JP2019204178A - 制御パラメータ計算方法、制御パラメータ計算プログラム、及び制御パラメータ計算装置 - Google Patents

制御パラメータ計算方法、制御パラメータ計算プログラム、及び制御パラメータ計算装置 Download PDF

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Abstract

【課題】PID制御の制御パラメータを効率的に推定する。【解決手段】同定部22は、各時間区間の対データに基づき、異なる構造の数理モデルを複数同定する。適合度計算部24は、各時間区間について同定された複数の数理モデルについて、適合度を計算する。そして、選定部26は、各時間区間について、適合度が閾値よりも大きい数理モデルを時間区間の対データに対する数理モデルとして選定する。安定性関数構築部30は、ゲイン余裕を表す関数と位相余裕を表す関数とを生成する。そして、ラムダパラメータ計算部32は、ゲイン余裕を表す関数が閾値以上となり、位相余裕を表す関数が閾値以上となり、ゲイン余裕を表す関数と閾値との間の差分と、位相余裕を表す関数と閾値との間の差分との和を表す関数を最小化するような内部モデル制御法のラムダパラメータを計算する。制御パラメータ計算部34は、ラムダパラメータに基づいて、制御パラメータを計算する。【選択図】図1

Description

開示の技術は、制御パラメータ計算方法、制御パラメータ計算プログラム、及び制御パラメータ計算装置に関する。
従来から、様々な制御方法が知られている。例えば、制御の対象とする振動数領域の振動を低減するだけでなく、制御の対象としない振動数領域の振動も低減するアクティブフィードバック制御装置が知られている。
また、閉ループシステムのためのフィルタとループ比例ゲインを同時選択するための方法が知られている。この方法は、速度制御(例えばモータエンコーダ角)のフィードバックに使用されるセンサへの作動力(例えばモータトルク)からのダイナミック応答を表す周波数応答関数(FRF)に作用する。また、このチューニング方法は、安定余裕に関して規定された一連の基準を満たしつつループ比例ゲイン(Kp)の最大化を可能にするフィルタパラメータの組み合わせを決定する。
また、適合データの信頼性を向上させることができる制御パラメータ適合装置が知られている。この装置には、電動パワーステアリングシステムの機械的な構成要素が持つ粘性摩擦及びクーロン摩擦等の動的特性の製品間のばらつきを加味して、ハンドルの自励振動等の特定の問題が最も発生しやすい条件を有してなる検証用モデルが備えられている。この装置は、当該検証用モデルに、適合された制御パラメータである適合データを与えて電動パワーステアリングシステムの動作をシミュレーションするとともに、当該シミュレーションの結果に基づき前記適合データの妥当性を検証する。これにより、量産時における製品間の動的特性のばらつきを考慮した制御パラメータの設定が可能となり、適合データの信頼性が高められる。
特開2012-185658号公報 特表2009-537926号公報 特開2011-63130号公報
Proportional-Integral-Differential(PID)制御の制御パラメータを求める際、例えば、内部モデル制御法で利用される数理モデルやラムダパラメータの決定方法には自由度がある。このため、数理モデルやラムダパラメータを試行錯誤によって決定する必要があり、その作業に工数がかかるという課題がある。
一つの側面では、開示の技術は、PID制御の制御パラメータを効率的に推定することが目的である。
開示の技術は、一つの実施態様では、制御対象の操作量の時系列データと各時刻の前記操作量に対する被制御量の時系列データとの対を表す対データが所定時間区間毎に区切られている。そして、各時間区間の前記対データが格納されている記憶部から各時間区間の前記対データを読み出し、各時間区間について、前記時間区間に対応する前記対データに基づき、システム同定法を用いて、異なる構造の数理モデルを複数同定する。そして、各時間区間について、同定に用いられた前記時間区間とは異なる前記時間区間に対応する前記対データの各々に対し、前記対データのうちの前記操作量に対する前記被制御量の推定値を前記数理モデルにより計算する。そして、計算された前記被制御量の推定値の時系列と、前記同定に用いられた前記時間区間とは異なる前記時間区間に対応する前記対データのうちの前記被制御量の時系列データとの間の適合の度合いを表す適合度を計算する。そして、各時間区間について、前記適合度が予め定められた閾値よりも大きい前記数理モデルを、前記時間区間の前記対データに対する前記数理モデルとして選定する。そして、各時間区間について選定された前記数理モデルの各々と前記PIDコントローラとの積を表す伝達関数を生成し、前記伝達関数のゲイン余裕を表す関数と前記伝達関数の位相余裕を表す関数とを生成する。そして、前記ゲイン余裕を表す関数がゲイン余裕の設定閾値以上となり、かつ前記位相余裕を表す関数が位相余裕の設定閾値以上となるような内部モデル制御法におけるラムダパラメータを、前記パラメータとして計算する。そして、前記ゲイン余裕を表す関数とゲイン余裕の設定閾値との間の差分と、前記位相余裕を表す関数と位相余裕の設定閾値との間の差分との和を表す関数を最小化するような内部モデル制御法におけるラムダパラメータを、前記パラメータとして計算する。
一つの側面として、PID制御の制御パラメータを効率的に推定することができる、という効果を有する。
第1実施形態に係る制御パラメータ計算装置の概略ブロック図である。 各時間区間の対データのデータ形式の一例を示す図である。 本実施形態の同定方法を説明するための説明図である。 数理モデルのモデルパラメータのデータ形式の一例を示す図である。 PIDコントローラの制御パラメータのデータ形式の一例を示す図である。 第1実施形態に係る制御パラメータ計算装置として機能するコンピュータの概略構成を示すブロック図である。 本実施形態の制御パラメータ計算処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る制御パラメータ計算装置の概略ブロック図である。 属性情報と制御パラメータとのデータ形式の一例を示す図である。 補間マップの一例を示す図である。 第2実施形態に係る制御パラメータ計算装置として機能するコンピュータの概略構成を示すブロック図である。 第2実施形態の制御パラメータ計算処理の一例を示すフローチャートである。 第3実施形態に係る制御パラメータ計算装置の概略ブロック図である。 第3実施形態に係る制御パラメータ計算装置として機能するコンピュータの概略構成を示すブロック図である。 第3実施形態の制御パラメータ計算処理の一例を示すフローチャートである。 本実施形態の実施例の結果を示す図である。
以下、図面を参照して開示の技術の実施形態の一例を詳細に説明する。
<第1実施形態>
PID制御の制御パラメータを推定する技術としては、例えば、ステップ応答に基づく方法及び内部モデル制御法(IMC,Internal Model Control)等がある。
ステップ応答に基づく方法では、操作量に対する被制御量の動的な挙動が試験により取得される。また、ステップ応答に基づく方法では、取得された動的な挙動が、伝達関数及び状態方程式等の動的な数理モデルで表現される。そして、ステップ応答に基づく方法では、数理モデルに関する情報である定常ゲイン、時定数、及び無駄時間に基づき、制御パラメータが決定される。
ステップ応答に基づく方法は、制御系の時間応答に注目し、実験的に導出した経験則であるため、オーバーシュート又はアンダーシュート等が生じることがあり、実際の試験での再調整が必要となる、という課題がある。
一方、内部モデル制御法では、即応性を調整するパラメータとしてラムダパラメータが導入されている。そのため、内部モデル制御法においては、適切な数理モデルとラムダパラメータとが与えられれば、オーバーシュート又はアンダーシュート等が生じない理想的な制御性能を実現することができる。
しかし、数理モデル及びラムダパラメータ等の決め方には自由度がある。このため、制御システムの安定性を確保しながら、オーバーシュート又はアンダーシュートが生じない制御を実現する制御パラメータを推定するためには、数理モデル又はラムダパラメータを試行錯誤によって決定する必要がある、という課題がある。
そこで、本実施形態では、数理モデル及びラムダパラメータを試行錯誤することなく、安定性を確保しながら、オーバーシュート及びアンダーシュートの発生を抑制するような制御パラメータを推定する。これにより、PID制御におけるキャリブレーションに要する工数を大幅に低減することができる。以下、具体的に説明する。
図1に示すように、実施形態に係る制御パラメータ計算装置10は、時系列データ記憶部20と、同定部22と、適合度計算部24と、選定部26と、モデルパラメータ記憶部28と、安定性関数構築部30とを備えている。また、制御パラメータ計算装置10は、ラムダパラメータ計算部32と、制御パラメータ計算部34と、制御パラメータ記憶部36とを備えている。ラムダパラメータ計算部32は、開示の技術のパラメータ計算部の一例である。時系列データ記憶部20は、開示の技術の記憶部の一例である。
時系列データ記憶部20には、制御対象の操作量の時系列データと、各時刻の操作量に対する被制御量の時系列データとの対を表す対データが格納されている。対データは所定時間区間毎に区切られており、時系列データ記憶部20には、各時間区間の対データが格納されている。
各時間区間の対データは、例えば、図2に示されるように、テーブルの形式で格納される。各時間区間の対データは、制御対象の操作量uを動的に変化させたときの被制御量yの動的な応答変化について、操作量uの時系列データと被制御量yの時系列データとが対となって取得されたデータである。また、操作量uを階段(ステップ)状に動的に変化させたときの操作量のステップの変化幅の情報が、操作量の変化量duとして格納される。
図2に示すテーブルには、各時間区間の対データの識別情報を表す識別IDと、時間区間の時刻tの時系列データと、操作量の時系列データと、被制御量の時系列データと、このときの操作量の変化量のスカラー値とが対応付けられて格納される。図2に示される例では、例えば、識別ID1と、時刻の時系列データt1ベクトルと、操作量の時系列データu1ベクトルと、被制御量の時系列データy1ベクトルと、操作量の変化量du1スカラー値とが対応付けられて格納される。
同定部22は、まず、時系列データ記憶部20に格納された各時間区間の対データを読み出す。そして、同定部22は、各時間区間について、その時間区間に対応する対データに基づき、システム同定法を用いて、異なる構造の数理モデルを複数同定する。
具体的には、同定部22は、1つの時間区間の対データに基づき、システム同定法を用いて、異なる構造の数理モデルを2つ以上同定する。例えば、同定部22は、以下の式(1)に示される1次遅れ系+無駄時間の伝達関数及び以下の式(2)に示される2次遅れ系+無駄時間の伝達関数等の、異なる構造の数理モデルを同定する。なお、Kはゲイン、T,T,Tは時定数、Lは無駄時間、sはラプラス演算子を示す。数理モデルは伝達関数の他に、状態空間モデル(状態方程式)、及び離散事象システム等を用いることができる。
システム同定法では、例えば、予測誤差法又は部分空間同定法等を用いて、ゲインK、時定数T,T,T,及び無駄時間Lなどのモデルパラメータを同定することができる。

