JP5965286B2 - 制御装置および制御方法 - Google Patents
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Description
小型から中型の金属焼鈍炉やセラミック焼成炉では、頻繁に処理対象の入替えがあるため、この不要な時間帯の累積は、炉の処理能力に大きな影響を与える。
また、本発明の制御装置の1構成例は、さらに、制御量PVが予め規定された閾値以上ではないときに、前記外乱認識手段に対して前記降温外乱の印加を示す信号を出力し、制御量PVが前記閾値以上になったときに、前記外乱認識手段に対して前記降温外乱の停止を示す信号を出力する外乱判断手段を備えることを特徴とするものである。
また、本発明の制御装置の1構成例において、制御装置が制御する対象は加熱処理炉の温度であり、降温外乱印加時とは前記加熱処理炉の入替口開放時であり、降温外乱停止直後の昇温外乱印加時とは前記加熱処理炉の入替口開放から入替口閉鎖への切換時であり、降温外乱が印加されていない通常制御時とは前記加熱処理炉の入替口閉鎖状態での継続的な高温維持時である。
市販の温調計などは、一般的なパラメータとして操作量下限値OL、操作量上限値OHを備える。この操作量上限値OHが100%に設定されていれば、状況によっては不必要に大きい操作量MVを出力として許容してしまう。一方で、操作量下限値OL、操作量上限値OHは、PID制御演算の積分動作に対するアンチリセットワインドアップ処理の指標としても利用されるが、基本的には算出された操作量MVに対するリミット処理の指標なので、操作量下限値OLと操作量上限値OHを変更しても、PID制御ループの周波数特性に影響はない。すなわち、操作量下限値OLと操作量上限値OHを変更することにより、制御系が不安定化するようなリスクはない。
一時的に設定すべき小さな操作量上限値OH2については、精密調整する必要はないにしても、概ね適度な値が必要である。また、制御対象によっては、適度な値が変動することもあり得る。
図6(A)、図6(B)で説明したメカニズムに従えば、降温外乱が印加されていないときの平均的な操作量MVが、昇温からのリカバリー後に必要な操作量MVになるのであるから、この平均的な操作量MVの値を指標にすれば、操作量上限値OH2を自動決定できる。例えば、金属焼鈍炉などの加熱処理プロセスであれば、入替口閉鎖時に継続的に高温に維持するための操作量MVの値が指標になる。仮にこの値が40%ならば、操作量上限値OHをやや大きめの50%程度に自動決定するという手順になる。
上記のように、操作量上限値OHをOH2に一時的に設定する手法にとっては、降温外乱が急停止するタイミングを適切に検知することが最も重要である。温度制御の温調計は降温外乱を発生させる側のコントローラ(例えば入替口の開閉動作を制御するコントローラ)とは別のものになるので、降温外乱の停止(例えば入替口閉鎖切換)を認識する信号は、温度制御のPID制御ループから取り込むのではなく、外部から通信機能により取り込むのが標準的な計装になる。しかし、必ずしも通信の配線が可能とは限らないし、通信ミスが発生しないとも限らない。
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態は、上記発明の原理1、発明の原理2に対応するものである。図1は本実施の形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。制御装置は、操作量MVを算出する制御演算部1と、制御演算部1で算出された操作量MVに対し、操作量上限値OHにより上限リミット処理を行なう上限リミット処理部2と、少なくとも降温外乱印加時(入替口開放時)に適用される操作量上限値OH1を予め記憶する第1記憶部3と、降温外乱停止直後の昇温外乱印加時(入替口閉鎖切換時)に適用される操作量上限値OH2(OH2<OH1)を予め記憶する第2記憶部4と、少なくとも降温外乱印加時には、操作量上限値OH1を上限リミット処理部2で使用する操作量上限値OHとして設定し、降温外乱停止直後の実質的な昇温外乱印加時には、操作量上限値OH2を上限リミット処理部2で使用する操作量上限値OHとして設定する上限値設定部5と、降温外乱の印加(入替口開放)を示す信号が入力されたときに、降温外乱の印加を上限値設定部5に通知し、降温外乱の停止(入替口閉鎖)を示す信号が入力されたときに、降温外乱の停止を上限値設定部5に通知する外乱認識部6と、降温外乱が印加されていない通常制御時(入替口閉鎖での継続的な高温維持時)の平均的な操作量MVmを検出する操作量検出部7と、平均的な操作量MVmに基づいて操作量上限値OH2を決定し、第2記憶部4に記憶させる自動決定部8とを備えている。
