JPH0791590B2 - 連続焼鈍炉の板温制御における速度変更方法 - Google Patents

連続焼鈍炉の板温制御における速度変更方法

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JPH0791590B2
JPH0791590B2 JP14089887A JP14089887A JPH0791590B2 JP H0791590 B2 JPH0791590 B2 JP H0791590B2 JP 14089887 A JP14089887 A JP 14089887A JP 14089887 A JP14089887 A JP 14089887A JP H0791590 B2 JPH0791590 B2 JP H0791590B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、連続焼鈍炉における板温制御方法に関する。
〔従来の技術〕
ストリップの連続焼鈍炉では加熱装置として連続加熱炉
が用いられ、そしてストリップの品質の面から特有の熱
サイクルが定められている。かかる連続焼鈍炉では連続
加熱炉出側の目標板温に対する板温偏差は、品質上重要
な影響を及ぼす。このため炉の出口に板温計を設けこの
信号をフィードバックして連続加熱炉の炉温,燃料流量
あるいはストリップの通板速度を操作し、板温を目標温
度にしようとする板温制御装置を備えている。操作量と
して炉温を選んだ場合は、炉温が操作量(炉温設定値)
と一致するように燃料流量が変化するため、間接的に燃
料流量を操作することに等しい。
操作量として炉温あるいは燃料流量を選んだ場合は、通
板速度を選んだ場合より制御系の応答速度が遅い。これ
は例えばラジアントチューブ炉などの間接加熱炉では、
燃料流量を変更してから炉温が変化するまでに大きな時
間遅れがあるためである。このため、応答速度を速くす
るためには通板速度を操作量とする方が有効であり、こ
のような方式の板温制御方法の例としては、特公昭60−
28886号公報に記載の方法がある。この方法は、連続加
熱炉の炉出口板温を検出し、該検出値と目標板温基準値
との偏差をなくすように通板速度を変更することにより
炉出口板温を一定とする連続加熱炉の板温制御方法にお
いて、通板速度,炉温,炉入口板温,およびストリップ
板厚を検出し、これらの検出値に基づき通板速度を変更
した場合の炉出口板温変化を推定し、該推定炉出口板温
変化量および時間と通板速度変更量により板温制御パラ
メータを定めて板温を制御することを特徴とする連続加
熱炉における板温制御方法である。
また特開昭61−190026号公報には、炉出口板温と燃料流
量,炉温,板厚,板幅,通板速度との関係を動的に表現
する可変未知パラメータを含む板温制御モデルを予め設
定し、板厚,板幅あるいは炉出口温度基準の変更(セッ
ト替)に対して、セット替前後の板温推移が最適となる
ような目標板温推移軌道と、通板速度変更量および速度
変更開始の最適タイミングを前もって求め、こうして求
めた目標板温推移軌道に実際の板温が一致するように、
推移中(セット替中)も燃料流量設定値(操作量)を時
々刻々計算・出力する方法が記載されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところが上記従来法の中で前者の方法は、板温を目標に
一致させるために通板速度を変更する方法であるが、定
常状態(速度変更やセット替後の過渡的な板温変化が終
了した状態)でのみ成立する板温制御モデルを用いてお
り、過渡状態においても成立する動的な板温制御モデル
を用いていない。また板温が目標からずれた場合に、炉
温あるいは燃料流量は変更されず通板速度が変更される
ため、通板速度をある目標に保つことは困難である。こ
