JP7139221B2 - 状態判定装置および状態判定方法 - Google Patents
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Description
また、本発明の状態判定装置の1構成例は、前記比率に基づいて前記制御対象の状態を判定するように構成された状態判定部をさらに備えることを特徴とするものである。
加熱装置自体が暖まっていない低温からの昇温では、ヒータ自体の熱容量や装置全体の熱容量に対する熱放出があるため、見かけ上(一定のアルゴリズムでの計算上)、プロセス時定数Tpあるいは高次遅れとしてのむだ時間Lpが本来よりも長い特異応答になり易い。例えば図1(A)に示すような加熱装置が十分に暖まっているときの昇温の場合(設定値SP変更時の制御量PVが十分に高い場合)に比べて、加熱装置が暖まっていないときの特異な昇温の場合(設定値SP変更時の制御量PVが低い場合)には、図1(B)に示すような結果になる。
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図2は本発明の第1の実施例に係る状態判定装置の構成を示すブロック図である。状態判定装置は、加熱装置において加熱制御の過渡状態を発生させる操作量MVの時系列データとこの過渡状態における制御対象の温度である制御量PVの時系列データとに基づいて、制御対象の状態判定のための指標として、制御対象の動的プロセスゲインKpとプロセス時定数Tpとの比率Kp/Tpを算出するゲイン時定数比率算出部1と、比率Kp/Tpを記憶するゲイン時定数比率記憶部2と、ゲイン時定数比率算出部1による比率の算出を停止すべき温度帯を予め記憶する温度帯登録部3と、加熱制御の開始時の制御量PVを温度情報として取得する温度情報取得部4と、温度情報取得部4によって取得された加熱制御開始時の温度が温度帯登録部3に記憶されている温度帯に含まれる場合に、ゲイン時定数比率算出部1による比率の算出を停止させるゲイン時定数比率停止部5と、比率に基づいて制御対象の状態を判定する状態判定部6とを備えている。
制御量PV(温度計測値)は、図示しない計測器(例えば図9に示した加熱装置の加熱処理炉100内の温度を計測する温度センサ、または加熱処理炉100内のワークの温度を計測する温度センサ)によって計測され、操作量算出部10に入力される(図3ステップS101)。
温度情報取得部4は、加熱制御が開始されたとき(設定値SPが上昇する方向に変更されたとき)の制御量PVを加熱制御開始時の温度情報として取得する(図4ステップS200)。
加熱処理炉内のワークの加熱のために設定値SPのステップ変更が行われると、上記の操作量算出部10による制御により制御量PVが設定値SPに追従して上昇する。
Gp=Kpexp(-Lps)/(1+Tps) ・・・(1)
PVm=GpMV ・・・(2)
以上の過渡状態データ特定部11と制御対象モデリング部12と比率算出処理部13の動作は、特許文献1に開示されている。
本実施例では、制御動作機能を実現する操作量算出部10はループレベルコントローラ(温調計など)に実装されるものであり、ゲイン時定数比率算出部1も通信などを介さない品質の良いデータを利用するのが好ましいので、やはりループレベルコントローラに実装されるべき構成要素である。ゲイン時定数比率記憶部2と状態判定部6も、ループレベルコントローラに実装して構わない。
なお、比率Rの算出を停止しない温度帯を温度帯登録部3に登録する構成も考えられるが、このような構成は本実施例と実質等価なものであることは言うまでもない。
例えば400℃からの降温途中で長時間に亘り操作量MVが0%(ヒータオフ)を維持していながらも、降温が不十分で加熱制御再開時の制御量PV(温度計測値)が80℃という場合も有り得る。このような特異な制御ループ条件に対して、第1の実施例では、例えば50℃以下という温度帯が登録されていると、この制御ループ条件を排除することができない。本実施例は、加熱制御開始時の操作量MVが例えば5%未満という操作量帯を設定することにより、上記のような特異な制御ループ条件を排除できるようにしたものである。
