JP3615841B2 - 生分解性釣糸およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、釣糸としての基本的な性能と適度な生分解速度を兼ね備えた生分解性釣糸およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の釣糸素材としては、その力学的な要求特性から、主としてポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリ弗化ビニリデン等からなる合成繊維が用いられてきた。
しかしながら、これらの合成繊維からなる釣糸は、自然の環境下ではほとんど分解しないため、使用後に捨てられたり、放置された場合には、そのまま半永久的に自然界に残存することになり、環境衛生上大きな問題となっていた。
【0003】
より具体的には、捨てられた廃棄釣糸が海底に林立したり、またこれらの廃棄釣糸や切断釣糸が鳥や海洋生物に絡み付いて、殺傷したりする事態が頻発しており、環境保護および自然保護の両面よりその改善が強く望まれていた。
そこで、最近では実用後自然界の菌類や微生物により生分解して自然消滅する釣糸、つまり生分解性釣糸の開発が盛んになっており、これら生分解性釣糸に関する代表的な技術としては例えば、(A)ポリラクチドを素材とした釣糸(特開平3−183428号公報)、(B)ポリグリコール酸を素材とした釣糸(特開平3−259029号公報)、(C)ポリカプロラクトンモノフィラメントからなる釣糸(特開平5−59611号公報)および(D)ポリブチレンサクシネートまたは/およびポリエチレンサクシネートを素材とする釣糸(特開平7−126914号公報)等が挙げられる。
【0004】
しかしながら、上記(A)および(B)の生分解性釣糸は、いずれも素材的に硬くて脆く、結節強度が低いため、釣糸としての基本的な性能を満足しているとは言い難い。
また上記(C)の生分解性釣糸は、融点が約60℃と低いため、擦過によるキズやチヂレが発生しやすいという欠点があり、上記(D)の生分解性釣糸は、強度等の機械的特性は優れるものの、生分解速度が遅いという欠点があった。
【0005】
したがって、従来の生分解性釣糸は、いずれも釣糸としての基本的な性能と、適度な生分解速度を兼ね備えたものではなく、その改良が強く望まれているのが実状であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するために検討した結果、達成されたものである。
したがって、本発明の目的は、釣糸としての基本的な性能と適度な生分解速度を兼ね備えた生分解性釣糸およびこの生分解性釣糸を効率的に製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の生分解性釣糸は、190℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトインデックスが10g/10分以下、融点が70〜180℃である脂肪族ポリエステルを主成分として構成されたモノフィラメントからなり、引張強度が5.0g/d以上、結節強度が4.0g/d以上、且つ表層の配向度(ベッケ法による複屈折率Δn)が53×10−3以下、全体の配向度(リターデーション法による複屈折率Δn)が55×10−3以上であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の生分解性釣糸の製造方法は、190℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトインデックスが10g/10分以下、融点が70〜180℃である脂肪族ポリエステルを主成分とするポリマーを溶融紡糸し、60℃以下の不活性液体中で冷却固化した後、引き続いて2.5〜5.0倍の倍率で1段目延伸を行い、次いで全延伸倍率が6.0倍以上となる延伸倍率で多段延伸することにより、上記の特性を有するモノフィラメントからなる生分解性釣糸を製造することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。本発明で用いた脂肪族ポリエステルとは、190℃、荷重2.16の条件で測定したメルトインデックス(以下、MIという)が10g/10分以下、融点が70〜180℃の脂肪族ポリエステルである。具体的にはコハク酸、アジピン酸および1.4ブタンジオールとからなるランダムコポリマー、またはこのランダムコポリマーとポリブチレンサクシネートまたは/およびポリエチレンサクシネートのブレンドポリマーなどであるが、これに限定されるものではない。
