JP5891060B2 - 電力推定装置、制御装置および方法 - Google Patents
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Description
図9は特許文献1に開示された電力使用量予測装置の原理を説明する図であり、整定している温度制御系において設定値SP[℃]を変更したときの温度計測値PV[℃]と操作量MV[%]の変化を示す図である。
電気ヒータによる加熱であれば、設定値SPを一定の変化率で継続的に上昇させるSPランプアップ時の操作量MVの上昇パターンは図10に示したようになる。SPランプアップが固定比率の直線的変化事象であることに着眼すれば、操作量MVの過渡的上がり幅と傾きは設定値SPの傾きで概ね推定可能であることを見出せる。そして、SPランプアップがどの程度の時間継続するかは予め把握できるので、瞬間的に最大でどの程度の電力が必要になるのかを推定することが可能になる。なお、過渡的上がり幅とは、SPランプアップ開始時点では昇温前の整定操作量MViにあるものとし、SPランプアップ完了時点では昇温後の整定操作量にあるものとして、両者を直線で結んで得られる仮想的操作量変化の線(図10中の操作量MVの破線)よりも、SPランプアップ中の過渡状態において、継続的に操作量MVが高く維持される差分(図10中のΔMV)を意味する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係る電力推定装置の構成を示すブロック図である。
電力推定装置は、SPランプアップ情報入力部1と、昇温開始時操作量入力部2と、操作量上がり幅算出部3と、操作量傾き算出部4と、操作量変化推定部5と、電力推定部6とから構成される。
なお、本実施の形態では、電力推定装置を図8に示した加熱装置に適用するものとして説明する。この場合、電力推定装置とPID制御部7と補正出力部12とからなる制御装置は、図8に示した温調計100に設けられる。
SPランプアップ情報入力部1には、SPランプアップの基本的情報として、SPランプアップによる昇温開始時の設定値SPi[℃]と、昇温目標の設定値SPe[℃]と、SPランプアップの傾き(昇温速度)dSP[℃/sec.]とが、昇温開始前に例えば加熱装置のユーザによって入力される(図2ステップS1)。
ΔMV=f(dSP)=αdSP ・・・(1)
α=ΔMVx/dSPx ・・・(2)
ΔMV=αdSP ・・・(3)
操作量上がり幅算出部3は、SPランプアップ情報入力部1に入力されたSPランプアップの傾きdSPに基づいて、操作量MVの過渡的上がり幅ΔMVを式(3)により算出する(ステップS3)。
dMV=g(dSP)=βdSP ・・・(4)
β=dMVy/dSPy ・・・(5)
dMV=βdSP ・・・(6)
操作量傾き算出部4は、SPランプアップ情報入力部1に入力されたSPランプアップの傾きdSPに基づいて、操作量MVの傾きdMVを式(6)により算出する(ステップS4)。
T=(SPe−SPi)/dSP ・・・(7)
MVm=MVi+ΔMV+dMVT ・・・(8)
すなわち、T[sec.]後に、操作量MVが最大値MVm[%]に到達すると推定される。
PW=h(MVm)=γMVm ・・・(9)
γ=PWz/MVmz ・・・(10)
PW=γMVm ・・・(11)
電力推定部6は、操作量変化推定部5が算出した推定最大値MVmに基づいて、昇温開始からT[sec.]後の推定最大電力PW[W]を、式(11)により算出する(ステップS7)。以上で、電力推定装置の動作が終了する。
設定値SPは、加熱装置のユーザによって設定され、設定値SP入力部8を介してPID制御演算部10に入力される(図3ステップS10)。制御量PV(温度計測値)は、図8の温度センサ103によって測定され、制御量PV入力部9を介してPID制御演算部10に入力される(ステップS11)。
MV=(100/PB){1+(1/TIs)+TDs}(SP−PV)
・・・(12)
