JP2020077280A - 状態判定装置および状態判定方法 - Google Patents
状態判定装置および状態判定方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2020077280A JP2020077280A JP2018211112A JP2018211112A JP2020077280A JP 2020077280 A JP2020077280 A JP 2020077280A JP 2018211112 A JP2018211112 A JP 2018211112A JP 2018211112 A JP2018211112 A JP 2018211112A JP 2020077280 A JP2020077280 A JP 2020077280A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- time
- ratio
- registration
- state determination
- unit
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Testing And Monitoring For Control Systems (AREA)
Abstract
【課題】制御対象の状態判定のための指標を算出するのに妥当ではないタイミングを排除することができる状態判定装置を提供する。【解決手段】状態判定装置は、加熱装置において加熱制御の過渡状態を発生させる操作量MVの時系列データと過渡状態における制御対象の温度である制御量PVの時系列データに基づいて、制御対象の状態判定のための指標として、制御対象の動的プロセスゲインKpとプロセス時定数Tpとの比率Kp/Tpを算出するゲイン時定数比率算出部1と、比率Kp/Tpを記憶するゲイン時定数比率記憶部2と、ゲイン時定数比率算出部1による比率の算出を停止すべき時間帯を予め記憶する時間帯登録部3と、現在時刻の情報を取得する時刻情報取得部4と、現在時刻が時間帯登録部3に記憶されている時間帯に含まれる場合に、ゲイン時定数比率算出部1による比率の算出を停止させるゲイン時定数比率停止部5を備える。【選択図】図2
Description
本発明は、加熱装置の制御対象の状態を判定する技術に係り、特に状態判定のための指標を算出するのに妥当ではないタイミングを排除することができる状態判定装置および状態判定方法に関するものである。
温調計などの制御機器は、図9に示すような熱操作装置である加熱装置の温度制御に利用される。図9の加熱装置は、処理対象のワークを加熱する加熱処理炉100と、電気ヒータ101と、加熱処理炉100内の温度を計測する温度センサ102と、加熱処理炉100内の温度を制御する温調計103と、電力調整器104と、電力供給回路105と、加熱装置全体を制御するPLC(Programmable Logic Controller)106とから構成される。温調計103は、温度センサ102が計測した温度(制御量PV)が温度設定値SPと一致するように操作量MVを算出する。電力調整器104は、操作量MVに応じた電力を決定し、この決定した電力を電力供給回路105を通じて電気ヒータ101に供給する。
例えば図9に示したような温度制御系を主な適用対象として、制御の過渡状態を発生させる操作量の時系列データと過渡状態における制御量の時系列データとに基づいて、制御対象の動的プロセスゲインKpとプロセス時定数Tpとの比率Kp/Tpを算出し、この比率を判定指標として制御対象の状態を判定する方法が実用されている(特許文献1参照)。
例えば、図10(A)〜図10(D)は100℃から400℃への、PID制御による昇温のシミュレーション結果を示しており、制御量PV(温度[℃])と操作量MV[%]の時間変化を示している。図10(A)〜図10(D)の各例のPIDパラメータ(比例帯Pb、積分時間Ti、微分時間Td)は以下のとおりである。
図10(A)の例では、比例帯Pbを60℃、積分時間Tiを100sec.、微分時間Tdを12sec.としている。上記の比率はKp/Tp=0.0232である。図10(B)の例では、比例帯Pbを180℃、積分時間Tiを100sec.、微分時間Tdを12sec.としている。比率はKp/Tp=0.0232である。図10(C)の例では、比例帯Pbを60℃、積分時間Tiを30sec.、微分時間Tdを12sec.としている。比率はKp/Tp=0.0232である。図10(D)の例では、比例帯Pbを60℃、積分時間Tiを100sec.、微分時間Tdを12sec.としている。比率はKp/Tp=0.0209である。
