以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、本実施例の説明において、これまでの説明の例と同一構成要素には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
図1には、本発明に係る熱源装置の一実施例の要部制御構成がブロック図により示されている。本実施例は、図6に示した熱源装置と同様のシステム構成を有し、さらに、図1に示されるように、給湯器16の制御装置46に、燃焼制御手段47、給水温度演算値算出手段71、制御用給水温算出手段72、メモリ部73、バイパス開閉弁制御手段74、給湯バーナ燃焼再開指令手段75を設けており、燃焼制御手段47は、給湯設定温度設定操作手段45を備えたリモコン装置43に接続されている。リモコン装置43は、屋内において、リビングや、浴室、台所、洗面所等の適宜の場所に設置されている。
また、本実施例において、タンクユニット4内の制御装置33には、ミキシング流量制御手段35と送湯温度調節手段36とメモリ部37が設けられており、制御装置33はリモコン装置43とは信号接続されているので、制御装置33がリモコン装置43と送受信する情報は取得できる。
給湯設定温度設定操作手段45は、利用者等により給湯設定温度を設定するための操作手段であり、例えばリモコン装置43の表面側に設けられている操作ボタン等により形成されている。この給湯設定温度設定操作手段45により設定された給湯設定温度の値は、タンクユニット4の制御装置33の送湯温度調節手段36と給湯器16の制御装置46の燃焼制御手段47とに加えられる。
流量検出手段42は、給湯通路19を通って給湯される給湯流量を検出し、制御装置46の燃焼制御手段47に給湯流量の検出流量(検出値)を加える。また、給水流量センサ29も給湯通路19を通って給湯される給湯流量を検出し、制御装置33のミキシング流量制御手段35に給湯流量の検出流量(検出値)を加える。
本実施例において、燃焼制御手段47は、熱源装置の初回運転時や、前回給湯後の再出湯までの時間が長い場合等、貯湯槽2側と給湯器16側とを接続する接続配管内の湯が冷えていて給湯器16に導入される給水温度が低い場合の給湯開始時(コールドスタート時)や、給湯停止以降に給湯設定温度が大幅に高く変更されたときの再出湯の給湯開始時には、流量検出手段42により検出される給湯流量が給湯バーナ61の燃焼のための最低作動流量に達したときに給湯バーナ61を燃焼開始する構成を有している。そして、後述する判断タイミングにおいて給湯バーナ61の燃焼を停止させる。
バイパス開閉弁制御手段74は、燃焼制御手段47の制御情報を取り込み、給湯バーナ61の燃焼中はバイパス電磁弁69を閉じ、給湯熱交換器17側への流通割合が予め定められている割合変化範囲内における最大値または最大値に近い値となるように、つまり、ほぼ100%給湯熱交換器17側に通すことができるようにし、給湯バーナ61を停止した以降はバイパス通路68側への流通割合が割合変化範囲のうち最大となるように、つまり、ここでは、パイパス電磁弁69を完全に開いて、例えば給湯回路62に導入された湯水を給湯熱交換器17側とバイパス通路68側との比が1:3になるような割合で通すようにする。
ミキシング流量制御手段35は、タンク側電磁弁13とタンク湯水混合器12と水混合器14を制御することによって、合流部10側に出湯通路9から流れる湯の流量と給水通路8bから合流部10側に流れる水の流量を制御し、送湯温度調節手段36により設定される設定混合温度の混合湯水が合流部10で形成されるようにするものである。
送湯温度調節手段36は、貯湯槽2から出湯される湯と給水通路8bからの湯の混合により形成される混合湯水の設定温度(混合設定温度)を設定し、その設定した混合湯水温度の湯が形成されるようにミキシング流量制御手段35に指令を加えることにより、貯湯槽2側から給湯器16の給湯回路62側に送られる湯の温度を調節するものである。
本実施例における大きな特徴の一つは、前記コールドスタート時や給湯停止以降に給湯設定温度が大幅に高く変更されたときの再出湯等の給湯開始時に、送湯温度調節手段36が、貯湯槽2側から給湯器16側に送る湯の温度を以下に述べるような特徴的な温度とすることである。
つまり、本実施例においては、送湯温度調節手段36の制御に関し、給湯器16の給湯バーナ61の燃焼停止時にメインの熱交換器17a内にあった湯が給湯バーナ61の燃焼停止後にメインの熱交換器17aを通って出るまでに要すると推定される時間に給湯器16に導入される湯の容量に基づいて第1設定容量が設定され、給湯バーナ61の燃焼停止時に潜熱回収用熱交換器17b内にあった湯が給湯バーナ61の燃焼停止後に潜熱回収用熱交換器17bを通って出るまでに要すると推定される時間に給湯器16に導入される湯の容量に基づいて第2設定容量が設定されて、メモリ部37に格納されており、これらの値等に基づいて送湯温度調節手段36の制御が行われる。
すなわち、送湯温度調節手段36は、これらの値と給水流量センサ29による流量検出値とに基づき、貯湯槽2側から給湯器16の給湯回路62側に送る湯の温度を、給湯開始から該湯の容量(積算流量)が前記第1設定容量に達するまでは前記給湯設定温度として前記第1設定容量に達してから前記第2設定容量に達するまでは前記給湯設定温度よりも予め定められる嵩上げ温度高い温度とし、前記第2設定容量に達した以降は前記給湯設定温度とする。
なお、以下に述べる説明において、特に断らない限り、給湯開始時とは、前記のような場合、すなわち、コールドスタート時や給湯停止以降に給湯設定温度が大幅に高く変更されたときの再出湯の給湯開始時のことをいうものであり、給湯停止から短時間後に給湯設定温度の大きな変更無しで再出湯される給湯開始時を除くものである。
また、本実施例において、前記第1設定容量は、給湯回路62に導入されて給湯熱交換器17側とバイパス通路68側とに分岐して流れる湯水の、給湯熱交換器17側への分岐率とメインの熱交換器の保有水量とに対応する値に設定されており、式(2)により求められるようにしている。
第1設定容量=(メインの熱交換器17aの保有水量÷給湯熱交換器17側の分岐率−補正水量)・・・(2)
本実施例においては、給湯開始後の給湯バーナ61の燃焼停止以降は、給湯回路62に導入される湯水を給湯熱交換器17側とバイパス通路68側との比(バイパス比)を1:3とすることから、給湯熱交換器17側への分岐率は0.25となり、メインの熱交換器17aの保有水量が0.6リットルであるから、補正水量を0.4リットルとした場合、第1設定容量は、式(2)により、(0.6リットル÷0.25−0.4リットル)=2.0リットルとなる。