のため板温を許容範囲内に保ちながら速度をできるだけ
速やかに、生産性に対する要求(生産性をあるレベルに
保持すること、あるいは生産性の最大化)う満たす目標
速度に一致させるような速度変更を行なうことや、この
速度をその後保持することはできない。
また後者の方法においては、通板速度に関しては、セッ
ト替の後のストリップに対する速度設定値が、板温制御
モデルによりセット替の前にプリセット計算され、そし
てその速度設定値への速度変更は、原則としてセット替
時に1回だけ行ない、それ以外ではストリップの通板速
度は一定としている。
従ってセット替以外の期間において、板温制御の操作量
は燃料流量のみである。しかしながらこのような方法で
は、次の2つの問題が生じる。まず第一にセット替以外
の期間において、観測不能な外乱等何らかの原因により
板温制御誤差が生じた場合、燃料流量の調整により誤差
を解消するのであるが、炉全体の熱容量が炉内のストリ
ップの熱容量よりはるかに大きい(10倍以上)ために、
制御誤差を解消するにはかなりの時間(誤差20℃の解消
に7〜12分)を要し、誤差が大きい程時間も長くかか
る。第2の問題は、生産性を最大とする操業を自動的に
行なうことが困難なことである。なぜならば、速度設定
計算に用いる板温制御モデルは観測・予測不可能な何ら
かの要因による誤差を必ず伴うため、セット替後の設定
速度を、セット替後の生産性を最大にする速度(ここで
いう最大速度とは、炉温が設備上許容される上限値のと
き、炉出口板温を目標板温に一致させるような速度)よ
りも、少なくともモデルの誤差のばらつきの分だけ小さ
くして、板温不足の可能性を小さくする必要があり、ま
たこの設定速度が実際のモデル誤差の如何にかかわらず
そのまま保持されるためである。
本発明は連続焼鈍炉の板温制御における上述の如き従来
技術に鑑み、通板速度をセット替時に1回だけ変更する
のではなく、セット替後においても板温,炉温などの実
績値のフィードバックによって所定の周期で通板速度を
変更し、これによって板温制御誤差を速やかに解消する
とともに、操業モードの選択に応じて、生産性の保持ま
たは生産性の最大化を可能とする通板速度の変更方法を
提供することを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
上記目的を達成するための本発明方法は、連続焼鈍炉の
加熱出口の板温と炉温,燃料流量,板厚,板幅,通板速
度との関係を動的に表現する板温制御モデルを予め設定
し、操業中に前記板温制御モデルにより通板速度と燃料
流量とを操作する連続焼鈍炉における板温制御方法にお
いて、所定の制御周期毎に炉温,燃料流量,板厚,板
幅,通板速度および板温の実績値を用いて前記板温制御
モデルにより現時点以降の板温制御誤差を予測算出し、
この予測誤差が許容範囲を超える場合は許容範囲内とな
る速度変更量を前記板温制御モデルを用い算出して速度
設定値を修正し、前記算出した予測誤差が許容範囲内に
ある場合は、炉の操業モードとして生産性保持モードが
選択されているときは、被処理材(ストリップ)の寸法
および目標板温によって定まる通板速度をもとにして速
度設定値を修正し、炉の操業モードとして生産性最大モ
ードが選択されているときは、炉温,燃料流量,板厚,
板幅,通板速度および板温の実績値を用いて前記板温制
御モデルにより炉温が設備上許容される上限値のときに
炉出口板温を目標板温に一致させる速度としての最大速
度を算出し、該算出した最大速度をもとにして速度設定
値を修正し、かつ前記おのおのの速度設定値の修正に応
じて燃料流量を修正することを特徴とする連続焼鈍炉に
おける板温制御方法である。
〔作用〕
以下本発明を詳しく説明する。
本発明における通板速度の変更は、板温制御誤差(実測
板温と目標板温との差)を速やかに解消するとともに、
連続焼鈍ラインの要求される操業モードに応じて生産性