(1)

(2)
図3に、本実施形態の同定方法を説明するための説明図を示す。同定部22は、図3に示されるように、操作量uの時系列データ(図3上図)に対して被制御量yの時系列データ(図3下図)が得られている場合、最初の時間区間に対応する対データA1を用いて、異なる構造の数理モデルを複数同定する。また、同定部22は、時間区間に対応する対データB1を用いて、異なる構造の数理モデルを複数同定する。また、同定部22は、時間区間に対応する対データA2を用いて、異なる構造の数理モデルを複数同定する。また、同定部22は、時間区間に対応する対データB2を用いて、異なる構造の数理モデルを複数同定する。このようにして、同定部22は、全ての時間区間について、当該時間区間に対応する対データに基づき、異なる構造の数理モデルを複数同定する。
適合度計算部24は、同定部22により各時間区間に対して同定された複数の数理モデルの各々について、同定に用いられた時間区間とは異なる時間区間に対応する対データの各々を用いて、対データの操作量に対する被制御量の推定値を数理モデルにより計算する。そして、適合度計算部24は、計算された被制御量の推定値の時系列と、同定に用いられた時間区間とは異なる時間区間に対応する対データのうちの被制御量の時系列データとの間の適合の度合いを表す適合度を計算する。
具体的には、適合度計算部24は、各時間区間の各数理モデルG(s)において、同定に用いなかった対データのうちの操作量uを用いて、以下の式(3)に従って、数理モデルによって時系列の被制御量の推定値y^を計算する。

(3)
そして、適合度計算部24は、以下の式(4)に従って、同定に用いなかった対データの被制御量yの時系列データyに対しての被制御量の推定値の時系列データy^の適合度Rを計算する。適合度Rは、決定係数又は重相関係数である。

(4)
なお、iは時系列データのインデックスである。また、nは時間区間の総数を表す。なお、相関係数及び根平均二乗誤差(RMSE:Root Mean Square Error)等を、適合度として用いることもできる。
選定部26は、各時間区間について、適合度計算部24によって計算された適合度が予め定められた閾値よりも大きい数理モデルを、その時間区間の対データに対する数理モデルとして選定する。選定部26は、精度の低い数理モデルを除外するために、適合度が閾値より大きいものだけを採用する。
具体的には、選定部26は、適合度計算部24によって計算された適合度が予め定められた閾値より大きい数理モデルを、操作量uと被制御量yとの対データの1つに対して採用する。そして、選定部26は、各時間区間について採用した数理モデルの構造を識別するための情報とモデルパラメータとを、モデルパラメータ記憶部28に格納する。
モデルパラメータ記憶部28には、各時間区間についての、選定部26によって選定された数理モデルを識別するための情報と数理モデルのモデルパラメータが格納される。
各時間区間に対して選定された数理モデルのモデルパラメータは、例えば、図4に示されるように、テーブルの形式で格納される。図4に示すテーブルには、各時間区間の対データの識別情報を表すデータIDと、各時間区間において選定された数理モデルの識別情報を表すモデルIDと、数理モデルのモデルパラメータとが対応付けられて格納される。図4に示される例では、例えば、データID「1」と、モデルID「Model(1)」と、モデルパラメータ「K(1),T(1),T(1),T(1),及びL(1)」とが対応付けられて格納される。
安定性関数構築部30は、内部制御法におけるラムダパラメータを算出するための安定性関数を構築する。具体的には、安定性関数構築部30は、モデルパラメータ記憶部28に格納されている、選定部26よって選定された各時間区間の数理モデルG(s)に応じて、内部モデル制御法に基づいて、K(λ)、T、及びTを導出する。数理モデルG(s)に応じた、K(λ)、T、及びTの算出式の一覧を以下の表1に示す。
次に、安定性関数構築部30は、各時間区間の数理モデルG(s)に応じて算出された、K(λ)、T、及びTに基づいて、以下の式(5)に従って、PIDコントローラG(s,λ)を構築する。

(5)
次に、安定性関数構築部30は、以下の式(6)に従って、各時間区間について選定された数理モデルG(s)の各々とPIDコントローラG(s,λ)との積を表す伝達関数L(s,λ)を生成する。

(6)
そして、安定性関数構築部30は、以下の式(7)に示されるように、伝達関数L(s,λ)を用いて、伝達関数L(s,λ)のゲイン余裕を表す関数g(λ)と、伝達関数L(s,λ)の位相余裕を表す関数p(λ)とを構築する。