なお、式(2)における補正水量とは、メインの熱交換器17a内全てが高温の湯で満たされてはいないための補正(メインの熱交換器17a入口側の温度はほぼ加熱されていない低めの温度(仮に加熱程度14%)であり、出口側の湯の温度が例えばほぼ給湯設定温度(仮に加熱程度100%)とした時に、平均加熱程度が100%とならないので、減算補正するための補正値)であり、予め実験等により求められて設定されるものである。ここで、給湯流量を8リットル/分とした場合、第1設定容量の湯を流すのに要する時間t1は、2リットル÷8リットル/分=0.25分=15秒とすることができる。
なお、式(2)では減算補正を行ったが、平均加熱程度を用いて除積算で補正を行ってもよい。
また、第2設定容量は前記分岐率と潜熱回収用熱交換器17bの保有水量に対応する値に設定されており、第2設定容量は、式(3)により求められる値としている。
第2設定容量=(潜熱回収用熱交換器17bの保有水量÷給湯熱交換器17側の分岐率+第1補正値+第2補正値)・・・(3)
潜熱回収用熱交換器17bの保有水量は0.7リットルであり、式(3)における第1補正値は、式(2)の補正水量であるので、第1補正値は0.4リットルである。第2補正値を1.3リットルとすると、第2設定容量は、式(3)により、(0.7ットル÷0.25+0.4リットル+1.3リットル)=4.5リットルとなる。
なお、第2補正値は、給湯バーナ61の燃焼停止後に給湯熱交換器17に導入された貯湯槽2からの湯が給湯熱交換器17を通って給湯熱交換器17から導出されることによる給湯熱交換器17の出側の熱量が、給湯器16の給湯回路62に導入される湯の温度×給湯熱交換器17側の分岐率(本実施例では0.25)により求めた値と全く等しくはならずに、潜熱回収用熱交換器17bに熱を奪われることによって、なだらかにしか温度が上昇しない現象に対応させて、その上昇遅れ分を補償する補正値であり、予め実験等により求められて設定されるものである。ここで、給湯流量を8リットル/分とした場合、第2設定容量の湯を流すのに要する時間t2は、4.5リットル÷8リットル/分=0.56分=34秒とすることができる。
また、前記嵩上げ温度は、給湯設定温度(本体設定温度)と給湯開始直後に給湯器16に導入される湯水温度との差に対応する値としており、次式(4)により求められる値としている。
嵩上げ温度=(給湯設定温度−給湯開始直後に給湯器に導入される湯水温度)/係数−補正温度・・・(4)
なお、本実施例では、給湯器16に給水温度を直接検出する手段を設けておらず、給湯器16の制御手段46とタンクユニット4の制御手段33とが通信を行わずに制御可能とするため、給湯開始直後に給湯器16に導入される湯水温度は湯水導入通路15内の湯水温度に対応すると考え、タンクユニット4の混合サーミスタ28による検出温度としている。
また、式(4)において、係数は、出湯温度(給湯温度)を適正化するための補正値であり、実験等により予め求められる値であり、例えば5に設定されている。また、式(4)における補正温度もまた出湯温度を適正化するための補正値であり、これらの係数と補正温度の2つの値を用いて、AX+B(A:係数、B:補正温度)のような補正を行っているものであり、実験等により予め求められる値である。本実施例では、補正温度は例えば1℃に設定されており、嵩上げ温度は例えば4℃に設定されている。
なお、式(4)における係数は、出湯温度(給湯温度)にオーバーシュートやアンダーシュートが出ない、または出ても許容範囲内であるように、例えば湯水導入通路の長さ、湯水導入通路の材質(例えばポリエチレン等の樹脂製、銅、鉄等の金属製といったこと)、外気温、給湯流量等の様々なファクタ(補助熱源装置の給湯能力等の他の条件もファクタとして加えてもよい)を変えて予め実験等を行うことにより、予め求められて与えられるものであり、例えば前記ファクタの少なくとも一つのファクタに応じて直線的に変化する値でもよいし、曲線的に変化する値でもよい。また、係数は、例えば前記ファクタや表等から求められる階段状の(前記ファクタの少なくとも一つのファクタに対して段階的に変化する)係数であってもかまわない。
なお、前回の給湯停止からの時間が短い場合で、給湯設定温度を大幅に高くする変更がない再出湯時の給湯開始時には、給湯器16の給湯回路62内の湯や貯湯槽2と給湯器16とを接続する接続管路内の湯が給湯設定温度または給湯設定温度近傍の温度である。このような場合は、給湯器16の給湯バーナ61の燃焼も行われず、送湯温度調節手段36による貯湯槽2側から給湯器16側に送られる湯の温度設定も前記のように時間に応じて変化させずに、貯湯槽2内の湯温が閾値以上であれば、例えば給湯設定温度の値と同じ値または、それより0.5℃といった温度だけ高めとする。
また、送湯温度調節手段36は、貯湯槽内湯水温検出手段5aの検出温度が前記閾値以下の時には、混合設定温度を給湯設定温度よりも低い適宜の温度に設定して、その低い温度の湯水を給湯器16で追い加熱したり、貯湯槽2側からは湯を送らずに、給水通路8bからの水を給湯器16で加熱したりするといった適宜の制御によって、給湯設定温度の湯が給湯されるようにする。
ミキシング流量制御手段35は、給水流量センサ29によって給湯通路19を通って給湯される給湯流量が検出されたときにタンク側電磁弁13を開き、タンク湯水混合器12および水混合器14の制御による湯の流量と水の流量との制御により、合流部10で形成される混合湯水の温度が送湯温度調節手段36により設定される混合設定温度となるように制御する。この制御によって形成された混合設定温度の湯は湯水導入通路15を通って給湯器16の給湯回路62に導入される。
給湯器16の制御装置46に設けられている給水温度演算値算出手段71は、給湯温度検出手段76により検出される給湯温度と、給湯熱交換器17の加熱量と、給湯熱交換器17の容量と、給湯熱交換器17側の分岐率とに基づいて、給湯器16に導入される湯水の温度を給水温度演算値(認識値)として演算により求めるものである。この演算の仕方は特に限定されるものではないが、例えば0.5秒といった単位時間毎に移動平均を取って求められる。
例えばサンプリングタイムにおける給水温度演算値をTin、給湯温度をTout、給湯熱交換器17の容量をQ、給湯熱交換器17の加熱量をH、給湯熱交換器17側の分岐率をBrとし、各サンプリングタイムにおける給水温度Tinを以下の式(5)により算出する。なお、式(5)におけるバイパス比Brは、給湯器16に導入される湯水が給湯熱交換器17側とバイパス通路68側とに分かれて流れる際の、給湯熱交換器17側への分岐比(分岐率)であり(給湯熱交換器17側のバイパス比であり)、給湯熱交換器17側にほぼ100%流れる場合はBr=1となる。また、例えば給湯熱交換器17とバイパス通路68とに1:3の割合で流れる場合はBr=0.25となる。