の保持(操業モードとして生産性保持モードが選択され
ている場合、通板速度を最大速度(炉温が設備上許容さ
れる上限値のとき、炉出口板温を目標板温に一致させる
ような速度)のα倍(0<α<1,αは適当な定数とす
る)もしくは生産性の最大化(通板速度を前記最大速度
とする)をはかることを目的とし、次のような考え方に
基づいて所定の周期毎に速度変更量を算出し、得られた
変更量に現在の速度を加えて修正速度設定値とする。
a)板温制御誤差解消のための速度変更 操業中に所定の制御周期毎に、現時点までの炉温,燃料
流量,板厚,板幅,通板速度および板温の実績値を用い
て、板温制御モデルから現時点以降の板温制御誤差を予
測算出する。この予測誤差が予め定めた許容範囲を超え
る場合は、許容範囲内となるような速度変更量を後述す
る板温制御モデルから求めて速度変更を行なう。この速
度変更により板温制御誤差は、燃料流量のみを変更する
場合よりも格段に速やかに解消され、また動的な板温制
御モデルを用いるため精度は高い。
一方予測誤差が許容範囲内にある場合は炉の操業モード
の選択に応じて生産性の保持もしくは生産性の最大化の
ための速度変更を行なう。
b)生産性保持のための速度変更 生産性保持モードが選択されている場合の目標速度は、
前記した生産性を最大とする速度Vmax(ストリップの板
厚,板幅,目標板温により異なる)のα倍(0<α<1,
αは定数)としてストリップ毎に通板前に定められる。
この場合の必要な速度変更量ΔVはΔV=α・Vmax−V
(Vは現在速度)である。速度変更後は、その速度で板
温が目標値に一致するように燃料流量設定値の修正が行
なわれ、最終的に板温は目標値にほぼ一致するが、燃料
流量の変更による板温の変化は、速度変更による板温の
変化よりも格段に遅いために、速度変更量によっては速
度変更直後に板温が一時的に所定の目標範囲をはずれる
ことがあり得る。
このような速度変更時の板温の目標はずれを防ぐため
に、板温制御モデルを用いて速度変更後の板温を予測算
出して、速度変更後に板温が目標範囲をはずれないよう
に、速度変更量ΔVの値を制限する。
c)生産性最大化のための速度変更 生産性最大モードが選択されている場合は、前記生産性
を最大とする速度を、当該ストリップ通板中における直
近の板温,炉温等の実測値を用いて一定周期毎に板温制
御モデルにより算出する。この実績値を用いて算出した
最大速度Vmax2の方が、ストリップ通板前に算出した最
大速度Vmaxよりも精度が高いので、本発明においては実
績値を用いて算出した最大速度Vmax2(算出法は後述)
を基準とし、生産性最大モードが選択されているときの
必要な速度変更量ΔVはΔV=Vmax2−V(Vは現在速
度)として求める。
ただし前記b)の場合と同様に、速度変更時の板温の目
標はずれを防ぐために速度変更量ΔVの値は制限され
る。上記の速度変更の手順をフローチャートで表わすと
第2図のようになる。
速度変更後の燃料流量設定値の修正は、現時点までの炉
温,燃料流量,板厚,板幅,通板速度および板温の実績
値と、現時点以降の目標板温、板厚、板幅、および通板
速度(生産性保持モードの場合はα・Vmax,生産性最大
モードの場合はVmax2)とを用いて板温制御モデルから
現時点以降の燃料流量を算出して行なう。
〔実施例〕
以下図面を参照して本発明の好ましい実施例につき説明
する。第1図は本発明の実施例における制御系の構成を
示す図である。
同図に示す信号線のうち実線はデータの流れ、点線は検
出パルスまたは起動信号を示す。尚、本発明は実際はプ
ロセスコンピュータを用いて制御されるものであり第1
図はその内部を機能的に解り易く示すものである。冷間
圧延されたストリップ100は、加熱炉(加熱帯)102を通
過中はハースロール104により上下方向に多数回往復
