JP5484859B2 - 温度制御装置および温度制御方法 - Google Patents

温度制御装置および温度制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、制御対象の温度を制御する温度制御装置および温度制御方法に係り、特にヒータの定格に合わせてPID演算部の操作量上限値あるいは積分上限値を設定する技術に関するものである。
温調計などの汎用の温度制御装置は、加熱系を制御対象とする場合に、発熱機器として電気ヒータ(抵抗ヒータ)を使用し、制御指令値に応じて電気ヒータに電力を供給する電力調整器としてサイリスタを使用することが多い。電気ヒータやサイリスタを組合せる場合も含め、多くの場合に、温度制御装置から出力される制御指令値(操作量MV)と温度変化量との関係は、いわゆる線形特性にはなり難く、極端な場合には線形制御理論による制御に支障を与えるほどの強非線形系になることもある。そのような場合、操作量MVを曲線補正や折線補正することにより、擬似的に非線形性を緩和するような機能が実用化されている(特許文献1参照)。
特開平11−211191号公報
非線形性は、多かれ少なかれやむを得ない物理特性であるが、装置設計上の問題として、電力調整器とヒータの定格範囲が合ってない場合も発生する。
理解を容易にするために、電力調整器とヒータの特性を、完全な線形領域(定格領域)と飽和領域に分かれるものとする。図4は電力調整器とヒータの定格が合っている場合の電力調整器とヒータの入出力特性を示す図である。図4において、実線で示すIO1は電力調整器の入出力特性、破線で示すIO2はヒータの入出力特性である。なお、横軸、縦軸共に電力[W]で表しているが、電力調整器の実際の入力は温度制御装置から入力される操作量MVである。
図4において、0〜400Wまでの線形領域がヒータの事実上の定格範囲に相当する。電力調整器が400Wまで完全な線形特性で、温度制御装置がこの特性に対応して操作量MVの上限値OHを100%として設定しているとすると、操作量MVが50%のときに200W分の加熱パワーが制御対象に供給され、操作量MVが75%のときに300W分の加熱パワーが供給され、そして操作量MVが100%のときに400W分の加熱パワーが供給されることになる。
ここで、200Wまでが定格範囲になるヒータを組合せると、電力調整器とヒータの入出力特性は図5に示すようになる。図5から明らかなように、この組合せでは、電力調整器に入力される操作量MVが50%(電力値で200W)以上の場合は全て200Wの加熱パワーしか供給されない状態が発生する。厳密には、この電力調整器とヒータの定格範囲の不整合は装置設計上のミスとも言える。しかしながら、例えば図6に示す熱処理プロセス装置においては、ヒータ101−1〜101−4が多数利用されている。したがって、このような熱処理プロセス装置においては、必要なヒータ出力は各々異なるのが実状であり、電力調整器との組合せをきっちりと設計することは、設計上の手間になる。
そのため、装置設計者は、ヒータ出力に対して余裕を持って電力調整器を選定することになる。しかし、操作量上限値OH(図4、図5の例では100%)が、実際のパワーの上限(図5の例では200W)に達する部分と一致しないので、温度制御にPID制御を用いると、いわゆる積分ワインドアップの現象が発生し、昇温時に制御対象の温度にオーバーシュートが発生しやすくなるというように、制御特性に悪影響を与えることになる。積分ワインドアップとは、温度制御装置がヒータの出力の上限を無視して必要以上に大きな操作量MVを算出したために、整定が遅れ、オーバーシュートが大きくなる現象をいう。
特許文献1に開示された技術では、例えばヒータの入出力特性の非線形性に起因する問題を解決することはできても、電力調整器とヒータの定格範囲が合っていないことに起因する積分ワインドアップの問題を解決することはできなかった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、電力調整器とヒータの定格範囲が合っていない場合であっても、積分ワインドアップの発生を回避することができる温度制御装置および温度制御方法を提供することを目的とする。
