JP4475481B2 - 高強度ポリエステルアミド繊維の製造方法 - Google Patents

高強度ポリエステルアミド繊維の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高強度ポリエステルアミド繊維に関し、さらに詳しくは、直線引張強度が高く、適度の伸度を有し、生分解性を示す高強度ポリエステルアミド繊維とその製造方法に関する。本発明の高強度ポリエステルアミド繊維は、釣り糸や漁網、農業用ネットなどの産業資材としての用途に好適である。
【0002】
【従来の技術】
近年、生分解性や光分解性などの分解性を有する地球環境に優しい繊維の開発が強く望まれている。一般に、釣り糸、漁網、農業用ネットなどは、加工性、強度、耐久性、耐熱性などに優れたポリアミドモノフィラメントなどの合成繊維から形成されている。このような従来の合成繊維は、自然環境下で分解性をもたないため、例えば、釣り糸や漁網が流出したり、放置されたりすると、深刻な海洋汚染等の公害問題を引き起こす。
【0003】
天然繊維の多くは、生分解性を有するが、釣り糸、漁網、農業用ネットなどの産業用資材に要求される高強度などの高い性能を出すことができない。また、天然繊維は、大量生産に必要な加工性に欠ける。これに対して、ある種の脂肪族ポリエステルは、海洋や河川に分布する付着性細菌によって微生物分解を受けることが知られており、しかも従来の合成樹脂用に開発されてきた紡糸技術や設備を利用して繊維に加工することができるため、生分解性繊維への応用が検討されている。
【0004】
例えば、特開平2−203729号公報には、自然環境中で徐々に分解される性質を有する脂肪族ポリエステルから形成された釣り糸が提案されている。しかし、該公報には、紡糸技術に関する具体的な記載がなく、実施例も示されていない。しかも、該公報には、脂肪族ポリエステルから形成された釣り糸は、空気中の水分によって加水分解を受ける場合があり、また、使用後は徐々に強度が低下するので、使い捨てにすべきであると記載されている。
【0005】
特開平5−59611号公報には、ポリカプロラクトンからなるモノフィラメントが提案されている。該公報の実施例には、ポリカプロラクトン(融点=60℃)を210℃で溶融紡出し、15℃の水溶液中で冷却した後、直ちに45℃の温水中で延伸倍率5倍超過7倍未満で第1段目の延伸を行い、次いで、100℃のオーブン中で全延伸倍率が8倍以上となるように第2段目の延伸を行い、さらに、弛緩熱処理することにより、高強度ポリカプロラクトンモノフィラメントを得たことが記載されている。しかし、このポリカプロラクトンモノフィラメントは、耐熱性が不十分であり、かつ、高温条件下で強度が著しく低下する。
【0006】
このように、脂肪族ポリエステルからなる繊維は、生分解性を有するものの、機械的強度が不十分であったり、耐熱性に劣るなどの欠点を有している。一方、ポリアミド繊維は、機械的強度、耐熱性、加工性などに優れるが、生分解性を有していない。そこで、脂肪族ポリエステルの物性を改善すると共に、ポリアミドに生分解性を付与するために、ポリエステルアミド共重合体が開発されており、その生分解性繊維としての応用も検討されている。
【0007】
例えば、特開昭54−120727号公報には、高分子量の脂肪族ポリエステルと脂肪族ポリアミドを、不活性ガス中において、無水酢酸亜鉛などの触媒の存在下、それらの融点以上の温度に加熱することにより、エステル−アミド交換反応を行わせて、低分子量ポリエステルブロックと低分子量ポリアミドブロックとが多数交互に結合したポリエステルアミド共重合体を製造し、これを溶融紡糸して生分解性繊維とすることが開示されている。しかし、該公報には、該ポリエステルアミド共重合体を用いて紡糸し、繊維とした具体例が示されていない。
【0008】
特開平7−173716号公報には、ポリアミド単位とポリラクトン単位とからなるポリラクトンアミド共重合体からなるモノフィラメントとその製造方法が開示されている。該公報には、ポリラクトンアミド共重合体を溶融紡出し、60℃以下(好ましくは26〜60℃)の不活性液体中で冷却固化し、4倍超過7倍未満の延伸倍率で1段目延伸を行い、その後、全延伸倍率が7倍以上となる延伸倍率で延伸するモノフィラメントの製造方法が記載されている。具体的に、該公報の実施例には、ポリラクトンアミド共重合体を200℃で溶融紡出し、35℃の温水中で冷却した後、直ちに80℃の温水浴中で延伸倍率4.5倍で1段目の延伸を行い、90℃の温水中でリラックス熱処理を行った後、120℃の乾熱浴中で全延伸倍率が9.0倍となるように2段目の延伸を行い、さらに、100℃の乾熱浴中で弛緩熱処理を行って、高強度のモノフィラメントを製造したことが示されている。
【0009】
