JP6371612B2 - Pidコントローラおよびデータ収集方法 - Google Patents

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Description

本発明は、温調計などのPIDコントローラに係り、特にデータ収集機能を備えたPIDコントローラに関するものである。
加熱処理炉などの温度を制御するために、PID制御機能を実装した温調計が利用されている。温調計では、PIDパラメータなどの多数のパラメータを設定する必要がある。温調計は、PIDパラメータを用いてPID演算を行ない、目標温度に設定された設定値SPに温度計測値PVが一致するように操作量MVを出力する。これにより、温度計測値PV(制御量PV)を目標温度(設定値SP)に近づけることができる。したがって、PIDパラメータなどの設定が必要かつ重要になる。
ところで、制御結果情報(設定値到達時間やオーバーシュート量など制御応答における特徴量のデータ)は、制御の不具合状態の把握やPIDパラメータなどの調整の際に、実際の制御対象に対する制御結果として有効な情報となる。このため、昇温や降温などの一連の制御動作を実施しながら温調計内部で制御応答の特徴量を算出し、温調計内部に保存しておく機能が実施されている(特許文献1参照)。一方、データロガーのように、測定データを全て収集し記録する機器も実用されている(特許文献2参照)。これら特許文献1、特許文献2に開示されたデータ収集機能により、PID制御の制御応答の特徴量あるいは全ての時系列データを収集し、監視対象、分析対象として処理することが可能になっている。
特開2009−217439号公報 特開2008−286603号公報
温度制御においては、昇温や降温などの一連の制御動作だけでは、有効な情報収集としては不十分である。すなわち、特許文献1に開示された特徴量算出機能では、保存する情報が限られるので不十分である。一方、特許文献2に開示されたデータロガーでは、制御動作の情報として不必要なものも含めて、データ収集量が多過ぎるので、扱いが煩雑になり不便である。したがって、制御動作に特化した有効な情報収集機能として、煩雑になり過ぎず、かつ情報不足になり過ぎないように改善された機能が求められている。特に昇温や降温の応答以外にも、特殊な状況での活用を広げていく改良が求められている。
簡易型のPIDコントローラの代表例でもある温調計と併用されるデータ記録装置として、特定の周期で不連続な時点を抽出して記録する打点記録計が採用されることがある。温調計による制御動作としては、制御対象の特徴から過渡状態での時系列データの収集周期(打点周期)を長めにかつ十分な精度で予め決められることが多い。特にPID演算の場合、制御動作の性質は、一般的に予測しやすいものになっている。したがって、データ収集量が多過ぎて、扱いが煩雑になるのを防ぐために、まずこのような長周期のデータ収集を採用することを想定する。この場合、長周期のデータ収集において、周期間でデータに想定外に速い変化が生じていると、記録が不十分になる。すなわち、データ収集周期が長過ぎて、データ収集ミスが想定外に生じるという問題点があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、温調計などの簡易型のPIDコントローラのような低価格製品への実装を前提とし、制御量PVに想定外に速い変化が生じることに起因するデータ収集のミスを低減することができるPIDコントローラおよびデータ収集方法を提供することを目的とする。
本発明のPIDコントローラは、PID制御演算により設定値SPと制御量PVに基づき操作量MVを算出する操作量算出手段と、この操作量算出手段によって算出された操作量MVを制御対象に出力する操作量出力手段と、前記制御量PVの時系列データを第1の周期毎に保存する長周期データ保存手段と、前記制御量PVの時系列データを前記第1の周期よりも短い第2の周期毎に一時的に記録する短周期データ記録手段と、この短周期データ記録手段に記録されている制御量PVに規定以上の変化があった場合のみ、この制御量PVに規定以上の変化があった期間のデータを前記短周期データ記録手段から読み出して保存する短周期データ保存手段とを備え、前記短周期データ保存手段は、前記第1の周期において前記短周期データ記録手段に記録された制御量PVの最大値と最小値との差が所定の制御量規定値以上である場合に、制御量PVに規定以上の変化があったと見なし、この規定以上の変化があった第1の周期におけるデータを前記短周期データ記録手段から読み出して保存することを特徴とするものである。