本発明の温度制御装置は、通常の制御動作時にヒータに電力を供給する電力調整器に操作量MVを出力して制御対象の温度を制御するPID演算手段と、前記電力調整器に一定振幅の操作量MVを繰り返し出力するリミットサイクルを発生させて前記PID演算手段のPIDパラメータを設定するリミットサイクル方式のオートチューニング(AT)を実行するときの複数回分の操作量上限値OH_ATを予め規定するAT操作量上限値記憶手段と、前記複数回分の操作量上限値OH_ATに応じてATを複数回実行するAT動作実行手段と、AT実行時の制御対象の温度の振幅を1回のAT毎に検出する振幅検出手段と、この振幅検出手段が前記振幅を検出したときの操作量上限値OH_ATの条件が異なる振幅同士の比率を算出する振幅比率算出手段と、この振幅比率算出手段が算出した比率と所定の閾値との関係に基づき、ヒータ出力が飽和する操作量MVの飽和推定値を決定する比率判定手段と、この比率判定手段が決定した操作量MVの飽和推定値を、前記PID演算手段が通常の制御動作時に使用する操作量上限値OHあるいは積分上限値IHとして設定する操作量上限値設定手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の温度制御装置の1構成例において、前記比率判定手段は、前記比率を算出する際に分子側の振幅に対して分母側を小さな振幅とした場合には、前記比率が前記所定の閾値よりも小さい場合に、ヒータ出力が飽和していると判定することを特徴とするものである。
また、本発明の温度制御装置の1構成例において、前記比率判定手段は、前記比率を算出する際に分子側の振幅に対して分母側を大きな振幅とした場合には、前記比率が前記所定の閾値よりも大きい場合に、ヒータ出力が飽和していると判定することを特徴とするものである。
また、本発明の温度制御装置の1構成例において、前記振幅比率算出手段は、前記振幅を検出したときの操作量上限値OH_ATの条件が隣接する振幅同士で前記比率を算出することを特徴とするものである。
また、本発明の温度制御装置の1構成例において、前記操作量上限値設定手段は、前記PID演算手段が前記積分上限値IHに基づく積分動作停止機能を備えている場合は、前記比率判定手段が決定した操作量MVの飽和推定値を前記積分上限値IHとして設定し、前記PID演算手段が積分動作停止機能を備えていない場合は、前記比率判定手段が決定した操作量MVの飽和推定値を前記操作量上限値OHとして設定することを特徴とするものである。
また、本発明の温度制御方法は、ヒータに電力を供給する電力調整器に一定振幅の操作量MVを繰り返し出力するリミットサイクルを発生させてPID演算手段のPIDパラメータを設定するリミットサイクル方式のオートチューニング(AT)を実行する際に、予め規定された複数回分の操作量上限値OH_ATに応じてATを複数回実行するAT動作実行手順と、AT実行時の制御対象の温度の振幅を1回のAT毎に検出する振幅検出手順と、この振幅検出手順で前記振幅を検出したときの操作量上限値OH_ATの条件が異なる振幅同士の比率を算出する振幅比率算出手順と、この振幅比率算出手順で算出した比率と所定の閾値との関係に基づき、ヒータ出力が飽和する操作量MVの飽和推定値を決定する比率判定手順と、この比率判定手順で決定した操作量MVの飽和推定値を、前記PID演算手段が通常の制御動作時に使用する操作量上限値OHあるいは積分上限値IHとして設定する操作量上限値設定手順とを備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、ヒータ出力が飽和する操作量MVの飽和推定値を検出することにより、ヒータの定格範囲を推定することができ、この操作量MVの飽和推定値を、PID演算手段が通常の制御動作時に使用する操作量上限値OHあるいは積分上限値IHとして設定することにより、ヒータの定格に合わせた設定を実現することができるので、電力調整器とヒータの定格範囲が合っていない場合であっても、積分ワインドアップの発生を回避することができる。また、本発明では、既存のリミットサイクル方式のオートチューニング機能を利用して、制御対象の温度の振幅を検出し、この振幅から比率を算出し、この比率に基づいてヒータ出力が飽和する操作量MVの飽和推定値を決定するようにしたので、特別な機能の追加を抑えつつ、積分ワインドアップの発生を回避することができる。