ところで、ナイロンなどのポリアミドからモノフィラメントの如き繊維を製造するには、ポリアミドを溶融紡出し、急冷して未延伸糸とし、この未延伸糸を速やかに延伸させている。これは、急冷することにより未延伸糸の結晶化を抑制して、延伸時に分子鎖を無理なく配向させるためである。延伸時に引き延ばされた分子鎖は、配向結晶化を生じ、結晶部と非晶部ともに配向が固定され、優れた機械的強度を発現する。
【0010】
しかしながら、ポリエステルアミド共重合体に、このような紡糸・延伸法を適用すると、機械的強度が十分に改善された繊維を得ることが困難である。すなわち、ポリエステルアミド共重合体のポリアミドセグメントは、該共重合体の生分解性を損なわないようにするため連鎖長が短くなるように設計されている。このため、ポリエステルアミド共重合体は、結晶性が低く、配向結晶化もポリアミド単独重合体に比べて生じ難かったり、あるいは結晶化速度が遅い。したがって、急冷により得られた非晶性の未延伸糸を延伸したのでは、非晶部の配向を十分に固定することができず、機械的強度が十分に向上しない。
【0011】
また、生分解性と機械的強度を両立させるために、ポリアミドセグメントの連鎖長を短く設計したポリエステルアミド共重合体を非晶性の未延伸糸とし、引き続き、該未延伸糸を50℃を越えるような比較的高温条件下で延伸しようとすると、溶断が起こりやすく、満足に延伸することが困難である。
【0012】
未延伸糸の冷却温度などの冷却固化条件を調整して、その一部を結晶化させる方法では、十分な結晶化度を得ることができなかったり、結晶化度の精密な制御が困難である。また、生分解性と機械的強度を両立させるために、ポリアミドセグメントの連鎖長を短く設計したポリエステルアミド共重合体を溶融紡出し、比較的高温に調整した冷却媒体中で冷却固化と結晶化とを行わせようとしても、紡出糸が未だ溶融状態に近いため、冷却媒体の抵抗やロールの抵抗などにより、伸びたり蛇行したりして変形してしまう。溶融紡出した糸を一定時間空気中に滞在させて結晶化させようとしても、糸径が比較的大きなモノフィラメントの場合、冷却効率が極めて悪く、非現実的である。しかも、溶融状態に近い糸が滞空中に変形して糸径が均一にならない。
【0013】
このように、脂肪族ポリエステルとポリアミドとを共重合したポリエステルアミド共重合体は、脂肪族ポリエステルの生分解性とポリアミドの強靱性を併せもつ樹脂として期待されているが、従来の製造方法では、生分解性と機械的強度のバランスに優れ、十分に高強度のポリエステルアミド繊維を製造することは困難であった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、直線引張強度が顕著に高く、適度の伸度を有し、生分解性を示す高強度ポリエステルアミド繊維とその製造方法を提供することにある。
【0015】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究した結果、ポリエステルアミド繊維の動的粘弾性測定における主分散ピーク温度を調整することにより、直線引張強度を顕著に改善できることを見いだした。本発明の高強度ポリエステルアミド繊維は、ポリエステルアミド共重合体を溶融紡出し、直ちに20℃以下、好ましくは15℃以下、より好ましくは10℃以下の不活性冷却媒体中で冷却固化して実質的に非晶性の未延伸糸を得、この未延伸糸の結晶化度を10〜30重量%に高めた後、全延伸倍率が4.5倍以上、好ましくは5倍以上になるように1段または多段延伸することにより製造することができる。未延伸糸の結晶化度を10〜30重量%に高めるには、該未延伸糸を例えば室温で24時間放置するなどして十分に結晶化を進行させる方法がある。
【0016】
延伸工程において、結晶化度10〜30重量%の未延伸糸を温度20〜120℃で全延伸倍率が4.5倍以上となるように1段または多段延伸し、その際、好ましくは50〜120℃、より好ましくは70〜110℃で延伸倍率1.3倍以上に延伸する少なくとも1つの延伸段階を配置することにより、特に良好な結果を得ることができる。また、実質的に非晶性の未延伸糸を延伸して延伸糸とし、該延伸糸の結晶化度を10〜30重量%に高めた後、1段または多段延伸する方法によっても、高強度ポリエステルアミド繊維を得ることができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ポリエステルアミド共重合体からなる繊維であって、該繊維の動的粘弾性測定における主分散ピーク温度が、該ポリエステルアミド共重合体からなる無配向物の主分散ピーク温度より10℃以上高いことを特徴とする高強度ポリエステルアミド繊維が提供される。
【0018】
また、本発明によれば、ポリエステルアミド共重合体を溶融紡出し、得られた未延伸糸を延伸するポリエステルアミド繊維の製造方法において、
(1)ポリエステルアミド共重合体を溶融紡出し、直ちに温度20℃以下の不活性冷却媒体中で冷却固化して非晶性の未延伸糸を得る工程、
(2)該未延伸糸の結晶化度を10〜30重量%に高める工程、及び
