JP4528984B2 - Pid制御装置及びpid制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、PID制御対象の予測モデルを構築して、この予測モデルに基づいてPIDパラメータを決定し、このPIDパラメータを用いて上記制御対象を制御するPID制御装置及びPID制御方法に関する技術分野に属する。
近年、化学プロセスや石油精製プロセスに代表されるプロセス産業界においては、国際競争の激化の煽りを受けて、生産性の向上や省エネルギー・省力化、品質向上、生産コストの低減がより一層進められている。このような現状において、制御システムが果たす役割はこれまで以上に重要視されてきている。とりわけ化学プロセスや石油精製プロセス等においては、操業条件の変更(製品銘柄の変更等)、原料及び環境の変化、又はシステムそのものが持つ非線形性等により、対象とするシステムの特性が変化することが往々にして存在する。そのようなシステムに対して高精度な制御性を得るためには、本来、システムの特性に対応して制御システム(PIDパラメータ)が自己調整されることが望ましい。その一つのアプローチとしてセルフチューニング制御法があり、非特許文献1には、この考え方に基づいたセルフチューニングPID制御法が開示されている。この非特許文献1のセルフチューニングPID制御法は、一般化最小分散制御(GMVC)に基づくPIDパラメータ調整法であって、評価規範の最小化に基づいて制御則(GMVC則)を導出する。そして、PID制御対象への入力と該入力に対する該制御対象からの出力とに基づいて構築した予測モデルに基づいて、上記制御則(GMVC則)を用いてPIDパラメータを決定する。このとき、上記制御則には、PID制御対象への入力の差分に、値を変更設定可能な係数を掛けた項が含まれているため、PIDパラメータの決定に際しては、この係数を設定する必要がある。
山本、兼田,「一般化最小分散制御則に基づくセルフチューニングPID制御器の一設計」,システム制御情報学会論文誌,1998年,第11巻,第1号,p.1−9
ところで、上記係数の値は制御性能に非常に重要な影響を及ぼし、その値が小さいと、制御誤差(目標値と制御対象からの出力との差)を小さくして目標値追従性(延いては製品品質)を向上できる反面、制御対象への入力が大きく振れることになる。一方、上記係数の値が大きいと、上記入力の振れ(入力の差分の分散)が小さくて安定する反面、目標値追従性が低下する。例えば、射出成型器や押出器のような熱プロセスにおいては、同じ工程が繰り返され、その工程の速度が生産性に大きく影響する。このため、即応性(目標値追従性)が要求される。一方、石油化学プロセスや石油精製プロセスにおいては、過渡状態は安定であることが大前提であり、定常特性が生産性に大きく左右する。このため、即応性よりも定常特性が重要視される(但し、製品品質も或る程度確保しなければならない)。このような点を考慮して上記係数の値を決定する必要がある。
しかし、上記従来のPIDパラメータ決定方法では、上記係数を適当に決定しているだけであり、所望の制御性能を確実に得ることは困難である。特に化学プロセスにおいては、入力の振れが大きくなる場合があり、実用面での問題が指摘されている。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、予測モデルに基づいて、PID制御対象への入力の差分に、値を変更設定可能な係数を掛けた項を含む制御則を用いてPIDパラメータを決定して、上記制御対象を制御する場合に、上記係数を適切にかつ容易に設定できるようにして、所望の制御性能が確実に得られるようにすることにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、制御誤差の分散とPID制御対象への入力の差分の分散とに関するトレードオフ曲線を描き、このトレードオフ曲線上において、予め設定された所定の条件を満足する位置を求めかつ該位置に対応する係数及びPIDパラメータを求めて、該PIDパラメータを、制御対象を制御するためのPIDパラメータとして決定するようにした。
具体的には、請求項1の発明では、PID制御対象への入力と該入力に対する該制御対象からの出力とに基づいて、該制御対象の予測モデルを構築するとともに、該予測モデルを構築する際の上記入力に対して、該構築された予測モデルを用いた場合の出力と、該入力に対する該制御対象からの出力との差である推定誤差を算出する予測モデル構築手段と、該予測モデル構築手段により構築された予測モデルに基づいて、上記入力の差分に、値を変更設定可能な係数を掛けた項を含む制御則を用いてPIDパラメータを決定するPIDパラメータ決定手段と、該PIDパラメータ決定手段により決定されたPIDパラメータを用いて、上記制御対象を制御する制御手段とを備えたPID制御装置を対象とする。
そして、上記PIDパラメータ決定手段は、上記予測モデルに基づいて、上記係数を変化させながら該各係数毎に上記PIDパラメータを算出しかつ該算出したPIDパラメータと上記推定誤差とを用いて、該各係数に対応した制御誤差の分散と上記入力の差分の分散とを計算して、上記制御誤差の分散と上記入力の差分の分散との2軸のグラフ上に上記計算値をプロットすることで、上記係数を変化させたときの、上記制御誤差の分散と上記入力の差分の分散とに関するトレードオフ曲線を描くとともに、該トレードオフ曲線上において、予め設定された所定の条件を満足する位置を求めかつ該位置に対応する係数及びPIDパラメータを求めて、該PIDパラメータを、上記制御手段が用いるPIDパラメータとして決定するように構成されているものとする。