リミットサイクル方式のオートチューニングの実行中における制御対象の温度の波形の例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る温度制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る温度制御装置のオートチューニング実行時の動作を示すフローチャートである。 電力調整器とヒータの定格が合っている場合の電力調整器とヒータの入出力特性を示す図である。 電力調整器とヒータの定格が合っていない場合の電力調整器とヒータの入出力特性を示す図である。 熱処理プロセス装置の1例を示す図である。
[発明の原理]
本発明は、電力調整器とヒータの定格範囲が合っていない場合に、適正なパラメータ設定側に自動修正する温度制御装置を提供する。具体的には積分ワインドアップ対策のパラメータが修正の対象であり、このパラメータとしては例えば操作量上限値OHがある。
ただし、温度制御装置によっては、積分上限値IHと操作量上限値OHを別のパラメータとして備えるものもあり、その場合の本発明の修正の対象は、積分上限値IHとして捉える必要がある。積分上限値IHとは、操作量MVの出力値の上限値が例えば100%に設定されている場合であっても、PID演算を実行する際に、操作量MVが積分上限値IH(例えば80%)を超えたら積分動作(I動作の演算)を停止させるというように、積分動作を特殊なポイントで停止させる構成において採用されるパラメータである。
操作量上限値OH(あるいは積分上限値IH)を修正するため、AT実行時の操作量上限値OH_ATを変更してオートチューニング(AT)機能を利用することで、ヒータ温度を高く上昇させず、かつ特別な機能を多く追加することなく、ヒータ出力上限の範囲(定格範囲)を推定として絞り込めることに、発明者は着眼した。また、操作量上限値OH_ATを変更しての絞り込みなので、そのまま操作量上限値OH(あるいは積分上限値IH)の設定に反映することが可能であり、前述の実質的な積分ワインドアップ現象を低減することができる。そして、操作量上限値OH_ATを変更して複数回のAT動作(AT等価動作でよい)を自動実行し、温度PVの振幅が最大不変(予め規定した閾値以下の変化量)になる操作量上限値OH_ATの中で、最小の操作量上限値OH_ATを制御動作実行時の操作量上限値OH(あるいは積分上限値IH)として自動設定すればよいことに想到した。
[実施の形態]
次に、本発明の実施の形態について説明する。図1は、操作量振幅が一定のリミットサイクルを発生させて温度制御装置の制御パラメータを調整するリミットサイクル方式のATの実行中における制御対象の温度PV(制御量)の波形の例を示す図である。図1において、SPは温度設定値である。
AT実行時の操作量上限値OH_ATは100%であり、操作量下限値OL_ATは0%に設定されている。このとき、図1に示すように、200℃を中心に195℃から208℃の間で温度PVが上下動しているので、温度PVの振幅PHは上下動幅の半分の4.5℃として求められる。