(3)結晶化度10〜30重量%の未延伸糸を全延伸倍率が4.5倍以上となるように1段または多段延伸する工程
からなる一連の工程を含むことを特徴とする高強度ポリエステルアミド繊維の製造方法が提供される。
【0019】
さらに、本発明によれば、ポリエステルアミド共重合体を溶融紡出し、得られた未延伸糸を延伸するポリエステルアミド繊維の製造方法において、
▲1▼ポリエステルアミド共重合体を溶融紡出し、直ちに温度20℃以下の不活性冷却媒体中で冷却固化して非晶性の未延伸糸を得る工程、
▲2▼該未延伸糸を温度−10℃〜50℃で延伸倍率1.3倍以上に延伸して延伸糸とする工程、
▲3▼該延伸糸の結晶化度を10〜30重量%に高める工程、及び
▲4▼結晶化度10〜30重量%の延伸糸を全延伸倍率が4.5倍以上となるようにさらに1段または多段延伸する工程
からなる一連の工程を含むことを特徴とする高強度ポリエステルアミド繊維の製造方法が提供される。
【0020】
【発明の実施の形態】
1.ポリエステルアミド共重合体
本発明で使用するポリエステルアミド共重合体は、分子鎖中にポリアミド単位とポリエステル単位とを有するポリマーである。各単位の割合は、ポリアミド単位が好ましくは5〜80モル%、より好ましくは20〜70モル%、特に好ましくは30〜60モル%であり、これらに対応して、ポリエステル単位が好ましくは20〜95モル%、より好ましくは30〜80モル%、特に好ましくは40〜70モル%である。ポリアミド単位の割合が小さすぎると、機械的強度に劣り、過大であると、生分解性が損なわれる。
【0021】
ポリアミド単位としては、公知の各種ポリアミドが用いられる。融点が過度に高いポリアミドを用いると、溶融成形の際にポリエステルセグメントの熱分解を生じる恐れがあるため、ポリアミド6(ナイロン6)、ポリアミド66(ナイロン66)、あるいはこれらの共重合体が好ましい。ポリエステル単位としては、生分解性の観点から、脂肪族ポリエステルが好ましく用いられるが、生分解性を示す限り、ポリシクロヘキシレンジメチルアジペートなどの脂環族ポリエステルや芳香族ポリエステルなどを、単独であるいは脂肪族ポリエステルと併用してもよい。脂肪族ポリエステルとしては、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート、ポリラクトンなどが好ましい。
【0022】
ポリエステルアミド共重合体の合成方法は、特に限定されず、例えば、(1) 脂肪族ポリエステルにポリアミドをアミド−エステル交換反応により多数交互に導入してポリエステル−アミド共重合体とする方法(特開昭54−120727号公報)、(2) ポリアミド形成性化合物(例えば、ε−カプロラクタムなど)と、ジカルボン酸及びポリエステルジオール(例えば、ポリラクトンジオール)とを反応させる方法(特開平7−173716号公報)、(3) ポリアミド形成性化合物(例えば、ε−カプロラクタムなど)とポリエステル形成性化合物(二塩基酸とジオール;ラクトンなど)とを反応させる方法などが挙げられる。
【0023】
前記(1) の方法において、ポリエステルとしては、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペートなどが挙げられ、ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン、66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などが挙げられる。
【0024】
ポリアミド形成性化合物としては、例えば、ω−アミノ酪酸、ω−アミノバレリアン酸、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノベラルゴン酸、ω−アミノウンデカン酸、ω−アミノドデカン酸などの炭素数4〜12のアミノカルボン酸;γ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、カプリロラクタム、ラウロラクタムなどの炭素数4〜12のラクタム;などが挙げられる。また、ポリアミド形成性化合物として、ジカルボン酸とジアミンとからなるナイロン塩を挙げることができ、該ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸などの炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸;水添テレフタル酸、水添イソフタル酸などの脂環族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸;などが挙げられ、また、該ジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンアジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンなどの炭素数4〜12の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミンなどの脂環族ジアミン;キシレンジアミンなどの芳香族ジアミン;などが挙げられる。
