JP5829073B2 - 制御装置および方法 - Google Patents
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Description
特許文献2に開示された半導体ウエハの処理装置では、装置立ち上げ時に一時に大電力(瞬間電力)が消費されないように、各ヒータに対して時間的にずらしながら電力を供給するようにしていた。
特許文献4に開示された加熱装置では、装置立ち上げ時の過度の消費電流による電力障害を防止するために、まずコンベアより下方に位置するヒータに対し必要とする電力を供給し、かつコンベアより上方に位置するヒータへ供給される電力を制限して、合計消費電力(瞬間電力)を一定値以下に制御し、炉体内の温度の上昇に伴って温度を切換パラメータとして、コンベアより下方に位置するヒータへの供給電力を減少させるように制御していた。
また、本発明の制御装置の1構成例において、前記昇温対象選択手段は、昇温対象の制御ループの温度が温度設定値に到達したときに、昇温対象の制御ループの昇温が進むことにより操作量が下降してエネルギー余裕が生じたと判断することを特徴とするものである。
また、本発明の制御装置の1構成例において、前記昇温対象選択手段は、昇温対象の制御ループの温度が温度設定値に到達したときに、昇温対象の制御ループの昇温が進むことにより操作量が下降して電力余裕が生じたと判断することを特徴とするものである。
本発明では、一定の短い時間を対象として瞬間的に消費される「電力」と、昇温を完了させるために累積的に必要になる「電力量」を扱う。
また、本発明では、特許第4468868号公報に開示された電力使用量予測方法を応用することを前提とする。制御ループ間に温度干渉が存在する複数の制御系において、各制御系(各制御ループ)をほぼ同じ低温度にある状態からほぼ同じ高温度の状態へと昇温する場合に、オーバーシュートが発生しにくくなるメカニズムとして、下記の(A)、(B)の2点について着眼できる。
なお、以上の原理は昇温制御に限らず、電力消費する冷却装置を用いた降温制御についても同様に成り立つ。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
本実施の形態の制御装置は、割当瞬間総電力PTを入力する割当瞬間総電力入力部1と、昇温開始を指示する昇温開始指示部2と、各制御ループLi(i=1〜n、nは2以上の整数)の制御ゾーンを昇温するときに必要とされるヒータの電力使用量である昇温電力量PWiを制御ループLi毎に予測する昇温電力量予測部3と、各制御ループLiの昇温電力量PWiが大きい方から小さい方への順序を各制御ループLiの昇温実行順序として決定する昇温実行順序決定部4と、最初の昇温開始のとき、あるいは昇温対象の制御ループの昇温が進むことによりこの制御ループの操作量が下降して電力余裕が生じたと判断されるときに、昇温実行順序に従って昇温対象の制御ループを選択する昇温対象選択部5と、各制御ループLiのヒータに供給する電力の制限操作を行なう電力制限操作部6と、制御ループLi(i=1〜n、nは2以上の整数)毎に設けられた制御部7−iとから構成される。
次に、各制御ループL1〜L3の制御ゾーンZ1〜Z3を単位温度加熱するのに必要な時間を表す昇温時間係数TH1〜TH3を、TH1=10sec./℃、TH2=10sec./℃、TH3=10sec./℃とする。
また、各制御ループL1〜L3の操作量上限値OH1〜OH3の初期値を、OH1=100%、OH2=100%、OH3=100%とし、昇温開始前の操作量MV1〜MV3を、MV1=30%、MV2=10%、MV3=40%とする。
PW1=(SP1−PV1)HP1TH1{OH1/(OH1−MV1)}
=(200−100)400×10{100/(100−30)}=571429
・・・(1)
PW2=(SP2−PV2)HP2TH2{OH2/(OH2−MV2)}
=(200−100)400×10{100/(100−10)}=444444
・・・(2)
PW3=(SP3−PV3)HP3TH3{OH3/(OH3−MV3)}
=(200−100)400×10{100/(100−40)}=666667
・・・(3)
PWi=(SPi−PVi)HPiTHi{OHi/(OHi−MVi)}
・・・(4)
PS=(HP1MV1/100)+(HP2MV2/100)
+(HP3MV3/100)
=(400×30/100)+(400×10/100)
+(400×100/100)
=120+40+400=560W ・・・(5)
MV3≦100{PS−(HP1MV1/100)−(HP2MV2/100)}
/HP3
