JP2006172364A - モデル予測制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 処理負荷の増大に対して対処可能で、かつロバスト性を確保するモデル予測制御を提供すること。
【解決手段】 モデル予測制装置1は、フィードバック処理部50を備え、制御対象2の状態量あるいは制御量の実測値をフィードバックして、最適操作量検索部10における検索範囲あるいは予測値、内部状態推定部20における推定値を実測値により補正する。すなわち、フィードバックされた状態量あるいは制御量の実測値に基づいて、操作量候補算出部による操作量の算出範囲を設定して(FB1)無駄な演算を省略する。また、モデル予測部13への入力である操作量候補、出力である制御量、又は制御対象へ入力する最適制御量を補正し(FB2〜5)、さらには内部状態推定部からの出力を補正して(FB5、6)、予測精度を高める。
【選択図】 図2

Description

本発明は、モデル予測制御装置に関し、特に、制御対象と制御対象モデルとのずれに対応できるモデル予測制御装置に関する。
モデル予測制御は、制御対象の特性を記述した物理モデルである動特性モデルを用い、有限時間先までの制御量を予測し、制御性能を表わす評価関数の値を最小化もしくは最大化するような最適操作量を決定するものである。実際の制御対象に対応する動特性モデルを使用することにより、未来の制御量の変化を予測して操作量を決定できるので、正確な制御が可能である。従来は制御対象の反応時間あるいは時定数が比較的長い制御対象に対して実施されてきたが、近年高速応答を要求される制御対象へ応用され、適用範囲が拡大している。
しかしながら、モデル予測制御は、最適操作量を決定するまでに、仮の操作量を動特性モデルに与え、所定時間先までの制御量を予測する演算を繰り返すので、処理負荷が大きく、しかも動特性モデルを毎回同定するために、推定状態量を最適操作量の決定と同様にモデル予測を繰り返すのでさらに処理負荷が増大し、処理時間が膨大になる問題点を有している。評価関数の最小値あるいは最大値を探索する過程で、誤った値を最小値あるいは最大値として算出する場合があり、最適制御を実行できない場合があった。例えば、図5に示すように、評価関数F(t)の値が推移する場合、探索方向をSとすると、Aを最適値として求めてしまい、本来の最適値であるBを検索することができないことがある。さらに、実機の故障あるいは劣化により最適化できない場合もあった。最適な制御が行なわれないと、実機の破損につながる恐れもあった。
なお、モデル予測制御の予測値の精度向上のために、プロセスモデルによって計算される制御量を現時点での誤差で補正すること、及び現時点での誤差に基いて将来の誤差を予測して将来の制御量の予測値を補正することが提案されている(特許文献1参照)が、制御量の予測値の補正にとどまっている。
特開平6−236203号公報
本発明の課題は、上記の問題点に鑑み、処理負荷の増大に対して対処可能で、かつ最適制御を保証するモデル予測制御装置を提供することである。
本発明の第1の態様のモデル予測制御装置は、内部状態推定部と最適操作量検索部とに加え、フィードバック処理部とを備え、前記最適操作量検索部は、前記フィードバックされた実測値に基づいて、前記最適操作量候補の上限値及び下限値からなる範囲を設定し、算出された最適操作量候補が前記最適操作量候補の範囲に含まれる場合に最適操作量候補として採用する。
また、前記最適操作量候補が前記上限値より大きい場合には前記上限値を最適操作量と決定し、前記最適操作量候補が前記下限値より小さい場合には前記下限値を最適操作量と決定することもでき、前記最適操作量検索部が、前記最適操作量候補の範囲を設定する際には、前記フィードバックされた実測値に基づいてモデル予測された予測値から前記前記最適操作量候補の範囲を設定することもできる。
さらに、前記フィードバック処理部は、過去に最適操作量を与えた制御対象から得られた制御量の実測値と、該過去の最適操作量によりモデル予測された制御量の予測値との差分を求め、前記最適操作量検索部は、前記最適操作量候補及び該最適操作量候補による制御量の予測値のうちの少なくとも一方を前記差分に基づき補正するか、出力される最適操作量を前記差分に基づき補正することができる。最適操作量を補正する場合は、該最適操作量の検索が間に合わない場合、前回の最適操作量を今回の最適操作量とすることもできる。