Tin=Tout−H/(Q・Br)・・・(5)
そして、初回のサンプリングタイムにおいて式(5)で求めた値と2回目のサンプリングタイムにおいて式(5)で求めた値との平均(相加平均)をとって、2回目のサンプリングタイムにおける給水温度演算値(認識値)とする。3回目のサンプリングタイム以降においては、前回のサンプリングタイムにおいて求めた給水温度演算値と今回のサンプリングタイムにおいて式(5)により算出した値との平均(相加平均)をとって、その値を今回の給水温度演算値(認識値)とするものであり、本実施例における給水温度演算値の時系列データの一例が、図2の特性線aに示されている。
なお、給湯停止後の再出湯時における初回のサンプリングタイムにおける値は、式(5)により求められる値の代わりに、例えば給湯停止前の最後のサンプリングタイムで求めた給水温度演算値としてもよいし、例えば給湯停止から再出湯までの時間に応じて最後のサンプリングタイムで求めた給水温度演算値を補正した値としてもよい。
給水温度演算値算出手段71により求めた給水温度演算値は、逐次、制御用給水温度算出手段72と燃焼制御手段47とに加えられる。
制御用給水温度算出手段72は、給水温度演算値算出手段71により求められる給水温度演算値と予め定められる温度変化量(温度上昇量や温度下降量)とに基づき、燃焼制御手段47による給湯バーナ61の燃焼制御用の制御用給水温度を求める手段である。なお、前記温度変化量の値はメモリ部73に格納されている。
この制御用給水温度の算出に際し、制御用給水温度算出手段72は、例えば初回のサンプリングタイムに式(5)により算出した給水温度演算値を初期値とし、その値と2回目のサンプリングタイムにおいて給水温度演算値算出手段71により求めた給水温度演算値とを比較する。そして、初回のサンプリングタイムにおける給水温度演算値よりも2回目の給水温度演算値の方が大きい場合には、予め与えられている温度上昇分(例えば0.5秒ごとに0.1℃)を初回のサンプリングタイムにおける給水温度演算値に加算して2回目のサンプリングタイムにおける制御用給水温度とし、初回のサンプリングタイムにおける給水温度演算値よりも2回目の給水温度演算値の方が小さい場合には、予め与えられている温度上昇分(例えば0.5秒ごとに0.1℃)を初回のサンプリングタイムにおける給水温度演算値から減算して2回目のサンプリングタイムにおける制御用給水温度とする。
その後、制御用給水温度算出手段72は、前記サンプリングタイム毎に、給水温度演算値算出手段71により求めた前回の給水温度演算値と今回の給水温度演算値とを比較し、前回の給水温度演算値よりも今回の給水温度演算値の方が大きい場合には、前記温度上昇分を前回の制御用給水温度に加算して今回の制御用給水温度とし、前回の給水温度演算値よりも今回の給水温度演算値の方が小さい場合には、前回の制御用給水温度から前記温度下降分を減算して今回の制御用給水温度とする。図2の特性線bには、本実施例における制御用給水温度の時系列データの一例が示されている。制御用給水温度算出手段72が求めた制御用給水温度の値は逐次、燃焼制御手段47に加えられる。
なお、給湯停止後の再出湯時における初回のサンプリングタイムにおける値は、式(5)により求められる値の代わりに、例えば給湯停止前の最後のサンプリングタイムで求めた制御用給水温度としてもよいし、例えば給湯停止から再出湯までの時間に応じて最後のサンプリングタイムで求めた制御用給水温度を補正した値としてもよい。
燃焼制御手段47は、給湯バーナ61の燃焼を開始させた後には、制御用給水温度算出手段72により求められる制御用給水温度に基づいて給湯バーナ61のフィードフォワード燃焼制御を行うようにしており、このように、制御用給水温度を用いることにより的確なフィードフォワード燃焼制御を行うことができる。また、本実施例においては、給湯器16は入水温度(給水温度)の検出センサを設けないことによりコストダウンを図ることができている。
なお、制御用給水温度と給湯設定温度との差が予め定められる燃焼不要温度範囲(例えば3℃)以下の場合には、給湯が開始されても前記の如く給湯バーナ61の燃焼を行わない。また、給湯開始以降に制御用給水温度と給湯設定温度との差が前記燃焼不要温度範囲以下となった場合には、それまでの間に給湯バーナ61を燃焼していたときには給湯バーナ61の燃焼を停止する。
また、タンクユニット4側の制御装置33では、前記の如く、給水流量センサ29によって給湯通路19を通って給湯される給湯流量が検出されたときに、ミキシング流量制御手段35がタンク側電磁弁13を開き、貯湯槽内湯水温検出手段5aの検出温度が前記閾値よりも高い温度のときには給湯設定温度(または給湯設定温度より0.5℃といった温度だけ高めの温度)の湯を合流部10で形成して給湯器16側に送る。そのため、この湯を給湯器16側で追い加熱する必要はないが、この湯が給湯器16側に到達するまでには時間がかかり、その間は給湯器16の給湯回路62内の通路や湯水導入通路15内の水を給湯熱交換器17で加熱する必要があるので、前記の如く、給湯バーナ61の燃焼により給湯回路62内の通路や湯水導入通路15内の水を給湯熱交換器17で加熱する。
そして、燃焼制御手段47は、給湯バーナ61の燃焼制御中に、給水温度演算値算出手段71により求められる前記給水温度演算値をモニタし、該給水温度演算値の温度上昇に基づき、主熱源である貯湯槽2から給湯設定温度の湯が給湯器16に到達して導入されたと判断されたときに、給湯バーナ61の燃焼を停止する。この給湯バーナ61の燃焼停止により、給湯設定温度の湯が給湯回路62に到達した以降に余分な追い加熱が行われることを防ぐ。
具体的には、燃焼制御手段47は、給水温度演算値算出手段71により求めた前記給水温度演算値Tbから制御用給水温度算出手段72により求めた前記制御用給水温度Tcを差し引いた温度差(Tb−Tc)が、予め定められる燃焼停止基準温度差TinDiffに達したとき又は超えたときに、貯湯槽2から給湯設定温度の湯が給湯器16に導入されたと判断するものであり、本実施例において、燃焼停止基準温度差TinDiffは、前記式(1)により求められるものである。なお、失火係数は、予め実験等により求めてメモリ部73に格納されており、一例を挙げると、失火係数K=5である。