見かけ上は、図10(A)の例と比べて図10(B),図10(C)の例は異なる状態であり、図10(A)と図10(D)が類似の状態のようになる。しかし、この見かけ上の違いはPIDパラメータの違いによるものであり、制御対象の状態としては図10(D)のみが他の例とは異なる。すなわち、比率Kp/Tpを判定指標とすることによって、制御対象の状態を判定できる。
しかしながら、現実の加熱装置では、シミュレーションのような理想的な再現性が得られるとは限らず、例えば比率Kp/Tpを算出するタイミング次第では、特異な判定あるいは誤った判定になることもあるので、改善が求められている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、制御対象の状態判定のための指標を算出するのに妥当ではないタイミングを排除することができる状態判定装置および状態判定方法を提供することを目的とする。
本発明の状態判定装置は、加熱装置において加熱制御の過渡状態を発生させる操作量の時系列データとこの過渡状態における制御対象の温度である制御量の時系列データとに基づいて、前記制御対象の状態判定のための指標として、前記制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率を算出するように構成されたゲイン時定数比率算出部と、前記比率を記憶するように構成されたゲイン時定数比率記憶部と、前記ゲイン時定数比率算出部による比率の算出を停止すべき時間帯を予め記憶するように構成された時間帯登録部と、現在時刻の情報を取得するように構成された時刻情報取得部と、現在時刻が前記時間帯登録部に記憶されている時間帯に含まれる場合に、前記ゲイン時定数比率算出部による比率の算出を停止させるように構成されたゲイン時定数比率停止部とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の状態判定装置の1構成例は、前記時間帯登録部に時間帯を登録しようとする登録実行日の最初の加熱制御が開始されたときに、この加熱制御開始時刻から予め規定された時間幅が経過する時刻までを、前記ゲイン時定数比率算出部による比率の算出を停止すべき時間帯として前記時間帯登録部に登録するように構成された自動登録部をさらに備えることを特徴とするものである。
また、本発明の状態判定装置の1構成例において、前記自動登録部は、予め規定された登録期間中の各登録実行日の最初の加熱制御開始時刻から規定の時間幅が経過する時刻までの時間帯を登録実行日毎に特定し、この特定した時間帯と前記時間帯登録部に登録済みの時間帯とに基づいて、前記時間帯登録部に登録される時間帯が最も長くなるように更新することを特徴とするものである。
また、本発明の状態判定装置の1構成例は、前記比率に基づいて前記制御対象の状態を判定するように構成された状態判定部をさらに備えることを特徴とするものである。
また、本発明の状態判定装置の1構成例において、前記自動登録部は、予め規定された登録期間中の各登録実行日の最初の加熱制御開始時刻から規定の時間幅が経過する時刻までの時間帯を登録実行日毎に特定し、この特定した時間帯と前記時間帯登録部に登録済みの時間帯とに基づいて、前記時間帯登録部に登録される時間帯が最も長くなるように更新することを特徴とするものである。
また、本発明の状態判定装置の1構成例は、前記比率に基づいて前記制御対象の状態を判定するように構成された状態判定部をさらに備えることを特徴とするものである。
また、本発明の状態判定方法は、現在時刻の情報を取得する第1のステップと、制御対象の状態判定のための指標の算出を停止すべき時間帯を予め記憶する時間帯登録部を参照して、前記第1のステップで取得した現在時刻と前記時間帯登録部に記憶されている時間帯とを比較する第2のステップと、現在時刻が前記時間帯登録部に記憶されている時間帯外の場合に、加熱装置において加熱制御の過渡状態を発生させる操作量の時系列データとこの過渡状態における制御対象の温度である制御量の時系列データとに基づいて、前記制御対象の状態判定のための指標として、前記制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率を算出する第3のステップと、前記比率を記憶する第4のステップとを含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、ゲイン時定数比率算出部による比率の算出を停止すべき時間帯を時間帯登録部に予め登録しておき、現在時刻が時間帯登録部に記憶されている時間帯に含まれる場合に、ゲイン時定数比率算出部による比率の算出を停止させることにより、制御対象の状態判定のための指標を算出するのに妥当ではないタイミングを排除することができ、特異な判定結果あるいは誤った判定結果が生じることを回避することができる。本発明では、加熱装置を管理する上位のシステムの範囲で得られる情報で、排除判断が行なえるようになる。
