JP5271726B2 - 停止時間の推定装置、及び推定方法 - Google Patents

停止時間の推定装置、及び推定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5271726B2
JP5271726B2 JP2009010937A JP2009010937A JP5271726B2 JP 5271726 B2 JP5271726 B2 JP 5271726B2 JP 2009010937 A JP2009010937 A JP 2009010937A JP 2009010937 A JP2009010937 A JP 2009010937A JP 5271726 B2 JP5271726 B2 JP 5271726B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
time
heater
set value
temperature control
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009010937A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010170254A (ja
Inventor
亨 高木
雅人 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Azbil Corp
Original Assignee
Azbil Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Azbil Corp filed Critical Azbil Corp
Priority to JP2009010937A priority Critical patent/JP5271726B2/ja
Publication of JP2010170254A publication Critical patent/JP2010170254A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5271726B2 publication Critical patent/JP5271726B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P80/00Climate change mitigation technologies for sector-wide applications
    • Y02P80/10Efficient use of energy, e.g. using compressed air or pressurized fluid as energy carrier

Landscapes

  • Control Of Resistance Heating (AREA)
  • Feedback Control In General (AREA)
  • Control Of Temperature (AREA)

Description

本発明は、推定装置、及び推定方法に関し、特に詳しくは、温度制御対象に設けられたヒータの停止時間を推定する推定装置、及び推定方法に関するものである。
工業炉などの温度を制御する調節計として、温調計などが利用されている。通常の温調計は、温度センサでの計測値に基づいて、PID制御を行う。そして、このような工業炉は、所定のプロセス温度(設定温度)まで加熱される。
ところで上記工業炉などの産業用の製造装置では、段取り変えなどの際に装置の加熱や冷却を一旦停止して、その後、製造プロセスを再稼動する際に予め加熱や冷却による温度の制御を再起動することがある。このような製造装置では、加熱や冷却による温度の制御の起動時点(再起動時点)を最適化したいというニーズ(最適起動)がある。すなわち、ヒータにより加熱処理を行なう工業炉であれば、ある一定のインターバル時間だけ製造装置を停止させた後に製造プロセスを再稼動させる場合、その間のできるだけ長時間においてヒータを停止させておくことにより、エネルギーのロスを低減することができる。ただし、製造プロセスを再稼動する時点には、製造装置は製造プロセスを行なうための設定温度に戻っている必要がある。従って、適度に長時間においてヒータを停止して、適度に早めにヒータを再起動するというのが、起動時点(再起動時点)の最適化という意味になる。言い換えれば、ヒータによる温度制御の停止時間を最適な長さにして、効率よく温度制御するという意味でもある。
例えば、特許文献1では、空調設備において、空調の起動時点を自動調整する方法が開示されている。この方法によれば、朝の外気温や室温を計測し、オフィスなどの稼動時刻に適正な室温に立ち上がるように、空調の起動時点が自動調整される。
