JP2001226824A - 高強度ポリエステルアミド繊維及びその製造方法 - Google Patents

高強度ポリエステルアミド繊維及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 直線引張強度が顕著に高く、適度の伸度を有
し、生分解性を示す高強度ポリエステルアミド繊維とそ
の製造方法を提供すること。 【解決手段】 ポリエステルアミド共重合体からなる繊
維であって、該繊維の動的粘弾性測定における主分散ピ
ーク温度が、該ポリエステルアミド共重合体からなる無
配向物の主分散ピーク温度より10℃以上高いことを特
徴とする高強度ポリエステルアミド繊維。ポリエステル
アミド共重合体を溶融紡出し、得られた未延伸糸を延伸
するポリエステルアミド繊維の製造方法において、ポリ
エステルアミド共重合体を溶融紡出し、直ちに温度20
℃以下の不活性冷却媒体中で冷却固化して非晶性の未延
伸糸を得る工程、該未延伸糸の結晶化度を10〜30重
量%に高める工程、及び結晶化度10〜30重量%の未
延伸糸を全延伸倍率が4.5倍以上となるように1段ま
たは多段延伸する工程からなる一連の工程を含む高強度
ポリエステルアミド繊維の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度ポリエステ
ルアミド繊維に関し、さらに詳しくは、直線引張強度が
高く、適度の伸度を有し、生分解性を示す高強度ポリエ
ステルアミド繊維とその製造方法に関する。本発明の高
強度ポリエステルアミド繊維は、釣り糸や漁網、農業用
ネットなどの産業資材としての用途に好適である。
【0002】
【従来の技術】近年、生分解性や光分解性などの分解性
を有する地球環境に優しい繊維の開発が強く望まれてい
る。一般に、釣り糸、漁網、農業用ネットなどは、加工
性、強度、耐久性、耐熱性などに優れたポリアミドモノ
フィラメントなどの合成繊維から形成されている。この
ような従来の合成繊維は、自然環境下で分解性をもたな
いため、例えば、釣り糸や漁網が流出したり、放置され
たりすると、深刻な海洋汚染等の公害問題を引き起こ
す。
【0003】天然繊維の多くは、生分解性を有するが、
釣り糸、漁網、農業用ネットなどの産業用資材に要求さ
れる高強度などの高い性能を出すことができない。ま
た、天然繊維は、大量生産に必要な加工性に欠ける。こ
れに対して、ある種の脂肪族ポリエステルは、海洋や河
川に分布する付着性細菌によって微生物分解を受けるこ
とが知られており、しかも従来の合成樹脂用に開発され
てきた紡糸技術や設備を利用して繊維に加工することが
できるため、生分解性繊維への応用が検討されている。
【0004】例えば、特開平2−203729号公報に
は、自然環境中で徐々に分解される性質を有する脂肪族
ポリエステルから形成された釣り糸が提案されている。
しかし、該公報には、紡糸技術に関する具体的な記載が
なく、実施例も示されていない。しかも、該公報には、
脂肪族ポリエステルから形成された釣り糸は、空気中の
水分によって加水分解を受ける場合があり、また、使用
後は徐々に強度が低下するので、使い捨てにすべきであ
ると記載されている。
【0005】特開平5−59611号公報には、ポリカ
プロラクトンからなるモノフィラメントが提案されてい
る。該公報の実施例には、ポリカプロラクトン(融点=
60℃)を210℃で溶融紡出し、15℃の水溶液中で
冷却した後、直ちに45℃の温水中で延伸倍率5倍超過
7倍未満で第1段目の延伸を行い、次いで、100℃の
オーブン中で全延伸倍率が8倍以上となるように第2段
目の延伸を行い、さらに、弛緩熱処理することにより、
高強度ポリカプロラクトンモノフィラメントを得たこと
が記載されている。しかし、このポリカプロラクトンモ
ノフィラメントは、耐熱性が不十分であり、かつ、高温
条件下で強度が著しく低下する。
【0006】このように、脂肪族ポリエステルからなる
繊維は、生分解性を有するものの、機械的強度が不十分
であったり、耐熱性に劣るなどの欠点を有している。一
方、ポリアミド繊維は、機械的強度、耐熱性、加工性な
どに優れるが、生分解性を有していない。そこで、脂肪
族ポリエステルの物性を改善すると共に、ポリアミドに
生分解性を付与するために、ポリエステルアミド共重合
体が開発されており、その生分解性繊維としての応用も
検討されている。
【0007】例えば、特開昭54−120727号公報
には、高分子量の脂肪族ポリエステルと脂肪族ポリアミ
ドを、不活性ガス中において、無水酢酸亜鉛などの触媒
の存在下、それらの融点以上の温度に加熱することによ
り、エステル−アミド交換反応を行わせて、低分子量ポ
リエステルブロックと低分子量ポリアミドブロックとが
多数交互に結合したポリエステルアミド共重合体を製造
し、これを溶融紡糸して生分解性繊維とすることが開示
されている。しかし、該公報には、該ポリエステルアミ
ド共重合体を用いて紡糸し、繊維とした具体例が示され
ていない。
【0008】特開平7−173716号公報には、ポリ
アミド単位とポリラクトン単位とからなるポリラクトン
アミド共重合体からなるモノフィラメントとその製造方
法が開示されている。該公報には、ポリラクトンアミド
共重合体を溶融紡出し、60℃以下(好ましくは26〜
60℃)の不活性液体中で冷却固化し、4倍超過7倍未
満の延伸倍率で1段目延伸を行い、その後、全延伸倍率
が7倍以上となる延伸倍率で延伸するモノフィラメント
の製造方法が記載されている。具体的に、該公報の実施
例には、ポリラクトンアミド共重合体を200℃で溶融
紡出し、35℃の温水中で冷却した後、直ちに80℃の
温水浴中で延伸倍率4.5倍で1段目の延伸を行い、9
0℃の温水中でリラックス熱処理を行った後、120℃