【0025】
前記(2) の方法において、ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸;水添テレフタル酸、水添イソフタル酸などの脂環族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸;などが挙げられる。
【0026】
前記(2) の方法において、ポリエステルジオールとしては、平均分子量500〜4000のポリラクトンジオールを挙げることができ、グリコール化合物を反応開始剤として用いて、炭素数3〜12のラクトンから合成される。ラクトンとしては、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、エナントラクトン、カプリロラクトン、ラウロラクトンなどを挙げることができる。
【0027】
前記(3) の方法において、二塩基酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸などが挙げられ、ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ブタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオールなどが挙げられる。
【0028】
前記(3) の方法において、ラクトンとしては、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、エナントラクトン、カプリロラクトン、ラウロラクトンなどが挙げられる。その他、グリコール酸、グリコリド、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、β−ヒドロキシ吉草酸などもポリエステル形成性化合物として挙げることができる。
【0029】
ポリエステルアミド共重合体としては、機械的強度と生分解性とのバランスの観点から、ナイロン6/ポリブチレンアジペート、ナイロン66/ポリブチレンアジペート、ナイロン6/ポリエチレンアジペート、ナイロン66/ポリエチレンアジペート、ナイロン6/ポリカプロラクトン、ナイロン66/ポリカプロラクトンなどが好ましい。
【0030】
ポリエステルアミド共重合体の融点(Tm)は、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上であり、多くの場合、90〜180℃程度である。ポリエステルアミド共重合体の融点(Tm)は、示差走査熱量計を用いて、10℃/分の昇温速度で測定した際の結晶融解ピーク温度であり、複数の融解ピークが現れる場合には、最も発熱量の大きいピーク温度を意味する。この融点が低すぎると、ポリエステルアミド繊維の耐熱性が十分ではなく、高温環境下での強度の低下や、使用時の摩擦熱による溶断などの問題が生じやすくなる。一方、この融点が高すぎると、溶融紡糸温度が高くなり、ポリエステルセグメントが分解しやすくなる。
【0031】
ポリエステルアミド共重合体の相対粘度は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.3以上であり、多くの場合、1.0〜3.0である。ポリエステルアミド共重合体の相対粘度は、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を溶媒として、濃度0.4g/dl(溶媒100mlに対してポリマー0.4gの割合で溶解)のポリマー溶液を、温度10℃の雰囲気中で、ウベローデ粘度計を用いて測定した値である。相対粘度が低すぎると、重合度(または分子量)が低すぎて、機械的強度に優れた繊維を得ることが難しくなり、高すぎると、繊維の直径斑や強度斑が生じやすくなり、均一な物性の繊維を得ることが困難になる。
【0032】
2.ポリエステルアミド繊維の製造方法
本発明においては、ポリエステルアミド共重合体を用いて、次の製造工程によりポリエステルアミド繊維を製造する。ポリエステルアミド繊維は、通常、モノフィラメントであるが、所望により、マルチフィラメントとしてもよい。
すなわち、本発明のポリエステルアミド繊維の製造方法は、ポリエステルアミド共重合体を溶融紡出し、得られた未延伸糸を延伸するポリエステルアミド繊維の製造方法であるが、これを下記の一連の工程により行う。
【0033】
(1)ポリエステルアミド共重合体を溶融紡出し、直ちに温度20℃以下の不活性冷却媒体中で冷却固化して非晶性の未延伸糸を得る工程、
(2)該未延伸糸の結晶化度を10〜30重量%に高める工程、及び
(3)結晶化度10〜30重量%の未延伸糸を全延伸倍率が4.5倍以上となるように1段または多段延伸する工程。
【0034】