特開2004−85141号公報
しかしながら、製造装置の場合、外気温などの計測情報を取り込んでいない。また、仮に外気温を情報として取り込んだ場合であっても、むしろ装置全体の熱容量や熱の保持状態の影響が大きいため、特許文献1で開示されている手法では、最適な起動を行なうことが困難である。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、温度制御対象の温度制御を一旦停止させる場合において、効率よく温度制御するための停止時間を推定する推定装置、及び推定方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様にかかる推定装置は、ヒータが設けられた温度制御対象を所望の再稼動時点において設定温度で稼動させるために、前記ヒータを停止させることが可能な停止時間を推定する推定装置であって、前記温度制御対象の降温変化率を入力する降温変化率入力部と、前記ヒータが停止する時点の停止時点から前記再稼動時点までのインターバル時間を入力するインターバル時間入力部と、前記停止時点における温度設定値あるいは温度計測値と、再稼動時点における温度設定値との設定値差を入力する設定値差入力部と、前記降温変化率と前記インターバル時間と前記設定値差とに基づいて、前記停止時間を推定する停止時間推定値算出部と、を備えたものである。これにより、適切な停止時間を推定することができるため、効率よく温度制御することができる。
本発明の第2の態様にかかる推定装置は、上記の推定装置であって、降温変化率をdPD、前記インターバル時間をTw、前記設定値差をdSP、ヒータの操作量の上限値をOH、ヒータの操作量の下限値をOL、αを任意の定数とした場合において、前記停止時間の推定値Tsが次の式で求められることを特徴とするものである。
Ts=Tw−[100/{(OH−OL)α}](dPD・Tw+dSP)
これにより、停止時間の推定値を精度よく推定することができる。
本発明の第3の態様にかかる推定装置は、上記の推定装置であって、前記温度制御対象の温度を制御する温度制御機器でオートチューニングしたときの最大昇温変化率をATU、前記温度制御機器でオートチューニングしたときの最大降温変化率をATDとした場合に、前記任意の定数αを(ATU+ATD)に基づいて設定していることを特徴とするものである。これにより、簡便に停止時間の推定値を推定することができる。
本発明の第4の態様にかかる推定方法は、温度制御対象に設けられたヒータを一旦停止させた後、前記温度制御対象を設定温度で所定の再稼動時点において稼動させるように、温度制御機器を用いて前記温度制御対象の温度を制御するための停止時間を推定する推定方法であって、前記ヒータが停止する時点の停止時点から前記温度制御対象を設定温度で稼動させる再稼動時点までのインターバル時間を入力するステップと、前記停止時点における温度設定値あるいは温度計測値と、再稼動時点における温度設定値との設定値差を入力するステップと、前記ヒータを停止した時の前記温度制御対象の降温変化率を入力するステップと、前記降温変化率と前記インターバル時間と前記設定値差とに基づいて、前記停止時間を推定するステップと、を備えるものである。これにより、適切な停止時間を推定することができるため、効率よく温度制御することができる。
本発明の第5の態様にかかる推定方法は、上記の推定方法であって、降温変化率をdPD、前記インターバル時間をTw、前記設定値差をdSP、ヒータの操作量の上限値をOH、ヒータの操作量の下限値をOL、αを任意の定数とした場合において、前記停止時間の推定値Tsが次の式で求められることを特徴とするものである。
Ts=Tw−[100/{(OH−OL)α}](dPD・Tw+dSP)
これにより、停止時間の推定値を精度よく推定することができる。
本発明の第6の態様にかかる推定方法は、上記の推定方法であって、前記温度制御機器によってオートチューニングしたときの最大昇温変化率をATU、前記温度制御機器によってオートチューニングしたときの最大降温変化率をATDとした場合に、前記任意の定数αを(ATU+ATD)に基づいて設定していることを特徴とするものである。これにより、簡便に停止時間の推定値を推定することができる。
本発明によれば、温度制御対象の温度制御を一旦停止させる場合において、効率よく温度制御するための停止時間を推定する推定装置、及び推定方法を提供することができる。
