本発明の一実施形態を図1〜図3を参照して以下に説明する。
図1を参照して、本実施形態の給湯システムは、燃焼式給湯器10と、タンクユニット30と、ヒートポンプユニット60とを備える。
ヒートポンプユニット60は、本発明における加熱手段としてのヒートポンプ61を備える。このヒートポンプ61は、圧縮機62、凝縮器63、減圧器64、及び蒸発器65と、これらを経由させて冷媒を循環させる冷媒循環路66とを備えている。
この場合、凝縮器63は、後述の貯湯タンク31内の湯水と冷媒との熱交換を行うことで該湯水を加熱する熱交換器としての機能を有するものであり、貯湯タンク31と凝縮器63との間で湯水を循環させるタンク循環路67を介して貯湯タンク31に接続されている。タンク循環路67は、貯湯タンク31の下部及び上部をそれぞれ凝縮器63の湯水の流入口、流出口に接続している。そして、タンク循環路67には、循環ポンプ68が介装されている。
従って、循環ポンプ68を作動させることで、貯湯タンク31内の湯水が貯湯タンク31の下部から凝縮器63に供給される。そして、該湯水は、凝縮器63を経由した後に、貯湯タンク31の上部から該貯湯タンク31内に還流する。このように貯湯タンク31内の湯水をタンク循環路67で循環させつつ、ヒートポンプ61を作動させることで、該湯水が、凝縮器63における冷媒(圧縮機62で圧縮されて昇温した冷媒)との熱交換によって加熱される。
なお、図1では、循環ポンプ68は、貯湯タンク31の下部から凝縮器63に至る流路に介装されているが、凝縮器63から貯湯タンク31の上部に至る流路に介装されていてもよい。
ヒートポンプユニット60は、さらにヒートポンプ61及び循環ポンプ68の作動制御を行う機能を有するヒートポンプコントローラ71を備えている。該ヒートポンプコントローラ71は、マイクロコンピュータ等を含む電子回路ユニットにより構成されており、後述のタンクコントローラ41と相互に通信可能とされている。
また、タンク循環路67には、貯湯タンク31に凝縮器63から供給される湯水の温度を検出する温度センサ72と、凝縮器63に貯湯タンク31から供給される湯水の温度を検出する温度センサ73とが装着されている。
ヒートポンプコントローラ71には、後述のタンクコントローラ41から貯湯タンク31内の湯水を加熱すべき旨の貯湯沸き上げ指令、該加熱を終了すべき旨の貯湯沸き上げ終了指令、貯湯沸き上げ温度(貯湯タンク31内の湯水の沸き上げ温度の目標値)を示すデータ等が入力されると共に、上記温度センサ72,73の検出データが入力される。
そして、ヒートポンプコントローラ71は、タンクコントローラ41から貯湯沸き上げ指令を受信すると、貯湯タンク31内の湯水を加熱させるように、ヒートポンプ61及び循環ポンプ68の作動を制御する。
この場合、ヒートポンプコントローラ71は、上記温度センサ72,73の検出温度を用いて、所定の制御プログラムを実行することで、貯湯タンク31内の湯水の温度を、タンクコントローラ41から指示された貯湯沸き上げ温度まで昇温させるように、ヒートポンプ61の出力と循環ポンプ68の回転数(ひいては、タンク循環路67を流れる湯水の流量)とを制御する。
上記貯湯沸き上げ温度は、本実施形態では、あらかじめ定められた所定値(例えば、45°C、50°C等)である。ただし、貯湯沸き上げ温度は、例えば、給湯システムの設置業者あるいはユーザが、後述のリモコン43等の操作器を操作することによって、既定の範囲内で適宜変更し得るようになっていてもよい。
なお、ヒートポンプコントローラ71は、タンクコントローラ41から貯湯沸き上げ終了指令が入力されると、ヒートポンプ61及び循環ポンプ68の作動を停止して、貯湯タンク31内の湯水の加熱を終了する。
次に、タンクユニット30は、ヒートポンプ61により加熱された湯水を貯蔵する貯湯タンク31と、出湯管32、給水管33及び出湯バイパス管34とを備える。
出湯管32は、台所、洗面所、浴室等に配置される給湯口に給湯するための流路である。この出湯管32は、貯湯タンク31の上部から導出され、燃焼式給湯器10(詳しくは、後述の熱交換器13)を経由した後、終端の給湯口に至るように配管されている。出湯管32の終端の給湯口には、例えばカラン35が接続される。
なお、出湯管32の終端の給湯口は複数に分岐していてもよく、また、カラン35の代わりに、シャワー等が接続されていてもよい。
給水管33は、水道管等から供給される水を貯湯タンク31と出湯管32とに給水する流路である。この給水管33は、その下流側の途中部33xから第1分岐給水管33aと第2分岐給水管33bとに分岐されている。そして、第1分岐給水管33aが貯湯タンク31の下部に接続され、第2分岐給水管33bが、出湯管32の上流側の第1途中部32xに接続(合流)されている。
従って、給水管33は、第1分岐給水管33aを介して貯湯タンク31にその下部から給水すると共に、第2分岐給水管33bを介して出湯管32の第1途中部32xに給水するように構成されている。なお、給水管33の途中部33xよりも上流側の箇所には減圧弁36が介装されている。
出湯管32の第1途中部32xは、換言すれば、給水管33から第1分岐給水管33aを介して貯湯タンク31に給水することに伴い該貯湯タンク31から出湯管32に供給される湯水と、給水管33から第2分岐給水管33bを介して出湯管32に供給される水との混合部である。
そして、貯湯タンク31から出湯管32に供給される湯水の流量(出湯管32の第1途中部32xに貯湯タンク31側から流入する湯水の流量)であるタンク出湯流量と、給水管33から第2分岐給水管33bを介して出湯管32の第1途中部32xに供給される水の流量である混合給水流量との比率(以降、タンク出湯混合比という)を調整するための混合制御弁38が第1途中部32xに介装されている。
該混合制御弁38は、本発明における混合比変更手段に相当するものであり、例えば電動式の三方弁により構成される。
なお、混合制御弁38を上記の如く備える代わりに、第1途中部32xの上流側の出湯管32と、第2分岐給水管33bとにそれぞれ、タンク出湯流量、混合給水流量を各々調整するための流量調整弁を介装し、これらの流量調整弁により、タンク出湯混合比を調整する混合比変更手段を構成してもよい。
出湯バイパス管34は、出湯管32の第1途中部32xから下流側に流れる湯水(以降、タンク出湯混合湯水という)を、燃焼式給湯器10の上流側から下流側にバイパスさせて流す(燃焼式給湯器10を経由させずに流す)ための流路である。
この出湯バイパス管34は、燃焼式給湯器10の上流側における出湯管32の第2途中部32yと燃焼式給湯器10の下流側における出湯管32の第3途中部32zとを連通させるように配管されている。なお、上記第2途中部32yは、第1途中部32xよりも下流側の途中部である。
そして、出湯バイパス管34には、該出湯バイパス管34を開閉可能なバイパス弁39が介装されている。該バイパス弁39は、本実施形態では、その開度(ひいては、出湯バイパス管34の流量)を制御可能な流量調整弁により構成される。
従って、バイパス弁39を閉弁した場合を除き、出湯管32の第1途中部32xから下流側に流れるタンク出湯混合湯水は、その一部が燃焼式給湯器10の内部の流路を通って下流側に流れ、残部が出湯バイパス管34を通って下流側に流れる。
そして、出湯管32の終端の給湯口への給湯を行う場合には、燃焼式給湯器10から出湯管32の下流側に流れてくる湯水と、出湯バイパス管34を流れる湯水とが第3途中部32z(出湯バイパス管34の出口)で合流して混合され、その混合された湯水(以降、バイパス出口混合湯水という)が、出湯管32の終端の給湯口に供給されて出湯する。
この場合、バイパス弁39の開度を調整する(ひいては、出湯バイパス管34の流量を調整する)ことで、第3途中部32zに燃焼式給湯器10から流入する湯水の流量と、出湯バイパス管34から流入する湯水の流量との比率であるバイパス出口混合比を調整することができる。
なお、バイパス弁39を全開に開弁した状態では、出湯管32の第1途中部32xから下流側に流れるタンク出湯混合湯水の大部分が、第2途中部32yから出湯バイパス管34を通って下流側に流れる。
また、バイパス弁39を閉弁した状態では、出湯管32の第1途中部32xから下流側に流れるタンク出湯混合湯水の全体が燃焼式給湯器10に供給されることとなる。
タンクユニット30は、さらに、前記混合制御弁38、及びバイパス弁39の作動制御等を行う機能を有するタンクコントローラ41を備えている。該タンクコントローラ41は、マイクロコンピュータ等を含む電子回路ユニットにより構成されており、ヒートポンプコントローラ71及び後述の給湯コントローラ21と相互に通信可能とされている。
このタンクコントローラ41には、使用者が給湯システムの運転操作等を行うためのリモコン43が接続されている。
リモコン43は、図示しない操作スイッチの操作、あるいは音声入力等に応じて、給湯システムの給湯運転のオンオフ、浴槽の湯はり運転のオンオフ、目標給湯温度、目標湯はり温度等の運転操作情報をタンクコントローラ41に指示する端末機器である。
また、タンクユニット30の貯湯タンク31、出湯管32、給水管33には、以下に説明する種々のセンサが組み付けられており、これらのセンサの検出データもタンクコントローラ41に入力される。
すなわち、貯湯タンク31には、貯湯タンク31内に存在する所定温度以上の湯の量である残湯量を検知するための第1タンク温度センサ46及び第2タンク温度センサ47が付設されている。
これらのタンク温度センサ46,47は、それぞれ、貯湯タンク31の互いに異なる所定の高さ位置で該貯湯タンク31の外周面又は内部に装着されており、それぞれの高さ位置での貯湯タンク31内の湯水の温度を検出する。
この場合、第1タンク温度センサ46及び第2タンク温度センサ47のそれぞれの高さ(貯湯タンク31の下端からの高さ)h1、h2は、図示のように、h1<h2となるように設定されている。
より具体的には、第1タンク温度センサ46の高さh1は、その高さh1よりも上側における貯湯タンク31内の容量(以降、第1所定量という)が例えば30リットルとなり、第2タンク温度センサ47の高さh2は、その高さh2よりも上側における貯湯タンク31内の容量(以降、第2所定量という)が例えば6リットル(<第1所定量)となるように、h1、h2が設定されている。
また、給水管33のうちの、途中部33xよりも上流側の箇所には、該給水管33を流れる水の流量(貯湯タンク31及び出湯管32へのトータルの給水流量)を検出する流量センサ49が装着され、第2分岐給水管33bには、給水温度を検出する温度センサ50が装着されている。
また、出湯管32の第1途中部32xよりも上流側の箇所には、前記タンク出湯流量を検出する流量センサ51と、貯湯タンク31側から第1途中部32xに流入する湯水の温度を検出する温度センサ52とが装着されている。
さらに、出湯管32の第1途中部32xと第2途中部32yとの間の箇所には、第1途中部32xから下流側に流れる混合湯水の温度を検出する温度センサ53が装着され、第3途中部32zの下流側の箇所には、給湯口から出湯させる湯水の温度(給湯温度)を検出する温度センサ54が装着されている。
なお、給水温度を検出するための温度センサ50は、途中部33xよりも上流側の給水管33、あるいは、第1分岐給水管33aに装着されていてもよい。また、流量センサ49,51のいずれか一方の代わりに、第2分岐給水管33bを流れる水の流量を検出する流量センサが該第2分岐給水管33bに装着されていてもよい。
そして、タンクコントローラ41は、リモコン43から与えられる運転操作情報、上記各センサ46〜54の検出データを用いて、所定の制御プログラムを実行する。
この場合、タンクコントローラ41は、制御プログラムを実行することで実現される機能として、ヒートポンプコントローラ71と協働して、ヒートポンプユニット60に係る制御を行う機能を有する。この制御では、ヒートポンプ61の所定の運転許可条件が成立する状況において、タンクコントローラ41は、第1及び第2タンク温度センサ46,47のうちの例えば第2タンク温度センサ47の検出温度を監視し、該検出温度があらかじめ設定された貯湯沸き上げ開始温度以下になると、ヒートポンプコントローラ71に前記貯湯沸き上げ指令を出力する。なお、貯湯沸き上げ開始温度は、前記貯湯沸き上げ温度よりも低い温度である。
また、ヒートポンプ61の上記運転許可条件は、ヒートポンプ61の運転を行うことを許可するか否かを規定する条件である。該運転許可条件は、例えば、現在時刻があらかじめ設定された時間帯(例えば、夜間を除く時間帯、あるいは、電力料金が安い時間帯)であるという条件等である。
そして、タンクコントローラ41は、第2タンク温度センサ47の検出温度等により、貯湯タンク31内の湯水の全体が貯湯沸き上げ温度に達したことを検知すると、ヒートポンプコントローラ71に貯湯沸き上げ終了指令を出力する。
これによりヒートポンプ61による貯湯タンク31内の湯水の加熱の開始と該加熱の終了とは、少なくとも貯湯タンク31内の湯水の温度状態に応じて規定されるタイミングで行われることとなる。
また、タンクコントローラ41は、貯湯タンク31の残湯量を検知する残湯量検知手段としての機能と、出湯管32の終端の給湯口への給湯を行う給湯運転に係る制御(混合制御弁38、バイパス弁39、燃焼式給湯器10の制御)を給湯コントローラ21と協働して行う運転制御手段としての機能とを有する。さらに、タンクコントローラ41は、本発明における混合比制御手段としての機能を有する。
タンクコントローラ41のこれらの機能を以下に概略的に説明する。
まず、残湯量検知手段としての機能に関し、タンクコントローラ41は、本実施形態では、第1タンク温度センサ46又は第2タンク温度センサ47の検出温度に基づいて、貯湯タンク31の所定温度以上の湯の残湯量を大小に分別して検知する。なお、以降の説明では、特にことわらない限り、「残湯量」は、ある所定温度以上の湯の量を意味する。
ここで、貯湯タンク31内の湯水が加熱された状態で、給水管33の第1分岐給水管33aから貯湯タンク31への給水が行われると、該給水に伴い、貯湯タンク31内の高温の湯が貯湯タンク31の上部から出湯管32に供給される。これに伴い、基本的には、貯湯タンク31内の下部に低温の水の層が生成されると共に上部に高温の湯の層が生成される。そして、貯湯タンク31への給水の進行に伴い、貯湯タンク31の下部の低温層が増加すると共に、上部の高温層が減少していく。
このため、第1タンク温度センサ46の検出温度及び第2タンク温度センサ47の検出温度の両方が所定温度よりも高い状態は、貯湯タンク31の残湯量が、前記第1所定量よりも多いことを示し、第1タンク温度センサ46の検出温度又は第2タンク温度センサ47の検出温度が所定温度よりも低い状態は、該残湯量が前記第1所定量よりも少ないことを示す。なお、残湯量が第1所定量よりも少ない状態は、残湯量がゼロもしくはほぼゼロとなる湯切れ状態、あるいは、前記第2所定量よりも少ない状態も含まれる。
そこで、本実施形態では、第1タンク温度センサ46及び第2タンク温度センサ47の検出温度を所定温度と比較することで、貯湯タンク31の残湯量を大小に分別して(詳しくは、第1所定量よりも多いか否かに分別して)検知する。
この場合、タンクコントローラ41は、第1タンク温度センサ46及び第2タンク温度センサ47の検出温度が両方とも所定温度よりも高い場合に、残湯量が大(第1所定量よりも多い)と判断し、いずれか一方の検出温度が所定温度よりも低い場合に、残湯量が小(第1所定量よりも少ない)と判断する。
なお、第1タンク温度センサ46及び第2タンク温度センサ47のそれぞれの検出温度と比較する所定温度は、本実施形態では、リモコン43で設定される目標給湯温度に応じて決定される。具体的には、該所定温度は、例えば目標給湯温度と同じ温度とされる。ただし、該所定温度は、目標給湯温度よりも若干高い温度(例えば目標給湯温度+3°C)であってもよい。
補足すると、第1タンク温度センサ46の検出温度が所定温度よりも高い場合には、通常は、第2タンク温度センサ47の検出温度も所定温度よりも高くなる。従って、貯湯タンク31の残湯量が第1所定量よりも多いか少ないかを検知する上では、基本的には、第1タンク温度センサ46の検出温度だけを所定温度と比較すればよい。
ただし、発生頻度は少ないものの、第1タンク温度センサ46の検出温度が所定温度よりも高いのに、第2タンク温度センサ47の検出温度が所定温度よりも低いものとなるイレギュラーな状態が発生する場合もある。そして、このようなイレギュラー状態では、貯湯タンク31の上部から出湯管32に所定温度よりも低温の湯水が供給されてしまう。
そこで、本実施形態では、タンクコントローラ41は、第1タンク温度センサ46及び第2タンク温度センサ47の検出温度の両方が所定温度よりも高い場合に残湯量が大であると判断するようにしている。
次に、タンクコントローラ41の運転制御手段としての機能に関し、タンクコントローラ41は、給湯システムの給湯運転(より詳しくは、流量センサ49により所定の下限流量以上の通水が検知される給湯運転)において、第1タンク温度センサ46及び第2タンク温度センサ47の検出温度に基づいて、貯湯タンク31の残湯量が大きいと判断した状況では、第1給湯制御処理を実行する。該第1給湯制御処理は、燃焼式給湯器10の加熱運転を禁止した状態で、給湯口への給湯を行わせる制御処理である。
この第1給湯制御処理では、タンクコントローラ41は、燃焼式給湯器10の加熱運転を禁止することを給湯コントローラ21に指令する。そして、タンクコントローラ41は、バイパス弁39を開弁状態に制御した状態で、流量センサ49,51の検出流量と、温度センサ50,52,53,54の検出温度とを監視しつつ、温度センサ53(又は54)の検出温度が、リモコン43で設定された目標給湯温度になるように、混合制御弁38を制御する(ひいては、前記タンク出湯混合比を調整する)。
また、タンクコントローラ41は、給湯システムの給湯運転において、第1タンク温度センサ46及び第2タンク温度センサ47の検出温度に基づいて、貯湯タンク31の残湯量が小さいと判断した状況では、給湯コントローラ21と協働して、第2給湯制御処理を実行する。該第2給湯制御処理は、燃焼式給湯器10の加熱運転を許可した状態で、給湯口への給湯を行わせる制御処理である。
この第2給湯制御処理では、タンクコントローラ41は、燃焼式給湯器10の加熱運転を許可する旨を給湯コントローラ21に指令する。そして、タンクコントローラ41は、流量センサ49,51の検出流量と、温度センサ50,52,53,54の検出温度とを監視しつつ、温度センサ54の検出温度が、リモコン43で設定された目標給湯温度になるように、混合制御弁38を制御する(ひいては、前記タンク出湯混合比を調整する)と共に、バイパス弁39の開度を制御する(ひいては、前記バイパス出口混合比を調整する)。
なお、リモコン43により浴槽の湯はり運転を行うことが指示された場合には、タンクコントローラ41は、給湯コントローラ21に浴槽の湯はり運転を行うべきことを指令すると共に、バイパス弁39を閉弁状態に制御する。
そして、タンクコントローラ41は、貯湯タンク31の残湯量が大きいと判断した状況では、燃焼式給湯器10の加熱運転を禁止することを給湯コントローラ21に指令する。この場合、貯湯タンク31の残湯量の大小の判断は、第1タンク温度センサ46及び第2タンク温度センサ47のそれぞれの検出温度を、目標給湯温度の代わりに目標湯はり温度と比較することで行われる。
さらに、タンクコントローラ41は、流量センサ49,51の検出流量と、温度センサ50,52,53の検出温度とを監視しつつ、温度センサ53の検出温度が、リモコン43で設定された目標湯はり温度になるように、混合制御弁38を制御する。
また、貯湯タンク31の残湯量が小さいと判断した状況では、タンクコントローラ41は、給湯コントローラ21に燃焼式給湯器10の加熱運転を指令する。
次に、タンクコントローラ41の混合比制御手段としての機能に関し、タンクコントローラ41は、詳細は後述するが、給湯運転の停止中に、ヒートポンプ61の運転(貯湯タンク31内の湯水の加熱)が現在行われている等の所要の条件が成立するか否かを判断する。そして、タンクコントローラ41は、その判断結果に応じて混合制御弁38を制御する。
次に、燃焼式給湯器10は、出湯管32により上流側から供給される湯水を燃焼式加熱源11により適宜加熱するものである。この燃焼式加熱源11は、ガスバーナ等のバーナ12と、バーナ12の燃焼熱が付与される熱交換器13とを備えている。そして、燃焼式給湯器10に導入された出湯管32は、上流側の第2途中部32yから供給される湯水を、熱交換器13を経由させて、下流側の第3途中部32zに流すように配管されている。
燃焼式給湯器10は、さらに、熱交換器13の上流側から下流側に該熱交換器13をバイパスさせて湯水を流すためのバイパス管14と、熱交換器13の下流側から図示しない浴槽に湯はり用の湯水を供給する湯はり管15とを備える。
バイパス管14は、燃焼式給湯器10の内部の出湯管32における熱交換器13の上流側の途中部と下流側の途中部とを接続している。そして、燃焼式給湯器10の内部の出湯管32には、熱交換器13の上流側におけるバイパス管14との接続箇所に、該接続箇所から熱交換器13に流れる湯水の流量と、バイパス管14に流れる湯水の流量との比率であるバイパス比を調整するためのバイパスサーボ弁16が介装されている。
また、燃焼式給湯器10の内部の出湯管32には、バイパスサーボ弁16の上流側の箇所に、燃焼式給湯器10に上流側から流入する湯水の流量を調整するための水量サーボ弁17が介装されている。さらに、該出湯管32には、熱交換器13の下流側の箇所に、燃焼式給湯器10の下流側からの湯水の逆流を防止するための逆止弁18が介装されている。
湯はり管15は、熱交換器13の下流側における出湯管32から分岐されて、図示しない浴槽に至るように配管されている。そして、この湯はり管15には、該湯はり管15を開閉する湯はり弁19が介装されている。
燃焼式給湯器10は、さらに、バーナ12の燃焼運転、あるいは、バイパスサーボ弁16、水量サーボ弁17及び湯はり弁19の作動制御等を行う機能を有する給湯コントローラ21を備えている。該給湯コントローラ21は、本発明における給湯器制御手段に相当するものであり、マイクロコンピュータ等を含む電子回路ユニットにより構成されている。
また、燃焼式給湯器10の内部の出湯管32には、上流側から該燃焼式給湯器10に供給される湯水の全体の流量をバイパスサーボ弁16の上流側で検出する流量センサ22と、熱交換器13の下流側におけるバイパス管14との接続箇所から下流側に供給される湯水の温度(給湯器出湯温度)を当該接続箇所の下流側で検出する温度センサ23とが装着されている。さらに、湯はり管15には、該湯はり管15で浴槽に供給される湯水の流量を検出する流量センサ24が装着されている。
給湯コントローラ21には、タンクコントローラ41から、給湯運転又は湯はり運転を行うべき旨の指令、目標給湯温度又は目標湯はり温度を示すデータ、給湯運転時に燃焼式給湯器10の加熱運転(詳しくは、燃焼式加熱源11による湯水の加熱を行う運転)を許可するか否かを示す指令等が入力されると共に、上記流量センサ22,24及び温度センサ23の検出データが入力される。
そして、給湯コントローラ21は、給湯運転を行うことが指令され、且つ、燃焼式給湯器10の加熱運転を行うことが許可されている状態では、流量センサ22により所定の下限流量以上の通水が検知される場合に、温度センサ23の検出温度が、目標温度(ここでは目標給湯温度)になるように、バーナ12の燃焼量とバイパスサーボ弁16によるバイパス比とを制御する処理である加熱温調制御処理を実行する。
この加熱温調制御処理では、給湯コントローラ21は、現在時刻から所定時間前までの温度センサ23の検出温度の履歴と、流量センサ22の検出流量の履歴と、バーナ12の燃焼量の制御値(目標燃焼量)の履歴とを用いて、燃焼式給湯器10に流入した湯水の温度(以降、給湯器入水温度という)を推定する。そして、給湯コントローラ21は、推定した給湯器入水温度と目標給湯温度とに応じてバイパス比を決定して、バイパスサーボ弁16を制御する。
この場合、流量センサ22の検出流量の履歴と、バーナ12の燃焼量の制御値(目標燃焼量)の履歴とから湯水の温度上昇量を推定できるので、該温度上昇量の推定値と温度センサ23の検出温度とから逆算的に給湯器入水温度を推定できる。
さらに、給湯コントローラ21は、このように推定した給湯器入水温度と、流量センサ22の検出流量とに応じて、当該給湯器入水温度の湯水を目標給湯温度に昇温させるために必要なバーナ12の燃焼量の基本値(フィードフォワード値)を算出し、さらにこの基本値を、目標給湯温度と温度センサ23の検出温度との偏差に応じて算出したフィードバック補正値で補正することにより、バーナ12の目標燃焼量を逐次決定する。
そして、給湯コントローラ21は、決定した目標燃焼量に応じてバーナ12への燃料供給を制御する。これにより、目標燃焼量でのバーナ12の燃焼運転が行われ、燃焼式給湯器10の流入する湯水が目標給湯温度になるように昇温される。
なお、燃焼式給湯器10の加熱運転の開始直後は、今回の加熱運転での温度センサ23の検出温度の履歴等がまだ蓄積されていないので、給湯器入水温度を適切に推定することができない。このため、燃焼式給湯器10の加熱運転の開始直後では、給湯コントローラ21は、給湯器入水温度として暫定的に、前回の給湯運転の終了直前に算出した推定値を使用して、バーナ12の燃焼量(湯水の加熱量)を制御する。
また、給湯コントローラ21は、湯はり運転を行うことが指令されている状態では、湯はり弁19を開弁する。そして、給湯コントローラ21は、燃焼式給湯器10の加熱運転がタンクコントローラ41から指令された場合に、温度センサ23の検出温度が、目標温度(ここでは目標湯はり温度)になるように、加熱温調制御処理を実行する。この加熱温調制御処理は、給湯運転の場合と同様に行われる。なお、湯はり運転時には、流量センサ24の検出流量の積算値が、リモコン43等で設定される目標湯はり量に達すると、湯はり弁19が閉弁されると共に、燃焼式給湯器10の加熱運転が終了される。
次に、本実施形態の給湯システムの給湯運転時と該給湯運転の終了後(給湯運転の停止中)とにおけるタンクコントローラ41及び給湯コントローラ21の制御処理を図2及び図3を参照して詳説する。
給湯システムの電源が投入された状態で、タンクコントローラ41は、STEP1において、給水管33における通水(カラン35の開栓等に起因する給湯口への通水)の有無を監視する(STEP1)。
この場合、タンクコントローラ41は、給水管33の流量センサ49の検出流量があらかじめ設定された下限流量以上となった場合に、通水を検知する。
STEP1で通水が検知されると、タンクコントローラ41は、まず、残湯量検知手段としての機能によって、貯湯タンク31の残湯量の大小を判断する処理をSTEP2で実行する。
具体的には、タンクコントローラ41は、第1タンク温度センサ46の検出温度th1と第2タンク温度センサ47の検出温度th2とのうちの低い方を残湯量検知用の所定温度(本実施形態では目標給湯温度)と比較することにより、貯湯タンク31の残湯量の大小を判断する。
この場合、th1,th2のいずれか一方が残湯量検知用の所定温度(目標給湯温度)以下である場合に、残湯量が小であると判断され、th1,th2の両方が残湯量検知用の所定温度(目標給湯温度)よりも高い場合に、残湯量が大であると判断される。
STEP2において、貯湯タンク31の残湯量が大きいと判断された場合(STEP2の判断結果が否定的となる場合)には、前記第1給湯制御処理に相当するSTEP7,8の処理がタンクコントローラ41により実行される。
また、STEP2において、貯湯タンク31の残湯量が小さいと判断された場合には、(STEP2の判断結果が肯定的となる場合)、前記第2給湯制御処理に相当するSTEP3〜6の処理が、タンクコントローラ41と給湯コントローラ21との協働によって実行される。
上記第1給湯制御処理では、タンクコントローラ41は、STEP7において、給湯コントローラ21に燃焼式給湯器10の加熱運転を禁止する旨の指令を与える。これにより、第1給湯制御処理では、燃焼式給湯器10の加熱運転は行われず、燃焼式加熱源11のバーナ12が消火状態に維持される。
さらにSTEP8において、タンクコントローラ41は、混合制御弁38を制御することでタンク出湯混合比を調整すると共に、出湯バイパス管34のバイパス弁39を制御する。
具体的には、STEP8では、タンクコントローラ41は、バイパス弁39を開弁状態(全開状態)に制御する。これにより、出湯管32の第1途中部32xから下流側に流れるタンク出湯混合湯水の大部分は、出湯バイパス管34を通って給湯口に供給される状態となる。
なお、一部の混合湯水が出湯バイパス管34を通らずに、燃焼式給湯器10に流入する。これにより、燃焼式給湯器10における出湯管32内の湯水が燃焼式給湯器10に流入するタンク出湯混合湯水(湯)に置換される。
また、STEP8では、タンクコントローラ41は、温度センサ53で検出されるタンク出湯混合湯水の温度が目標給湯温度になるように(すなわち、タンク出湯混合湯水の温度の目標値を目標給湯温度として)、混合制御弁38を介してタンク出湯混合比を調整する。この場合、タンク出湯混合湯水の温度は、給湯口に供給される湯水の温度(給湯温度)にほぼ一致するので、該給湯温度が目標給湯温度に制御されることとなる。
なお、STEP8では、温度センサ54の検出温度、すなわち、給湯温度の検出値が目標給湯温度になるように、混合制御弁38を介してタンク出湯混合比を調整するようにしてもよい。
以上が、第1給湯制御処理である。この場合、エネルギー効率が比較的高いヒートポンプ61によって蓄熱した貯湯タンク31内の湯水を利用し、且つ、燃焼式給湯器10の加熱運転を行わずに、給湯口への給湯(目標給湯温度の湯水の給湯)を行うので、該給湯を良好なエネルギー効率で行うことができる。
一方、第2給湯制御処理(STEP3〜6の処理)は、次のように実行される。すなわち、タンクコントローラ41は、STEP3において、給湯コントローラ21に燃焼式給湯器10の加熱運転を許可する旨の指令を与える。
さらにSTEP4において、給水管33の流量(=給湯口への給湯流量)が大きいか否かを判断する。この場合、タンクコントローラ41は給水管33の流量センサ49の検出流量(給水流量の検出値)があらかじめ設定された所定の閾値(例えば10リットル/min)以上であるかによって、該流量の大小を判断する。
STEP4で給水管33の流量が大きいと判断された場合(STEP4の判断結果が肯定的である場合)には、STEP5の制御処理が実行され、給水管33の流量が小さいと判断された場合(STEP4の判断結果が否定的である場合)には、STEP6の制御処理が実行される。
STEP5では、給湯コントローラ21により前記加熱温調制御処理が実行される。さらに、タンクコントローラ41により、タンク出湯混合比を混合制御弁38を介して調整する制御処理と、出湯バイパス管34のバイパス弁39の開度を制御する(ひいては、前記パイパス出口混合比を調整する)処理とが実行される。
具体的には、STEP5では、タンクコントローラ41は、温度センサ53で検出されるタンク出湯混合湯水の温度が、目標給湯温度よりも最小能力温度だけ低い温度になるように(すなわち、タンク出湯混合湯水の温度の目標値を、目標給湯温度−最小能力温度として)、タンク出湯混合比を混合制御弁38を介して調整する。上記最小能力温度は、出湯管32により燃焼式給湯器10に流入する現在の水量(流量センサ22により検出される流量)の湯水を、バーナ12の最小燃焼量で熱交換器13を介して加熱した場合における該湯水の上昇温度である。
また、STEP5では、給湯コントローラ21は、温度センサ23の検出温度(燃焼式給湯器10から流出する湯水の温度)が目標給湯温度よりも高い所定温度(例えば55°C)になるようにバーナ12の燃焼量とバイパスサーボ弁16によるバイパス比とを制御する(加熱温調制御処理を実行する)。なお、バイパス比を一定として、バーナ12の燃焼量だけを制御するようにしてもよい。
さらに、STEP5では、タンクコントローラ41は、温度センサ54の検出温度(給湯温度の検出値)が目標給湯温度となるように、バイパス弁39の開度(ひいては、バイパス出口混合比)を調整する。
給水管33の流量が大きい場合の第2給湯制御処理では、上記の如くSTEP5の制御処理が実行されることで、給湯口に供給される湯水の温度が目標給湯温度になるように制御される。この場合、給水管33の流量が大きいものの、出湯管32の第2途中部32yから燃焼式給湯器10と出湯バイパス管34との両方に湯水が分配されるので、圧力損失を低減できる。
また、給水管33の流量が小さい場合に実行されるSTEP6では、給湯コントローラ21により前記加熱温調制御処理が実行される。さらに、タンクコントローラ41により、タンク出湯混合比を混合制御弁38を介して調整する制御処理が実行されると共に、出湯バイパス管34のバイパス弁39が閉弁状態に制御される。
具体的には、STEP6では、タンクコントローラ41は、STEP5と同様に、温度センサ53で検出されるタンク出湯混合湯水の温度が、目標給湯温度よりも最小能力温度だけ低い所定の混合目標温度(=目標給湯温度−最小能力温度)になるように、タンク出湯混合比を混合制御弁38を介して調整する。
また、STEP6では、給湯コントローラ21は、温度センサ23の検出温度(燃焼式給湯器10から流出する湯水の温度)が目標給湯温度になるようにバーナ12の燃焼量とバイパスサーボ弁16によるバイパス比とを制御する(加熱温調制御処理を実行する)。なお、バイパス比を一定として、バーナ12の燃焼量だけを制御するようにしてもよい。
給水管33の流量が小さい場合の第2給湯制御処理では、上記の如くSTEP6の制御処理が実行されることで、給湯口に供給される湯水の温度が目標給湯温度になるように制御される。
補足すると、STEP5及び6における混合制御弁38の制御処理(タンク出湯混合比の調整処理)において、貯湯タンク31が湯切れ状態に近づいて、貯湯タンク31から出湯管32に供給される湯水の温度が低下すると、混合制御弁38は、タンク出湯流量を増加させていくと共に、混合給水流量を減少させていくように制御される。そして、最終的に、貯湯タンク31が湯切れ状態になると、タンク出湯流量が最大流量となると共に、混合給水流量が最小流量(ゼロもしくはほぼゼロ)となっても、温度センサ53で検出されるタンク出湯混合湯水の温度を上記混合目標温度に上昇させることができなくなる。
このような状況になると、本実施形態では、タンクコントローラ41は、混合制御弁38の制御処理におけるタンク出湯混合湯水の温度の目標値を、温度センサ53の検出温度に一致させる。そして、タンクコントローラ41は、混合制御弁38での圧力損失をできるだけ小さくするために、前記タンク出湯流量と混合給水流量との比率が最終的に1:1の比率になるまで、タンク出湯混合比を徐々に変化させる(タンク出湯流量を徐々に減少させると共に混合給水流量を徐々に増加させる)ように混合制御弁38を制御する。
以上の第1給湯制御処理(STEP7,8)又は第2給湯制御処理(STEP3〜6)の実行中に、タンクコントローラ41は、STEP9において、出湯管32の止水(通水の停止)の有無を検知する。
この場合、タンクコントローラ41は、給水管33の流量センサ49の検出流量があらかじめ設定された下限流量を下回った場合に、止水を検知する。なお、STEP9における下限流量は、前記STEP1における下限流量と同じでもよいが、異なっていてもよい。例えば、STEP9における下限流量は、STEP1における下限流量よりも若干小さ目の流量に設定されていてもよい。
STEP9で止水が検知されない場合(STEP9の判断結果が否定的である場合)には、STEP2からの処理が継続的に実行される。これにより給湯運転が継続する。
一方、STEP9で止水が検知された場合(STEP9の判断結果が肯定的である場合)には、タンクコントローラ41によって、図3のフローチャートに示す処理(STEP10〜16の処理)が実行される。
STEP10では、タンクコントローラ41は、前回の給湯運転(STEP9で止水が検知されるまで行われていた給湯運転)で燃焼式給湯器10の加熱運転が行われた否かを判断する。
この場合、前回の給湯運転で、タンクコントローラ41が前記STEP3で給湯コントローラ21に燃焼式給湯器10の加熱運転を許可する旨の指令を与えた場合に、STEP10の判断結果が肯定的となり、前回の給湯運転で、タンクコントローラ41が給湯コントローラ21に燃焼式給湯器10の加熱運転を許可する旨の指令を与えていない場合に、STEP10の判断結果が否定的となる。
そして、STEP10の判断結果が肯定的である場合には、タンクコントローラ41は、さらにヒートポンプ61の運転が現在行われているか否か(貯湯タンク31内の湯水の加熱中であるか否か)をSTEP11で判断する。
この場合、タンクコントローラ41がヒートポンプコントローラ71に貯湯沸き上げ指令を与えている状態でSTEP11の判断結果が肯定的となり、貯湯沸き上げ指令を与えていない状態でSTEP11の判断結果が否定的となる。
STEP11の判断結果が肯定的である場合には、タンクコントローラ41は、前回の給湯運転で貯湯タンク31が湯切れ状態になったか否かをSTEP12で判断する。
ここで、本実施形態では、給湯運転時の混合制御弁38の制御におけるタンク出湯混合湯水の温度の目標値(以降、目標タンク出湯混合温度という)は、貯湯タンク31が湯切れ状態となった場合には(詳しくは、混合制御弁38の制御によって、タンク出湯混合湯水の温度を目標給湯温度、あるいは、前記所定の混合目標温度(=目標給湯温度−最小能力温度)に制御することができなくなった場合)には、前記したように温度センサ53の検出温度に一致するように設定される。
この場合、貯湯タンク31の湯切れ状態では、タンク出湯混合湯水の実際の温度は、温度センサ50により検出される給水温度と同程度かもしくは該給水温度よりも若干高い温度(例えば給水温度+3°C程度)となる。なお、タンク出湯混合湯水の実際の温度が、給水温度よりも若干高い温度となる状況は、ヒートポンプ61による貯湯タンク31内の湯水の加熱が並行して行われている状況である。
そこで、本実施形態では、タンクコントローラ41は、STEP12の判断を、前回の給湯運転の終了直前における目標タンク出湯混合温度に基づいて行う。
具体的には、タンクコントローラ41は、目標タンク出湯混合温度に関する次式(1)の関係が成立する場合に、前回の給湯運転で貯湯タンク31が湯切れ状態になった(STEP12の判断結果が肯定的)と判断し、次式(1)の関係が成立しない場合には、前回の給湯運転で貯湯タンク31が湯切れ状態になっていない(STEP12の判断結果が否定的)と判断する。
目標タンク出湯混合温度<給水温度+α×(目標給湯温度−給水温度) ……(1)
ここで、式(1)における給水温度は、前回の給湯運転の終了直前に温度センサ50により検出された給水温度、目標給湯温度は、前回の給湯運転の終了直前に設定されていた目標給湯温度である。また、αはあらかじめ実験等に基づいて設定された所定の係数値であり、例えば0.3である。
従って、本実施形態では、前回の給湯運転の終了直前における目標タンク出湯混合温度が、当該終了直前における給水温度の検出値よりも若干高い温度よりも低いものとなっている場合に、貯湯タンク31が湯切れ状態になったものと判断される。
なお、前回の給湯運転で貯湯タンク31が湯切れ状態になったか否かの判断は、上記以外の手法で行うようにしてもよい。例えば、貯湯タンク31から出湯管32への出口部分に温度センサを備えておき、その温度検出値と、給水温度の検出値との差の絶対値が所定値以下となる場合に、貯湯タンク31が湯切れ状態になったと判断するようにしてもよい。
STEP12の判断結果が肯定的である場合には、タンクコントローラ41は、前回の給湯運転の終了後の経過時間が所定範囲内の時間であるか否かをSTEP13で判断する。
上記所定範囲は、例えば6分〜20分の範囲である。ここで、該所定範囲の下限の経過時間(6分)は、前回の給湯運転の終了後の経過時間(給湯運転の停止状態の経過時間)が該下限の時間以上になれば、ヒートポンプ61の作動により貯湯タンク31内の湯水の加熱がある程度進行しており、貯湯タンク31の貯湯状態が目標給湯温度よりも高温の湯水を貯湯タンク31から出湯管32にある程度供給可能な状態となっているような経過時間として実験等に基づいてあらかじめ設定された時間である。
また、当該所定範囲の上限の経過時間(20分)は、前回の給湯運転の終了後の経過時間(給湯運転の停止状態の経過時間)が該上限の時間以上になれば、貯湯タンク31の湯水の加熱が十分に進行しており、貯湯タンク31の残湯量が前記第1所定量以上に達した状態(給湯運転を再開したときに前記STEP2の判断で残湯量が大と判断される状態)となるような経過時間として実験等に基づいてあらかじめ設定された時間である。
従って、STEP13の判断結果が肯定的となる状態(より詳しくは、STEP10〜13のそれぞれの判断結果がいずれも肯定的となる状態)は、この状態で給湯運転を再開した時に、貯湯タンク31から高温の湯が出湯管32にある程度供給され、且つ、燃焼式給湯器10の加熱運転を行う前記第2給湯制御処理が実行される状態である。
なお、上記所定範囲の下限の経過時間及び上限の経過時間は、それぞれ本発明における第1の所定時間、第2の所定時間に相当する。
ここで、給湯コントローラ21は、燃焼式給湯器10の加熱運転の開始直後は、前記した如く、給湯器入水温度の推定値として、前回の給湯運転の終了時の推定値を暫定的に用いてバーナ12の燃焼量の制御を行う。
一方、STEP10〜13のそれぞれの判断結果がいずれも肯定的となる状態で、給水管33の通水の検知に応じて給湯運転を再開した場合、仮に、給湯運転の停止中に、混合制御弁38の作動状態を前回の給湯運転の終了時の状態(タンク出湯流量が混合給水流量以上となるタンク出湯混合比の状態)に維持しておくと、給湯運転の再開直後に、加熱運転を行う燃焼式給湯器10に、前回の給湯運転の終了時における給湯器入水温度に比して高温の湯水が供給されることとなる状況が生じやすい。
このため、当該給湯運転の再開時に、混合制御弁38の作動状態が前回の給湯運転の終了時の状態に維持されていると、該給湯運転の再開直後に、給湯コントローラ21がバーナ12の燃焼量の制御のために用いる給湯器入水温度の推定値に比して、燃焼式給湯器10に流入する実際の湯水の温度が過剰に高温なものとなりやすい。
そして、この場合には、バーナ12の燃焼による湯水の加熱量が過剰なものとなって、燃焼式給湯器10から過剰に昇温した湯が出湯し、ひいては、出湯管32の終端の給湯口に目標給湯温度よりも過剰に高い温度の湯が一時的に供給される虞がある。
そこで、本実施形態では、給湯運転の停止中において、STEP10〜13のそれぞれの判断結果がいずれも肯定的となる状態では、タンクコントローラ41は、STEP14において、タンク出湯混合比が、タンク出湯流量よりも混合給水流量の方が大きなものとなるようにあらかじめ設定した所定値になるように、混合制御弁38の作動状態を制御する。該所定値は、例えば、混合給水流量:タンク出湯流量=6:4となるような比率である。
また、STEP10〜13のいずれかの判断結果が否定的となる状態では、タンクコントローラ41は、STEP15において、タンク出湯混合比を、前回の給湯運転の終了時の状態と同じ状態にするように混合制御弁38の作動状態を制御する。
なお、本実施形態では、タンクコントローラ41は、STEP14,15のいずれの処理を実行する場合であっても、給湯運転の停止中に、前記バイパス弁39を閉弁状態に制御する。
上記の如くSTEP14又は15の処理を実行した後、タンクコントローラ41は、STEP16で給水管33の通水の有無を検知する。この処理は、前記STEP1の処理と同じである。
そして、STEP16で通水が検知されない場合には、タンクコントローラ41は、STEP10からの処理を実行しつつ待機する。
また、STEP16で通水が検知された場合には、前記STEP2からの処理が、タンクコントローラ41により、あるいは、タンクコントローラ41と給湯コントローラ21との協働によって実行される。これにより、給湯運転が再開される。
以上の如く、本実施形態の給湯システムによれば、給湯運転の終了後にSTEP10〜13のそれぞれの判断結果がいずれも肯定的となる場合に、混合制御弁38が、タンク出湯流量<混合給水流量となる所定値のタンク出湯混合比の作動状態に制御される。
すなわち、貯湯タンク31が湯切れ状態となった給湯運転の終了後に、ヒートポンプ61の運転による貯湯タンク31内の湯水の加熱が行われている状態で、該給湯運転の終了後の経過時間が所定範囲(6分〜20分)の間の経過時間となっている状況で、混合制御弁38が、タンク出湯流量<混合給水流量となる所定値のタンク出湯混合比の作動状態に制御される。
このため、このように混合制御弁38が制御された状態で、燃焼式給湯器10の加熱運転が行われる給湯運転が再開されても、その再開の直後に燃焼式給湯器10に流入するタンク出湯混合湯水の温度が、給湯コントローラ21が使用する給湯器入水温度の推定値(前回の給湯運転の終了直前の給湯器入水温度の推定値)に比して過剰に高温なものとなるのが防止される。
このため、燃焼式給湯器10の加熱運転が行われる給湯運転が再開された直後に一時的に、目標給湯温度に比して高温の湯が出湯管32の給湯口に供給されるのを防止することができる。
また、貯湯タンク31が湯切れ状態となった給湯運転の終了後の経過時間が所定範囲(6分〜20分)の下限の経過時間に達しておらず、貯湯タンク31の加熱が十分に進行していない場合や、当該経過時間が所定範囲の上限の経過時間を超えて、貯湯タンク31内に所定温度以上の湯が十分に蓄えられた場合には、混合制御弁38は、前回の給湯運転の終了時の状態と同じ作動状態に制御される。このため、混合制御弁38の作動状態は、タンク出湯流量≧混合給水流量となるような作動状態に制御される。
この結果、給湯運転の再開後に、出湯管32の給湯口に供給される湯水の温度を速やかに目標給湯温度に昇温させるようにすることができる。
次に、以上説明した実施形態の変形態様を説明する。
前記実施形態では、貯湯タンク31が湯切れ状態となった給湯運転の終了後の経過時間が、前記所定範囲の上限の経過時間を超えた場合に、混合制御弁38をタンク出湯流量≧混合給水流量となるような作動状態に制御するようにしたが、給湯運転の終了後の経過時間が前記所定範囲の上限の経過時間を超えても、該所定範囲内の経過時間と同じ作動状態に制御するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、貯湯タンク31の残湯量の大小を検知するために、貯湯タンク31に装着した温度センサ46,47を使用したが、例えば次のような手法で残湯量の大小を検知することも可能である。
すなわち、貯湯タンク31の沸き上げ状態(残湯量の満杯状態)から、貯湯タンク31から出湯管32に流れる湯水(所定温度以上の湯水)の流量を適宜の流量センサにより検出し、その検出値を積算する。そして、該流量の検出値の積算値を、貯湯タンク31の容量から減算することにより、貯湯タンク31の残湯量を推定する。この残湯量の推定値を、給湯加熱終了後経過時間の計測値等に応じて設定した残湯量閾値と比較することで、該残湯量の大小を検知することができる。
また、前記実施形態では、浴槽の湯はりを行い得る給湯システムを説明したが、本発明の給湯システムは、給湯運転だけを行うものであってもよい。あるいは、給湯運転に加えて、温水暖房を行い得る給湯システムであってもよい。