例えば、図2において、給湯設定温度は40℃であり、失火係数K=5のときには、燃焼停止基準温度差TinDiffは、式(1)より、TinDiff=(40−Tc)÷5 となり、制御用給水温度であるTcが22℃のときには燃焼停止基準温度差TinDiffは3.6℃、制御用給水温度Tcが20℃のときには燃焼停止基準温度差TinDiffは4℃、制御用給水温度Tcが18℃のときには燃焼停止基準温度差TinDiffは4.4℃になり変化するが、この例では、制御用給水温度Tcが約20℃のときに、給水温度演算値から制御用給水温度を差し引いた温度差が約4℃となり、Tc=20℃のときの燃焼停止基準温度差TinDiff=4℃と一致した、又は超えたので、貯湯槽2から給湯設定温度の湯が給湯器16に導入されたと判断し、給湯バーナ61の燃焼を停止している。
なお、図2には、実験用に検出した給水温度実測値が特性線dに示されており、前記給湯バーナ61の燃焼停止タイミングと実際の給水温度が給湯設定温度である40℃に到達したタイミングとが一致している。つまり、前記給湯バーナ61の燃焼停止タイミングは適切であることが立証されており、また、このとき、特性線cで示されている給湯温度のオーバーシュートも2℃程度であり、利用者の利用において許容できる範囲であることが分かった。
また、本実施例では、貯湯槽2から給湯設定温度の湯が給湯器16に導入されたと判断するための、給湯バーナ61の燃焼停止基準となる燃焼基準温度差を前記の如く給湯設定温度に対応させて変化させることにより、以下に述べるように、給湯バーナ61の停止タイミングをより一層適切に決定することができる。
例えば給水温度演算値の上昇幅は、実際の給水温度と給湯設定温度との温度差に応じて異なるものであり、そのため、給水温度演算値と制御用給水温度との差は給湯設定温度によっても変動する。すなわち、例えば実際の給水温度が一定の場合に、給湯設定温度が高く設定されて給水温度と給湯設定温度との温度差が大きければ給水温度演算値の上昇幅が大きくなり、給水温度演算値と制御用給水温度との差が大きくなる。ここで燃焼停止基準温度差を小さく設定すると、給湯バーナ61の停止タイミングが早めに判断されることになり、貯湯槽2側から給湯回路62側に給湯設定温度の湯が到達する前に給湯バーナ61を停止してしまうといった誤動作が生じる可能性があるが、前記の如く、燃焼停止基準温度差を給湯設定温度に応じた値とすることにより給湯バーナ61の停止タイミングが早めに判断されることを防止できる。
すなわち、前記式(1)から明らかなように、給湯設定温度が高いときには、燃焼停止基準温度差TinDiffが大きく設定されるために、その大きく設定される燃焼停止基準温度差以上に給水温度演算値と制御用給水温度との差が大きくならなければ貯湯槽2側から給湯回路62側に給湯設定温度(給湯設定温度の近傍温度を含む)の湯が到達したと判断されないため、この給湯設定温度の湯が到達するタイミングを適切に判断して適切なタイミングで給湯バーナ61を停止することができる。
また、その逆に、例えば実際の給水温度が一定の場合に、給湯設定温度が低く設定されて実際の給水温度と給湯設定温度との温度差が小さければ給水温度演算値の上昇幅が小さくなり、給水温度演算値と制御用給水温度との差が小さくなる。ここで燃焼停止基準温度差を大きく設定すると給湯バーナ61の停止タイミングの判断が遅くなり、貯湯槽2側から給湯回路62側に給湯設定温度の湯が到達しても給湯バーナ61の燃焼を継続してしまうことによりオーバーシュートが大きく発生してしまう可能性があるが、前記の如く、前記式(1)から明らかなように、給湯設定温度が低いときには、燃焼停止基準温度差が小さく設定されるために、給水温度演算値と制御用給水温度との差が、その小さく設定される燃焼停止基準温度差以上になったら貯湯槽2側から給湯回路62側に給湯設定温度(給湯設定温度の近傍温度を含む)の湯が到達したと判断され、貯湯槽2側から給湯回路62側に給湯設定温度の湯が到達するタイミングを適切に判断して適切なタイミングで給湯バーナ61を停止することができる。
例えば再出湯の場合に、前回給湯時の給湯設定温度が40℃であったとし、今回給湯時の給湯設定温度を60℃とする場合を考える。この場合、前回の給湯停止から再出湯までの時間が短い場合には、貯湯槽2側と給湯器16との接続配管内の湯の温度は40℃近傍の温度となっており、その40℃の湯が給湯器16の給湯回路62に導入されるが、その時点では給湯バーナ61の燃焼は行われている。
そして、給湯設定温度を40℃から60℃に変更したことによって、導入される湯の温度である実際の給水温度と給湯設定温度との温度差が大きくなることから給水温度演算値の上昇幅が大きくなり、また、燃焼停止基準温度差も給湯設定温度に対応させて大きく設定されるため、給湯設定温度の変化に応じて大きくなる給水温度演算値の上昇幅と給湯設定温度の変化に応じて大きく設定される燃焼停止基準温度差との対応が図れることから、貯湯槽2側から送られてくる60℃の湯が給湯器16の給湯回路62に導入されたときに60℃の湯の到達を適切に判断でき、給湯バーナ61の停止タイミングを適切に決定することができる。
また、熱源装置の初回運転時や、前回給湯後の再出湯までの時間が長い場合等、貯湯槽2側と給湯器16側とを接続する接続配管内の湯が冷えていて給湯器16に導入される給水温度が低い場合の給湯時(コールドスタート時)等、実際の給水温度(入水温度)が低い場合には、前記制御用給水温度も低い値となり、また、前記式(1)から明らかなように、燃焼停止基準温度差が大きく設定されることから、燃焼停止基準温度差が小さい場合に比べると給湯バーナ61の燃焼停止のタイミングが遅めとなる。言い換えると、給湯バーナ61の燃焼停止タイミングの判断が慎重に行われて貯湯槽2側から給湯設定温度の湯が確実に届いたときに給湯バーナ61の燃焼停止のタイミングが判断され、適切なタイミングで給湯バーナ61の燃焼停止が行われる。
一方、実際の給水温度(入水温度)が高い場合には、前記給水温度演算値も高い値となって制御用給水温度も高い値となり、また、前記式(1)から明らかなように、燃焼停止基準温度差が小さく設定されることから、燃焼停止基準温度差が大きい場合に比べると給湯バーナ61の燃焼停止のタイミングが早めとなる。つまり、入水温度が高い場合には給湯バーナ61の燃焼停止タイミングの判断が遅くなった場合に生じるオーバーシュートが大きくなるため、その大きなオーバーシュートが発生しないような適切なタイミングで給湯バーナ61の燃焼停止が行われる。
