JP2003195905A - 制御装置および温度調節器 - Google Patents

制御装置および温度調節器

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JP2003195905A JP2001398983A JP2001398983A JP2003195905A JP 2003195905 A JP2003195905 A JP 2003195905A JP 2001398983 A JP2001398983 A JP 2001398983A JP 2001398983 A JP2001398983 A JP 2001398983A JP 2003195905 A JP2003195905 A JP 2003195905A
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優 片山
Yasuhiro Mada
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正子 浅野
Masahito Tanaka
政仁 田中
Ikuo Minamino
郁夫 南野
Takaaki Yamada
隆章 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制御対象に応じてより精度の高い制御特性が
得られるようにすることを主たる目的とし、さらには、
ロバスト制御を可能にすることを目的とする。 【解決手段】 制御対象のノミナルモデルおよび摂動モ
デルを用いて、GPC(一般化予測制御)の設計パラメ
ータである制御重み係数λi(j)を、ロバスト安定条
件に基づいて、決定手段5で決定し、この制御重み係数
λi(j)を用いて、PID制御パラメータを、GPC
との関係に基づく算出式に従ってPID制御パラメータ
算出手段4で算出してPID制御手段3に設定してい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制御対象の温度や
圧力などの物理状態を制御する制御装置および制御対象
の温度を制御する温度調節器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の制御装置、例えば、PID制御を
行う制御装置では、オートチューニングを行って、ステ
ップ応答法やリミットサイクル法などの手法を用いてP
ID制御パラメータを決定して制御を行っており、シス
テムの変動に対しては、オートチューニングを繰り返し
行って、PID制御パラメータをシステム変動に対応し
たものに変更して適応制御を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
PID制御では、複雑な制御対象に対しても、低い次数
のモデルに近似してPID制御パラメータを決定してい
るために、制御対象によっては、所望の制御特性が得ら
れないといった難点がある。
【0004】また、適応制御では、システムの変動に応
じて、オートチューニングを繰り返し行う必要があり、
面倒である。
【0005】本発明は、上述のような点に鑑みてなされ
たものであって、制御対象に応じてより精度の高い制御
特性が得られるようにすることを主たる目的とし、さら
には、ロバスト制御を可能にすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記目的を
達成するために、次のように構成している。
【0007】すなわち、本発明の制御装置あるいは温度
調節器は、PID制御則とモデル予測制御則とに基づい
て導かれる算出式に従って、PID制御パラメータを算
出する算出手段を備え、算出されたPID制御パラメー
タに基づいて制御を行うものである。
【0008】ここで、算出手段では、PID制御パラメ
ータの全てを算出する必要はなく、少なくとも一つのP
ID制御パラメータを算出するものであってもよく、本
発明の制御装置あるいは温度調節器は、PID制御に限
るものではなく、比例制御、積分制御、比例積分制御な
どの他の制御にも適用できるものである。
【0009】本発明によると、PID制御パラメータ
を、PID制御則とモデル予測制御則とに基づいて導か
れる算出式に従って算出するので、PID制御パラメー