前記工程(1)においては、ポリエステルアミド共重合体を溶融紡出し、直ちに20℃以下、好ましくは15℃以下、より好ましくは10℃以下の不活性冷却媒体中で冷却固化して実質的に非晶性の未延伸糸を得る。溶融紡出する際の紡糸温度は、通常、100〜200℃程度であり、紡糸引取速度は、モノフィラメントの場合は、通常、1〜50m/分程度であり、マルチフィラメントの場合は、通常、20〜1,000m/分である。
【0035】
冷却媒体の温度が高すぎると、未延伸糸に部分的な結晶化が生じることがあるが、結晶化度を均一かつ精密に制御することが困難となり、ひいては、十分な機械的強度を有するポリエステルアミド繊維を得ることが難しくなる。また、冷却媒体の温度が高すぎると、未延伸糸が変形して、均一な繊維を成形することが困難になる。冷却媒体の下限温度は、冷却媒体の種類にもよるが、0℃程度が好ましい。冷却媒体としては、例えば、水、グリセリン、エチレングリコールなどのポリエステルアミド共重合体に不活性な液体化合物とそれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、水が好ましい。この工程(1)では、結晶化度が好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、多くの場合0%の実質的に非晶性の未延伸糸を得る。
【0036】
前記工程(2)において、実質的に非晶性の未延伸糸の結晶化度を10〜30重量%、好ましくは12〜28重量%の範囲に高める。未延伸糸の結晶化度を高めるには、工程(1)で得られた未延伸糸を10〜80℃の雰囲気中に10分間から72時間置く方法が挙げられる。一般に、雰囲気温度が低いほど処理時間を長くし、高いほど処理時間を短くすることにより、結晶化度を所望の範囲に調整することが好ましい。この結晶化処理を行うには、工程(1)で得られた実質的に非晶性の未延伸糸を例えばロールに巻き取り、巻き取った状態で、所定の温度条件に調整した雰囲気中に所定の時間静置する方法が好ましい。未延伸糸の結晶化度を精密に制御するには、巻き取った未延伸糸を、10〜35℃の範囲内の所定温度に調整した雰囲気中に、通常、5〜72時間、好ましくは10〜30時間程度、静置する方法が望ましい。
【0037】
このような方法を採用することにより、一般に結晶性が低く、結晶化速度が遅いポリエステルアミド共重合体からなる未延伸糸の結晶化度が所望の範囲となるように厳密に制御することができる。未延伸糸の結晶化度が低すぎると、延伸の際に非晶部の配向を十分に固定することができず、強度に優れた繊維を得ることが困難になる。一方、未延伸糸の結晶化度が高すぎると、延伸の際にボイドが発生して強度が低下したり、場合によっては、延伸途中で切断することもある。
【0038】
前記工程(3)において、結晶化度10〜30重量%の未延伸糸を全延伸倍率が4.5倍以上となるように1段または多段延伸を行う。以下、この工程を結晶延伸工程と呼ぶことがある。延伸温度は、好ましくは20〜120℃であり、その上限は、使用するポリエステルアミド共重合体の融点(Tm)を越えないように調整する。延伸温度の調整は、所定温度に調整した乾熱気体や液体熱媒を用いて行う。
【0039】
本発明では、延伸を1段または2段以上の多段で行うが、その際、延伸温度を好ましくは50〜120℃、より好ましくは70〜110℃に調整し、当該延伸温度で1.3倍以上の延伸倍率で延伸する延伸段階を配置することが、高強度の繊維を得る上で特に望ましい。この温度での延伸は、乾熱気体中で行うことが好ましい。この延伸段階を配置することにより、延伸繊維の結晶化度を適度の範囲に高め、同時に、結晶部と非晶部の配向(結晶配向度)を十分に高めることができ、その結果、機械的強度に優れた繊維を得ることができる。
【0040】
この延伸段階での延伸は、1段延伸の場合、例えば、延伸温度70〜110℃で延伸倍率5〜7倍に1段延伸する方法により行うことができる。多段延伸の場合には、前記の温度範囲で1.3倍以上の延伸倍率での延伸段階が配置されておれば、他の延伸は、例えば、25℃などの50℃未満の温度で行ってもよい。この延伸段階での延伸は、1段または多段で行うことができ、延伸倍率は、1.3倍以上、12倍以下とすることが好ましい。
【0041】
全延伸倍率は、4.5倍以上、好ましくは5倍以上であり、その上限は、15倍程度である。全延伸倍率が低すぎると、十分な機械的強度を得ることができない。延伸工程後、定長または弛緩状態で、融点(Tm)以下の温度で熱処理をしてもよい。
【0042】
また、本発明では、以下の工程により、生分解性と機械的強度のバランスに優れた高強度ポリエステルアミド繊維を製造することができる。
▲1▼ポリエステルアミド共重合体を溶融紡出し、直ちに温度20℃以下の不活性冷却媒体中で冷却固化して非晶性の未延伸糸を得る工程、
▲2▼該未延伸糸を温度−10℃〜50℃で延伸倍率1.3倍以上に延伸して延伸糸とする工程、
▲3▼該延伸糸の結晶化度を10〜30重量%に高める工程、及び