【0010】
ここで、上記ランダムコポリマーにおけるコハク酸/アジピン酸の組成比は、75〜85/25〜15(モル比)の範囲が好適である。なお、本発明で用いる脂肪族ポリエステルは、MIが10g/10分以下、とくに1g/10分以下のものが好ましく、10g/10分を越える場合には、釣糸としての十分な物性が得られないため好ましくない。
【0011】
また、本発明で用いる脂肪族ポリエステルの融点は70〜180℃の範囲にあることが必要であり、特に80〜135℃が好ましい。70℃未満では耐熱性が不十分でキズやチヂレが発生しやすいモノフィラメントしか得られず、180℃を越えると製糸性が阻害されるため好ましくない。
ここで、ブレンドポリマーの場合には、上記ランダムコポリマー、ポリブチレンサクシネートまたは/およびポリエチレンサクシネートのいずれもの融点が70〜180℃の範囲にあり、かつブレンド組成物の溶融物のMIが10g/10分以下であればよい。
【0012】
さらに、本発明で用いる脂肪族ポリエステルには、例えば顔料、染料、耐光剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、結晶化抑制剤および可塑剤などの添加剤を、目的とする特性を疎外しない範囲で、その重合過程、重合後あるいは紡糸直前に添加することができる。
さらに、本発明の生分解性釣糸は、その構成素材としての脂肪族ポリエステルからなるモノフィラメントが、引張強度5.0g/d以上、結節強度4.0g/d以上、且つ表層の配向度(ベッケ法による複屈折率Δn)53×10−3以下、全体の配向度(リターデーション法による複屈折率Δn)55×10−3以上の特性を有することを特徴としている。
【0013】
本発明の目的は、釣糸としての基本的な性能と適度な生分解速度を兼ね備えた生分解性釣糸を得ることであるが、ここで釣糸としての基本的な性能と適度な生分解速度について説明すれば次のとおりである。
釣糸としての基本的な性能とは、実用に耐え得る最小限の強さ(引張強度:5.0g/d、結節強度:4.0g/d)と擦過によるチヂレや摩耗が発生しない耐熱性である。
【0014】
一方、釣糸としての適度な生分解速度とは、自然環境下(たとえば海水中)で3カ月〜1年半の間で形状消失することが理想的である。
ただし、自然環境下での評価は再現性に乏しい面があり、客観的な評価がなかなか難しい。そこで、我々は釣糸の生分解速度の比較的客観的かつ適正な評価法について検討した結果、コンポスト中に埋設(ASTM−D−5338−92に準ずる)した場合の生分解速度の約1/20倍が、自然環境下の生分解速度に相当することを見出した。
【0015】
つまり、自然環境下における3カ月〜1年半の間の形状消失は、コンポスト中におけるほぼ4日から4週間の形状消失に対応することが判明した。
したがって、本発明でいう釣糸としての適度な生分解速度とは、コンポスト中埋設でほぼ4日から4週間で形状消失することを意味する。
そして、表層の配向度が53×10−3以下、全体の配向度が55×10−3以上である脂肪族ポリエステルモノフィラメントからなる本発明の釣糸が、引張強度が5.0g/d以上、結節強度が4.0g/d以上という高い強度を有しながらも、釣糸として適度な生分解速度を兼ね備える理由については、必ずしも明確ではないが、およそ次のように推論できる。
【0016】
すなわち、一般的に脂肪族ポリエステルは生分解性を有するポリマーではあるが、釣糸に必要な高強度を得るための高延伸を行った場合には、高配向度とそれに伴う配向結晶による結晶化度が進み、生分解速度が極端に遅くなる傾向があり、これは高配向度、高結晶化度によって繊維構造が極めて密で強固なものとなり、分解菌の攻撃が阻害されるためと考えられる。