(7)
ここで、上記式(7)におけるwpcは、伝達関数L(s,λ)の位相が∠L(jw)=−180[deg]となる周波数である。上記式(7)におけるwgcは、伝達関数L(s,λ)のゲインが1となる周波数である。また、||は絶対値を表す記号である。
ラムダパラメータ計算部32は、モデルパラメータ記憶部28に格納された、各時間区間について選定された数理モデルの各々に基づいて、その数理モデルに対するPIDコントローラの制御パラメータに関するパラメータであるラムダパラメータλを計算する。ラムダパラメータλは、内部モデル制御法におけるパラメータである。
具体的には、ラムダパラメータ計算部32は、ゲイン余裕を表す関数g(λ)がゲイン余裕の設定閾値Gmth以上となり、かつ位相余裕を表す関数p(λ)が位相余裕の設定閾値Pmth以上となるように、内部モデル制御法のラムダパラメータλを計算する。また、ラムダパラメータ計算部32は、以下の式(8)に従って、ゲイン余裕を表す関数g(λ)とゲイン余裕の設定閾値Gmthとの間の差分と位相余裕を表す関数p(λ)と位相余裕の設定閾値Pmthとの間の差分との和を表す関数を最小化するように、ラムダパラメータλを計算する。

(8)
なお、ラムダパラメータλの最適化は、黄金分割法、最急降下法、ニュートン法、内点法、及び逐次二次計画法等の最適化アルゴリズムを用いて実施することができる。本実施形態では、ラムダパラメータλを0に近い小さい値から所定の刻みで徐々に大きくする。これにより、ゲイン余裕を表す関数g(λ)がゲイン余裕の設定閾値Gmth以上となり、かつ位相余裕を表す関数p(λ)が位相余裕の設定閾値Pmth以上となるようなラムダパラメータλoptを探索することができる。
制御パラメータ計算部34は、ラムダパラメータ計算部32によって計算されたラムダパラメータλoptに基づいて、PIDコントローラの制御パラメータを計算する。
具体的には、制御パラメータ計算部34は、最適化されたラムダパラメータλoptを用いて、以下の式(9)に従って、各PIDコントローラの制御パラメータである比例ゲインKp,opt,積分ゲインKi,opt,及び微分ゲインKd,optを計算する。