PBは比例帯、TIは積分時間、TDは微分時間、sはラプラス演算子である。操作量MV出力部11は、PID制御演算部10が算出した操作量MVを出力する(ステップS13)。
PID制御部7および補正出力部12は、以上のようなステップS10〜S14の処理を例えばユーザの指示によって制御が終了するまで(ステップS15においてYES)、制御周期毎に行う。
図6に示したような折れ線による補正は一般的に実施される手法であり、電力PWのデータを3点よりも多く取れば、電力PWと操作量MVとがさらに厳密な線形関係に近づくことになる。ただし、このような補正は、電力推定の要求精度に応じて適宜設計すればよい。
Claims (6)
- 制御対象を加熱するヒータと、制御対象の温度を制御量PVとして計測する温度センサと、制御量PVと外部から入力された設定値SPに基づいて操作量MVを算出して前記ヒータに出力するPID制御演算部とからなる制御系において、設定値SPのランプ入力に応じて制御対象を昇温するときに前記ヒータが使用する電力を推定する電力推定装置であって、
SPランプアップの傾きdSPを含むSPランプアップの基本的情報を取得するSPランプアップ情報入力部と、
昇温開始時の操作量MVを取得する昇温開始時操作量入力部と、
前記SPランプアップの傾きdSPに基づいて昇温中の操作量MVの過渡的上がり幅ΔMVを算出する操作量上がり幅算出部と、
前記SPランプアップの傾きdSPに基づいて昇温中の操作量MVの傾きdMVを算出する操作量傾き算出部と、
前記SPランプアップの基本的情報に含まれる、昇温開始時の設定値SPと昇温目標の設定値SPと前記SPランプアップの傾きdSPに基づいて、SPランプアップによる昇温開始から昇温完了までの推定所要時間Tを算出し、前記昇温開始時の操作量MVと前記過渡的上がり幅ΔMVと前記傾きdMVと前記推定所要時間Tに基づいて昇温中の操作量変化の推定値を算出する操作量変化推定部と、
前記操作量変化の推定値に基づいて前記ヒータが使用する電力の推定値を算出する電力推定部とを備えることを特徴とする電力推定装置。 - 請求項1記載の電力推定装置において、
前記操作量変化推定部は、前記昇温開始時の操作量MVと前記過渡的上がり幅ΔMVと前記傾きdMVと前記推定所要時間Tに基づいて、前記昇温中の操作量変化の推定値として操作量MVの推定最大値MVmを算出し、
前記電力推定部は、前記操作量MVの推定最大値MVmに基づいて、前記電力の推定値として昇温中の推定最大電力PWを算出することを特徴とする電力推定装置。 - 制御対象を加熱するヒータと、制御対象の温度を制御量PVとして計測する温度センサと、制御量PVと外部から入力された設定値SPに基づいて操作量MVを算出して前記ヒータに出力するPID制御演算部とからなる制御系の制御装置であって、
設定値SPのランプ入力に応じて制御対象を昇温するときに前記ヒータが使用する電力を推定する電力推定装置と、
設定値SPと制御量PVを入力として操作量MVを算出する前記PID制御演算部と、
前記ヒータが使用する電力と操作量MVとが略線形の関係になるように、前記PID制御演算部が算出した操作量MVを操作量MV’に補正して前記ヒータに出力する補正出力部とを備え、
前記電力推定装置は、
SPランプアップの傾きdSPを含むSPランプアップの基本的情報を取得するSPランプアップ情報入力部と、
昇温開始時の操作量MVを取得する昇温開始時操作量入力部と、
前記SPランプアップの傾きdSPに基づいて昇温中の操作量MVの過渡的上がり幅ΔMVを算出する操作量上がり幅算出部と、
前記SPランプアップの傾きdSPに基づいて昇温中の操作量MVの傾きdMVを算出する操作量傾き算出部と、
前記SPランプアップの基本的情報に含まれる、昇温開始時の設定値SPと昇温目標の設定値SPと前記SPランプアップの傾きdSPに基づいて、SPランプアップによる昇温開始から昇温完了までの推定所要時間Tを算出し、前記昇温開始時の操作量MVと前記過渡的上がり幅ΔMVと前記傾きdMVと前記推定所要時間Tに基づいて昇温中の操作量変化の推定値を算出する操作量変化推定部と、
