JP4481953B2 - 状態判定装置および状態判定方法 - Google Patents
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また、本発明の状態判定装置の1構成例において、前記算出部は、PID制御系のステップ応答を含む時間帯の前記制御量を時系列データとして記憶する第1の時系列データ記憶部と、前記PID制御系のステップ応答を含む時間帯の前記操作量を時系列データとして記憶する第2の時系列データ記憶部と、前記制御量と操作量の時系列データについてステップ応答前半の過渡状態のデータを特定する過渡状態データ特定部と、前記制御量の時系列データのうち前記過渡状態データ特定部によって特定された過渡状態のデータと、前記操作量の時系列データのうち前記過渡状態データ特定部によって特定された過渡状態のデータとにより、前記制御対象のモデル数式を同定する制御対象モデリング部と、前記モデル数式に基づいて前記制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率を算出するゲイン時定数比算出部とからなり、前記判定部は、前記制御対象が特定の状態にある場合の前記比率の数値範囲を示す判定基準を予め記憶する判定基準記憶部と、前記比率と前記判定基準とを比較して、前記制御対象の状態が前記特定の状態にあるか否かを判定する状態判定部とからなるものである。
また、本発明の状態判定装置の1構成例において、前記制御対象モデリング部は、前記操作量の時系列データのうちの過渡状態のデータを前記制御対象のモデル数式に適用してモデル制御量の時系列データを生成するモデル制御量生成部と、前記制御量の時系列データのうちの過渡状態のデータの変化率と前記モデル制御量の時系列データの変化率との近さを示す評価関数値を算出する評価関数値算出部と、前記評価関数値が最適値となる前記制御対象のモデル数式を探索するモデル探索部とを有するものである。
また、本発明の状態判定装置の1構成例は、さらに、制御の設定値と前記制御量に基づきPID制御演算により前記操作量を算出するPID演算部を備え、前記過渡状態データ特定部は、外部から状態判定の実行を指示する判定指示信号が入力されたときに、前記制御量と操作量の時系列データについてステップ応答前半の過渡状態のデータを特定するものである。
また、本発明の状態判定方法の1構成例において、前記算出手順は、PID制御系のステップ応答を含む時間帯の前記制御量を時系列データとして記憶する第1の時系列データ記憶手順と、前記PID制御系のステップ応答を含む時間帯の前記操作量を時系列データとして記憶する第2の時系列データ記憶手順と、前記制御量と操作量の時系列データについてステップ応答前半の過渡状態のデータを特定する過渡状態データ特定手順と、前記制御量の時系列データのうち前記過渡状態データ特定手順によって特定された過渡状態のデータと、前記操作量の時系列データのうち前記過渡状態データ特定手順によって特定された過渡状態のデータとにより、前記制御対象のモデル数式を同定する制御対象モデリング手順と、前記モデル数式に基づいて前記制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率を算出するゲイン時定数比算出手順とからなり、前記判定手順は、前記ゲイン時定数比算出手順によって算出された比率と前記制御対象が特定の状態にある場合の前記比率の数値範囲を示す予め設定された判定基準とを比較して、前記制御対象の状態が前記特定の状態にあるか否かを判定するようにしたものである。
また、本発明の状態判定方法の1構成例において、前記制御対象モデリング手順は、前記操作量の時系列データのうちの過渡状態のデータを前記制御対象のモデル数式に適用してモデル制御量の時系列データを生成するモデル制御量生成手順と、前記制御量の時系列データのうちの過渡状態のデータの変化率と前記モデル制御量の時系列データの変化率との近さを示す評価関数値を算出する評価関数値算出手順と、前記評価関数値が最適値となる前記制御対象のモデル数式を探索するモデル探索手順とからなるものである。
また、本発明の状態判定方法の1構成例は、さらに、前記算出手順の前に、制御の設定値と前記制御量に基づきPID制御演算により前記操作量を算出するPID演算手順を備え、前記過渡状態データ特定手順は、外部から状態判定の実行を指示する判定指示信号が入力されたときに、前記制御量と操作量の時系列データについてステップ応答前半の過渡状態のデータを特定するようにしたものである。
本発明は、制御対象の特性を1次遅れとむだ時間の要素を有する伝達関数で近似できるものと仮定し、ステップ応答に代表されるような過渡状態を発生させるための操作量MVに関する時系列の情報と、前記過渡状態における制御量PVの変化率dPVとを検出することにより、動的プロセスゲインKpとプロセス時定数Tpとの比率Kp/Tp(あるいはTp/Kp)を算出し、その結果に基づき制御対象についての状態判定を行なう。本発明は、過渡状態において観測される比率Kp/Tp(あるいはTp/Kp)の値が、通常は操作量MVの平衡点の移動による影響を実質的に無視できる程度の急峻な現象に伴って観測される値であり、操作量MVに関する時系列の情報に基づいて算出する限りにおいては操作量MVの平衡点の差異による影響が実質的に適切に考慮された上での値であるということに帰着する。