また、本発明のPIDコントローラの1構成例において、前記第1の周期は、前記操作量MVが算出される制御周期よりも長い周期であり、所定の倍率αによって、PIDパラメータの積分時間TIのα倍の値として一律に決定され、前記第2の周期は、前記制御周期と同一もしくは前記制御周期よりも長い周期で、かつ前記第1の周期よりも短い周期である。
また、本発明のPIDコントローラの1構成例において、制御量PVの規定以上の変化を検出するための制御量規定値は、所定の倍率βによって、PIDパラメータの比例帯PBのβ倍の値として一律に決定されることを特徴とするものである。
また、本発明のPIDコントローラの1構成例は、さらに、前記短周期データ保存手段が保存したデータが規定時間分以上のデータに到達したときに、前記短周期データ保存手段が保存したデータを上位装置によって読み込むようにオペレータに通知する読込指示手段を備えることを特徴とするものである。
また、本発明のPIDコントローラの1構成例において、前記長周期データ保存手段は、さらに、前記操作量MVの時系列データと前記設定値SPの時系列データとを前記第1の周期毎に保存し、前記短周期データ記録手段は、さらに、前記操作量MVの時系列データと前記設定値SPの時系列データとを前記第2の周期毎に一時的に記録し、前記短周期データ保存手段は、さらに、前記制御量PVに規定以上の変化があった期間の前記操作量MVの時系列データと前記設定値SPの時系列データとを前記短周期データ記録手段から読み出して保存することを特徴とするものである。
また、本発明のデータ収集方法は、PID制御演算により設定値SPと制御量PVに基づき操作量MVを算出する操作量算出ステップと、この操作量算出ステップで算出した操作量MVを制御対象に出力する操作量出力ステップと、前記制御量PVの時系列データを第1の周期毎に保存する長周期データ保存ステップと、前記制御量PVの時系列データを前記第1の周期よりも短い第2の周期毎に一時的に記録する短周期データ記録ステップと、この短周期データ記録ステップで記録した制御量PVに規定以上の変化があった場合のみ、この制御量PVに規定以上の変化があった期間のデータを、前記短周期データ記録ステップで記録したデータから読み出して保存する短周期データ保存ステップとを含み、前記短周期データ保存ステップは、前記第1の周期において前記短周期データ記録ステップで記録した制御量PVの最大値と最小値との差が所定の制御量規定値以上である場合に、制御量PVに規定以上の変化があったと見なし、この規定以上の変化があった第1の周期におけるデータを前記短周期データ記録ステップで記録したデータから読み出して保存するステップを含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、短周期データ記録手段に記録されている制御量PVに規定以上の変化があった場合のみ、制御量PVに規定以上の変化があった期間のデータを短周期データ記録手段から読み出して保存するようにしたので、第1の周期内の制御量PVの変化量が顕著である場合や、第1の周期内に制御量PVの顕著な極大点あるいは極小点が存在した場合に、漏らすことなくデータを収集することができ、制御量PVに想定外に速い変化が生じることに起因するデータ収集のミスを低減することができる。
また、本発明では、第1の周期をPIDパラメータの積分時間TIのα倍の値とすることにより、PIDコントローラの設定作業を行なうオペレータの負担を軽減することができる。
また、本発明では、制御量PVの規定以上の変化を検出するための制御量規定値をPIDパラメータの比例帯PBのβ倍の値とすることにより、PIDコントローラの設定作業を行なうオペレータの負担を軽減することができる。
また、本発明では、短周期データ保存手段が保存したデータが規定時間分以上のデータに到達したときに、短周期データ保存手段が保存したデータを上位装置によって読み込むようにオペレータに通知することにより、短周期データ保存手段のデータ保存の余裕量が少なくなったことをオペレータに伝えることができる。