本発明の第2の態様であるモデル予測制御装置は、内部状態推定部と最適操作量検索部とに加えて、フィードバック処理部とを備え、前記フィードバック処理部は、前記内部状態推定部により過去に推定された推定状態量と、これに対応する制御対象から得られた状態量の実測値との差分を求め、前記内部状態推定部は、前記差分に基づいて今回の推定状態量を補正して前記最適操作量検索部に出力する。
本発明の第3の態様であるモデル予測制御装置は、フィードバック処理部は、前記内部状態推定部により過去に推定された状態量の変化と、これに対応する制御対象から得られた状態量の実測値の変化との差分をとり、前記内部状態推定部は、前記差分に基づいて補正されたモデル同定パラメータを前記最適操作量検出部に出力する。
本発明の第4の態様あるモデル予測制御方法では、最適操作量候補の上限値および下限値を前記制御対象から得られた実測値から求め、算出された最適操作量候補が、前記上限値および下限値の範囲に含まれるか否かを判断し、前記算出された最適操作量候補が前記上限値および下限値の範囲に含まれる場合に最適操作量候補として採用する。
また、前記最適操作量候補が前記上限値より大きい場合には前記上限値を最適操作量と決定し、前記最適操作量候補が前記下限値より小さい場合には前記下限値を最適操作量と決定することができ、前記前記最適操作量候補の上限値及び下限値は、前記制御対象の実測値に基づいてモデル予測された予測値から求めることもできる。
さらに、過去に最適操作量を与えた制御対象から得られた制御量の実測値と、該過去の最適操作量によりモデル予測された制御量の予測値との差分を求め、前記最適操作量候補、該最適操作量候補による制御量の予測値及び出力される最適操作量のうちの少なくとも1つを、前記差分に基づき補正することもできる。
本発明の第5の態様であるモデル予測制御方法は、前記制御対象モデルを同定するに際して、前記制御対象モデルを用いて過去に予測された制御対象の状態量と、これに対応する制御対象から取得された状態量の実測値との差分を求め、該差分に基いて前記制御対象モデルに与える状態量を補正する。
本発明の第6の態様であるモデル予測制御方法は、前記制御対象モデルを同定するに際して、制御対象のモデルを用いて予測された状態量の変化と、制御対象から取得された状態量の変化とを比較して差分を求め、該差分に基いて前記制御対象のモデルに与えるモデル同定パラメータを補正する。
本発明では、最適操作量候補を算出する際に算出範囲を制御対象の状態量から設定するので、無駄な演算を削減することができる。また、最適操作量の検索プロセスで制御対象からフィードバックした状態量でモデル予測された操作量あるいは制御量を補正するので、安定な制御を行なうことができる。さらに、制御対象モデル内部の状態量あるいはモデル同定パラメータも制御対象から得られる実測値により補正されるので、モデル精度を向上させることができる。
まず、図1を参照して、本発明の前提となるモデル予測制御装置を説明する。
図1に、本発明の前提となるモデル予測制御装置の概略を示す。1は、モデル予測制御装置、2は、制御対象である。モデル予測制御装置1は、所定の有限時間先までの操作量および制御量をモデル予測して得られた最適操作量を、制御対象2に入力する。すなわち、モデル予測制御装置1は、所定の予測制御期間内に予測計算を終了して、検索された最適操作量を所定期間終了ごとに制御対象2に与えて制御対象を制御する。
モデル予測制御装置1は、制御対象2に最適操作量を出力する最適操作量検索部10、内部状態推定部20、記憶データベース30を備える。
記憶データベース30は、過去の最適操作量と、制御量の予測値及び実測値と、制御対象の各種状態量の予測値及び実測値など、モデル予測制御に必要な過去のデータ及び予測結果がすべて記憶されている。
内部状態推定部20では、制御対象の状態量と状態量に関するモデル同定パラメータをモデル予測により推定する。内部状態推定部による推定は、最適操作量を検索するのと同様に、モデル予測を行なうもので、状態量候補と前回制御対象に入力された最適操作量とから、所定の有限時間先までの制御量を予測して、評価関数による評価を経て推定する。得られた状態量あるいはモデル同定パラメータは、最適操作量決定部10に出力され、最適操作量の検索に用いるモデルを同定するために用いられる。なお、記憶データベース30からは、最適操作量の履歴及び制御量の履歴が内部状態推定部20に送られ、状態量推定のために使用される。