本実施の形態にかかる温調計の計装事例を示す図である。 本実施の形態にかかる推定装置の構成を示すブロック図である。 オートチューニング中における温度PVの測定結果を示すグラフである。 オートチューニング中における温度PVの測定結果を示すグラフである。 ヒータを一旦停止したときの、実際の温度制御結果の一例を示すグラフである。 ヒータを一旦停止したときの、実際の温度制御結果の一例を示すグラフである。 ヒータを一旦停止したときの、実際の温度制御結果の一例を示すグラフである。 ヒータを一旦停止したときの、実際の温度制御結果の一例を示すグラフである。 ヒータを一旦停止したときの、実際の温度制御結果の一例を示すグラフである。
(技術思想/着眼点1)
工業炉などの産業用の製造装置では、例えばゾーン制御という複数の制御ループが隣接して温度制御されるものがある。上記のような装置も含め、装置全体の熱容量や熱の保持状態の影響が重要になる。例えば工業炉の段取り変えの場合は、直前にヒータをオフにして降温させる。この降温状態も装置全体の熱容量や熱の保持状態の影響を受けるので、この降温特性を参考にすれば、制御を再起動する時点を、概ね線形系として自動調整できることに着眼した。
降温が通常よりも遅くなっている場合は、装置としては熱を多く保持している状態であり、ヒータ出力も低くなっているので、昇温に使えるヒータパワーに余裕がある。すなわち、通常よりも昇温が速くなる。概ね線形系であれば、降温速度で状態を推定できる。
降温が通常よりも速くなっている場合は、装置としては熱をあまり保持していない状態であり、ヒータ出力も高くなっているので、昇温に使えるヒータパワーに余裕がない。すなわち、通常よりも昇温が遅くなる。概ね線形系であれば、降温速度で状態を推定できる。
(技術思想/着眼点2)
昇温と降温のバランスは、装置個々あるいは制御ループ個々に異なる。
オートチューニングの波形(上がり下がり)を情報として利用すれば、個々のバランスを見積もることが可能になることに着眼した。
(発明の実施の形態)
以下に、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施の形態にかかる温調計の計装事例を示す図である。
温調計1は、制御対象である加熱処理炉6内の温度を制御する。加熱処理炉6内には、温度を測定するための温度センサ5と、加熱を行なうためのヒータ4とが設けられている。温度センサ5からの計測値PVが温調計1に入力されている。温調計1は、この計測値PVに基づいて、フィードバック制御を行なう。すなわち、温調計1は、予め設定されている温度設定値SPに計測値PVを近づけるように制御を行なう。
具体的には、温調計1がPID制御を行なう。従って、温調計1は、予め設定されているPIDパラメータの値に応じて電力調整器2を制御する。すなわち、温調計1は操作量MVを電力調整器2に出力する。すると、電力調整器2が電力供給回路3からヒータ4に供給される電力を調整する。すなわち、操作量MVに応じた電力が電力供給回路3からヒータ4に供給される。従って、操作量MVに応じた制御出力で、電力供給回路3がヒータ4に電力を供給する。これにより、加熱処理炉6が加熱され、温度センサ5の計測値PVが温度設定値SPになるように制御される。
さらに、温調計1には、停止時間を推定するための推定装置20が接続されている。推定装置20は、PCなどの演算処理装置であり、CPUやメモリ等を有している。そして、推定装置20は、所定のプログラムに従って、ヒータの停止時間を推定する。通常、ヒータの停止時間は、再稼動するまでの時間よりも短くなる。
加熱処理炉6を一定のインターバル時間だけ停止させた後、再稼動する場合を考える。この場合、消費電力の観点から、ヒータ4をできるだけ長時間、停止させておくことが好ましい。しかしながら、再稼動する時には、設定温度になっていなくてはいけない。再稼動する時点において設定温度になっていない場合、加熱処理炉6を速やかに利用することができなくなってしまう。従って、再稼動する時点において所望の設定温度になるよう、適度に長時間においてヒータを停止して、適度に早めにヒータを再起動する。
このため、推定装置20は、加熱処理炉6を再稼動するまでの間に、ヒータ4を停止することができる最大時間を、停止時間として推定する。例えば、加熱処理炉6をダウンするタイミングで、ヒータ4を停止させる。そして、推定された停止時間経過後、ヒータを再起動する。すなわち、加熱による温度の制御を 再起動するわけであり、温調計1で温度制御する。これにより、製造プロセスを再稼動する時点には、加熱処理炉6が所定の設定温度になる。よって、加熱処理炉6を効率よく動作させることができる。また、ヒータを長時間停止させることができるため、エネルギー効率を向上することができる。
次に、図2を用いて、推定装置20の構成について説明する。図2は、推定装置20の構成を示すブロック図である。なお、推定装置20は、温調計1と物理的に同じ装置であってもよい。推定装置20は、インターバル時間入力部21と、降温変化率入力部22と、設定値差入力部23と、停止時間推定値算出部24と、停止時間推定値出力部25と、を有している。