本発明の実施の形態に係るPIDコントローラの構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る加熱制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係るPIDコントローラの動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係るPIDコントローラのデータ収集の動作を説明する図である。
[発明の原理]
発明者は、上記の問題を見出したことに基づき、また想定外のことは一般的には時間的に少ないことに着眼し、制御量PVに規定以上の変化が発生したケースを、特殊な状況での活用を広げていくための活用対象とすることに想到した。従来から行われているデータ収集の周期である長周期や、制御量PVの規定以上の変化を検出するための規定値は、PIDパラメータに基づいて決めることができる。
具体的には、長周期間隔において短周期のデータを一時的に記録し、その長周期の間に制御量PVに規定以上の変化があった場合のみ、一時的に記録した短周期のデータを保存する。このようにすることにより、制御量PVに想定外に速い変化が生じることに起因するデータ収集のミスを低減することができる。
なお、温調計などの簡易型のPIDコントローラ内のデータ収集機能を利用することで、制御系の速い変化を確実に捕えることができるようになるが、一方でPIDコントローラの記憶容量は制限される。したがって、記憶容量を十分に確保できる上位装置(例えばPC(Personal Computer))によってデータを読み込むようにオペレータに通知する機能や、データを上位装置に自動転送してPIDコントローラのデータ領域の上書きを許容する状態に戻す機能を併用するのが好ましい。
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係るPIDコントローラの構成を示すブロック図である。PIDコントローラは、従来からPIDコントローラに設けられている一般的構成である制御機能部1と、本実施の形態の特徴的構成であるデータ収集機能部2とを備えている。
制御機能部1は、設定値SPをコントローラ外部から入力する設定値入力部10と、制御量PVを計測器から入力する制御量入力部11と、PID制御演算により設定値SPと制御量PVに基づき操作量MVを算出する操作量算出部12と、操作量MVをコントローラ外部に出力する操作量出力部13とを備えている。
データ収集機能部2は、現在の日時を計時する時計14と、制御量PVの時系列データと操作量MVの時系列データと設定値SPの時系列データとを第1の周期毎に保存する長周期データ保存部15と、制御量PVの時系列データと操作量MVの時系列データと設定値SPの時系列データとを第1の周期よりも短い第2の周期毎に一時的に記録する短周期データ記録部16と、第1の周期において短周期データ記録部16に記録された制御量PVに規定以上の変化があった場合のみ、この制御量PVに規定以上の変化があった第1の周期におけるデータを短周期データ記録部16から読み出して保存する短周期データ保存部17と、短周期データ保存部17が保存したデータが規定時間分以上のデータに到達したときに、短周期データ保存部17が保存したデータを上位装置によって読み込むようにオペレータに通知する読込指示部18とを備えている。
図2は本実施の形態の適用対象となる加熱制御装置の構成を示すブロック図である。加熱制御装置は、処理対象の被加熱物を加熱する加熱処理炉100と、電気ヒータ101と、加熱処理炉100内の温度を計測する温度センサ102と、加熱処理炉100内の温度を制御するPIDコントローラ103と、電力調整器104と、電力供給回路105とから構成される。
PIDコントローラ103は、温度センサ102が計測した制御量PV(温度)が設定値SPと一致するように操作量MVを算出する。設定値SPは例えばオペレータによって設定される。電力調整器104は、操作量MVに応じた電力を決定し、この決定した電力を電力供給回路105を通じて電気ヒータ101に供給する。こうして、PIDコントローラ103は、加熱処理炉100内の被加熱物の温度を制御する。図1の制御機能部1とデータ収集機能部2とはPIDコントローラ103に実装される。