上記の構成により、予測モデル構築手段により予測モデルが構築され(システムパラメータが推定され)、PIDパラメータ決定手段により、その構築された予測モデルに基づいて、PID制御対象への入力の差分に、値を変更設定可能な係数を掛けた項を含む制御則を用いてPIDパラメータが決定され、制御手段により、その決定されたPIDパラメータを用いて制御対象が制御される。ここで、PIDパラメータ決定手段は、PIDパラメータの決定の際に、制御誤差の分散と入力の差分の分散とに関するトレードオフ曲線を描く。このトレードオフ曲線は、制御誤差の分散が小さいほど入力の差分の分散が大きくなる曲線であり、トレードオフ曲線上の位置は、上記係数と対応しており、係数が小さいほど、入力の差分の分散が大きくなる(制御誤差の分散が小さくなる)。そして、係数が決まると、PIDパラメータが決まるので、トレードオフ曲線上の位置は、係数及びPIDパラメータと対応している。
ここで、トレードオフ曲線上のどの位置から求まるPIDパラメータを用いるかが問題となる。そこで、制御誤差の分散及び入力の差分の分散をどのようなレベルにしたいかという条件を予め設定しておく。例えば、制御誤差の分散が予め設定された所定値以下となる中で入力の差分の分散が最も小さくなるという条件(トレードオフ曲線の性質から、制御誤差の分散が所定値となる条件と同じことになる)や、入力の差分の分散が予め設定された所定値以下となる中で制御誤差の分散が最も小さくなるという条件(入力の差分の分散が所定値となる条件と同じことになる)等を予め設定しておく。そして、上記トレードオフ曲線上において、上記条件を満足する位置を求めかつ該位置に対応する係数及びPIDパラメータを求める。このPIDパラメータを用いて制御対象を制御するようにすれば、予め設定された制御性能(上記条件を満足する所望の制御性能)が得られるようになり、適用するプロセスに最適なものとなる。
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記所定の条件は、上記制御誤差の分散が予め設定された所定値以下となる中で上記入力の差分の分散が最も小さくなるという条件であるものとする。
このことにより、製品品質を確保しつつ、入力の差分の分散(入力の振れ)が出来る限り抑えられ、化学プロセス等に最適な条件が得られる。また、入力の差分の分散が抑えられることで、アクチュエータに多大な負担がかかることがなく、それだけアクチュエータの故障が少なくなる。
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、上記制御手段による、上記PIDパラメータ決定手段により決定されたPIDパラメータを用いた上記制御対象への入力に対して、上記予測モデル構築手段により構築された予測モデルを用いた場合の出力と、該入力に対する該制御対象からの出力との差であるモデル化誤差が、予め設定された基準値よりも大きいか否かを判定する判定手段を更に備え、上記予測モデル構築手段は、上記判定手段により上記モデル化誤差が上記基準値よりも大きいと判定されたときに、予測モデルを再構築して該再構築した予測モデルに更新するように構成されているものとする。
このことで、モデル化誤差が、予め設定された基準値を超えたときに、予測モデルが更新されるので、予測モデルの更新を逐次行う場合に比べて、計算コストを低減することができるとともに、信頼性の面で優れる。すなわち、モデル化誤差が上記基準値以内にあって安定している場合にも予測モデルを更新すると、出力にノイズが加わる等の影響で誤ったモデルを構築して、制御系が却って不安定になる可能性が高くなる。そこで、モデル化誤差が基準値以内にあれば、そのまま同じ予測モデルを使用することとし、モデル化誤差が基準値を超えたときに予測モデルを更新するようにすることで、制御の信頼性及び安定性を向上させることができる。
請求項4の発明は、PID制御対象への入力と該入力に対する該制御対象からの出力とに基づいて、該制御対象の予測モデルを構築するとともに、該予測モデルを構築する際の上記入力に対して、該構築された予測モデルを用いた場合の出力と、該入力に対する該制御対象からの出力との差である推定誤差を算出する予測モデル構築ステップと、該予測モデル構築ステップで構築された予測モデルに基づいて、上記入力の差分に、値を変更設定可能な係数を掛けた項を含む制御則を用いてPIDパラメータを決定するPIDパラメータ決定ステップと、該PIDパラメータ決定ステップで決定されたPIDパラメータを用いて、上記制御対象を制御する制御ステップとを備えたPID制御方法の発明である。
そして、この発明では、上記PIDパラメータ決定ステップは、上記予測モデルに基づいて、上記係数を変化させながら該各係数毎に上記PIDパラメータを算出しかつ該算出したPIDパラメータと上記推定誤差とを用いて、該各係数に対応した制御誤差の分散と上記入力の差分の分散とを計算して、上記制御誤差の分散と上記入力の差分の分散との2軸のグラフ上に上記計算値をプロットすることで、上記係数を変化させたときの、上記制御誤差の分散と上記入力の差分の分散とに関するトレードオフ曲線を描くとともに、該トレードオフ曲線上において、予め設定された所定の条件を満足する位置を求めかつ該位置に対応する係数及びPIDパラメータを求めて、該PIDパラメータを、上記制御ステップで用いるPIDパラメータとして決定するステップであるものとする。
この発明により、請求項1の発明と同様の作用効果が得られる。
請求項5の発明では、請求項4の発明において、上記制御ステップにおける、上記PIDパラメータ決定ステップで決定されたPIDパラメータを用いた上記制御対象への入力に対して、上記予測モデル構築ステップで構築された予測モデルを用いた場合の出力と、該入力に対する該制御対象からの出力との差であるモデル化誤差が、予め設定された基準値よりも大きいか否かを判定する判定ステップを更に備え、上記判定ステップで上記モデル化誤差が上記基準値よりも大きいと判定されたときに、上記予測モデル構築ステップで予測モデルを再構築して該再構築した予測モデルに更新するようにする。