インターバル時間入力部21は、インターバル時間を入力する。例えば、加熱処理炉6による製造プロセスを再稼動する再稼動時点の時刻と、加熱処理炉6を一旦停止する時点の時刻に基づいて、インターバル時間Twが決まるので、オペレータ(ユーザ)が、キーボードやマウスを操作することで、そのインターバル時間Twを入力する。すなわち、加熱処理炉6を再稼動する時刻(再稼動時点)と、加熱処理炉6を一旦停止する時点の時刻との差が、インターバル時間Twとなる。例えば、加熱処理炉6を一旦停止する時点の時刻が2:00で、再稼動する時刻が3:00の場合、インターバル時間Twは、60分(3600秒)となる。このように、インターバル時間入力部21は、加熱処理炉6を一旦停止する時点の時刻と、製造プロセスを再稼動する時点の時刻とに基づいて、インターバル時間Twを算出する。そして、インターバル時間入力部21は、このインターバル時間を停止時間推定値算出部24に入力する。なお、インターバル時間は、何分後あるいは何秒後というように、再稼動するまでの時間を直接入力してもよいし、一旦停止する時点の時刻と再稼動する時点の時刻を入力してもよい。
降温変化率入力部22は、加熱処理炉6の降温特性に基づいて、降温変化率を入力する。例えば、温度センサ5を用いて、停止時点から一定の時間における加熱処理炉の温度変化を測定する。具体的には、停止時点から100秒の間に、温度センサの測定値が200℃から195℃になった場合、降温変化率dPD=(200℃―195℃)/100sec.=0.05(℃/sec.)となる。このように、降温変化率入力部22は、温度センサ5の測定値に基づいて、降温変化率dPDを算出する。そして、降温変化率入力部22は、降温変化率dPDを停止時間推定値算出部24に入力する。
設定値差入力部23は、設定値差を入力する。すなわち、停止時点の温度設定値と再稼動時の温度設定値の差を算出する。例えば、停止時点の温度設定値SP1が180℃であり、再稼動時の温度設定値SP2が200℃の場合、設定値差dSP(=SP2−SP1)は20℃となる。このようにすることで、異なる温度で再稼動する場合でも、再稼動時には、加熱処理炉6が設定温度になっている。よって、効率よく運転することができる。また、製造装置である加熱処理炉6の生産性を向上することができる。なお、停止時点の温度設定値は、温度センサで実測した温度で代用することも可能である。
停止時間推定値算出部24は、インターバル時間Twと、降温変化率dPDと、設定値差dSPとを用いて、停止時間推定値Tsを算出する。すなわち、停止時間推定値算出部24は、インターバル時間Tw、降温変化率dPD、及び設定値差dSPに基づいて停止時間推定値Tsを算出する。このように、加熱処理炉6の外部や内部の環境の違いに応じて温度特性が異なる場合でも、実測した降温変化率dPDを用いて、停止時間を精度よく推定することができる。
停止時間推定値算出部24で算出された停止時間推定値Tsは、停止時間推定値出力部25によって、温調計1に出力される。そして、温調計1は、停止時間経過後に、ヒータによる加熱の温度制御を開始する。なお、停止時間推定値出力部25が表示画面等に、停止時間推定値Tsを出力してもよい。この場合、オペレータがその停止時間推定値Tsを確認できる。そして、停止時間経過後に、オペレータが温調計1による温度制御を手動で開始してもよい。このようにすることで、加熱処理炉6を効率よく動作させることができる。
オペレータなどが、加熱処理炉6の温度制御を一旦停止させた後、再稼動させようとする場合について考える。この場合、オペレータが、まず、ヒータ4を停止させるとともに、オペレータが、再稼動する時刻を入力する。再稼動する時刻に基づいて、インターバル時間Twが設定される。さらに、オペレータが再稼動時の温度設定値を入力する。これにより、設定値差dSPが入力される。すなわち、再稼動時の温度設定値と、停止時点での温度設定値とに基づいて、設定値差dSPが算出される。さらに、ヒータ停止後の一定時間において、温度センサ5で温度を測定する。そして、停止時点から一定時間経過後の温度差に基づいて、降温変化率dPDを算出する。これらの値に基づいて、推定装置20が停止時間推定値Tsを算出する。これにより、ほぼ最適な停止時間を推定することができる。
以下に、停止時間推定値Tsの具体的な算出方法、及びその原理について説明する。ここでは、温度制御を停止して降温が開始し、温度制御を再起動して昇温が開始し、再稼動時点までのインターバル時間が経過したときに、所望の温度設定値(設定温度)に温度が戻るように、再起動までの停止時間を推定する理論を、以下に説明する。概ね線形系であることが、前提になる。