次に、本実施の形態の動作を図3を参照して説明する。設定値SPは、オペレータなどによって設定され、設定値入力部10を介して操作量算出部12と長周期データ保存部15と短周期データ記録部16とに入力される(図3ステップS1)。
制御量PVは、計測器(図2の例では温度センサ102)によって計測され、制御量入力部11を介して操作量算出部12と長周期データ保存部15と短周期データ記録部16とに入力される(図3ステップS2)。
操作量算出部12は、以下の伝達関数式のようなPID制御演算により設定値SPと制御量PVに基づき操作量MVを算出する(図3ステップS3)。
MV=(100/PB){1+(1/TIs)+TDs}(SP−PV)
・・・(1)
式(1)において、PBは比例帯、TIは積分時間、TDは微分時間、sはラプラス演算子である。
操作量出力部13は、操作量算出部12によって算出された操作量MVを制御対象に出力する(図3ステップS4)。図2の例では、電力調整器104が操作量MVの実際の出力先となる。
次に、長周期データ保存部15は、長周期データを保存すべきタイミングになると(図3ステップS5においてYES)、制御量入力部11から入力された制御量PVと操作量算出部12によって算出された操作量MVと設定値入力部10から入力された設定値SPとを、収集すべきデータとして保存する(図3ステップS6)。このとき、長周期データ保存部15は、制御量PVと操作量MVと設定値SPとからなるデータセットに、時計14から得られる現在時刻の情報を付加して記録する。
長周期データ保存部15は、制御周期よりも長い第1の周期T1毎にデータを保存する。したがって、制御動作が継続し、ステップS5,S6の処理が第1の周期T1毎に繰り返し実行されると、制御量PVの時系列データと操作量MVの時系列データと設定値SPの時系列データとが長周期データ保存部15に保存されることになる。
一方、短周期データ記録部16は、短周期データを記録すべきタイミングになると(図3ステップS7においてYES)、制御量入力部11から入力された制御量PVと操作量算出部12によって算出された操作量MVと設定値入力部10から入力された設定値SPとを、収集すべきデータとして一時的に記録する(図3ステップS8)。このとき、短周期データ記録部16は、制御量PVと操作量MVと設定値SPとからなるデータセットに、時計14から得られる現在時刻の情報を付加して記録する。
短周期データ記録部16は、制御周期と同一もしくは制御周期よりも長い周期で、かつ第1の周期T1よりも短い第2の周期T2(T2<T1)毎にデータを記録する。したがって、制御動作が継続し、ステップS7,S8の処理が第2の周期T2毎に繰り返し実行されると、制御量PVの時系列データと操作量MVの時系列データと設定値SPの時系列データとが短周期データ記録部16に記録されることになる。
次に、短周期データ保存部17は、前記第1の周期T1において短周期データ記録部16に記録された制御量PVに規定以上の変化があった場合のみ(図3ステップS9においてYES)、この制御量PVに規定以上の変化があった第1の周期T1におけるデータ(制御量PVの時系列データと操作量MVの時系列データと設定値SPの時系列データ)を短周期データ記録部16から読み出して保存する(図3ステップS10)。すなわち、原則的に短周期データ保存部17に保存するタイミングは、長周期データを保存すべきタイミングと同じかやや遅れる程度でよく、短周期データ保存部17に保存するデータは、第1の周期T1の期間において短周期データ記録部16に記録された全てのデータになる。
ここで、制御量PVの規定以上の変化とは、第1の周期T1において短周期データ記録部16に記録された制御量PVの最大値と最小値との差が所定の制御量規定値PVth以上であることを言う。したがって、短周期データ保存部17は、第1の周期T1において短周期データ記録部16に記録された制御量PVに極大値が存在する場合は、その極大値が最大値の候補となり、最小値との差が制御量規定値PVth以上であったときに、制御量PVに規定以上の変化があったと見なし、この第1の周期T1において短周期データ記録部16に記録されたデータ(制御量PVの時系列データと操作量MVの時系列データと設定値SPの時系列データ)を短周期データ記録部16から読み出して保存することになる。