=100{720−(400×30/100)−(400×10/100)}
/400=140% ・・・(6)
IF MVi>OHi THEN MVi=OHi ・・・(7)
すなわち、操作量上限処理部11−iは、操作量MViが操作量出力上限値OHiより大きい場合、操作量MVi=OHiとする上限処理を行なう。
制御装置は、以上のようなステップS100〜S110の処理を例えばオペレータの指示によって制御が終了するまで(ステップS111においてYES)、一定時間毎に行なう。
PS=(HP1MV1/100)+(HP2MV2/100)
+(HP3MV3/100)
=(400×100/100)+(400×10/100)
+(400×45/100)
=400+40+180=620W ・・・(8)
MV1≦100{PS−(HP2MV2/100)−(HP3MV3/100)}
/HP1
=100{720−(400×10/100)−(400×45/100)}
/400=125% ・・・(9)
PS=(HP1MV1/100)+(HP2MV2/100)
+(HP3MV3/100)
=(400×40/100)+(400×100/100)
+(400×45/100)
=160+400+180=740W ・・・(10)
MV2≦100{PS−(HP1MV1/100)−(HP3MV3/100)}
/HP2
=100{720−(40040/100)−(40045/100)}
/400=95% ・・・(11)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態では、昇温能力が大きく異なる3ループの場合について説明する。本実施の形態においても、制御装置の構成および処理の流れは第1の実施の形態と同様であるので、図1、図2の符号を用いて説明する。図4(A)〜図4(F)は本実施の形態の制御装置の動作例を示す図である。図4(A)、図4(C)、図4(E)はそれぞれ制御ループL1,L2,L3の制御量PV1,PV2,PV3の変化を示す図、図4(B)、図4(D)、図4(F)はそれぞれ制御ループL1,L2,L3の操作量MV1,MV2,MV3の変化を示す図である。
次に、各制御ループL1〜L3の制御ゾーンZ1〜Z3を単位温度加熱するのに必要な時間を表す昇温時間係数TH1〜TH3を、TH1=10sec./℃、TH2=10sec./℃、TH3=10sec./℃とする。
また、各制御ループL1〜L3の操作量上限値OH1〜OH3の初期値を、OH1=100%、OH2=100%、OH3=100%とし、昇温開始前の操作量MV1〜MV3を、MV1=10%、MV2=10%、MV3=10%とする。
このように、本実施の形態では、制御ループL1〜L3でヒータ能力係数HP1〜HP3のみが大きく異なる。ヒータ能力係数HPが大きいほど、隣接ループに与える影響として、熱干渉による温度上昇効果が大きいことになる。
PW1=(SP1−PV1)HP1TH1{OH1/(OH1−MV1)}
=(200−100)200×10{100/(100−10)}=222222
・・・(12)
PW2=(SP2−PV2)HP2TH2{OH2/(OH2−MV2)}
=(200−100)800×10{100/(100−10)}=888889
・・・(13)
PW3=(SP3−PV3)HP3TH3{OH3/(OH3−MV3)}
=(200−100)200×10{100/(100−10)}=222222
・・・(14)
PS=(HP1MV1/100)+(HP2MV2/100)
+(HP3MV3/100)
=(200×10/100)+(800×100/100)
+(200×10/100)
=20+800+20=840W ・・・(15)
MV2≦100{PS−(HP1MV1/100)−(HP3MV3/100)}
/HP2
=100{720−(200×10/100)−(200×10/100)}
/800=85% ・・・(16)
制御ループL2の昇温の間に、上記のとおり制御ループL2からの熱干渉により、隣接する制御ループL1,L3の制御量PV1,PV3は一時的にでも上昇する。制御ループL1,L3は昇温前の低い温度であり、この熱干渉により温度設定値SP1,SP3を上回る温度上昇が発生する確率は極めて低く、例えば100℃から120℃への温度上昇程度に留まるので、速やかに次の制御ループL1の昇温を開始できる。
PS=(HP1MV1/100)+(HP2MV2/100)
+(HP3MV3/100)
=(200×100/100)+(800×15/100)
+(200×10/100)
=200+120+20=340W ・・・(17)
/HP1
=100{720−(800×15/100)−(200×10/100)}
/200=290% ・・・(18)