Gp=Kp/(1+Tps) ・・・(1)
式(1)におけるsはラプラス演算子である。
PV(t)=Kp{1−exp(−t/Tp)}dMV ・・・(2)
dPV(t)/dt=(Kp/Tp)dMVexp(−t/Tp) ・・・(3)
このときt→0とすることにより、ステップ応答初期変化率について次式の関係が得られる。
dPV(t)/dtt→0=(Kp/Tp)dMV ・・・(4)
dPV(t)/dtt→Lp=(Kp/Tp)dMV ・・・(5)
むだ時間Lpは、操作量MVの平衡点が移動することによって変化するものではないので、予め測定した後に固定値として設定して問題はない。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る状態判定装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の状態判定装置は、PID制御系のステップ応答を含む時間帯の制御量PVを時系列データとして記憶する時系列PVデータ記憶部(第1の時系列データ記憶部)1と、PID制御系のステップ応答を含む時間帯の操作量MVを時系列データとして記憶する時系列MVデータ記憶部(第2の時系列データ記憶部)2と、制御量PVと操作量MVの時系列データについてステップ応答前半の過渡状態のデータを特定する過渡状態データ特定部3と、制御量PVの時系列データのうち過渡状態データ特定部3によって特定された過渡状態のデータと、操作量MVの時系列データのうち過渡状態データ特定部3によって特定された過渡状態のデータとにより、制御対象のモデル数式を同定する制御対象モデリング部4と、制御対象のモデル数式に基づいて制御対象の動的プロセスゲインKpとプロセス時定数Tpとの比率Rを算出するゲイン時定数比算出部5と、制御対象が特定の状態にある場合の比率Rの数値範囲を示す判定基準を予め記憶する判定基準記憶部6と、比率Rと判定基準とを比較して、制御対象の状態が予め規定された特定の状態にあるか否かを判定する状態判定部7とを備えている。
なお、この特定方法は、ステップ応答の前半に操作量MVの上限値を出力する制御系に特に有効な方法であり、代表的な事例としてヒータによる昇温制御がある。ただし、この方法は単なる一実施例であり、操作量MVの変化幅やその他の信号の変化によって制御の過渡状態のデータを特定することも可能である。
Gp=Kpexp(−Lps)/(1+Tps) ・・・(6)
Kpは動的プロセスゲイン、Lpはむだ時間、Tpは時定数であり、これらのパラメータは可変量として処理できるようになっている。なお、ここでの制御対象は、例えばヒータなどのアクチュエータを含むものである。
まず、モデル制御量生成部40は、時系列MVデータ記憶部2に記憶された操作量MVの時系列データのうち過渡状態データ特定部3によってステップ応答前半の過渡状態と特定されたデータを式(6)の数式モデルに適用し、モデル制御量PVmの時系列データを生成する。すなわち、モデル制御量生成部40は、過渡状態の操作量MVのデータ毎に次式の演算をしてモデル制御量PVmの時系列データを生成すればよい。
PVm=GpMV ・・・(7)
dPVj=PVj−PVj-1 ・・・(9)
dPVmj=PVmj−PVmj-1 ・・・(10)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図6は本発明の第2の実施の形態に係る状態判定装置の構成を示すブロック図であり、図1と同様の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の状態判定装置は、設定値SP入力部8と、制御量PV入力部9と、設定値SPと制御量PVに基づきPID制御演算により操作量MVを算出するPID演算部10と、操作量MV出力部11と、外部から状態判定の実行を指示する判定指示信号を受ける判定指示信号入力部12と、時系列PVデータ記憶部1と、時系列MVデータ記憶部2と、判定指示信号が入力されたときに、制御量PVと操作量MVの時系列データについてステップ応答前半の過渡状態のデータを特定する過渡状態データ特定部3aと、制御対象モデリング部4と、ゲイン時定数比算出部5と、判定基準記憶部6と、状態判定部7とを備えている。
制御量PVは、図示しないセンサによって検出され、制御量PV入力部9を介してPID演算部10と時系列PVデータ記憶部1とに入力される(ステップS201)。
MV=(100/Pb){1+(1/Tis)+Tds}(SP−PV)
・・・(11)
時系列PVデータ記憶部1は、制御量PV入力部9から出力された制御量PVを記憶する(ステップS204)。
時系列MVデータ記憶部2は、操作量MV出力部11から出力された操作量MVを記憶する(ステップS205)。
以上のようなステップS200〜S211の処理が例えばオペレータによって制御の終了が指示されるまで(ステップS206においてYES)、制御周期毎に繰り返し実行される。
なお、第1、第2の実施の形態で説明した状態判定装置及びPIDコントローラは、CPU、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って第1、第2の実施の形態で説明した処理を実行する。
Claims (8)
- 制御対象の状態を判定する状態判定装置であって、