最適操作量検索部10は、操作量候補算出部11と、モデル予測部13と、評価部15とを備える。操作量候補算出部11により算出された操作量候補はモデル予測制御部13に入力する。モデル予測部13では、内部状態推定部20から出力されたモデル同定パラメータによって、制御対象のモデルを同定し、このモデルを用いて有限時間先までの制御量の予測を行い、評価部15に送る。評価部15では、操作量候補、予測された制御量等を評価関数により評価する。これを繰り返して評価式が算出する評価値が最小(あるいは最大)となった時点で最適操作量の検索が終了し、評価値の最小値(あるいは最大値)を与えた操作量候補が最適操作量として決定される。決定された最適操作量は、制御対象2に与えられて、今回の制御期間は終了し、次回の制御期間が開始する。なお、記憶データベース30は、過去の最適操作量、制御量等の予測値と実測値等モデル予測制御に必要なデータ及び評価関数等を最適操作量検索部10に送る。
前述のように、このようなモデル予測装置1には、予測演算の繰返しによる処理負荷が大きく、処理時間が膨大になること、及び評価関数の最適値を求めることができなくなる場合があること等の問題があった。本発明による一実施形態では、モデル予測制御装置1にフィードバック処理部を設け、これに対処するようにする。
図2に、本発明の一実施形態であるモデル予測制御装置を示す。図1に示す構成要素に対応する構成要素には、同一の番号を付してある。本発明の一実施形態であるモデル予測制御装置1は、フィードバック処理部50を備えていることを特徴とする。フィードバック処理部50は、最適操作量検索部10、内部状態推定部20で使用される値あるいは各部から出力される値を、実機からフィードバックされた値により、その範囲を設定してガードしたり、補正したりするものである。なお、本例では、フィードバック処理部50は、最適操作量検索部10及び内部状態推定部20と独立して設けたが、これに限定されるものではない。フィードバック補正が可能であればどこに設けてもよく、補正機能に対応して複数設けてもよい。
フィードバック処理部による処理及び補正は、図2には、FB処理1及びFB補正1〜5として示した。以下、具体的に説明する。
(1)操作量候補算出部11におけるフィードバック処理(FB処理1)
図2のFB処理1は、フィードバック処理部でフィードバックされた制御対象2の実測値を用いて、操作量候補算出部11では、操作量のとり得る範囲を予め設定するものである。
一般に、モデル予測制御装置では、最適操作量を算出するために、仮操作量すなわち最適操作量の候補を算出してモデル予測を実行するが、例えば、制御対象から検出される制御量が目標値に達していない場合に、制御量をこれ以上下げるような操作量を仮操作量として算出しても無駄である。したがって、本実施形態では、フィードバック処理部50において、現在の制御量を含む制御対象の状態量をフィードバックし、操作量候補算出部11において、仮操作量のとり得る範囲すなわち上限値及び下限値を定める。そして、この範囲を超える仮操作量が算出されるような場合、それ以降の予測演算は省略して、この範囲の上限値あるいは下限値を最適操作量と決定する。
図3を参照して、最適操作量候補を選択する範囲を設定するFB処理1を説明する。今回の制御が開始すると、まずステップS1で、制御対象からの制御量を含む状態量がセンサ等により検出されてフィードバックされる。これらの状態量は、前回の最適操作量が制御対象に与えられた結果を含み現在の制御対象を特徴付ける実測値である。
次いで、ステップS2で、得られた状態量の実測値から最適操作量候補がとり得る値の上限値及び下限値が算出される。なお、制御対象の状態量から上限値あるいは下限値だけ決めればよいという場合もあり、上限値と下限値の両方を決めなければならないということはない。
ステップS3から、モデル予測制御が開始される。ステップS3では、最適操作量候補が算出される。ステップS4では、ステップS3で算出された最適操作量候補が、ステップS2で得られた最適操作量の上下限値から決まる範囲内に入っているか否かが判断される。
範囲内であれば、ステップS5に進み、通常のように制御対象モデルを用いて制御量を予測し、本実施形態では、予測された制御量から算出される評価値が最小値であるか否かがステップS6で判断され、評価値が最小値に達するまで、ステップS3〜S6が繰り返される。ステップS6で最小値であると判断されると、ステップS7で最適操作量が決定され、ステップS8で制御対象に最適操作量が入力されて、次回のモデル予測制御のサイクルに入る。
しかし、ステップS4で、ステップS3で算出された最適操作量候補が、ステップS2で得られた最適操作量の上下限値から決まる範囲内に入っていない場合には、ステップS10に進み、ステップS10では、最適操作量候補が上限値を超えている場合には、上限値を最適操作量と決定し、最適操作量候補が下限値を超えている場合には、下限値を最適操作量と決定する。次いで、ステップS8に進み、最適操作量と決定された上限値あるいは下限値を制御対象に入力して、次回のモデル予測制御のサイクルに入る。