まず、オートチューニング(AT)の波形に基づき、基準になる昇温速度と降温速度を求める。例えば、温調計1のAT機能によりリミットサイクルの波形が発生する間において、昇温速度と降温速度を求めることができる。
操作量MVが0−100%でのAT時の最大昇温変化率をATUとし、操作量MVが0−100%でのAT時の最大降温変化率をATDとする。すなわち、ここではAT実行時のヒータ4に対する制御出力は、0%〜100%の範囲と仮定している。なお、実際の制御においては、操作量MVの下限値をOLとし、上限値をOHとして任意の数値を設定する。つまり、操作量MVの範囲はOL〜OHの間である。ここでは、OH=100%であり、OL=0%であるように数値を設定していることに相当する。
次に、温度制御の停止に伴う降温、および制御の再起動に伴う昇温における特性を、以下のように与える。
観測され得る昇温変化率 dPU
観測され得る降温変化率 dPD
この特性は、加熱処理炉6の特性であり、また、周囲や内部の環境等によっても変化する。
PID制御の停止により操作量MVの下限値OLが出力され、PID制御の作用により操作量MVの上限値OHが昇温時に出力されるものとすると、昇温に利用される操作量MV上げ幅推定値dMU及び降温に利用される操作量MV下げ幅推定値dMDに対しては、概ね以下の関係が成り立つ。
dMU=100dPU/(ATU+ATD)
dMD=100dPD/(ATU+ATD)
温度センサ5の温度が一定となっている平衡状態において、操作量MVが一定値(平衡点)になっているとする。このとき、OHと平衡点の差が、昇温に利用される操作量MV上げ幅推定値dMUとなる。また、平衡点とOLの差が、降温に利用される操作量MV下げ幅推定値dMDになることになる。操作量MVの平衡点からの上げ幅と下げ幅という意味があるので、以下の関係式が成り立つ。
OH−OL=dMU+dMD
={100dPU/(ATU+ATD)}+{100dPD/(ATU+ATD)}
上記の式から、次の式が得られる。
dPU={(OH−OL)(ATU+ATD)/100}−dPD
ここで、加熱処理炉6の再稼動に関するパラメータを以下のように与える。
再稼動時点までのインターバル時間 Tw
ヒータの再起動までの停止時間推定値 Ts
停止時点の温度設定値SP1と再稼動時の温度設定値SP2の設定値差 dSP(=SP2−SP1)
昇温変化率と昇温時間の積と、降温変化率と降温時間の積との差が、設定値差dSPになるので、概ね以下の関係が成り立つ。
dPU(Tw−Ts)−dPD・Ts=dSP
ここで、dPUは前述の式のようになるので、以下のように置き換えられる。
[{(OH―OL)・(ATU+ATD)/100}−dPD](Tw−Ts)
−dPD・Ts
=dSP
従って、次の式で、停止時間推定値Tsを求めることができる。
Ts=Tw−[100/{(OH−OL)・(ATU+ATD)}](dPD・Tw+dSP)
なお、上記の説明では、ATの波形からATU+ATDを求めたが、これを推定精度調整用のパラメータαとして実装し、オペレータが微調整するのが実用上は好適である。概ね線形系として理論式を求めたわけであるが、実際の装置ではヒータ特性が線形特性ではないので、少なくとも理論からの乖離分をオンラインで調整する機能が必要になる。
この場合、停止時間推定値Tsは次の式になる。
Ts=Tw−[100/{(OH−OL)・α}](dPD・Tw+dSP)
なお、αは任意の定数である。温調計1でのATによる最大降温変化率ATDと最大昇温変化率ATUの和に基づいて、αを設定することも可能という意味である。これにより、簡便に正確な推定を行なうことができる。
以下に、具体的なアプリケーションについて説明する。図3乃至図9は、実際の温度制御における測定結果を示すグラフである。図3乃至図9において、横軸が時間、縦軸が操作量又は測定した温度を示している。左側に温度のメモリ(℃)が示され、右側に操作量のメモリ(%)が示されている。さらに、図3乃至図9では、温度設定値が「設定値」として示されている。
図3は、リミットサイクル方式のAT中における温度計測値PVの波形の一例である。ATのための上限値OHは100%であり、下限値OLは0%に設定されている。加熱処理炉6全体の熱保有状態(いわゆる温まり具合)の影響があまりないため、AT中の平均の操作量MVが約50%になっている。このとき、最大昇温変化率ATUは0.0753℃/sec.であり、最大降温変化率ATDは0.0777℃/sec.である。
図4は、リミットサイクル方式のAT中における温度計測値PVの波形の他の例である。ATのための上限値OHは100%であり、下限値OLは0%に設定されている。加熱処理炉6全体の熱保有状態(いわゆる温まり具合)の影響が出ているため、AT中の平均の操作量MVが約38%になっている。このとき、最大昇温変化率ATUは0.0847℃/sec.であり、最大降温変化率ATDは0.0692℃/sec.である。図3、図4に示すように、AT中は、操作量100%と0%とが所定の周期で繰り返されることになり、これに伴い降温と昇温を繰り返す。