制御ループL1の昇温の間に、制御ループL1からの熱干渉により、隣接する制御ループL2,L3の制御量PV2,PV3は一時的にでも上昇する。ただし、制御ループL1はヒータ能力係数の低い制御ループであり、この制御ループL1からの熱干渉による温度上昇は例えば制御ループL2の制御量PV2が200℃から205℃へ温度上昇し、制御ループL3の制御量PV3が120℃から125℃へ温度上昇するといったように比較的小さいもので済むので、速やかに次の制御ループL3の昇温を開始できる。
PS=(HP1MV1/100)+(HP2MV2/100)
+(HP3MV3/100)
=(200×15/100)+(800×15/100)
+(200×100/100)
=30+120+200=350W ・・・(19)
第1、第2の実施の形態では、昇温電力量PWiに基づいて昇温実行順序を決定しているが、これに限るものではなく、例えば燃料使用量などの昇温エネルギー量PWiに基づいて昇温実行順序を決定するようにしてもよい。すなわち、本発明は、第1、第2の実施の形態で用いる「電力」という物理量を、「エネルギー」に置き換えた形態を権利範囲に含む。
図5の制御装置は、割当瞬間総エネルギー入力部1aと、昇温開始指示部2aと、昇温エネルギー量予測部3aと、昇温実行順序決定部4aと、昇温対象選択部5aと、エネルギー制限操作部6aと、制御ループLi毎に設けられた制御部7−iとから構成される。この制御装置の構成は、第1、第2の実施の形態において「電力」を「エネルギー」に置き換えたものに相当するので、詳細な説明は省略する。
Claims (12)
- 温度干渉のある複数の制御ループを備えたマルチループ制御系の制御装置において、
各制御ループLi(i=1〜n)の制御ゾーンを昇温するときに必要とされるヒータのエネルギー使用量である昇温エネルギー量PWiを制御ループLi毎に予測する昇温エネルギー量予測手段と、
各制御ループLiの昇温エネルギー量PWiが大きい方から小さい方への順序を各制御ループLiの昇温実行順序として決定する昇温実行順序決定手段と、
最初の昇温開始のとき、あるいは昇温対象の制御ループの昇温が進むことによりこの制御ループの操作量が下降してエネルギー余裕が生じたと判断されるときに、前記昇温実行順序に従って昇温対象の制御ループを選択する昇温対象選択手段と、
各制御ループLiのヒータに供給するエネルギーの総和が所定の割当瞬間総エネルギーPT以内になり、かつ昇温対象の制御ループのヒータに優先的にエネルギーが供給されるように、各制御ループLiのヒータに供給するエネルギーの制限操作を行なうエネルギー制限操作手段と、
制御ループLi毎に設けられ、温度設定値SPiと温度PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記エネルギー制限操作手段の設定に従って制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiのヒータに出力する制御手段とを備えることを特徴とする制御装置。 - 請求項1記載の制御装置において、
前記エネルギー制限操作手段は、各制御ループLiのヒータに供給するエネルギーの制限操作を、各制御ループLiの前記制御手段の操作量上限値OHiを変更することにより行なうことを特徴とする制御装置。 - 請求項2記載の制御装置において、
前記昇温対象選択手段は、昇温対象の制御ループの温度が温度設定値に到達したときに、昇温対象の制御ループの昇温が進むことにより操作量が下降してエネルギー余裕が生じたと判断することを特徴とする制御装置。 - 温度干渉のある複数の制御ループを備えたマルチループ制御系の制御装置において、
各制御ループLi(i=1〜n)の制御ゾーンを昇温するときに必要とされるヒータの電力使用量である昇温電力量PWiを制御ループLi毎に予測する昇温電力量予測手段と、
各制御ループLiの昇温電力量PWiが大きい方から小さい方への順序を各制御ループLiの昇温実行順序として決定する昇温実行順序決定手段と、
最初の昇温開始のとき、あるいは昇温対象の制御ループの昇温が進むことによりこの制御ループの操作量が下降して電力余裕が生じたと判断されるときに、前記昇温実行順序に従って昇温対象の制御ループを選択する昇温対象選択手段と、
各制御ループLiのヒータに供給する電力の総和が所定の割当瞬間総電力PT以内になり、かつ昇温対象の制御ループのヒータに優先的に電力が供給されるように、各制御ループLiのヒータに供給する電力の制限操作を行なう電力制限操作手段と、