図2は本発明の実施の形態に係る温度制御装置の構成を示すブロック図である。温度制御装置は、温度センサによって測定された温度PVを入力するPV入力部1と、通常の制御動作時に温度設定値SPと温度PVとの偏差に基づき操作量MVを算出するPID演算部2と、PID演算部2によって算出された操作量MVを電力調整器に出力するMV出力部3と、AT実行時の操作量上限値OH_ATを記憶するAT操作量上限値記憶部4と、リミットサイクル方式のATによりPIDパラメータを算出し、算出したPIDパラメータをPID演算部2に設定するAT動作実行部5と、AT実行時の温度PVの振幅を検出する振幅検出部6と、温度PVの振幅を記憶する振幅記憶部7と、検出された振幅の比率を算出する振幅比率算出部8と、振幅比率算出部8が算出した比率と所定の閾値との関係に基づき、ヒータ出力が飽和する操作量MVの飽和推定値を決定する比率判定部9と、比率判定部9が決定した操作量MVの飽和推定値を、PID演算部2が通常の制御動作時に使用する操作量上限値OHあるいは積分上限値IHとして設定する操作量上限値設定部10と、操作量上限値設定部10が設定した操作量上限値OHあるいは積分上限値IHを記憶する操作量上限値記憶部11とを備える。
本実施の形態の温度制御装置は、例えば図6に示した熱処理プロセス装置に適用される。図6の例では、ヒータ101−1〜101−4と温度センサ102−1〜102−4とが加熱処理炉100内のゾーン毎に設置されている。温度センサ102−1〜102−4は、それぞれヒータ101−1〜101−4によって加熱される空気の温度PVを測定する。温調計103−1〜103−4は、それぞれ温度センサ102−1〜102−4によって測定された温度PVが温度設定値SPと一致するように操作量MVを算出する。電力調整器104−1〜104−4は、それぞれ温調計103−1〜103−4から出力された操作量MVに応じた電力を決定し、この決定した電力をヒータ101−1〜101−4に供給する。こうして、温調計103−1〜103−4は、加熱処理炉100内の温度を制御する。本実施の形態の温度制御装置は、この温調計103−1〜103−4の内部にそれぞれ設けられるものである。なお、図6において、表示器106は、通信専用機器105を通じて温調計103−1〜103−4のデータを収集して表示するものである。
本実施の形態ではAT動作を以下のように活用する。図3は本実施の形態の温度制御装置のAT実行時の動作を示すフローチャートである。
まず、AT操作量上限値記憶部4には、AT実行時の操作量上限値OH_ATが複数とおり予め登録されている。本実施の形態の目的は積分ワインドアップ対策であり、精度の高い結果が必要なわけではないので、例えば操作量上限値がOH_AT1〜OH_AT5の5とおり予め登録されていて、OH_AT1=20%、OH_AT2=40%、OH_AT3=60%、OH_AT4=80%、OH_AT5=100%であるとする。ただし、操作量上限値OH_ATの登録方法はこれに限るものではない。例えばベースの操作量上限値OH_AT1を20%とし、この操作量上限値OH_AT1に加算量ΔOH=20%を加算していくことで、複数とおりの操作量上限値OH_ATを生成するようにしてもよい。
温度設定値SPは、オペレータによって設定され、PID演算部2とAT動作実行部5とに入力される。温度PVは、温度センサによって測定され、PV入力部1を介してPID演算部2とAT動作実行部5と振幅検出部6とに入力される。
例えばオペレータの指示によりAT機能が起動すると(図3ステップS1)、AT動作実行部5は、リミットサイクルを発生させてATを実行する(ステップS2)。つまり、AT動作実行部5は、温度PVが温度設定値SPより大きい場合、予め定められた操作量下限値OL_ATを操作量MVとして制御対象に出力し、温度PVが温度設定値SP以下の場合、AT操作量上限値記憶部4に登録された操作量上限値OH_ATを操作量MVとして制御対象に出力することを、一定の動作周期毎に繰り返し行う。こうして、図1に示したような操作量MVの振幅が一定のリミットサイクルが発生する。なお、ここでの操作量MVの出力先が電力調整器であることは言うまでもない。
そして、AT動作実行部5は、操作量MVの出力に応じた温度PVの応答に基づいてPIDパラメータを算出し、このPIDパラメータをPID演算部2に設定する(ステップS2)。なお、リミットサイクル方式のATについては、例えば特開2003−330504号公報に開示されているので、PIDパラメータの算出方法については説明を省略する。
振幅検出部6は、AT実行時の温度PVの振幅PHを検出し、この振幅PHを振幅記憶部7に記憶させる(ステップS3)。