また、本発明では、自動登録部を設けることにより、制御対象の状態判定のための指標を算出するのに妥当ではないタイミングの登録を自動的に実現することができる。
[発明の原理]
加熱装置自体が暖まっていない朝一番などの昇温では、ヒータ自体の熱容量や装置全体の熱容量に対する熱放出があるため、見かけ上(一定のアルゴリズムでの計算上)、プロセス時定数Tpあるいは高次遅れとしてのむだ時間Lpが本来よりも長い特異応答になり易い。例えば図1(A)に示すような加熱装置が十分に暖まっているときのワークの昇温の場合(設定値SP変更時の制御量PVが十分に高い場合)に比べて、加熱装置が暖まっていないときのワークの昇温の場合(設定値SP変更時の制御量PVが低い場合)には、図1(B)に示すような結果になる。
加熱装置自体が暖まっていない朝一番などの昇温では、ヒータ自体の熱容量や装置全体の熱容量に対する熱放出があるため、見かけ上(一定のアルゴリズムでの計算上)、プロセス時定数Tpあるいは高次遅れとしてのむだ時間Lpが本来よりも長い特異応答になり易い。例えば図1(A)に示すような加熱装置が十分に暖まっているときのワークの昇温の場合(設定値SP変更時の制御量PVが十分に高い場合)に比べて、加熱装置が暖まっていないときのワークの昇温の場合(設定値SP変更時の制御量PVが低い場合)には、図1(B)に示すような結果になる。
発明者は、上記の点に着眼し、時間帯を制限することで、例えば朝一番の昇温応答データ(特異応答データ)を、診断データから排除できることに想到した。また、時間帯制限を強化すれば、むしろ特定の優良応答データのみを診断データとして採用する形態にもできる。
[第1の実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図2は本発明の第1の実施例に係る状態判定装置の構成を示すブロック図である。状態判定装置は、加熱装置において加熱制御の過渡状態を発生させる操作量MVの時系列データとこの過渡状態における制御対象の温度である制御量PVの時系列データとに基づいて、制御対象の状態判定のための指標として、制御対象の動的プロセスゲインKpとプロセス時定数Tpとの比率Kp/Tpを算出するゲイン時定数比率算出部1と、比率Kp/Tpを記憶するゲイン時定数比率記憶部2と、ゲイン時定数比率算出部1による比率の算出を停止すべき時間帯を予め記憶する時間帯登録部3と、現在時刻の情報を取得する時刻情報取得部4と、現在時刻が時間帯登録部3に記憶されている時間帯に含まれる場合に、ゲイン時定数比率算出部1による比率の算出を停止させるゲイン時定数比率停止部5と、比率に基づいて制御対象の状態を判定する状態判定部6とを備えている。
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図2は本発明の第1の実施例に係る状態判定装置の構成を示すブロック図である。状態判定装置は、加熱装置において加熱制御の過渡状態を発生させる操作量MVの時系列データとこの過渡状態における制御対象の温度である制御量PVの時系列データとに基づいて、制御対象の状態判定のための指標として、制御対象の動的プロセスゲインKpとプロセス時定数Tpとの比率Kp/Tpを算出するゲイン時定数比率算出部1と、比率Kp/Tpを記憶するゲイン時定数比率記憶部2と、ゲイン時定数比率算出部1による比率の算出を停止すべき時間帯を予め記憶する時間帯登録部3と、現在時刻の情報を取得する時刻情報取得部4と、現在時刻が時間帯登録部3に記憶されている時間帯に含まれる場合に、ゲイン時定数比率算出部1による比率の算出を停止させるゲイン時定数比率停止部5と、比率に基づいて制御対象の状態を判定する状態判定部6とを備えている。
図3は本実施例の操作量算出部10(温調計)の動作を説明するフローチャートである。設定値SP(温度設定値)は、オペレータなどによって設定され、操作量算出部10に入力される(図3ステップS100)。