タを、GPC(Generalized Predic
tive Control)やDMC(Dynamic
al Matrix Control)といった制御対
象を高次でモデル化するモデル予測制御則との関係に基
づいて決定することが可能となり、従来のPID制御に
比べて制御特性が向上する。
【0010】本発明の一実施態様においては、前記算出
式が、PID制御則に基づく式と評価関数を最小化する
一般化予測制御(GPC)の式とに基づいて導かれるも
のである。
【0011】本発明によると、PID制御則に基づく式
および評価関数を最小化する一般化予測制御(GPC)
の式を変形、近似や係数比較を行うことによって、PI
D制御パラメータを算出する算出式を導くことができ、
PID制御パラメータを、一般化予測制御(GPC)と
の関係に基づいて決定できることになる。
【0012】本発明の他の実施態様においては、前記算
出手段は、入力される前記一般化予測制御(GPC)の
設計パラメータを用いて前記PID制御パラメータを算
出するものであり、前記設計パラメータが、ロバスト安
定になるように決定されるものである。
【0013】本発明によると、ロバスト安定になるよう
に決定された一般化予測制御(GPC)の設計パラメー
タを用いて、算出式に従ってPID制御パラメータを算
出するので、ロバスト安定なPID制御パラメータとな
ってロバスト制御が可能となる。
【0014】本発明の更に他の実施態様においては、制
御対象の複数のモデルを有し、これらモデルおよびロバ
スト安定条件から前記設計パラメータを決定する決定手
段を備えている。
【0015】本発明によると、制御対象のノミナルモデ
ルおよび摂動モデルといった複数のモデルおよびロバス
ト安定条件から一般化予測制御(GPC)の設計パラメ
ータを決定することができ、この設計パラメータを用い
てPID制御パラメータを算出できる。
【0016】また、決定手段は、制御対象のノミナルモ
デルや摂動モデルを、制御対象に対する入出力データを
計測して自動的にモデリングするようにしてもよい。
【0017】本発明の他の実施態様においては、前記算
出手段は、入力される前記一般化予測制御(GPC)の
設計パラメータを用いて前記PID制御パラメータを算
出するものであり、前記設計パラメータが、オーバーシ
ュートやアンダーシュートを抑制し、あるいは、目標値
までの応答が早くなるように決定されるものである。
【0018】本発明によると、オーバーシュートやアン
ダーシュートを抑制し、あるいは、目標値までの応答が
早くなるように決定された一般化予測制御(GPC)の
設計パラメータを用いて、算出式に従ってPID制御パ
ラメータを算出するので、オーバーシュートやアンダー
シュートを抑制し、あるいは、目標値までの応答が早い
制御が可能となる。
【0019】本発明の好ましい実施態様においては、前
記設計パラメータが、一般化予測制御(GPC)に含ま
れる制御重み係数である。
【0020】本発明によると、一般化予測制御(GP
C)の操作量の重み係数である制御重み係数を、ロバス
ト安定条件に基づいて決定し、この制御重み係数を用い
てPID制御パラメータを算出することにより、ロバス
ト安定なPID制御が可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面に基づいて説明する。
【0022】(実施の形態1)図1は、本発明の一つの
実施の形態に係る温度調節器のブロック図である。
【0023】この実施の形態の温度調節器1は、熱処理
装置などの制御対象2の温度制御を行うものであり、図
示しない設定部からの設定温度wと、制御対象2に配設
された図示しない温度センサからの検出温度yとの偏差
に基づいて、操作量uを演算算出するPID制御手段3
を備えている。
【0024】この実施の形態の温度調節器1では、従来
のPID制御よりも精度の高い制御特性が得られるよう
にするために、PID制御手段3に設定されるPID制
御パラメータである比例ゲインk、積分時間TIおよび
微分時間TDを、一般化予測制御(GPC:Gener
alized Predictive Contro
l)との関係に基づいて決定するようにしている。
【0025】次に、PID制御パラメータを、GPCと
の関係に基づいて決定するための手順を詳しく説明す
る。
