第1セラミックス層88の表面部分に水化処理部88aが形成されている。
第1のセラミックス層88の周期律表第3a族に属する元素を含むセラミックスとしては、周期律表第3a族に属する元素を含む酸化物であることが好ましく、これらの中ではY2O3、CeO2、Ce2O3、Nd2O3が好適であり、特に、Y2O3が好ましい。第1のセラミックス層88の膜厚は、100〜300μmであることが好ましい。第1のセラミックス層88は、第4の例における被膜82と同様、溶射法、PVD法やCVD法等の薄膜形成技術によって好適に形成することができる。また、その他、浸漬法、あるいは塗布法などの方法で形成することもできる。
第2のセラミックス層89としては、B、Mg、Al、Si、Ca、Cr、Y、Zr、Ta、CeおよびNdからなる群から選択された少なくとも1種の元素を含むものが好適であり、具体的には、B4C、MgO、Al2O3、SiC、Si3N4、SiO2、CaF2、Cr2O3、Y2O3、YF3、ZrO2、TaO2、CeO2、Ce2O3、CeF3およびNd2O3からなる群から選択された少なくとも1種のセラミックスが好適である。第2のセラミックス層89の膜厚は、50〜300μmであることが好ましい。なお、基材81としては、第4の例と全く同じものを使用することができる。
水化処理部88aは、第4の例における水化処理部82aと全く同様に形成することができる。このように、被膜87の表面に水化処理部が形成されているので、水分を吸着しにくく、脱離しにくい構造とすることができる。なお、水化処理部88aを第1のセラミックス層88の内部に形成してバリア効果を発揮させることもできる。水化処理部88aの厚さは100μm以上であることが好ましい。
図24に示すように、第2のセラミック層89に封孔処理部89aを形成することが好ましい。封孔処理部89aは、上述の第1〜第3の例で説明した内容と全く同様の樹脂封孔またはゾルゲル法による封孔により形成することができる。このように、封孔処理部89aを設けることにより、溶射被膜である第2のセラミックス層89の微細孔を通って侵入するガスまたは洗浄液を有効に阻止することができ、基材81を十分に保護することができる。なお、封孔処理部89aは第2のセラミックス層89の任意の位置に形成することができる。
図23、図24に示すような構造にすることにより、耐食性に優れるとともに、第1のセラミックス層88の水化処理部88aによって、水分を吸着しにくく、脱離しにくい構造とすることができ、しかも第2のセラミックス層89のバリア効果により、基材81を有効に保護することができる。特に、図24の構造では、封孔処理部89aの存在により、バリア効果を一層高めることができる。
なお、図25に示すように、第1のセラミックス層88と第2のセラミックス層89とを逆にしてもよい。この場合には、基材81側の第1のセラミックス層88の水化処理部88aにてバリア効果が有効に発揮されて基材81の保護効果を高めることができる。
この例においても、図26に示すように、基材81と被膜87との間に、第1の例と全く同様の陽極酸化被膜83を形成するようにしてもよい。
次にリング部材の第7の例について述べる。第7の例では、リング部材は、図27に示すように、周期律表第3a族に属する元素を含むセラミックス焼結体97の表面に、水化処理部98が形成されている。水化処理部98は、上述した実施の形態と全く同様に形成することができ、水化処理によって周期律表第3a族に属する元素を含む水酸化物が形成される。
このように水化処理部98が表面に形成されることにより、水分を吸着しにくく、脱離しにくい構造とすることができる。この場合の水化処理部98ないしは水酸化物膜の厚さは100μm以上が好ましい。
この第7の実施の例においても、第4〜第6で述べた如く、周期律表第3a族に属する元素を含むセラミックスとしては、周期律表第3a族に属する元素を含む酸化物であることが好ましい。これらの中ではY2O3、CeO2、Ce2O3、Nd2O3が好適であり、特に、Y2O3が好ましい。
なお、上記実施の形態では、図8に示す、永久磁石を用いたマグネトロンタイプの平行平板型のプラズマエッチング装置のリング部材(フォーカスリング213、絶縁リング213a)に本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明は、かかる構成の装置に限定されず、マグネトロンを用いない平行平板型のプラズマエッチング装置や、誘導結合型など他のプラズマエッチング処理装置及びエッチング装置のみならずアッシング処理や成膜処理などのエッチング以外の各種プラズマ処理を行う装置にも適用できる。
本発明のプラズマ処理装置は、リング部材内の電極に所定の電圧を印加することによりプラズマの状態を調整することができるので、例えば半導体ウエハなどにエッチングなどのプラズマ処理を行う装置に適用することができる。また本発明のリング部材は、特に基材上に形成する被膜を耐食性が高いセラミックスで構成し、バリアとして機能する部分を設けたので、腐食性の高い雰囲気によるプラズマにより処理に好適である。また周期律表第3a族に属する元素を含むセラミックスに水化処理を施して水に対して安定な構造とするので、水分が問題となるリング部材として好適である。