制御ループLi毎に設けられ、温度設定値SPiと温度PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記電力制限操作手段の設定に従って制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiのヒータに出力する制御手段とを備えることを特徴とする制御装置。 - 請求項4記載の制御装置において、
前記電力制限操作手段は、各制御ループLiのヒータに供給する電力の制限操作を、各制御ループLiの前記制御手段の操作量上限値OHiを変更することにより行なうことを特徴とする制御装置。 - 請求項5記載の制御装置において、
前記昇温対象選択手段は、昇温対象の制御ループの温度が温度設定値に到達したときに、昇温対象の制御ループの昇温が進むことにより操作量が下降して電力余裕が生じたと判断することを特徴とする制御装置。 - 温度干渉のある複数の制御ループを備えたマルチループ制御系の制御方法において、
各制御ループLi(i=1〜n)の制御ゾーンを昇温するときに必要とされるヒータのエネルギー使用量である昇温エネルギー量PWiを制御ループLi毎に予測する昇温エネルギー量予測ステップと、
各制御ループLiの昇温エネルギー量PWiが大きい方から小さい方への順序を各制御ループLiの昇温実行順序として決定する昇温実行順序決定ステップと、
最初の昇温開始のとき、あるいは昇温対象の制御ループの昇温が進むことによりこの制御ループの操作量が下降してエネルギー余裕が生じたと判断されるときに、前記昇温実行順序に従って昇温対象の制御ループを選択する昇温対象選択ステップと、
各制御ループLiのヒータに供給するエネルギーの総和が所定の割当瞬間総エネルギーPT以内になり、かつ昇温対象の制御ループのヒータに優先的にエネルギーが供給されるように、各制御ループLiのヒータに供給するエネルギーの制限操作を行なうエネルギー制限操作ステップと、
温度設定値SPiと温度PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記エネルギー制限操作ステップの設定に従って制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiのヒータに出力する制御ステップとを備えることを特徴とする制御方法。 - 請求項7記載の制御方法において、
前記エネルギー制限操作ステップは、各制御ループLiのヒータに供給するエネルギーの制限操作を、制御ループLi毎の前記制御ステップの操作量上限値OHiを変更することにより行なうことを特徴とする制御方法。 - 請求項8記載の制御方法において、
前記昇温対象選択ステップは、昇温対象の制御ループの温度が温度設定値に到達したときに、昇温対象の制御ループの昇温が進むことにより操作量が下降してエネルギー余裕が生じたと判断することを特徴とする制御方法。 - 温度干渉のある複数の制御ループを備えたマルチループ制御系の制御方法において、
各制御ループLi(i=1〜n)の制御ゾーンを昇温するときに必要とされるヒータの電力使用量である昇温電力量PWiを制御ループLi毎に予測する昇温電力量予測ステップと、
各制御ループLiの昇温電力量PWiが大きい方から小さい方への順序を各制御ループLiの昇温実行順序として決定する昇温実行順序決定ステップと、
最初の昇温開始のとき、あるいは昇温対象の制御ループの昇温が進むことによりこの制御ループの操作量が下降して電力余裕が生じたと判断されるときに、前記昇温実行順序に従って昇温対象の制御ループを選択する昇温対象選択ステップと、
各制御ループLiのヒータに供給する電力の総和が所定の割当瞬間総電力PT以内になり、かつ昇温対象の制御ループのヒータに優先的に電力が供給されるように、各制御ループLiのヒータに供給する電力の制限操作を行なう電力制限操作ステップと、
温度設定値SPiと温度PViを入力として制御演算により操作量MViを算出し、操作量MViを前記電力制限操作ステップの設定に従って制限する上限処理を実行して、上限処理後の操作量MViを対応する制御ループLiのヒータに出力する制御ステップとを備えることを特徴とする制御方法。 - 請求項10記載の制御方法において、
前記電力制限操作ステップは、各制御ループLiのヒータに供給する電力の制限操作を、制御ループLi毎の前記制御ステップの操作量上限値OHiを変更することにより行なうことを特徴とする制御方法。 - 請求項11記載の制御方法において、
前記昇温対象選択ステップは、昇温対象の制御ループの温度が温度設定値に到達したときに、昇温対象の制御ループの昇温が進むことにより操作量が下降して電力余裕が生じたと判断することを特徴とする制御方法。
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