これらの測定結果より、ATU+ATDの数値は0.153とする。すなわち、α=0.153とする。このように、AT機能を用いることで、昇降温特性を測定することができる。すなわち、AT中の昇温性能と降温性能から、αを算出する。なお、温度制御対象が同じであれば、ATU+ATDはほぼ一定の値になる。また、本アプリケーションにおいては、PID制御を実行中の操作量MVのレンジは0−100%とする。以上より、下記の推定式が得られる。
Ts=Tw−(dPD・Tw+dSP)/0.153
なお、実用上は100秒経過時点での温度下降量で降温変化率(単位時間の温度下降量)を決定するものとして、推定式の入出力を以下のように実装する。
入力1:100秒経過時点での温度下降量 dPD'(dPD=0.01・dPD')
入力2:再稼動時点までのインターバル時間 Tw
入力3:停止時点の温度設定値SP1と再稼動時の温度設定値SP2の設定値差 dSP
出力:ヒータの再起動までの停止時間推定値 Ts
入力1の温度下降量dPD'に基づいて、降温変化率dPDが算出される。ここでは、時間に比例して降温するものとして温度下降量dPD'から降温変化率dPDが算出される。
図5は、dPD'=5.95℃/100sec.、Tw=400sec.、dSP=5℃で、Ts=212sec.となる実際の制御結果である。ほぼ400秒で再稼動できる状態になっている。すなわち、ヒータ4を、212秒間オフすることで、400秒後には、所定の温度設定値SP2に昇温している。
図6は、dPD'=5.95℃/100sec.、Tw=600sec.、dSP=5℃で、Ts=334sec.となる実際の制御結果である。ほぼ600秒で再稼動できる状態になっている。すなわち、ヒータ4を、334秒間オフすることで、600秒後には、所定の温度設定値SP2に昇温している。
図7は、dPD'=4.85℃/100sec.、Tw=700sec.、dSP=0℃で、Ts=487sec.となる実際の制御結果である。ほぼ700秒で再稼動できる状態になっている。すなわち、ヒータ4を487秒間オフすることで、700秒後には、所定の温度設定値SP2に昇温している。
図8は、dPD'=6.32℃/100sec.、Tw=700sec.、dSP=0℃で、Ts=411sec.となる実際の制御結果である。ほぼ700秒で再稼動できる状態になっている。すなわち、ヒータ4を、411秒間オフすることで、700秒後には、所定の温度設定値SP2に昇温している。
図9は、dPD'=7.92℃/100sec.、Tw=700sec.、dSP=0℃で、Ts=337sec.となる実際の制御結果である。ほぼ700秒で再稼動できる状態になっている。すなわち、ヒータ4を、337秒間オフすることで、700秒後には、所定の温度設定値SP2に昇温している。
なお、図5乃至図9では、200秒の時点でヒータが停止している。すなわち、ヒータの停止時間が200秒の時点から始まっている。従って、図に示すように、200秒の時点から操作量が0%になっている。この後、停止時間推定値Tsが経過するまでの間、操作量が0%なので、温度が下降していく。このときの降温変化率が測定される。そして、200秒の時点から停止時間推定値Ts経過した段階で、温調計1による温度制御が開始する。例えば、図5の例では、停止時間推定値Ts=212秒なので412秒の時点でヒータ4が起動する。すなわち、412秒の時点でヒータ4の操作量MVが100%になって、昇温が開始している。そして、インターバル時間Tw=400sec.なので、約600秒の時点で、温度の計測値PVが温度設定値SP2に昇温している。そして、600秒の後からは、温度設定値SP2と計測値PVが一致している。すなわち、所望の時間に加熱処理炉6を再稼動することができる。
このように、上記の計算処理によって、正確に停止時間推定値Tsを推定することができる。そして、停止時間推定値Tsに対応する時間だけ、ヒータ4を停止させた後、温調計1による温度制御を行なう。これにより、効率よく、温度制御対象を運転することができる。すなわち、温度制御対象に対して、上記の推定処理を適用すれば、エネルギー効率を向上することができる。また、上記の推定方法は、加熱処理を行なう製造装置への応用に好適である。このようにすることで、温度制御対象の温度制御を一旦停止させる場合において、効率よく温度を制御することができる。
1 温調計
2 電力調整器
3 電力供給回路
4 ヒータ
5 温度センサ
6 加熱処理炉
20 推定装置
21 インターバル時間入力部
22 降温変化率入力部
23 設定値差入力部
24 停止時間推定値算出部
25 停止時間推定値出力部