PIDパラメータの設定後、AT動作実行部5は、AT操作量上限値記憶部4に登録された全ての操作量上限値OH_ATについてATを実行したかどうかを判定し(ステップS4)、使用していない操作量上限値OH_ATが残っている場合には、ATで使用する操作量上限値OH_ATを使用していない値に変更して(ステップS5)、ステップS2に戻り、再びATを実行する。こうして、AT操作量上限値記憶部4に登録された操作量上限値OH_ATの各々についてステップS2,S3の処理が実行される。上記の登録例では、操作量上限値がOH_AT1〜OH_AT5の5とおり登録されているので、ステップS2,S3の処理が5回実行されることになる。
以上の動作により、本実施の形態では、操作量上限値OH_AT1=20%のときに温度PVの振幅PH1=2.0℃という結果が得られ、操作量上限値OH_AT2=40%のときに温度PVの振幅PH2=4.0℃という結果が得られ、操作量上限値OH_AT3=60%のときに温度PVの振幅PH3=5.2℃という結果が得られ、操作量上限値OH_AT4=80%のときに温度PVの振幅PH4=5.4℃という結果が得られ、操作量上限値OH_AT5=100%のときに温度PVの振幅PH5=5.6℃という結果が得られたものとする。
次に、AT終了後、振幅比率算出部8は、振幅記憶部7に記憶された振幅PH同士の比率を算出する(ステップS6)。ここでは、操作量上限値OH_ATの条件が近い振幅同士で比率を算出すればよい。上記の例であれば、PH2/PH1=2.0、PH3/PH2=1.3、PH4/PH3=1.038、PH5/PH4=1.037が算出される。ただし、比率の算出方法はこれに限るものではない。例えば複数の振幅PHのうちの最大振幅を分母として、各振幅PHと最大振幅との比率を算出するようにしてもよい。
続いて、比率判定部9は、振幅比率算出部8が算出した比率と予め設定された閾値α(例えばα=1.05)とを比較することにより、ヒータ出力が飽和する(すなわち、ヒータが定格範囲外となる)操作量MVの飽和推定値を決定する(ステップS7)。ここでは、比率判定部9は、比率が閾値αよりも小さくなったときに、対応する操作量上限値OH_ATが操作量MVの飽和推定値であり、この飽和推定値以上でヒータが定格範囲外となると判定する。
上記の例であれば、PH4/PH3=1.038、PH5/PH4=1.037なので、比率判定部9は、操作量上限値OH_AT3=60%が操作量MVの飽和推定値であり、この飽和推定値以上でヒータが定格範囲外となると判定する。なお、原理的には起こり得ないことであるが、PH4/PH3が閾値αよりも小さくて、PH5/PH4が閾値αよりも大きい場合は、操作量MVがOH_AT5以下の範囲がヒータの定格範囲外にないものと判定する。
すなわち、比率判定部9は、振幅PHの比率が閾値αよりも小さい場合に、その比率の算出元となった振幅PHを検出したときの操作量上限値OH_ATのうち最小値を仮の飽和推定値とし、この仮の飽和推定値以上の操作量上限値OH_ATにおいて検出した振幅PHから算出された比率が閾値α以上になることがない場合に、仮の飽和推定値を、ヒータ出力が飽和する操作量MVの飽和推定値として確定する。
なお、振幅PHの比率の算出方法によって比率判定部9の動作は異なる。上記の例では、振幅PHの比率を算出する際に分母側を小さな振幅PHとしているが、分母側を大きな振幅PHとして算出する場合には、比率判定部9の動作は以下のようになる。この場合、比率判定部9は、振幅PHの比率が予め設定された閾値β(例えばβ=0.95)よりも大きい場合に、その比率の算出元となった振幅PHを検出したときの操作量上限値OH_ATのうち最小値を仮の飽和推定値とし、この仮の飽和推定値以上の操作量上限値OH_ATにおいて検出した振幅PHから算出された比率が閾値β以下になることがない場合に、仮の飽和推定値を、ヒータ出力が飽和する操作量MVの飽和推定値として確定する。