このことにより、請求項3の発明と同様の作用効果が得られる。
以上説明したように、本発明のPID制御装置及びPID制御方法によると、制御誤差の分散とPID制御への入力の差分の分散とに関するトレードオフ曲線を描き、このトレードオフ曲線上において、予め設定された所定の条件を満足する位置を求めかつ該位置に対応する係数及びPIDパラメータを求めて、該PIDパラメータを、制御対象を制御するためのPIDパラメータとして決定するようにしたことにより、PID制御対象への入力の差分に掛けられる係数を適切にかつ容易に設定できるようにして、所望の制御性能が確実に得られるようになる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
<制御系の概要>
図1は本発明の実施形態に係るPID制御装置を示し、このPID制御装置は、PID制御対象への入力uと、該入力に対する該制御対象からの出力y(詳しくは、後述のモデル化誤差η)とに基づいて、該制御対象の予測モデルを構築する予測モデル構築手段としての予測モデル構築部1と、該予測モデル構築部1により構築された予測モデルに基づいて、上記入力の差分に、値を変更設定可能な係数(後述のλ)を掛けた項を含む制御則(後述の式(12))を用いてPIDパラメータを決定するPIDパラメータ決定手段としてのPIDパラメータ決定部2と、該PIDパラメータ決定部2により決定されたPIDパラメータを用いて、上記制御対象を制御する制御手段としてのPID制御部3と、上記入力に対して、予測モデル構築部1により構築された予測モデルを用いた場合の出力yと、該入力に対する該制御対象からの出力yとの差であるモデル化誤差(予測誤差)ηが、予め設定された基準値γσεよりも大きいか否かを判定する判定手段としてのパラメータ評価部4とを備えている。
上記予測モデル構築部1は、上記モデル化誤差ηが最小になるように、後述の如くシステムパラメータ(時定数T、システムゲインK及びむだ時間L)を推定することで、予測モデルを構築する。そして、本実施形態では、予測モデル構築部1は、上記パラメータ評価部4により、上記モデル化誤差が上記基準値よりも大きいと判定されたときに、予測モデルを再構築して(システムパラメータを再推定して)該再構築した予測モデルに更新するように構成されている。つまり、パラメータ評価部4により、上記モデル化誤差が上記基準値よりも大きいと判定されると、図1のスイッチ10が入って予測モデル構築部1が機能することになる。尚、PIDパラメータの初期チューニングの際にも、スイッチ10が自動又は手動で入いる。
上記予測モデル構築部1により予測モデルが更新されると、上記PIDパラメータ決定部2は、その更新された予測モデル(システムパラメータの再推定値)に基づいて、上記入力の差分に上記係数を掛けた項を含む制御則を用いてPIDパラメータを再決定し、PID制御部3は、この再決定したPIDパラメータを用いて制御対象を制御する。
上記PIDパラメータ決定部2は、後に詳細に説明するように、PIDパラメータの決定(再決定を含む)の際、所望の制御性能(本実施形態では、制御誤差の分散σ )が得られるように、システムパラメータの推定値(T、K及びL)に基づいてPIDパラメータを決定する。
<システムの記述>
本実施形態では、化学プロセス等のプロセス系を上記制御対象とする。本来、化学プロセスは伝熱、対流、輻射等を考えれば高次遅れ系になるが、システムパラメータの数が増えると、それだけ不確かさを多く含むことになり、これが制御系設計に悪影響を及ぼすことが考えられるため、プロセス系を扱う現場では、制御対象のシステムを「一次遅れ+むだ時間」系として記述することが多く、本実施形態においても、下記の式(1)を制御対象の記述モデル(詳細モデル)とする。尚、式(1)中、Tは時定数、Kはシステムゲイン、Lはむだ時間であり、これらはシステムパラメータである。
Figure 0004528984
さらに、むだ時間を一次パディ近似し、下記の式(2)のような二次遅れ系(設計用モデル)を考える。
Figure 0004528984
次に、式(2)に対応した、下記の式(3)で表される離散時間モデルを考える。
Figure 0004528984
式(3)において、u(t)は時刻tの時点での制御対象への入力、y(t)は時刻tの時点での制御対象からの出力、χ(t)は時刻tの時点での、モデル化誤差等を示すガウス性白色雑音である。また、z−1は時間遅れ演算子であり、z−1y(t)=y(t−1)を意味している。Δは差分演算子を表し、Δ=1−z−1で定義される。さらに、A(z−1)及びB(z−1)は、下記の式(4)で示される多項式である。
Figure 0004528984
式(4)は、CARIMA(Controlled Auto-Regressive and Integrated Moving Average)モデルであり、ステップ状の外乱や目標値点周りの定常項を除去する目的で、プロセス系に対して用いられている。
システムパラメータT、K及びL(実際には、後述の如く計算される推定値T、K及びL)が与えられたとき、式(3)を用いて後述のPIDパラメータ(k、T及びT)を算出する。
<PID制御則>
PID制御則としては、本実施形態では、下記の式(5)で与えられるPID(比例・微分先行型PID)制御則を用いる。
Figure 0004528984