制御量PV(温度計測値)は、図示しない計測器(例えば図9に示した加熱装置の加熱処理炉100内の温度を計測する温度センサ、または加熱処理炉100内のワークの温度を計測する温度センサ)によって計測され、操作量算出部10に入力される(図3ステップS101)。
制御量PV(温度計測値)は、図示しない計測器(例えば図9に示した加熱装置の加熱処理炉100内の温度を計測する温度センサ、または加熱処理炉100内のワークの温度を計測する温度センサ)によって計測され、操作量算出部10に入力される(図3ステップS101)。
操作量算出部10は、設定値SPと制御量PVとを入力として、制御量PVが設定値SPと一致するように周知のPID制御演算を行って操作量MVを算出し、算出した操作量MVを制御対象に出力する(図3ステップS102)。本実施例では、操作量MVの実際の出力先は、加熱処理炉の電気ヒータに電力を供給する電力調整器となる。
操作量算出部10は、ステップS100〜S102の処理を例えばオペレータの指示によって制御が終了するまで(図3ステップS103においてYES)、制御周期毎に実行する。なお、操作量算出部10が算出した操作量MVに対して適宜、上下限リミット処理などを施してもよいことは言うまでもない。
図4は本実施例の状態判定装置の動作を説明するフローチャートである。時間帯登録部3には、ゲイン時定数比率算出部1による比率の算出を停止すべき時間帯が予め登録されている。
時刻情報取得部4は、図示しない時計機能から現在時刻の情報を取得する(図4ステップS200)。
時刻情報取得部4は、図示しない時計機能から現在時刻の情報を取得する(図4ステップS200)。
図5はゲイン時定数比率算出部1の構成を示すブロック図である。ゲイン時定数比率算出部1は、制御量PVと操作量MVの時系列データについてステップ応答前半の過渡状態のデータを特定する過渡状態データ特定部11と、制御量PVの時系列データのうち過渡状態データ特定部11によって特定された過渡状態のデータと、操作量MVの時系列データのうち過渡状態データ特定部11によって特定された過渡状態のデータとにより、制御対象のモデル数式を同定する制御対象モデリング部12と、制御対象のモデル数式に基づいて制御対象の動的プロセスゲインKpとプロセス時定数Tpとの比率Rを算出する比率算出処理部13とから構成される。
ゲイン時定数比率停止部5は、現在時刻が時間帯登録部3に記憶されている時間帯に含まれる場合(図4ステップS201においてYES)、ゲイン時定数比率算出部1による比率Rの算出を停止させる。この場合、状態判定装置は、現在の処理対象のワークについて比率Rを算出・保存することなく、動作をいったん停止させ、次の処理対象のワークが加熱処理炉に投入されて加熱制御が始まるまで待機する。
一方、現在時刻が時間帯登録部3に記憶されている時間帯外の場合(ステップS201においてNO)、以下のようなゲイン時定数比率算出部1の処理が行われる。
加熱処理炉内のワークの加熱のために設定値SPのステップ変更が行われると、上記の操作量算出部10による制御により制御量PVが設定値SPに追従して上昇する。
加熱処理炉内のワークの加熱のために設定値SPのステップ変更が行われると、上記の操作量算出部10による制御により制御量PVが設定値SPに追従して上昇する。
ゲイン時定数比率算出部1の過渡状態データ特定部11は、操作量算出部10から出力された制御量PVの時系列データと操作量MVの時系列データとについてステップ応答前半の過渡状態に相当する時間帯のデータを特定する(図4ステップS202)。過渡状態データ特定部11は、例えば操作量MVの時系列データが予め設定された基準値を超えている時間帯を割り出し、この時間帯をステップ応答前半の過渡状態に相当する時間帯として特定する。ただし、この方法は単なる1例であり、操作量MVの変化幅やその他の信号の変化によって制御の過渡状態のデータを特定することも可能である。
続いて、ゲイン時定数比率算出部1の制御対象モデリング部12は、制御対象のモデル数式を同定する(図4ステップS203)。制御対象モデリング部12には、次式のような伝達関数で表される制御対象の数式モデルGpが予め登録されている。
Gp=Kpexp(−Lps)/(1+Tps) ・・・(1)
Gp=Kpexp(−Lps)/(1+Tps) ・・・(1)
式(1)のKpは動的プロセスゲイン、Lpはむだ時間、Tpはプロセス時定数であり、これらのパラメータは可変量として処理できるようになっている。本実施例の制御対象は、例えば加熱処理炉と、加熱処理炉内に投入されるワークと、電気ヒータなどのアクチュエータとを含むものである。