し、その間にヒーター106により加熱される。加熱帯102
を出たストリップ100は後続の均熱帯(図示せず)に送
られる。
ヒータ106は一般にはラジアントチューブ108により構成
され、これらラジアントチューブ108からの放射熱によ
りストリップ100を加熱する。ラジアントチューブ108の
熱源としては例えばコークス炉ガス(COG)が利用さ
れ、従ってその流量FLを操作することにより板温を制御
することができる。
ヒータ106への燃料流量FLは公知の燃料流量検出器13に
より検出され、燃料流量制御器10により制御される。
また通板速度Vは公知の速度検出器11により検出され、
速度制御器5により制御される。速度制御器5は実際的
に例えばストリップ100の駆動ローラ110の駆動モータ11
2の回転数を制御する。
これらの制御器5,10においては、例えば比例積分微分
(PID)制御のような、一般的に使用されている制御方
式が用いられる。
本発明の制御の要点は、速度制御器5への設定値をどの
様に定めるかということにある。
まずストリップトラッキング装置6は加熱炉102の入口
及び出口に配設したセット替点検出器19からの検出パル
スP1,P2、速度検出器11により検出した通板速度V、及
びストリップ長(ストリップの1ロットの長さ、即ち先
行のセット替点から後続のセット替点までの長さ)L1
基づいて、加熱炉102出口から次のセット替点までのス
トリップ長(セット替点位置)Zを常時求めて後述のセ
ット替点位置比較器4、パラメータ推定器9並びに板温
追従制御器8に出力すると共に、セット替点の加熱炉出
口通過のタイミングに応じてストリップ仕様設定器1に
起動信号P3を出力する。
ストリップ仕様設定器1は、ストリップトラッキング装
置6からの信号P3により起動され、ストリップの既定の
通板スケジュールに基づいて、ストリップ仕様(板厚TH
1,TH2;板幅WD1,WD2;ストリップ全長L1,L2;加熱炉
出口目標板温TS01,TS02)を出力すると共に炉入口側の
セット替点検出器19がセット替点を検出した時に後述の
目標通板速度設定器2に起動信号P4を出力する。ここで
ストリップ仕様中の添字1は、加熱炉出口通過中のスト
リップに関する値であり、添字2は後続のセット替後の
ストリップに関する値である。
目標通板速度設定器2は、ストリップ仕様設定器1から
の信号P4で起動され、板温制御モデルを用いて次のセッ
ト替後のストリップ仕様(TH2,WD2,L2,TS02)に基づ
き当該ストリップ(後続ストリップ)に対する目標速度
V02を計算し出力すると共に、速度変更位置設定器3に
起動信号P5を出力する。目標速度V02は次のようにして
算出する。まず炉温が設備上許容される上限値TFmax
ある場合に、炉出口板温が定常状態(速度変更やセット
替後の過渡的な板温変化が終了した状態)のもとで目標
板温に一致するような速度(最大速度)Vmaxを、定常状
態の板温TSS(板温定常値)を表わす数式モデルを用い
て算出する。ここで板温定常値TSSは、例えば次式で表
わされるものとする。
TSS=(TF−TSI)・(exp〔−1.0/{TH・V(f0+f1・T
H・V+f2・TF)}〕+TSI ……(1) ただしTFは炉温、TSIは炉入口板温、THは板厚、Vは現
在速度、f0,f1,f2は適当な定数を表わす。
操業モードが生産性保持モードの場合は、前記最大速度
Vmaxに一定比率αを掛けてV02とし、この値がセット替
後のストリップに対する目標速度となる。
一方生産性最大モードの場合は、初期値としては最大速
度Vmaxをそのまま目標速度とするが、以降は所定の制御
周期毎に直近の炉温,板温などの実績値を用いて生産性
を最大とする速度Vmax2を算出し、これを目標速度V02
する。
速度変更位置設定器3は目標通板速度設定器2からの信