Claims (4)

  1. ヒータが設けられた温度制御対象を所望の再稼動時点において設定温度で稼動させるために、前記ヒータを停止させることが可能な停止時間を推定する推定装置であって、
    前記温度制御対象の降温変化率を入力する降温変化率入力部と、
    前記ヒータが停止する時点の停止時点から前記再稼動時点までのインターバル時間を入力するインターバル時間入力部と、
    前記停止時点における温度設定値あるいは温度計測値と、再稼動時点における温度設定値との設定値差を入力する設定値差入力部と、
    前記降温変化率と前記インターバル時間と前記設定値差とに基づいて、前記停止時間を推定する停止時間推定値算出部と、を備え、
    前記降温変化率をdPD、前記インターバル時間をTw、前記設定値差をdSP、ヒータの操作量の上限値をOH、ヒータの操作量の下限値をOL、αを最大昇温変化率と最大降温変化率の和に相当する定数とした場合において、前記停止時間の推定値Tsが以下の(1)式で求められることを特徴とする推定装置。
    Ts=Tw−[100/{(OH−OL)α}](dPD・Tw+dSP) ・・・(1)
  2. 前記温度制御対象の温度を制御する温度制御機器でオートチューニングしたときの最大昇温変化率をATU、前記温度制御機器でオートチューニングしたとき の最大降温変化率をATDとした場合に、前記定数αを(ATU+ATD)に設定していることを特徴とする請求項1に記載の推定装置。
  3. 温度制御対象に設けられたヒータを一旦停止させた後、前記温度制御対象を設定温度で所定の再稼動時点において稼動させるように、温度制御機器を用いて前記温度制御対象の温度を制御するための停止時間を推定する推定方法であって、
    前記ヒータが停止する時点の停止時点から前記温度制御対象を設定温度で稼動させる再稼動時点までのインターバル時間を入力するステップと、
    前記停止時点における温度設定値あるいは温度計測値と、再稼動時点における温度設定値との設定値差を入力するステップと、
    前記ヒータを停止した時の前記温度制御対象の降温変化率を入力するステップと、
    前記降温変化率と前記インターバル時間と前記設定値差とに基づいて、前記停止時間を推定するステップと、を備え、
    前記降温変化率をdPD、前記インターバル時間をTw、前記設定値差をdSP、ヒータの操作量の上限値をOH、ヒータの操作量の下限値をOL、αを最大昇音変化率と最大降温変化率の和に相当する定数とした場合において、前記停止時間の推定値Tsが以下の(2)式で求められることを特徴とする推定方法。
    Ts=Tw−[100/{(OH−OL)α}](dPD・Tw+dSP) ・・・(2)
  4. 前記温度制御対象の温度を制御する温度制御機器によってオートチューニングしたときの最大昇温変化率をATU、前記温度制御機器によってオートチューニ ングしたときの最大降温変化率をATDとした場合に、前記定数αを(ATU+ATD)に設定していることを特徴とする請求項3に記載の推定方法。
JP2009010937A 2009-01-21 2009-01-21 停止時間の推定装置、及び推定方法 Expired - Fee Related JP5271726B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009010937A JP5271726B2 (ja) 2009-01-21 2009-01-21 停止時間の推定装置、及び推定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009010937A JP5271726B2 (ja) 2009-01-21 2009-01-21 停止時間の推定装置、及び推定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010170254A JP2010170254A (ja) 2010-08-05
JP5271726B2 true JP5271726B2 (ja) 2013-08-21