式(5)において、kは比例ゲイン、Tは積分時間、Tは微分時間であり、これらはPIDパラメータである。また、Tはサンプリング間隔であり、e(t)は時刻tの時点での制御誤差であって、下記の式(6)で与えられる。尚、式(6)や後述の式(8)等における「:=」は定義式であることを意味する。
Figure 0004528984
式(6)において、r(t)は時刻tの時点での目標値(本実施形態では、tの値に関係なく一定)である。
ここで、以下の考察を簡単にするために、式(5)を下記の式(7)に書き換える。
Figure 0004528984
式(7)において、C(z−1)は下記の式(8)で表される。
Figure 0004528984
<PIDパラメータの調整>
本実施形態では、一般化最小分散制御(GMVC)に基づくPIDパラメータ調整法(GMV−PID)を用いてPIDパラメータを調整する。
GMVCの評価規範の一つの形が、下記の式(9)で与えられる。
Figure 0004528984
式(9)において、E[・]は空間平均を表す。また、P(z−1)は設計多項式であり、下記の式(10)により設計する。
Figure 0004528984
式(10)において、p及びpは下記の式(11)で表される。
Figure 0004528984
式(11)において、σは立ち上がり時間に相当するパラメータを示し、μは応答の減衰特性に関連するパラメータであって、δによって調整される。このとき、δ=0は二項展開形式モデルに相当する応答形状を示し、δ=1.0はButterworth形式モデルに相当する応答形状を示す。
式(9)において、λは、制御対象への入力の差分に掛けられる係数である。ここで、σ、δ及びλは、制御性能(即応性、安定性、定常特性等)に大きな影響を与える。設計の見通しを良くするために、σは、概ね時定数とむだ時間との総和の1/3〜1/2程度に設定し、δは、実用的観点から0以上2.0以下に設定することが好ましい。λの設定については後に詳細に説明する。
式(9)の評価規範の最小化により、下記の式(12)による制御則(GMVC則)が与えられる。この制御則が、上記入力の差分に係数を掛けた項を含む制御則に相当するものである。
Figure 0004528984
ここで、F(z−1)は、下記の式(13)及び式(14)のDiophantine方程式に基づいて計算される。
Figure 0004528984
Figure 0004528984
そして、上記式(12)の第2項係数多項式を定常項に置き換えた下記の式(15)を考える。
Figure 0004528984
ここで、新しくυを下記の式(16)で定義する。
Figure 0004528984
これにより、式(15)は下記の式(17)となる。
Figure 0004528984
上記式(7)と式(17)との比較により、式(18)が導け、これより、C(z−1)を設計すれば、GMVCに基づくPIDパラメータを計算することができる。
Figure 0004528984
すなわち、式(7)及び式(17)から、PIDパラメータを下記の式(19)により計算することができる。
Figure 0004528984
尚、PIDパラメータの調整は上記PIDパラメータ調整法に限らず、予測モデルに基づいて、制御対象への入力の差分に係数を掛けた項を含む制御則を用いてPIDパラメータを調整する方法であれば、どのような方法であってもよい。
係数λの調整(PIDパラメータの決定)>
式(19)には、υ(=B(1)+λ)つまり上記係数λが含まれており、この係数λを適切に設定しないと、PIDパラメータを適切に決定することができない。そこで、PIDパラメータ決定部2は、その係数λを以下のように調整して、PIDパラメータを決定するようにしている。
先ず、上記係数λを所定範囲において所定の刻みで変化させながら該各係数毎に式(19)よりPIDパラメータを算出する。上記所定の刻みは、後述のトレードオフ曲線を描くことが可能な程度の細かさであればよく、例えば0.01刻みとすればよい。上記所定範囲は、トレードオフ曲線において後述の条件を満足する位置が含まれる範囲とすればよく、例えば0〜10程度とすればよい。
そして、上記PIDパラメータの算出時に、各係数λに対応した制御誤差の分散と制御対象への入力の差分の分散とを計算する。本実施形態では、制御誤差の分散E[e(t)]と入力の差分の分散E[(Δu(t))]とを、Hノルムを用いて計算する。この計算の詳細は、後述する。
次いで、図2に示すように、上記制御誤差の分散E[e(t)]と上記入力の差分の分散E[(Δu(t))]との2軸のグラフ(本実施形態では、制御誤差の分散を縦軸としかつ入力の差分の分散を横軸とするグラフ)上に上記両分散の計算値をプロットすることで、上記係数λを変化させたときの、上記制御誤差の分散と上記入力の差分の分散とに関するトレードオフ曲線を描く。このトレードオフ曲線は、制御誤差の分散が小さいほど入力の差分の分散が大きくなる曲線であり、トレードオフ曲線上の位置は、係数λと対応しており、係数λが小さいほど、入力の差分の分散が大きくなる(制御誤差の分散が小さくなる)。そして、係数λが決まると、PIDパラメータが決まるので、トレードオフ曲線上の位置は、係数λ及びPIDパラメータと対応している。尚、制御誤差の分散を横軸としかつ入力の差分の分散を縦軸とするグラフ上に、トレードオフ曲線を描くようにしてもよい。
ここで、上記パラメータ評価部4により、上記モデル化誤差が上記基準値よりも大きいと判定されたときにおいて、制御対象への過去の入出力データに基づいて、制御誤差の分散と入力の差分の分散とを計算して該計算値を上記グラフ上にプロットすると、このプロットした位置は、上記トレードオフ曲線に対して右上の領域に位置する。したがって、トレードオフ曲線上の位置に対応するPIDパラメータを用いて制御対象を制御するようにすれば、制御誤差の分散及び入力の差分の分散の少なくとも一方を改善することができる。