号P5で起動され、速度検出器11からの通板速度V、目標
通板速度設定器2からのセット替後の目標速度V02、及
びストリップ仕様設定器1からのセット替前後のストリ
ップ仕様を入力して、通板速度をV(現在値)からV02
(目標値)へ変更する最適タイミングを求める。尚、こ
の変更タイミングは速度変更位置LV、つまり速度変更時
におけるセット替点位置と加熱炉出口との間のストリッ
プ長として求められる。速度変更位置設定器3は速度変
更位置LVと共に、後述の板温軌道設定器7に軌道信号P6
を出力する。
セット替点位置比較器4は、速度変更位置LVと次のセッ
ト替点までのストリップ長Zとを常時比較し、LVとZが
等しくなる(LV=Z)タイミングで目標速度V02を速度
制御器5への設定値VS1(VS1=V02)として出力する。
一方、板温軌道設定器7は、速度変更位置設定器3から
の起動信号P6により起動され、現在及びセット替前後の
ストリップ仕様(TH1,TH2,WD1,WD2,L1,L2,TS01
TS02)、通板速度V、目標速度V02、及び速度変更位置L
Vとを入力して、板温制御モデルを用いて、現時点以降
の板温推移軌道(目標板温軌道)TSXを求めこれを出力
する。板温推移軌道TSXは、セット替の前後では板温推
移が最適となるような軌道であり、それ以外では目標板
温に等しい。板温追従制御器8は板温をフィードバック
制御するもので、所定の制御周期(サンプリング周期)
で起動され、セット替に対してはセット替前後のストリ
ップ仕様、セット替点までのストリップ長Z、通板速度
V、目標速度V02、速度変更位置LV、並びに炉温検出器1
2からの炉温実測値TF、燃料流量検出器13からの燃料流
量実測値FL、炉出口での板温検出器14からの板温実測値
TS、及び目標板温軌道TSXを入力して、燃料流量設定値F
LSを計算し、燃料流量制御器10に出力する。燃料流量制
御器10は例えば流量制御弁でよい。
次にセット替後の通板速度の設定値VS2を後述する方法
により計算し、速度制御器5へ出力するとともに、前記
セット替に対する場合と同様の計算法により燃料流量設
定値FLSを計算し、燃料流量制御器10へ出力する。この
燃料流量設定値FLSの計算の際、次のセット替に伴う通
板速度変更までの間の通板速度は、実際の通板速度Vで
はなくて、生産性保持モードの場合は目標速度V02=α
・Vmaxを用い、生産性最大モードの場合は目標速度V02
=Vmax2を用いて計算する。これは実際の速度が一時的
に、板温制御誤差解消などのために目標速度とは異なる
値となっても、これにより燃料流量設定値FLSが影響さ
れる(干渉を受ける)ことがないようにするためであ
る。
次に速度制御器5は、前述の速度変更位置LV=Zのタイ
ミングでは、セット替点位置比較器4からの速度設定値
VS1に、実際の速度が一致するように速度制御を行なう
が、その他のタイミングにおいては、板温追従制御器8
からの速度設定値VS2に、実際の速度が一致するように
速度制御を行なう。
速度設定値VS2の計算は以下の手順により行なう。
d)板温制御誤差解消のための速度設定値 まず所定の制御周期毎に、所定の時間Δt1だけ将来の時
点における板温制御誤差予測値 を次式により計算する。
ここでtは現在時刻、 は現在以降速度がV(現在速度)で一定で炉温,板厚,
板幅も一定と仮定したときの(t+Δt1)時点における
板温予測値(現在までの炉温,板厚,板幅,速度,およ
び板温の実績値を用いて、板温制御モデルにより計算さ
れる)、TS0は目標板温である。時間Δt1の値は調整パ
ラメータとして適宜に定める。ただしストリップの加熱
炉通過時間よりは長い時間とする。Δt1が小さい程板温
誤差の解消はより速やかになるが、速度の変動は大きく
なる。
得られた誤差予測値 が予め定めた許容範囲を超える場合は、所定の時間Δt2