操作量上限値設定部10は、比率判定部9が決定した操作量MVの飽和推定値を、通常のPID制御動作時の操作量上限値OHとして操作量上限値記憶部11に設定する(ステップS8)。なお、操作量上限値設定部10は、PID演算部2が積分上限値IHに基づく積分動作停止機能を備えている場合、比率判定部9が決定した操作量MVの飽和推定値を、積分上限値IHとして操作量上限値記憶部11に設定する。上記の例のように操作量MVの飽和推定値が60%になる場合は、60%が操作量上限値OH(あるいは積分上限値IH)になる。
以上で、温度制御装置のAT実行時の動作が終了する。
なお、上記の例のようにOH_AT1=20%、OH_AT2=40%、OH_AT3=60%、OH_AT4=80%、OH_AT5=100%をAT操作量上限値記憶部4に登録している場合、操作量上限値記憶部11に設定される操作量上限値OH(あるいは積分上限値IH)は20%、40%、60%、80%、100%のいずれかになる。図5に示したように、操作量MVが50%以上において全て200Wの加熱パワーしか供給されない状態が発生する場合は、操作量上限値を50%に設定するのが適切であるが、60%に自動修正されるのであれば、100%に比べれば十分に適正なパラメータ設定側に自動修正されていることになる。
次に、温度制御装置の通常のPID制御動作について説明する。PID演算部2は、温度設定値SPとPV入力部1から入力された温度PVに基づいて周知のPID制御演算を行い、温度設定値SPと温度PVとが一致するように操作量MVを算出してMV出力部3に出力する。このとき、PID演算部2は、算出した操作量MVが操作量上限値記憶部11に設定された操作量上限値OHより大きい場合、操作量MV=OHをMV出力部3に出力する。また、PID演算部2は、積分上限値IHに基づく積分動作停止機能を備えていて、算出した操作量MVが操作量上限値記憶部11に設定された積分上限値IHを超えた場合、積分動作を停止し、PD制御演算で算出した操作量MVをMV出力部3に出力する。図6の例の場合、操作量MVはMV出力部3を介して電力調整器に出力されることは言うまでもない。
以上のように、本実施の形態では、ヒータ出力が飽和する操作量MVの飽和推定値を検出することにより、ヒータの定格範囲を推定することができ、この操作量MVの飽和推定値を、PID演算部2が通常の制御動作時に使用する操作量上限値OHあるいは積分上限値IHとして設定することにより、ヒータの定格に合わせた設定を実現することができるので、電力調整器とヒータの定格範囲が合っていない場合であっても、積分ワインドアップの発生を回避することができる。
なお、本実施の形態で説明した温度制御装置は、CPU、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って本実施の形態で説明した処理を実行する。
本発明は、制御対象の温度を制御するプロセス制御技術に適用することができる。
1…PV入力部、2…PID演算部、3…MV出力部、4…AT操作量上限値記憶部、5…AT動作実行部、6…振幅検出部、7…振幅記憶部、8…振幅比率算出部、9…比率判定部、10…操作量上限値設定部、11…操作量上限値記憶部。

Claims (10)

  1. 通常の制御動作時にヒータに電力を供給する電力調整器に操作量MVを出力して制御対象の温度を制御するPID演算手段と、
    前記電力調整器に一定振幅の操作量MVを繰り返し出力するリミットサイクルを発生させて前記PID演算手段のPIDパラメータを設定するリミットサイクル方式のオートチューニング(AT)を実行するときの複数回分の操作量上限値OH_ATを予め規定するAT操作量上限値記憶手段と、
    前記複数回分の操作量上限値OH_ATに応じてATを複数回実行するAT動作実行手段と、
    AT実行時の制御対象の温度の振幅を1回のAT毎に検出する振幅検出手段と、
    この振幅検出手段が前記振幅を検出したときの操作量上限値OH_ATの条件が異なる振幅同士の比率を算出する振幅比率算出手段と、
    この振幅比率算出手段が算出した比率と所定の閾値との関係に基づき、ヒータ出力が飽和する操作量MVの飽和推定値を決定する比率判定手段と、