上記トレードオフ曲線上のどの位置から求まるPIDパラメータを用いるかについては、要求される制御性能を考慮して決めればよい。すなわち、制御誤差の分散及び入力の差分の分散をどのようなレベルにしたいかという条件を予め設定しておく。例えば、制御誤差の分散が予め設定された所定値以下となる中で入力の差分の分散が最も小さくなるという条件(トレードオフ曲線の性質から、制御誤差の分散が所定値となる条件と同じことになる)や、入力の差分の分散が予め設定された所定値以下となる中で制御誤差の分散が最も小さくなるという条件(入力の差分の分散が所定値となる条件と同じことになる)等を予め設定しておく。本実施形態では、化学プロセス等に最適となるように、制御誤差の分散が予め設定された所定値σ 以下となる中で入力の差分の分散が最も小さくなるという条件とする。上記所定値σ は、製品品質を考慮して設定すればよく、上記トレードオフ曲線上において、この条件を満足する位置を求める。例えば上記所定値σ を1.0とした場合には、図2のトレードオフ曲線上の+印の位置となる。
そして、上記位置に対応する係数λ及びPIDパラメータを求め、このPIDパラメータを、上記PID制御部3が用いるPIDパラメータとして決定する。PID制御部3が、この決定されたPIDパラメータを用いて制御対象を制御することで、予め設定された制御性能(本実施形態では、制御誤差の分散が予め設定された所定値σ 以下となる中で入力の差分の分散が最も小さくなるという条件を満足する所望の制御性能)が得られることになる。
<予測モデルの構築(システムパラメータの推定)>
本実施形態では、システムパラメータの推定は、制御対象への過去の入出力データ(本実施形態では、現時刻から遡ったNステップの入出力データ)に対して、逐次型最小2乗法を適用して行う。
先ず、上記式(1)の詳細モデルに対応した、下記の式(20)で表される離散時間モデルを考える。
Figure 0004528984
式(2)において、ξ(t)は時刻tの時点でのモデル化誤差を示しており、平均が0でかつ分散がσξ であるガウス性白色雑音とする。また、dはむだ時間であり、通常、プロセス系ではむだ時間を正確に把握することが難しく、このむだ時間dを想定される範囲内(d=d,d+1,…,d)で順に変化させ、時刻tの時点での推定誤差ε(t)(下記の式(24)参照)が最小になるdを、むだ時間の推定値d(t)として決定する。さらに、α(z−1)及びβ(z−1)は、下記の式(21)で表される。
Figure 0004528984
式(21)のα、β及びβは、下記の式(22)〜式(26)の逐次型最小2乗法により推定する。
Figure 0004528984
式(25)及び式(26)において、[・,・,・]は、行ベクトルを列ベクトルに転置することを意味する。
次いで、システムパラメータの推定値(T、K及びL)を、下記の式(27)〜式(29)により計算する。
Figure 0004528984
<制御アルゴリズム>
図3に示すように、最初のステップS1において、予測モデル構築部1が、上述の如く、制御対象への過去の入出力データに対して逐次型最小2乗法を適用してシステムパラメータを推定するとともに、推定誤差ε(t)の標準偏差σεを算出する。
次のステップS2では、PIDパラメータ決定部2が、上記推定したシステムパラメータ(システムパラメータの推定値)を用いて、上述の如く、係数λを所定の刻みで変化させながら該各係数毎にPIDパラメータを算出し、該算出時に、各係数λに対応した制御誤差の分散E[e(t)]と制御対象への入力の差分の分散E[(Δu(t))]とを計算して、トレードオフ曲線を描く。
上記両分散の具体的な計算は、以下の如く行う。すなわち、先ず、定常状態において、下記の式(30)及び式(31)を得る。
Figure 0004528984
式(30)及び式(31)におけるT(z−1)は下記の式(32)により定義される。
Figure 0004528984
そして、制御誤差e(t)の分散E[e(t)]及び入力の差分Δu(t)の分散E[(Δu(t))]は、Hノルム‖・‖を用いて、下記の式(33)及び式(34)によりそれぞれ計算することができる。
Figure 0004528984
尚、Hノルムは、システムパラメータの推定値と該推定値に基づいて計算したPIDパラメータとを用いて計算する。また、実際には、σξは未知であるので、σξを、上記ステップS1で算出した推定誤差ε(t)の標準偏差σεに代えて上記両分散を計算する。
次のステップS3では、PIDパラメータ決定部2が、上記トレードオフ曲線上において、制御誤差の分散が予め設定された所定値σ 以下となる中で入力の差分の分散が最も小さくなるという条件を満足する位置(つまり、制御誤差の分散が所定値σ となる位置)を求め、この位置に対応する係数及びPIDパラメータを求める。このPIDパラメータを、PID制御部3が用いるPIDパラメータとして決定する。
次のステップS4では、PID制御部3が、ステップS3で決定したPIDパラメータを用いて制御対象を制御する。
次のステップS5では、tをt+1にして、ステップS6に進む。このステップS6では、パラメータ評価部4において、ステップS1で計算したシステムパラメータ(推定値)を用いて、式(35)により、時刻tの時点でのモデル化誤差(予測誤差)η(t)を計算する。
Figure 0004528984
尚、式(35)におけるθ(t)及びΨ(t−1)は、それぞれ上記式(25)及び式(26)と同様の形で与えられる。
次のステップS7では、パラメータ評価部4において、式(36)を満足するか否か、つまり上記モデル化誤差η(t)の絶対値が基準値γσεよりも大きいか否かを判定する。
Figure 0004528984