(9)
制御パラメータ記憶部36には、制御パラメータ計算部34によって計算されたPIDコントローラの制御パラメータである、比例ゲインKp,opt,積分ゲインKi,opt,及び微分ゲインKd,optが格納される。
PIDコントローラの制御パラメータとラムダパラメータは、例えば、図5に示されるように、テーブルの形式で格納される。図5に示すテーブルには、対データの識別情報を表すデータIDと、制御パラメータとが対応付けられて格納される。図5に示される例では、例えば、データID「1」と、制御パラメータ「Kp,opt(1),Ki,opt(1),,Kd,opt(1)及びλd,opt(1)」とが対応付けられて格納される。
PIDコントローラの制御パラメータKp,opt,Ki,opt,及びKd,optは、時系列データ記憶部20に格納されたデータが得られた対象の制御システムを制御する際に用いられる。
制御パラメータ計算装置10は、例えば、図6に示すコンピュータ50で実現することができる。コンピュータ50はCPU51、一時記憶領域としてのメモリ52、及び不揮発性の記憶部53を備える。また、コンピュータ50は、入出力装置が接続される入出力interface(I/F)54、及び記録媒体59に対するデータの読み込み及び書き込みを制御するread/write(R/W)部55を備える。また、コンピュータ50は、インターネット等のネットワークに接続されるネットワークI/F56を備える。CPU51、メモリ52、記憶部53、入出力I/F54、R/W部55、及びネットワークI/F56は、バス57を介して互いに接続される。
記憶部53は、Hard Disk Drive(HDD)、Solid State Drive(SSD)、フラッシュメモリ等によって実現できる。記憶媒体としての記憶部53には、コンピュータ50を制御パラメータ計算装置10として機能させるための制御パラメータ計算プログラム60が記憶されている。制御パラメータ計算プログラム60は、同定プロセス61と、適合度計算プロセス62と、選定プロセス63と、安定性関数構築プロセス64と、ラムダパラメータ計算プロセス65と、制御パラメータ計算プロセス66とを有する。時系列データ記憶領域67には、時系列データ記憶部20を構成する情報が記憶される。モデルパラメータ記憶領域68には、モデルパラメータ記憶部28を構成する情報が記憶される。制御パラメータ記憶領域69には、制御パラメータ記憶部36を構成する情報が記憶される。
CPU51は、制御パラメータ計算プログラム60を記憶部53から読み出してメモリ52に展開し、制御パラメータ計算プログラム60が有するプロセスを順次実行する。CPU51は、同定プロセス61を実行することで、図1に示す同定部22として動作する。また、CPU51は、適合度計算プロセス62を実行することで、図1に示す適合度計算部24として動作する。また、CPU51は、選定プロセス63を実行することで、図1に示す選定部26として動作する。また、CPU51は、安定性関数構築プロセス64を実行することで、図1に示す安定性関数構築部30として動作する。また、CPU51は、ラムダパラメータ計算プロセス65を実行することで、図1に示すラムダパラメータ計算部32として動作する。また、CPU51は、制御パラメータ計算プロセス66を実行することで、図1に示す制御パラメータ計算部34として動作する。また、CPU51は、時系列データ記憶領域67から情報を読み出して、時系列データ記憶部20をメモリ52に展開する。また、CPU51は、モデルパラメータ記憶領域68から情報を読み出して、モデルパラメータ記憶部28をメモリ52に展開する。また、CPU51は、制御パラメータ記憶領域69から情報を読み出して、制御パラメータ記憶部36をメモリ52に展開する。これにより、制御パラメータ計算プログラム60を実行したコンピュータ50が、制御パラメータ計算装置10として機能することになる。ソフトウェアである制御パラメータ計算プログラム60を実行するCPU51はハードウェアである。
なお、制御パラメータ計算プログラム60により実現される機能は、例えば半導体集積回路、より詳しくはApplication Specific Integrated Circuit(ASIC)等で実現することも可能である。
次に、本実施形態に係る制御パラメータ計算装置10の作用について説明する。制御パラメータ計算装置10は、制御パラメータの計算の指示信号を受け付けると、図7に示す制御パラメータ計算処理ルーチンを実行する。
ステップS100において、同定部22は、まず、時系列データ記憶部20に格納された各時間区間の対データを読み出す。そして、ステップS100において、同定部22は、各時間区間について、その時間区間に対応する対データに基づき、システム同定法を用いて、異なる構造の数理モデルを複数同定する。
ステップS102において、適合度計算部24は、ステップS100で各時間区間に対して同定された複数の数理モデルの各々について、上記式(3)に従って、同定に用いなかった各対データの操作量uを用いて、被制御量の推定値の時系列データy^を計算する。そして、ステップS102において、適合度計算部24は、上記式(4)に従って、同定に用いなかった対データの被制御量yの時系列データyに対しての被制御量の推定値の時系列データy^の適合度Rを計算する。
ステップS104において、選定部26は、各時間区間について、上記ステップS102で計算された適合度が予め定められた閾値よりも大きい数理モデルを、その時間区間の対データに対する数理モデルとして選定する。そして、ステップS104において、選定部26は、各時間区間についての数理モデルのモデルパラメータをモデルパラメータ記憶部28へ格納する。
ステップS106において、安定性関数構築部30は、上記ステップS104でモデルパラメータ記憶部28に格納された各時間区間の数理モデルG(s)のモデルパラメータに応じて、内部モデル制御法に基づき、K(λ)、T、及びTを導出する。
そして、ステップS106において、安定性関数構築部30は、各時間区間の数理モデルG(s)に応じて算出された、K(λ)、T、及びTに基づいて、上記式(5)に従って、PIDコントローラG(s,λ)を構築する。
また、ステップS106において、安定性関数構築部30は、上記式(6)に従って、各時間区間について選定された数理モデルG(s)の各々とPIDコントローラG(s,λ)との積を表す伝達関数L(s,λ)を生成する。
そして、ステップS106において、安定性関数構築部30は、上記式(7)に示されるように、伝達関数L(s,λ)のゲイン余裕を表す関数g(λ)と、伝達関数L(s,λ)の位相余裕を表す関数p(λ)とを構築する。
ステップS108において、ラムダパラメータ計算部32は、ラムダパラメータλを0に近い小さい値から所定の刻みで徐々に大きくすることにより、上記式(8)に従って、ラムダパラメータλoptを計算する。
ステップS110において、制御パラメータ計算部34は、ステップS108で計算されたラムダパラメータλoptを用いて、上記式(9)に従って、制御パラメータである比例ゲインKp,opt,積分ゲインKi,opt,及び微分ゲインKd,optを計算する。そして、制御パラメータ計算部34は、比例ゲインKp,opt,積分ゲインKi,opt,及び微分ゲインKd,optを制御パラメータ記憶部36に格納して、処理を終了する。
以上説明したように、実施形態に係る制御パラメータ計算装置は、各時間区間について、全ての時間区間に対応する対データに基づき、システム同定法を用いて、異なる構造の数理モデルを複数同定する。また、制御パラメータ計算装置は、各時間区間について、時間区間に対して同定された複数の数理モデルの各々について、同定に用いられていない時間区間に対応する対データの各々に対し、対データの操作量に対する被制御量の推定値を数理モデルにより計算する。そして、制御パラメータ計算装置は、被制御量の推定値の時系列と、同定に用いられた時間区間とは異なる時間区間に対応する対データのうちの被制御量の時系列データとの間の適合度を計算する。そして、制御パラメータ計算装置は、各時間区間について、適合度が予め定められた閾値よりも大きい数理モデルを、時間区間の対データに対する数理モデルとして選定する。そして、制御パラメータ計算装置は、各時間区間について選定された数理モデルの各々に基づいて、数理モデルに対するPIDコントローラの制御パラメータのラムダパラメータを計算する。そして、制御パラメータ計算装置は、計算されたラムダパラメータに基づいて、PIDコントローラの制御パラメータを計算する。これにより、PID制御の制御パラメータを効率的に推定することができる。