制御対象モデリング部12は、操作量MVの時系列データのうち過渡状態データ特定部11によってステップ応答前半の過渡状態と特定されたデータを式(1)の数式モデルに適用し、モデル制御量PVmの時系列データを生成する。モデル制御量PVmは次式のように表すことができる。
PVm=GpMV ・・・(2)
PVm=GpMV ・・・(2)
続いて、制御対象モデリング部12は、制御量PVの時系列データのうち過渡状態データ特定部11によってステップ応答前半の過渡状態と特定されたデータの変化率と、モデル制御量PVmの時系列データの変化率との近さを示す評価関数値(制御量PVの変化率とモデル制御量PVmの変化率との差の2乗の総和)を算出して、評価関数値が最適値(0に近い最小値)を示したときの動的プロセスゲインKpとむだ時間Lpとプロセス時定数Tpとの組み合わせを有する式(1)を制御対象のモデル数式Gpとして確定する。なお、以上のモデル数式の同定処理は、パラメータKp,Lp,Tpがとり得る全ての組み合わせを1つずつ生成して実行してもよいし、より効率的な探索方法として、一般に知られているシンプレックス法などを採用してもよい。
ゲイン時定数比率算出部1の比率算出処理部13は、制御対象モデリング部12が確定したモデル数式Gpに基づき、動的プロセスゲインKpとプロセス時定数Tpとの比率R=Kp/Tpを算出する(図4ステップS204)。比率算出処理部13によって算出された比率Rは、ゲイン時定数比率記憶部2に格納される(図4ステップS205)。
以上の過渡状態データ特定部11と制御対象モデリング部12と比率算出処理部13の動作は、特許文献1に開示されている。
以上の過渡状態データ特定部11と制御対象モデリング部12と比率算出処理部13の動作は、特許文献1に開示されている。
次に、状態判定部6は、ゲイン時定数比率算出部1によって算出されゲイン時定数比率記憶部2に格納された比率Rに基づいて制御対象の状態を判定する(図4ステップS206)。特許文献1に開示された技術では、制御対象が特定の状態にある場合の比率Rの数値範囲を示す所定の判定基準と、比率Rとを比較して、比率Rが判定基準内の値であれば、制御対象の状態が特定の状態にあると判定する。ただし、本実施例での状態判定は、このような例に限るものではなく、比率Rと別の判定指標とを併用して制御対象の状態を判定するようにしてもよい。判定結果の出力方法としては、例えば判定結果を知らせる内容を表示したり、判定結果を知らせる情報を外部に送信したりする等の方法がある。
以上のような図4の処理が、加熱処理炉に処理対象のワークが投入され、操作量算出部10によって加熱制御が行われる度に実行される。
本実施例では、制御動作機能を実現する操作量算出部10はループレベルコントローラ(温調計など)に実装されるものであり、ゲイン時定数比率算出部1も通信などを介さない品質の良いデータを利用するのが好ましいので、やはりループレベルコントローラに実装されるべき構成要素である。ゲイン時定数比率記憶部2も、ループレベルコントローラに実装して構わない。
本実施例では、制御動作機能を実現する操作量算出部10はループレベルコントローラ(温調計など)に実装されるものであり、ゲイン時定数比率算出部1も通信などを介さない品質の良いデータを利用するのが好ましいので、やはりループレベルコントローラに実装されるべき構成要素である。ゲイン時定数比率記憶部2も、ループレベルコントローラに実装して構わない。
一方、時間帯登録部3と時刻情報取得部4とゲイン時定数比率停止部5とは、特に時刻情報を扱う本発明に特有の管理処理であり、製造装置の上位側の装置内コントローラ(PLCなど)に実装されるべき構成要素である。別な言い方をすれば、制御量PV(温度計測値)や操作量MV(ヒータ出力値)などのループレベルの情報を利用せずに比率Rの算出停止ができるので、上位側の装置内コントローラ(PLCなど)で算出停止判断が行なえるようになる。
例えば、加熱装置が稼働状態になるために、必ず朝一番の午前9時から最初の昇温を開始するのが通常の運用であれば、午前6時から昇温が完了する午前10時までを、比率Rの算出を停止すべき時間帯として登録すればよい。また、通常の運用において、午後2時以降からの昇温が比率算出に好適であることが分かっているのであれば、午前0時から午後2時までを、比率Rの算出を停止すべき時間帯として登録してもよい。
なお、比率Rの算出を停止しない時間帯を時間帯登録部3に登録する構成も考えられるが、このような構成は本実施例と実質等価なものであることは言うまでもない。
なお、比率Rの算出を停止しない時間帯を時間帯登録部3に登録する構成も考えられるが、このような構成は本実施例と実質等価なものであることは言うまでもない。