▲4▼結晶化度10〜30重量%の延伸糸を全延伸倍率が4.5倍以上となるようにさらに1段または多段延伸する工程。
【0043】
前記工程▲1▼において、溶融紡出する際の紡糸温度は、通常、100〜200℃程度であり、紡糸引取速度は、通常、1〜50m/分程度であり、冷却媒体の温度は、好ましくは15℃以下、より好ましくは10℃以下である。前記工程▲2▼において、延伸温度は、好ましくは0〜40℃、より好ましくは10〜35℃であり、延伸倍率は、好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上であり、多くの場合、4〜10倍程度で良好な結果を得ることができる。この工程▲2▼において、延伸倍率を高める場合は、10〜35℃程度の延伸温度で、2〜5回程度の多段延伸を行うことが望ましい。
【0044】
前記工程▲2▼は、実質的に非晶性の未延伸糸を延伸する非晶延伸工程である。工程▲2▼で得られた延伸糸は、その結晶化度を10〜30重量%、好ましくは12〜28重量%の範囲に高める。延伸糸の結晶化度を高めるには、該延伸糸を10〜80℃の雰囲気中に10分間から72時間置く方法が挙げられる。この結晶化処理を行うには、工程▲2▼で得られた延伸糸を例えばロールに巻き取り、巻き取った状態で、所定の温度条件に調整した雰囲気中に所定の時間静置する方法が好ましい。延伸糸の結晶化度を精密に制御するには、巻き取った延伸糸を、10〜35℃の範囲内の所定温度に調整した雰囲気中に、通常、5〜72時間、好ましくは10〜30時間程度、静置する方法が望ましい。
【0045】
非晶状態で延伸糸とした後、該延伸糸の結晶化度を10〜30重量%の範囲に高め、次いで、延伸工程▲4▼を配置することにより、機械的強度を十分に高めることができる。工程▲4▼において、結晶化度10〜30重量%の延伸糸を全延伸倍率が4.5倍以上となるように1段または多段延伸を行う。延伸温度は、好ましくは20〜120℃であり、延伸温度の調整は、所定温度に調整した乾熱気体や液体熱媒を用いて行う。延伸工程▲4▼では、延伸温度を好ましくは50〜120℃、より好ましくは70〜110℃に調整し、該延伸温度で1.3倍以上の延伸倍率で延伸する延伸段階を配置することが、高強度の繊維を得る上で特に望ましい。その他の延伸条件は、前述の方法の場合と同様である。
【0046】
3.ポリエステルアミド繊維
本発明のポリエステルアミド繊維は、該繊維の動的粘弾性測定における主分散ピーク温度が、該ポリエステルアミド共重合体からなる無配向物の主分散ピーク温度より10℃以上高く、好ましくは12℃以上高い。延伸繊維の主分散ピーク温度が無配向物に比べて10℃以上高いことは、非晶分子鎖が高度に緊張拘束されていることを示している。つまり、延伸が効果的に行われ、その結果、繊維の結晶部の分子鎖のみならず、非晶部の分子鎖も高度に配向していることを示している。主分散ピーク温度の温度差の上限は、17℃程度であり、多くの場合15℃程度である。
【0047】
本発明のポリエステルアミド繊維は、該繊維の結晶化度(重量%)Aと小角X線散乱により測定される長周期(Å)Bとが、式(I)
5≦(A×B)/100≦30 ・・・・・・・・ (I)
の関係を満足するものであることが好ましい。
【0048】
結晶化度Aと小角X線散乱により測定される長周期Bとは、より好ましくは、式(II)
10≦(A×B)/100≦25 ・・・・・・・・ (II)
の関係を満足し、特に好ましくは、式(III)
15≦(A×B)/100≦20 ・・・・・・・・ (III)
の関係を満足する。
【0049】
結晶化度Aと小角X線散乱により測定される長周期Bの積は、ポリアミドセグメントの結晶化により生成する結晶の厚みに対応する。(A×B)/100が5未満であるような繊維は、ポリアミドセグメントの連鎖長が短いため、結晶性が低く、分子鎖に導入したポリアミド単位が機械的強度の向上に十分に寄与しない恐れがある。一方、(A×B)/100が25超過であるような繊維は、ポリアミドセグメントの連鎖長が長すぎるため、生分解性が損なわれる恐れがある。
【0050】
本発明のポリエステルアミド繊維の結晶配向度は、好ましくは90%以上、より好ましくは93%以上である。結晶配向度の上限は、98%程度である。繊維の結晶配向度が高いことによって、機械的強度に優れている。
このようなポリエステルアミド繊維は、前記製造方法により得ることができ、優れた直線引張強度と適度の伸度を有するものである。直線引張強度は、通常、300MPa以上、好ましくは350MPa以上、特に好ましくは40MPa以上である。直線引張強度は、多くの場合、350〜700MPa程度である。伸度は、通常、10%以上、好ましくは15%以上であり、多くの場合、10〜50%程度である。
【0051】