(≧Δt1)だけ将来の時点において板温制御誤差予測値 が許容範囲内となるような速度変更量ΔVを、板温制御
モデルを用いて算出する。この算出に際しては、速度変
更量ΔVのいろいろな値に対する誤差予測値 が許容範囲内となる速度変更量ΔVを求める。時間Δt2
の値は、時間Δt1の値と同様な調整パラメータとして適
宜な値に定めるか、あるいは誤差予測値 の値に応じて が大きいときはΔt2も大きく)変化させる。こうして求
めた速度変更量ΔVを現在速度Vに加算した値を速度設
定値VS2として速度制御器5に設定する。
所定の制御周期毎に前記(2)式で算出した板温制御誤
差予測値ΔTS(t+Δt1,V)が予め定めた許容範囲内に
ある場合は、操業モードの選択に応じて生産性の保持も
しくは生産性の最大化のための速度設定値を求める。
e)生産性保持もしくは生産性最大化のための速度設定
値 生産性保持モードが選択されている場合に速度変更の必
要が生じるのは、オペレータの手動介入や操業モードの
切換、あるいは前記の板温制御誤差の解消などの理由に
より、実際の速度が目標速度V02=(VS1)からずれてい
るときであり、このときの必要な速度変更量はΔV1=V
S1−Vである。
一方生産性最大モードが選択されている場合の目標速度
は、炉温TFが許容上限値TFmaxに等しい定常状態で、板
温を目標値TS0に一致させる速度であり、後述する板温
制御モデルに誤差が存在しない場合は、目標速度の値と
して目標通板速度設定器2で計算されたV02(=Vmax
を用いればよいのであるが、実際には板温制御モデル式
に誤差が存在するため、炉温,板温等の実績値を用い
て、板温制御モデルに従って生産性を最大とする速度V
max2を計算する。この速度Vmax2は所定の制御周期毎に
次式により計算される。
Vmax2=V+ΔV2 ……(3) ここでΔV2は必要な速度変更量であり、次式で与えられ
る。
上記(4)式において(∂V/∂TF)は、板温定常値TSS
を表わす(1)式を速度Vに関して書き直したときの、
炉温に関する速度の偏微分係数であり、(∂V/∂TSS)
は板温定常値に関する速度の偏微分係数である。また
(5)式の の値は、現在以降速度がVで一定,炉温,板厚,板幅も
一定と仮定したときの板温定常値の予測値であり、 は、同様な状態における板温制御誤差予測値であり、 いずれも板温制御モデルを用いて求められる。
従って(4)式の右辺第1項は、炉温が現在値からTF
maxまで変化したときに、板温定常値をほぼ一定に保つ
のに必要な速度変更量を意味し、右辺第2項は、炉温等
が変化しない場合に板温を定常状態で目標に一致させる
のに必要な速度変更量を表わす。板厚が一定のとき板温
定常値TSSは炉温TFと速度Vとの関数であるから、速度
Vに関して表わせば、速度Vは炉温TFと板温定常値TSS
との関数となり、従って微分形として(4)式が成立す
る。上記いずれかの操業モードの場合、必要な速度変更
量はΔV1もしくはΔV2であるが、ΔV1もしくはΔV2の値
をそのまま用いて速度を変更したならば、板温が許容上
下限値を一時的にはずれる場合もありうるため、以下に
示すΔVを速度変更量とする。
例えば、ΔV1≧0もしくはΔV2≧0のとき(速度上昇) により速度変更量ΔVを求める。ここでΔV3は速度変更
後の板温制御誤差予測値 が許容下限値ΔTSmin(<0)に一致するような速度変
更量であり、板温制御モデルを用いて次式により求め
る。
ただし は炉温などが一定と仮定したときの板温制御誤差予測値
である。速度上昇の場合、速度上昇によって板温が目標
値を下回ることのないように板温追従制御器8にて燃料
流量設定値FLSの修正計算が行なわれるが、燃料流量増
加による板温,炉温の上昇は応答が遅く、一時的に板温
が目標下限をはずれる可能性が生じるので、速度変更量
の上限規制が必要となるのである。