また、構造の異なる複数の数理モデルを決定する際に、試行錯誤をすることなくPID制御における制御パラメータを取得することができる。また、ゲイン余裕と位相余裕とを考慮して内部モデル制御法におけるラムダパラメータを最適化することにより、試行錯誤することなく、かつ制御システムの安定性を確保しながらPID制御における制御パラメータを取得することができる。これにより、キャリブレーションにかかる工数を低減することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、PID制御における制御パラメータの補間マップを更に作成する点が第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
図8に示すように、第2実施形態に係る制御パラメータ計算装置210は、時系列データ記憶部20と、同定部22と、適合度計算部24と、選定部26と、モデルパラメータ記憶部28と、安定性関数構築部30とを備えている。また、制御パラメータ計算装置210は、ラムダパラメータ計算部32と、制御パラメータ計算部234と、制御パラメータ記憶部236と、補間マップ生成部238とを備えている。
制御パラメータ計算部234は、制御パラメータを計算する際に、制御パラメータが計算される際の属性を表す属性情報を更に取得する。そして、制御パラメータ計算部234は、属性情報と制御パラメータとを制御パラメータ記憶部236へ格納する。属性情報の詳細については後述する。
制御パラメータ記憶部236には、属性情報と制御パラメータとが格納される。属性情報と制御パラメータとは、例えば、図9に示されるように、テーブルの形式で格納される。図9に示すテーブルには、各時間区間の対データの識別情報を表すテータIDと属性情報と制御パラメータとが対応付けられて格納される。図9に示される例では、例えば、データID「1」と、属性情報「c1(1)、c2(1)、及びc3(1)」と、制御パラメータである比例ゲイン「Kp,opt(1)」,積分ゲイン「Ki,opt(1)」,及び微分ゲイン「Kd,opt(1)」とが対応付けられて格納される。
補間マップ生成部238は、制御パラメータ記憶部236に格納された属性情報と制御パラメータとの組み合わせに基づいて、属性情報と制御パラメータとを軸として、属性情報の値と制御パラメータの値との分布を補間した補間マップを生成する。
図10に、補間マップの一例を示す。図10に示される例では、属性情報の一例である、制御対象のシステムにおける「目標値と被制御量との差」及び「回転数」と、制御パラメータの一例である比例ゲインKとが示されている。図10に示される例では、補間マップ上の各頂点は、制御パラメータ計算部234によって計算された値に対応している。また、補間マップの各面は、補間マップ生成部238によって補間された値に対応している。
なお、属性情報は、制御パラメータを計算する際に得られる情報であればどのような情報であってもよい。例えば、操作量を階段(ステップ)状に動的に変化させるときの操作量のステップの変化幅の情報を属性情報として用いることにより、よりきめ細かい粒度で制御パラメータの値を参照することできる。
制御パラメータ計算装置210は、例えば、図11に示すコンピュータ250で実現することができる。記憶媒体としての記憶部53には、コンピュータ250を制御パラメータ計算装置210として機能させるための制御パラメータ計算プログラム260が記憶されている。制御パラメータ計算プログラム260は、同定プロセス61と、適合度計算プロセス62と、選定プロセス63と、安定性関数構築プロセス64と、ラムダパラメータ計算プロセス65とを有する。また、制御パラメータ計算プログラム260は、制御パラメータ計算プロセス266と、補間マップ生成プロセス267とを有する。時系列データ記憶領域67には、時系列データ記憶部20を構成する情報が記憶される。モデルパラメータ記憶領域68には、モデルパラメータ記憶部28を構成する情報が記憶される。制御パラメータ記憶領域269には、制御パラメータ記憶部236を構成する情報が記憶される。
CPU51は、制御パラメータ計算プログラム260を記憶部53から読み出してメモリ52に展開し、制御パラメータ計算プログラム260が有するプロセスを順次実行する。CPU51は、制御パラメータ計算プロセス266を実行することで、図8に示す制御パラメータ計算部234として動作する。また、CPU51は、補間マップ生成プロセス267を実行することで、図8に示す補間マップ生成部238として動作する。また、CPU51は、制御パラメータ記憶領域269から情報を読み出して、制御パラメータ記憶部236をメモリ52に展開する。他のプロセスについては、第1実施形態における制御パラメータ計算プログラム60と同様である。これにより、制御パラメータ計算プログラム260を実行したコンピュータ250が、制御パラメータ計算装置210として機能することになる。
次に、本実施形態に係る制御パラメータ計算装置210の作用について説明する。制御パラメータ計算装置210は、制御パラメータの計算の指示信号を受け付けると、図12に示す制御パラメータ計算処理ルーチンを実行する。
ステップS210において、制御パラメータ計算部234は、制御パラメータを計算する際に、制御パラメータが計算される際の属性を表す属性情報を更に取得する。そして、制御パラメータ計算部234は、属性情報と制御パラメータとを制御パラメータ記憶部236へ格納する。
ステップS212において、補間マップ生成部238は、上記ステップS210で制御パラメータ記憶部236に格納された属性情報と制御パラメータとの組み合わせに基づいて、属性情報の値と制御パラメータの値との分布を補間した補間マップを生成する。
以上説明したように、第2実施形態に係る制御パラメータ計算装置は、属性情報と制御パラメータとの組み合わせに基づいて、属性情報と制御パラメータとを軸として、属性情報の値と制御パラメータの値との分布を補間した補間マップを生成する。これにより、直接的に計算された制御パラメータとは異なる制御パラメータを参照することができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、制御シミュレーションにおいて、目標値からオーバーシュートした量又は目標値からアンダーシュートした量を考慮して制御パラメータを修正することを繰り返すことにより、制御パラメータを計算する点が第1又は第2実施形態と異なる。なお、第1又は第2実施形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
図13に示すように、第3実施形態に係る制御パラメータ計算装置310は、時系列データ記憶部20と、同定部22と、適合度計算部24と、選定部26と、モデルパラメータ記憶部28と、安定性関数構築部30とを備えている。また、制御パラメータ計算装置310は、ラムダパラメータ計算部32と、制御パラメータ計算部334と、制御パラメータ記憶部36と、シミュレーション部340と、コスト関数計算部342とを備えている。
シミュレーション部340は、制御パラメータ記憶部36に格納されたラムダパラメータを初期値として設定する。そして、シミュレーション部340は、初期値が設定されたPIDコントローラと数理モデルが表すプラントモデルとが閉ループ系の構造によって接続されたシステムに対し制御シミュレーションを実行する。
コスト関数計算部342は、シミュレーション部340によって得られる制御シミュレーション結果に基づいて、所定のコスト評価を計算する。
本実施形態のコスト評価値Jは、目標値の時系列データと被制御量の時系列データとの誤差に関する誤差評価値と操作量の変化幅に関する変化評価値と目標値からオーバーシュートした量又は目標値からアンダーシュートした量に関するペナルティ評価値とを含む。
具体的には、コスト評価値Jは、以下の式(10)によって表される。