【0026】先ず、制御対象は、次式のp入力p出力多
変数離散時間システムで記述できるものとする。
【0027】
【数1】
【0028】ここで、Δは差分オペレータでΔ:=1−
z―1であり、u(t),y(t)は次式のようなp次元
の制御入力ベクトルとシステム出力ベクトルである。
【0029】
【数2】
【0030】ここで上付きのTは転置を示している。ま
たξ(t)は白色ガウス雑音を表している。また、A
(z-1)は次式で与えられる対角の多項式行列である。
【0031】
【数3】
【0032】一般に制御対象は高次系であると考えられ
るが、化学プロセス系などにおいては、ほとんどが一次
遅れ系で記述されることが多い。そこで各Ai(z-1
は(4)式のように高々z-1の一次式で与えられるもの
とする。
【0033】
【数4】
【0034】ここで、i=1,2,…,pである(以下
では特記しない限り、iはこれを表す)。
【0035】一方、B(z-1)はすべての要素をもった
多項式行列で、次式として与えられる。
【0036】
【数5】
【0037】ここで、係数行列Bιは次式により定義さ
れる。
【0038】
【数6】
【0039】また、Dはシステムのむだ時間を表す行列
で、次式として与えられる。
【0040】
【数7】
【0041】(1)式のシステムは、多項式行列A(z-1)
は漸近安定で、detB(1)は0でないという仮定を満
足するものとする。
【0042】次に、PID制御則について説明する。こ
こでは、次式によるI−PD制御則を適用する。
【0043】
【数8】
【0044】ここで、ei(t)は制御誤差を表してお
り目標値wi(t)に対して次式により定義される。
【0045】
【数9】
【0046】また、(8)式において、kciは比例ゲイ
ンを、TIiとTDiはそれぞれ、積分時間と微分時間に対
応している。ここで、以下の考察を簡単にするために、
次式のLi(z-1)を定義する。
【0047】
【数10】
【0048】このとき(8)式は以下のように書き換え
られる。
【0049】
【数11】
【0050】(8)式や(11)式のPID制御パラメ
ータは、制御性能に大きな影響を与える。従って、その
調整は重要な問題である。しかしながら、実際のプロセ
スは不確かさやあいまいなむだ時間を有しているため、
最適なPID制御パラメータを見つけるのは困難であ
る。そこで、そのようなシステムに対して有効な制御の
手法の一つであるGPCとの関係に基づいてPIDパラ
メータを調整するのである。
【0051】次に、GPC則について説明する。GPC
則は、以下の評価関数の最小化に基づいて導かれる。
【0052】
【数12】
【0053】ここで、E[・]は期待値を示している。
また、λi(j)は操作量の重み係数を示し、Niは予
測区間を示している。このとき、(12)式の評価規範
を最小化する制御入力は、次式で与えられる。
【0054】
【数13】
【0055】ここで、Fi,j(z-1),Si,j(z-1),
i,jは、Diophantine方程式を解くことに
よって得られる。なお、(12)式の操作量の重み係数
λi(j)は、この(13)式では、pi,j項に含まれて
いる。
【0056】次に、PID制御パラメータをGPC則と
の関係に基づいて調整する方法について説明する。
【0057】PID則に基づく上述の(11)式とGP
C則に基づく上述の(13)式との対応をとるために、
(13)式の左辺第2項の係数多項式を定常ゲインに置
き換えた次式を考える。
【0058】
【数14】
【0059】ここで、Xiを次式で定義する。
【0060】
【数15】
【0061】次に、
【0062】
【数16】
【0063】と置くと、(11)式と(14)式とは等
価となり、以下のような関係を得ることができる。
【0064】
【数17】
【0065】以上のようにして、PID制御パラメータ
である比例ゲインkci、積分時間T Iiおよび微分時間T
Diを、GPC則との関係で算出する算出式が得られるこ
とになる。
【0066】この実施の形態では、図1に示されるPI
D制御パラメータ算出手段4でPID制御パラメータ
を、上述の(17)式に従って算出してPID制御手段
3に設定するものである。
【0067】このPID制御パラメータの算出において
は、GPC則に含まれる設計パラメータである操作量の