本実施の形態においても、制御装置を適用する加熱処理装置は従来と同様であるので、図5の符号を用いて説明する。制御装置は、図5に示した温調計105に実装される。なお、制御装置には、通常、操作量MVを下限リミット処理する下限リミット処理部も備えられているが、本発明においては必須の構成要件ではないので、下限リミット処理部の記載を省略している。
通常制御時(図2ステップS1においてNO)、上限値設定部5は、第1記憶部3に記憶されている操作量上限値OH1を、上限リミット処理部2で使用する操作量上限値OHとして設定する(図2ステップS2)。
上限リミット処理部2は、制御演算部1で算出された操作量MVを、操作量上限値OH=OH1以下の値に制限する上限リミット処理を行ない、処理後の操作量MVを制御対象(実際の出力先は電力調整器106)に出力する(図2ステップS4)。つまり、上限リミット処理部2は、操作量MVが操作量上限値OH=OH1より大きい場合、操作量MV=OH=OH1として出力する。
MVm=MV/(1+Ts) ・・・(1)
式(1)において、Tは予め定められたダンピング時定数、sはラプラス演算子である。ダンピング時定数Tは、操作量MVの十分な平滑化・平均化になるように適宜調整しておけばよい。
OH2=αMVm ・・・(2)
式(2)において、αは予め定められた倍率である(α>1.0)。倍率αとしては、1.2〜1.5程度の値が妥当である。
以上のようなステップS1〜S7の処理が、制御周期毎に繰り返し実行される。
外乱認識部6は、図3(A)、図3(B)の時刻t1において降温外乱の印加(入替口開放)を示す信号が外部から入力されると(図2ステップS1においてYES)、降温外乱が印加されたことを上限値設定部5と自動決定部8に通知する。降温外乱の印加(入替口開放)を示す信号は、例えば入替口の開閉動作を制御するコントローラ(不図示)から入力される。
降温外乱印加時には、操作量検出部7は、平均的な操作量MVmを検出する動作を停止する(図2ステップS10)。したがって、自動決定部8による操作量上限値OH2の更新も行われないことになる。
以上のようなステップS11,S12の処理が、降温外乱が停止するまで(図2ステップS13においてYES)、制御周期毎に繰り返し実行される。
外乱認識部6は、図3(A)、図3(B)の時刻t2において降温外乱の停止(入替口閉鎖)を示す信号が外部から入力されると(図2ステップS13においてYES)、降温外乱が停止したことを上限値設定部5に通知する。降温外乱の停止(入替口閉鎖)を示す信号は、例えば入替口の開閉動作を制御するコントローラから入力される。
制御演算部1は、ステップS3と同様に操作量MVを算出する(図2ステップS15)。
以上のようなステップS15,S16の処理が、昇温外乱リカバリー時の動作になるまで(図2ステップS17においてYES)、制御周期毎に繰り返し実行される。
上限値設定部5は、降温外乱の停止時(入替口閉鎖への切換時)から予め規定された時間が経過すると(図2ステップS17においてYES)、第1記憶部3に記憶されている操作量上限値OH1を、上限リミット処理部2で使用する操作量上限値OHとして設定する(図2ステップS18)。
また、本実施の形態では、入替口閉鎖への切換時からの経過時間が予め規定された時間を超えたときに昇温外乱リカバリー時と見なしているが(ステップS17)、制御の整定状態によって昇温外乱リカバリー時か否かを判断してもよいし、別の判断指標によって判断してもよい。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上記発明の原理1、発明の原理3に対応するものである。図4は本実施の形態に係る制御装置の構成を示すブロック図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の制御装置は、制御演算部1と、上限リミット処理部2と、第1記憶部3と、第2記憶部4と、上限値設定部5と、外乱認識部6と、制御量PV(炉内温度計測値)が予め規定された閾値以上ではないときに、外乱認識部6に対して降温外乱の印加を示す信号を出力し、制御量PVが閾値以上になったときに、外乱認識部6に対して降温外乱の停止を示す信号を出力する外乱判断部9とを備えている。
本実施の形態においても、制御装置の処理の流れは第1の実施の形態と同様であるので、図2を用いて本実施の形態の制御装置の動作を説明する。
他の動作は第1の実施の形態で説明したとおりである。
本実施の形態は、第1の実施の形態と組み合わせてもよい。つまり、本実施の形態は、第1の実施の形態において通信の配線を敷設できない場合や通信ミスが発生した場合のバックアップ的な構成を提供するものである。
Claims (8)
- 制御対象を加熱するヒータと、制御対象の温度を制御量PVとして計測する温度センサとを備えた制御系における制御装置であって、