(10)
上記式(10)に示されるように、コスト評価値Jには、制御シミュレーション結果の時系列の目標値rtrgと被制御量ysimとの間の誤差に関する誤差評価値が含まれる。また、コスト評価値Jには、制御シミュレーション結果の目標値からのオーバーシュート又はアンダーシュートした量Δysim,overのペナルティ評価値が含まれる。また、コスト評価値Jには、操作量の変化幅に関する変化評価値が含まれる。各評価値は、重み係数Qerr,R,Qoverにより重み付けされる。ここで、tは制御シミュレーションの終了時間であり、tは制御シミュレーションの開始時間である。また、Δuは操作量の時間変化幅である。
そして、制御パラメータ計算部334は、ゲイン余裕の設定閾値Gmthと位相余裕の設定閾値Pmthとを満たし、かつコスト評価値Jの減少幅が所定の閾値以下となるまで、ラムダパラメータを修正することにより、ラムダパラメータを計算する。そして、制御パラメータ計算部334は、ラムダパラメータから制御パラメータを計算する。
制御パラメータ計算装置310は、例えば、図14に示すコンピュータ350で実現することができる。記憶媒体としての記憶部53には、コンピュータ350を制御パラメータ計算装置310として機能させるための制御パラメータ計算プログラム360が記憶されている。制御パラメータ計算プログラム360は、同定プロセス61と、適合度計算プロセス62と、選定プロセス63と、安定性関数構築プロセス64と、ラムダパラメータ計算プロセス65とを有する。また、制御パラメータ計算プログラム360は、制御パラメータ計算プロセス366と、シミュレーションプロセス367と、コスト関数計算プロセス368とを有する。時系列データ記憶領域67には、時系列データ記憶部20を構成する情報が記憶される。モデルパラメータ記憶領域68には、モデルパラメータ記憶部28を構成する情報が記憶される。制御パラメータ記憶領域69には、制御パラメータ記憶部36を構成する情報が記憶される。
CPU51は、制御パラメータ計算プログラム360を記憶部53から読み出してメモリ52に展開し、制御パラメータ計算プログラム360が有するプロセスを順次実行する。CPU51は、制御パラメータ計算プロセス366を実行することで、図13に示す制御パラメータ計算部334として動作する。また、CPU51は、シミュレーションプロセス367を実行することで、図13に示すシミュレーション部340として動作する。また、CPU51は、コスト関数計算プロセス368を実行することで、図13に示すコスト関数計算部342として動作する。これにより、制御パラメータ計算プログラム360を実行したコンピュータ350が、制御パラメータ計算装置310として機能することになる。
次に、本実施形態に係る制御パラメータ計算装置310の作用について説明する。制御パラメータ計算装置310は、制御パラメータの計算の指示信号を受け付けると、図15に示す制御パラメータ計算処理ルーチンを実行する。
ステップS312において、シミュレーション部340は、繰り返し処理が初回の場合、ステップS110で計算された制御パラメータを初期値として設定する。そして、シミュレーション部340は、初期値が設定されたPIDコントローラと数理モデルが表すプラントモデルとが閉ループ系の構造によって接続されたシステムに対し制御シミュレーションを実行する。また、繰り返し処理が初回ではない場合、ステップS320で更新された制御パラメータに基づいて、制御シミュレーションを実行する。
ステップS314において、コスト関数計算部342は、上記ステップS312で得られる制御シミュレーション結果に基づいて、上記式(10)に従って、コスト評価値Jを計算する。
ステップS316において、コスト関数計算部342は、今回の上記ステップS314で計算されたコスト評価値Jと前回の上記ステップS314で計算されたコスト評価値Jとの間の減少幅が閾値以下であるか否かを判定する。今回の上記ステップS314で計算されたコスト評価値Jと前回の上記ステップS314で計算されたコスト評価値Jとの間の減少幅が閾値以下である場合には、処理を終了する。一方、今回の上記ステップS314で計算されたコスト評価値Jと前回の上記ステップS314で計算されたコスト評価値Jとの間の減少幅が閾値より大きい場合には、ステップS318へ移行する。
ステップS318において、ラムダパラメータ計算部32は、ゲイン余裕を表す関数g(λ)の値がゲイン余裕の設定閾値Gmth以上となり、かつ位相余裕を表す関数p(λ)の値が位相余裕の設定閾値Pmth以上となるように、ラムダパラメータを更新する。
ステップS320において、制御パラメータ計算部334は、上記ステップS318で更新されたラムダパラメータに基づいて、制御パラメータを更新する。
以上説明したように、第3実施形態に係る制御パラメータ計算装置は、制御パラメータが初期値として設定されたPIDコントローラと数理モデルが表すプラントモデルとが閉ループ系の構造によって接続されたシステムに対し制御シミュレーションを実行する。そして、制御パラメータ計算装置は、コスト評価値の減少幅が所定の閾値以下となるまで、制御パラメータを修正することを繰り返すことにより、制御パラメータを計算する。これにより、オーバーシュート及びアンダーシュートの発生を抑制したPID制御を実現するための制御パラメータを取得することができる。
<実施例1>
次に、本実施形態に係る制御パラメータ計算装置の実施例について説明する。本実施例では、制御対象を自動車エンジンのエンジン噴射システムとし、被制御量をコモンレール圧、操作量をサクションバルブ流量としたときの制御結果を比較する。
従来法としては、操作量と被制御量の時系列データから1次遅れ系の伝達関数を同定し、伝達関数の定常ゲイン、時定数および無駄時間の情報からCHR法に基づいてPID制御における制御パラメータを計算する。
本実施形態に係る制御パラメータ計算装置と従来法のPID制御における制御パラメータによる制御結果を比較した結果を図16に示す。一点鎖線が目標値を表し、点線が本実施形態に係る制御パラメータ計算装置を表し、実線が従来法を表す。
本実施形態に係る制御パラメータ計算装置では従来法よりもオーバーシュートが小さく、立上がりも早いことから、制御性能が高いことを確認した。従来法では、本実施形態に係る制御パラメータ計算装置と同程度の性能にするために試行錯誤によって制御パラメータを調整する作業が必要になり、工数が大幅に増加する。
なお、上記では、各プログラムが記憶部に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。開示の技術に係るプログラムは、CD−ROM、DVD−ROM、USBメモリ等の記録媒体に記録された形態で提供することも可能である。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
次に、各実施形態の変形例を説明する。
上記実施形態の制御パラメータ計算装置は、PID制御における制御パラメータに関するパラメータの一例として、内部制御法におけるラムダパラメータを計算する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、内部制御法におけるラムダパラメータに代えて、所定の係数を制御パラメータに関するパラメータとして計算するようにしてもよい。例えば、所定の係数αを以下の式のように設定して、係数αを計算するようにしてもよい。
また、上記実施形態の制御パラメータ計算装置は、様々な対象に適用可能である。例えば、上記実施形態の制御パラメータ計算装置の適用例として、制御対象がディーゼルエンジンであり、操作量はインジェクターの噴射量であり、被制御量はディーゼルパーティクルフィルターの入口温度であるようにすることができる。
以上の各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
制御対象の操作量の時系列データと各時刻の前記操作量に対する被制御量の時系列データとの対を表す対データが所定時間区間毎に区切られ、各時間区間の前記対データが格納されている記憶部から各時間区間の前記対データを読み出し、各時間区間について、前記時間区間に対応する前記対データに基づき、システム同定法を用いて、異なる構造の数理モデルを複数同定し、
各時間区間について、前記時間区間に対して同定された複数の前記数理モデルの各々について、同定に用いられた前記時間区間とは異なる前記時間区間に対応する前記対データの各々に対し、前記対データのうちの前記操作量に対する前記被制御量の推定値を前記数理モデルにより計算し、計算された前記被制御量の推定値の時系列と、前記同定に用いられた前記時間区間とは異なる前記時間区間に対応する前記対データのうちの前記被制御量の時系列データとの間の適合の度合いを表す適合度を計算し、
各時間区間について、前記適合度が予め定められた閾値よりも大きい前記数理モデルを、前記時間区間の前記対データに対する前記数理モデルとして選定し、
各時間区間について、選定された前記数理モデルの各々と内部モデル制御法に基づいてPIDコントローラを構成し、PIDコントローラと前記数理モデルとの積を表す伝達関数を生成し、前記伝達関数のゲイン余裕を表す関数と前記伝達関数の位相余裕を表す関数とを生成し、
前記ゲイン余裕を表す関数がゲイン余裕の設定閾値以上となり、かつ前記位相余裕を表す関数が位相余裕の設定閾値以上となり、かつ前記ゲイン余裕を表す関数とゲイン余裕の設定閾値との間の差分と、前記位相余裕を表す関数と位相余裕の設定閾値との間の差分との和を表す関数を最小化するような内部モデル制御法におけるラムダパラメータを計算し、ラムダパラメータからPIDコントローラの制御パラメータを計算する、
処理をコンピュータが実行する制御パラメータ計算方法。
(付記2)
前記制御パラメータが計算される際の属性を表す属性情報と前記制御パラメータとの組み合わせに基づいて、前記属性情報と前記制御パラメータとを軸として、前記属性情報の値と前記制御パラメータの値との分布を補間した補間マップを生成する、
付記1に記載の制御パラメータ計算方法。
(付記3)
前記属性情報は、前記操作量の変化幅である、
付記2に記載の制御パラメータ計算方法。
(付記4)
前記ラムダパラメータを初期値として設定し、前記初期値が設定されたPIDコントローラと前記数理モデルが表すプラントモデルとが閉ループ系の構造によって接続されたシステムに対し制御シミュレーションを実行し、