[第2の実施例]
本発明は、特定のタイミングを比率Rの算出から排除しようとするものなので、タイミング制限という技術思想で言えば、加熱装置自体の立上げ後の最初の昇温を比率Rの算出から排除するという形態もあり得る。本実施例は、このようなタイミングの排除を自動的に実現するものである。
本発明は、特定のタイミングを比率Rの算出から排除しようとするものなので、タイミング制限という技術思想で言えば、加熱装置自体の立上げ後の最初の昇温を比率Rの算出から排除するという形態もあり得る。本実施例は、このようなタイミングの排除を自動的に実現するものである。
図6は本実施例に係る状態判定装置の構成を示すブロック図であり、図2と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施例の状態判定装置は、ゲイン時定数比率算出部1と、ゲイン時定数比率記憶部2と、時間帯登録部3と、時刻情報取得部4と、ゲイン時定数比率停止部5と、状態判定部6と、自動登録部7とを備えている。
図7は本実施例の状態判定装置の自動登録部7の動作を説明するフローチャートである。自動登録部7は、時間帯登録部3に時間帯を登録しようとする登録実行日の最初の加熱制御が開始されたときに(図7ステップS300においてYES)、この加熱制御開始時刻(設定値SPが上昇する方向に変更された時刻)から予め規定された時間幅(例えば2時間)が経過する時刻までを、ゲイン時定数比率算出部1による比率の算出を停止すべき時間帯として時間帯登録部3に登録する(図7ステップS301)。
状態判定装置の他の構成要素の動作は、第1の実施例の図4で説明したとおりである。
状態判定装置の他の構成要素の動作は、第1の実施例の図4で説明したとおりである。
なお、自動登録部7は、1日だけでなく、予め予め規定された登録期間(例えば30日間)において時間帯の登録・更新を継続的に行うようにしてもよい。この場合、自動登録部7は、登録期間中の各登録実行日(加熱制御の実行日)の最初の加熱制御開始時刻から規定の時間幅が経過する時刻までの時間帯を登録実行日毎に特定し、この特定した時間帯と時間帯登録部3に登録済みの時間帯とに基づいて、時間帯登録部3に登録される時間帯が最も長くなるように更新する。
例えば時間帯登録部3に時間帯が登録されていない場合には、登録実行日に特定した時間帯がそのまま時間帯登録部3に登録される。一方、時間帯登録部3に登録済みの時間帯の開始時刻をTstart、登録済みの時間帯の終了時刻をTstopとし、登録実行日に特定した時間帯の開始時刻をT’start、登録実行日に特定した時間帯の終了時刻をT’stopとしたとき、T’start<TstartかつTstop<T’stopであれば、登録実行日に時間帯登録部3に登録される時間帯が、T’startからT’stopまでの時間帯に更新される。
同様に、Tstart<T’startかつTstop<T’stopであれば、登録実行日に時間帯登録部3に登録される時間帯が、TstartからT’stopまでの時間帯に更新される。また、T’start<TstartかつT’stop<Tstopであれば、登録実行日に時間帯登録部3に登録される時間帯が、T’startからTstopまでの時間帯に更新される。こうして、登録期間中の登録実行日毎に時間帯の更新を繰り返し行う。
加熱装置を利用して製品の生産を行う製造装置においては、例えば製造装置の新規稼働時に日々の生産スケジュールにばらつきが生じることがある。そこで、上記のように一定期間の間、加熱制御開始時刻のデータを取得することで、更に安全な状態判定(誤りの少ない状態判定)が可能となるように、時間帯登録部3に登録する時間帯を更新することができる。
第1、第2の実施例で説明した状態判定装置は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインターフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このコンピュータの構成例を図8に示す。コンピュータは、CPU300と、記憶装置301と、インターフェース装置302とを備えている。このようなコンピュータにおいて、本発明の状態判定方法を実現させるためのプログラムは記憶装置301に格納される。CPU300は、記憶装置301に格納されたプログラムに従って第1、第2の実施例で説明した処理を実行する。