重み係数(制御重み係数)λi(j)の設計が重要とな
る。この実施の形態では、この制御重み係数λi(j)
の設計を、ロバスト安定条件に基づいて行うようにして
いる。
【0068】次に、この制御重み係数λi(j)のロバ
スト設計について、詳細に説明する。
【0069】先ず、制御対象のノミナルモデルと摂動モ
デルについて説明する。
【0070】制御対象のノミナルモデルを、以下のよう
に設計する。なお、第2式は、むだ時間をパディ近似し
たものである。
【0071】
【数18】
【0072】拡大系が不確かさを持つ原因として、モデ
ル化誤差、非干渉化が完全に行われていないことが考え
られる。そこで、(18)式に対応する摂動モデルとし
て次式を考える。
【0073】
【数19】
【0074】
【数20】
【0075】δiは変動率を表しており、不確かさを十
分に見積もって設定する必要がある。しかしながら、プ
ロセス系では、この不確かさを正確に見積もることは難
しく、通常0.2≦δi≦0.5の範囲内に設定するこ
とが多い。そこで、この実施の形態では、δiを上述の
範囲内で設定する。
【0076】この実施の形態では、(18)式と(1
9)式に対応する離散系のモデルを用いてロバスト安定
性の観点からGPCの制御重み係数λi(j)を設計す
る。
【0077】
【数21】
【0078】
【数22】
【0079】ここで、
【0080】
【数23】
【0081】
【数24】
【0082】次にロバスト設計について説明する。ノミ
ナルな制御対象の周波数伝達関数をGi 0(jω)とする
と、実際の制御対象の周波数伝達関数を次式のように記
述できる。
【0083】
【数25】
【0084】ここでhi(jω)は乗法的な不確かさを
表す。また、次の関係を満足するhm i(ω)が存在し、
【0085】
【数26】
【0086】さらに、制御器を含む閉ループの周波数伝
達関数をWi(jω)とするとき、次の不等式を満たす
ことがロバスト安定であるための必要十分条件であるこ
とが知られている。
【0087】
【数27】
【0088】また、上述の(18)式と(19)式を
(25)式に適用することで、乗法的不確かさについ
て、次式を得ることができる。
【0089】
【数28】
【0090】さらに、閉ループ伝達関数Wi(z-1)は
次のように表せる。
【0091】
【数29】
【0092】(25)式におけるhi(jω)と、(2
7)式におけるWi(jω)はそれぞれz=ejωTsと言
う関係を使って、(28),(29)式から得られる。
一方上述の(12),(13)式から明らかなように閉
ループ伝達関数のゲイン|W(jω)|を制御重み係数
λi(j)により効果的に変化させることができる。す
なわち(27)式を満足するように制御重み係数λ
i(j)を設計することで、ロバスト安定性を考慮した
PID制御系を構成できることになる。
【0093】例えば、図2に示されるように、周波数を
変化させたときのゲインが、0を超えないように制御重
み係数λi(j)を決定すればよく、この図2では、制
御重み係数λi(j)を、7.0に設定すれば、ロバス
ト安定となる。
【0094】この実施の形態では、図1に示されるよう
に、ロバスト安定条件に基づいて、GPCの設計パラメ
ータである制御重み係数λi(j)を決定する決定手段
5を備えており、この決定手段5は、制御対象2の入出
力データを計測して上述のノミナルモデルをモデリング
するとともに、制御条件を変動させたときの入出力デー
タを計測して摂動モデルをモデリングするモデリング部
6と、ノミナルモデルおよび摂動モデルに基づいて、上
述のようにロバスト安定になるように制御重み係数λi
(j)を決定する制御重み係数決定部7とを備えてい
る。
【0095】なお、PID制御3、PID制御パラメー
タ算出手段4および決定手段5は、例えば、マイクロコ
ンピュータによって構成される。
【0096】制御重み係数決定部7で決定された制御重
み係数λi(j)がPID制御パラメータ算出手段4に
与えられて上述の算出式に従ってPID制御パラメータ
が算出されてPID制御手段3に設定されるのである。
【0097】したがって、この実施の形態の温度調節器
1は、ロバスト安定になるように決定された制御重み係
数を用いて、GPCとの関係に基づく算出式に従ってP
ID制御パラメータが算出されるので、従来のPID制