本発明の実施の形態に係るプラズマ処理装置を示す縦断面図である。 上記のプラズマ処理装置の制御部を示す説明図である。 上記のプラズマ処理装置を用いてプラズマ処理したときのプラズマの状態を示す説明図である。 上記のプラズマ処理装置を用いてエッチングする多層膜を示す説明図である。 本発明の実施の形態に係るプラズマ処理装置の他の例を示す説明図である。 本発明の実施の形態に係るプラズマ処理装置の更に他の例を示す説明図である。 本発明の実施の形態に係るプラズマ処理装置を組み込んだプラズマ処理システムを示す説明図である。 本発明の実施の形態に係るリング部材が搭載されるプラズマエッチング装置を示す縦断面図。 本発明に係るリング部材の第1の例の層構成を示す断面図。 図9の構成に陽極酸化被膜を加えた例を示す断面図。 本発明の実施の形態に係るリング部材の第2の例の層構成を示す断面図。 図11の構成に陽極酸化被膜を加えた例を示す断面図。 本発明の実施の形態に係るリング部材の第3の例の層構成を示す断面図。 図13の構成に陽極酸化被膜を加えた例を示す断面図。 本発明の実施の形態に係るリング部材の第1の例の層構成を示す断面図。 Y2O3被膜に水化処理を行った場合と行わない場合とでX線解析パターンを比較して示す図。 Y2O3被膜に水化処理を行った場合と行わない場合とでIPAの吸着を比較して示す図。 Y2O3被膜に水化処理を行った場合と行わない場合とで樹脂の浸透を比較して示す図。 水化処理前と処理後の層状態を比較して示す走査型電子顕微鏡写真。 図15の構成に陽極酸化被膜を加えた例を示す断面図。 本発明の実施の形態に係るリング部材の第2の例の層構成を示す断面図。 図21の構成に陽極酸化被膜を加えた例を示す断面図。 本発明の実施の形態に係るリング部材の第3の例の層構成を示す断面図。 本発明の実施の形態に係るリング部材の第3の例の層構成を示す断面図。 本発明の実施の形態に係るリング部材の第3の例の層構成を示す断面図。 図16の構成に陽極酸化被膜を加えた例を示す断面図。 本発明の実施の形態に係るリング部材を示す模式図。 従来のプラズマ処理装置を示す説明図である。
符号の説明
2 処理容器
22 真空ポンプ
3 上部電極
33 第1のガス供給系
34 第2のガス供給系
4 下部電極
44 静電チャック
5 フォーカスリング
51 電極
52a アクチュエータ
6 制御部
20 真空チャンバ
20a デポシールド
30 ガスシャワーヘッド
210 載置台
212 静電チャック
213 フォーカスリング
214 排気プレート
71,81 基材
72,76,77,82,84,87 被膜
74 バリアコート層
75,83 陽極酸化被膜
76a,78a,79a 封孔処理部
82a,86a,88a,98 水化処理部

Claims (5)

  1. 処理容器内の載置台に載置された被処理基板に対して、処理ガスのプラズマにより処理を行うプラズマ処理装置において、
    前記載置台上の被処理基板を取り囲むように設けられた絶縁材からなるリング部材と、
    このリング部材内に設けられた電極と、
    前記リング部材上方のプラズマのシース領域を調整するために前記電極に直流電圧を印加する直流電源と、を備え
    前記リング部材内の電極は径方向に複数設けられ、これら複数の電極に印加する直流電圧を各々独立して調整できることを特徴とするプラズマ処理装置
  2. 処理容器内の載置台に載置された被処理基板に対して、処理ガスのプラズマによりエッチング処理を行うプラズマ処理装置において、
    前記載置台上の被処理基板を取り囲むように設けられた絶縁材からなるリング部材と、
    このリング部材内に設けられた電極と、
    前記リング部材上方のプラズマのシース領域を調整するために前記電極に直流電圧を印加する直流電源と
    前記載置台上の被処理基板を取り囲むように設けられ、かつ前記リング部材の内側に設けられた導電性のシリコンリングと、を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
  3. 被処理基板に対して第1のプロセスを行うときにはリング部材内の電極に第1の直流電圧を印加し、被処理基板に対して第2のプロセスを行うときにはリング部材内の電極に第2の直流電圧を印加するように印加電圧を切り替えるための手段と、を備えたことを特徴とする請求項1または2記載のプラズマ処理装置。
  4. 第1のプロセスは薄膜をエッチングする処理であり、第2のプロセスは前記薄膜とは異なる種類の薄膜をエッチングする処理であることを特徴とする請求項記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記載置台上の被処理基板を取り囲むように設けられ、かつ前記リング部材の内側に設けられた導電性のシリコンリングを有することを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
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