の乾熱浴中で全延伸倍率が9.0倍となるように2段目
の延伸を行い、さらに、100℃の乾熱浴中で弛緩熱処
理を行って、高強度のモノフィラメントを製造したこと
が示されている。
【0009】ところで、ナイロンなどのポリアミドから
モノフィラメントの如き繊維を製造するには、ポリアミ
ドを溶融紡出し、急冷して未延伸糸とし、この未延伸糸
を速やかに延伸させている。これは、急冷することによ
り未延伸糸の結晶化を抑制して、延伸時に分子鎖を無理
なく配向させるためである。延伸時に引き延ばされた分
子鎖は、配向結晶化を生じ、結晶部と非晶部ともに配向
が固定され、優れた機械的強度を発現する。
【0010】しかしながら、ポリエステルアミド共重合
体に、このような紡糸・延伸法を適用すると、機械的強
度が十分に改善された繊維を得ることが困難である。す
なわち、ポリエステルアミド共重合体のポリアミドセグ
メントは、該共重合体の生分解性を損なわないようにす
るため連鎖長が短くなるように設計されている。このた
め、ポリエステルアミド共重合体は、結晶性が低く、配
向結晶化もポリアミド単独重合体に比べて生じ難かった
り、あるいは結晶化速度が遅い。したがって、急冷によ
り得られた非晶性の未延伸糸を延伸したのでは、非晶部
の配向を十分に固定することができず、機械的強度が十
分に向上しない。
【0011】また、生分解性と機械的強度を両立させる
ために、ポリアミドセグメントの連鎖長を短く設計した
ポリエステルアミド共重合体を非晶性の未延伸糸とし、
引き続き、該未延伸糸を50℃を越えるような比較的高
温条件下で延伸しようとすると、溶断が起こりやすく、
満足に延伸することが困難である。
【0012】未延伸糸の冷却温度などの冷却固化条件を
調整して、その一部を結晶化させる方法では、十分な結
晶化度を得ることができなかったり、結晶化度の精密な
制御が困難である。また、生分解性と機械的強度を両立
させるために、ポリアミドセグメントの連鎖長を短く設
計したポリエステルアミド共重合体を溶融紡出し、比較
的高温に調整した冷却媒体中で冷却固化と結晶化とを行
わせようとしても、紡出糸が未だ溶融状態に近いため、
冷却媒体の抵抗やロールの抵抗などにより、伸びたり蛇
行したりして変形してしまう。溶融紡出した糸を一定時
間空気中に滞在させて結晶化させようとしても、糸径が
比較的大きなモノフィラメントの場合、冷却効率が極め
て悪く、非現実的である。しかも、溶融状態に近い糸が
滞空中に変形して糸径が均一にならない。
【0013】このように、脂肪族ポリエステルとポリア
ミドとを共重合したポリエステルアミド共重合体は、脂
肪族ポリエステルの生分解性とポリアミドの強靱性を併
せもつ樹脂として期待されているが、従来の製造方法で
は、生分解性と機械的強度のバランスに優れ、十分に高
強度のポリエステルアミド繊維を製造することは困難で
あった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、直線
引張強度が顕著に高く、適度の伸度を有し、生分解性を
示す高強度ポリエステルアミド繊維とその製造方法を提
供することにある。
【0015】本発明者らは、前記目的を達成するために
鋭意研究した結果、ポリエステルアミド繊維の動的粘弾
性測定における主分散ピーク温度を調整することによ
り、直線引張強度を顕著に改善できることを見いだし
た。本発明の高強度ポリエステルアミド繊維は、ポリエ
ステルアミド共重合体を溶融紡出し、直ちに20℃以
下、好ましくは15℃以下、より好ましくは10℃以下
の不活性冷却媒体中で冷却固化して実質的に非晶性の未
延伸糸を得、この未延伸糸の結晶化度を10〜30重量
%に高めた後、全延伸倍率が4.5倍以上、好ましくは
5倍以上になるように1段または多段延伸することによ
り製造することができる。未延伸糸の結晶化度を10〜
30重量%に高めるには、該未延伸糸を例えば室温で2
4時間放置するなどして十分に結晶化を進行させる方法
がある。
【0016】延伸工程において、結晶化度10〜30重
量%の未延伸糸を温度20〜120℃で全延伸倍率が
4.5倍以上となるように1段または多段延伸し、その
際、好ましくは50〜120℃、より好ましくは70〜
110℃で延伸倍率1.3倍以上に延伸する少なくとも
1つの延伸段階を配置することにより、特に良好な結果
を得ることができる。また、実質的に非晶性の未延伸糸
を延伸して延伸糸とし、該延伸糸の結晶化度を10〜3
0重量%に高めた後、1段または多段延伸する方法によ
っても、高強度ポリエステルアミド繊維を得ることがで
きる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至
ったものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、ポリエ
ステルアミド共重合体からなる繊維であって、該繊維の
動的粘弾性測定における主分散ピーク温度が、該ポリエ
ステルアミド共重合体からなる無配向物の主分散ピーク
温度より10℃以上高いことを特徴とする高強度ポリエ
ステルアミド繊維が提供される。
【0018】また、本発明によれば、ポリエステルアミ
ド共重合体を溶融紡出し、得られた未延伸糸を延伸する
ポリエステルアミド繊維の製造方法において、(1)ポ
リエステルアミド共重合体を溶融紡出し、直ちに温度2
0℃以下の不活性冷却媒体中で冷却固化して非晶性の未
延伸糸を得る工程、(2)該未延伸糸の結晶化度を10
〜30重量%に高める工程、及び(3)結晶化度10〜
30重量%の未延伸糸を全延伸倍率が4.5倍以上とな
るように1段または多段延伸する工程からなる一連の工
程を含むことを特徴とする高強度ポリエステルアミド繊
維の製造方法が提供される。