さらに、熱源装置の配置されている外気温が低いと給水温度の温度変動が大きく、図9(a)の特性線aに示されるように、給水温度演算値の変動も大きい(同図のCに示す温度の落ち込みが大きい)。また、外気温が低いときには、例えば同図の特性線bに示されるように、制御用給水温度も低めとなって燃焼停止基準温度差が大きめに設定されることになり、仮に燃焼停止基準温度差を小さめとした場合のように給湯設定温度の湯が給湯器16に到達する前に給湯バーナ61の燃焼を停止してしまうことを防ぐことができ、給湯温度の大きなアンダーシュートが発生することを防止できるため、利用者が不快な思いをすることを防止する。
一方、図9(b)に示されるように、外気温が高いときには給水温度の温度変動も小さいため、特性線aに示されるような給水温度演算値の変動も小さく(同図のCに示す温度の落ち込みが小さく)、同図の特性線bに示されるように、制御用給水温度も高めとなる。そして、この場合は燃焼停止基準温度差が小さめに設定されることから、給湯バーナ61の燃焼停止タイミングが遅めに判断されることはなく、給湯温度の大きなオーバーシュートが発生することが抑制される。なお、入水温度が高めのときには、燃焼停止基準温度差を小さくしたことによって、たとえ誤って早めに消火したとしても給湯温度が急激に下がることはない。
以上のように、本実施例では、給湯設定温度が高い場合でも低い場合でも、また、実際の給水温度が低い場合でも高い場合でも、外気温が低い場合でも高い場合でも、いずれの場合も、給湯設定温度の湯が給湯器16の給湯回路62に到達するタイミングを適切に判断して給湯バーナ61の燃焼停止を適切なタイミングで行うことができる。
なお、本実施例では、万が一、給湯バーナ61の燃焼停止が誤ったタイミングで行われてしまう場合のことも考慮して制御構成を形成しており、給湯バーナ燃焼再開指令手段75がその役割を果たす。つまり、給湯バーナ燃焼再開指令手段75は、燃焼制御手段47の制御情報と給湯温度検出手段76の検出温度とを取り込み、給湯バーナ61を停止した直後の給湯温度が給湯バーナ61の停止直前の給湯温度よりも低下したときには、給湯バーナ61の燃焼停止が誤って早く行われてしまったと判断し、燃焼制御手段47により給湯バーナ61の燃焼を再開させる。
通常、給湯バーナ61を停止しても、その直後の給湯温度は給湯バーナ61の停止直前の給湯温度よりも高くなるものであるので、給湯バーナ61を停止した直後の給湯温度が給湯バーナ61の停止直前の給湯設定温度よりも前記給湯再開基準温度(例えば3℃)以上低下したときには貯湯槽2側から給湯設定温度の湯が給湯器16に到達して導入されるよりも早く給湯バーナ61の燃焼を停止してしまったと考えられるため、このようなときに給湯バーナ燃焼再開指令手段75の指令によって燃焼制御手段47が給湯バーナ61の燃焼を再開させることにより、給湯温度の安定化を図ることができる。
なお、湯水導入通路15の一部が西日によって温まっているような場合にも、誤って早めに給湯バーナ61の燃焼を停止することが想定されるので、このような場合にも(例えば湯水導入通路15のうち西日によって温められた水が導入された後に西日によって温められていない水が導入されたことによって給湯温度が低下したとき等には)給湯バーナ16の燃焼を再開させるようにしてもよい。
ところで、本実施例において、給湯器16の給湯熱交換器17は、メインの熱交換器17aと潜熱回収用熱交換器17bとを有しており、貯湯槽2側から給湯器16側に送られる給湯設定温度の湯が給湯器16の給湯回路62に導入されたと判断されて給湯バーナ61の燃焼停止が行われたとき、潜熱回収用熱交換器17b内の湯は、給湯バーナ61の燃焼中に給湯バーナ61の燃焼ガスの潜熱を吸収することにより多少は加熱されているものの、給湯設定温度よりはかなり低い温度である。
そのため、前記開発中の熱源装置潜熱回収用熱交換器17bを備えた給湯器16を適用した場合に、潜熱回収用熱交換器17b内の湯が給湯バーナ61の燃焼停止後に給湯されることにより生じる給湯温度のアンダーシュートを防ぐために、本実施例では、前記の如く、送湯温度調節手段36による特徴的な温度調節を行うようにしている。以下、この特徴的な温度調節に伴う、給湯バーナ61の燃焼停止後の給湯温度の安定化について、図3〜図5を参照しながら説明する。
なお、図3〜図5は、給湯設定温度を40℃とし、給湯流量を8リットル/分として、給湯開始時に給湯バーナ61を燃焼させた後、貯湯槽2からの給湯設定温度の湯が給湯回路62の湯水導入側に到達したと判断されて給湯バーナ61を燃焼停止させた後の温度変化等について求めた実験データおよび、その解析データを示す。
図3の特性線aは給湯熱交換器17の出側の温度(給湯熱交出側温度検出手段67の検出温度)、特性線bは貯湯槽2から給湯器16に導入される湯の温度、特性線cは本実施例の熱源装置の給湯温度(給湯器16を通って給湯される湯の給湯温度)をそれぞれ示し、特性線dは給湯流量を示している。なお、給湯バーナ61の燃焼中も給湯流量は8リットル/分としているが、図3の特性線dは貯湯槽2から送られた湯の給湯流量を示しており、貯湯槽2からの湯が到達する前の給湯バーナ61燃焼中の給湯流量は0と記している。給湯流量が0から立ち上がっている時点が貯湯槽2から給湯設定温度で送られた湯が給湯器16に導入されたタイミングを示す。
また、図4において、特性線aは給湯温度を示しており、図4(b)の特性線bおよび図4(a)の領域bはバイパス通路68の入側における熱量、図4(b)の特性線cおよび図4(a)の領域cは給湯バーナ61の燃焼停止時に給湯熱交換器17(メインの熱交換器17aおよび潜熱回収用熱交換器17b)内にあった湯が給湯バーナ61の燃焼停止後に、メインの熱交換器17aと潜熱回収用熱交換器17bの順に給湯熱交換器17から導出されることによる給湯熱交換器17の出側の熱量、図4(b)の特性線dおよび図4(a)の領域dは、給湯バーナ61の燃焼停止後に給湯熱交換器17に導入された貯湯槽2からの湯が給湯熱交換器17を通って給湯熱交換器17から導出されることによる給湯熱交換器17の出側の熱量をそれぞれ示している。
図4(b)の特性線b〜cは、各熱量を個別に示し、図4(a)においては、その熱量を領域として加算した図を示しており、その詳細については後述するが、いずれも、熱量を示す一般的な単位ではなく湯の温度に相当する値として計算したものであり、図4(a)、(b)のAで示した点が給湯設定温度に対応する。
本実施例においては、前記の如く給湯開始時に給湯バーナ61を燃焼させた後、貯湯槽2からの給湯設定温度の湯が給湯回路62の湯水導入側に到達したと判断されて給湯バーナ61の燃焼を停止するが、この時、バイパス通路68内の湯水は加熱されていない低めの温度の湯水である。一方、給湯熱交換器17のメインの熱交換器17aにおいては、出口側の湯の温度が例えばほぼ給湯設定温度であり、入口側の温度は出口側の温度よりもやや低めの温度となっており、潜熱回収用熱交換器17b内の湯の温度は給湯設定温度よりもかなり低い温度となっている。