    この比率判定手段が決定した操作量MVの飽和推定値を、前記PID演算手段が通常の制御動作時に使用する操作量上限値OHあるいは積分上限値IHとして設定する操作量上限値設定手段とを備えることを特徴とする温度制御装置。
  2. 請求項1記載の温度制御装置において、
    前記比率判定手段は、前記比率を算出する際に分子側の振幅に対して分母側を小さな振幅とした場合には、前記比率が前記所定の閾値よりも小さい場合に、ヒータ出力が飽和していると判定することを特徴とする温度制御装置。
  3. 請求項1記載の温度制御装置において、
    前記比率判定手段は、前記比率を算出する際に分子側の振幅に対して分母側を大きな振幅とした場合には、前記比率が前記所定の閾値よりも大きい場合に、ヒータ出力が飽和していると判定することを特徴とする温度制御装置。
  4. 請求項1記載の温度制御装置において、
    前記振幅比率算出手段は、前記振幅を検出したときの操作量上限値OH_ATの条件が隣接する振幅同士で前記比率を算出することを特徴とする温度制御装置。
  5. 請求項1記載の温度制御装置において、
    前記操作量上限値設定手段は、前記PID演算手段が前記積分上限値IHに基づく積分動作停止機能を備えている場合は、前記比率判定手段が決定した操作量MVの飽和推定値を前記積分上限値IHとして設定し、前記PID演算手段が積分動作停止機能を備えていない場合は、前記比率判定手段が決定した操作量MVの飽和推定値を前記操作量上限値OHとして設定することを特徴とする温度制御装置。
  6. ヒータに電力を供給する電力調整器に一定振幅の操作量MVを繰り返し出力するリミットサイクルを発生させてPID演算手段のPIDパラメータを設定するリミットサイクル方式のオートチューニング(AT)を実行する際に、予め規定された複数回分の操作量上限値OH_ATに応じてATを複数回実行するAT動作実行手順と、
    AT実行時の制御対象の温度の振幅を1回のAT毎に検出する振幅検出手順と、
    この振幅検出手順で前記振幅を検出したときの操作量上限値OH_ATの条件が異なる振幅同士の比率を算出する振幅比率算出手順と、
    この振幅比率算出手順で算出した比率と所定の閾値との関係に基づき、ヒータ出力が飽和する操作量MVの飽和推定値を決定する比率判定手順と、
    この比率判定手順で決定した操作量MVの飽和推定値を、前記PID演算手段が通常の制御動作時に使用する操作量上限値OHあるいは積分上限値IHとして設定する操作量上限値設定手順とを備えることを特徴とする温度制御方法。
  7. 請求項6記載の温度制御方法において、
    前記比率判定手順は、前記比率を算出する際に分子側の振幅に対して分母側を小さな振幅とした場合には、前記比率が前記所定の閾値よりも小さい場合に、ヒータ出力が飽和していると判定することを特徴とする温度制御方法。
  8. 請求項6記載の温度制御方法において、
    前記比率判定手順は、前記比率を算出する際に分子側の振幅に対して分母側を大きな振幅とした場合には、前記比率が前記所定の閾値よりも大きい場合に、ヒータ出力が飽和していると判定することを特徴とする温度制御方法。
  9. 請求項6記載の温度制御方法において、
    前記振幅比率算出手順は、前記振幅を検出したときの操作量上限値OH_ATの条件が隣接する振幅同士で前記比率を算出することを特徴とする温度制御方法。
  10. 請求項6記載の温度制御方法において、
    前記操作量上限値設定手順は、前記PID演算手段が前記積分上限値IHに基づく積分動作停止機能を備えている場合は、前記比率判定手順で決定した操作量MVの飽和推定値を前記積分上限値IHとして設定し、前記PID演算手段が積分動作停止機能を備えていない場合は、前記比率判定手順で決定した操作量MVの飽和推定値を前記操作量上限値OHとして設定することを特徴とする温度制御方法。
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