【0019】さらに、本発明によれば、ポリエステルア
ミド共重合体を溶融紡出し、得られた未延伸糸を延伸す
るポリエステルアミド繊維の製造方法において、 ポリエステルアミド共重合体を溶融紡出し、直ちに温
度20℃以下の不活性冷却媒体中で冷却固化して非晶性
の未延伸糸を得る工程、 該未延伸糸を温度−10℃〜50℃で延伸倍率1.3
倍以上に延伸して延伸糸とする工程、 該延伸糸の結晶化度を10〜30重量%に高める工
程、及び 結晶化度10〜30重量%の延伸糸を全延伸倍率が
4.5倍以上となるようにさらに1段または多段延伸す
る工程からなる一連の工程を含むことを特徴とする高強
度ポリエステルアミド繊維の製造方法が提供される。
【0020】
【発明の実施の形態】1.ポリエステルアミド共重合体 本発明で使用するポリエステルアミド共重合体は、分子
鎖中にポリアミド単位とポリエステル単位とを有するポ
リマーである。各単位の割合は、ポリアミド単位が好ま
しくは5〜80モル%、より好ましくは20〜70モル
%、特に好ましくは30〜60モル%であり、これらに
対応して、ポリエステル単位が好ましくは20〜95モ
ル%、より好ましくは30〜80モル%、特に好ましく
は40〜70モル%である。ポリアミド単位の割合が小
さすぎると、機械的強度に劣り、過大であると、生分解
性が損なわれる。
【0021】ポリアミド単位としては、公知の各種ポリ
アミドが用いられる。融点が過度に高いポリアミドを用
いると、溶融成形の際にポリエステルセグメントの熱分
解を生じる恐れがあるため、ポリアミド6(ナイロン
6)、ポリアミド66(ナイロン66)、あるいはこれ
らの共重合体が好ましい。ポリエステル単位としては、
生分解性の観点から、脂肪族ポリエステルが好ましく用
いられるが、生分解性を示す限り、ポリシクロヘキシレ
ンジメチルアジペートなどの脂環族ポリエステルや芳香
族ポリエステルなどを、単独であるいは脂肪族ポリエス
テルと併用してもよい。脂肪族ポリエステルとしては、
ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート、ポ
リラクトンなどが好ましい。
【0022】ポリエステルアミド共重合体の合成方法
は、特に限定されず、例えば、(1) 脂肪族ポリエステル
にポリアミドをアミド−エステル交換反応により多数交
互に導入してポリエステル−アミド共重合体とする方法
(特開昭54−120727号公報)、(2) ポリアミド
形成性化合物(例えば、ε−カプロラクタムなど)と、
ジカルボン酸及びポリエステルジオール(例えば、ポリ
ラクトンジオール)とを反応させる方法(特開平7−1
73716号公報)、(3) ポリアミド形成性化合物(例
えば、ε−カプロラクタムなど)とポリエステル形成性
化合物(二塩基酸とジオール;ラクトンなど)とを反応
させる方法などが挙げられる。
【0023】前記(1) の方法において、ポリエステルと
しては、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペー
ト、ポリブチレンアジペートなどが挙げられ、ポリアミ
ドとしては、ナイロン6、ナイロン、66、ナイロン6
9、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、
ナイロン12などが挙げられる。
【0024】ポリアミド形成性化合物としては、例え
ば、ω−アミノ酪酸、ω−アミノバレリアン酸、ω−ア
ミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカ
プリル酸、ω−アミノベラルゴン酸、ω−アミノウンデ
カン酸、ω−アミノドデカン酸などの炭素数4〜12の
アミノカルボン酸;γ−ブチロラクタム、ε−カプロラ
クタム、エナントラクタム、カプリロラクタム、ラウロ
ラクタムなどの炭素数4〜12のラクタム;などが挙げ
られる。また、ポリアミド形成性化合物として、ジカル
ボン酸とジアミンとからなるナイロン塩を挙げることが
でき、該ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン
酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸などの炭素数4〜
12の脂肪族ジカルボン酸;水添テレフタル酸、水添イ
ソフタル酸などの脂環族ジカルボン酸;テレフタル酸、
イソフタル酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸;な
どが挙げられ、また、該ジアミンとしては、テトラメチ
レンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレ
ンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレン
アジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジア
ミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジア
ミンなどの炭素数4〜12の脂肪族ジアミン;シクロヘ
キサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミンなどの
脂環族ジアミン;キシレンジアミンなどの芳香族ジアミ
ン;などが挙げられる。
【0025】前記(2) の方法において、ジカルボン酸と
しては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン
酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン
ジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸;水添テレフタル
酸、水添イソフタル酸などの脂環族ジカルボン酸;テレ
フタル酸、イソフタル酸、フタル酸などの芳香族ジカル
ボン酸;などが挙げられる。
【0026】前記(2) の方法において、ポリエステルジ
オールとしては、平均分子量500〜4000のポリラ
クトンジオールを挙げることができ、グリコール化合物
を反応開始剤として用いて、炭素数3〜12のラクトン
から合成される。ラクトンとしては、β−プロピオラク
トン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−
カプロラクトン、エナントラクトン、カプリロラクト
ン、ラウロラクトンなどを挙げることができる。
【0027】前記(3) の方法において、二塩基酸として
は、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン
酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸などが挙げられ、
ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロ
パンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペン
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ブ
タンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル
−1,4−ブタンジオール、3−メチル−2,4−ペン
タンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオー
ル、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオー
ル、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオールなどが
挙げられる。
【0028】前記(3) の方法において、ラクトンとして
は、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、δ−
バレロラクトン、ε−カプロラクトン、エナントラクト
ン、カプリロラクトン、ラウロラクトンなどが挙げられ
る。その他、グリコール酸、グリコリド、乳酸、β−ヒ
ドロキシ酪酸、β−ヒドロキシ吉草酸などもポリエステ
ル形成性化合物として挙げることができる。
【0029】ポリエステルアミド共重合体としては、機
械的強度と生分解性とのバランスの観点から、ナイロン
6/ポリブチレンアジペート、ナイロン66/ポリブチ
レンアジペート、ナイロン6/ポリエチレンアジペー
ト、ナイロン66/ポリエチレンアジペート、ナイロン
6/ポリカプロラクトン、ナイロン66/ポリカプロラ
クトンなどが好ましい。
【0030】ポリエステルアミド共重合体の融点(T
m)は、好ましくは90℃以上、より好ましくは100
℃以上であり、多くの場合、90〜180℃程度であ
る。ポリエステルアミド共重合体の融点(Tm)は、示
差走査熱量計を用いて、10℃/分の昇温速度で測定し
た際の結晶融解ピーク温度であり、複数の融解ピークが
現れる場合には、最も発熱量の大きいピーク温度を意味
する。この融点が低すぎると、ポリエステルアミド繊維
の耐熱性が十分ではなく、高温環境下での強度の低下
や、使用時の摩擦熱による溶断などの問題が生じやすく
なる。一方、この融点が高すぎると、溶融紡糸温度が高
くなり、ポリエステルセグメントが分解しやすくなる。
【0031】ポリエステルアミド共重合体の相対粘度
は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.3以上
であり、多くの場合、1.0〜3.0である。ポリエス
テルアミド共重合体の相対粘度は、ヘキサフルオロイソ
プロパノール(HFIP)を溶媒として、濃度0.4g
/dl(溶媒100mlに対してポリマー0.4gの割
合で溶解)のポリマー溶液を、温度10℃の雰囲気中
で、ウベローデ粘度計を用いて測定した値である。相対
粘度が低すぎると、重合度(または分子量)が低すぎ
て、機械的強度に優れた繊維を得ることが難しくなり、
高すぎると、繊維の直径斑や強度斑が生じやすくなり、
均一な物性の繊維を得ることが困難になる。
【0032】2.ポリエステルアミド繊維の製造方法 本発明においては、ポリエステルアミド共重合体を用い
て、次の製造工程によりポリエステルアミド繊維を製造
する。ポリエステルアミド繊維は、通常、モノフィラメ
ントであるが、所望により、マルチフィラメントとして
もよい。すなわち、本発明のポリエステルアミド繊維の
製造方法は、ポリエステルアミド共重合体を溶融紡出
し、得られた未延伸糸を延伸するポリエステルアミド繊
維の製造方法であるが、これを下記の一連の工程により
行う。
【0033】(1)ポリエステルアミド共重合体を溶融
紡出し、直ちに温度20℃以下の不活性冷却媒体中で冷
却固化して非晶性の未延伸糸を得る工程、(2)該未延
伸糸の結晶化度を10〜30重量%に高める工程、及び
(3)結晶化度10〜30重量%の未延伸糸を全延伸倍
率が4.5倍以上となるように1段または多段延伸する
工程。
【0034】前記工程(1)においては、ポリエステル
アミド共重合体を溶融紡出し、直ちに20℃以下、好ま
しくは15℃以下、より好ましくは10℃以下の不活性
冷却媒体中で冷却固化して実質的に非晶性の未延伸糸を
得る。溶融紡出する際の紡糸温度は、通常、100〜2