制御シミュレーション結果における目標値の時系列データと被制御量の時系列データとの誤差に関する誤差評価値と、前記制御シミュレーション結果における前記目標値からオーバーシュートした量又は前記目標値からアンダーシュートした量に関するペナルティ評価値とを含むコスト評価値の減少幅が所定の閾値以下となるまで、前記ラムダパラメータを修正することを繰り返すことにより、前記制御パラメータを計算する、
付記1〜付記3の何れか1項に記載の制御パラメータ計算方法。
(付記5)
前記コスト評価値は、前記操作量の変化幅に関する変化評価値を更に含む、
付記4に記載の制御パラメータ計算方法。
(付記6)
前記コスト評価値に含まれる各評価値は、予め設定された値によって重み付けされる、
付記4又は付記5に記載の制御パラメータ計算方法。
(付記7)
前記ラムダパラメータを計算する際に、ゲイン余裕を表す関数の値が前記ゲイン余裕の設定閾値以上となり、かつ前記位相余裕を表す関数の値が前記位相余裕の設定閾値以上となるまで、前記ラムダパラメータの増加を繰り返すことにより、前記ラムダパラメータを計算する、
付記1〜付記6の何れか1項に記載の制御パラメータ計算方法。
(付記8)
前記制御対象はディーゼルエンジンであり、前記操作量はインジェクターの噴射量であり、前記被制御量はディーゼルパーティクルフィルターの入口温度である、
付記1〜付記7の何れか1項に記載の制御パラメータ計算方法。
(付記9)
制御対象の操作量の時系列データと各時刻の前記操作量に対する被制御量の時系列データとの対を表す対データが所定時間区間毎に区切られ、各時間区間の前記対データが格納されている記憶部から各時間区間の前記対データを読み出し、各時間区間について、前記時間区間に対応する前記対データに基づき、システム同定法を用いて、異なる構造の数理モデルを複数同定し、
各時間区間について、前記時間区間に対して同定された複数の前記数理モデルの各々について、同定に用いられた前記時間区間とは異なる前記時間区間に対応する前記対データの各々に対し、前記対データのうちの前記操作量に対する前記被制御量の推定値を前記数理モデルにより計算し、計算された前記被制御量の推定値の時系列と、前記同定に用いられた前記時間区間とは異なる前記時間区間に対応する前記対データのうちの前記被制御量の時系列データとの間の適合度を計算し、
各時間区間について、選定された前記数理モデルの各々と内部モデル制御法に基づいてPIDコントローラを構成し、PIDコントローラと前記数理モデルとの積を表す伝達関数を生成し、前記伝達関数のゲイン余裕を表す関数と前記伝達関数の位相余裕を表す関数とを生成し、
前記ゲイン余裕を表す関数がゲイン余裕の設定閾値以上となり、かつ前記位相余裕を表す関数が位相余裕の設定閾値以上となり、かつ前記ゲイン余裕を表す関数とゲイン余裕の設定閾値との間の差分と、前記位相余裕を表す関数と位相余裕の設定閾値との間の差分との和を表す関数を最小化するような内部モデル制御法におけるラムダパラメータを計算し、ラムダパラメータからPIDコントローラの制御パラメータを計算する、
処理をコンピュータに実行させるための制御パラメータ計算プログラム。
(付記10)
前記制御パラメータが計算される際の属性を表す属性情報と前記制御パラメータとの組み合わせに基づいて、前記属性情報と前記制御パラメータとを軸として、前記属性情報の値と前記制御パラメータの値との分布を補間した補間マップを生成する、
付記9に記載の制御パラメータ計算プログラム。
(付記11)
前記属性情報は、前記操作量の変化幅である、
付記10に記載の制御パラメータ計算プログラム。
(付記12)
前記ラムダパラメータを初期値として設定し、前記初期値が設定されたPIDコントローラと前記数理モデルが表すプラントモデルとが閉ループ系の構造によって接続されたシステムに対し制御シミュレーションを実行し、
制御シミュレーション結果における目標値の時系列データと被制御量の時系列データとの誤差に関する誤差評価値と、前記制御シミュレーション結果における前記目標値からオーバーシュートした量又は前記目標値からアンダーシュートした量に関するペナルティ評価値とを含むコスト評価値の減少幅が所定の閾値以下となるまで、前記ラムダパラメータを修正することを繰り返すことにより、前記制御パラメータを計算する、
付記9〜付記11の何れか1項に記載の制御パラメータ計算プログラム。
(付記13)
前記コスト評価値は、前記操作量の変化幅に関する変化評価値を更に含む、
付記12に記載の制御パラメータ計算プログラム。
(付記14)
前記コスト評価値に含まれる各評価値は、予め設定された値によって重み付けされる、
付記12又は付記13に記載の制御パラメータ計算プログラム。
(付記15)
前記ラムダパラメータを計算する際に、ゲイン余裕を表す関数の値が前記ゲイン余裕の設定閾値以上となり、かつ前記位相余裕を表す関数の値が前記位相余裕の設定閾値以上となるまで、前記ラムダパラメータの増加を繰り返すことにより、前記ラムダパラメータを計算する、
付記9〜付記14の何れか1項に記載の制御パラメータ計算プログラム。
(付記16)
前記制御対象はディーゼルエンジンであり、前記操作量はインジェクターの噴射量であり、前記被制御量はディーゼルパーティクルフィルターの入口温度である、
付記9〜付記15の何れか1項に記載の制御パラメータ計算プログラム。
(付記17)
制御対象の操作量の時系列データと各時刻の前記操作量に対する被制御量の時系列データとの対を表す対データが所定時間区間毎に区切られ、各時間区間の前記対データが格納されている記憶部から各時間区間の前記対データを読み出し、各時間区間について、前記時間区間に対応する前記対データに基づき、システム同定法を用いて、異なる構造の数理モデルを複数同定する同定部と、
各時間区間について、前記時間区間に対して同定された複数の前記数理モデルの各々について、同定に用いられた前記時間区間とは異なる前記時間区間に対応する前記対データの各々に対し、前記対データのうちの前記操作量に対する前記被制御量の推定値を前記数理モデルにより計算し、計算された前記被制御量の推定値の時系列と、前記同定に用いられた前記時間区間とは異なる前記時間区間に対応する前記対データのうちの前記被制御量の時系列データとの間の適合度を計算する適合度計算部と、
各時間区間について、前記適合度が予め定められた閾値よりも大きい前記数理モデルを、前記時間区間の前記対データに対する前記数理モデルとして選定する選定部と、
各時間区間について、選定された前記数理モデルの各々と内部モデル制御法に基づいてPIDコントローラを構成し、PIDコントローラと前記数理モデルとの積を表す伝達関数を生成し、前記伝達関数のゲイン余裕を表す関数と前記伝達関数の位相余裕を表す関数とを生成する安定性関数構築部と、
前記ゲイン余裕を表す関数がゲイン余裕の設定閾値以上となり、かつ前記位相余裕を表す関数が位相余裕の設定閾値以上となり、かつ前記ゲイン余裕を表す関数とゲイン余裕の設定閾値との間の差分と、前記位相余裕を表す関数と位相余裕の設定閾値との間の差分との和を表す関数を最小化するような内部モデル制御法におけるラムダパラメータを計算するラムダパラメータ計算部と、
計算された前記ラムダパラメータに基づいて、PIDコントローラの制御パラメータを計算する制御パラメータ計算部と、
を含む制御パラメータ計算装置。
(付記18)
前記制御パラメータが計算される際の属性を表す属性情報と前記制御パラメータとの組み合わせに基づいて、前記属性情報と前記制御パラメータとを軸として、前記属性情報の値と前記制御パラメータの値との分布を補間した補間マップを生成する、
付記17に記載の制御パラメータ計算装置。
(付記19)
前記属性情報は、前記操作量の変化幅である、
付記18に記載の制御パラメータ計算装置。
(付記20)
制御対象の操作量の時系列データと各時刻の前記操作量に対する被制御量の時系列データとの対を表す対データが所定時間区間毎に区切られ、各時間区間の前記対データが格納されている記憶部から各時間区間の前記対データを読み出し、各時間区間について、前記時間区間に対応する前記対データに基づき、システム同定法を用いて、異なる構造の数理モデルを複数同定し、
各時間区間について、前記時間区間に対して同定された複数の前記数理モデルの各々について、同定に用いられた前記時間区間とは異なる前記時間区間に対応する前記対データの各々に対し、前記対データのうちの前記操作量に対する前記被制御量の推定値を前記数理モデルにより計算し、計算された前記被制御量の推定値の時系列と、前記同定に用いられた前記時間区間とは異なる前記時間区間に対応する前記対データのうちの前記被制御量の時系列データとの間の適合度を計算し、
各時間区間について、選定された前記数理モデルの各々と内部モデル制御法に基づいてPIDコントローラを構成し、PIDコントローラと前記数理モデルとの積を表す伝達関数を生成し、前記伝達関数のゲイン余裕を表す関数と前記伝達関数の位相余裕を表す関数とを生成し、
前記ゲイン余裕を表す関数がゲイン余裕の設定閾値以上となり、かつ前記位相余裕を表す関数が位相余裕の設定閾値以上となり、かつ前記ゲイン余裕を表す関数とゲイン余裕の設定閾値との間の差分と、前記位相余裕を表す関数と位相余裕の設定閾値との間の差分との和を表す関数を最小化するような内部モデル制御法におけるラムダパラメータを計算し、ラムダパラメータからPIDコントローラの制御パラメータを計算する、
処理をコンピュータに実行させるための制御パラメータ計算プログラムを記憶した記憶媒体。
10,210,310 制御パラメータ計算装置
20 時系列データ記憶部
22 同定部
24 適合度計算部
26 選定部
28 モデルパラメータ記憶部
30 安定性関数構築部
32 ラムダパラメータ計算部
34,234,334 制御パラメータ計算部
36,236 制御パラメータ記憶部
50,250,350 コンピュータ
51 CPU
53 記憶部
59 記録媒体
60,260,360 制御パラメータ計算プログラム
61 同定プロセス
62 適合度計算プロセス
63 選定プロセス
64 安定性関数構築プロセス
65 ラムダパラメータ計算プロセス
66,266,366 制御パラメータ計算プロセス
67 時系列データ記憶領域
68 モデルパラメータ記憶領域
69 制御パラメータ記憶領域
238 補間マップ生成部
267 補間マップ生成プロセス
269 制御パラメータ記憶領域
340 シミュレーション部
342 コスト関数計算部
367 シミュレーションプロセス
368 コスト関数計算プロセス