上記基準値は、本実施形態では、上記モデル化誤差が最小2乗法の性質から近似的に正規分布するとの前提で、上記ステップS1で算出した標準偏差σεのγ倍としている。このγの値は、統計的観点から3.0以上5.0以下であることが好ましい。
上記ステップS7の判定がYESであるときには、ステップS1に戻る一方、ステップS7の判定がNOであるときには、ステップS5に戻る。すなわち、上記パラメータ評価部4により、上記モデル化誤差が上記基準値よりも大きいと判定されたときに、上記予測モデルを再構築して(システムパラメータを再推定して)該再構築した予測モデルに更新する。このように予測モデルが更新されると、PIDパラメータ決定部2が、その更新された予測モデル(システムパラメータの再推定値)に基づいて、上述の如くPIDパラメータを再決定し(PIDパラメータを更新し)、PID制御部3が、この再決定されたPIDパラメータを用いて制御対象を制御する。一方、上記モデル化誤差が上記基準値以下であれば、予測モデルの更新はなされず、この結果、PIDパラメータも更新されず、PID制御部3は、前回と同じPIDパラメータを用いて制御対象を制御する。
したがって、本実施形態では、制御誤差の分散とPID制御対象への入力の差分の分散とに関するトレードオフ曲線を描き、このトレードオフ曲線上において、予め設定された所定の条件(制御誤差の分散が予め設定された所定値σ 以下となる中で入力の差分の分散が最も小さくなるという条件)を満足する位置を求めかつ該位置に対応する係数λ及びPIDパラメータを求めて、該PIDパラメータを、制御対象を制御するためのPIDパラメータとして決定するようにしたので、この決定されたPIDパラメータを用いて制御対象を制御することで、制御誤差の分散を所望の値σ に抑えることができるともに、入力の差分の分散(入力の振れ)をも抑えることができる。よって、係数λを適切にかつ容易に設定することができ、所望の制御性能が確実に得られるようになる。
また、本実施形態では、上記モデル化誤差が上記基準値よりも大きいと判定されたときに、予測モデルを更新するようにしたので、予測モデルの更新を逐次行う場合(図3のフローチャートにおいて、ステップS5の後直ぐにステップS1に戻る場合)に比べて、計算コストを低減することができる。また、予測モデルの更新を逐次行うと、モデル化誤差が基準値以内にあって安定している場合にも予測モデルが更新され、このとき、出力にノイズが加わる等の影響で誤ったモデルを構築して、制御系が却って不安定になる可能性が高くなる。しかし、本実施形態では、モデル化誤差が基準値よりも大きくなって予測モデルの更新が必要なときに該更新を行うので、制御の信頼性及び安定性を向上させることができる。但し、このようにする必要は必ずしもなく、予測モデルの更新を逐次行うようにしてもよい。
また、PIDパラメータの初期チューニングの際には、図3のフローチャートのステップS1〜S4を1回実行するだけでもよい。
ここで、本発明のPID制御方法の有効性について、数値例により定量的に評価する。
(数値例1)
先ず、PIDパラメータの初期チューニングの際に本発明のPID制御方法を適用することを想定して、以下のような数値例を考える。
すなわち、制御対象の記述モデルが式(37)で与えられるものとする。
Figure 0004528984
式(37)をサンプリング間隔T=10.0sで離散化し、モデル化誤差として平均が0でかつ分散が0.001であるガウス性白色雑音を付加したモデルを考える。
この制御対象に対して本発明のPID制御方法を適用したときの制御結果を図4に示す。但し、最初の1000ステップ(t=0〜999)においては、以下のPIDパラメータにより制御が行われているものとする。
=3.56
=100.0
=49.5
また、上記1000ステップ間の入出力データを用いて、t=1000の時点で、図3のフローチャートのステップS1〜S4が実行されたものとする。尚、d=4、d=8、σ =0.09、p=−1.53、p=0.59と設定し、ステップS4において、λは0.0から10.0までの間を0.01刻みで変化させた。
t=1000におけるトレードオフ曲線を図5に示す。図5におけるグラフ上の●印の位置は、過去の1000ステップ分の入出力データに基づいて、制御誤差の分散と入力の差分の分散とを計算して該計算値を上記グラフ上にプロットした位置であって、最初の1000ステップにおける制御性能(制御誤差の分散及び入力の差分の分散)を示している。また、上記グラフ上の+印の位置は、トレードオフ曲線上において、制御誤差の分散が予め設定された所定値σ (=0.09)以下となる中で入力の差分の分散が最も小さくなるという条件を満たす位置である。この位置に対応する係数λの値は、λ=0.05であった。尚、λ=0.0〜0.03では、制御系が不安定となり、制御性能を計算することができなかった。λ=0.04においては、安定限界に近い応答を示しており、制御誤差の分散が大きくなっていることが分かる。
図4及び図5より、t=1000の時点で、制御誤差と入力の差分とが効果的に抑えられていることが分かる。尚、t=1000でのシステムパラメータの推定により、
=99.22
=0.500
=50.00
が得られ、推定誤差の標準偏差の算出により、σε=0.0314が得られた。
上記システムパラメータの推定値とλ=0.05とからPIDパラメータを算出したところ、
=5.80
=69.68
=15.88
となった。
t=1500〜2000の制御誤差の分散は0.1054であり、予め設定した所定値σ (=0.09)を超えるものの、該所定値に概ね近い値となり、所望の制御性能が得られることが分かる。すなわち、制御性能が上記グラフ上の●印の位置から+印の位置(実際には、その近傍位置)に移動したことになる。