本発明のポリエステルアミド繊維は、生分解性が良好であることが望ましい。本発明のポリエステルアミド繊維は、土壌中に6ヶ月間埋めてから取り出すと、繊維がその形状を失っているか、あるいは直線引張強度が埋める前の値に比べて50%以下に低下していることから、微生物分解性が良好であると評価することができる。本発明のポリエステルアミド繊維の直径は、モノフィラメントの場合は、通常、50〜4,000μm程度であり、マルチフィラメントの場合は、通常1〜50μmである。本発明のポリエステルアミド繊維は、必要に応じて、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などの各種添加剤を含有させることができる。
【0052】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。物性等の測定法は、次のとおりである。
(1)主分散ピーク温度
試料を23℃、50%RH(相対湿度)の雰囲気中で24時間放置した後、レオメトリックス社製の動的粘弾性測定装置RSAを用いて、チャック間距離20mm、測定周波数10Hzで、−100℃から2℃/分の昇温速度で120℃まで昇温して、損失正接tanδの温度分散曲線を測定した。この温度分散曲線が極大を示す温度を主分散ピーク温度(℃)とした。
【0053】
(2)結晶化度
パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC7を用いて、試料約10mgを測定セルにセットし、窒素ガス雰囲気中で、30℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温してDSC曲線を測定した。このDSC曲線から結晶の融解エンタルピーΔH(J/g)を求め、次式から結晶化度(重量%)を算出した。
結晶化度=(ΔH/ΔH0 )×100
ここで、ΔH0 =190.88(J/g)
【0054】
(3)小角X線散乱により測定される長周期
繊維の延伸方向を揃えて、長さ20mm、幅4mmの短冊状に整列させ、これをシアノアクリレート系接着剤で固定して試料を作成した。この試料の繊維の延伸方向に対して垂直方向にX線を入射した。X線発生装置として理学電機社製のロータフレックスRU−200Bを用い、40kV−200mAでNiフィルターを通したCuKα線をX線源とした。イメージングプレート(富士写真フィルム社製BAS−SR 127)を用いて、試料−イメージングプレート間距離500mm、露出時間24時間で露出し、理学電機社製のR−AXIS DS3を用いて、子午線上の散乱角強度分布曲線を作成した。この散乱角強度分布曲線のピーク角度から長周期(Å)を求めた。
【0055】
(4)広角X線散乱により測定される配向度
繊維の延伸方向を揃えて、長さ20mm、幅4mmの短冊状に整列させ、これをシアノアクリレート系接着剤で固定して試料を作成した。この試料の繊維の延伸方向に対して垂直方向にX線を入射した。X線発生装置として理学電機社製のロータフレックスRU−200Bを用い、30kV−100mAでNiフィルターを通したCuKα線をX線源とした。イメージングプレート(富士写真フィルム社製BAS−SR 127)を用いて、試料−イメージングプレート間距離60mm、露出時間20分間で露出し、理学電機社製R−AXIS DS3を用いて、ポリアミド6α型結晶(200)面からの回折の方位角(β角)強度分布曲線を作成した。このβ角強度分布曲線から、理学電機株式会社発行のX線回折の手引き改訂第三版(1985年6月30日発行)の第81ページに記載の繊維試料の配向度の測定方法に従って、赤道線上の2点(β角が90°及び270°)についての半値幅Wi(度)の合計値ΣWi(度)から次式により配向度(%)を求めた。
配向度=〔(360−ΣWi)/360〕×100
【0056】
(5)直線引張強度
試料を23℃、50%RHの温湿度調節室内で24時間放置した後、同室内で東洋ボールドウィン社製のテンシロンUTM−3を用いて、初期試料長(チャック間距離)300mm、クロスヘッド速度300mm/分で引張試験を行い、破断応力(MPa)を求めて、その測定値を直線引張強度(MPa)とした。
(6)生分解生(微生物分解性)
試料を土壌中に6ヶ月間埋めてから取り出し、試料の繊維がその形状を失っているか、あるいは直線引張強度が埋める前の値に比べて50%以下に低下している場合を、微生物分解性が良好と評価した。
【0057】
[実施例1]
ポリエステルアミド共重合体〔Bayer社製BAK1095:ナイロン6/ポリブチレンアジペート=50/50(モル%);融点(Tm)125℃、相対粘度1.47〕を30mmφの単軸押出機に供給して、押出機先端温度140℃で溶融させ、温度140℃に調節された直径1.5mmの紡糸ノズルから押し出して、直ちに温度5℃に調節された水浴中で冷却し、3m/分の引取速度で引き取って、直径740μmの未延伸糸を得た。この未延伸糸をロールに巻き取り、室温(25℃)で一昼夜放置した。放置後の未延伸糸の結晶化度は、14.7重量%であった。この結晶化度を高めた未延伸糸を、温度80℃に調節された乾熱バス内で延伸倍率5倍に延伸して、延伸繊維(モノフィラメント:直径165μm)を得た。