また例えば、ΔV1<0もしくはΔV2<0のとき(速度下
降) により速度変更量ΔVを求める。
ここでΔV4は速度変更後の板温制御誤差予測値 が許容上限値ΔTSmaxに一致するような速度変更量であ
り、板温制御モデルを用い次式により求める。
速度下降の場合も、燃料流量減少時の板温の応答が遅
く、一時的に板温が目標上限をはずれる可能性が生じる
ので、速度変更量の下限規制が必要である。
以上のようにしていずれの操業モードの場合も、速度変
更量ΔVが求められ、この速度変更量ΔVを現在速度V
に加算した値を速度設定値VS2として速度制御器5に設
定する。
以上述べた中で、目標通板速度設定器2,速度変更位置設
定器3,板温軌道設定器7および板温追従制御器8は、後
述の(10)〜(13)式に示されるような、炉出口板温と
炉温、燃料流量、板厚、板幅及び通板速度との動的な関
係を表わす板温制御モデル(サンプリング周期を時間の
単位として、時間に関して離散したモデル)を有してい
る。
パラメータ推定器9は、所定のサンプリング周期で起動
され、板温制御モデル中の未知パラメータの推定値 を今回までの実績値を用いて推定し上記各設定器2,3,7
及び制御器8に出力する。
さて本制御において用いられる板温制御モデルは、サン
プリング周期(制御周期)を時間の単位として時間に関
して離散化したモデルであり、次式によって規定され
る。
(10)式で表わされるモデル式は、過去からt時点まで
の炉出口板温,炉温、及び燃料流量設定値の値(実績
値)と、過去から(t+1)時点までの板厚、板幅及び
速度の値(実績値または予見値)とを用いて、(t+
1)時点における板温を推定(予見)するものである。
上式において、 u(t−j)=DVF(t)・{FL(t−j)−▲
▼}(j=d−1,d,…,d+m−2) ……(11) y(t)=TS(t)−▲▼ ……(12) 但し、上式中における各記号の意味するものは次の通り
である。
t:時刻(サンプリング周期を1単位とする) d:燃料流量と炉出口板温との間の制御上のむだ時間(正
整数) u:モデルにおける操作量(燃料流量) y:モデルにおける制御量(炉出口板温) :yの推定値 m:uの次数(正整数) FL:燃料流量 TF:炉温 TH:炉出口板厚 TSS:炉出口板温の定常値(板厚,速度が一定な定常状態
における板温) DVF:炉出口板温の炉温変化に対する変化率(偏微分係
数) w1,…,w4:予見可能な外乱(板厚、板幅、速度) ▲▼,▲▼:夫々FL,TSの値の通常操業におけ
る平均値 尚、これらのモデルパラメータの推定値は、実操業中に
同定と逐次適応修正とが逐次型最小二乗法など公知の技
術により行われる。
上記第(10)式は実操業の知見に基づき、動的熱収支理
論から導出されるもので、 板温予見(予測)値=f(板温,流量,板厚,板幅,速
度,の過去及び現在値)なる関数として認識できる。即
ち、第(10)式はtを現在時刻として、 を展開したものであり外乱項wjを加味した点で従来のダ
イナミックモデルと区別される。
また板温定常値TSSは定常伝熱理論より導出されるもの
で次の如き関数、 板温定常値=f(炉温,板厚,速度,の現在値)として
認識される。
〔発明の効果〕
第3図に、本発明の方法に従って速度変更を行なった場
合の、速度,加熱炉出口板温,炉温の時間的推移の一例
を示す。
図において、最初(t=t0)何らかの理由により板温TS
が下限値TSminをはずれており、また炉温TFは上限値TF
maxよりかなり低く、操業モードとしては生産性最大モ
ードが選択されていたものとする。。板温TSが目標値TS
0より低いため、燃料流量FLは高く設定され炉温TFは上
昇中である。
まずt=t0において、板温制御誤差解消のための速度下
降により板温は速やかに上昇し、炉温も上昇を続ける。
板温が上下限範囲に入った後、次のサンプリング時刻t