なお、上記のように、状態判定装置と操作量算出部10とをループレベルコントローラ(温調計など)に実装する場合には、このコントローラを図8に示したようなコンピュータとプログラムによって実現することができる。
また、上記のように、時間帯登録部3と時刻情報取得部4とゲイン時定数比率停止部5(または時間帯登録部3と時刻情報取得部4とゲイン時定数比率停止部5と自動登録部7)といった構成要素を、上位側の装置内コントローラ(PLCなど)に実装する場合、これらの構成要素もコンピュータとプログラムによって実現することができる。
また、上記のように、時間帯登録部3と時刻情報取得部4とゲイン時定数比率停止部5(または時間帯登録部3と時刻情報取得部4とゲイン時定数比率停止部5と自動登録部7)といった構成要素を、上位側の装置内コントローラ(PLCなど)に実装する場合、これらの構成要素もコンピュータとプログラムによって実現することができる。
本発明は、温度制御系に適用することができる。
1…ゲイン時定数比率算出部、2…ゲイン時定数比率記憶部、3…時間帯登録部、4…時刻情報取得部、5…ゲイン時定数比率停止部、6…状態判定部、7…自動登録部、10…操作量算出部、11…過渡状態データ特定部、12…制御対象モデリング部、13…比率算出処理部。
Claims (8)
- 加熱装置において加熱制御の過渡状態を発生させる操作量の時系列データとこの過渡状態における制御対象の温度である制御量の時系列データとに基づいて、前記制御対象の状態判定のための指標として、前記制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率を算出するように構成されたゲイン時定数比率算出部と、
前記比率を記憶するように構成されたゲイン時定数比率記憶部と、
前記ゲイン時定数比率算出部による比率の算出を停止すべき時間帯を予め記憶するように構成された時間帯登録部と、
現在時刻の情報を取得するように構成された時刻情報取得部と、
現在時刻が前記時間帯登録部に記憶されている時間帯に含まれる場合に、前記ゲイン時定数比率算出部による比率の算出を停止させるように構成されたゲイン時定数比率停止部とを備えることを特徴とする状態判定装置。 - 請求項1記載の状態判定装置において、
前記時間帯登録部に時間帯を登録しようとする登録実行日の最初の加熱制御が開始されたときに、この加熱制御開始時刻から予め規定された時間幅が経過する時刻までを、前記ゲイン時定数比率算出部による比率の算出を停止すべき時間帯として前記時間帯登録部に登録するように構成された自動登録部をさらに備えることを特徴とする状態判定装置。 - 請求項2記載の状態判定装置において、
前記自動登録部は、予め規定された登録期間中の各登録実行日の最初の加熱制御開始時刻から規定の時間幅が経過する時刻までの時間帯を登録実行日毎に特定し、この特定した時間帯と前記時間帯登録部に登録済みの時間帯とに基づいて、前記時間帯登録部に登録される時間帯が最も長くなるように更新することを特徴とする状態判定装置。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の状態判定装置において、
前記比率に基づいて前記制御対象の状態を判定するように構成された状態判定部をさらに備えることを特徴とする状態判定装置。 - 現在時刻の情報を取得する第1のステップと、
制御対象の状態判定のための指標の算出を停止すべき時間帯を予め記憶する時間帯登録部を参照して、前記第1のステップで取得した現在時刻と前記時間帯登録部に記憶されている時間帯とを比較する第2のステップと、
現在時刻が前記時間帯登録部に記憶されている時間帯外の場合に、加熱装置において加熱制御の過渡状態を発生させる操作量の時系列データとこの過渡状態における制御対象の温度である制御量の時系列データとに基づいて、前記制御対象の状態判定のための指標として、前記制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率を算出する第3のステップと、
前記比率を記憶する第4のステップとを含むことを特徴とする状態判定方法。 - 請求項5記載の状態判定方法において、
前記時間帯登録部に時間帯を登録しようとする登録実行日の最初の加熱制御が開始されたときに、この加熱制御開始時刻から予め規定された時間幅が経過する時刻までを、前記制御対象の状態判定のための指標の算出を停止すべき時間帯として前記時間帯登録部に登録する第5のステップをさらに含むことを特徴とする状態判定方法。 - 請求項6記載の状態判定方法において、