また、給湯バーナ61の燃焼停止直後には給湯熱交換器17のメインの熱交換器17aは熱いままであり、給湯バーナ61の燃焼停止時に、給湯回路62に導入される湯水のバイパス通路68側への分岐割合(バイパス比に対応)を増やすと、熱い状態のメインの熱交換器17aを通る湯の流量が給湯バーナ61の燃焼中より小さくなることから、図3の特性線aに示されるように、メインの熱交換器17aから導出される湯の温度が給湯バーナ61の燃焼停止後には給湯設定温度よりも高くなり、その高めの温度の湯がメインの熱交換器17aを通って導出され、その後、メインの熱交換器17aから導出される湯の温度は、給湯バーナ61の燃焼停止直後に比べて少しずつ低下していく。
その後、給湯バーナ61の燃焼停止時にメインの熱交換器17aが保有していた水量の湯が全て導出されると、給湯バーナ61の燃焼停止時に潜熱回収用熱交換器17b内にあった湯が導出されることから、湯の温度は給湯設定温度よりもかなり低くなる。図4(b)の特性線cは、このように、給湯バーナ61の燃焼停止時に給湯熱交換器17が保有していた湯が給湯熱交換器17側から導出されることによる湯の熱量が温度に相当する値により示されており、この値は、図3の特性線aに示した給湯熱交換出口温度に基づき、給湯熱交換出口温度×給湯熱交換器17側の前記分岐率(ここでは0.25)により求めている。
一方、給湯バーナ61の燃焼停止時に、バイパス通路68内の湯水は加熱されていない低めの温度の湯水であるが、バイパス通路68の容量は例えば0.06リットルで給湯熱交換器17の容量に比べて小さく、かつ、給湯バーナ61の燃焼停止後に給湯器16の給湯回路62に導入されて給湯熱交換器17側とバイパス通路68側とに分岐される分岐比(バイパス比)が1:3とされるので、給湯バーナ61の燃焼停止時にバイパス通路68の中にあった低めの温度の湯水は直ぐにバイパス通路68を通過し、バイパス通路68から導出される。その後、バイパス通路68には貯湯槽2から給湯器16に到達した湯が導入されて、その湯がバイパス通路68を通り導出されるが、バイパス通路68を通過する時間は前記の如く短い。
つまり、図4(b)の特性線bには、バイパス通路68に導入される湯の熱量が湯の温度に相当する値により示されており、この値は、貯湯槽2側から給湯器16の給湯回路62に導入される湯の温度×バイパス通路68側の分岐率(ここでは0.75)により求めているが、この熱量はバイパス通路68の出側における熱量とほぼ同様となる。なお、厳密に言えば、バイパス通路68を通って導出される湯の熱量は、バイパス通路68の容量÷給湯流量÷バイパス通路68側の分岐率で求められる遅延時間だけ遅れる値となるが、バイパス通路68の容量が0.06リットルの場合は、0.06リットル÷8(リットル/分)÷0.75=0.01分=0.6秒)遅れる値(0.6秒右にずれたデータ)であるので、特性線bとほぼ同様となる。
また、図4(b)の特性線dには、給湯バーナ61の燃焼停止後に給湯熱交換器17に導入された貯湯槽2からの湯が給湯熱交換器17を通って給湯熱交換器17から導出されることによる給湯熱交換器17の出側の熱量が示されており、この値は、給湯器16の給湯回路62に導入される湯の温度×給湯熱交換器17側の分岐率(ここでは0.25)により求めた値を、湯が潜熱回収用熱交換器17bとメインの熱交換器17aとを通って導出されてバイパス通路68から導出される湯と合流するまでに要する時間だけ遅延させた(右にずらした)ものである。この遅延時間tdは、(潜熱回収用熱交換器17bの保有水量+メインの熱交換器17aの保有水量)÷給湯流量÷給湯熱交換器17側の分岐率であり、(0.7リットル+0.6リットル)÷(8リットル/分)÷0.25=0.65分=39秒である。
本実施例においては、給湯器16の給湯回路62において、バイパス通路68側から導出される湯と給湯熱交換器17側から導出される湯とが合流して給湯回路62から出て給湯されるので、給湯温度は、バイパス通路68の出側の熱量と給湯熱交換器側17の出側の熱量との合計の熱量に対応する値となる。つまり、図4(b)の特性線b〜cにそれぞれ示されている熱量を加算することによって図4(a)に示されるようになるが、図4に示されている各熱量は、前記の如く、湯の温度に相当する値として求めたものであるので、図4(b)の特性線b〜cにそれぞれ示されている熱量を、図4(a)の領域b〜dに示されるように加算した値が、図4(a)、(b)の特性線aに示されるように給湯温度となる。
そして、これらの図からも明らかなように、本実施例において、給湯バーナ61の燃焼停止直後には、給湯熱交換器17側から導出される給湯設定温度よりも高めの温度の湯とバイパス通路68を通って導出される加熱されていない湯水とが合流して給湯回路62から出るため、ほぼ給湯設定温度となり、その後、給湯熱交換器17側から導出される給湯設定温度よりも高めの温度の湯が、バイパス通路68を通って導出される給湯設定温度の湯と1:3の割合(バイパス比に対応する割合)で合流することになるため、給湯バーナ61の燃焼停止から前記第1設定容量の湯が導入される時間(t1)が経過するまでの間は、まず給湯設定温度よりもやや高めだが給湯設定温度に近い温度の湯が給湯され、徐々に湯の温度が下がってほぼ給湯設定温度の湯が給湯回路から給湯される。
そして、時間t1の経過後には、前記第2設定容量の湯が導入される時間(t2)が経過するまでの間、バイパス通路68と給湯熱交換器17には、それぞれ、給湯設定温度よりも前記嵩上げ温度高い温度の湯が導入され、ここで、バイパス通路68に導入された湯は直ぐにバイパス通路68を通って導出されるが、このときには、まだ、給湯熱交換器17側おいては、給湯バーナ61の燃焼停止時に潜熱回収用熱交換器17b内にあった給湯設定温度よりも低い温度の湯がメインの熱交換器17aを通って導出される。そのため、この低い温度の湯とバイパス通路68から導出される給湯設定温度より嵩上げ温度高い温度の湯と1:3の割合で合流することにより、例えば給湯設定温度よりは高めであるが給湯設定温度に近い温度の湯が給湯される(図4(b)の特性線b、cおよび、図4(a)の領域b、c参照)。
さらに、時間t2が経過する頃には、給湯バーナ61の燃焼停止時に給湯熱交換器17側に保有されていた湯は全て給湯回路62を通って給湯され、貯湯槽2から給湯器16に送られる給湯設定温度の湯が給湯熱交換器17を通って導出された後、給湯設定温度より前記嵩上げ温度高い温度の湯が給湯熱交換器17を通って導出され、その後、給湯設定温度の湯が導出される(図4(b)の特性線d、参照)。