=t1において、生産性最大化のため設定速度VS2が、
(6)式で計算されるΔVだけ上昇する。このときは
(TFmax−TF)が比較的大きいためΔV=ΔV3<ΔV2
なり、設定速度VS2はさらに上昇の余地がなる。このた
め次のサンプリング時刻t=t2において再度設定速度V
S2が上昇している。このときは炉温TFが上限TFmaxに近
づいたため、ΔV=ΔV2<ΔV3となり、設定速度VS2
生産性最大化に対応した速度となる。速度上昇が2回に
分けて行なわれることにより、板温の一時的な下限はず
れが防止される。
その後板温,炉温ともに上昇を続け、最終的に炉温TFは
上限TFmaxに、板温TSは目標TS0にほぼ一致する。
以上説明したように本発明方法は、ストリップの連続焼
鈍における加熱炉出口板温と、炉温、燃料流量、板厚、
板幅および通板速度との関係を動的に表わす板温制御モ
デルに基づき、セット替後においても、将来の板温制御
誤差を予測算出して、それが許容範囲を超えている場合
は許容範囲内となるような速度変更を、また許容範囲内
にある場合は操業モードに応じて生産性保持もしくは生
産性最大化を実現する速度変更を、所定の周期でフィー
ドバック制御するようにしたので、板温制御誤差が速や
かに解消されるとともに、生産性に関する要求が満たさ
れ、高い性能をもった板温制御が実現される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例における制御系の構成を示す
図、 第2図は本発明における速度変更の手順を示すフローチ
ャート、 第3図は本発明の実施例における速度,板温,炉温の時
間的推移の1例を示す図である。 1……ストリップ仕様設定器、2……目標通板速度設定
器、3……速度変更位置設定器、4……セット替点位置
比較器、5……速度制御器、6……ストリップトラッキ
ング装置、7……板温軌道設定器、8……板温追従制御
器、9……パラメータ推定器、10……燃料流量制御器、
11……速度検出器、12……炉温検出器、13……燃料流量
検出器、14……板温検出器、100……ストリップ、102…
…加熱炉。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続焼鈍炉の加熱炉出口の板温と炉温,燃
    料流量,板厚,板幅,通板速度との関係を動的に表現す
    る板温制御モデルを予め設定し、操業中に前記板温制御
    モデルにより通板速度と燃料流量とを操作する連続焼鈍
    炉における板温制御方法において、所定の制御周期毎に
    炉温,燃料流量,板厚,板幅,通板速度および板温の実
    績値を用いて前記板温制御モデルにより現時点以降の板
    温制御誤差を予測算出し、この予測誤差が許容範囲を超
    える場合は許容範囲内となる速度変更量を前記板温制御
    モデルを用い算出して速度設定値を修正し、前記算出し
    た予測誤差が許容範囲内にある場合は、炉の操業モード
    として生産性保持モードが選択されているときは、被処
    理材(ストリップ)の寸法および目標板温によって定ま
    る通板速度をもとにして速度設定値を修正し、炉の操業
    モードとして生産性最大モードが選択されているとき
    は、炉温,燃料流量,板厚,板幅,通板速度および板温
    の実績値を用いて前記板温制御モデルにより炉温が設備
    上許容される上限値のときに炉出口板温を目標板温に一
    致させる速度としての最大速度を算出し、該算出した最
    大速度をもとにして速度設定値を修正し、かつ前記おの
    おのの速度設定値の修正に応じて燃料流量を修正するこ
    とを特徴とする連続焼鈍炉における板温制御方法。
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