御に比べて高精度な制御が可能となり、特に、むだ時間
があいまいな制御対象も制御できることになる。しか
も、ロバスト制御が可能となり、従来のようにシステム
変動に対応してオートチューニングを繰り返し行う必要
がない。
【0098】(実施の形態2)図3は、本発明の他の実
施の形態の温度調節器のブロック図であり、上述の実施
の形態に対応する部分には、対応する参照符号を付す。
【0099】この実施の形態では、2入力2出力のシス
テムに適用したものであり、さらに、制御対象2の前段
に前置補償器8を設けて非干渉化を図っており、この前
置補償器8は、制御対象2の定常ゲインの逆行列として
与えられる。
【0100】ロバスト安定を考慮してGPCとの関係に
基づいて、各PID制御手段31,32のPID制御パラ
メータを決定するのは、上述の実施の形態と同様であ
る。
【0101】さらに、この実施の形態では、前置補償器
8で非干渉化しても未だ干渉が残っている分を、ロバス
ト設計の際に考慮して、すなわち、摂動モデルに含ませ
ることにより、一層の非干渉化を図ったものである。
【0102】図4および図5は、この実施の形態の各チ
ャンネルの目標値w1,w2と、制御対象2の出力値
1,y2の変化を示しており、図6および図7は、前置
補償器を設けることなく、しかも、PID制御パラメー
タがCHR調整則によって決定された従来例の各チャン
ネルの目標値w1,w2と、制御対象2の出力値y1,y2
の変化を示している。
【0103】従来例に比べて、この実施の形態では、制
御特性が大幅に改善されていることが分かる。
【0104】(その他の実施の形態)上述の各実施の形
態では、GPCの制御重み係数λi(j)を、ロバスト
安定条件に基づいて決定したけれども、必ずしもロバス
ト安定条件に基づいて決定する必要はなく、従来の他の
手法を用いて決定してもよい。また、本発明の他の実施
の形態として、GPCの制御重み係数λi(j)を、オ
ーバーシュート、アンダーシュートやハンチングなどを
抑制するように、また、目標値までの立ち上がり(応
答)を早くするように、決定してもよい。
【0105】上述の実施の形態では、GPCの制御重み
係数λi(j)を、決定手段5で自動的に決定したけれ
ども、本発明の他の実施の形態として、制御重み係数λ
i(j)を直接入力できるようにしてもよい。
【0106】上述の実施の形態では、摂動モデルは、変
動時のデータを計測してモデリング手段6で自動的にモ
デリングしたけれども、本発明の他の実施の形態とし
て、摂動モデルを直接入力するようにしてもよい。
【0107】また、ノミナルモデルおよび摂動モデル
は、上述の実施の形態に限らないのは勿論である。
【0108】上述の実施の形態では、温度制御を行う温
度調節器に適用して説明したけれども、本発明は、温度
調節器に限るものではなく、制御対象の圧力、流量、速
度あるいは液位などの様々な物理状態を制御する制御装
置に適用できるものである。
【0109】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、PID制
御パラメータを、PID制御則とGPCなどのモデル予
測制御則とに基づいて導かれる算出式に従って算出する
ので、PID制御パラメータを、制御対象を高次でモデ
ル化するモデル予測制御則との関係に基づいて決定する
ことが可能となり、従来のPID制御に比べて制御特性
が向上し、特に、むだ時間があいまいな制御対象も制御
できることになる。
【0110】また、ロバスト安定になるように決定され
たGPCの設計パラメータである制御重み係数を用いて
PID制御パラメータを算出するので、ロバスト制御が
可能となり、従来のようにシステム変動に対応してオー
トチューニングを繰り返し行う必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る温度調節器の
ブロック図である。
【図2】GPCの制御重み係数λの決定について説明す
るための周波数とゲインとの関係を示す図である。
【図3】本発明の他の実施の形態の温度調節器のブロッ
ク図である。
【図4】図3の実施の形態の目標値とフィードバック値
の変化を示す図である。
【図5】図3の実施の形態の目標値とフィードバック値
の変化を示す図である。