また、短周期データ保存部17は、第1の周期T1において短周期データ記録部16に記録された制御量PVに極小値が存在する場合は、その極小値が最小値の候補となり、最大値との差が制御量規定値PVth以上であったときに、制御量PVに規定以上の変化があったと見なし、この第1の周期T1において短周期データ記録部16に記録されたデータを短周期データ記録部16から読み出して保存することになる。
また、第1の周期T1において短周期データ記録部16に記録された制御量PVのデータが単調減少のデータであれば、極大値および極小値が存在しないので、短周期データ保存部17は、この第1の周期T1において短周期データ記録部16に記録された制御量PVの最大値と最小値との差が制御量規定値PVth以上であったときに、制御量PVに規定以上の変化があったと見なし、最大値から最小値までの期間に含まれるデータを短周期データ記録部16から読み出して保存することになる。
また、第1の周期T1において短周期データ記録部16に記録された制御量PVのデータが単調増加のデータであれば、短周期データ保存部17は、この第1の周期T1において短周期データ記録部16に記録された制御量PVの最小値と最大値との差が制御量規定値PVth以上であったときに、制御量PVに規定以上の変化があったと見なし、最小値から最大値までの期間に含まれるデータを短周期データ記録部16から読み出して保存することになる。
短周期データ記録部16によるデータの一時的記録と、長周期データ保存部15および短周期データ保存部17によるデータの保存との違いは、短周期データ記録部16ではデータの上書きが許容されており、短周期データ記録部16の記憶容量の上限に達すると、古い方のデータから順に新しいデータに上書きされていくのに対し、長周期データ保存部15および短周期データ保存部17ではデータの上書きが禁止されており、記憶容量の上限に達すると、保存されているデータを削除しない限り、新たなデータを保存することができない点である。短周期データ記録部16と短周期データ保存部17の記憶容量は、少なくとも長周期(第1の周期T1)の時間分の短周期データの容量よりも大きい容量であればよい。
読込指示部18は、短周期データ保存部17が保存したデータが規定時間分以上のデータに到達したときに(図3ステップS11)、短周期データ保存部17が保存したデータを上位装置(例えばPC)によって読み込むようにオペレータに通知する(図3ステップS12)。通知方法としては、例えばオペレータが催促を認識できるように、LEDを点滅または点灯させる等の方法がある。
以上のようなステップS1〜S12の処理が、例えばオペレータからの指令によって制御が終了するまで(図3ステップS13においてYES)、制御周期毎に繰り返し実行される。
図4(A)、図4(B)は本実施の形態のPIDコントローラのデータ収集の動作を説明する図であり、図4(A)は制御量PVの変化の1例を示し、図4(B)は操作量MVの変化の1例を示している。図4(A)の縦軸は制御量PV、横軸は時間、図4(B)の縦軸は操作量MV、横軸は時間である。ここでは、設定値SPを温度設定値、制御量PVを温度計測値とし、例えば図2に示した加熱制御装置においてデータを収集する場合について説明する。上記のとおり、T1は長周期データ保存部15がデータを保存する第1の周期(長周期)である。
図4(A)、図4(B)の例では、設定値SPが150℃から300℃に変更されたときに制御量PVが上昇しているが、想定外の外乱が生じて、時刻t1から時刻t2までの第1の周期T1(長周期)において最大値(時刻t1の制御量PV)と最小値(時刻t2の制御量PV)との差が制御量規定値PVth以上となり、時刻t1から時刻t2までの第1の周期T1における全てのデータが短周期データ保存部17に保存される。また、時刻t2から時刻t3までの第1の周期T1(長周期)において最小値である極小値と最大値(時刻t3の制御量PV)との差が制御量規定値PVth以上となり、時刻t2から時刻t3までの第1の周期T1における全てのデータが短周期データ保存部17に保存される。
制御動作の周波数特性(PID演算の性質上計算可能)よりも高周波の外乱などが印加した場合などにおいて、短周期データを保存することが必要になる。したがって、PIDパラメータの積分時間TIのα倍(例えばα=0.5)を長周期(第1の周期T1)とし(T1=αTI)、PIDパラメータの比例帯PBのβ倍(例えばβ=0.2)を制御量規定値PVthとすれば(PVth=βPB)、オペレータが適度な設定をする際に迷わずに済むようになる。