また、バイパス通路68側では、時間t2が経過する頃には、貯湯槽2から給湯器16に送られる給湯設定温度の湯がバイパス通路68側を通って導出されるので(図4(b)の特性線b、参照)、給湯熱交換器17側から導出される給湯設定温度または給湯設定温度より前記嵩上げ温度高い温度の湯と、バイパス通路68側から導出される給湯設定温度の湯とが例えば1:3の割合で合流して給湯されることになり、給湯設定温度または給湯設定温度よりやや高めであるものの給湯設定温度に近い温度の湯が給湯される(図4(b)の特性線b〜dおよび、図4(a)の領域b〜dの加算領域、参照)。
以上のように、本実施例では、給湯温度は、人が不快と感じにくい例えば2℃以下といった範囲の僅かなオーバーシュートが発生するものの、不快なアンダーシュートの発生は的確に抑制されるものであり、非常に快適に利用することができる。
なお、図5には、本実施例の比較例として、開発中の熱源装置において、本実施例の特徴的な送湯温度調節手段36の制御構成を設けずに、給湯開始後に貯湯槽2から給湯器16側に送る湯の温度を常に給湯設定温度とした場合の給湯温度特性(図5(a)、(b)の特性線a)と熱量特性(図5(a)の領域b〜dと図(b)の特性線b〜d)がそれぞれ示されている。
具体的には、図5(b)の特性線bおよび図5(a)の領域bはバイパス通路68の入側における熱量、図5(b)の特性線cおよび図5(a)の領域cは給湯バーナ61の燃焼停止時に給湯熱交換器17内にあった湯が給湯バーナ61の燃焼停止後に給湯熱交換器17から導出されることによる給湯熱交換器17の出側の熱量、図5(b)の特性線dおよび図5(a)の領域dは、給湯バーナ61の燃焼停止後に貯湯槽2からの湯が給湯熱交換器17に導入されて給湯熱交換器17を通り、給湯熱交換器17から導出されることによる給湯熱交換器17の出側の熱量をそれぞれ示している。
これらの図から明らかなように、開発中の熱源装置において、本実施例の特徴的な送湯温度調節手段36の制御構成を設けずに、給湯開始後に貯湯槽2から給湯器16側に送る湯の温度を常に給湯設定温度とした場合には、給湯温度に大きなアンダーシュートが発生するものであり、本実施例は送湯温度調節手段36の特徴的な制御構成によって、このようなアンダーシュートの発生を抑制することができ、非常に快適に利用することができる。
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。例えば前記実施例では、第1設定容量と第2設定容量と嵩上げ温度を、それぞれ1つずつ設定してメモリ部37に格納していたが、メモリ部37には、第1設定容量と第2設定容量と嵩上げ温度の複数の設定パタンを格納しておき、タンクユニット4に接続される給湯器16の仕様に応じて例えば熱源装置の施工業者が適宜のパタンをディップスイッチ等の選択手段を操作することにより選択できるようにしてもよい。
なお、このように第1設定容量と第2設定容量と嵩上げ温度を選択可能にする場合に、第1設定容量と第2設定容量と嵩上げ温度の組み合わせパタンを予め複数設定しておいてメモリ部37に格納し、その中から適宜のパタンを選択できるようにしてもよいし、第1設定容量は給湯器16のメインの熱交換器17aの容量に応じて例えば大、中、小の中から選び、同様に、第2設定容量は給湯器16の潜熱回収用熱交換器17bの容量に応じて例えば大、中、小の中から選ぶといったように、例えば給湯器16の号数等に応じた給湯器16の給湯熱交換器側17の容量に応じて選択できるようにしてもよい。また、嵩上げ温度は、給湯設定温度や外気温度や季節等に応じて選択できるようにしてもよい。
さらに、前記実施例では、送湯温度調節手段36は、貯湯槽2側から給湯器16側に送る湯の容量が前記第1設定容量に達してから、湯の温度を給湯設定温度よりも予め定められる嵩上げ温度高い温度とする際、例えば図3の特性線bに示したように湯の温度を一気に嵩上げ温度分高くなるようにした(温度変化が階段状になるようにした)が、このようにするのではなく、緩やかに温度を上昇させていって(例えば図3の特性線aの給湯バーナの燃焼を停止した後の温度降下のなだらかな曲線を補完できるように、例えば嵩上げする湯の温度の温度上昇勾配が図3の特性線aの温度下降勾配の絶対値と略同等となるように)湯の温度が給湯設定温度よりも嵩上げ温度高い温度となるようにしてもよい。
さらに、湯温度調節手段36は、貯湯槽2側から給湯器16側に送る湯の容量が前記第2設定容量に達してから、湯の温度を給湯設定温度とする際にも、同様に、緩やかに温度を下降させていって給湯設定温度に戻してもよい。すなわち、前記実施例では、温度変化特性線が図3の特性線bに示したような矩形状になるように嵩上げしたが、これにとらわれず、台形状に嵩上げするようにしてもかまわない。
また、前記第1設定容量や第2設定容量を与える代わりに、第1設定容量と給湯流量とから第1設定容量の湯を流す時間t1を求めるための演算式等、(例えばt1=(メインの熱交換器17aの保有水量÷給湯熱交換器17側の分岐率−補正水量)÷給湯流量)を与え、第2設定容量と給湯流量とから第2設定容量の湯を流す時間t2を求めるための演算式等(例えばt2=(潜熱回収用熱交換器17bの保有水量÷給湯熱交換器17側の分岐率+第1補正値+第2補正値)÷給湯流量)を与えて、これらの時間に基づいた制御を行うようにしてもよい。
さらに、前記実施例では、貯湯槽2側から給湯器16の給湯回路62側に送る湯の温度を、給湯開始から湯の容量(積算流量)が前記第1設定容量に達するまでは前記給湯設定温度として前記第1設定容量に達してから前記第2設定容量に達するまでは前記給湯設定温度よりも予め定められる嵩上げ温度高い温度とし、前記第2設定容量に達した以降は前記給湯設定温度としたが、貯湯槽2側から給湯器16側に湯が届く間に外気温等に応じて湯が冷めることを考慮して例えば0.5℃といった割り増し温度を設定し、給湯開始から送られる湯の容量が前記第1設定容量に達するまでは前記給湯設定温度に割り増し温度を加算した値として前記第1設定容量に達してから前記第2設定容量に達するまでは前記給湯設定温度に割り増し温度を加算した値に嵩上げ温度を加えた温度とし、前記第2設定容量に達した以降は前記給湯設定温度に割り増し温度を加算した値としてもよい。