前記操作量変化の推定値に基づいて前記ヒータが使用する電力の推定値を算出する電力推定部とを備えることを特徴とする制御装置。 - 制御対象を加熱するヒータと、制御対象の温度を制御量PVとして計測する温度センサと、制御量PVと外部から入力された設定値SPに基づいて操作量MVを算出して前記ヒータに出力するPID制御演算部とからなる制御系において、設定値SPのランプ入力に応じて制御対象を昇温するときに前記ヒータが使用する電力を推定する電力推定方法であって、
SPランプアップの傾きdSPを含むSPランプアップの基本的情報を取得するSPランプアップ情報入力ステップと、
昇温開始時の操作量MVを取得する昇温開始時操作量入力ステップと、
前記SPランプアップの傾きdSPに基づいて昇温中の操作量MVの過渡的上がり幅ΔMVを算出する操作量上がり幅算出ステップと、
前記SPランプアップの傾きdSPに基づいて昇温中の操作量MVの傾きdMVを算出する操作量傾き算出ステップと、
前記SPランプアップの基本的情報に含まれる、昇温開始時の設定値SPと昇温目標の設定値SPと前記SPランプアップの傾きdSPに基づいて、SPランプアップによる昇温開始から昇温完了までの推定所要時間Tを算出し、前記昇温開始時の操作量MVと前記過渡的上がり幅ΔMVと前記傾きdMVと前記推定所要時間Tに基づいて昇温中の操作量変化の推定値を算出する操作量変化推定ステップと、
前記操作量変化の推定値に基づいて前記ヒータが使用する電力の推定値を算出する電力推定ステップとを備えることを特徴とする電力推定方法。 - 請求項4記載の電力推定方法において、
前記操作量変化推定ステップは、前記昇温開始時の操作量MVと前記過渡的上がり幅ΔMVと前記傾きdMVと前記推定所要時間Tに基づいて、前記昇温中の操作量変化の推定値として操作量MVの推定最大値MVmを算出するステップを含み、
前記電力推定ステップは、前記操作量MVの推定最大値MVmに基づいて、前記電力の推定値として昇温中の推定最大電力PWを算出するステップを含むことを特徴とする電力推定方法。 - 制御対象を加熱するヒータと、制御対象の温度を制御量PVとして計測する温度センサと、制御量PVと外部から入力された設定値SPに基づいて操作量MVを算出して前記ヒータに出力するPID制御演算部とからなる制御系の制御方法であって、
設定値SPのランプ入力に応じて制御対象を昇温するときに前記ヒータが使用する電力を推定する電力推定ステップと、
設定値SPと制御量PVを入力として操作量MVを算出するPID制御演算ステップと、
前記ヒータが使用する電力と操作量MVとが略線形の関係になるように、前記PID制御演算ステップで算出した操作量MVを操作量MV’に補正して前記ヒータに出力する補正出力ステップとを備え、
前記電力推定ステップは、
SPランプアップの傾きdSPを含むSPランプアップの基本的情報を取得するSPランプアップ情報入力ステップと、
昇温開始時の操作量MVを取得する昇温開始時操作量入力ステップと、
前記SPランプアップの傾きdSPに基づいて昇温中の操作量MVの過渡的上がり幅ΔMVを算出する操作量上がり幅算出ステップと、
前記SPランプアップの傾きdSPに基づいて昇温中の操作量MVの傾きdMVを算出する操作量傾き算出ステップと、
前記SPランプアップの基本的情報に含まれる、昇温開始時の設定値SPと昇温目標の設定値SPと前記SPランプアップの傾きdSPに基づいて、SPランプアップによる昇温開始から昇温完了までの推定所要時間Tを算出し、前記昇温開始時の操作量MVと前記過渡的上がり幅ΔMVと前記傾きdMVと前記推定所要時間Tに基づいて昇温中の操作量変化の推定値を算出する操作量変化推定ステップと、
前記操作量変化の推定値に基づいて前記ヒータが使用する電力の推定値を算出する電力推定ステップとを含むことを特徴とする制御方法。
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