【0017】
これに対して、表層の配向度を53×10−3以下、全体の配向度を55×10−3以上に制御した脂肪族ポリエステルモノフィラメントからなる本発明の生分解性釣糸は、結晶化度がある範囲内(通常釣糸用に延伸配向したものは20〜50%)であれば、表層部が分解菌の攻撃を受け易くなり、また表層の分解が律速となるケースが多いため適度な生分解速度になるものと考えられる。
【0018】
そして、上記の特性を有する本発明の生分解性釣糸は、以下に説明する方法により効率的に製造することができる。
まず、上記脂肪族ポリエステルを溶融紡糸するに際しては、押出紡糸機を用いる通常の条件を採用することができ、たとえば、ポリマー温度170〜240℃、押出圧力10〜500kg/cm、口金孔径0.1〜5mm、紡糸速度0.3〜100m/分などの条件を適宜選択することができる。
【0019】
紡出されたモノフィラメントは、短い気体ゾーンを通過した後、冷却浴中で冷却されるが、ここで冷却媒体としては脂肪族ポリエステルに不活性な液体、通常は水が用いられる。また、冷却温度は60℃以下である必要があり、それを越える温度で冷却されると次の延伸工程での延伸性が阻害される場合がある。
冷却固化されたモノフィラメントは、引続き1段目の延伸工程に送られるが、延伸および熱固定の雰囲気(浴)としては、たとえばポリエチレングリコール、グリセリンおよびシリコーンオイルなどの加熱した熱媒浴、乾熱気体浴、および温水浴などが用いられる。
【0020】
次いで延伸を行うに際しては、先ず1段目の延伸を2.5〜5.0倍の倍率に設定し、その後全延伸倍率が6.0倍以上となる延伸倍率で2段目または2〜3段目の多段延伸を行うことが重要である。
ここで、1段目の延伸倍率が2.5倍未満では、延伸時の糸切れが頻発して良好なモノフィラメントが得られなくなり、また5.0倍を越えると、表層の配向度が53×10−3以下とならず、得られる釣糸の生分解速度が遅くなるため好ましくない。
【0021】
また、全延伸倍率が6.0倍未満では、得られる釣糸の引張強度および結節強度が低くなるため好ましくない。
多段延伸後には、必要に応じて延伸歪みを除去することなどを目的として、適宜な定長、弛緩熱処理を行うこともできる。
ただし、上記の製造方法は、引張強度が5.0g/d以上、結節強度が4.0g/d以上、且つ表層の配向度が53×10−3以下、全体の配向度が55×10−3以上である脂肪族ポリエステルモノフィラメントを得るための一つの方法であり、これに限定されるものではない。
【0022】
たとえば、表層の配向度を低下させるための手段として、延伸後融点以上の高温度で短時間熱処理を行うといった方法も採用することができる。
このように、効率的な製造プロセスにより得られる脂肪族ポリエステルのモノフィラメントは、引張強度が5.0g/d以上、結節強度が4.0g/d以上、且つ表層の配向度(ベッケ法による複屈折率Δn)が53×10−3以下、全体の配向度(リターデーション法による複屈折率Δn)が55×10−3以上の特性を有しており、釣糸としての基本的な性能(高強度と耐熱性など)と、適度な生分解速度(コンポスト中埋設ほぼ1週間から4週間で形状消失)を兼備していることから、生分解性釣糸としてきわめて有用である。
【0023】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明に関わる釣糸の評価は以下の方法に準じて行った。
(1)引張強度および結節強度:JISL1013の規定に準じて測定した。
(2)表層の配向度(複屈折率Δn):ベッケ法で測定した。
【0024】
(3)全体の配向度(複屈折率Δn):リターデーション法で測定した。
(4)密度:密度勾配管法で測定した。
(5)生分解速度:コンポスト中埋設(ASTM−D−5338−92に準ずる)ほぼ4日から4週間で形状消失するものを「良好」、4週間経っても形状消失しないものを「遅い」と評価した。
【0025】
実施例1
