JP2010016318A - 温度制御装置、露光システムおよびデバイス製造方法 - Google Patents

温度制御装置、露光システムおよびデバイス製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安定かつ高精度な温度制御に好適な技術を提供する。
【解決手段】温度を制御する温度制御装置200は、加熱部30と、温度を検出する温度検出部36と、目標温度と前記温度検出部によって検出された温度との偏差Eに基づいて操作量MVrを演算する演算部100と、操作量MVrに応じて電圧又は電流が調整された電力を加熱部30に供給する電力調整器28とを備える。演算部100は、比例要素、積分要素および微分要素のうち少なくとも比例要素を偏差Eに乗じる第1演算部32と、平方根を演算する第2演算部34とを含み、第1演算部32と第2演算部34とが直列に接続されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、温度制御装置、それを含む露光システム、および、それを使用してデバイスを製造するデバイス製造方法に関する。
近年、半導体集積回路デバイス等のデバイスの製造において、高い生産性と極めて微細な回路パターンの形成が要求されている。そのために、高速かつ精密な位置決め制御が必要となる。位置決め精度は、レーザ干渉計による測長精度に大きく依存し、nmオーダの精度を達成するには、干渉計光路の温度揺らぎを十分抑制する必要がある。このため露光装置が設置されているクリーンルームの温度変化等の影響を抑制し、露光装置内で発生する熱を回収するための高精度に温度制御された流体、即ち空気や液体の冷媒が露光装置に供給される。
図10は、従来の温度制御装置の概略構成を示す図である。温度検出部36は、露光装置の温度を制御するための流体である空気や液体の温度を検出する。補償演算部32は、目標温度SPと温度検出部36によって検出された温度との差分を演算して操作量MVを発生する。電圧検出器22は、商用電源20から供給される交流電圧を検出する。電圧比較部24は、基準電圧Vrefと電圧検出器22によって検出された電圧とを比較して補正値Vcompを発生する。ゲイン補正部38は、電圧比較部24が発生した補正値Vcompに基づいて補償演算部32が発生した操作量MVを補正して操作量MVcompを発生し、これを電力調整器28に供給する。電力調整器28は、ヒータ30に供給する電力Pを操作量MVcompに応じて調整する。これによって、ヒータ30が露光装置に供給する流体の温度が制御される。
電力調整器28は、例えば、ソリッドステートリレーを含む。ソリッドステートリレーを含む電力調整器28は、操作量MVcompに応じて導通して、ヒータ30に対する交流電圧の供給を制御する。規定周期をT0、導通時間をT1、ヒータ30の抵抗をR、商用電源20から供給される交流電圧の実効電圧をVrmとすると、ヒータ30が消費する電力Pは、(1)式で示される。
P = (Vrm / R) × (T1 / T0) ・・・(1)
操作量MVcompに応じてT1が制御されるので、ヒータ30が消費する電力Pは、操作量MVcomp、更には操作量MVに対して線形に制御される。
商用電源20から供給される交流電圧をVps[V]、補償演算部32が発生する操作量をMV[%]とすると、電圧比較部24が発生する補正値Vcompは、(2)式で示される。
Vcomp = (Vref / Vps) ・・・(2)
よって、ゲイン補正部38によって演算される操作量MVcompは、(3)式で示される。
MVcomp = Vcomp × MV × 10−2 ・・・(3)
このように、電源電圧の変動の補正は、基準電圧Vrefと商用電源20の交流電圧との比を自乗した値に応じてなされる。
高精度/高分解能な制御が要求される場合には、電力調整器28としてサイリスタが用いられうる。サイリスタを用いた電力調整器28の位相制御には、操作量に応じて電圧が制御される電圧制御モードと、操作量に応じて電流が制御される電流制御モードとがある。また、交流電源の代わりに直流電源を用いて温度制御を行う方法もある。
特開2005−332287号公報
サイリスタで電力調整器が構成された温度調整装置のように、補償演算部が発生する操作量に対して電力調整器からヒータに供給される電圧又は電流が線形に制御される構成では、ヒータの出力が該操作量に対して非線形になる。よって、安定かつ高精度な温度制御が難しい。
本発明は、上記の課題認識を契機としてなされたものであり、例えば、安定かつ高精度な温度制御に好適な技術を提供することを目的とする。
本発明の第1の側面は、温度を制御する温度制御装置に係り、前記温度制御装置は、加熱部と、温度を検出する温度検出部と、目標温度と前記温度検出部によって検出された温度との偏差に基づいて操作量を演算する演算部と、前記操作量に応じて電圧又は電流が調整された電力を前記加熱部に供給する電力調整器とを備え、前記演算部は、比例要素、積分要素および微分要素のうち少なくとも前記比例要素を有する第1演算部と、平方根を演算する第2演算部とを含み、前記第1演算部と前記第2演算部とが直列に接続されている。
本発明の第2の側面は、露光システムに係り、前記露光システムは、原版のパターンを基板に投影し該基板を露光する露光装置と、前記露光装置の温度を制御するように構成された上記の温度制御装置とを備える。
本発明の第3の側面は、デバイス製造方法に係り、上記の露光システムによって基板を露光する工程と、該基板を現像する工程とを含む。
本発明によれば、例えば、安定かつ高精度な温度制御に好適な技術が提供される。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
[第1実施形態]
まず、本発明の温度制御方法が適用可能な露光装置の構成について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明の好適な実施形態の露光システムの概略構成を示す図である。露光システム1は、レチクル(原版)2のパターンを投影光学系5によってウエハ(基板)3に投影してウエハ3を露光する露光装置EXを含む。ウエハ3には、感光剤が塗布されていて、露光によって該感光剤に潜像が形成される。露光装置EXは、ブース16の内部に配置されている。
不図示の光源から光束が照明光学系4に供給される。照明光学系4は、当該光束を使ってレチクル2を照明する。照明されたレチクル2のパターンは、投影光学系5によってウエハ3に投影される。光源は、例えば、超高圧水銀灯と楕円鏡やレンズ等の光学部材で構成されうる。或いは、光源は、エキシマレーザと、レーザビームを所定の形状に成形する光学系とで構成されうる。
レチクル2は、レチクルステージ機構6によって位置決めされる。ウエハ3は、ウエハステージ機構7によって位置決めされる。レチクルステージ機構6のステージおよびウエハステージ機構7のウエハステージは、レーザ干渉計19によって高精度に位置が計測され、この計測結果に基づいて位置決めがなされる。
露光装置EXの温度制御には、露光装置EXを囲むチャンバ1が使用されている。チャンバ1は、主に空気などの流体120の温度調節を行う空調機室8、微小異物を濾過して清浄化された流体120の均一な流れを形成する集塵フィルタ9、露光装置1の本体部分の環境を外部から遮断するブース16を含む。チャンバ1の内部では、空調機室8内にある冷却機10および再加熱用のヒータ30により温度調節された流体120が、送風機12によりケミカルフィルタ11および集塵フィルタ9を介してブース16内に供給される。ブース16に供給された流体120は、リターン口17を通して再び空調機室8に取り込まれて、チャンバ1を含む循環経路を循環する。
通常、厳密な循環経路は構成されず、ブース16の内部空間を常時陽圧に保つために、循環空気量の約1割は、ブース16の外部の空気が空調機室8に設けられた外気導入口18より送風機12を介してブース16の内部空間に導入される。ブース16の内部の空気を強制排気することによって露光装置EXが有する発熱源を冷却する構成では、排気流量に見合う量の外気がブース16の内部に導入される。ブース16の内部空間を陽圧に保つ理由は、ブース16にある微小な隙間を通してブース16の外部から微小異物や有害なガスがブース16の内部に侵入することを防止するためである。このようにして、チャンバ1は、露光装置EXを取り巻く環境の温度を一定に保つとともに流体120を清浄に保つ機能を有する。
図2は、図1に示す露光システムに組み込まれる温度制御装置200の概略構成を示す図である。温度制御装置200は、ヒータ(加熱部)30と、温度検出部36と、演算部100と、電力調整器28とを備え、電力調整器28からヒータ(加熱部)30に供給する電力を制御することによって流体120の温度を制御する。この実施形態では、流体120として空気等の気体を使用する例を説明するが、流体120として液体を使用するように露光システムを構成することもできる。
露光装置EXの温度を制御するための流体120の温度は、温度検出部36で検出される。演算部100は、目標温度SPと温度検出部36によって検出された温度PVとの偏差Eに基づいて操作量MVrを演算する。電力調整器28は、操作量MVrに応じて電圧又は電流が調整された電力をヒータ30に供給する。演算部100は、比例要素、積分要素および微分要素のうち少なくとも比例要素を偏差Eに乗じる補償演算部(第1演算部)32と、平方根を演算する平方根演算部(第2演算部)34とを含む。ここで、補償演算部(第1演算部)32と平方根演算部(第2演算部)34とは、直列に接続される。
演算部100は、更に、目標温度SPと温度検出部36で検出された温度PVとの差分(偏差)を演算する偏差演算器33を含む。この実施形態では、偏差演算器33の後段に補償演算部(第1演算部)32が配置され、補償演算部(第1演算部)32の後段に平方根演算部(第2演算部)34が配置されている。他の実施形式において、補償演算部32が平方根演算部34の後段側に配置されてもよい。
補償演算部32は、偏差Eに比例要素を乗じるように、または、偏差Eに比例要素および積分要素を乗じるように、または、偏差Eに比例要素および微分要素を乗じるように、または、偏差Eに比例要素、積分要素および微分要素を乗じるように構成されうる。
この実施形態において、補償演算部32は、偏差Eを入力として演算を実行して操作量(第1操作量)MVを発生し、平方根演算部34は、操作量MVの平方根を演算して操作量MVrを発生する。操作量MVrは、電力調整器28に供給される。
電力調整器28は、交流電源としての商用電源20から供給される電力を受けて、操作量MVrに応じて電圧又は電流が調整された電力Pをヒータ30に供給する。電力調整器28は、例えば、サイリスタを含み、サイリスタ位相制御によって電力Pを制御する。
ソリッドステートリレーを用いた電力調整器では、規定周期T0が1秒程度である。一方、サイリスタを用いて電力調整器では、交流電源周期が例えば16.7ms〜20msであるので、分解能が高く、高精度な電力制御が可能である。
交流電源としての商用電源20から供給される交流電圧をVps[V]、補償演算部32が発生する操作量をMV[%]とすると、操作量MVrは(4)式で示される。
MVr = √(MV) ・・・(4)
サイリスタを用いた電力調整器28における位相制御には、入力される操作量に応じて電圧が制御される電圧制御モード、および、入力される操作量に応じて電流が制御される電流制御モードがある。電力調整器28は、電圧制御モードにおいては、操作量MVrに応じて(5)式で示される電圧Voutを出力する。電力調整器28は、電流制御モードにおいては、操作量MVrに応じて(6)式で示される電流Ioutを出力する。
Vout = Vps × MVr × 10−1 ・・・(5)
Iout = Ips × MVr × 10−1 ・・・(6)
ヒータ30の消費電力Pは、ヒータ30の抵抗をRとすると、(7)式で示される。
P = Vout / R = Iout × R ・・・(7)
ここで、(4)、(5)、(6)、(7)式より、(8)、(9)式が得られる。
P = Vps × MV × 10−2 / R ・・・(8)
P = Ips × MV × 10−2 × R ・・・(9)
図3は、交流電圧Vpsを200[V]、ヒータ30の抵抗Rを40[Ω]とした場合における操作量MVとヒータ30の消費電力Pとの関係を示している。
補償演算部32が発生する操作量MVの平方根を演算して新たな操作量MVrを決定することにより、補償演算部32が発生する操作量MVと消費電力P(つまり、発熱量)との関係を線形にすることができる。なお、図3の例では、操作量MVが0[%]で消費電力Pが0[W]、操作量MVが100[%]で消費電力Pが1000[W]になっている。
平方根演算による補正を行う場合における操作量MVとヒータ30の消費電力Pとの関係を示すゲインGは、(10)式のように、操作量MVと電力Pの比で表される。
G = P / MV ・・・(10)
(8)式を(10)式に代入すると(11)式が得られる。
G = Vps × 10−2 / R ・・・(11)
交流電圧Vpsが200[V]、ヒータ30の抵抗Rが40[Ω]である場合における操作量MVとゲインGとの関係は、図4のようになる。操作量MVに対する消費電力PのゲインGは、一定であることがわかる。即ち、電圧制御モードまたは電流制御モードで動作する電力調整器28を有する温度制御装置において、補償演算部32が発生する操作量MVに対するヒータ30の消費電力Pの非線形性が平方根演算により線形化される。よって、外乱の影響も小さく、かつ、応答速度が一定であるので、安定した温度制御が可能になる。
ここで、比較のために、以下において、平方根演算による補正を行わない場合におけるヒータ30の消費電力Pを計算してみる。なお、平方根演算による補正を行わない場合の構成は、図2に示す構成から平方根演算部34を削除した構成に相当する。
交流電圧をVps[V]、補償演算部32が発生する操作量MV[%]とすると、電力調整器28からの出力電圧Vout、出力電流Ioutは、(12)、(13)式で示される。
Vout = Vps × MV × 10−2 ・・・(12)
Iout = Ips × MV × 10−2 ・・・(13)
ヒータ30の消費電力Pは、(7)式で与えられるので、(12)、(13)式を(7)式に代入して、(14)、(15)式が得られる。
P = Vps × MV × 10−4 / R ・・・(14)
P = Ips × MV × 10−4 × R ・・・(15)
図4は、平方根演算による補正を行わない構成において、交流電圧Vpsを200[V]、ヒータ30の抵抗を40[Ω]とした場合における操作量MVとヒータ30の消費電力Pとの関係を示している。平方根演算による補正を行わない場合は、図5に示したように、補償演算部32が発生する操作量MVに対するヒータ30の消費電力Pは、非線形になる。
また、平方根演算による補正を行わない場合における操作量MVとヒータ30の消費電力Pとの関係を示すゲインGは、(14)式を操作量MVについて微分することにより得られる(16)式で示される。
G = Vps × 2MV × 10−4 / R ・・・(16)
平方根演算による補正を行わない構成において、交流電圧Vpsが200[V]、ヒータ30の抵抗Rが40[Ω]である場合における操作量MVとゲインGとの関係は、図6のようになる。補償演算部32が発生する操作量MVが10[%]である時と、90[%]である時のゲインGを算出すると、それぞれ(17)式、(18)式のようになる。
<操作量MVが10[%]である場合>
G = 40000 × 2 × 10 × 10−4 / 40 = 2 ・・・(17)
<操作量MVが40[%]である場合>
G = 40000 × 2 × 90 × 10−4 / 40 = 18 ・・・(18)
(17)、(18)式より、9倍のゲイン変動が生じてしまうことが分かる。図6に示すように、操作量MVのどの範囲に対してもゲインGが一定ではないので、温度を安定に制御することができない。即ち、電圧制御モードまたは電流制御モードによる電力調整器28の操作量MVに対するヒータ30の消費電力Pが非線形である。この場合、操作量MVが小さい範囲では、ゲインGも小さく、外乱の影響が大きくなる。更に、応答が遅く、安定した制御を行うことができない。逆に、操作量MVが大きい範囲では、応答は速いが発振してしまう可能性があり、不安定な制御になってしまう。
一方、この実施形態では、補償演算部32が発生する操作量MVに対して、平方根演算を行うことにより、操作量MVと電力Pとの関係を比例関係(線形関係)になるように制御することができる。これにより、操作量MVに対するゲインGを一定にし、温度を安定して制御することができる。
よって、電圧または電流を調整する電力調整器28と、抵抗体を含むヒータ30とを有する温度制御装置200によって露光装置EXの温度を制御する際に、電力調整器28の非線形性を補正し、安定した制御が可能となる。
また、電力調整器28が操作量に応じて直流電圧または直流電流を制御する場合においても、(4)式に示す平方根演算によって補正された操作量MVrを演算し、これを電力調整器28に供給することができる。これにより、操作量MVとヒータ30の消費電力Pとの関係を比例関係にして温度を制御することができる。
[第2実施形態]
図7は、図1に示す露光システムに組み込まれる温度制御装置200’の概略構成を示す図である。この実施形態は、図2に示す温度制御装置200を図7に示す温度制御装置200’によって置き換えたものである。なお、図2又は図10に示す構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の参照番号が付されている。
第2実施形態では、温度制御装置200’の演算部100’は、第1実施形態の演算部100に対して電圧検出器22、電圧比較部(第3演算部)24およびゲイン補正部(第4演算部)38を追加した構成を有する。電圧比較部(第3演算部)24は、基準電圧Vrefと電圧検出器22によって検出された電圧とを比較して電圧補正値Vcomp’を発生する。
補償演算部(第1演算部)32は、比例要素、積分要素および微分要素のうち少なくとも比例要素を偏差Eに乗じて操作量(第1操作量)MVを発生する。平方根演算部(第2演算部)34は、補償演算部32が発生した操作量(第1操作量)MVの平方根を演算して操作量(第2操作量)MVrを発生する。
ゲイン補正部(第4演算部)38は、電圧比較部24から供給される補正値Vcomp’に基づいて、平方根演算部34が発生した操作量(第2操作量)MVrを補正して、操作量MVcomp’を発生する。
商用電源20から供給される交流電圧をVps[V]、補償演算部32が発生する操作量MV[%]とすると、電圧比較部24が発生する補正値Vcomp’は、(19)式で示される。
Vcomp’ = (Vref / Vps) (19)
よって、ゲイン補正部38によって演算される操作量MVcomp’は、(20)式で示される。
MVcomp’ = Vcomp’ × MVr × 10−1 ・・・(20)
電力調整器28は、電圧制御モードにおいては、操作量MVcomp’に応じて(21)式で示される電圧Voutを出力する。電力調整器28は、電流制御モードにおいては、操作量MVcomp’に応じて(22)式で示される電流Ioutを出力する。
Vout = Vps × MVcomp’ ・・・(21)
Iout = Ips × MVcomp’ ・・・(22)
ヒータ30の消費電力Pは、ヒータ30の抵抗をRとすると、(7)式で示される。(7)、(20)、(21)、(22)式より、(23)、(24)式が得られる。
P = Vps × Vcomp’ × MV × 10−2 / R ・・・(23)
P = Ips × Vcomp’ × MV × 10−2 × R ・・・(24)
ここで、交流電圧Vpsが200[V]である場合と、交流電圧Vpsが180[V]である場合とについて、ヒータ30の消費電力Pを(19)、(20)、(21)、(23)式を使って計算した。以下は、その計算結果である。なお、基準電圧Vrefを200[V]、ヒータ30の抵抗Rを40[Ω]、操作量MVを50[%]とした。
<交流電圧Vpsが200[V]である場合>
補正値Vcomp’ = 1
操作量MVcomp’ ≒ 0.71
出力電圧Vout ≒ 141.42[V]
消費電力P = 500[W]
<交流電圧Vpsが180[V]である場合>
補正値Vcomp’ ≒ 1.11
操作量MVcomp ≒ 0.79
出力電圧Vout ≒ 141.42[V]
消費電力P = 500[W]
以上の計算結果から、電力調整器28に供給される電圧に変動があっても、ヒータ30の消費電力Pが変化しないことがわかる。
(19)式の補正値Vcomp’により、交流電源である商用電源20の電圧に変動があった場合でも、ヒータ30による消費電力Pを一定に制御することができるので、温度を安定して制御することができる。
ここで、電圧補正を行わない場合におけるヒータ30の消費電力Pを計算してみる。これは電圧検出器22、電圧比較部24およびゲイン補正部38を設けない構成、即ち図2に示す第1実施形態の構成における消費電力Pである。
交流電圧Vpsが200[V]、ヒータ30の抵抗Rが40[Ω]である場合と、交流電圧Vpsが180[V]、ヒータ30の抵抗Rが40[Ω]である場合とについて、操作量MVが50[%]である時のヒータ30の消費電力Pを(8)式に従って計算した。
<交流電圧Vpsが200[V]である場合>
出力電圧Vout ≒ 141.42[V]
消費電力P = 500[W]
<交流電圧Vpsが180[V]である場合>
出力電圧Vout ≒ 127.28[V]
消費電力P = 405[W]
図8は、電圧補正を行わない場合における操作量MVと消費電力Pとの関係を示している。図8および上記の計算例より、電力調整器28に供給される電圧に10%の変動があった場合は、ヒータ30の消費電力Pに約20%の変動が生じ、温度の安定した制御ができないことがわかる。
この実施形態によれば、基準電圧Vrefと電力調整器28に供給される電源電圧との比に基づいて操作量MVrを補正することにより、電源電圧に変動があった場合でもヒータ30の消費電力Pを一定に制御することができ、安定した温度制御が可能になる。
よって、電圧または電流を調整する電力調整器28と、抵抗体を含むヒータ30とを有する温度制御装置200によって露光装置EXの温度を制御する際に、電源電圧の変動の影響を補正し、安定した温度制御が可能となる。
[第3実施形態]
図9は、図1に示す露光システムに組み込まれる温度制御装置200’の概略構成を示す図である。この実施形態は、図2に示す温度制御装置200を図9に示す温度制御装置200”によって置き換えたものである。なお、図2又は図10に示す構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の参照番号が付されている。
第3実施形態では、温度制御装置200”の演算部100”は、第1実施形態の演算部100に対して電圧検出器22、電圧比較部(第3演算部)40およびゲイン補正部(第4演算部)48を追加した構成を有する。
第3実施形態の演算部100”は、平方根演算部(第2演算部)34がゲイン補正部(第4演算部)48の後段側に配置されている点で、第2実施形態の演算部100’と異なる。この配置のために、第3実施形態における電圧比較部(第3演算部)40およびゲイン補正部(第4演算部)48の演算内容は、第2実施形態における電圧比較部(第3演算部)24およびゲイン補正部(第4演算部)38と異なる。
電圧比較部40が発生する補正値Vcomp[V]は、(25)式で示される。即ち、電圧比較部40は、補正値Vcompとして、基準電圧Vrefと電力調整器28に供給される電圧Vpsとの比の自乗を演算する。
Vcomp = (Vref / Vps) ・・・(25)
補償演算部32が発生する操作量(第1操作量)をMV[%]、電圧比較部40が発生する補正値をVcomp[V]とすると、ゲイン補正部48が発生する操作量(第2操作量)MVcompは、(26)式で示される。
MVcomp = Vcomp × MV * 10−2 ・・・(26)
平方根演算部34が発生する操作量MVr’は、(27)式で示される。
MVr’ = √(MVcomp) ・・・(27)
電力調整器28は、電圧制御モードにおいては、操作量MVr’に応じて(28)式で示される電圧Voutを出力する。電力調整器28は、電流制御モードにおいては、操作量MVr’に応じて(29)式で示される電流Ioutを出力する。
Vout = Vps × MVr’ ・・・(28)
Iout = Ips × MVr’ ・・・(29)
ヒータ30の消費電力Pは、(7)式で与えられるので、(7)、(26)、(27)、(28)、(29)式より、(30)、(31)式が得られる。
P = Vps × Vcomp × MV × 10−2 / R ・・・(30)
P = Ips × Vcomp × MV × 10−2 × R ・・・(31)
ここで、交流電圧Vpsが200[V]である場合と、交流電圧Vpsが180[V]、である場合とについて、ヒータ30の消費電力Pを(25)、(26)、(27)、(28)、(30)式を使って計算した。以下は、その計算結果である。なお、基準電圧Vrefを200[V]、ヒータ30の抵抗Rを40[Ω]、操作量MVを50[%]とした。
<交流電圧Vpsが200[V]である場合>
補正値Vcomp = 1
操作量MVcomp ≒ 0.5
操作量MVr’ ≒ 0.71
出力電圧Vout ≒ 141.42[V]
消費電力P = 500[W]
<交流電圧Vpsが180[V]である場合>
補正値Vcomp ≒ 1.23
操作量MVcomp ≒ 0.62
操作量MVr ≒ 0.79
出力電圧Vout ≒ 141.42[V]
消費電力P = 500[W]
以上の計算結果から、電力調整器28に供給される電圧に変動があっても、ヒータ30の消費電力Pが変化しないことがわかる。
補正値Vcompの演算方法が従来の補正方法であっても、平方根演算部34をゲイン補正部48の後段に設けることによって、電力調整器28に供給される電圧に変動があっても、ヒータ30による電力Pを一定に制御することができる。よって、温度制御装置200”によって温度を安定して制御することができる。
したがって、電圧または電流を調整する電力調整器28と、抵抗体を含むヒータ30とを有する温度制御装置200”によって露光装置EXの温度を制御する際に、電源電圧の変動の影響を補正し、安定した温度制御が可能となる。
[変形例]
電力調整器28としては、サイリスタに代えて、例えば、発熱モードでペルチェ素子を使用することができる。
ヒータ30として使用されるジュール熱を発生する抵抗体としては、例えば、金属発熱体、高融点金属発熱体、非金属発熱体等が好適である。ヒータ30の構成としてはは、例えば、シーズヒータ、石英管ヒータ等が好適である。
[デバイス製造方法]
本発明の好適な実施形態のデバイス製造方法は、例えば、半導体デバイス、液晶デバイスの製造に好適であり、感光剤が塗布された基板の該感光剤に上記の露光システムを用いて原版のパターンを転写する工程と、該感光剤を現像する工程とを含みうる。さらに、他の周知の工程(エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を経ることによりデバイスが製造される。
本発明の第1、第2、第3実施形態の露光システムの概略構成を示す図である。 本発明の第1実施形態の温度制御装置の概略構成を示す図である。 本発明の第1、第2、第3実施形態の温度制御装置の電力特性を例示する図である。 本発明の第1、第2、第3実施形態の温度制御装置のゲイン特性を例示する図である。 比較例としての温度制御装置の電力特性を例示する図である。 比較例としての温度制御装置のゲイン特性を例示する図である。 本発明の第2実施形態の温度制御装置の概略構成を示す図である。 比較例としての温度制御装置における電源電圧変動の発生時の電力特性を例示する図である。 本発明の第3実施形態の温度制御装置の概略構成を示す図である。 従来の温度制御装置の概略構成を示すブロック図である。
符号の説明
1:チャンバ
2:レチクル
3:ウエハ
4:照明光学系
5:投影光学系
6:レチクルステージ機構
7:ウエハステージ機構
8:空調機室
9:集塵フィルタ
10:冷却機
11:ケミカルフィルタ
12:送風機
14:温度調整機
15:温度センサ
16:ブース
17:リターン口
18:外気導入口
19:レーザ干渉計
20:商用電源
22:電圧検出部
24:電圧比較部
Vref:基準電圧
28:電力調整器
30:ヒータ
32:補償演算部
34:平方根演算部
36:温度検出部
38:ゲイン補正部
100、100’、100”:演算部
120:流体
200、200’、200”:温度制御装置

Claims (10)

  1. 温度を制御する温度制御装置であって、
    加熱部と、
    温度を検出する温度検出部と、
    目標温度と前記温度検出部によって検出された温度との偏差に基づいて操作量を演算する演算部と、
    前記操作量に応じて電圧又は電流が調整された電力を前記加熱部に供給する電力調整器とを備え、
    前記演算部は、比例要素、積分要素および微分要素のうち少なくとも前記比例要素を有する第1演算部と、平方根を演算する第2演算部とを含み、前記第1演算部と前記第2演算部とが直列に接続されている、
    ことを特徴とする温度制御装置。
  2. 前記第1演算部は、前記偏差を入力として演算を実行して第1操作量を発生し、前記第2演算部は、前記第1操作量の平方根を演算して前記操作量を発生する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の温度制御装置。
  3. 前記演算部は、
    第3演算部と、
    第4演算部とを更に含み、
    前記第1演算部は、前記偏差を入力として演算を実行して第1操作量を発生し、前記第2演算部は、前記第1操作量の平方根を演算して第2操作量を発生し、前記第3演算部は、前記電力調整器に供給される電圧と基準電圧とを比較して補正値を発生し、前記第4演算部は、前記補正値に基づいて前記第2操作量を補正して前記操作量を発生する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の温度制御装置。
  4. 前記第3演算部は、前記基準電圧と前記電力調整器に供給される電圧との比を演算して前記補正値を発生する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の温度制御装置。
  5. 前記演算部は、
    第3演算部と、
    第4演算部とを更に含み、
    前記第1演算部は、前記偏差を入力として演算を実行して第1操作量を発生し、前記第3演算部は、前記電力調整器に供給される電圧と基準電圧とを比較して補正値を発生し、前記第4演算部は、前記補正値に基づいて前記第1操作量を補正して第2操作量を発生し、前記第2演算部は、前記第2操作量の平方根を演算して前記操作量を発生する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の温度制御装置。
  6. 前記第3演算部は、前記基準電圧と前記電力調整器に供給される電圧との比の自乗を演算して前記補正値を発生する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の温度制御装置。
  7. 前記電力調整器は、サイリスタを含む、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の温度制御装置。
  8. 前記加熱部は、流体を加熱するように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の温度制御装置。
  9. 原版のパターンを基板に投影し該基板を露光する露光装置と、
    前記露光装置の温度を制御するように構成された請求項1乃至8のいずれか1項に記載の温度制御装置と、
    を備えることを特徴とする露光システム。
  10. デバイス製造方法であって、
    請求項9に記載の露光システムによって基板を露光する工程と、
    該基板を現像する工程と、
    を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
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