続いて、同様のシミュレーションを、σ =0.25として行った結果を図6に示す。このように、予め設定する所定値σ を大きくすると、制御誤差の分散は大きくなるが、入力の差分の分散が抑えられていることが分かる。
この場合のPIDパラメータは、
=2.44
=69.13
=15.84
であった。
及びTの値は先の結果と略同じ値となっており、Kが大きく異なっている。これは、λの値が異なるからであり、このようなλとPIDパラメータとの関係は、式(16)及び式(19)から明らかである。
t=1500〜2000の制御誤差の分散は0.2543であり、所望の制御性能が得られることが分かる。
以上により、PIDパラメータの初期チューニングにおける、本発明のPID制御方法の有効性が確認された。
(数値例2)
次に、システムの特性が変動する場合を想定して、以下のような数値例について考察する。
すなわち、制御対象の記述モデルが式(38)で与えられるものとする。
Figure 0004528984
但し、最初の2500ステップまでは上記数値例1と同様の特性を持ち、t=2501〜5000では、時定数K及びシステムゲインKが下記の式(39)のように変化し、むだ時間はないものとする。
Figure 0004528984
最終的に、時定数は1/2倍となり、システムゲインは6倍となる。ここでも数値例1と同様に、式(38)をサンプリング間隔T=10.0sで離散化し、モデル化誤差として平均が0かつ分散が0.0001であるガウス性白色雑音を付加したモデルを考える。
この制御対象に対して本発明のPID制御方法を適用する。但し、最初の1000ステップにおいては、数値例1と同様に、以下のPIDパラメータにより制御が行われているものとする。
=3.56
=100.0
=49.5
そして、t=1000から図3のフローチャートのステップS1〜S7が実行されるものとする。尚、d=4、d=8、σ =0.04、p=−1.53、p=0.59と設定し、ステップS4において、λは0.0から10.0までの間を0.01刻みで変化させた。また、ステップS7におけるγの値はγ=3.0とした。さらに、システムパラメータの推定に用いたデータ数Nは、N=200とした。
このときの制御結果を図7に、またPIDパラメータの変化を図8にそれぞれ示す。図8から分かるように、t=1000での変更を含めて、PIDパラメータの変更が4回行われた(t=1000,3243,4657,4814)。この変更時のλは、0.22(t=1000)、0.58(t=3243)、1.03(t=4657)、及び1.38(t=4814)と算出された。t=1000以降の制御誤差の分散は0.0348であり、予め設定した所定値σ (=0.04)以下となり、また入力の差分も抑えられていることから、所望の制御性能が得られることが分かる。このことより、システム変動に対して適切にPIDパラメータが決定されて、良好な制御結果が得られていることが分かる。
続いて、γの値をγ=5.0としたときの制御結果を図9に、またそのときのPIDパラメータの変化を図10にそれぞれ示す。γの値を大きくしたことで、モデル化誤差が基準値よりも大きいと判定される回数が少なくなり、PIDパラメータの変更がt=1000及びt=3636の2回だけになった。この変更時のλは、0.22(t=1000)及び1.35(t=3636)であった。t=1000以降の制御誤差の分散は0.0419となり、γ=3.0とした場合に比べて性能が若干劣るものの、所望の制御性能は得られている。
このようにγの値を変えることで、システム変動又はモデル化誤差に対する感度を調整することができる。すなわち、γの値を小さくすると、感度が上がって、PIDパラメータの変更の頻度が増加する一方、γの値を大きくすると、感度が小さくなって、PIDパラメータの変更の頻度が減少する。
また、γ=5.0でt=1000以降はPIDパラメータの変更を行わなかった場合の制御結果を図11に示す。尚、t=1000以降のPIDパラメータは、
=1.9458
=67.6249
=16.4162
であった。
この場合、システム変動に対してPIDパラメータを変更しなかったことにより、制御系が最後の方で不安定に陥っている。このことより、モデル化誤差が基準値よりも大きくなったときにPIDパラメータを変更することの有効性が認められる。
本発明は、PID制御対象の予測モデルを構築して、この予測モデルに基づいてPIDパラメータを決定し、このPIDパラメータを用いて上記制御対象を制御するPID制御装置及びPID制御方法に有用であり、特に上記予測モデルに基づいて、PID制御対象への入力の差分に係数を掛けた項を含む制御則を用いてPIDパラメータを決定する場合に有用である。
本発明の実施形態に係るPID制御装置を示すブロック図である。 制御誤差の分散と制御対象への入力の差分の分散とに関するトレードオフ曲線を示す、制御誤差の分散と制御対象への入力の差分との2軸のグラフである。 PID制御装置における制御アルゴリズムを示すフローチャートである。 数値例1(σ =0.09)での制御結果であり、(a)は制御対象からの出力の時間的推移を、(b)は制御対象への入力の差分の時間的推移をそれぞれ示すグラフである。 数値例1(σ =0.09)でのトレードオフ曲線を示す、制御誤差の分散と制御対象への入力の差分との2軸のグラフである。 数値例1(σ =0.25)での制御結果であり、(a)は制御対象からの出力の時間的推移を、(b)は制御対象への入力の差分の時間的推移をそれぞれ示すグラフである。 数値例2(γ=3.0)での制御結果であり、(a)は制御対象からの出力の時間的推移を、(b)は制御対象への入力の差分の時間的推移をそれぞれ示すグラフである。 数値例2(γ=3.0)での制御結果であり、(a)は比例ゲインの時間的推移を、(b)は積分時間の時間的推移を、(c)は微分時間の時間的推移をそれぞれ示すグラフである。 数値例2(γ=5.0)での制御結果であり、(a)は制御対象からの出力の時間的推移を、(b)は制御対象への入力の差分の時間的推移をそれぞれ示すグラフである。 数値例2(γ=5.0)での制御結果であり、(a)は比例ゲインの時間的推移を、(b)は積分時間の時間的推移を、(c)は微分時間の時間的推移をそれぞれ示すグラフである。 数値例2(γ=5.0)に対してt=1000以降にPIDパラメータの変更を行わなかった場合の制御結果であり、(a)は制御対象からの出力の時間的推移を、(b)は制御対象への入力の差分の時間的推移をそれぞれ示すグラフである。