コハク酸/アジピン酸(80/20モル%)および1.4ブタンジオールとのランダムコポリマー (MI:1.0g/10分、融点:95℃…ポリマーA1)をエクストルーダー型紡糸機で230℃で溶融し、孔径1.5mmの口金を通して紡糸し、さらに20℃の水浴中で冷却した。
【0026】
次に、この未延伸糸を70℃の温水1段目延伸浴中で4.5倍(E1)に延伸し、引続いて85℃の2段目乾熱浴中で2.22倍(E2)に延伸し、全延伸倍率(E1×E2)が10.0倍の脂肪族ポリエステルモノフィラメントを得た。続いて、80℃の乾熱浴中に処理倍率0.9倍で通過させ熱処理を施すことにより、直径0.22mmのモノフィラメントを得た。
【0027】
実施例2
コハク酸/アジピン酸(80/20モル%)および1.4ブタンジオールとのランダムコポリマー (MI:0.5g/10分、融点:95℃…ポリマーA2)と、融点が114℃のポリブチレンサクシネート(ポリマーB)との50/50(重量部)のブレンドポリマー(混合組成物の溶融時MI:0.5)を、実施例1と同様に溶融紡糸、冷却し未延伸糸を得た。
【0028】
次に、この未延伸糸を80℃の温水1段目延伸浴中で3.7倍(E1)に延伸し、引続いて95℃の2段目乾熱浴中で2.16倍(E2)に延伸し、全延伸倍率(E1×E2)が8.0倍の脂肪族ポリエステルモノフィラメントを得た。
続いて、80℃の乾熱浴中に処理倍率0.9倍で通過させ熱処理を施すことにより、直径0.22mmのモノフィラメントを得た。
【0029】
実施例3
実施例2で用いたポリマーA2と、融点が104℃のポリエチレンサクシネート(ポリマーC)の50/50(重量部)のブレントポリマー(混合組成物の溶融時MI:0.5)を実施例1と同様に溶融紡糸、冷却し未延伸糸を得た。
次に、この未延伸糸を75℃の温水1段目延伸浴中で4.3倍(E1)に延伸し、引続いて90℃の2段目乾熱浴中で2.09倍(E2)に延伸し、全延伸倍率(E1×E2)が9.0倍の脂肪族ポリエステルモノフィラメントを得た。
【0030】
続いて、80℃の乾熱浴中に処理倍率0.9倍で通過させ熱処理を施すことにより、直径0.22mmのモノフィラメントを得た。
実施例4
実施例2〜3で用いたポリマーA2/ポリマーB/ポリマーCの50/25/25(重量部)のブレントポリマー(混合組成物の溶融時MI:0.7)を実施例1と同様に溶融紡糸、冷却し未延伸糸を得た。
【0031】
次に、この未延伸糸を80℃の温水1段目延伸浴中で4.0倍(E1)に延伸し、引続いて90℃の乾熱浴中で2.13倍(E2)に延伸し、全延伸倍率(E1×E2)が8.5倍の脂肪族ポリエステルモノフィラメントを得た。
続いて、80℃の乾熱浴中に処理倍率0.9倍で通過させ熱処理を施すことにより、直径0.22mmのモノフィラメントを得た。
【0032】
比較例1
コハク酸/アジピン酸(80/20モル%)および1.4ブタンジオールからなるランダムコポリマー(MI:13g/10分、融点:95℃…ポリマーA3)を用いた以外は、実施例1と同一の製法で直径0.22mmのモノフィラメントを得た。
【0033】
比較例2
1段目延伸倍率を5.3倍(E1)、2段目延伸倍率が1.89倍(E2)とした以外は、実施例1と同一の製法で直径0.22mmのモノフィラメントを得た。
比較例3
1段目延伸倍率を2.3倍(E1)、2段目延伸倍率が4.35倍(E2)とした以外は、実施例1と同一の製法で直径0.22mmのモノフィラメントを得ようとしたが、延伸時の糸切れが著しく、製糸不能であった。
【0034】
比較例4
1段目延伸倍率を6.0倍(E1)、2段目延伸倍率を1.33倍(E2)とした以外は、実施例2と同一な製法で、直径0.22mmのモノフィラメントを得た。
比較例5
1段目延伸倍率を5.7倍(E1)、2段目延伸倍率が1.58倍(E2)とした以外は、実施例3と同一な製法で、直径0.22mmのモノフィラメントを得た。
【0035】
比較例6
実施例1のポリマーA1と、実施例2で用いたポリマーBの10/90(重量部)のブレントポリマー(混合組成物の溶融時MI:1.0)を実施例1と同様に溶融紡糸、冷却し未延伸糸を得た。
次に、この未延伸糸を85℃の温水1段目延伸浴中で3.7倍(E1)に延伸し、引続いて100℃の乾熱2段目延伸浴中で1.49倍(E2)に延伸し、全延伸倍率(E1×E2)が5.5倍の脂肪族ポリエステルモノフィラメントを得た。