00℃程度であり、紡糸引取速度は、モノフィラメント
の場合は、通常、1〜50m/分程度であり、マルチフ
ィラメントの場合は、通常、20〜1,000m/分で
ある。
【0035】冷却媒体の温度が高すぎると、未延伸糸に
部分的な結晶化が生じることがあるが、結晶化度を均一
かつ精密に制御することが困難となり、ひいては、十分
な機械的強度を有するポリエステルアミド繊維を得るこ
とが難しくなる。また、冷却媒体の温度が高すぎると、
未延伸糸が変形して、均一な繊維を成形することが困難
になる。冷却媒体の下限温度は、冷却媒体の種類にもよ
るが、0℃程度が好ましい。冷却媒体としては、例え
ば、水、グリセリン、エチレングリコールなどのポリエ
ステルアミド共重合体に不活性な液体化合物とそれらの
混合物が挙げられる。これらの中でも、水が好ましい。
この工程(1)では、結晶化度が好ましくは5%以下、
より好ましくは3%以下、多くの場合0%の実質的に非
晶性の未延伸糸を得る。
【0036】前記工程(2)において、実質的に非晶性
の未延伸糸の結晶化度を10〜30重量%、好ましくは
12〜28重量%の範囲に高める。未延伸糸の結晶化度
を高めるには、工程(1)で得られた未延伸糸を10〜
80℃の雰囲気中に10分間から72時間置く方法が挙
げられる。一般に、雰囲気温度が低いほど処理時間を長
くし、高いほど処理時間を短くすることにより、結晶化
度を所望の範囲に調整することが好ましい。この結晶化
処理を行うには、工程(1)で得られた実質的に非晶性
の未延伸糸を例えばロールに巻き取り、巻き取った状態
で、所定の温度条件に調整した雰囲気中に所定の時間静
置する方法が好ましい。未延伸糸の結晶化度を精密に制
御するには、巻き取った未延伸糸を、10〜35℃の範
囲内の所定温度に調整した雰囲気中に、通常、5〜72
時間、好ましくは10〜30時間程度、静置する方法が
望ましい。
【0037】このような方法を採用することにより、一
般に結晶性が低く、結晶化速度が遅いポリエステルアミ
ド共重合体からなる未延伸糸の結晶化度が所望の範囲と
なるように厳密に制御することができる。未延伸糸の結
晶化度が低すぎると、延伸の際に非晶部の配向を十分に
固定することができず、強度に優れた繊維を得ることが
困難になる。一方、未延伸糸の結晶化度が高すぎると、
延伸の際にボイドが発生して強度が低下したり、場合に
よっては、延伸途中で切断することもある。
【0038】前記工程(3)において、結晶化度10〜
30重量%の未延伸糸を全延伸倍率が4.5倍以上とな
るように1段または多段延伸を行う。以下、この工程を
結晶延伸工程と呼ぶことがある。延伸温度は、好ましく
は20〜120℃であり、その上限は、使用するポリエ
ステルアミド共重合体の融点(Tm)を越えないように
調整する。延伸温度の調整は、所定温度に調整した乾熱
気体や液体熱媒を用いて行う。
【0039】本発明では、延伸を1段または2段以上の
多段で行うが、その際、延伸温度を好ましくは50〜1
20℃、より好ましくは70〜110℃に調整し、当該
延伸温度で1.3倍以上の延伸倍率で延伸する延伸段階
を配置することが、高強度の繊維を得る上で特に望まし
い。この温度での延伸は、乾熱気体中で行うことが好ま
しい。この延伸段階を配置することにより、延伸繊維の
結晶化度を適度の範囲に高め、同時に、結晶部と非晶部
の配向(結晶配向度)を十分に高めることができ、その
結果、機械的強度に優れた繊維を得ることができる。
【0040】この延伸段階での延伸は、1段延伸の場
合、例えば、延伸温度70〜110℃で延伸倍率5〜7
倍に1段延伸する方法により行うことができる。多段延
伸の場合には、前記の温度範囲で1.3倍以上の延伸倍
率での延伸段階が配置されておれば、他の延伸は、例え
ば、25℃などの50℃未満の温度で行ってもよい。こ
の延伸段階での延伸は、1段または多段で行うことがで
き、延伸倍率は、1.3倍以上、12倍以下とすること
が好ましい。
【0041】全延伸倍率は、4.5倍以上、好ましくは
5倍以上であり、その上限は、15倍程度である。全延
伸倍率が低すぎると、十分な機械的強度を得ることがで
きない。延伸工程後、定長または弛緩状態で、融点(T
m)以下の温度で熱処理をしてもよい。
【0042】また、本発明では、以下の工程により、生
分解性と機械的強度のバランスに優れた高強度ポリエス
テルアミド繊維を製造することができる。 ポリエステルアミド共重合体を溶融紡出し、直ちに温
度20℃以下の不活性冷却媒体中で冷却固化して非晶性
の未延伸糸を得る工程、 該未延伸糸を温度−10℃〜50℃で延伸倍率1.3
倍以上に延伸して延伸糸とする工程、 該延伸糸の結晶化度を10〜30重量%に高める工
程、及び 結晶化度10〜30重量%の延伸糸を全延伸倍率が
4.5倍以上となるようにさらに1段または多段延伸す
る工程。
【0043】前記工程において、溶融紡出する際の紡
糸温度は、通常、100〜200℃程度であり、紡糸引
取速度は、通常、1〜50m/分程度であり、冷却媒体
の温度は、好ましくは15℃以下、より好ましくは10
℃以下である。前記工程において、延伸温度は、好ま
しくは0〜40℃、より好ましくは10〜35℃であ
り、延伸倍率は、好ましくは2倍以上、より好ましくは
3倍以上であり、多くの場合、4〜10倍程度で良好な
結果を得ることができる。この工程において、延伸倍
率を高める場合は、10〜35℃程度の延伸温度で、2
〜5回程度の多段延伸を行うことが望ましい。
【0044】前記工程は、実質的に非晶性の未延伸糸
を延伸する非晶延伸工程である。工程で得られた延伸
糸は、その結晶化度を10〜30重量%、好ましくは1
2〜28重量%の範囲に高める。延伸糸の結晶化度を高
めるには、該延伸糸を10〜80℃の雰囲気中に10分