温度・操作量情報取得部8は、加熱制御が開始されたとき(設定値SPが上昇する方向に変更されたとき)の制御量PVを加熱制御開始時の温度情報として取得すると共に、加熱制御が開始されたときの操作量MVを操作量算出部10から取得する(図7ステップS300)。
Claims (6)
- 加熱装置において加熱制御の過渡状態を発生させる操作量の時系列データとこの過渡状態における制御対象の温度である制御量の時系列データとに基づいて、前記制御対象の状態判定のための指標として、前記制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率を算出するように構成されたゲイン時定数比率算出部と、
前記比率を記憶するように構成されたゲイン時定数比率記憶部と、
前記ゲイン時定数比率算出部による比率の算出を停止すべき温度帯を予め記憶するように構成された登録部と、
前記加熱制御の開始時の制御量を温度情報として取得するように構成された情報取得部と、
前記情報取得部によって取得された加熱制御開始時の温度が前記登録部に記憶されている温度帯に含まれる場合に、前記ゲイン時定数比率算出部による比率の算出を停止させるように構成されたゲイン時定数比率停止部とを備えることを特徴とする状態判定装置。 - 請求項1記載の状態判定装置において、
前記登録部は、前記ゲイン時定数比率算出部による比率の算出を停止すべき温度帯に加えて、前記ゲイン時定数比率算出部による比率の算出を停止すべき操作量帯を予め記憶し、
前記情報取得部は、前記加熱制御の開始時の制御量を温度情報として取得すると共に、前記加熱制御の開始時の操作量を取得し、
前記ゲイン時定数比率停止部は、前記情報取得部によって取得された加熱制御開始時の温度が前記登録部に記憶されている温度帯に含まれる場合、あるいは前記情報取得部によって取得された加熱制御開始時の操作量が前記登録部に記憶されている操作量帯に含まれる場合に、前記ゲイン時定数比率算出部による比率の算出を停止させることを特徴とする状態判定装置。 - 請求項1または2記載の状態判定装置において、
前記比率に基づいて前記制御対象の状態を判定するように構成された状態判定部をさらに備えることを特徴とする状態判定装置。 - 加熱装置における加熱制御の開始時の制御量を温度情報として取得する第1のステップと、
制御対象の状態判定のための指標の算出を停止すべき温度帯を予め記憶する登録部を参照して、前記第1のステップで取得した加熱制御開始時の温度と前記登録部に記憶されている温度帯とを比較する第2のステップと、
前記第1のステップで取得した加熱制御開始時の温度が前記登録部に記憶されている温度帯の範囲外の場合に、前記加熱装置において加熱制御の過渡状態を発生させる操作量の時系列データとこの過渡状態における制御対象の温度である制御量の時系列データとに基づいて、前記制御対象の状態判定のための指標として、前記制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率を算出する第3のステップと、
前記比率を記憶する第4のステップとを含むことを特徴とする状態判定方法。 - 請求項4記載の状態判定方法において、
前記第1のステップは、前記加熱制御の開始時の制御量を温度情報として取得すると共に、前記加熱制御の開始時の操作量を取得するステップを含み、
前記第2のステップは、制御対象の状態判定のための指標の算出を停止すべき温度帯に加えて、制御対象の状態判定のための指標の算出を停止すべき操作量帯を予め記憶する登録部を参照して、前記第1のステップで取得した加熱制御開始時の温度および操作量と前記登録部に記憶されている温度帯および操作量帯とを比較するステップを含み、
前記第3のステップは、前記第1のステップで取得した加熱制御開始時の温度が前記登録部に記憶されている温度帯の範囲外で、かつ加熱制御開始時の操作量が前記登録部に記憶されている操作量帯の範囲外の場合に、前記制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率を算出するステップを含むことを特徴とする状態判定方法。 - 請求項4または5記載の状態判定方法において、
前記比率に基づいて前記制御対象の状態を判定する第5のステップをさらに含むことを特徴とする状態判定方法。
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