制御の過渡状態を発生させる操作量の時系列データと前記過渡状態における制御量の時系列データに基づいて前記制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率を算出する算出部と、
前記比率を判定指標として前記制御対象の状態を判定する判定部とを備えることを特徴とする状態判定装置。 - 請求項1記載の状態判定装置において、
前記算出部は、
PID制御系のステップ応答を含む時間帯の前記制御量を時系列データとして記憶する第1の時系列データ記憶部と、
前記PID制御系のステップ応答を含む時間帯の前記操作量を時系列データとして記憶する第2の時系列データ記憶部と、
前記制御量と操作量の時系列データについてステップ応答前半の過渡状態のデータを特定する過渡状態データ特定部と、
前記制御量の時系列データのうち前記過渡状態データ特定部によって特定された過渡状態のデータと、前記操作量の時系列データのうち前記過渡状態データ特定部によって特定された過渡状態のデータとにより、前記制御対象のモデル数式を同定する制御対象モデリング部と、
前記モデル数式に基づいて前記制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率を算出するゲイン時定数比算出部とからなり、
前記判定部は、
前記制御対象が特定の状態にある場合の前記比率の数値範囲を示す判定基準を予め記憶する判定基準記憶部と、
前記比率と前記判定基準とを比較して、前記制御対象の状態が前記特定の状態にあるか否かを判定する状態判定部とからなることを特徴とする状態判定装置。 - 請求項2記載の状態判定装置において、
前記制御対象モデリング部は、
前記操作量の時系列データのうちの過渡状態のデータを前記制御対象のモデル数式に適用してモデル制御量の時系列データを生成するモデル制御量生成部と、
前記制御量の時系列データのうちの過渡状態のデータの変化率と前記モデル制御量の時系列データの変化率との近さを示す評価関数値を算出する評価関数値算出部と、
前記評価関数値が最適値となる前記制御対象のモデル数式を探索するモデル探索部とを有することを特徴とする状態判定装置。 - 請求項2又は3記載の状態判定装置において、
さらに、制御の設定値と前記制御量に基づきPID制御演算により前記操作量を算出するPID演算部を備え、
前記過渡状態データ特定部は、外部から状態判定の実行を指示する判定指示信号が入力されたときに、前記制御量と操作量の時系列データについてステップ応答前半の過渡状態のデータを特定することを特徴とする状態判定装置。 - 制御対象の状態を判定する状態判定方法であって、
制御の過渡状態を発生させる操作量の時系列データと前記過渡状態における制御量の時系列データに基づいて前記制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率を算出する算出手順と、
前記比率を判定指標として前記制御対象の状態を判定する判定手順とを備えることを特徴とする状態判定方法。 - 請求項5記載の状態判定方法において、
前記算出手順は、
PID制御系のステップ応答を含む時間帯の前記制御量を時系列データとして記憶する第1の時系列データ記憶手順と、
前記PID制御系のステップ応答を含む時間帯の前記操作量を時系列データとして記憶する第2の時系列データ記憶手順と、
前記制御量と操作量の時系列データについてステップ応答前半の過渡状態のデータを特定する過渡状態データ特定手順と、
前記制御量の時系列データのうち前記過渡状態データ特定手順によって特定された過渡状態のデータと、前記操作量の時系列データのうち前記過渡状態データ特定手順によって特定された過渡状態のデータとにより、前記制御対象のモデル数式を同定する制御対象モデリング手順と、
前記モデル数式に基づいて前記制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率を算出するゲイン時定数比算出手順とからなり、
前記判定手順は、前記ゲイン時定数比算出手順によって算出された比率と前記制御対象が特定の状態にある場合の前記比率の数値範囲を示す予め設定された判定基準とを比較して、前記制御対象の状態が前記特定の状態にあるか否かを判定することを特徴とする状態判定方法。 - 請求項6記載の状態判定方法において、
前記制御対象モデリング手順は、
前記操作量の時系列データのうちの過渡状態のデータを前記制御対象のモデル数式に適用してモデル制御量の時系列データを生成するモデル制御量生成手順と、
前記制御量の時系列データのうちの過渡状態のデータの変化率と前記モデル制御量の時系列データの変化率との近さを示す評価関数値を算出する評価関数値算出手順と、
前記評価関数値が最適値となる前記制御対象のモデル数式を探索するモデル探索手順とからなることを特徴とする状態判定方法。 - 請求項6又は7記載の状態判定方法において、
さらに、前記算出手順の前に、制御の設定値と前記制御量に基づきPID制御演算により前記操作量を算出するPID演算手順を備え、
前記過渡状態データ特定手順は、外部から状態判定の実行を指示する判定指示信号が入力されたときに、前記制御量と操作量の時系列データについてステップ応答前半の過渡状態のデータを特定することを特徴とする状態判定方法。
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