さらに、燃焼制御手段47によって給湯バーナ61の燃焼停止タイミングを決定する際、燃焼制御手段47は、給湯バーナ61の燃焼制御中に給水温度演算値算出手段71により求められる前記給水温度演算値をモニタし、該給水温度演算値の温度上昇に基づき、例えば給水温度演算値の上昇勾配が予め定められる基準勾配以上になったときに、主熱源である貯湯槽2から給湯設定温度の湯が給湯器16に到達して導入されたと判断し、給湯バーナ61の燃焼を停止するようにしてもよい。
さらに、前記実施例においては、前記給水温度演算値から制御用給水温度を差し引いた温度差が予め定められる燃焼停止基準温度差に達したときに、主熱源から給湯設定温度の湯が補助熱源装置に到達して導入されたと判断したが、このタイミングは、給水温度演算値の微分値が所定値(予め定められる設定値)を超えた時と略同義であり、したがって、給水温度演算値の微分値が予め定められる設定値を超えたときに主熱源から給湯設定温度の湯が補助熱源装置に到達して導入されたと判断してもよい。
さらに、前記実施例では、給湯器16は、給水サーミスタを用いないものについて記載したが給湯器16に給水サーミスタを設けてもよい。この場合にも、主熱源から給湯設定温度の湯が補助熱源装置に到達して導入されたと判断する判断方法として、前記実施例のような方法を適用してもよいし、給水サーミスタの検出温度の微分値に基づいて、この検出温度の微分値が予め定められる判断基準微分値に達したとき又は超えたときに、貯湯槽2側から給湯設定温度の湯が給湯器16に到達して導入されたと判断することもできる。これらのように、給湯バーナ61の燃焼停止の判断方法は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。
なお、開発中の熱源装置において、タンクユニット4と給湯器16が個別に設置され、湯水導入通路15で結ばれている熱源装置においては、(ガスバーナの燃焼熱により加熱する加熱手段を持つが故に寿命が比較的短い)給湯器16が先に壊れても、給湯器16のみ交換すればシステムを維持できるという利点があるが、新しい給湯器16を設置する業者は、例えば12年前に発売されたタンクユニット4に関する施工マニュアルを持ち合わせていない場合が多い。そのため、タンクユニット4と給湯器16が連携するような制御、すなわち、給湯器16を交換した際に、タンクユニット4側の設定を変更しなければばらないようなことは避けられるようにすることが望ましい。
それに対し、前記のような各判断方法によって、貯湯槽2等の主熱源側から給湯設定温度の湯が給湯器16等の補助熱源装置に到達して導入されたと判断するようにすると、このタイミングを補助熱源装置側で独自に判断できるため、タンクユニット4側の設定を変更する必要がない。
なお、給湯器16等の補助熱源装置の交換が行われる場合でも、一般には、その容量は同等のものに代えることが多いと考えられるため、その場合は、前記第1設定容量や第2設定容量、嵩上げ温度の変更の必要はないが、例えば給湯器16等の補助熱源装置の交換が行われた際に、補助熱源装置をリモコン装置43に信号接続することによりリモコン装置43側で補助熱源装置の号数等の情報を得られるようにし、主熱源側(例えばタンクユニット4側)の制御装置33がリモコン装置43側からの情報を得て、前記のように複数設定されておいた前記第1設定容量や第2設定容量、嵩上げ温度の値から適宜の値を選択できるようにすると、たとえ補助熱源装置側の大きく容量が変更されても、的確な制御を行うことができる。
さらに、貯湯槽2と給湯器16の給湯回路62の湯水導入側とを接続する接続用配管(図6における湯水導入通路15)の長さが予め与えられる設定長さ(例えば4m)より短い場合には、給湯開始から予め定められている水導入時間が経過するまでの間は、貯湯槽2から出湯される湯の代わりに給水通路8bから給湯器15に水を導入し、前記水導入時間が経過した以降に貯湯槽2から出湯される湯を湯の通路9を通して給湯器15に導入するようにする給湯開始時導入湯水可変手段を設けてもよい。
なお、前記水導入時間は、給水通路8bから給湯器16に導入される水が給湯バーナ61の燃焼により加熱されてメインの熱交換器17a内の湯が給湯設定温度あるいは給湯設定温度より予め定められる温度高めの温度まで加熱されるまでの時間とする、または、この時間から湯水導入通路15の容量分差し引いた時間とする等、適宜の時間に設定される。
さらに、本発明の熱源装置の詳細なシステム構成は適宜設定されるものであり、例えば前記実施例で設けた給湯熱交出側温度検出手段67は省略することもできる。また、タンク湯水混合器12と水混合器14も共に2方弁として、これらの混合器12,14で2カ所で混合比を調整したが、例えば2方弁を用いる代わりに、1カ所に3方弁を設けて混合比を調整するようにしてもよい。
さらに、図6、図7において、接続通路21,22を省略したシステム(循環ポンプ23、電磁弁24もなし)においても本発明は有効である。
さらに、図6の破線で示されるようなバイパス路79とバイパス電磁弁80を設けて熱源装置を形成してもよい。このような構成においては、バイパス路79と通路28との合流部で合流した後の温度が給湯設定温度となるように、必要に応じてバイパス電磁弁80の開閉制御やミキシング流量制御手段35等による温度制御、燃焼制御手段47による燃焼制御等が適宜行われる。
また、このようにバイパス路79を設ける場合は、貯湯槽2側から湯水導入通路15を通って流れてきた湯水が給湯回路62の湯水導入側とバイパス路79側とに分岐した後に通路18で合流することになるため、給湯通路62側とバイパス路79側との分岐比(バイパス比)(例えば8:2としたり5:5としたり適宜設定される値)を考慮して前記第1設定容量、前記第2設定容量、前記嵩上げ温度が適宜定められることになる。
さらに、前記実施例では、給水流量センサ29と流量検出手段42を別々のものとして両方を熱源装置に設けたが、どちらか1つで兼用してもよい。例えば流量検出手段42のみ設ける場合には、流量検出手段42の検出信号を、流量割合検出手段38とミキシング流量制御手段35にも加えるようにする。なお、給水流量センサ29と流量検出手段42の両方を設ける場合にも、流量検出手段42の検出信号をミキシング流量制御手段35等に加えてもよいが、ミキシング流量制御手段35等には給水流量センサ29の検出信号を加えるようにする方が、給湯器16等の補助熱源装置とタンクユニット4間の情報融通を行わずにすみ、制御構成を簡略化できる。
さらに、給湯器16は、給湯熱交換器17を例えば石油燃焼式のバーナ装置により加熱するタイプの給湯器としてもよい。
さらに、前記実施例では、貯湯槽2は燃料電池1に熱的に接続されていたが、燃料電池1の代わりに、太陽熱の集熱機やヒートポンプ等を接続してもよい。