このように、実測値に基づいて最適操作量候補に合理的な検索範囲が設定されるから、検索範囲外で評価値の最小値を見出して、真の最小値を見逃す(図5参照)することがなくなる。また、予測演算を繰り返して評価値を算出しても、評価値が最小値をとることなく、上限値あるいは下限値を超えたとすると、いずれかを最適操作量として決定するので、通常の制御量を予測する演算及び評価値を算出する演算を省略でき、演算付加の増大を抑制することができる。
なお、仮操作量の範囲を決める上限値あるいは下限値は、実際の状態量の実測値を得て、これに基いて算出したが、現在の制御対象の状態をモデルに入力して予測演算の結果得られた制御対象の状態量の予測値から算出すれば、予測時間に対応した上限値あるいは下限値を得ることができるのでさらによい結果を与える。いずれにせよ、現在の制御対象の状態をフィードバックした値に基いて、最適操作量候補の算出範囲を設定するので、現実に適合しない操作量に対して無駄な演算を行なうことがなくなる。
(2)最適操作量の決定に関するフィードバック補正(FB補正1〜3)
図2にFB補正1〜3として示したフィードバック補正は、フィードバック処理部50において過去の制御量の予測値と、対応する制御量の実測値とを比較して求められる差分に基づいて、最適操作量候補、これによる制御量及び決定された最適操作量をそれぞれ補正するものである。
FB補正1及び2は、モデル予測部13の入出力に関する補正である。モデル予測部13は、操作量候補算出部11から出力される最適操作量候補を入力として、現在から所定時間先までの予測区間におけるサンプリング点での制御量を予測する。得られた制御量の予測値は、モデル予測部13から出力され、評価部15に入力して評価値の算出に使用される。制御対象のモデルと実機とのずれが大きくなると、モデル予測した制御量が実機の出力と相違し、これに基づいて得られる操作量では、制御対象の安定な制御はできない。このような場合にFB補正1及び2は有効である。
過去のモデル予測で得られた最適操作量による制御量の予測値と、この最適操作量を実際の制御対象に与えた結果得られた制御量の実測値とを比較して、その差分を取得しておく。モデル予測部13の出力は、制御量の予測値であるので、実測値に近づけるためには上記差分を加算するようにすればよい。これがFB補正2である。
この補正と同様の補正は、モデル予測部13の入力側で行なうことができる。これがFB補正1である。入力は仮操作量であり、仮操作量とそれによる制御量とは、ある関係で決まるから、出力である制御量の偏差に係数をかけることによって、入力である仮操作量で補正を行なうことができる。FB補正1とFB補正2とは、ともに実行することもできるが、通常はどちらか一方でよい。
仮操作量あるいは制御量の算出ごとに補正を行なうので、各回の評価値の算出精度が向上し、結局操作量の算出精度を上げることができる。
FB補正3は、決定された最適操作量に関する補正である。FB補正1及び2の場合は、最適操作量候補による演算を繰返すごとに補正するようにしたが、FB補正3のように、最適操作量を決定して制御対象に与える際に、最適操作量を補正するようにしてもよい。
この場合も、過去のある時点で得られた、最適操作量を与える制御量の予測値と、この最適操作量を実際に制御対象に与えて得られた制御量の実測値とを比較してその差分に基いて、最適操作量を補正する。例えば、温度制御システムで、予測温度(制御量の予測値)が実測温度(制御量の実測値)より常に高めに出るような場合、予測温度と実測温度との差分をとり適宜補正係数を掛けたものを最適操作量に加えて最適操作量を補正することにより、より正確な制御ができる。
最適操作量の補正は、モデル予測制御装置から出力される最後の段階での補正で、これで補正できれば最も簡易に制御のロバスト性を確保することができる。しかしながら、システムが複雑であったり、操作量の挙動の変化が激しい場合には、FB補正3では適正な補正を実行することが困難となる。そのような場合は、FB補正2あるいはFB補正を行なうとよい。
なお、FB補正3を使用する場合、処理負荷が大きいために最適操作量の算出が間に合わないような場合には、前回の最適操作量を使用して、これを補正するようにすることもできる。このようにすると、FB補正を採用するシステムではさらに有効である。
(3)制御対象モデルの状態量に関するフィードバック補正(FB補正4、5)