本実施の形態では、第1の周期T1において短周期データ記録部16に記録された制御量PVに規定以上の変化があった場合のみ、この制御量PVに規定以上の変化があった期間のデータを短周期データ記録部16から読み出して保存するようにしたので、長周期内の制御量PVの変化量が顕著である場合や、長周期内に制御量PVの顕著な極大点あるいは極小点が存在した場合に、漏らすことなくデータを収集することができる。すなわち、制御量PVに想定外に速い変化が生じることに起因するデータ収集のミスを低減することができる。
また、本実施の形態では、データ収集機能部2に読込指示部18を設けているが、自動転送手段を設けるようにしてもよい。この自動転送手段は、短周期データ保存部17が保存したデータが規定時間分以上のデータに到達したときに、短周期データ保存部17が保存したデータを通信ネットワークを介して上位装置に自動的に転送し、短周期データ保存部17が保存したデータを削除する。これにより、短周期データ保存部17をデータの上書きが可能な状態に戻すことができる。
また、本実施の形態では、短周期データ記録部16が、制御量PVの時系列データと操作量MVの時系列データと設定値SPの時系列データとを記録し、長周期データ保存部15と短周期データ保存部17とが、制御量PVの時系列データと操作量MVの時系列データと設定値SPの時系列データとを保存しているが、操作量MVの時系列データと設定値SPの時系列データを記録・保存することは本発明の必須の要件ではない。短周期データ記録部16は、制御量PVの時系列データのみを記録し、長周期データ保存部15と短周期データ保存部17とは、制御量PVの時系列データのみを保存するようにしてもよい。
本実施の形態で説明したPIDコントローラは、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って本実施の形態で説明した処理を実行する。
本発明は、データ収集機能を備えたPIDコントローラに適用することができる。
1…制御機能部、2…データ収集機能部、10…設定値入力部、11…制御量入力部、12…操作量算出部、13…操作量出力部、14…時計、15…長周期データ保存部、16…短周期データ記録部、17…短周期データ保存部、18…読込指示部。

Claims (10)

  1. PID制御演算により設定値SPと制御量PVに基づき操作量MVを算出する操作量算出手段と、
    この操作量算出手段によって算出された操作量MVを制御対象に出力する操作量出力手段と、
    前記制御量PVの時系列データを第1の周期毎に保存する長周期データ保存手段と、
    前記制御量PVの時系列データを前記第1の周期よりも短い第2の周期毎に一時的に記録する短周期データ記録手段と、
    この短周期データ記録手段に記録されている制御量PVに規定以上の変化があった場合のみ、この制御量PVに規定以上の変化があった期間のデータを前記短周期データ記録手段から読み出して保存する短周期データ保存手段とを備え
    前記短周期データ保存手段は、前記第1の周期において前記短周期データ記録手段に記録された制御量PVの最大値と最小値との差が所定の制御量規定値以上である場合に、制御量PVに規定以上の変化があったと見なし、この規定以上の変化があった第1の周期におけるデータを前記短周期データ記録手段から読み出して保存することを特徴とするPIDコントローラ。
  2. 請求項記載のPIDコントローラにおいて、
    前記第1の周期は、前記操作量MVが算出される制御周期よりも長い周期であり、所定の倍率αによって、PIDパラメータの積分時間TIのα倍の値として一律に決定され、
    前記第2の周期は、前記制御周期と同一もしくは前記制御周期よりも長い周期で、かつ前記第1の周期よりも短い周期であることを特徴とするPIDコントローラ。
  3. 請求項1または2記載のPIDコントローラにおいて、
    制御量PVの規定以上の変化を検出するための制御量規定値は、所定の倍率βによって、PIDパラメータの比例帯PBのβ倍の値として一律に決定されることを特徴とするPIDコントローラ。