前記第5のステップは、予め規定された登録期間中の各登録実行日の最初の加熱制御開始時刻から規定の時間幅が経過する時刻までの時間帯を登録実行日毎に特定し、この特定した時間帯と前記時間帯登録部に登録済みの時間帯とに基づいて、前記時間帯登録部に登録される時間帯が最も長くなるように更新するステップを含むことを特徴とする状態判定方法。 - 請求項5乃至7のいずれか1項に記載の状態判定方法において、
前記比率に基づいて前記制御対象の状態を判定する第6のステップをさらに含むことを特徴とする状態判定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018211112A JP2020077280A (ja) | 2018-11-09 | 2018-11-09 | 状態判定装置および状態判定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018211112A JP2020077280A (ja) | 2018-11-09 | 2018-11-09 | 状態判定装置および状態判定方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020077280A true JP2020077280A (ja) | 2020-05-21 |
Family
ID=70724218
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018211112A Pending JP2020077280A (ja) | 2018-11-09 | 2018-11-09 | 状態判定装置および状態判定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020077280A (ja) |
-
2018
- 2018-11-09 JP JP2018211112A patent/JP2020077280A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2012048533A (ja) | エネルギー総和抑制制御装置、電力総和抑制制御装置および方法 | |
JP2021043030A (ja) | 機械学習装置、学習モデルの生成方法、絶縁抵抗推定装置及び制御装置 | |
JP2007293474A (ja) | 状態判定装置および状態判定方法 | |
JP2020077280A (ja) | 状態判定装置および状態判定方法 | |
JP6371612B2 (ja) | Pidコントローラおよびデータ収集方法 | |
JP7139221B2 (ja) | 状態判定装置および状態判定方法 | |
Macias et al. | Fractional order calculus for modeling and fractional PID control of the heating process | |
JP2010066852A (ja) | 制御パラメータのチューニング方法 | |
JP5321165B2 (ja) | フィードフォワード量推定装置および制御装置 | |
JP2020077278A (ja) | 状態判定装置および状態判定方法 | |
JP5891060B2 (ja) | 電力推定装置、制御装置および方法 | |
CN113655816A (zh) | 钢包底吹氩系统流量控制方法及计算机可读存储介质 | |
JP2009122965A (ja) | オートチューニング方法、温度調節器および熱処理装置 | |
JP6417175B2 (ja) | 評価装置および評価方法 | |
JP2007025867A (ja) | 電力使用量予測装置および電力使用量予測方法 | |
JP7050616B2 (ja) | 制御装置および制御方法 | |
JP7028620B2 (ja) | 制御装置および監視方法 | |
JP6845449B2 (ja) | 温度制御装置及び昇温完了時間の推定方法 | |
JP2006099352A (ja) | 温度推定装置およびこれを用いた制御装置 | |
JP6751244B2 (ja) | オートチューニング装置 | |
JPH06195105A (ja) | セルフチューニングコントローラ | |
JP7025186B2 (ja) | 制御装置および監視方法 | |
JP6974142B2 (ja) | 制御装置および制御方法 | |
JP2010152479A (ja) | 制御装置および制御方法 | |
JP2010170254A (ja) | 停止時間の推定装置、及び推定方法 |