内部状態推定部20では、制御対象の状態量及びこれに関するモデル同定パラメータをモデル予測により推定し、最適操作量検索部10で使用する制御対象モデルを同定するための状態量あるいはパラメータを出力する。これら制御対象の状態に関する量あるいはパラメータについても、フィードバック処理部50を用いてフィードバック補正を行なうことによって、モデルの精度を向上させることができる。
FB補正4は、モデル同定パラメータに関するフィードバック補正を示す。すなわち、過去のモデル予測されたモデル同定パラメータの予測値と制御対象の実測値であるセンサ出力の履歴により得られるモデル同定パラメータの値とを比較して、その差分を取得しておく。新たにモデル同定パラメータの予測値が算出されると、取得しておいた差分に必要な補正係数をかけて予測値に加えて補正する。これによりモデルのパラメータ精度が向上し、その結果制御精度が向上する。
図4(a)〜(c)を参照して、モデル同定パラメータの補正を具体的に説明する。図4(a)のシステムは、制御対象50を一定温度に制御するシステムで、冷却水の入口温度T1と出口温度T2とをセンサで検出して制御対象の振る舞いを見る例である。図4(b)は、モデル予測された冷却水の入口温度T1と出口温度T2との関係を示す。図4(c)は、実測された冷却水の入口温度T1と出口温度T2との関係を示す。予測では、冷却水の入口温度T1と出口温度T2では、時間差t1の後に同様に推移しているが、実機では、入口温度T1と出口温度T2tの動きの時間差はt2に延びている。このような場合、差分(t2−t3)に基づいて補正する。このようにしてモデル同定パラメータの一例である時定数(なまし時定数)をフィードバック補正することができる。
FB補正5は、制御対象モデルに実際の制御対象の状態量を入力する際のフィードバック補正である。各種のセンサにより得られる実際の制御対象2の状態量は、記憶データベース30を介して内部状態推定部20に入力し、モデル予測により状態量を推定し、最適操作量検索部10で使用するモデルに入力される。
本実施形態では、過去にモデルにより予測された状態量と、これに対応するセンサで得られた実際の状態量とを比較してその差分を計算し、必要があれば得られた差分に補正係数をかけて、予測値を修正する。このようにして、実際の状態量をフィードバックした結果によって修正した状態量が制御対象モデルに入力するので、制御対象モデル内の状態精度を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、FB処理1及びFB補正1〜5を適宜組合せて用いることにより、より効果を上げることができる。
本発明の前提となるモデル予測制御装置を示す概略図である。 本発明の一実施形態であるモデル予測制御装置を示す概略図である。 本発明の一実施形態の動作フローを示す図である。 本発明の一実施形態のモデル同定パラメータを説明する図である。 従来のモデル予測制御装置の問題点を示す図である。
符号の説明
1 モデル予測制御装置
2 制御対象
10 最適制御量検索部
11 操作量候補算出部
13 モデル予測部
15 最適操作評価部
20 内部状態推定部
30 記憶データベース
50 フィードバック処理部

Claims (14)

  1. 制御対象の状態を推定する内部状態推定部と、
    前記内部状態推定部から出力される状態推定量により同定した前記制御対象のモデルを用いて、最適操作量候補による制御量の予測を行ない、予測結果を評価して最適操作量を出力する最適操作量検索部と、
    前記制御対象から得られる実測値をフィードバックするフィードバック処理部とを備え、
    前記最適操作量検索部は、前記フィードバックされた実測値に基づいて、前記最適操作量候補の上限値及び下限値からなる範囲を設定し、
    算出された最適操作量候補が前記最適操作量候補の範囲に含まれる場合に最適操作量候補として採用するモデル予測制御装置。
  2. 前記最適操作量候補が前記上限値より大きい場合には前記上限値を最適操作量と決定し、前記最適操作量候補が前記下限値より小さい場合には前記下限値を最適操作量と決定する請求項1に記載のモデル予測制御装置。
  3. 前記最適操作量検索部が、前記最適操作量候補の範囲を設定する際には、前記フィードバックされた実測値に基づいてモデル予測された予測値から前記前記最適操作量候補の範囲を設定する請求項1又は2に記載のモデル予測制御装置。
  4. さらに、前記フィードバック処理部は、過去に最適操作量を与えた制御対象から得られた制御量の実測値と、該過去の最適操作量によりモデル予測された制御量の予測値との差分を求め、