【図6】従来例の目標値とフィードバック値の変化を示
す図である。
【図7】従来例の目標値とフィードバック値の変化を示
す図である。
【符号の説明】
1 温度調節器 2 制御対象 3,31,32 PID制御手段 4,41,42 制御パラメータ算出手段 5,51,52 決定手段 8 前置補償器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 間田 泰弘 広島県東広島市鏡山一丁目1番1号 広島 大学内 (72)発明者 浅野 正子 岡山県倉敷市玉島長尾836−5 (72)発明者 田中 政仁 京都府京都市下京区塩小路通堀川東入南不 動堂町801番地 オムロン株式会社内 (72)発明者 南野 郁夫 京都府京都市下京区塩小路通堀川東入南不 動堂町801番地 オムロン株式会社内 (72)発明者 山田 隆章 京都府京都市下京区塩小路通堀川東入南不 動堂町801番地 オムロン株式会社内 Fターム(参考) 5H004 GA02 GA03 GA17 KA32 KA71 KB02 KB04 KB06 KC18 KC24 KC28 KC45 KC50 LA01 LA03 LA12 LA13

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 PID制御則とモデル予測制御則とに基
    づいて導かれる算出式に従って、PID制御パラメータ
    を算出する算出手段を備え、算出されたPID制御パラ
    メータに基づいて制御を行うことを特徴とする制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記算出式が、PID制御則に基づく式
    と評価関数を最小化する一般化予測制御(GPC)の式
    とに基づいて導かれる請求項1記載の制御装置。
  3. 【請求項3】 前記算出手段は、入力される前記一般化
    予測制御(GPC)の設計パラメータを用いて前記PI
    D制御パラメータを算出するものであり、前記設計パラ
    メータが、ロバスト安定になるように決定される請求項
    2記載の制御装置。
  4. 【請求項4】 制御対象の複数のモデルを有し、これら
    モデルおよびロバスト安定条件から前記設計パラメータ
    を決定する決定手段を備える請求項3記載の制御装置。
  5. 【請求項5】 前記算出手段は、入力される前記一般化
    予測制御(GPC)の設計パラメータを用いて前記PI
    D制御パラメータを算出するものであり、前記設計パラ
    メータが、オーバーシュートやアンダーシュートを抑制
    し、あるいは、目標値までの応答が早くなるように決定
    される請求項2記載の制御装置。
  6. 【請求項6】 前記設計パラメータが、一般化予測制御
    (GPC)に含まれる制御重み係数である請求項3〜5
    のいずれかに記載の制御装置。
  7. 【請求項7】 制御対象の温度が目標温度になるように
    温度制御する温度調節器において、 PID制御則とモデル予測制御則とに基づいて導かれる
    算出式に従って、PID制御パラメータを算出する算出
    手段を備え、算出されたPID制御パラメータに基づい
    て温度制御を行うことを特徴とする温度調節器。
  8. 【請求項8】 前記算出式が、PID制御則に基づく式
    と評価関数を最小化する一般化予測制御(GPC)の式
    とに基づいて導かれる請求項7記載の温度調節器。
  9. 【請求項9】 前記算出手段は、入力される前記一般化
    予測制御(GPC)の設計パラメータを用いて前記PI
    D制御パラメータを算出するものであり、前記設計パラ
    メータが、ロバスト安定になるように決定される請求項
    8記載の温度調節器。
  10. 【請求項10】 制御対象の複数のモデルを有し、これ
    らモデルおよびロバスト安定条件から前記設計パラメー
    タを決定する決定手段を備える請求項9記載の温度調節
    器。
  11. 【請求項11】 前記設計パラメータが、一般化予測制
    御(GPC)に含まれる制御重み係数である請求項9ま
    たは10記載の温度調節器。
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