制御量PVと外部から入力された設定値SPに基づいて操作量MVを算出する制御演算手段と、
この制御演算手段で算出された操作量MVを操作量上限値OH以下の値に制限する上限リミット処理を行って上限リミット処理後の操作量MVを前記ヒータに出力する上限リミット処理手段と、
制御量PVが設定値SPよりも低くなる降温外乱の印加時に少なくとも適用される操作量上限値OH1を予め記憶する第1記憶手段と、
降温外乱停止直後に制御量PVが設定値SPよりも高くなる昇温外乱の印加時に適用される操作量上限値OH2(OH2<OH1)を予め記憶する第2記憶手段と、
少なくとも降温外乱印加時には、前記操作量上限値OH1を前記上限リミット処理手段で使用する操作量上限値OHとして設定し、降温外乱停止直後の昇温外乱印加時には、前記操作量上限値OH2を前記上限リミット処理手段で使用する操作量上限値OHとして設定する上限値設定手段と、
降温外乱の印加を示す信号が入力されたときに、降温外乱の印加を前記上限値設定手段に通知し、降温外乱の停止を示す信号が入力されたときに、降温外乱の停止を前記上限値設定手段に通知する外乱認識手段とを備えることを特徴とする制御装置。 - 請求項1記載の制御装置において、
さらに、降温外乱が印加されていないときの平均的な操作量MVである操作量MVmを検出する操作量検出手段と、
前記平均的な操作量MVmに基づいて前記操作量上限値OH2を決定し、前記第2記憶手段に記憶させる決定手段とを備えることを特徴とする制御装置。 - 請求項1または2記載の制御装置において、
さらに、制御量PVが予め規定された閾値以上ではないときに、前記外乱認識手段に対して前記降温外乱の印加を示す信号を出力し、制御量PVが前記閾値以上になったときに、前記外乱認識手段に対して前記降温外乱の停止を示す信号を出力する外乱判断手段を備えることを特徴とする制御装置。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の制御装置において、
制御装置が制御する対象は加熱処理炉の温度であり、
降温外乱印加時とは前記加熱処理炉の入替口開放時であり、
降温外乱停止直後の昇温外乱印加時とは前記加熱処理炉の入替口開放から入替口閉鎖への切換時であり、
降温外乱が印加されていない通常制御時とは前記加熱処理炉の入替口閉鎖状態での継続的な高温維持時であることを特徴とする制御装置。 - 制御対象を加熱するヒータと、制御対象の温度を制御量PVとして計測する温度センサとを備えた制御系における制御方法であって、
制御量PVと外部から入力された設定値SPに基づいて操作量MVを算出する制御演算ステップと、
この制御演算ステップで算出した操作量MVを操作量上限値OH以下の値に制限する上限リミット処理を行って上限リミット処理後の操作量MVを前記ヒータに出力する上限リミット処理ステップと、
制御量PVが設定値SPよりも低くなる降温外乱の印加を示す信号が入力されたときに、降温外乱が印加されたと認識し、降温外乱の停止を示す信号が入力されたときに、降温外乱が停止したと認識する外乱認識ステップと、
この外乱認識ステップの認識結果に応じて、少なくとも降温外乱印加時には、第1記憶手段に予め記憶されている操作量上限値OH1を前記上限リミット処理ステップで使用する操作量上限値OHとして設定し、降温外乱停止直後に制御量PVが設定値SPよりも高くなる昇温外乱の印加時には、第2記憶手段に予め記憶されている操作量上限値OH2(OH2<OH1)を前記上限リミット処理ステップで使用する操作量上限値OHとして設定する上限値設定ステップとを備えることを特徴とする制御方法。 - 請求項5記載の制御方法において、
さらに、降温外乱が印加されていないときの平均的な操作量MVである操作量MVmを検出する操作量検出ステップと、
前記平均的な操作量MVmに基づいて前記操作量上限値OH2を決定し、前記第2記憶手段に記憶させる決定ステップとを備えることを特徴とする制御方法。 - 請求項5または6記載の制御方法において、
さらに、制御量PVが予め規定された閾値以上ではないときに、前記降温外乱の印加を示す信号を出力し、制御量PVが前記閾値以上になったときに、前記降温外乱の停止を示す信号を出力する外乱判断ステップを備えることを特徴とする制御方法。 - 請求項5乃至7のいずれか1項に記載の制御方法において、
制御する対象は加熱処理炉の温度であり、
降温外乱印加時とは前記加熱処理炉の入替口開放時であり、
降温外乱停止直後の昇温外乱印加時とは前記加熱処理炉の入替口開放から入替口閉鎖への切換時であり、
降温外乱が印加されていない通常制御時とは前記加熱処理炉の入替口閉鎖状態での継続的な高温維持時であることを特徴とする制御方法。
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