Family

ID=42702365

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009010937A Expired - Fee Related JP5271726B2 (ja) 2009-01-21 2009-01-21 停止時間の推定装置、及び推定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5271726B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5405907B2 (ja) * 2009-06-04 2014-02-05 アズビル株式会社 起動装置および起動方法
CN112445249B (zh) * 2019-09-03 2022-02-11 惠州拓邦电气技术有限公司 一种高精度温控方法、装置、存储介质和电子设备

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2818604B2 (ja) * 1989-11-17 1998-10-30 東芝機械株式会社 射出成形機の温度制御方法
JP3414339B2 (ja) * 1999-11-18 2003-06-09 日本電気株式会社 画像記録装置、画像記録システム及びそのプログラムを記憶した記憶媒体
JP4181362B2 (ja) * 2002-08-28 2008-11-12 株式会社山武 空調システムの最適起動制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010170254A (ja) 2010-08-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6531605B2 (ja) 温度制御装置およびオートチューニング方法
JP2012048533A (ja) エネルギー総和抑制制御装置、電力総和抑制制御装置および方法
JP6859725B2 (ja) Pid制御装置、pid制御方法、およびpid制御プログラム
JP5271726B2 (ja) 停止時間の推定装置、及び推定方法
JPWO2016042589A1 (ja) 制御装置
JP2006260047A (ja) 時間比例制御装置
JP5405907B2 (ja) 起動装置および起動方法
JP5756720B2 (ja) エネルギー総和抑制制御装置、電力総和抑制制御装置および方法
JP5810674B2 (ja) 制御装置、加熱装置制御システム、制御方法、プログラムおよび記録媒体
JP6221649B2 (ja) 温調可能な分析装置
JP5627102B2 (ja) 電力使用量予測装置および電力使用量予測方法
JP4468868B2 (ja) 電力使用量予測装置および電力使用量予測方法
JP6751244B2 (ja) オートチューニング装置
JP5891060B2 (ja) 電力推定装置、制御装置および方法
JP5829073B2 (ja) 制御装置および方法
JP2013231523A (ja) 空調制御装置および方法
JP5478446B2 (ja) 省エネルギー余裕算出装置、省エネルギー総余裕算出装置および方法
JP7050616B2 (ja) 制御装置および制御方法
JP7147124B2 (ja) 温度調節計及び温度調節方法
JP7050615B2 (ja) 制御装置および制御方法
JP2004257652A (ja) 空気調和機の制御装置
JP7050614B2 (ja) 制御装置および制御方法
JP5945190B2 (ja) 制御装置および制御方法
JP2010152479A (ja) 制御装置および制御方法
TW201537034A (zh) 風扇轉速控制系統、方法及控制風扇轉速的伺服器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111107

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120919

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120925

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121016

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130507

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130513

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5271726

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees