本発明の一実施形態を図1〜図4を参照して以下に説明する。
図1を参照して、本実施形態の給湯システムは、燃焼式給湯器10と、タンクユニット30と、ヒートポンプユニット60とを備える。
ヒートポンプユニット60は、本発明における加熱手段としてのヒートポンプ61を備える。このヒートポンプ61は、圧縮機62、凝縮器63、減圧器64、及び蒸発器65と、これらを経由させて冷媒を循環させる冷媒循環路66とを備えている。
この場合、凝縮器63は、後述の貯湯タンク31内の湯水と冷媒との熱交換を行うことで該湯水を加熱する熱交換器としての機能を有するものであり、貯湯タンク31と凝縮器63との間で湯水を循環させるタンク循環路67を介して貯湯タンク31に接続されている。タンク循環路67は、貯湯タンク31の下部及び上部をそれぞれ凝縮器63の湯水の流入口、流出口に接続している。そして、タンク循環路67には、循環ポンプ68が介装されている。
従って、循環ポンプ68を作動させることで、貯湯タンク31内の湯水が貯湯タンク31の下部から凝縮器63に供給される。そして、該湯水は、凝縮器63を経由した後に、貯湯タンク31の上部から該貯湯タンク31内に還流する。このように貯湯タンク31内の湯水をタンク循環路67で循環させつつ、ヒートポンプ61を作動させることで、該湯水が、凝縮器63における冷媒(圧縮機62で圧縮されて昇温した冷媒)との熱交換によって加熱される。
なお、図1では、循環ポンプ68は、貯湯タンク31の下部から凝縮器63に至る流路に介装されているが、凝縮器63から貯湯タンク31の上部に至る流路に介装されていてもよい。
ヒートポンプユニット60は、さらにヒートポンプ61及び循環ポンプ68の作動制御を行う機能を有するヒートポンプコントローラ71を備えている。該ヒートポンプコントローラ71は、マイクロコンピュータ等を含む電子回路ユニットにより構成されており、後述のタンクコントローラ41と相互に通信可能とされている。
また、タンク循環路67には、貯湯タンク31に凝縮器63から供給される湯水の温度を検出する温度センサ72と、凝縮器63に貯湯タンク31から供給される湯水の温度を検出する温度センサ73とが装着されている。
ヒートポンプコントローラ71には、後述のタンクコントローラ41から貯湯タンク31内の湯水を加熱すべき旨の貯湯沸き上げ指令、及び給湯システムの後述の基本動作モード(もしくは、該基本動作モードにより規定される貯湯沸き上げ温度)を示すデータ等が入力されると共に、上記温度センサ72,73の検出データが入力される。
そして、ヒートポンプコントローラ71は、タンクコントローラ41から貯湯沸き上げ指令を受信すると、貯湯タンク31内の湯水を加熱させるように、ヒートポンプ61及び循環ポンプ68の作動を制御する。
この場合、ヒートポンプコントローラ71は、上記温度センサ72,73の検出温度を用いて、所定の制御プログラムを実行することで、貯湯タンク31内の湯水の温度を、給湯システムの基本動作モードに応じて規定される所定の貯湯沸き上げ温度まで昇温させるように、ヒートポンプ61の出力と循環ポンプ68の回転数(ひいては、タンク循環路67を流れる湯水の流量)とを制御する。
詳細は後述するが、本実施形態では、上記基本動作モードは、標準モードと温調優先モードとの2種類の動作モードである。そして、温調優先モードでの貯湯沸き上げ温度は、標準モードの貯湯沸き上げ温度よりも高い所定温度とされている。例えば、標準モードでの貯湯沸き上げ温度は45°C、温調優先モードでの貯湯沸き上げ温度は、50°Cとされている。
次に、タンクユニット30は、ヒートポンプ61により加熱された湯水を貯蔵する貯湯タンク31と、出湯管32、給水管33及び出湯バイパス管34とを備える。
出湯管32は、台所、洗面所、浴室等に配置される給湯口に給湯するための流路である。この出湯管32は、貯湯タンク31の上部から導出され、燃焼式給湯器10(詳しくは、後述の熱交換器13)を経由した後、終端の給湯口に至るように配管されている。出湯管32の終端の給湯口には、例えばカラン35が接続される。
なお、出湯管32の終端の給湯口は複数に分岐していてもよく、また、カラン35の代わりに、シャワー等が接続されていてもよい。
給水管33は、水道管等から供給される水を貯湯タンク31と出湯管32とに給水する流路である。この給水管33は、その下流側の途中部33xから第1分岐給水管33aと第2分岐給水管33bとに分岐されている。そして、第1分岐給水管33aが貯湯タンク31の下部に接続され、第2分岐給水管33bが、出湯管32の上流側の第1途中部32xに接続(合流)されている。
従って、給水管33は、第1分岐給水管33aを介して貯湯タンク31にその下部から給水すると共に、第2分岐給水管33bを介して出湯管32の第1途中部32xに給水するように構成されている。なお、給水管33の途中部33xよりも上流側の箇所には減圧弁36が介装されている。
出湯管32の第1途中部32xは、換言すれば、給水管33から第1分岐給水管33aを介して貯湯タンク31に給水することに伴い該貯湯タンク31から出湯管32に供給される湯水と、給水管33から第2分岐給水管33bを介して出湯管32に供給される水との混合部である。
そして、貯湯タンク31から出湯管32に供給される湯水の流量(出湯管32の第1途中部32xに貯湯タンク31側から流入する湯水の流量)であるタンク出湯流量を調整するための流量調整弁37が、貯湯タンク31と第1途中部32xとの間で出湯管32に介装されている。また、給水管33から第2分岐給水管33bを介して出湯管32の第1途中部32xに供給される水の流量である混合給水流量を調整するための流量調整弁38が第2分岐給水管33bに介装されている。
これらの流量調整弁37,38により、それぞれタンク出湯流量、混合給水流量を調整することで、貯湯タンク31から出湯管32に供給される湯水と給水管33から第2分岐給水管33bを経由して出湯管32に供給される水との混合比(詳しくは、タンク出湯流量と混合給水流量との比)を変更することが可能となっている。従って、本実施形態では、流量調整弁37,38により、本発明における混合比変更手段が構成されている。
なお、流量調整弁37,38を上記の如く備える代わりに、例えば、出湯管32の第1途中部32xに三方弁を介装し、この三方弁により混合比変更手段を構成してもよい。
出湯バイパス管34は、出湯管32の第1途中部32xから下流側に流れる湯水(以降、混合湯水という)を、燃焼式給湯器10の上流側から下流側にバイパスさせて流す(燃焼式給湯器10を経由させずに流す)ための流路である。
この出湯バイパス管34は、燃焼式給湯器10の上流側における出湯管32の第2途中部32yと燃焼式給湯器10の下流側における出湯管32の第3途中部32zとを連通させるように配管されている。なお、上記第2途中部32yは、第1途中部32xよりも下流側の途中部である。
そして、出湯バイパス管34には、該出湯バイパス管34を開閉するバイパス弁39が介装されている。
ここで、出湯バイパス管34は、出湯管32の燃焼式給湯器10側の流路(第2途中部32yから燃焼式給湯器10を経由して第3途中部32zに至る流路)よりも圧力損失が小さい流路に構成されている。
このため、バイパス弁39を開弁した状態では、出湯管32の第1途中部32xから下流側に流れる前記混合湯水のうちの大部分が、第2途中部32yから出湯バイパス管34を通って下流側に流れ、残りの一部の混合湯水が燃焼式給湯器10に流入する。
また、バイパス弁39を閉弁した状態では、前記混合湯水の全体が燃焼式給湯器10に流入する。
タンクユニット30は、さらに、前記流量調整弁37,38、及びバイパス弁39の作動制御等を行う機能を有するタンクコントローラ41を備えている。該タンクコントローラ41は、マイクロコンピュータ等を含む電子回路ユニットにより構成されており、ヒートポンプコントローラ71及び後述の給湯コントローラ21と相互に通信可能とされている。
また、タンクコントローラ41には、給湯システムの基本動作モード(標準モード又は温調優先モード)をタンクコントローラ41に指示するためのモード設定スイッチ42と、使用者が給湯システムの運転操作等を行うためのリモコン43と、給湯システムの周囲の温度を環境温度として検出する環境温度センサ44とが接続されている。
モード設定スイッチ42は、給湯システムの設置施工時、あるいは、保守点検時等に業者が操作することで、標準モード及び温調優先モードのいずれかの基本動作モードを選択的に設定するためのスイッチである。このモード設定スイッチ42は、本発明におけるモード選択手段に相当する。
ここで、上記標準モードは、給湯システム1の給湯運転(給湯口への給湯を行う運転)を温調優先モードよりも良好なエネルギー効率で行い得る動作モードであり、温調優先モードは、低温環境であっても、給湯運転時の給湯温度(給湯口から出湯させる湯の温度)の目標温度へ追従制御の安定性等を標準モードよりも高めることができる動作モードである。
基本動作モードは、給湯システムの設置環境や使用者の嗜好等に応じて設定される。例えば、給湯システムがさほど低温とならないような場所に設置される場合や、使用者がエネルギー効率を重視するような場合には、基本動作モードとして標準モードが設定される。また、寒冷地等、給湯システムが低温となる場所に設置される場合や、給湯温度の制御性(温調性能)を重視するような場合には、基本動作モードとして温調優先モードが設定される。
なお、上記標準モード及び温調優先モードは、それぞれ、本発明における第1の動作モード、第2の動作モードに相当する。
リモコン43は、図示しない操作スイッチの操作、あるいは音声入力等に応じて、給湯システムの給湯運転のオンオフ、浴槽の湯はり運転のオンオフ、目標給湯温度、目標湯はり温度等の運転操作情報をタンクコントローラ41に指示する端末機器である。
なお、モード設定スイッチ42の代わりに、リモコン43の操作スイッチの所定の操作(複数の操作スイッチの同時操作等)によって、基本動作モードを選択し得るようにしてもよい。この場合には、リモコン43がモード選択手段として機能することとなる。
環境温度センサ44は、本発明における環境温度検出手段に相当するものである。この環境温度センサ44は、環境温度として外気温を検出し、その検出データをタンクコントローラ41に入力する。
また、タンクユニット30の貯湯タンク31、出湯管32、給水管33には、以下に説明する種々のセンサが組み付けられており、これらのセンサの検出データもタンクコントローラ41に入力される。
すなわち、貯湯タンク31には、貯湯タンク31内に存在する所定温度以上の湯の量である残湯量を大小に分別して検知するための第1タンク温度センサ45及び第2タンク温度センサ46と、貯湯タンク31の湯切れ状態(貯湯タンク31内に所定温度以上の湯が無いか、もしくはほとんど無いと見なせる状態)や貯湯タンク31内の上部の湯水の温度を検知するための第3タンク温度センサ47とが付設されている。
第1〜第3タンク温度センサ45,46,47は、それぞれ、貯湯タンク31の互いに異なる所定の高さ位置で該貯湯タンク31の外周面又は内部に装着されており、それぞれの高さ位置での貯湯タンク31内の湯水の温度を検出する。
この場合、第1〜第3タンク温度センサ45,46,47のそれぞれの高さ(貯湯タンク31の下端からの高さ)h1、h2、h3は、図示のように、h1<h2<h3となるように設定されている。
より具体的には、第1タンク温度センサ45の高さh1は、その高さh1よりも上側における貯湯タンク31内の容量(以降、第1所定量という)が例えば30リットルとなり、第2タンク温度センサ46の高さh2は、その高さh2よりも上側における貯湯タンク31内の容量(以降、第2所定量という)が例えば12リットル、第3タンク温度センサ47の高さh3は、その高さh3よりも上側における貯湯タンク31内の容量(以降、第3所定量という)が例えば6リットルとなるように、h1、h2、h3が設定されている。
また、給水管33のうちの、途中部33xよりも上流側の箇所には、該給水管33を流れる水の流量(貯湯タンク31及び出湯管32へのトータルの給水流量)を検出する流量センサ49が装着され、第2分岐給水管33bには、給水温度を検出する温度センサ50が装着されている。
また、出湯管32の第1途中部32xよりも上流側の箇所には、前記タンク出湯流量を検出する流量センサ51と、貯湯タンク31側から第1途中部32xに流入する湯水の温度を検出する温度センサ52とが装着されている。
さらに、出湯管32の第1途中部32xと第2途中部32yとの間の箇所には、第1途中部32xから下流側に流れる混合湯水の温度を検出する温度センサ53が装着され、第3途中部32zの下流側の箇所には、給湯口から出湯させる湯水の温度(給湯温度)を検出する温度センサ54が装着されている。
なお、給水温度を検出するための温度センサ50は、途中部33xよりも上流側の給水管33、あるいは、第1分岐給水管33aに装着されていてもよい。また、流量センサ49,51のいずれか一方の代わりに、第2分岐給水管33bを流れる水の流量を検出する流量センサが該第2分岐給水管33bに装着されていてもよい。
そして、タンクコントローラ41は、モード設定スイッチ42で設定された基本動作モード、リモコン43から与えられる運転操作情報、上記各センサ44〜54の検出データを用いて、所定の制御プログラムを実行する。
この場合、タンクコントローラ41は、制御プログラムを実行することで実現される機能として、ヒートポンプコントローラ71と協働して、ヒートポンプユニット60に係る制御を行う機能を有する。この制御では、タンクコントローラ41は、第1〜第3タンク温度センサ45〜47のうちの例えば第3タンク温度センサ47の検出温度を監視し、該検出温度があらかじめ設定された貯湯沸き上げ開始温度以下になると、ヒートポンプコントローラ71に前記貯湯沸き上げ指令を出力する。なお、貯湯沸き上げ開始温度は、前記沸き上げ温度よりも低い温度である。
また、タンクコントローラ41は、本発明における残湯量検知手段としての機能を有する。さらに、タンクコントローラ41は、給湯コントローラ21と協働することで、本発明における運転制御手段としての機能を有している。
タンクコントローラ41の残湯量検知手段としての機能と、運転制御手段としての機能とを以下に概略的に説明しておく。
まず、残湯量検知手段としての機能に関し、タンクコントローラ41は、本実施形態では、第1タンク温度センサ45又は第2タンク温度センサ46の検出温度に基づいて、貯湯タンク31の所定温度以上の湯の残湯量を大小に分別して検知する。なお、以降の説明では、特にことわらない限り、「残湯量」は、ある所定温度以上の湯の量を意味する。
ここで、貯湯タンク31内の湯水が加熱された状態で、給水管33の第1分岐給水管33aから貯湯タンク31への給水が行われると、該給水に伴い、貯湯タンク31内の高温の湯が貯湯タンク31の上部から出湯管32に供給される。これに伴い、基本的には、貯湯タンク31内の下部に低温の水の層が生成されると共に上部に高温の湯の層が生成される。そして、貯湯タンク31への給水の進行に伴い、貯湯タンク31の下部の低温層が増加すると共に、上部の高温層が減少していく。
このため、第1タンク温度センサ45の検出温度が所定温度よりも高い状態は、貯湯タンク31の残湯量が、前記第1所定量よりも多いことを示し、該検出温度が所定温度よりも低い状態は、該残湯量が前記第1所定量よりも少ないことを示す。
従って、第1タンク温度センサ45の検出温度を所定温度と比較することで、貯湯タンク31の残湯量を大小に分別して(詳しくは、第1所定量よりも多いか否かに分別して)検知できることとなる。
同様に、第2タンク温度センサ46の検出温度を所定温度と比較することで、貯湯タンク31の残湯量を大小に分別して(詳しくは、第2所定量よりも多いか否かに分別して)検知することができる。
そこで、本実施形態では、タンクコントローラ41は、第1タンク温度センサ45又は第2タンク温度センサ46の検出温度を所定温度と比較することで、貯湯タンク31の残湯量を大小に分別して検知する。
この場合、タンクコントローラ41は、残湯量の大小を検知するために用いる温度センサ45又は46を、環境温度センサ44の検出温度(外気温)に応じて選択的に切り替える。より詳しくは、タンクコントローラ41は、環境温度センサ44の検出温度(外気温)が所定値よりも低い場合に、残湯量の大小を検知するために、第1タンク温度センサ45を選択し、環境温度センサ44の検出温度が所定値よりも高い場合には、第2タンク温度センサ46を選択する。
そして、タンクコントローラ41は、第1タンク温度センサ45を選択した場合には、該第1タンク温度センサ45の検出温度が所定温度以下である場合に、貯湯タンク31の残湯量が小さいと判断し、該検出温度が所定温度よりも高い場合には、貯湯タンク31の残湯量が大きいと判断する。この場合には、貯湯タンク31の残湯量の大小を区分する残湯量閾値(大の残湯量の範囲と小の残湯量の範囲との間の境界値)は結果的に、前記第1所定量となる。
また、タンクコントローラ41は、第2タンク温度センサ46を選択した場合には、該第2タンク温度センサ46の検出温度が所定温度以下である場合に、貯湯タンク31の残湯量が小さいと判断し、該検出温度が所定温度よりも高い場合には、貯湯タンク31の残湯量が大きいと判断する。この場合には、貯湯タンク31の残湯量の大小を区分する残湯量閾値は結果的に、前記第2所定量(<第1所定量)となる。
従って、環境温度センサ44の検出温度が所定値よりも低い場合には、所定値よりも高い場合よりも上記残湯量閾値が大きくなる。
なお、第1タンク温度センサ45又は第2タンク温度センサ46と比較する所定温度は、本実施形態では、給湯システムの基本動作モードと、給湯運転時の目標給湯温度とに応じて決定される。
補足すると、第3タンク温度センサ47の検出温度を所定温度と比較することで、貯湯タンク31の残湯量を大小に分別して(詳しくは、第3所定量よりも多いか否かに分別して)検知することもできる。
ただし、本実施形態では、貯湯タンク31の残湯量が上記第3所定量よりも少ない状態は、貯湯タンク31内に所定温度以上の高温の湯が無いか、もしくはほとんど無い状態であるので、該高温の湯の湯切れ状態を意味する。
このため、本実施形態では、タンクコントローラ41は、第3タンク温度センサ47を、貯湯タンク31の湯切れ状態の発生を検知するためのセンサとして利用する。
また、前記第3タンク温度センサ47は、第1タンク温度センサ45又は第2タンク温度センサ46の検出温度が所定温度以上であるのに、なんらかの異常等により、貯湯タンク31の上部(第1タンク温度センサ45及び第2タンク温度センサ46よりも高い上部)に所定温度よりも低い冷えた湯水が存在するようなイレギュラーな状態を検知するセンサとしても利用される。
次に、タンクコントローラ41の運転制御手段としての機能に関し、タンクコントローラ41は、給湯システムの給湯運転(より詳しくは、流量センサ49により所定の下限流量以上の通水が検知される給湯運転)の開始時において、第1タンク温度センサ45又は第2タンク温度センサ46の検出温度に基づいて、貯湯タンク31の残湯量が大きいと判断した状況では、第1給湯制御処理を実行する。
詳細は後述するが、この第1給湯制御処理では、タンクコントローラ41は、バイパス弁39を開弁状態に制御した状態で、流量センサ49,51の検出流量と、温度センサ50,52,53,54の検出温度とを監視しつつ、温度センサ54(又は53)の検出温度(給湯温度の検出値)が、目標温度(ここでは、リモコン43で設定された目標給湯温度)になるように、流量調整弁37,38の開度を制御する(ひいては、前記混合比を調整する)処理である混合温調制御処理を実行する。また、タンクコントローラ41は、燃焼式給湯器10の加熱運転を禁止することを給湯コントローラ21に指令する。
その後、第3タンク温度センサ47の検出温度に基づいて、貯湯タンク31の湯切れ状態が検知された場合には、タンクコントローラ41は、バイパス弁39を閉弁すると共に、燃焼式給湯器10の加熱運転を許可する旨を給湯コントローラ21に指令する。
また、タンクコントローラ41は、給湯システムの給湯運転の開始時において、第1タンク温度センサ45又は第2タンク温度センサ46の検出温度に基づいて、貯湯タンク31の残湯量が小さいと判断した状況では、タンクコントローラ41は給湯コントローラ21と協働して、第2給湯制御処理を実行する。
詳細は後述するが、この第2給湯制御処理では、タンクコントローラ41は、バイパス弁39を閉弁状態に制御した状態で、混合温調制御処理を実行する。また、タンクコントローラ41は、燃焼式給湯器10の加熱運転を許可する旨を給湯コントローラ21に指令する。
なお、リモコン43により浴槽の湯はり運転を行うことが指示された場合には、タンクコントローラ41は、給湯コントローラ21に浴槽の湯はり運転を行うべきことを指令すると共に、バイパス弁39を閉弁状態に制御する。
さらに、タンクコントローラ41は、第3タンク温度センサ47の検出温度に基づいて、貯湯タンク31の湯切れ状態が検知されていない状況では、流量センサ49,51の検出流量と、温度センサ50,52,53の検出温度とを監視しつつ、温度センサ53の検出温度が、目標温度(ここでは、リモコン43で設定された目標湯はり温度)になるように、混合温調制御処理を実行する。
この場合、湯切れ状態の検知は、第3タンク温度センサ47の検出温度を目標湯はり温度と比較することで行われる。
そして、貯湯タンク31の湯切れ状態が検知された場合には、給湯コントローラ21に燃焼式給湯器10の加熱運転を指令する。
次に、燃焼式給湯器10は、出湯管32により上流側から供給される湯水を燃焼式加熱源11により適宜加熱するものである。この燃焼式加熱源11は、ガスバーナ等のバーナ12と、バーナ12の燃焼熱が付与される熱交換器13とを備えている。そして、燃焼式給湯器10に導入された出湯管32は、上流側の第2途中部32yから供給される湯水を、熱交換器13を経由させて、下流側の第3途中部32zに流すように配管されている。
燃焼式給湯器10は、さらに、熱交換器13の上流側から下流側に該熱交換器13をバイパスさせて湯水を流すためのバイパス管14と、熱交換器13の下流側から図示しない浴槽に湯はり用の湯水を供給する湯はり管15とを備える。
バイパス管14は、燃焼式給湯器10の内部の出湯管32における熱交換器13の上流側の途中部と下流側の途中部とを接続している。そして、燃焼式給湯器10の内部の出湯管32には、熱交換器13の上流側におけるバイパス管14との接続箇所に、該接続箇所から熱交換器13に流れる湯水の流量と、バイパス管14に流れる湯水の流量との比率であるバイパス比を調整するためのバイパスサーボ弁16が介装されている。
また、燃焼式給湯器10の内部の出湯管32には、バイパスサーボ弁16の上流側の箇所に、燃焼式給湯器10に上流側から流入する湯水の流量を調整するための水量サーボ弁17が介装されている。さらに、該出湯管32には、熱交換器13の下流側の箇所に、燃焼式給湯器10の下流側からの湯水の逆流を防止するための逆止弁18が介装されている。
湯はり管15は、熱交換器13の下流側における出湯管32から分岐されて、図示しない浴槽に至るように配管されている。そして、この湯はり管15には、該湯はり管15を開閉する湯はり弁19が介装されている。
燃焼式給湯器10は、さらに、バーナ12の燃焼運転、あるいは、バイパスサーボ弁16、水量サーボ弁17及び湯はり弁19の作動制御等を行う機能を有する給湯コントローラ21を備えている。該給湯コントローラ21は、マイクロコンピュータ等を含む電子回路ユニットにより構成されている。
また、燃焼式給湯器10の内部の出湯管32には、上流側から該燃焼式給湯器10に供給される湯水の全体の流量をバイパスサーボ弁16の上流側で検出する流量センサ22と、熱交換器13の下流側におけるバイパス管14との接続箇所から下流側に供給される湯水の温度(給湯器出湯温度)を当該接続箇所の下流側で検出する温度センサ23とが装着されている。さらに、湯はり管15には、該湯はり管15で浴槽に供給される湯水の流量を検出する流量センサ24が装着されている。
給湯コントローラ21には、タンクコントローラ41から、給湯運転又は湯はり運転を行うべき旨の指令、目標給湯温度又は目標湯はり温度を示すデータ、給湯運転時に燃焼式給湯器10の加熱運転(詳しくは、燃焼式加熱源11による湯水の加熱を行う運転)を許可するか否かを示す指令等が入力されると共に、上記流量センサ22,24及び温度センサ23の検出データが入力される。
そして、給湯コントローラ21は、給湯運転を行うことが指令され、且つ、燃焼式給湯器10の加熱運転を行うことが許可されている状態では、流量センサ22により所定の下限流量以上の通水が検知される場合に、温度センサ23の検出温度が、目標温度(ここでは目標給湯温度)になるように、バーナ12の燃焼量とバイパスサーボ弁16によるバイパス比とを制御する処理である加熱温調制御処理を実行する。
また、給湯コントローラ21は、湯はり運転を行うことが指令されている状態では、湯はり弁19を開弁する。そして、給湯コントローラ21は、燃焼式給湯器10の加熱運転がタンクコントローラ41から指令された場合に、温度センサ23の検出温度が、目標温度(ここでは目標湯はり温度)になるように、加熱温調制御処理を実行する。なお、湯はり運転時には、流量センサ24の検出流量の積算値が、リモコン43等で設定される目標湯はり量に達すると、湯はり弁19が閉弁されると共に、燃焼式給湯器10の加熱運転が終了される。
本実施形態では、上記したタンクコントローラ41と給湯コントローラ21とにより本発明における運転制御手段が構成される。
次に、本実施形態の給湯システムの給湯運転時におけるタンクコントローラ41及び給湯コントローラ21の制御処理を図2〜図4を参照して詳説する。
給湯システムの電源が投入された状態で、タンクコントローラ41は、STEP1において、給水管33における通水(カラン35の開栓等に起因する給湯口への通水)の有無を監視する(STEP1)。
この場合、タンクコントローラ41は、給水管33の流量センサ49の検出流量があらかじめ設定された下限流量以上となった場合に、通水を検知する。なお、給水管33の通水が行われていない止水状態では、タンクコントローラ41は、出湯バイパス管34のバイパス弁39を開弁状態に制御している。
STEP1で通水が検知されると、STEP2からの制御処理がタンクコントローラ41及び給湯コントローラ21により実行される。
なお、以降説明するSTEP2からの制御処理は、給水管33の通水が検知されなくなる止水状態になると中止される。
タンクコントローラ41は、まず、残湯量検知手段としての機能によって、STEP2〜12の処理を実行する。
STEP2では、タンクコントローラ41は、モード設定スイッチ42で設定されている基本動作モードが標準モードであるか、温調優先モードであるかを判断する。
基本動作モードが標準モードに設定されている場合には、タンクコントローラ41は、STEP3において、環境温度センサ44により検出される現在の外気温(環境温度)が、あらかじめ設定された第1閾値よりも高いか否かを判断する。該第1閾値は、例えば10°Cである。
そして、タンクコントローラ41は、STEP3の判断結果に応じて、残湯量検知用の温度センサとして、第1タンク温度センサ45及び第2タンク温度センサ46のいずれか一方の温度センサを選択する(STEP4,6)。さらに、タンクコントローラ41は、選択した温度センサ45又は46を用いて、貯湯タンク31の残湯量の大小を検知する(STEP5,7)。
具体的には、タンクコントローラ41は、外気温の検出値が第1閾値(10°C)よりも高い場合には、STEP4で、第2タンク温度センサ46を残湯量検知用の温度センサとして選択する。そして、タンクコントローラ41は、STEP5において、基本的には、第2タンク温度センサ46の検出温度th2を、残湯量検知用の所定温度と比較することにより、貯湯タンク31の残湯量の大小を判断する。
給湯システムの基本動作モードが標準モードである場合、タンクコントローラ41は、残湯量検知用の所定温度として、リモコン43で設定された目標給湯温度を使用する。そして、STEP5では、基本的には、th2≦目標給湯温度である場合に、残湯量が小であると判断され、th2>目標給湯温度である場合に、残湯量が大であると判断される。
ここで、th2>目標給湯温度である場合には、通常は、第2タンク温度センサ46よりも高い位置での貯湯タンク31内の湯水の温度も目標給湯温度よりも高い温度となっている。ただし、発生頻度は少ないものの、貯湯タンク31の上部に目標給湯温度以下の低温の湯水が存在している場合もある。そして、このような場合には、貯湯タンク31から出湯管32に一時的に低温の湯水が供給されてしまう。
そこで、本実施形態では、タンクコントローラ41は、STEP5において、貯湯タンク31内の上部に配置されている前記第3タンク温度センサ47の検出温度th3が残湯量検知用の所定温度(目標給湯温度)以下となっている場合にも、残湯量が小であると判断する(残湯量が小であると見なす)。
そして、タンクコントローラ41は、th2及びth3の両方が、残湯量検知用の所定温度(目標給湯温度)よりも高い場合に、貯湯タンク31の残湯量が大であると判断する。
また、タンクコントローラ41は、STEP3において、外気温の検出値が第1閾値(10°C)以下の低温である場合には、STEP6で、第1タンク温度センサ45を残湯量検知用の温度センサとして選択する。そして、タンクコントローラ41は、STEP7において、基本的には、第1タンク温度センサ45の検出温度th1を、残湯量検知用の所定温度としての目標給湯温度と比較することにより、貯湯タンク31の残湯量の大小を判断する。
この場合、STEP7では、基本的には、th1≦目標給湯温度である場合に、残湯量が小であると判断され、th1>目標給湯温度である場合に、残湯量が大であると判断される。
ただし、本実施形態では、STEP5の場合と同じ理由によって、タンクコントローラ41は、STEP7において、第3タンク温度センサ47の検出温度th3が残湯量検知用の所定温度(目標給湯温度)以下となっている場合にも、残湯量が小であると判断する(残湯量が小であると見なす)。
そして、タンクコントローラ41は、th1及びth3の両方が、残湯量検知用の所定温度(目標給湯温度)よりも高い場合に、貯湯タンク31の残湯量が大であると判断する。
なお、以降の説明では、th1又はth2が、残湯量検知用の所定温度よりも高い状況で、th3が残湯量検知用の所定温度以下となる状況を「タンク内温度のイレギュラー状況」という。
以上のSTEP3〜STEP7の処理が、標準モードにおいて、タンクコントローラ41の残湯量検知手段としての機能によって、貯湯タンク31の残湯量の大小を検知する処理である。
この場合、外気温(環境温度)の検出値が第1閾値(10°C)よりも高い状況では、残湯量検知用の温度センサとして、第2タンク温度センサ46が使用される一方、外気温(環境温度)の検出値が第1閾値(10°C)よりも低い状況(低温環境の状況)では、残湯量検知用の温度センサとして、第2タンク温度センサ46よりも低い位置の第1タンク温度センサ45が使用される。
そして、STEP5において、残湯量検知用の所定温度に対応する残湯量閾値は、タンク内温度のイレギュラー状況を除き、第2タンク温度センサ46の高さ位置に対応する第2所定量である。
また、STEP7において、残湯量検知用の所定温度に対応する残湯量閾値は、タンク内温度のイレギュラー状況を除き、第1タンク温度センサ45の高さ位置に対応する第1所定量(>第2所定量)である。
従って、STEP5又は7において、残湯量閾値は、結果的に、外気温(環境温度)の検出値が第1閾値(10°C)よりも高い状況よりも、該検出値が第1閾値よりも低い状況の方が大きくなる。
このため、外気温の検出値が第1閾値よりも低い状況では、第1閾値よりも高い場合に比べて早めに、残湯量が小であると判断されることとなる。
STEP5又は7において、貯湯タンク31の残湯量が大きいと判断された場合には、STEP13において、タンクコントローラ41によって、第1給湯制御処理が実行される。この第1給湯制御処理は、燃焼式給湯器10の加熱運転を禁止した状態で、給湯口への給湯を行わせる制御処理である。
また、STEP5又は7において、貯湯タンク31の残湯量が小さいと判断された場合には、STEP14において、タンクコントローラ41と給湯コントローラ21との協働によって、第2給湯制御処理が実行される。この第2給湯制御処理は、燃焼式給湯器10の加熱運転を許可した状態で、給湯口への給湯を行わせる制御処理である。
上記第1給湯制御処理は、図3のフローチャートに示す如く実行される。
タンクコントローラ41は、STEP21において、給湯コントローラ21に燃焼式給湯器10の加熱運転を禁止する旨の指令を与える。
さらにSTEP22において、タンクコントローラ41は出湯バイパス管34のバイパス弁39を開弁状態に制御する。これにより、出湯管32の第1途中部32xから下流側に流れる混合湯水の大部分は、出湯バイパス管34を通って給湯口に供給される状態となる。また、一部の混合湯水が出湯バイパス管34を通らずに、燃焼式給湯器10に流入する。これにより、燃焼式給湯器10における出湯管32内の湯水が燃焼式給湯器10に流入する混合湯水(湯)に置換される。
そして、タンクコントローラ41は、STEP23において、前記した混合温調制御処理を実行する。すなわち、タンクコントローラ41は、流量調整弁37,38を介してタンク出湯流量と混合給水流量との比である混合比を調整することで、温度センサ54(又は53)で検出される給湯温度が目標給湯温度になるように、温調制御を行う。
この混合温調制御処理の実行中は、燃焼式給湯器10の加熱運転は行われず、燃焼式加熱源11のバーナ12が消火状態に維持される。
タンクコントローラ41は、混合温調制御処理を実行しつつ、STEP24において、第3タンク温度センサ47の検出温度th3を所定の湯切れ判定温度と比較することで、貯湯タンク31の湯切れ状態の発生の有無を検知する。
この場合、上記湯切れ判定温度として、目標給湯温度が使用される。そして、タンクコントローラ41は、th3>目標給湯温度である場合には、湯切れ状態が発生してないと判断し、th3≦目標給湯温度になると、湯切れ状態が発生したと判断する。
STEP24で湯切れ状態の発生が検知されない場合には、タンクコントローラ41は、STEP21〜24の処理を継続する。また、STEP24で湯切れ状態の発生が検知された場合には、タンクコントローラ41は、第1給湯制御処理を終了し、後述の第2給湯制御処理を開始する。
以上が、第1給湯制御処理である。この場合、エネルギー効率が比較的高いヒートポンプ61によって蓄熱した貯湯タンク31内の湯水を利用し、且つ、燃焼式給湯器10の加熱運転を行わずに、給湯口への給湯(目標給湯温度の湯水の給湯)を行うので、該給湯を良好なエネルギー効率で行うことができる。
次に、前記第2給湯制御処理は、図4のフローチャートに示す如く実行される。
タンクコントローラ41は、STEP31において、前記STEP24と同様に貯湯タンク31の湯切れ状態の発生の有無を検知する。
STEP31で湯切れ状態の発生が検知されない場合には、タンクコントローラ41は、STEP32において、給湯コントローラ21に燃焼式給湯器10の加熱運転を許可する旨の指令を与える。
さらにSTEP33において、タンクコントローラ41は出湯バイパス管34のバイパス弁39を閉弁状態に制御する。従って、この場合には、前記第1給湯制御処理の場合と異なり、燃焼式給湯器10の加熱運転を許可した状態で、バイパス弁39が閉弁状態に制御される。
そして、STEP34において、給湯コントローラ21による加熱温調制御処理が実行される。併せて、タンクコントローラ41によって、前記混合比の調整も行われる。
具体的には、STEP34では、タンクコントローラ41は、温度センサ53で検出される混合湯水の温度が、目標給湯温度よりも最小能力温度だけ低い所定の混合目標温度になるように、前記混合比を流量調整弁37,38を介して調整する。上記最小能力温度は、出湯管32により燃焼式給湯器10に流入する現在の水量(流量センサ22により検出される流量)の湯水を、バーナ12の最小燃焼量で熱交換器13を介して加熱した場合における該湯水の上昇温度である。
さらに、STEP34では、給湯コントローラ21は、温度センサ23の検出温度(燃焼式給湯器10から流出する湯水の温度)が目標給湯温度になるようにバーナ12の燃焼量とバイパスサーボ弁16によるバイパス比とを制御する(加熱温調制御処理を実行する)。なお、バイパス比を一定として、バーナ12の燃焼量だけを制御するようにしてもよい。
以上のSTEP32〜34の処理は、STEP31で貯湯タンク31の湯切れ状態の発生が検知されるまで継続される。
補足すると、STEP34では、バイパス弁39を開弁状態で燃焼式給湯器10の加熱運転を行うようにしてもよい。また、STEP34では、前記流量調整弁37,38の開度、ひいては、前記混合比を一定に保持するようにしてもよい。
STEP31で貯湯タンク31の湯切れ状態の発生が検知された場合、あるいは、前記第1給湯制御処理のSTEP24において湯切れ状態の発生が検知された場合には、タンクコントローラ41は、STEP35において、給湯コントローラ21に燃焼式給湯器10の加熱運転を許可する旨の指令を与える。
さらにSTEP36において、タンクコントローラ41は出湯バイパス管34のバイパス弁39を閉弁状態に制御する。これにより、出湯管32の第1途中部32xから下流側に流れる混合湯水の全量が燃焼式給湯器10に供給されるようになる。
そして、STEP37において、給湯コントローラ21による加熱温調制御処理が実行される。なお、この場合、貯湯タンク31内の残湯量がゼロになると、温度センサ53で検出される湯水の温度を所望の目標温度に制御することはできない。そこで、STEP37では、前記流量調整弁37,38を全開にする等、出湯管32や第2分岐給水管33bの通路抵抗を小さくするよう、流量調整弁37,38が制御される。
貯湯タンク31の湯切れ状態が発生した後には、以上のSTEP35〜37の処理が継続される。
以上が、標準モードでの給湯システムの給湯運転時におけるタンクコントローラ41及び給湯コントローラ21の制御処理である。
次に、給湯システムの基本動作モードとして、温調優先モードが設定されている場合の制御処理を説明する。
前記STEP2において、設定されている基本動作モードが温調優先モードである場合には、タンクコントローラ41は、STEP8において、環境温度センサ44により検出される現在の外気温(環境温度)が、あらかじめ設定された第2閾値よりも高いか否かを判断する。この場合、第2閾値は、標準モードにおける第1閾値(10°C)よりも高い温度、例えば、20°Cに設定されている。
そして、タンクコントローラ41は、STEP8の判断結果に応じて、残湯量検知用の温度センサとして、第1タンク温度センサ45及び第2タンク温度センサ46のいずれか一方の温度センサを選択する(STEP9,11)。さらに、タンクコントローラ41は、選択した温度センサ45又は46を用いて、貯湯タンク31の残湯量の大小を検知する(STEP10,12)。
具体的には、タンクコントローラ41は、外気温の検出値が第2閾値(20°C)よりも高い場合には、STEP9で、第2タンク温度センサ46を残湯量検知用の温度センサとして選択する。そして、タンクコントローラ41は、STEP10において、基本的には、第2タンク温度センサ46の検出温度th2を、残湯量検知用の所定温度と比較することにより、貯湯タンク31の残湯量の大小を判断する。
ここで、給湯システムの基本動作モードが温調優先モードである場合には、本実施形態では、残湯量検知用の所定温度として、標準モードの場合よりも若干高い温度が使用される。すなわち、温調優先モードでの残湯量検知用の所定温度として、本実施形態では、リモコン43で設定された目標給湯温度に所定値αを加えた温度を使用する。該所定値αは、例えば3°Cである。
そして、STEP10では、基本的には、th2≦目標給湯温度+αである場合に、残湯量が小であると判断され、th2>目標給湯温度+αである場合に、残湯量が大であると判断される。
ただし、本実施形態では、STEP5の場合と同様にタンク内温度のイレギュラー状況を考慮し、タンクコントローラ41は、STEP10において、第3タンク温度センサ47の検出温度th3が残湯量検知用の所定温度(目標給湯温度+α)以下となっている場合にも、残湯量が小であると判断する(残湯量が小であると見なす)。
そして、タンクコントローラ41は、th1及びth3の両方が、残湯量検知用の所定温度(目標給湯温度+α)よりも高い場合に、貯湯タンク31の残湯量が大であると判断する。
また、タンクコントローラ41は、STEP8において、外気温の検出値が第2閾値(20°C)以下の低温である場合には、STEP11で、第1タンク温度センサ45を残湯量検知用の温度センサとして選択する。そして、タンクコントローラ41は、STEP12において、基本的には、第1タンク温度センサ45の検出温度th1を、残湯量検知用の所定温度(目標給湯温度+α)と比較することにより、貯湯タンク31の残湯量の大小を判断する。
この場合、STEP12では、基本的には、th1≦目標給湯温度+αである場合に、残湯量が小であると判断され、th1>目標給湯温度+αである場合に、残湯量が大であると判断される。
ただし、本実施形態では、STEP5の場合と同様にタンク内温度のイレギュラー状況を考慮し、タンクコントローラ41は、STEP12において、第3タンク温度センサ47の検出温度th3が残湯量検知用の所定温度(目標給湯温度+α)以下となっている場合にも、残湯量が小であると判断する(残湯量が小であると見なす)。
そして、タンクコントローラ41は、th1及びth3の両方が、残湯量検知用の所定温度(目標給湯温度+α)よりも高い場合に、貯湯タンク31の残湯量が大であると判断する。
補足すると、タンク内温度のイレギュラー状況の発生頻度は、一般に十分に少ないので、STEP10,12で第3タンク温度センサ47の検出温度th3を残湯量検知用の所定温度と比較することを省略してもよい。このことは、前記した標準モードにおけるSTEP5,7においても同様である。
上記STEP8〜STEP12の処理が、温調優先モードにおいて、タンクコントローラ41の残湯量検知手段としての機能によって、貯湯タンク31の残湯量の大小を検知する処理である。
この場合、外気温(環境温度)の検出値が第2閾値(20°C)よりも高い状況では、残湯量検知用の温度センサとして、第2タンク温度センサ46が使用される一方、外気温(環境温度)の検出値が第2閾値(20°C)よりも低い状況(低温環境の状況)では、残湯量検知用の温度センサとして、第2タンク温度センサ46よりも低い位置の第1タンク温度センサ45が使用される。
この場合、第2閾値は、標準モードにおける第1閾値よりも高いので、温調優先モードでは、外気温が第1閾値よりも低い場合だけでなく、第1閾値よりも多少高い温度(第1閾値と第2閾値との間の温度)である場合でも、第1タンク温度センサ45が、残湯量検知用の温度センサとして使用される。
そして、STEP10において、残湯量検知用の所定温度に対応する残湯量閾値と、STEP12において、残湯量検知用の所定温度に対応する残湯量閾値とは、タンク内温度のイレギュラー状況を除き、それぞれ、第2所定量、第1所定量(>第2所定量)である。
従って、STEP10又は12において、残湯量閾値は、結果的に、外気温(環境温度)の検出値が第2閾値(20°C)よりも高い状況よりも、該検出値が第2閾値よりも低い状況の方が大きくなる。
このため、外気温の検出値が第2閾値よりも低い状況では、第2閾値よりも高い場合に比べて早めに、残湯量が小であると判断されることとなる。さらに、温調優先モードと標準モードとを比較した場合、外気温が、第1閾値と第2閾値との間の温度となっている状況では、温調優先モードでは、標準モードよりも早めに、残湯量が小であると判断されることとなる。
また、温調優先モードにおける残湯量検知用の所定温度(目標給湯温度+α)は、標準モードにおける残湯量検知用の所定温度(目標給湯温度)よりも高いので、温調優先モードにおけるSTEP10で、残湯量の検知結果が大から小に切替わるときに、第2タンク温度センサ46の高さ位置の上側に存在する残湯(第2所定量の残湯)が有する熱量は、基本的には、標準モードにおけるSTEP5で、残湯量の検知結果が大から小に切替わるときに、第2タンク温度センサ46の高さ位置の上側に存在する残湯の熱量よりも多くなる。
STEP10又は12において、貯湯タンク31の残湯量が大きいと判断された場合には、STEP13において、前記した第1給湯制御処理が実行される。
また、STEP10又は12において、貯湯タンク31の残湯量が小さいと判断された場合には、STEP14において、前記した第2給湯制御処理が実行される。
以上が、温調優先モードでの給湯システムの給湯運転時におけるタンクコントローラ41及び給湯コントローラ21の制御処理である。
以上説明した本実施形態の給湯システムによれば、給湯運転時に、タンクコントローラ41は、まず、環境温度(外気温)に応じて、残湯量の大小を区分する残湯量閾値が変化するようにして、貯湯タンク31内の残湯量の大小を検知する。そして、残湯量が大きいと判断された場合には、前記第1給湯制御処理がタンクコントローラ41により実行され、残湯量が小さいと判断された場合には、前記第2給湯制御処理がタンクコントローラ41及び給湯コントローラ21の協働によって実行される。
ここで、貯湯タンク31が湯切れ状態になるまでは、バイパス弁39は開弁状態とされるので、出湯管32の第1途中部32xから下流側に供給される前記混合湯水は、その大部分が出湯バイパス管34を通って下流側に流れる。そして、該混合湯水の一部だけが燃焼式給湯器10に供給される。
このため、特に環境温度が低い場合には、燃焼式給湯器10の出湯管32内の湯水は放熱によって冷えやすい。
しかるに、本実施形態では、給湯運転の開始時に、環境温度の検出値が、第1閾値又は第2閾値よりも低い低温である場合には、環境温度の検出値が高温である場合よりも、残湯量の大小を区分する残湯量閾値が大きくなるようにして、残湯量の大小が検知される。
このため、残湯量が大きいと判断された場合の前記第1給湯制御処理の実行時には、環境温度が低い場合であっても、燃焼式給湯器10の加熱運転を行わずとも、貯湯タンク31が湯切れ状態になる前に、燃焼式給湯器10に混合湯水の一部を十分に供給して、燃焼式給湯器10の出湯管32の湯水の全体を目標給湯温度またはそれに近い温度の湯水に置換し、さらに該湯水の温度を保温しておくことができる。
また、残湯量が小さいと判断された場合の前記第2給湯制御処理の実行時には、貯湯タンク31が湯切れ状態になる前に、燃焼式給湯器10に供給し得る混合湯水は少ないものの、燃焼式給湯器10の加熱運転が行われる。
しかも、環境温度に応じた残湯量の大小の検知によって、環境温度が低い場合には、高い場合に比べて、残湯量が多めの状態で該残湯量が小さいと判断され、燃焼式給湯器10の加熱運転を行う第2給湯制御処理が実行される。このため、環境温度が低い場合には、基本的には、貯湯タンク31が湯切れ状態になるまでに、燃焼式給湯器10の加熱運転が長めの期間、行われる。
従って、残湯量が小さいと判断された場合の第2給湯制御処理の実行時には、環境温度が低い場合であっても、貯湯タンク31が湯切れ状態になる前に、燃焼式給湯器10の加熱運転によって、該燃焼式給湯器10の出湯管32の湯水の全体を目標給湯温度またはそれに近い温度の湯水に速やかに昇温させ、さらに該湯水の温度を保温しておくことができる。
この結果、給湯運転の開始時の残湯量が大きい場合及び小さい場合のいずれの場合であっても、貯湯タンク31の湯切れ状態が発生することに応じて、全量の湯水を燃焼式給湯器10を介して給湯する(バイパス弁39を閉弁する)することを開始したときに、該燃焼式給湯器10から一時的に冷えた湯水が出湯管32の給湯口に供給されることを、環境温度の高低によらずに防止することができる。従って、環境温度の高低によらずに、目標給湯温度への実際の給湯温度の追従制御の安定性を高めることができる。
また、本実施形態では、標準モードと、温調優先モードとのうちのいずれかの基本動作モードを選択可能である。この場合、温調優先モードでは、残湯量検知用の温度センサ45又は46を切り替える(ひいては、残湯量閾値を切り替える)ために用いる環境温度(外気温)の第2閾値(20°C)が、標準モードにおける第1閾値(10°C)よりも高めの温度に設定されている。
このため、特に、環境温度が第1閾値と第2閾値との間の範囲内の温度である場合に、温調優先モードでは、目標給湯温度への実際の給湯温度の追従制御の安定性を標準モードよりも一層高めることができる。
加えて、温調優先モードでは、残湯量検知用の所定温度(目標給湯温度+α)が、標準モードでの残湯量検知用の所定温度(目標給湯温度)よりも高めに設定される。このため、温調優先モードでは、基本的には、標準モードよりも早期に前記2給湯制御処理が行われるようになる。この結果、特に環境温度が低い場合に、上記追従制御の安定性を標準モードよりも高めることができる。
よって、温調優先モードでは、環境温度によらずに、上記追従制御の良好な安定性を実現できる。
また、温調優先モードでは、ヒートポンプ61による貯湯沸き上げ温度が標準モードにおける貯湯沸き上げ温度よりも高い温度とされている。このため、温調優先モードでは、貯湯タンク31が湯切れ状態になる前に、標準モードよりもより高温の湯水を出湯管32に供給することが可能となる。この結果、給湯運転の開始時等において、実際の給湯温度の目標給湯温度に素早く制御することができる。
以上のように温調優先モードでは、目標給湯温度への実際の給湯温度の追従制御の安定性あるいは応答性を高めることができる。
一方、標準モードでは、目標給湯温度への実際の給湯温度の追従制御の安定性等は温調優先モードよりも低下するものの、温調優先モードよりも燃焼式給湯器10の加熱運転を行うことが抑制され、給湯システムのエネルギー効率を高効率なものとすることができる。
次に、以上説明した実施形態の変形態様を説明する。
前記実施形態では、標準モード及び温調優先モードのいずれの場合でも、残湯量検知用の所定温度を環境温度(外気温)の検出値に応じて変化させるようにしてもよい。具体的には、環境温度の検出値が低いほど、残湯量検知用の所定温度を高くする。
例えば、標準モードにおいて、残湯量検知用の所定温度を目標給湯温度+βとして、このβを、環境温度の検出値が低いほど、大きくなるように設定する。
同様に、温調優先モードにおいて、残湯量検知用の所定温度を目標給湯温度+α+βとして、このβを、環境温度の検出値が低いほど、大きくなるように設定する。
このようにすると、標準モード及び温調優先モードのいずれの場合でも、環境温度によらずに、目標給湯温度への実際の給湯温度の追従制御の安定性をより一層高めることができる。
また、前記実施形態では、標準モードにおける残湯量検知用の所定温度と温調優先モードにおける残湯量検知用の所定温度とを互いに同じ温度にしてもよい。
また、前記実施形態では、環境温度として、給湯システムの周囲の温度たる外気温を検出するようにしたが、検出対象の環境温度は、貯湯タンク31や出湯管32、あるいは、燃焼式給湯器10の周囲の温度とほぼ同等の温度であれば、外気温でなくともよい。
さらには、給湯システムの周囲の温度の代わりに、給水温度を環境温度として検出し、その給水温度の検出値(例えば、温度センサ50による給水温度の検出値)に応じて残湯量閾値を変化させるようにしてもよい。
例えば、図2のSTEP3又は8において、外気温の検出値を第1閾値又は第2閾値と比較する代わりに、給水温度の検出値が所定の閾値(各動作モード毎の閾値)よりも高いか否かを判断し、その判断結果に応じて、前記実施形態と同様に残湯量検知用の温度センサを選択的に切り替えるようにしてもよい。
さらに、外気温(給湯システムの周囲の温度)と給水温度との両方を検出し、その両方の温度の検出値に応じて残湯量閾値を変化させるようにしてもよい。例えば、図2のSTEP3又は8において、外気温の検出値と給水温度の検出値との両方がそれぞれに対応して設定された所定の閾値よりも高いか否かを判断し、その判断結果に応じて、前記実施形態と同様に残湯量検知用の温度センサを選択的に切り替えるようにしてもよい。
また、前記実施形態では、環境温度が閾値(第1閾値又は第2閾値)よりも高いか低いかで、残湯量検知用の温度センサ45又は45を切り替える(ひいては、残湯量閾値を2種類に切替える)ようにしたが、残湯量閾値を環境温度に応じて3種類以上に切替えるようにしてもよい。
例えば、3個以上の残湯量検知用の温度センサを貯湯タンク31の互い異なる高さ位置に備えておき、環境温度の検出値に応じて、残湯量検知用の1つの温度センサを選択する。この場合、環境温度を高中低等、3種類以上に分類し、該環境温度が低いほど、より低い位置の温度センサを選択する。
このようにすることで、残湯量閾値を、環境温度に応じて3種類以上に切替えることができる。
また、前記実施形態では、残湯量の大小を検知するために、貯湯タンク31に装着した温度センサ45,46を使用したが、例えば次のような手法で残湯量の大小を検知することも可能である。
すなわち、貯湯タンク31の沸き上げ状態(残湯量の満杯状態)から、貯湯タンク31から出湯管32に流れる湯水(所定温度以上の湯水)の流量を適宜の流量センサにより検出し、その検出値を積算する。そして、該流量の検出値の積算値を、貯湯タンク31の容量から減算することにより、貯湯タンク31の残湯量を推定する。この残湯量の推定値を、環境温度に応じて設定した残湯量閾値を比較することで、該残湯量の大小を検知することができる。
また、前記実施形態では、給湯システムの基本動作モードとして、標準モード及び温調優先モードを選択し得るように構成したが、環境温度に応じた残湯量閾値の変化の形態が互いに異なる3種類以上の動作モードを選択し得るようにしてもよい。あるいは、給湯システムの動作モードは、1つの動作モード(例えば、標準モード又は温調優先モード)だけであってよい。
また、前記実施形態では、浴槽の湯はりを行い得る給湯システムを説明したが、本発明の給湯システムは、給湯運転だけを行うものであってもよい。あるいは、給湯運転に加えて、温水暖房を行い得る給湯システムであってもよい。