JP2007213483A - Pid制御器の最適調整システム及び最適調整方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 プロセスモデル1a,PID制御器5と同じコントロールアルゴリズムを有しプロセスモデル1aとともに制御シミュレーションを行う制御モデル1b,制御目標値と制御シミュレーションによる制御応答値との差を可変パラメータXを含む評価関数IXTAEで評価する評価部1c及び評価関数IXTAEが所定の値となるときの制御パラメータを探索する制御パラメータ探索部1dを有するシミュレータ1と、評価関数IXTAEの可変パラメータXを調整するパラメータ調整部3と、シミュレータ1で決定された前記制御パラメータをPID制御器5に出力する出力部1eとを有する。
【選択図】 図1
Description
ところで、これまでのPID制御器の調整では、ステップ応答試験の結果から、プロセスを無駄時間+一次遅れで近似して求めているため、適切な制御パラメータを得ることができず、手動にて各制御パラメータを適切な値に再調整しなければならないという問題があった。そのため、制御パラメータの決定に時間がかかり、その間にコントローラの制御性能が劣化してシステムの稼働率を低下させるという問題があった。また、上記したような従来の手動調整は、オペレータの経験や勘によるところが大きく、ゲインや制御パラメータが過大になったりして、オペレータの経験や能力によって調整に差が生じやすいという問題があった。
なお、前記プロセスモデルは、請求項2に記載するように、n次遅れ系に対応できるように、n次表現とするのが好ましい。
評価関数IXTAEの制御パラメータXは任意に変更することが可能である。
好ましくは、請求項3に記載するように、臨界制動値の近傍で可変パラメータXを調整できるようにするとよい。例えば、臨界制動を得たい場合X=2が相当し、2前後の0〜3の範囲内で所望する応答に連続的に変更できるようにするのがよい。
具体的には、請求項4に記載するように、前記評価関数IXTAEを含む第一の評価関数を用いて前記シミュレータで得られた複数の制御パラメータのうち、少なくとも一つの制御パラメータの共通性から、少なくとも偏差及び操作量に関する変数の項と重み関数とを含む第二の評価関数の未知のパラメータを決定し、実際の運転データから得られた制御量及び操作量から求めた前記第二の評価関数の値の変動に基づいて、制御性能の評価を行う制御性能評価部を設ける。
前記第二の評価関数としては、偏差及び操作量の変数の二乗和を重み関数を用いて線形結合したもの、具体的には、請求項5に記載するように、
また、請求項8に記載するように、前記評価関数IXTAEを用いて得られた複数の制御パラメータのうち、少なくとも一つの制御パラメータの共通性から、少なくとも偏差及び操作量に関する変数の項と重み関数とを含む評価関数を用い、実際の運転データから得られた制御量及び操作量から求めた前記評価関数の値の変動に基づいて制御性能の評価を行い、前記評価関数の変動が予め設定されたしきい値を超えたときに、再チューニングを促す指令を出力する方法としてもよい。
すなわち、チューニングの際に、前記可変パラメータXの値を、最適な可変パラメータX0と、この最適な可変パラメータX0から変化させた少なくとも一つの可変パラメータX1との間で変化させ、前記可変パラメータX0のときのダンピング値Du0と、可変パラメータX1のときのダンピング値Du1とからダンピング比(Du1/Du0)を求め、可変パラメータX0のときのゲインK0と、可変パラメータX1のときのゲインK1との比(K1/K0)から基準となるゲイン比G0を求め、可変パラメータをX0としてチューニングで得られたパラメータPを以下の式
また、本発明では、二つの評価関数を用い、一方を制御パラメータの探索用に、他方を制御性能の評価用に使い分けることで、制御性能をリアルタイムにモニターすることが可能になり、長時間の自動運転を安定的かつ安全に行うことができる。
図1は、本発明の最適調整システムの第一の実施形態にかかり、その構成を説明するブロック図である。
図1に示すように、この実施形態の最適調整システムは、制御対象6の応答を同定して得られるプロセスモデル1a,PID制御器5と同じコントロールアルゴリズムを有し、プロセスモデル1aとともに制御シミュレーションを行う制御モデル1b,制御目標値と前記制御シミュレーションによる制御応答値との差を可変パラメータXを含む評価関数IXTAEで評価する評価部1c,前記評価関数が所定の値となるときの制御パラメータを探索する制御パラメータ探索部1d及び制御パラメータ探索部1dで探索された制御パラメータをPID制御器5に出力する出力部1eを有するシミュレータ1と、評価関数IXTAEの可変パラメータXを調整するためのパラメータ調整器3とを有している。