Claims (10)

  1. 制御対象の操作量の時系列データと各時刻の前記操作量に対する被制御量の時系列データとの対を表す対データが所定時間区間毎に区切られ、各時間区間の前記対データが格納されている記憶部から各時間区間の前記対データを読み出し、各時間区間について、前記時間区間に対応する前記対データに基づき、システム同定法を用いて、異なる構造の数理モデルを複数同定し、
    各時間区間について、前記時間区間に対して同定された複数の前記数理モデルの各々について、同定に用いられた前記時間区間とは異なる前記時間区間に対応する前記対データの各々に対し、前記対データのうちの前記操作量に対する前記被制御量の推定値を前記数理モデルにより計算し、計算された前記被制御量の推定値の時系列と、前記同定に用いられた前記時間区間とは異なる前記時間区間に対応する前記対データのうちの前記被制御量の時系列データとの間の適合の度合いを表す適合度を計算し、
    各時間区間について、前記適合度が予め定められた閾値よりも大きい前記数理モデルを、前記時間区間の前記対データに対する前記数理モデルとして選定し、
    各時間区間について、選定された前記数理モデルの各々と内部モデル制御法に基づいてPIDコントローラを構成し、PIDコントローラと前記数理モデルとの積を表す伝達関数を生成し、前記伝達関数のゲイン余裕を表す関数と前記伝達関数の位相余裕を表す関数とを生成し、
    前記ゲイン余裕を表す関数がゲイン余裕の設定閾値以上となり、かつ前記位相余裕を表す関数が位相余裕の設定閾値以上となり、かつ前記ゲイン余裕を表す関数とゲイン余裕の設定閾値との間の差分と、前記位相余裕を表す関数と位相余裕の設定閾値との間の差分との和を表す関数を最小化するような内部モデル制御法におけるラムダパラメータを計算し、ラムダパラメータからPIDコントローラの制御パラメータを計算する、
    処理をコンピュータが実行する制御パラメータ計算方法。
  2. 前記制御パラメータが計算される際の属性を表す属性情報と前記制御パラメータとの組み合わせに基づいて、前記属性情報と前記制御パラメータとを軸として、前記属性情報の値と前記制御パラメータの値との分布を補間した補間マップを生成する、
    請求項1に記載の制御パラメータ計算方法。
  3. 前記属性情報は、前記操作量の変化幅である、
    請求項2に記載の制御パラメータ計算方法。
  4. 前記ラムダパラメータを初期値として設定し、前記初期値が設定されたPIDコントローラと前記数理モデルが表すプラントモデルとが閉ループ系の構造によって接続されたシステムに対し制御シミュレーションを実行し、
    制御シミュレーション結果における目標値の時系列データと被制御量の時系列データとの誤差に関する誤差評価値と、前記制御シミュレーション結果における前記目標値からオーバーシュートした量又は前記目標値からアンダーシュートした量に関するペナルティ評価値とを含むコスト評価値の減少幅が所定の閾値以下となるまで、前記ラムダパラメータを修正することを繰り返すことにより、前記制御パラメータを計算する、
    請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の制御パラメータ計算方法。
  5. 前記コスト評価値は、前記操作量の変化幅に関する変化評価値を更に含む、
    請求項4に記載の制御パラメータ計算方法。
  6. 前記コスト評価値に含まれる各評価値は、予め設定された値によって重み付けされる、
    請求項4又は請求項5に記載の制御パラメータ計算方法。
  7. 前記ラムダパラメータを計算する際に、ゲイン余裕を表す関数の値が前記ゲイン余裕の設定閾値以上となり、かつ前記位相余裕を表す関数の値が前記位相余裕の設定閾値以上となるまで、前記ラムダパラメータの増加を繰り返すことにより、前記ラムダパラメータを計算する、
    請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の制御パラメータ計算方法。
  8. 前記制御対象はディーゼルエンジンであり、前記操作量はインジェクターの噴射量であり、前記被制御量はディーゼルパーティクルフィルターの入口温度である、
    請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の制御パラメータ計算方法。
  9. 制御対象の操作量の時系列データと各時刻の前記操作量に対する被制御量の時系列データとの対を表す対データが所定時間区間毎に区切られ、各時間区間の前記対データが格納されている記憶部から各時間区間の前記対データを読み出し、各時間区間について、前記時間区間に対応する前記対データに基づき、システム同定法を用いて、異なる構造の数理モデルを複数同定し、
    各時間区間について、前記時間区間に対して同定された複数の前記数理モデルの各々について、同定に用いられた前記時間区間とは異なる前記時間区間に対応する前記対データの各々に対し、前記対データのうちの前記操作量に対する前記被制御量の推定値を前記数理モデルにより計算し、計算された前記被制御量の推定値の時系列と、前記同定に用いられた前記時間区間とは異なる前記時間区間に対応する前記対データのうちの前記被制御量の時系列データとの間の適合度を計算し、
    各時間区間について、選定された前記数理モデルの各々と内部モデル制御法に基づいてPIDコントローラを構成し、PIDコントローラと前記数理モデルとの積を表す伝達関数を生成し、前記伝達関数のゲイン余裕を表す関数と前記伝達関数の位相余裕を表す関数とを生成し、
    前記ゲイン余裕を表す関数がゲイン余裕の設定閾値以上となり、かつ前記位相余裕を表す関数が位相余裕の設定閾値以上となり、かつ前記ゲイン余裕を表す関数とゲイン余裕の設定閾値との間の差分と、前記位相余裕を表す関数と位相余裕の設定閾値との間の差分との和を表す関数を最小化するような内部モデル制御法におけるラムダパラメータを計算し、ラムダパラメータからPIDコントローラの制御パラメータを計算する、
    処理をコンピュータに実行させるための制御パラメータ計算プログラム。
  10. 制御対象の操作量の時系列データと各時刻の前記操作量に対する被制御量の時系列データとの対を表す対データが所定時間区間毎に区切られ、各時間区間の前記対データが格納されている記憶部から各時間区間の前記対データを読み出し、各時間区間について、前記時間区間に対応する前記対データに基づき、システム同定法を用いて、異なる構造の数理モデルを複数同定する同定部と、
    各時間区間について、前記時間区間に対して同定された複数の前記数理モデルの各々について、同定に用いられた前記時間区間とは異なる前記時間区間に対応する前記対データの各々に対し、前記対データのうちの前記操作量に対する前記被制御量の推定値を前記数理モデルにより計算し、計算された前記被制御量の推定値の時系列と、前記同定に用いられた前記時間区間とは異なる前記時間区間に対応する前記対データのうちの前記被制御量の時系列データとの間の適合度を計算する適合度計算部と、
    各時間区間について、前記適合度が予め定められた閾値よりも大きい前記数理モデルを、前記時間区間の前記対データに対する前記数理モデルとして選定する選定部と、
    各時間区間について、選定された前記数理モデルの各々と内部モデル制御法に基づいてPIDコントローラを構成し、PIDコントローラと前記数理モデルとの積を表す伝達関数を生成し、前記伝達関数のゲイン余裕を表す関数と前記伝達関数の位相余裕を表す関数とを生成する安定性関数構築部と、
    前記ゲイン余裕を表す関数がゲイン余裕の設定閾値以上となり、かつ前記位相余裕を表す関数が位相余裕の設定閾値以上となり、かつ前記ゲイン余裕を表す関数とゲイン余裕の設定閾値との間の差分と、前記位相余裕を表す関数と位相余裕の設定閾値との間の差分との和を表す関数を最小化するような内部モデル制御法におけるラムダパラメータを計算するラムダパラメータ計算部と、
    計算された前記ラムダパラメータに基づいて、PIDコントローラの制御パラメータを計算する制御パラメータ計算部と、
    を含む制御パラメータ計算装置。
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