間から72時間置く方法が挙げられる。この結晶化処理
を行うには、工程で得られた延伸糸を例えばロールに
巻き取り、巻き取った状態で、所定の温度条件に調整し
た雰囲気中に所定の時間静置する方法が好ましい。延伸
糸の結晶化度を精密に制御するには、巻き取った延伸糸
を、10〜35℃の範囲内の所定温度に調整した雰囲気
中に、通常、5〜72時間、好ましくは10〜30時間
程度、静置する方法が望ましい。
【0045】非晶状態で延伸糸とした後、該延伸糸の結
晶化度を10〜30重量%の範囲に高め、次いで、延伸
工程を配置することにより、機械的強度を十分に高め
ることができる。工程において、結晶化度10〜30
重量%の延伸糸を全延伸倍率が4.5倍以上となるよう
に1段または多段延伸を行う。延伸温度は、好ましくは
20〜120℃であり、延伸温度の調整は、所定温度に
調整した乾熱気体や液体熱媒を用いて行う。延伸工程
では、延伸温度を好ましくは50〜120℃、より好ま
しくは70〜110℃に調整し、該延伸温度で1.3倍
以上の延伸倍率で延伸する延伸段階を配置することが、
高強度の繊維を得る上で特に望ましい。その他の延伸条
件は、前述の方法の場合と同様である。
【0046】3.ポリエステルアミド繊維 本発明のポリエステルアミド繊維は、該繊維の動的粘弾
性測定における主分散ピーク温度が、該ポリエステルア
ミド共重合体からなる無配向物の主分散ピーク温度より
10℃以上高く、好ましくは12℃以上高い。延伸繊維
の主分散ピーク温度が無配向物に比べて10℃以上高い
ことは、非晶分子鎖が高度に緊張拘束されていることを
示している。つまり、延伸が効果的に行われ、その結
果、繊維の結晶部の分子鎖のみならず、非晶部の分子鎖
も高度に配向していることを示している。主分散ピーク
温度の温度差の上限は、17℃程度であり、多くの場合
15℃程度である。
【0047】本発明のポリエステルアミド繊維は、該繊
維の結晶化度(重量%)Aと小角X線散乱により測定さ
れる長周期(Å)Bとが、式(I) 5≦(A×B)/100≦30 ・・・・・・・・ (I) の関係を満足するものであることが好ましい。
【0048】結晶化度Aと小角X線散乱により測定され
る長周期Bとは、より好ましくは、式(II) 10≦(A×B)/100≦25 ・・・・・・・・ (II) の関係を満足し、特に好ましくは、式(III) 15≦(A×B)/100≦20 ・・・・・・・・ (III) の関係を満足する。
【0049】結晶化度Aと小角X線散乱により測定され
る長周期Bの積は、ポリアミドセグメントの結晶化によ
り生成する結晶の厚みに対応する。(A×B)/100
が5未満であるような繊維は、ポリアミドセグメントの
連鎖長が短いため、結晶性が低く、分子鎖に導入したポ
リアミド単位が機械的強度の向上に十分に寄与しない恐
れがある。一方、(A×B)/100が25超過である
ような繊維は、ポリアミドセグメントの連鎖長が長すぎ
るため、生分解性が損なわれる恐れがある。
【0050】本発明のポリエステルアミド繊維の結晶配
向度は、好ましくは90%以上、より好ましくは93%
以上である。結晶配向度の上限は、98%程度である。
繊維の結晶配向度が高いことによって、機械的強度に優
れている。このようなポリエステルアミド繊維は、前記
製造方法により得ることができ、優れた直線引張強度と
適度の伸度を有するものである。直線引張強度は、通
常、300MPa以上、好ましくは350MPa以上、
特に好ましくは40oMPa以上である。直線引張強度
は、多くの場合、350〜700MPa程度である。伸
度は、通常、10%以上、好ましくは15%以上であ
り、多くの場合、10〜50%程度である。
【0051】本発明のポリエステルアミド繊維は、生分
解性が良好であることが望ましい。本発明のポリエステ
ルアミド繊維は、土壌中に6ヶ月間埋めてから取り出す
と、繊維がその形状を失っているか、あるいは直線引張
強度が埋める前の値に比べて50%以下に低下している
ことから、微生物分解性が良好であると評価することが
できる。本発明のポリエステルアミド繊維の直径は、モ
ノフィラメントの場合は、通常、50〜4,000μm
程度であり、マルチフィラメントの場合は、通常1〜5
0μmである。本発明のポリエステルアミド繊維は、必
要に応じて、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、
可塑剤などの各種添加剤を含有させることができる。
【0052】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明に
ついてより具体的に説明する。物性等の測定法は、次の
とおりである。 (1)主分散ピーク温度 試料を23℃、50%RH(相対湿度)の雰囲気中で2
4時間放置した後、レオメトリックス社製の動的粘弾性
測定装置RSAを用いて、チャック間距離20mm、測
定周波数10Hzで、−100℃から2℃/分の昇温速
度で120℃まで昇温して、損失正接tanδの温度分
散曲線を測定した。この温度分散曲線が極大を示す温度
を主分散ピーク温度(℃)とした。
【0053】(2)結晶化度 パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC7を用い
て、試料約10mgを測定セルにセットし、窒素ガス雰
囲気中で、30℃から10℃/分の昇温速度で200℃
まで昇温してDSC曲線を測定した。このDSC曲線か
ら結晶の融解エンタルピーΔH(J/g)を求め、次式
から結晶化度(重量%)を算出した。 結晶化度=(ΔH/ΔH0 )×100 ここで、ΔH0 =190.88(J/g)
【0054】(3)小角X線散乱により測定される長周