  4. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のPIDコントローラにおいて、
    さらに、前記短周期データ保存手段が保存したデータが規定時間分以上のデータに到達したときに、前記短周期データ保存手段が保存したデータを上位装置によって読み込むようにオペレータに通知する読込指示手段を備えることを特徴とするPIDコントローラ。
  5. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のPIDコントローラにおいて、
    前記長周期データ保存手段は、さらに、前記操作量MVの時系列データと前記設定値SPの時系列データとを前記第1の周期毎に保存し、
    前記短周期データ記録手段は、さらに、前記操作量MVの時系列データと前記設定値SPの時系列データとを前記第2の周期毎に一時的に記録し、
    前記短周期データ保存手段は、さらに、前記制御量PVに規定以上の変化があった期間の前記操作量MVの時系列データと前記設定値SPの時系列データとを前記短周期データ記録手段から読み出して保存することを特徴とするPIDコントローラ。
  6. PID制御演算により設定値SPと制御量PVに基づき操作量MVを算出する操作量算出ステップと、
    この操作量算出ステップで算出した操作量MVを制御対象に出力する操作量出力ステップと、
    前記制御量PVの時系列データを第1の周期毎に保存する長周期データ保存ステップと、
    前記制御量PVの時系列データを前記第1の周期よりも短い第2の周期毎に一時的に記録する短周期データ記録ステップと、
    この短周期データ記録ステップで記録した制御量PVに規定以上の変化があった場合のみ、この制御量PVに規定以上の変化があった期間のデータを、前記短周期データ記録ステップで記録したデータから読み出して保存する短周期データ保存ステップとを含み、
    前記短周期データ保存ステップは、前記第1の周期において前記短周期データ記録ステップで記録した制御量PVの最大値と最小値との差が所定の制御量規定値以上である場合に、制御量PVに規定以上の変化があったと見なし、この規定以上の変化があった第1の周期におけるデータを前記短周期データ記録ステップで記録したデータから読み出して保存するステップを含むことを特徴とするデータ収集方法。
  7. 請求項記載のデータ収集方法において、
    前記第1の周期は、前記操作量MVが算出される制御周期よりも長い周期であり、所定の倍率αによって、PIDパラメータの積分時間TIのα倍の値として一律に決定され、
    前記第2の周期は、前記制御周期と同一もしくは前記制御周期よりも長い周期で、かつ前記第1の周期よりも短い周期であることを特徴とするデータ収集方法。
  8. 請求項6または7記載のデータ収集方法において、
    制御量PVの規定以上の変化を検出するための制御量規定値は、所定の倍率βによって、PIDパラメータの比例帯PBのβ倍の値として一律に決定されることを特徴とするデータ収集方法。
  9. 請求項乃至のいずれか1項に記載のデータ収集方法において、
    さらに、前記短周期データ保存ステップで保存したデータが規定時間分以上のデータに到達したときに、前記短周期データ保存ステップで保存したデータを上位装置によって読み込むようにオペレータに通知する読込指示ステップを含むことを特徴とするデータ収集方法。
  10. 請求項乃至のいずれか1項に記載のデータ収集方法において、
    前記長周期データ保存ステップは、さらに、前記操作量MVの時系列データと前記設定値SPの時系列データとを前記第1の周期毎に保存するステップを含み、
    前記短周期データ記録ステップは、さらに、前記操作量MVの時系列データと前記設定値SPの時系列データとを前記第2の周期毎に一時的に記録するステップを含み、
    前記短周期データ保存ステップは、さらに、前記制御量PVに規定以上の変化があった期間の前記操作量MVの時系列データと前記設定値SPの時系列データとを、前記短周期データ記録ステップで記録したデータから読み出して保存するステップを含むことを特徴とするデータ収集方法。
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