1 予測モデル構築部(予測モデル構築手段)
2 PIDパラメータ決定部(PIDパラメータ決定手段)
3 PID制御部(制御手段)
4 パラメータ評価部(判定手段)

Claims (5)

  1. PID制御対象への入力と該入力に対する該制御対象からの出力とに基づいて、該制御対象の予測モデルを構築するとともに、該予測モデルを構築する際の上記入力に対して、該構築された予測モデルを用いた場合の出力と、該入力に対する該制御対象からの出力との差である推定誤差を算出する予測モデル構築手段と、該予測モデル構築手段により構築された予測モデルに基づいて、上記入力の差分に、値を変更設定可能な係数を掛けた項を含む制御則を用いてPIDパラメータを決定するPIDパラメータ決定手段と、該PIDパラメータ決定手段により決定されたPIDパラメータを用いて、上記制御対象を制御する制御手段とを備えたPID制御装置であって、
    上記PIDパラメータ決定手段は、上記予測モデルに基づいて、上記係数を変化させながら該各係数毎に上記PIDパラメータを算出しかつ該算出したPIDパラメータと上記推定誤差とを用いて、該各係数に対応した制御誤差の分散と上記入力の差分の分散とを計算して、上記制御誤差の分散と上記入力の差分の分散との2軸のグラフ上に上記計算値をプロットすることで、上記係数を変化させたときの、上記制御誤差の分散と上記入力の差分の分散とに関するトレードオフ曲線を描くとともに、該トレードオフ曲線上において、予め設定された所定の条件を満足する位置を求めかつ該位置に対応する係数及びPIDパラメータを求めて、該PIDパラメータを、上記制御手段が用いるPIDパラメータとして決定するように構成されていることを特徴とするPID制御装置。
  2. 請求項1記載のPID制御装置において、
    上記所定の条件は、上記制御誤差の分散が予め設定された所定値以下となる中で上記入力の差分の分散が最も小さくなるという条件であることを特徴とするPID制御装置。
  3. 請求項1又は2記載のPID制御装置において、
    上記制御手段による、上記PIDパラメータ決定手段により決定されたPIDパラメータを用いた上記制御対象への入力に対して、上記予測モデル構築手段により構築された予測モデルを用いた場合の出力と、該入力に対する該制御対象からの出力との差であるモデル化誤差が、予め設定された基準値よりも大きいか否かを判定する判定手段を更に備え、
    上記予測モデル構築手段は、上記判定手段により上記モデル化誤差が上記基準値よりも大きいと判定されたときに、予測モデルを再構築して該再構築した予測モデルに更新するように構成されていることを特徴とするPID制御装置。
  4. PID制御対象への入力と該入力に対する該制御対象からの出力とに基づいて、該制御対象の予測モデルを構築するとともに、該予測モデルを構築する際の上記入力に対して、該構築された予測モデルを用いた場合の出力と、該入力に対する該制御対象からの出力との差である推定誤差を算出する予測モデル構築ステップと、該予測モデル構築ステップで構築された予測モデルに基づいて、上記入力の差分に、値を変更設定可能な係数を掛けた項を含む制御則を用いてPIDパラメータを決定するPIDパラメータ決定ステップと、該PIDパラメータ決定ステップで決定されたPIDパラメータを用いて、上記制御対象を制御する制御ステップとを備えたPID制御方法であって、
    上記PIDパラメータ決定ステップは、上記予測モデルに基づいて、上記係数を変化させながら該各係数毎に上記PIDパラメータを算出しかつ該算出したPIDパラメータと上記推定誤差とを用いて、該各係数に対応した制御誤差の分散と上記入力の差分の分散とを計算して、上記制御誤差の分散と上記入力の差分の分散との2軸のグラフ上に上記計算値をプロットすることで、上記係数を変化させたときの、上記制御誤差の分散と上記入力の差分の分散とに関するトレードオフ曲線を描くとともに、該トレードオフ曲線上において、予め設定された所定の条件を満足する位置を求めかつ該位置に対応する係数及びPIDパラメータを求めて、該PIDパラメータを、上記制御ステップで用いるPIDパラメータとして決定するステップであることを特徴とするPID制御方法。
  5. 請求項4記載のPID制御方法において、
    上記制御ステップにおける、上記PIDパラメータ決定ステップで決定されたPIDパラメータを用いた上記制御対象への入力に対して、上記予測モデル構築ステップで構築された予測モデルを用いた場合の出力と、該入力に対する該制御対象からの出力との差であるモデル化誤差が、予め設定された基準値よりも大きいか否かを判定する判定ステップを更に備え、
    上記判定ステップで上記モデル化誤差が上記基準値よりも大きいと判定されたときに、上記予測モデル構築ステップで予測モデルを再構築して該再構築した予測モデルに更新することを特徴とするPID制御方法。
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