期 繊維の延伸方向を揃えて、長さ20mm、幅4mmの短
冊状に整列させ、これをシアノアクリレート系接着剤で
固定して試料を作成した。この試料の繊維の延伸方向に
対して垂直方向にX線を入射した。X線発生装置として
理学電機社製のロータフレックスRU−200Bを用
い、40kV−200mAでNiフィルターを通したC
uKα線をX線源とした。イメージングプレート(富士
写真フィルム社製BAS−SR 127)を用いて、試
料−イメージングプレート間距離500mm、露出時間
24時間で露出し、理学電機社製のR−AXIS DS
3を用いて、子午線上の散乱角強度分布曲線を作成し
た。この散乱角強度分布曲線のピーク角度から長周期
(Å)を求めた。
【0055】(4)広角X線散乱により測定される配向
度 繊維の延伸方向を揃えて、長さ20mm、幅4mmの短
冊状に整列させ、これをシアノアクリレート系接着剤で
固定して試料を作成した。この試料の繊維の延伸方向に
対して垂直方向にX線を入射した。X線発生装置として
理学電機社製のロータフレックスRU−200Bを用
い、30kV−100mAでNiフィルターを通したC
uKα線をX線源とした。イメージングプレート(富士
写真フィルム社製BAS−SR 127)を用いて、試
料−イメージングプレート間距離60mm、露出時間2
0分間で露出し、理学電機社製R−AXIS DS3を
用いて、ポリアミド6α型結晶(200)面からの回折
の方位角(β角)強度分布曲線を作成した。このβ角強
度分布曲線から、理学電機株式会社発行のX線回折の手
引き改訂第三版(1985年6月30日発行)の第81
ページに記載の繊維試料の配向度の測定方法に従って、
赤道線上の2点(β角が90°及び270°)について
の半値幅Wi(度)の合計値ΣWi(度)から次式によ
り配向度(%)を求めた。 配向度=〔(360−ΣWi)/360〕×100
【0056】(5)直線引張強度 試料を23℃、50%RHの温湿度調節室内で24時間
放置した後、同室内で東洋ボールドウィン社製のテンシ
ロンUTM−3を用いて、初期試料長(チャック間距
離)300mm、クロスヘッド速度300mm/分で引
張試験を行い、破断応力(MPa)を求めて、その測定
値を直線引張強度(MPa)とした。 (6)生分解生(微生物分解性) 試料を土壌中に6ヶ月間埋めてから取り出し、試料の繊
維がその形状を失っているか、あるいは直線引張強度が
埋める前の値に比べて50%以下に低下している場合
を、微生物分解性が良好と評価した。
【0057】[実施例1]ポリエステルアミド共重合体
〔Bayer社製BAK1095:ナイロン6/ポリブ
チレンアジペート=50/50(モル%);融点(T
m)125℃、相対粘度1.47〕を30mmφの単軸
押出機に供給して、押出機先端温度140℃で溶融さ
せ、温度140℃に調節された直径1.5mmの紡糸ノ
ズルから押し出して、直ちに温度5℃に調節された水浴
中で冷却し、3m/分の引取速度で引き取って、直径7
40μmの未延伸糸を得た。この未延伸糸をロールに巻
き取り、室温(25℃)で一昼夜放置した。放置後の未
延伸糸の結晶化度は、14.7重量%であった。この結
晶化度を高めた未延伸糸を、温度80℃に調節された乾
熱バス内で延伸倍率5倍に延伸して、延伸繊維(モノフ
ィラメント:直径165μm)を得た。一方、この繊維
を140℃で5分間加熱プレスして、厚み250μmの
プレスシートに成形し、該ポリエステルアミド共重合体
の無配向物試料とした。この無配向物試料の主分散ピー
ク温度は、−11℃であった。
【0058】[実施例2〜3]実施例1において、未延
伸糸の延伸倍率を5倍から6倍(実施例2)または7倍
(実施例3)に変更したこと以外は、それぞれ実施例1
と同様にして延伸繊維を得た。
【0059】[実施例4]実施例1において、延伸工程
を2段階に分けて、1段目を45℃で4.5倍に延伸
し、次いで2段目を75℃で1.33倍に延伸し、全延
伸倍率を6倍としたこと以外は、実施例1と同様にして
延伸繊維を製造した。
【0060】[比較例1〜3]実施例1において、未延
伸糸の延伸倍率を5倍から2倍(比較例1)または3倍
(比較例2)または4倍(比較例3)に変更したこと以
外は、それぞれ実施例1と同様にして延伸繊維を得た。
【0061】[比較例4]ポリエステルアミド共重合体
(Bayer社製BAK1095)を30mmφ単軸押
出機に供給し、押出機先端温度140℃で溶融させて、
温度140℃に調節された直径1.5mmの紡糸ノズル
から押し出し、直ちに温度5℃に調節された水浴中で冷
却し、引取速度10m/分で引き取って、直径740μ
mの未延伸糸を得た。この未延伸糸を巻き取ることな
く、直ちに温度25℃に調節された乾熱バス内で、延伸
倍率3.5倍に延伸して、延伸繊維(モノフィラメン
ト:直径197μm)を得た。
【0062】[比較例5〜6]比較例4において、未延
伸糸の延伸倍率を3.5倍から4.5倍(比較例5)ま
たは5.5倍(比較例6)に変更したこと以外は、それ
ぞれ比較例4と同様にして延伸繊維を得た。
【0063】[比較例7]比較例4において、延伸工程
を3段階に分け、1段目を25℃で4.5倍に延伸し、
次いで2段目を25℃で1.44倍に延伸し、さらに続
いて3段目を25℃で1.15倍に延伸し、全延伸倍率
7.5倍に延伸したこと以外は、比較例4と同様にして
延伸繊維を製造した。
【0064】[実施例5]比較例7で得られた延伸繊維
(モノフィラメント:全延伸倍率=7.5倍)を室温で
一昼夜放置した。放置後の延伸繊維の結晶化度は、2
6.2重量%であった。この結晶化度を高めた延伸繊維
を温度80℃で1.6倍に延伸し、全延伸倍率を12倍
とした。
【0065】[比較例8]ナイロン6(単独重合体)を