【0036】
続いて、80℃の乾熱浴中に処理倍率0.9倍で通過させ熱処理を施すことにより、直径0.22mmのモノフィラメントを得た。
得られた各モノフィラメントについて、釣糸としての上記各物性を評価した結果を表1に併せて示す。
【0037】
【表1】
Figure 0003615841
【0038】
表1の結果から明らかなように、MIが10g/10分以下、融点が70〜180℃である脂肪族ポリエステルを主成分として構成され、引張強度が5.0g/d以上、結節強度が4.0g/d以上、且つ表層の配向度(ベッケ法による複屈折率Δn)が53×10−3以下、全体の配向度(リターデーション法による複屈折率Δn)が55×10−3以上である本発明の釣糸(実施例1〜4)は、釣糸としての基本的な性能と適度な生分解速度を兼ね備えたものであり、生分解性釣糸としての要求性能を満たすものである。
【0039】
一方、MIが10g/10分を越える脂肪族ポリエステルを用い、全体の配向度が55.0×10−3未満である釣糸(比較例1)は、生分解速度は良好であるが、引張強度、結節強度が満足しない。
また、1段目延伸が5.0倍を越える倍率で延伸し、表層の配向度が53.0×10−3を越える釣糸(比較例2、4、5)は、引張強度は満足するが、結節強度、生分解速度は満足しない。
【0040】
さらに、全延伸が6.0倍未満で、全体の配向度が55.0×10−3未満の釣糸(比較例6)は、生分解速度は良好であるが、引張強度、結節強度を満足しない。
なお、1段目延伸を2.5倍未満の倍率で延伸した場合(比較例3)は、全延糸切れのため伸倍率が高倍率になる条件を採用できなかった。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の脂肪族ポリエステルを主成分とするモノフィラメントから形成される釣糸は、釣糸としての基本的な性能と適度な生分解速度を兼ね備えていることから、環境、自然保護の両面から改善が強く望まれている生分解性釣糸としての要求性能を十分に満たすものである。
【0042】
また、本発明の生分解性釣糸の製造方法は、通常の紡糸延伸法をそのまま適用できてきわめて効率的である。

Claims (3)

  1. 190℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトインデックスが10g/10分以下、融点が70〜180℃である脂肪族ポリエステルを主成分として構成されたモノフィラメントからなり、引張強度が5.0g/d以上、結節強度が4.0g/d以上、且つ表層の配向度(ベッケ法による複屈折率Δn)が53×10−3以下、全体の配向度(リターデーション法による複屈折率Δn)が55×10−3以上であることを特徴とする生分解性釣糸。
  2. 脂肪族ポリエステルが、コハク酸、アジピン酸および1.4ブタンジオールからなるランダムコポリマー、またはこのランダムコポリマーとポリブチレンサクシネートまたは/およびポリエチレンサクシネートとのブレンドポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の生分解性釣糸。
  3. 190℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトインデックスが10g/10分以下、融点が70〜180℃である脂肪族ポリエステルを主成分とするポリマーを溶融紡糸し、60℃以下の不活性液体中で冷却固化した後、引き続いて2.5〜5.0倍の倍率で1段目延伸を行い、次いで全延伸倍率が6.0倍以上となる延伸倍率で多段延伸することを特徴とする引張強度が5.0g/d以上、結節強度が4.0g/d以上、且つ表層の配向度(ベッケ法による複屈折率Δn)が53×10−3以下、全体の配向度(リターデーション法による複屈折率Δn)が55×10−3以上であるモノフィラメントからなる生分解性釣糸の製造方法。
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