    前記最適操作量検索部は、前記最適操作量候補及び該最適操作量候補による制御量の予測値のうちの少なくとも一方を前記差分に基づき補正する請求項1〜3のいずれか1項に記載のモデル予測制御装置。
  5. さらに、前記フィードバック処理部は、過去に最適操作量を与えた制御対象から得られた制御量の実測値と、該過去の最適操作量によりモデル予測された制御量の予測値との差分を求め、
    前記最適操作量検索部は、出力される最適操作量を前記差分に基づき補正する請求項1〜3のいずれか1項にモデル予測制御装置。
  6. 前記最適操作量の検索が間に合わない場合、前回の最適操作量を今回の最適操作量とする請求項5に記載のモデル予測制御装置。
  7. 制御対象の状態を推定する内部状態推定部と、
    前記内部状態推定部から出力される状態推定量により同定した前記制御対象のモデルを用いて、最適操作量候補による制御量の予測を行ない、予測結果を評価して最適操作量を出力する最適操作量検索部と、
    前記制御対象から得られる実測値をフィードバックするフィードバック処理部とを備え、
    前記フィードバック処理部は、前記内部状態推定部により過去に推定された推定状態量と、これに対応する制御対象から得られた状態量の実測値との差分を求め、
    前記内部状態推定部は、前記差分に基づいて今回の推定状態量を補正して前記最適操作量検索部に出力するモデル予測制御装置。
  8. 制御対象の状態を推定する内部状態推定部と、
    前記内部状態推定部から出力される状態推定量により同定した前記制御対象のモデルを用いて、最適操作量候補による制御量の予測を行ない、予測結果を評価して最適操作量を出力する最適操作量検索部と、
    前記制御対象から得られる実測値をフィードバックするフィードバック処理部とを備え、
    前記フィードバック処理部は、前記内部状態推定部により過去に推定された状態量の変化と、これに対応する制御対象から得られた状態量の実測値の変化との差分をとり、
    前記内部状態推定部は、前記差分に基づいて補正されたモデル同定パラメータを前記最適操作量検出部に出力するモデル予測制御装置。
  9. 算出された最適操作量候補を制御対象モデルに与えて制御対象の出力である制御量を予測し、予測結果を評価して最適操作量を決定するモデル予測制御方法であって、
    前記最適操作量候補の上限値および下限値を前記制御対象から得られた実測値から求め、
    算出された最適操作量候補が、前記上限値および下限値の範囲に含まれるか否かを判断し、
    前記算出された最適操作量候補が前記上限値および下限値の範囲に含まれる場合に最適操作量候補として採用するモデル予測制御方法。
  10. 前記最適操作量候補が前記上限値より大きい場合には前記上限値を最適操作量と決定し、前記最適操作量候補が前記下限値より小さい場合には前記下限値を最適操作量と決定する請求項9に記載のモデル予測制御方法。
  11. 前記前記最適操作量候補の上限値及び下限値は、前記制御対象の実測値に基づいてモデル予測された予測値から求める請求項9に記載のモデル予測制御方法。
  12. さらに、過去に最適操作量を与えた制御対象から得られた制御量の実測値と、該過去の最適操作量によりモデル予測された制御量の予測値との差分を求め、
    前記最適操作量候補、該最適操作量候補による制御量の予測値及び出力される最適操作量のうちの少なくとも1つを、前記差分に基づき補正する請求項9〜11のいずれか1項に記載のモデル予測制御方法。
  13. 算出された最適操作量候補を制御対象モデルに与えて制御対象の出力である制御量を予測し、予測結果を評価して最適操作量を決定するモデル予測制御方法であって、
    前記制御対象モデルを同定するに際して、前記制御対象モデルを用いて過去に予測された制御対象の状態量と、これに対応する制御対象から取得された状態量の実測値との差分を求め、該差分に基いて前記制御対象モデルに与える状態量を補正するモデル予測制御方法。
  14. 算出された最適操作量候補を制御対象モデルに与えて制御対象の出力である制御量を予測し、予測結果を評価して最適操作量を決定するモデル予測制御方法であって、
    前記制御対象モデルを同定するに際して、制御対象のモデルを用いて予測された状態量の変化と、制御対象から取得された状態量の変化とを比較して差分を求め、該差分に基いて前記制御対象のモデルに与えるモデル同定パラメータを補正するモデル予測制御方法。
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