一方、この繊維を140℃で5分間加熱プレスして、厚み250μmのプレスシートに成形し、該ポリエステルアミド共重合体の無配向物試料とした。この無配向物試料の主分散ピーク温度は、−11℃であった。
【0058】
[実施例2〜3]
実施例1において、未延伸糸の延伸倍率を5倍から6倍(実施例2)または7倍(実施例3)に変更したこと以外は、それぞれ実施例1と同様にして延伸繊維を得た。
【0059】
[実施例4]
実施例1において、延伸工程を2段階に分けて、1段目を45℃で4.5倍に延伸し、次いで2段目を75℃で1.33倍に延伸し、全延伸倍率を6倍としたこと以外は、実施例1と同様にして延伸繊維を製造した。
【0060】
[比較例1〜3]
実施例1において、未延伸糸の延伸倍率を5倍から2倍(比較例1)または3倍(比較例2)または4倍(比較例3)に変更したこと以外は、それぞれ実施例1と同様にして延伸繊維を得た。
【0061】
[比較例4]
ポリエステルアミド共重合体(Bayer社製BAK1095)を30mmφ単軸押出機に供給し、押出機先端温度140℃で溶融させて、温度140℃に調節された直径1.5mmの紡糸ノズルから押し出し、直ちに温度5℃に調節された水浴中で冷却し、引取速度10m/分で引き取って、直径740μmの未延伸糸を得た。この未延伸糸を巻き取ることなく、直ちに温度25℃に調節された乾熱バス内で、延伸倍率3.5倍に延伸して、延伸繊維(モノフィラメント:直径197μm)を得た。
【0062】
[比較例5〜6]
比較例4において、未延伸糸の延伸倍率を3.5倍から4.5倍(比較例5)または5.5倍(比較例6)に変更したこと以外は、それぞれ比較例4と同様にして延伸繊維を得た。
【0063】
[比較例7]
比較例4において、延伸工程を3段階に分け、1段目を25℃で4.5倍に延伸し、次いで2段目を25℃で1.44倍に延伸し、さらに続いて3段目を25℃で1.15倍に延伸し、全延伸倍率7.5倍に延伸したこと以外は、比較例4と同様にして延伸繊維を製造した。
【0064】
[実施例5]
比較例7で得られた延伸繊維(モノフィラメント:全延伸倍率=7.5倍)を室温で一昼夜放置した。放置後の延伸繊維の結晶化度は、26.2重量%であった。この結晶化度を高めた延伸繊維を温度80℃で1.6倍に延伸し、全延伸倍率を12倍とした。
【0065】
[比較例8]
ナイロン6(単独重合体)を30mmφ単軸押出機に供給し、押出機先端温度260℃で溶融させて、温度260℃に調節された直径1.5mmの紡糸ノズルから押し出して、直ちに温度5℃に調節された水浴中で冷却し、引取速度10m/分で引き取って、直径740μmの未延伸糸を得た。この未延伸糸を巻き取ることなく、直ちに温度85℃に調節された乾熱バス内で、延伸倍率3.8倍に延伸し、次いで温度95℃に調節された乾熱バス内で1.47倍に延伸し、全延伸倍率5.6倍の延伸繊維(モノフィラメント:直径156μm)を得た。
これらの実施例及び比較例で採用した延伸条件を表1に示し、物性の測定結果を表2に示す。
【0066】
【表1】
Figure 0004475481
【0067】
【表2】
Figure 0004475481
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、直線引張強度が高く、適度の伸度を有し、生分解性を示す高強度ポリエステルアミド繊維とその製造方法が提供される。本発明の高強度ポリエステルアミド繊維は、釣り糸や漁網、農業用ネットなどの産業資材としての用途に好適に適用することができる。

Claims (3)

  1. ポリエステルアミド共重合体を溶融紡出し、得られた未延伸糸を延伸するポリエステルアミド繊維の製造方法において、
    (1)ポリエステルアミド共重合体を溶融紡出し、直ちに温度20℃以下の不活性冷却媒体中で冷却固化して非晶性の未延伸糸を得る工程、
    (2)該未延伸糸の結晶化度を10〜30重量%に高める工程、及び
    (3)結晶化度10〜30重量%の未延伸糸を全延伸倍率が4.5倍以上となるように1段または多段延伸する工程
    からなる一連の工程を含むことを特徴とする高強度ポリエステルアミド繊維の製造方法。
  2. 工程(2)において、該未延伸糸を10〜80℃の雰囲気中に10分間から72時間置くことにより、該未延伸糸の結晶化度を10〜30重量%に高める請求項記載の製造方法。
  3. 工程(3)において、結晶化度10〜30重量%の未延伸糸を温度20〜120℃で全延伸倍率が4.5倍以上となるように1段または多段延伸し、その際、温度50〜120℃で延伸倍率1.3倍以上に延伸する少なくとも1つの延伸段階を配置する請求項記載の製造方法。
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