シミュレータ1のプロセスモデル1aは、制御対象6の応答結果を同定して得ることができる。プロセスモデル1aは一次表現式
図2に示すように、例えば、純粋無駄時間の割合β=0.2では、一次遅れ系と多次遅れ系のゲインの比は約2倍余りになる。
このことは、無駄時間の表現によっては、ゲインに大きな誤差が生じるということを表している。そのため、無駄時間の表現を一次〜多次で工夫し、一次遅れ系の表現だけでなく多次遅れ系の表現を用いることで、上記の誤差を小さくすることが好ましい。
プロセスモデル1aと制御モデル1bとが、制御対象6からフィードバックされた制御結果に基づいてシミュレーションを行う。
評価部1cは、制御パラメータXを可変とした評価関数IXTAEを用いて、プロセスモデル1aと制御モデル1bとによるシミュレーション結果と目標とする制御応答との差を関数化する。
図3は、評価関数を選択するに当たり、その目安となるべきDumping Ratioと、
Over Shootとの関係を示した図である。
ここで、一般に、
そこで、評価関数の式として、αを変数として、
可変パラメータXにおける変数αの値は、パラメータ調整器3で0から3まで連続的に、又は段階的に変化させることができる。
オペレータは、パラメータ調整器3を使って、評価関数IXTAEの可変パラメータXを種々変更することができる。
可変パラメータXの値は、臨界制動値の前後近傍で連続的に変更できるようにするとよい。図4に示すように、可変パラメータXの値を臨界制動値(この実施形態ではα=2)から0に近づけていくと、制御系は応答速度が速くなってTightの傾向になり、前記臨界制動値から3に近づけていくと、制御系はオーバーシュート量が小さくなってRobustの傾向になる。
オペレータは、応答速度やオーバシュートが適切となるように可変パラメータXを調整するだけで、PIDコントローラに必要な制御パラメータの設定を行うことができる。
この探索法としては、例えば、SQP法(逐次2次計画法)やNelder-Mead法等公知のものを用いることができる。
出力部1eは、特定された可変パラメータXを用いて探索された制御パラメータを、PID制御器5に送信する。
第一の実施形態の手順によって最適な制御パラメータを設定しても、例えば原材料の変更や触媒の劣化等により制御性能が時間とともに変化することがある。
そのため、制御性能をリアルタイムに監視して、制御性能の変化を早期に発見し、制御パラメータの再チューニングを行う必要がある。
そこで、この第二の実施形態では、図5に示すように、PID制御器5の制御性能を評価するとともに、評価結果に基づいて再チューニングの指令を出力する制御性能評価部4と、この制御性能評価部4の再チューニング指令によりPID制御のためのパラメータの再チューニングを行う再チューニング部7を設けている。また、制御性能評価部4による評価結果を表示するモニター2をさらに設け、オペレータがリアルタイムで制御性能の変化を把握できるようにしている。
その結果、GMVの値が予め設定した範囲を超えたときに、制御パラメータの再チューニング指令を、再チューニング部7に出力する。
図示の例では、評価関数IXTAEの可変パラメータXの変数α=2としたときに求めた制御パラメータP,I,D及びOV値,DU値と、制御パラメータP,I,D及びOV値,DU値が近似し、かつ、GMV値が最小となる重み関数λの組を探索する。図示の例では、可変パラメータXの変数α=2,重み関数λが323のとき、両者の制御パラメータが最も近似し、かつ、GMV値が最小となるため、重み関数λ=323に決定している。
図7では、評価関数GMVの計算結果に基づいた値を、モニターレベルとして表わしている。モニターレベルは、例えば、開始時(t=0)における評価関数GMVの初期値(GMV0)と、時間t経過後の操作量に基づく実測値(GMV)との比で表すことができる。このモニターレベルが予め設定されたしきい値Iを上回ったときに、制御性能評価部4は制御性能が低下したと判断して、再チューニング部7に再チューニング指令を出力する。
この実施形態では、再チューニング指令が出力されたときのダンピングDumを以下の式
ここで、
Duはダンピングで、図8に示すように、
Du0は、チューニングの際に決定した最適な可変パラメータX0のときのダンピング(基準ダンピング)で、Pは、最適な可変パラメータX0のときのP,I,DパラメータのうちのパラメータPの値である。
まず、決定された最適な可変パラメータX0のときの基準ダンピングDu0、パラメータP及びゲインK0を求める。次いで、可変パラメータXをX0から任意の値X1に変更したときのダンピングDu1及びゲインK1を求める。