30mmφ単軸押出機に供給し、押出機先端温度260
℃で溶融させて、温度260℃に調節された直径1.5
mmの紡糸ノズルから押し出して、直ちに温度5℃に調
節された水浴中で冷却し、引取速度10m/分で引き取
って、直径740μmの未延伸糸を得た。この未延伸糸
を巻き取ることなく、直ちに温度85℃に調節された乾
熱バス内で、延伸倍率3.8倍に延伸し、次いで温度9
5℃に調節された乾熱バス内で1.47倍に延伸し、全
延伸倍率5.6倍の延伸繊維(モノフィラメント:直径
156μm)を得た。これらの実施例及び比較例で採用
した延伸条件を表1に示し、物性の測定結果を表2に示
す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、直線引張強度が高く、
適度の伸度を有し、生分解性を示す高強度ポリエステル
アミド繊維とその製造方法が提供される。本発明の高強
度ポリエステルアミド繊維は、釣り糸や漁網、農業用ネ
ットなどの産業資材としての用途に好適に適用すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J001 DA03 DB04 DB05 DC03 EA02 EA04 EA06 EA08 EA15 EA16 EA17 EB02 EB06 EB07 EB08 EB09 EB14 EB36 EB37 EC04 EC07 EC08 EC09 EC14 EC44 ED05 ED06 ED07 ED08 ED13 ED14 ED66 GA12 HA02 JA10 JA20 JB08 4L035 BB31 BB54 BB79 BB81 BB89 BB90 BB91 DD14 EE08 EE20 FF02 HH10 MJ01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルアミド共重合体からなる繊
    維であって、該繊維の動的粘弾性測定における主分散ピ
    ーク温度が、該ポリエステルアミド共重合体からなる無
    配向物の主分散ピーク温度より10℃以上高いことを特
    徴とする高強度ポリエステルアミド繊維。
  2. 【請求項2】 該繊維の結晶化度(重量%)Aと小角X
    線散乱により測定される長周期(Å)Bとが、式(I) 5≦(A×B)/100≦30 ・・・・・・・・ (I) の関係を満足する請求項1記載の高強度ポリエステルア
    ミド繊維。
  3. 【請求項3】 ポリエステルアミド共重合体を溶融紡出
    し、得られた未延伸糸を延伸するポリエステルアミド繊
    維の製造方法において、(1)ポリエステルアミド共重
    合体を溶融紡出し、直ちに温度20℃以下の不活性冷却
    媒体中で冷却固化して非晶性の未延伸糸を得る工程、
    (2)該未延伸糸の結晶化度を10〜30重量%に高め
    る工程、及び(3)結晶化度10〜30重量%の未延伸
    糸を全延伸倍率が4.5倍以上となるように1段または
    多段延伸する工程からなる一連の工程を含むことを特徴
    とする高強度ポリエステルアミド繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 工程(2)において、該未延伸糸を10
    〜80℃の雰囲気中に10分間から72時間置くことに
    より、該未延伸糸の結晶化度を10〜30重量%に高め
    る請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 工程(3)において、結晶化度10〜3
    0重量%の未延伸糸を温度20〜120℃で全延伸倍率
    が4.5倍以上となるように1段または多段延伸し、そ
    の際、温度50〜120℃で延伸倍率1.3倍以上に延
    伸する少なくとも1つの延伸段階を配置する請求項3記
    載の製造方法。
  6. 【請求項6】 ポリエステルアミド共重合体を溶融紡出
    し、得られた未延伸糸を延伸するポリエステルアミド繊
    維の製造方法において、 ポリエステルアミド共重合体を溶融紡出し、直ちに温
    度20℃以下の不活性冷却媒体中で冷却固化して非晶性
    の未延伸糸を得る工程、 該未延伸糸を温度−10℃〜50℃で延伸倍率1.3
    倍以上に延伸して延伸糸とする工程、 該延伸糸の結晶化度を10〜30重量%に高める工
    程、及び 結晶化度10〜30重量%の延伸糸を全延伸倍率が
    4.5倍以上となるようにさらに1段または多段延伸す
    る工程からなる一連の工程を含むことを特徴とする高強
    度ポリエステルアミド繊維の製造方法。
  7. 【請求項7】 工程において、該未延伸糸を温度20
    ℃以上50℃未満で延伸倍率1.3〜10倍に延伸する
    請求項6記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 工程において、該延伸糸を10〜80
    ℃の雰囲気中に10分間から72時間置くことにより、
    該延伸糸の結晶化度を10〜30重量%に高める請求項
    6記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 工程において、結晶化度10〜30重
    量%の延伸糸を温度20〜120℃で全延伸倍率が4.
    5倍以上となるようにさらに1段または多段延伸し、そ
    の際、温度50〜120℃で延伸倍率1.3倍以上に延
    伸する少なくとも1つの延伸段階を配置する請求項7記
    載の製造方法。
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