ゲイン比(K1/K0)をG0=とすると、
再チューニング部7による再チューニングの結果は、図5に示すようにシミュレータ1の出力部1eを介してPID制御器5に入力するようにしてもよいし、再チューニング部7から直接PID制御器5に入力するようにしてもよい。
例えば、上記の第二の実施形態では、第一の評価関数としてIXTAEを用いてGMV則の重み関数λを求めるものとしたが、他の評価関数を用いてλを求めることも可能である。
また、監視用の評価関数としてGMVのみを例に挙げて説明したが、偏差の項と操作量の項とを有するものであれば、GMVに限らず他の評価関数を用いることも可能である。
1a プロセスモデル
1b 制御モデル
1c 評価部
1d 制御パラメータ探索部
1e 出力部
2 モニタ(表示部)
3 パラメータ調整器
4 制御性能評価部
5 PID制御器
6 制御対象
7 再チューニング部
Claims (10)
- PID制御パラメータに基づいて制御対象を制御するPID制御器の最適調整システムにおいて、制御対象の応答を同定して得られるプロセスモデル,前記PID制御器と同じコントロールアルゴリズムを有し、前記プロセスモデルとともに制御シミュレーションを行う制御モデル,制御目標値と前記制御シミュレーションによる制御応答値との差を可変パラメータXを含む評価関数IXTAEで評価する評価部及び前記評価関数が所定の値となるときの制御パラメータを探索する制御パラメータ探索部を有するシミュレータと、前記評価関数IXTAEの可変パラメータXを調整するパラメータ調整部と、前記シミュレータで決定された前記制御パラメータを前記PID制御器に出力する出力部と、を有することを特徴とするPID制御器の最適調整システム。
- 前記プロセスモデルを、無駄時間の形態に応じて一次〜n次表現としたことを特徴とする請求項1に記載のPID制御器の最適調整システム。
- 前記パラメータ調整部は、前記可変パラメータXを臨界制動値の前後で段階的に又は連続的に調整可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のPID制御器の最適調整システム。
- 前記評価関数IXTAEを含む第一の評価関数を用いて前記シミュレータで得られた複数の制御パラメータのうち、少なくとも一つの制御パラメータの共通性から、少なくとも偏差及び操作量に関する変数の項と重み関数とを含む第二の評価関数の未知のパラメータを決定し、実際の運転データから得られた制御量及び操作量から求めた前記第二の評価関数の値の変動に基づいて、制御性能の評価を行う制御性能評価部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のPID制御器の最適調整システム。
- PID制御パラメータに基づいて制御対象を制御するPID制御器の最適調整方法において、制御対象の応答を同定して得られるプロセスモデルと、PID制御器と同じコントロールアルゴリズムを有する制御モデルとでシミュレーションを行い、可変パラメータXを含む評価関数IXTAEの前記可変パラメータXの値を、臨界制動値及びその前後で段階的に又は連続的に調整しつつ、前記評価関数IXTAEを用いて制御パラメータの探索を行い、探索の結果得られた制御パラメータを前記PID制御器に出力する出力すること、を特徴とするPID制御器の最適調整方法。
- 前記プロセスモデルを、一次〜n次表現としたことを特徴とする請求項6に記載のPID制御器の最適調整方法。
- 前記評価関数IXTAEを用いて得られた複数の制御パラメータのうち、少なくとも一つの制御パラメータの共通性から、少なくとも偏差及び操作量に関する変数の項と重み関数とを含む評価関数を用い、実際の運転データから得られた制御量及び操作量から求めた前記評価関数の値の変動に基づいて制御性能の評価を行い、前記評価関数の変動が予め設定されたしきい値を超えたときに、再チューニングを促す指令を出力することを特徴とする請求項6又は7に記載のPID制御器の最適調整方法。
- チューニングの際に、前記可変パラメータXの値を、最適な可変パラメータX0と、この最適な可変パラメータX0から変化させた少なくとも一つの可変パラメータX1との間で変化させ、
前記可変パラメータX0のときのダンピング値Du0と、可変パラメータX1のときのダンピング値Du1とからダンピング比(Du1/Du0)を求め、
可変パラメータX0のときのゲインK0と、可変パラメータX1のときのゲインK1との比(K1/K0)から基準となるゲイン比G0を求め、
可変パラメータをX0としてチューニングで得られたパラメータPを以下の式
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